第3号議案:平成12年度事業計画

 

平成12年度 事業計画

自 平成12年4月1日〜至 平成13年3月31日

 

土木工学に関する学術・技術を通じて人々の幸福と社会の福祉、発展に寄与することを目的とする本会は、幅広い視野にたって新しい時代の負託に応え、社会資本整備の将来像を土木技術者の視点から提起し、常に社会との信頼関係を構築する努力を継続する。学術・技術に関する調査研究を高い透明性のもとに推進し、公共事業の中立的評価と、その適正な水準に関する社会的合意形成に向けた努力を今後も継続する。

会員に対しては、土木工学ならびに関連分野に関する情報、調査研究のための環境及び会員相互の交流の場を提供し、これらの不断の質の向上に努める。技術情報の迅速な公開を一層推進するとともに、土木技術者資格の確立を図り,近未来の技術および教育システムの国際化に対応するための事業を主体的に進め、今後の土木工学の展開の場と、会員の活躍の場を広げる努力を行う。本会の運営に関する合理化及び事業推進に一層、努める。

 

(1)総務部門関係

文部大臣許可により改正した定款、細則、規程、内規のもとに円滑な学会運営を図る。

土木学会賞に新たな環境賞を設置し、賞の授与をはじめ従来からの学会活動を実施するとともに「情報提供・公開にかかわる諸問題」等、時代に対応した新たな課題について積極的な取り組みを行い、国際交流・国際貢献あるいは対社会的な活動を行うための運営組織の充実を図る。

 

(2)企画部門関係

学会の中長期計画の策定を行うとともに、昨年度に継続して、従来の活動では対応困難な「土木技術者の活用の方策」を探る。また、一昨年度から実施している「会長提言による特別委員会」において、21世紀の社会のあり方、土木界の今後の方向性などについて検討を行う。

学会の最大行事である年次学術講演会(全国大会)は、東北支部担当のもとに9月21日〜23日の3日間、東北大学で開催する。また、学術振興基金、学術文化事業の運営を継続して行う。

 

(3)財務・経理部門関係

 会員による学術・技術の向上を図る活動への経費を確保するとともに、公益法人としての社会的・国際的な貢献に資する活動をより充実させるため、会員・支部部門の積極的な会員増強策を支援し増収を図るほか、事業内容や一般管理費の見直しにより経費削減の努力を続ける。一方、土木技術推進機構を始めとする新規事業に対し必要経費を確保した予算を編成し、厳正・公明な執行を行う。

 

(4)出版部門関係

 機関誌として、学会活動をより迅速に伝達するとともに、内外の研究成果や土木事業の報告など有益な各種情報を提供するために、「土木学会誌」を年間12冊(内、合冊として付録3冊)を発行する。発行にあたっては、厳しい予算削減の中でOA化の導入による品質の一層の向上と編集作業の効率化に努める。

会員の研究成果を、厳正かつ公正・中立に評価した上で、学界および広く社会に公開するために「土木学会論文集」を発行する。学会の調査研究活動の成果を対外的に公開するために、「コンクリート標準示方書[維持管理編]」をはじめとする新刊図書および「水理実験指導書」などの改訂図書を発刊する。刊行にあたっては、制作コストの縮減、販売促進・在庫管理の強化など出版会計の健全化に努める。今年度から、刊行物の在庫管理をアウトソーシングするとともに、図書販売体制の合理化を実施する。

 

(5)調査研究部門関係

 昨年に継続して、工学の科学技術から国際的な緊急課題まで、28の調査研究委員会のもとに、専門化されたそれぞれのテーマごとに調査・研究活動を行う。また、その成果は、土木学会誌、土木学会論文集はもとより土木学会ホームページ等を通して広く情報を公表するとともに、講習会、シンポジウム、研究発表会などの行事を開催して、会員を始め広く技術者、研究者の教育・啓発を図り、最先端の土木技術を広く社会へ開示する。さらに、新規研究テーマの発掘と迅速な対応、外部研究資金導入の推進、英文論文集等の発展への積極的協力を行う。

