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(抜粋)

平成18年度 事業計画

自 平成18年4月  1日
至 平成19年3月31日

1.概要

 本会の目的を達成するため、「JSCE2005―土木学会の改革策―」を充分に反映しつつ、戦略的施策として、会員サービスの向上、コミュニケーション機能の充実、社会貢献・支援、技術者資格制度の活性化を図る。また、すべての事業実施にあたっては、マネジメントサイクルの本格導入を図って適正かつ活発な事業を展開する。これらにより、土木工学の展開の場と、会員の活躍の場の拡大を目指す。
 このため、会員サービスとしては会員自身による個人データ管理やWeb名簿を可能にする新会員管理システムの構築、図書館の検索機能向上および全会員を対象とした継続教育を推進する。コミュニケーション機能を充実するために、学会ホームページを刷新し、学会誌・パンフレット等による情報発信を活発化する。社会貢献・支援としては、災害緊急調査団の派遣と迅速な成果広報を行なうとともに、裁判所の依頼にもとづいた司法支援を行なう。また、技術者資格制度に関しては、受験生の大幅増員・有資格者へのインセンティブ拡大を積極的に進める。
 さらに、調査研究活動として、重点化すべき学術研究領域の提案・誘導を引続き行なう。
 近年の土木事業の減少傾向やインターネットが発展する中で、学会としての事業や財政の運営を時代にあったものとする必要があり、各部門間のさらなる連携のもとで、その合理化・効率化に努めるとともに、次期中長期計画となるJSCE 20xxの策定を推進する。

2.企画部門

 JSCE2005で提示された事項の迅速かつ適切な実施を進めるために、各部門との連携を図りながら、自己評価のなどの定着に努めて行く。
 また、学会の企画運営に関する諸活動、会長、理事会からの諮問事項等の検討および学術振興基金と学術文化事業の運営を継続して行うとともに、次期中期目標・中期計画であるJSCE20XX策定を推進する。
 平成17年度会長提言特別委員会成果の「土木技術者がグローバル社会で活躍するために」の関連活動を行うとともに、平成17、18年度会長提言特別委員会においては「良質な社会資本整備と土木技術者に関する提言」、平成18年度会長提言特別委員会においては「自然災害軽減への土木学会の役割」および「土木の未来と土木技術者の役割」を検討し、その成果の発表と活用を行う。

3.コミュニケーション部門

 JSCE2005に基づき、学会と社会、学会と学会員及び学会員相互間のコミュニケーション体制の確立を図るために、ホームページ、学会誌、パンフレットなどの複数の手段による情報提供について検討を行い、可能なものから実行に移していく。
 特に学会ホームページについては、社会とのコミュニケーションの充実、機能性、デザイン、使いやすさ等の観点からの検討を進め、改訂を行う。
 また、学会誌については、編集方針「五つの方針と五つの方策」と、その後の評価「こうしました&こうします」に基づいて、目標達成度を検証し、これを踏まえて編集活動を進める。社会への情報発信ツールとして学会誌をもとにした印刷物の発行について検討を進める。
 さらに、土木の日事業については、各支部との連携をさらに密にし、より多くの市民参加が得られるよう努める。

4.国際部門

 「国際化に向けてのアクションプラン」およびJSCE2005に基づき、国内外向けの情報発信として、従来からの英文Newsletter、Civil Engineering,JSCEや英文ホームページを実施しつつ、ホームページの内容の充実に努め、その活用拡大を図る。
 国内留学生との交流を促進するため、例年どおりのサマーシンポジウムを開催する。また海外在住者を対象とした情報提供のあり方や外国人会員制度の制定に向けた検討を進める。
 海外協定学協会との国際交流を促進するため、(1)ラウンドテーブルミーティングを全国大会の公式行事として海外協定学協会を招待、(2)海外協定学協会年次大会等への派遣、(3)海外協定学協会とのジョイントセミナーによる技術的な交流支援 などを行う。また、海外分会の活性化を支援するため、来訪時の分会活動を支援する。
 アジア土木学協会連合協議会(ACECC)活動支援として、(1)JSCE主導で津波技術委員会(TC)・メコン河技術委員会(TC)、(2)“e-publication(英文報告集)”の発行、(3) アジアの工学会の参加促進、(4)2007.6第4回アジア土木技術国際会議(開催:台湾)準備等を積極的に行う。
 公益信託土木学会学術交流基金による助成では、より国際戦略・国際貢献をふまえた助成対象者の選定を進める。

