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荒崎新地の石造干拓施設群 |
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評価情報 |
荒崎新地の石造干拓施設群は、河川堤、潟樋門跡、島津樋門跡の3つの施設群で構成される。河川堤は約800mに渡ってほぼ完成当時の状態が残されており、現在も河川護岸として供用中である。潟樋門跡は袖石垣がほぼ当時の状態をとどめており、島津樋門跡は袖石垣と敷石が残っている。 荒崎新地が完成した要因としては、@薩摩藩庁を中心とする組織体制のもと、出水麓と連携したこと、A事業の推進に麓の郷士が重要な役割を果たしていたこと、B大規模干拓の技術を有する八代の大鞘衆や天草の石工が招聘されたこと、の3点があげられる。つまり荒崎新地は、@外城制度という薩摩藩独自の制度によって出水麓が成立したこと、A出水麓の郷士が事業遂行において重要な役割を果たしていたこと、Bもともと仮想敵国であった肥後藩との技術的・人的交流があったこと、という条件がそろってはじめて実現に至った。 現存する3つの石造構造物は、単なる干拓施設の遺構ではなく、幕末期の薩摩藩が展開していた土木事業の一面を現代に伝える重要な土木遺産である。 |
(写真) |
河川堤 |
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潟樋門跡 |
島津樋門跡 |