美しいものは価値が高いことは自明です。人も物も風景も。しかし美しいとは何か。その定義は容易ではありません。その難しさをはらみながらも「美しい国づくり政策大綱」が打ち出されたことを歓迎し,私たちのデザインすべき美しい風景とは何かを考えてみたいと思います。その対象として,今回は「浜・川・野」をとりあげます。それは構造物の姿形や空間の魅力だけでなく,ある領域における諸要素の関係性を考えるためであり,また,自然領域と人の生活領域の接点において私たち人間の赴く方向性を問うためです。そしてもちろんこれらは日本の美しいふるさとの風景を代表するものでもあったからです。
白砂青松,いきいきとした水辺,里山に美田美林。こうした風景を再生させるための取り組みがすでに各地で進んでいます。しかしその実態はどうでしょう。コンクリートをなくせばそれでよいのでしょうか。河川においては先んじて経験もつまれていますが,楽観はできません。人の暮らしと自然の摂理の折り合いをつけるという機能的・生態的必然性を時間のなかで成熟させ,そこに洗練という美意識を重ねてこそ,美しい風景は生まれるのではないでしょうか。記号的に古典的要素を挿入するのではなく,新しい関係性の発見による現代の風景デザインもありえるのではないでしょうか。こうした点を具体的なものの操作というデザインの立場から再度考えていきたいと思います。
第1部ではワーキングメンバーによる問題提起を行い,第2部において実際のデザイン行為に即した観点から美しい風景の仕組みを解明すべく実務に携わる方々のご報告を伺い,第3部のディスカッションにおいて,今後美しい風景を実現するために必要な方策を多面的に探ります。
議論は楽しく自由にすすめます。地域のまちづくりや環境デザイン,構造物の計画設計に携わる方々や行政,学生諸氏など,土木,造園をはじめ多方面からのご参加を期待します。
1. |
主 催 |
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土木学会 景観・デザイン委員会
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2. |
日 時 |
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2004年1月19日[月]13:00−17:30
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3. |
場 所 |
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東京工業大学百年記念館 フェライト記念会議室
東京工業大学大岡山キャンパス正門横(目黒区大岡山2-12-1)
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4. |
定 員 |
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130名
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5. |
参加費 |
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2,000円(別途,昨年度報告書「歴史の創造性」を当日販売いたします)
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6.プログラム
司会 工藤 誠(オリエンタルコンサルタンツ) |
13:00 | 開会挨拶
景観・デザイン委員会委員長 篠原 修(東京大学) |
13:10 |
第1部 「浜・川・野」の風景を考える
佐々木葉(早稲田大学)・岡田智秀(日本大学)
・小野良平(東京大学) |
14:00 |
第2部 美しい風景をつくる−実務でのアプローチ
「海岸のデザイン」齋藤潮(東京工業大学)
「川のデザイン」木戸規詞(豊田市役所)
「ランドスケープのデザイン」
金光弘志(オンサイト計画設計事務所) |
休憩(20分) |
16:00 |
第3部 パネルディスカッション「美しい風景とはなにか−その実
現への道」
コーディネーター:佐々木葉(前掲)
パネリスト:齋藤潮(前掲),木戸規詞(前掲)
金光弘志(前掲),秋元仁志(長大)他 |
17:20 | 閉会挨拶
景観・デザイン委員会幹事長 天野光一(日本大学) |
17:30 | 懇親会(別途 参加費4000円程度)当日会場にて受付 |
なお,プログラムは変更の場合がありますので,最新の情報は,景観・デザイン委員会のホームページhttp://www.jsce.or.jp/committee/lsd/index.htmlにてご確認ください。 |
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7. |
申込方法 |
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土木学会のホームページから申込みできます。
http://www.jsce.or.jp/event/index.html
または学会誌綴込みの「行事参加申込書」に所定の事項を明記のうえ,FAXにてお申込みください。 |
8. |
申込締切日 |
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2004年1月8日[木]
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9. |
問合先 |
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土木学会研究事業課(担当:工藤)
TEL 03-3355-3559/FAX 03-5379-0125
E-mail:kudo@jsce.or.jp |