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土木学会関東支部では例年、土木の日(11月18日)記念行事として親子見学会を開催しております。
 今回は11月16日(土)に開催し、大人13名、子供11名の9家族、計24名の方々にお越しいただき、「王子給水所(仮称)配水池築造工事」と「R4圏央道上蛇高架橋上部その1工事」を見学しました。。

■王子給水所(仮称)配水池築造工事の概要

東京都の区部東部の北側地域は、金町浄水場から一系統で給水している配水区域が広大であり、地震等の災害や事故時等には断水や濁水の影響が広範囲に及ぶおそれがあります。そのため、昭和50年代から段階的に配水区域を5つに分割し、各区域に拠点となる給水所を整備するとともに、給水所への二系統の受水を実施しており、王子給水所(仮称)は最後の整備予定施設になります。

工事用地として使用できる敷地面積は8300㎡であり、周辺はマンションや学校などに囲まれている住宅街です。よって、工事の工法は周辺に騒音や地盤変位の影響が少ない「ニューマチックケーソン工法」を採用しています。

王子給水所(仮称)配水池の大きさは、幅49.5m×長さ71.5m×深さ34.5mととても大きな鉄筋コンクリート造で、地上で作った施設を少しずつ沈めていく工事になります。

画像:ニューマチックケーソンの概略図
画像:地図

■王子給水所(仮称)配水池築造工事の見学

まず工事現場の会議室にて、王子給水所(仮称)配水池築造工事の概要を動画や写真を使ってわかりやすく説明してもらいました(写真①参照)。配水池施設の規模は幅49.5m×長さ71.5m×深さ34.5mでニューマチックケーソン工法にて築造しています。子供たちには馴染みが無い工法です。そこで、工事現場の人たちがどういった工法なのかを人形と水槽を用いた模型実験でわかりやすく説明してくれました(写真②参照)。聞いている子供や大人たちは、なるほどという顔で説明を聞いていました。

説明を聞いた後は全員がヘルメットを被り、2つの班に別れてそれぞれの場所を見学していきました。まずはケーソン管理室に行き、ケーソン作業室をモニターで見ながら遠隔掘削機を実際に操作するのを見学しました(写真③参照)。ここでは大人のほうが目を輝かせながら見学したり質問したりしていました。次に稼働中の工事現場を見学しました。大きなタワークレーンが立ち並び、それが動いている状況を近くで見られる大変貴重な経験でした(写真④参照)。また、実際に工事で使用しているバックホウやキャリアダンプといった建設機械に乗せてもらいました(写真⑤参照)。最後に会議室に戻りVR体験をしました。子供たちが一人ずつVRの中でケーソンの掘削箇所を移動したり、タワークレーンを動かしたりしました。VRを操作する時間が短かったためか、普段のゲーム機より操作が難しい!と言っている子供もいました(写真⑥参照)。

2つの班が一通り見学を終了し会議室に戻ってからは質問タイムがありました。子供たちも大人たちも熱心に工事現場の人たちに質問をしていました(写真⑦参照)。最後に全員で記念撮影を行い、現場の方々に御礼をしてから次の工事現場へ向かいました。

画像:工事の概要説明 画像:ニューマチックケーソン工法の模型実験
画像:ケーソン管理室 画像:工事現場の見学
画像:重機との記念撮影 画像:VR体験
画像:質問タイム
画像:全体記念写真

■R4圏央道上蛇高架橋上部その1工事の概要

首都圏中央連絡自動車道(圏央道)は、都心から約40~60㎞の位置を環状に結ぶ延長約300㎞の高規格幹線道路で、横浜、厚木、八王子、川越、つくば、成田、木更津などの都市を連絡し、東京湾アクアライン、東京外かく環状道路(外環道)などと一体となって首都圏の広域な幹線道路網を形成するとともに、首都圏の道路交通の円滑化、環境改善、沿線都市間の連絡強化、地域づくり支援、災害時の代替路としての機能など多くの役割を担う環状道路です。

