トンネルはどうやって作るの?

トンネルを掘ってみよう

 みなさんは砂場や砂浜で遊んだときにトンネルを掘ってみたことがあるでしょう。きっと砂のかたさや湿りぐあいで、掘りやすかったり堀にくかったりしたはずです。本物のトンネルも、地山(じやま)(トンネルを掘る岩や土のこと)のかたさ、トンネルを掘る場所などによって堀り方が工夫されています。その代表的な方法が、山岳工法、シールド工法、開削(かいさく)工法、沈埋(ちんまい)工法の4種類です。

(1)山岳工法
 トンネルを横方向に掘りながら、鉄のわくや吹きつけコンクリートで地山を支え、最後にふつうのコンクリートでかためてトンネルをつくる方法です。山の下をくぐるトンネルのほとんどが、この方法を使っています。

直接トンネルを掘る山岳工法
(2)シールド工法
 鉄でつくったシールドと呼ばれる筒を横方向に置き、内側でトンネルを堀りながらそのあとにセグメントと呼ばれるパネルをはめこみ、トンネルをつくる方法です。平地や水の底などのやわらかい地山を掘るときに使われます。

筒の中で掘るシールド工法
(3)開削(かいさく)工法
 最初に地面を掘り返してからトンネルをつくり、もう一度土で埋めもどす方法です。都会の地下街や、地下鉄をつくるときによく使われますが、もっと深い所を掘る場合にはシールド工法が使われます。

トンネルをつくって埋める開削工法
(4)沈埋(ちんまい)工法
 最初に鉄やコンクリートでできたトンネルをつくって船で運び、海や川の底に沈めてつなぎ合わせながらトンネルをつくる方法です。日本の最初の沈埋トンネルは、昭和19年、大阪市安治川(あじがわ)の河底に完成したものです。沈埋工法は、水底トンネルをつくる方法のひとつとして使われています。

トンネルを水に沈めてからつなぐ沈埋工法

 

トンネルの堀り方も変わってきているんだ

 ふつうのトンネルは、山岳工法と呼ばれる方法で掘られます。昔の山岳工法は、掘った地山がくずれないように木材で支え、そのあと木材を外しながらレンガや石を積んで仕上げました。大正時代にはレンガや石のかわりにコンクリートで仕上げるようになり、また昭和20年代の終わりには、木材のかわりに鋼材で支えるようになりました。
 昭和50年代になると、ヨーロッパからNATM(ナトム)工法が伝えられました。これは掘ったあとにコンクリートをスプレーのように吹きつけたり、鉄の棒を地山に差しこむことによって地山の持っている強度を積極的に利用して支え、最後にふつうのコンクリートで仕上げる方法です。NATMは、地山の固さや崩れやすさによって、吹きつけるコンクリートの厚さや鉄の棒の本数を簡単に調節できるため、日本の複雑な地質に適した工事の方法として急速に広がり、現在では山岳工法といえばほとんどがNATM工法で行われています。
 なお、固い地山では火薬を使って掘りますが、やわらかい地山ではドリルのような機械を使って地山を削るようにして掘ります。


NATM工法で建設された横浜市営地下鉄三ツ沢上町駅