トップページ > 九州の近代土木遺産 > 九州の近代土木遺産マップ >立野橋梁
|
1924(大正13)年に完成した立野橋梁は、熊本県南阿蘇村を走る南阿蘇鉄道 立野〜長陽駅間に位置する鉄道橋である。構造は、白川に架かる鋼プレートガーダー上路橋で、トレッスルを持つ橋である。この形式の橋は、九州では本橋しかなく、全国的にも珍しいものである。立野駅を出ると約500mで本橋を通過し、さらに1km先の第一白川橋梁のつゆ払いを務める橋である。実際に、この橋が、第一白川橋梁の建設のための600トンを超える材料と架設のための機材を運んだ際に利用されたといわれている。
橋脚は、厳しい斜面を抱き込むように立てられている。トレッスル橋脚は3基で、残りの橋脚はコンクリート製で、起伏が激しいために谷の深い部分だけに鋼脚を採用したことがわかる。鋼材を注意深く観察すると、八幡製鉄所の文字がローマ字で浮き上がってくることが確認でき、まさに九州の橋といえる。建設にあたり、その設計は日本でなされたが、兵庫県にある餘部鉄橋(1912年完成)などのように、橋梁の鋼材はアメリカン・ブリッジ社からの輸入品で、アメリカの技術を国産で表現したことがわかる。
(一般社団法人 九州地域づくり協会HP「土木遺産in 九州」より抜粋)
|