土木学会誌11月号モニター回答

プロジェクトリポート
歴史を掘り起こし、そして歴史を築く土木


 石垣の修復工事、仙台城での先代の技術をかいま見ることができる記事であった。
 特に謎の石列が掘りだされたとの話に興味をもった。今も昔も補強工事はあるんだとやけに関心してしまった。
 ピラミッド同様、石垣も私の頭の中では七不思議の一つなのではあるが、今後も社会 資本かつ文化遺産として後世に残してほしいと思う。
(清水建設梶@小宮山由起江)


 先般,学生時代を過ごした仙台を訪ね,久しぶりに青葉城址を散策した。観光目的という点では,工事中だったのは殺風景であったが,「なんの工事か?」と興味を持ってフェンス越しに覗いてみたら,石垣の解体工事をしていた。
 歴史的な建造物にふれるたびに,土木の歴史を感じる。この仙台城の石垣も,3次元CADはおろか,円弧すべりの計算などやらずとも,一流の感覚(工学的センス)で図面をひき,構築していったのであろう。本稿では,特に,石垣背面の石列の件(くだり)が興味深かった。考古学的なアプローチで,過去の土木技術の真髄に触れることは,ともすれば,形式的な計算にこだわりすぎる現代の土木に,一石を投じることにもなろう。
 石垣修復工事の完成の折には,是非,再訪してみたいと思う。
(戸田建設 関口高志)


我が国古来からの間知石積工は、個々の間知石を積み上げたもので、真に安定した経験上の工法である。古城の石垣が何等の崩壊もなく今日に残る姿を見ると全く驚異に値すると思われた人も少なくないであろう。しかし、その構築状況を詳しく知る人は少ないはずであり、その人たちの興味をそそる十分な内容であった。
 城郭の石垣は、敵の侵入を防ぐため弓形になっているが、構築は至難の極みである。この構築方法に習い現代に引き継がれているものがコンクリートブロック積み擁壁である。個々のブロック重量と、そのブロックに働く土圧の合力が着力点が、ブロックの底面内に収まるようにブロックの積み上げ勾配を決めてきたようである。
創出していく新しい社会資本と同等に、現代に経験、技術を伝承する文化遺産を探究・継承していくことは、公共事業に携わる私たちの大事な使命と感じさせられたのは私だけでしょうか?
(アジア航測株式会社 野手幸洋)


 仙台城の石垣を「伝統的工法」で修復するという工事。日本人は仁徳天皇陵に代表される古墳をはじめ、大規模な城郭の構築、ダムの建設、現代では造成や埋め立てなど大土木工事が好きな人種であると思います。かくいう私も幼い頃にみた姫路城の美しさに心を奪われ、土木工事への憧れに似た思いを持った覚えがあります。当時の土木技術の粋を結集して築かれた城郭の中で最も素朴でありながら、土塁や石垣は最も高度な技術が秘められているようです。その再現には写真測量や3次元CADが駆使されていますが、作業においては重機を使用するものの手作業の域を出ておらず、当時の技術力の高さが偲ばれます。
(住友建設  浅井宏隆)

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