5.教育企画部門

 JSCE2005で提示された土木技術者の生涯に渡る学習継続の重要性に鑑み、教育機関、学会、民間、官庁を含めた一貫性ある技術者教育・学習システムの検討・提案を行う。
 各教育課程における土木教育の実態、課題把握および対策について検討するとともに、技術者倫理、マネジメント教育のあり方について検討し、教材開発、普及活動を実施する。また、土木界におけるジェンダー問題の調査や提言を行う。さらに、社会と土木界との係わり合いを強めるために、総合学習支援を行う。

6.社会支援部門

   「JSCE2005」に基づき、諸災害時の緊急支援や裁判への専門的知識の提供支援など、社会の緊急問題の解決に向けた専門的・直接的な支援を機動的に行う。
 災害対応では、専門技術者集団である学会の社会的責務として、国内外の地震、河川災害や土石流などの災害発生に際し、迅速な調査ならびにその報告を通じて社会的・国際的に貢献し、必要に応じて一般市民に向けた技術的解説を行うとともに、学会誌、HPを通じて広く情報を提供する。その際、関係の部門やNPO等と連携を図り効率的に進める。
 さらに、日本建築学会、関係の部門と連携しつつ、巨大地震災害への対応検討を引続き行う。
 最高裁判所からの要請に基づく司法支援については、司法支援特別委員会において、関係部門と協力して、土木関連分野の民事訴訟における鑑定人、調停人の候補者の推薦等を行う。

7.調査研究部門

   土木工学および関連分野の研究課題に関して、29の調査研究委員会を組織して調査研究を推進する。特に、平成15年度に開始したJSCE2005に基づく改革策の具体化に努める。そして学際化が求められている現状に鑑み、部門の戦略的施策である重点研究課題(研究助成金)について課題横断的テーマ等への取組みや若手技術者への助成をさらに進める。なお、平成14年度実績から開始した委員会の活動度評価を継続するとともに、委員会の新設・統廃合評価を行い、委員会活動の活性化と向上をめざす。また、活動の成果は出版物の発刊、土木学会誌、土木学会論文集はもとより土木学会ホームページ等を通じて広く情報を公表する。
 各委員会は、講習会、シンポジウム、研究発表会などを企画、実施し、最新の研究、技術の発表の場を提供し、会員を始め広く社会に開示し、斯界の研究者、技術者の能力向上を支援する。さらに、他機関との共催行事の開催、および土木関連分野の民事訴訟における鑑定人の推薦等を進める社会支援部門に協力し社会との連携を深める。併せて技術推進機構による「継続教育プログラム」を積極的に支援し、会員の資質向上に貢献する。
 以上により時代のニーズに柔軟に対応し得る体制を構築する。

8.出版部門

  1. 出版活動を通じて,学会活動の成果を社会へ情報発信する。また、調査研究委員会と連携し、社会のニーズに応える出版企画を検討する。
    在庫のスリム化および絶版図書の販売再開をめざし、オンデマンド出版の導入を検討する。
    海外から既刊図書の翻訳要請が増加しており、出版物の二次使用のあり方について検討する。
    出版会計では、引続き製作コスト低減および販売数増加を図るとともに、健全化を推進する。
  2. 論文集編集委員会では、電子ジャーナル化に伴う新しい査読システムを構築し、投稿から掲載までの期間短縮による投稿者の利便性向上を図るとともに、幅広い購読者の獲得を目指す。

