土木学会関東支部では例年,土木の日(11月18日)記念行事として親子見学会を開催しております。
コロナ禍の影響で過去2年は中止となっていましたが,今年は3年ぶりに開催することができました。
今回は11月19日(土)に開催し,大人12名、子供11名の10家族,計23名の方々にお越しいただき,
高速横浜環状南線の「公田笠間トンネル工事」と「栄IC・JCT橋梁上下部工事」を見学しました。
■公田笠間トンネル工事の概要
公田笠間トンネルは横浜環状南線のほぼ中央に位置しており,その延長は約1.7kmです。シールド工法による掘削が行われており,1台のシールドマシンが上下線を1方向ずつ掘削します。現在,発進到達立坑から公田IC方面に約600mの位置まで掘進しています。トンネルの外径は約15mで,日本で2番目の大きさとのことです。シールドマシンはこの工事のために製作され,外径は15.28m,重さ約3,300tです。シールドマシンには「ほりまる」という愛称があります。「たくさん掘ってほしいから。形が丸いから。」という意味で,地元の小学生が考えました。
■公田笠間トンネルの見学
まず発進到達立坑の隣にあるインフォメーションセンターにて,工事の概要やシールドトンネルについて学んだ後,ヘルメットをかぶって出発しました。
“ほりまる”は600m先まで掘進しているので,セグメントが組まれた立坑付近のトンネル内を見学しました。ここで集合写真を撮影してから,資材ストックヤードと土砂ピットへ向かいました。ストックヤードの外では,珍しいセグメント運搬車両も見ることができました。
各施設は防音ハウスの中にあります。ハウスの北面は透明パネルとなっており,近隣の家に対して騒音だけでなく日照にも配慮されていました。土砂ピット間をつなぐベルトコンベヤのトンネル内も歩くことができ,トンネル内面吸音材の有無による騒音の違いに,みんな驚いていました。
インフォメーションセンターに戻ってから質問タイムがあり,鋭い質問も飛んでいました。この場所は縄文時代に海であったことから地中より貝殻が発見され,参加者に記念として頂き,子供たちも大喜びでした。
■栄IC・JCT工事の概要
栄IC・JCTは,高速道路(横浜環状南線と横浜湘南道路)のジャンクション,そして高速道路と都市計画道路横浜藤沢線と接続するインターチェンジで構成されています。
本線とランプが複雑に交差していて,5層構造となっています。広さはサッカーグラウンド18面分で,橋脚の高さは最高で約40mにもなり,広さも高さも迫力満点です。横浜環状南線と横浜湘南道路が栄JCTでつながると,横浜と東名高速や中央道の移動がスムーズになり,最大で70分の時間短縮が見込まれています。移動が速くなるだけでなく,災害にも強い道路が完成します。
また,BIM/CIMを活用した工事を行っており,3次元モデルを使った施工シミュレーションやAR(拡張現実)による可視化により,部材の干渉チェックや工事車両の動線確認,近接構造物への干渉の確認を行っています。
■栄IC・JCT工事の見学
最初に,横浜環状南線と横浜湘南道路の大切さや工事の概要について学んだ後,ヘルメットをかぶって出発しました。ここでは,現場を見るだけでなくVR/ARを使った体験もできるので,2班に分かれての行動となりました。
まず,架設中のランプ橋の先端まで歩いて行き,360°見渡しながらの見学です。完成すると車でしか通行できませんので,今だけの貴重な体験となりました。ランプの曲線が映えるポイントで記念撮影を行いました。地上からも橋梁群を見上げてダイナミックな造形を見学できました。
事務所では,3Dデータを使用したVR体験ができました。コントローラーを使って現場内を移動したり,走行映像を体験しました。屋外ではタブレットを使ったAR体験で,目の前の風景に見えないものを画面で見るという体験ができました。
■おわりに
今回は3年ぶりの開催となりましたが,関係者の皆様方のご協力により無事開催することができました。ありがとうございました。今回はトンネルと橋梁上部工工事という二つの現場を見学させて頂きましたが,どちらの現場でも非常に丁寧な説明や案内をして頂きましたので,完成した姿をしっかりとイメージできたのではないかと思います。
どちらの現場も,完成すると徒歩では通行できない場所ですので,じっくり見学するということは貴重な体験だったと思います。一通り見学した後に,興味をもっていろいろと質問して頂けたので,とても嬉しく思いました。「運転免許を取ったら,自分の運転でこの道を走りたい」という声も聞けました。
土木学会関東支部広報部会では,土木という仕事に親しみと興味を持っていただけるよう,今後も楽しい見学会を企画いたしますので、ぜひご参加ください。「こんなものが見たい・知りたい」という意見などありましたら、下記連絡先にお寄せください。
土木学会関東支部への連絡先:kanto@jsce.or.jp