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馬の頭水利施設は、慶長16年(1611年)に当時の鍋島藩家老で、築城、土木利水の大家・成富兵庫茂安によって築造され、水位の低い松浦川の水を桃川台地に引き上げて、水田耕作の道を開いたものである。
井堰の上流約1キロ地点の水位の高い大井手の脇から分水路を設けて本流の水を引き込み、その分水をこの井堰まで導いて岸辺から落下させ、伏越(ふせこし、逆サイフォン式)の工法を用いて川底を横断させ、対岸の台地に噴き上げて、今もなお「活きた農業用施設」として桃川地区の70haの水田に活用されている。
伏越部分の導水管は桶樋とよばれた木製の連結管で、「伏越工法」と共に成富水工の卓越した技法であり、耐久上ほぼ1年おきに作り替えられながら、昭和3年にコンクリート管(埋設)に代わるまで300年以上にわたり、この桶樋が用いられた。
また、一連の導水施設では、石(大)井手、戸立(とだて)、ノコシ(乗越)、石開(分場)など、各所で優れた技法を見ることができる。
なお、地元では施設の維持管理(保存)に努めるとともに、成富兵庫茂安の遺徳を偲んで、兵庫祭り(隔年実施)が開催されていますが、平成23年度は町民による400年祭が盛大に執り行われました。
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