9.情報資料部門

 情報化時代にふさわしい土木の総合的な情報資料センターとして、学会資料はもとより土木関連図書資料や映像資料などの収集に努め、これを活用する仕組みを構築し広く公開することで会員サービスの向上をはかるとともに、ホームページの充実、他学協会等とのネットワーク構築などその機能の充実を図る。このため本年度は特に次の事業を重点的に行う。
  1. 土木学会の図書館としての特色ある図書・資料等の積極的な調査・収集・保存を推進する。
  2. 貴重資料のデジタルアーカイブ化を図るとともに、図面管理の検討を進める。
  3. 目録・書誌等の既存データベース検索システムの維持・拡充を図るとともに、活用支援の仕組みを構築するなど図書館機能の充実を図り、会員に使い易い環境整備につとめる。
  4. 土木学会情報資源の積極的な活用方策につき関係部門と連携しながら検討を図る。
    また、土木仮想博物館の検討を引き続き行う。
  5. 映像作品の収集・選定審査・公開に務め、上映会(イブニングシアター)を継続実施する。また、「学術資料館」については調査検討を継続する

10.総務部門

 当部門においては、「JSCE2005」に基づき、社会への貢献と連携機能の充実を図るとともに、学会業務の円滑な運営を進めるため、学会規程類の必要な改正を行う。また、関係部門の協力を得て、学会情報の提供および保存・公開や個人情報保護に係わる諸問題を扱う。
 総会および理事会の開催、名誉会員の推挙、土木学会賞の表彰、全国大会の開催等については、関係の部門・支部の協力を得て、円滑な運営に努めるとともに、引続き理事会、委員会等の会議資料のペーパーレス化に取組む。
 創立100周年に向けて、記念事業の計画を開始する。

11.財務・経理部門

 予算編成に際しては、引き続き中期の財政状況を念頭に置き行うほか、各部門において行う自己評価の結果が予算に適正に反映されるよう努める。また、会員増強、各種事業の増収について各部門と連携を密にするほか、一般管理費をはじめとする経費節減を進め、財政の安定に努める。収支が著しく不均衡にならない範囲で、引き続き将来の活動資金のための積立を実施する。
 内部留保については、公益法人改革の動向も踏まえ適正化を図る。
 支部会計については、平成18年4月施行の公益法人会計基準の習熟を支援するほか、予算と決算との乖離など、懸案事項について支部とのコミュニケーションに努める。
 資金管理については、預入機関の財務状況を注視する。

12.会員・支部部門

 平成18年度も引続き、各支部、他部門と連携をとり、職種別、職場別の会員数などのデータをもとに効率的な会員増強に努める。正会員(個人)及び学生会員のメールアドレス登録推進に努め、個人宛メールニュースの内容充実、配信拡大を図る。
 平成17年度より導入した磁気カード会員証の活用をはかるとともに、ID(会員番号)及びパスワードによる会員登録事項の確認・変更をホームページ上で行える等の会員管理システムを確立し、運用を開始する。
 また、支部との連携をとりながら、支部活動への支援を行う。

13.技術推進機構

 「土木学会認定技術者資格制度」、「継続教育制度」および「技術者登録制度」の各制度について、その一層の充実・拡大を図る。特に「土木学会認定技術者資格制度」では、2級技術者資格の受験要件の学部生への拡大を機に、さらなる受験者数の増大を図り、前年と同様に、技術者資格審査を各支部の協力・支援のもとで実施するほか、資格制度の活用を各界にアピールする。「継続教育制度」では、CPD記録・登録システム運用の2年目として、システム利用者数の増大を図るべく、会員への周知に努める。なお、「技術者登録制度」については、有効活用されるような制度への改変を含む見直し検討を実施する。
 日本技術者教育認定機構(JABEE)からの受託業務である、土木分野および環境分野の教育プログラムの審査(新規および継続)を円滑に実施する。ISO関連受託業務では、国内外の基準・規格に関する土木関連分野の情報収集活動を継続するとともに、「土木ISOジャーナル」のリニューアルを図る。その他、受託研究を通じて、土木技術の研究・開発を支援する。