 

(6)国際部門関係

 国際的に開かれた学会活動の重要性と海外との交流を望む声の高まりの中で、会員はもとより我が国の土木界さらには社会に有益な国際活動を展開する。このため、現在までに協力協定を締結している16学協会との交流を一層活発化すると同時に、より多くの学協会と協力協定を締結する。土木学会の海外支所の設置、留学生の集う会の開催と合わせて、さらにインターネットを利用した海外会員制度の創設を検討することで、海外の技術者、研究者とよりきめ細かい情報交換ができる仕組みを構築する。

 さらに、土木学会全国大会における英語セッションや英語による研究討論会を企画し全国大会の国際化に貢献する。また、ニュースレターの刊行を継続し、英文ホームページと合わせて英語による情報発信を図る。

 

(7)広報部門関係

 我が国の土木事業並びに土木技術の役割、さらには土木工学の研究成果を、社会との対話で広く広報していくための諸活動を実施する。そのため、昨年に引続いてマスコミへの積極的でタイムリーな情報提供、国際広報誌の発刊、中学生を対照としたサマースクールの開催などを行う。また、土木学会ホームページの運営・管理を関連部門と協力して充実を図る。また、恒例となった「土木の日・土木の週間」行事を各支部と協力して積極的に実施する。

 

(8)会員・支部部門関係

 平成11年度から取り組んでいる会員増強3ケ年計画の2年目に当たる今年度は,職場班および各支部から,所属会員や官・産・学の土木関係者に対し,学会入会への協力と支援を依頼する具体的な行動を起こし,会員5万人体制がより現実的となるよう努力して行く.

再構築された職場班についても,さらに所属会員の増員や班編成の増加を図るなど,学会にとってより意義ある組織となるよう整備・強化の見直しを行い,組織率のさらなる向上を図る.

 また,公益法人としての学会(本部)体制の整備に対応して,支部の財政・事業および事務局(就業規則の整備等)をより健全化するための見直しを行う.これにより会員サービスを一層向上させ,魅力ある支部を作ることにより会員増強がよりスムースに可能となるような体制の整備・充実を図る.そのための支部の必要経費について,支部交付金の適正なレベルを検討し,算出する.

 

(9)災害緊急対応部門関係

 学術団体であるとともに専門技術者集団である学会の社会的債務として、地震、河川災害や土石流などの災害発生に際し、迅速な調査を行うため、昨年に継続して組織を維持し、国民の負担に応えられるよう緊急調査活動を行う。

 

10)学術資料館・土木図書館部門関係

 21世紀の学会活動の拠点として、現在の土木図書館の建替とともに土木会館の改修を行う。これに合わせて蔵書構成の見直しとともに史・資料の発掘・調査・収集を行う。また、「学術資料館」建設のための計画・検討を続ける。

 

11)技術推進機構

 技術推進機構は、我が国の土木技術が広く国内外に貢献するため、我が国の土木技術が国内外で活用されること、土木技術者が国内外で活躍できる環境を整えること、技術開発にインセンティブを与えること、またこれらを土木学会会員に提供することを目的とし、機構運営会議のもとで、事業を行う。

 本年度は次の事業を実施する。

1) 技術標準、技術教育、技術評価、国際関連の4点を柱にした中長期事業計画および

予算策定の検討

2) ISO等の国際基準最新情報および技術者資格更新・獲得に関わる継続教育に関する

講習会の実施

3) 受託による「ISO対応」への委員会活動

4) 受託による「技術者の二国間相互承認」への委員会活動

5) 受託による「構造物の破壊過程解明調査研究」への委員会活動

6) 外部資金導入の支援と調整

7) アジア土木学協会連合協議会事務局の運営支援のための委員会活動

8) 第2回アジア土木技術国際会議準備のための支援

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