平成30年3月に、国土交通大臣から東日本高速道路株式会社に対し、久喜白岡JCT~大栄JCT間の延長約92㎞の4車線化について事業許可がなされ、整備を進めています。圏央道の整備を加速させることにより、物流の効率化と民間投資の誘発による生産性向上の効果が期待できます。

今回見学するのは、茨城県常総市上蛇町にて工事が実施されている「圏央道上蛇高架橋」になります。

画像:R4圏央道上蛇高架橋上部その1工事の概要
画像:見学箇所(上蛇高架橋)

■R4圏央道上蛇高架橋上部その1工事の見学

工事現場にバスが到着すると、工事現場の人たちが笑顔で出迎えてくれました。外に説明用のブースが設置されており、現場の人たちが、模型や実物を交えながら工事について丁寧に説明してくれました。

始めに高架橋工事の概要について説明してもらいました(写真①参照)。レゴブロックを使用した説明は大変わかりやすく、子供や大人はなるほどと頷いている様子でした(写真②参照)。次は下部工の説明です。模型を使用し下部工の基礎の部分の重要性の説明を受けたり、実際に鉄筋を触らせてもらいその重量を実感したりしていました(写真③④参照)。また舗装の説明では実際の舗装に水を流してその機能を確認しました(写真⑤参照)。ボルトの締め付け体験では機械で締めたボルトを子供たちが手動で緩められるかどうかの実習をしました(写真⑥参照)。工事現場の人たちは子供が手動で緩めるのはまず無理だろうと言っていたのですが、子供たちは次々と緩めることができ工事現場の人たちを驚かせていました。測量機器の説明ではレーザー機器による測量の実習を行いました(写真⑦参照)。今はスマホと専用の機材があれば測量できることに子供たちは驚いていました。

工事の説明が終り上部工へ移動し、橋上見学を実施しました(写真⑧参照)。実際に車が走っている横での見学は普段なかなか体験できない為、子供や大人まで目を輝かせていました。上部工では高速道路の傾き(横断勾配)を体験する「床版傾きビー玉体験」を実施しました(写真⑨参照)。また高架橋ジョイント部にて鉄の伸縮について説明を受け、最後にモルタルスペーサーと床版に願い事をマジックやチョークで書きました(写真⑩~⑬参照)。

最後に上部工にて全体の記念撮影を実施しました(写真⑭参照)。皆でモルタルスペーサーに書いた願い事は、このまま施工される為、将来に渡り残るそうです。普段できないような色々な体験をし、今年の見学会は終了になりました。

画像:工事の概要説明1 画像:工事の概要説明2
画像:下部工の説明(基礎) 画像:下部工の説明(鉄筋)
画像:舗装の説明 画像:ボルトの締め付け体験
画像:測量機器 画像:橋上見学
画像:床版傾きビー玉体験 画像:床版上に願い事(作業風景)
画像:モルタルスペーサーの設置 画像:床版上に願い事(作業風景)
画像:床版上に願い事
画像:全体記念写真

■おわりに

今回も去年に引き続きの開催となりましたが、関係者の皆様方のご協力により無事開催することができました。ありがとうございました。今回の親子見学会は、給水所工事と高架橋工事という二つの現場を見学させて頂きました。給水所は普段から馴染みがなかなかありませんが、その規模の大きさに子供たちは圧倒されていました。高架橋工事のほうは高速道路である為、普段から馴染みがあり入りやすかったと思います。しかし、どちらの現場でも非常に丁寧な説明や案内をしていただいた為、この工事が何のために実施されているか。また、完成したらどんなものが出来上がるのかをしっかり理解していただきました。今回参加された子供たちに少しでも建設業の魅力を伝えることができた見学会であったと思いました。

どちらの現場も、工事中の場所に行き、直にその場所の空気に触れることはなかなかできない体験です、子供や大人も凄く貴重な体験だったと思います。一通り見学した後の質問タイムでは、子供たちが競って質問しているのを見て嬉しく思いました。

土木学会関東支部広報部会では、土木という仕事に親しみと興味を持っていただけるよう、今後も楽しい見学会を企画いたしますので、ぜひご参加ください。「こんなものが見たい・知りたい」という意見などありましたら、下記連絡先にお寄せください。

土木学会関東支部への連絡先:

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