土木学会誌11月号モニター回答

アラウンド土木
ダイオキシン問題と健康リスク


 本記事によって,近年,話題に上っているダイオキシン問題について,ある程度理解することができた.我が国のダイオキシン問題の特徴は,ゴミ焼却からのダイオキシン発生量の多さ,魚介類からのダイオキシン摂取の多さ,そして農薬による土壌汚染等の環境への負荷の3点だそうである.ダイオキシン削減対策により,ゴミ焼却による問題は解決されつつある様子であるが,土壌汚染等の環境への負荷の影響による魚介類の汚染が気にかかる.これに関して,汚染対策を講ずることができるのか,あるいはできないのかについて,もう少し詳しい説明が欲しいように感じた.
(運輸省港湾技術研究所 米山治男)


 ダイオキシンや環境ホルモン問題が大きく取り上げられて久しい。しかしながら、その内容の難しさ、そしてそれ以上に必ずしも情報が正確でないことがあって、理解をすることがなかなか難しい。
 今回の記事だけで全てを理解できるわけではないが、学会誌でも、「アラウンド土木」的な記事に今後とも積極的に取り組んでいただき、幅広い教養と知識を得るためのきっかけを作っていただければと思っている。
(国土庁 松永康司)


 大気汚染、土壌汚染、水質汚濁などのいわゆる環境問題について、一つ気になることある。貴金属、揮発性有機化合物に加えて、ダイオキシンも土壌汚染の環境基準に加えるよう環境庁が検討しているという話である。新聞で読んだ程度の知識であるが、環境庁は環境基準の数値を相当高く設定しており、その基準を運用していく地方公共団体にとっては、コストやその対策の問題から非常に運用が困難との記事である。これは環境庁だけの問題ではないが、国が定める「あるべき姿」と、地方公共団体が求める「現実的により住みやすくしていく環境づくり」との間のギャップが大きいのではないだろうか。地方分権が叫ばれている中、そのギャップを埋めながら、住みよいまち、住みやすい国を関係者が協力して創っていく必要があると思う。
(都市基盤整備公団 天野 昇)


 マスコミで屡取り上げられている問題ですが、アラウンドといっても若干奇異な記事という印象です。
(新日本製鐵(株)木村秀雄)


 最近、特に健康との関係で関心が高まっているダイオキシン問題について詳細に記述されており参考になった。
(松江高専 裏戸 勉)


 ダイオキシン問題における歴史を振り返ると、最初の事例は約50年前にさかのぼることが分かり、最近のニュースや新聞でようやくダイオキシンという言葉を知った私は正直驚いた。国民の多くは、マスコミの報道なしにはダイオキシン問題など知る由もない。それゆえに、行政は早期から事実を公表し、対応を行うことが必要だったのではないか。
 ベルギーでの鶏肉の汚染は、それ以前に動物性飼料の危険性が指摘されていたにもかかわらず、豚や鳥には動物性飼料を与えつづけた結果であると聞いている。行政の適切な対応があれば防ぎ得た事件であろう。
 各国ともそれぞれ経済問題や貿易問題などの事情があり、目先の問題に特化した対応が取りづらいこともあろうが、行政は取り組むべき問題には積極的に取り組んでほしい。また、国民自身も、ダイオキシン問題について認識を深めるべきであろう。
(ニュージェック 川崎順二)


 アラウンド土木のダイオキシン問題と健康リスクについてはダイオキシン関係のいままで出されている出版物の内容と大差ないか(摂南大学の宮田先生などの本の内容と類似しているように思えます)と思ってしまいました。
(清水建設梶@小宮山由起江)


 最近,ニュース・雑誌記事等でもダイオキシンを取り上げるものは少なくなってきたと感じる。行政側の発表では野菜等には特に問題がなく,母乳からの赤ちゃんへの影響も実際のところ把握しきれていないため収まりつつあるのかとも思うが,首都圏での重工業や交通量等からの排気・排出物を考えれば,ダイオキシン以外にもまだ何かあるのではと疑ってもおかしくはないと思う。
 しかし,現在の我が国の形成に経済成長は軸となっていたものであり,その影響が人体を脅かすものであるということも大きな代償として認めなくてはならない。昔から問題となっていたことを繰り返すことは人間の悪いところかもしれないが,これらの問題はトーンダウンせずに将来のためにも考えていく必要があると感じた。
(片平エンジニアリング 齋藤彰宏)


 この種の化学物質の問題は、建設工事の環境マネージメントや都市開発の問題として土木技術者に今後特に大きな関心事であると思う。化学物質の問題が、法律規制上重要な問題だとは認識していても、環境、人類にどのような影響があるかは正直言ってあまり実感がない。しかし、環境への影響という観点がCivil Engineerとして必要不可欠であると思う。そういう意味でアラウンド土木ではなく、土木学会誌として重要なテーマとして、特集として組むことを要望する。
(大阪ガス株式会社 西崎丈能)


 アラウンド土木という内容のわりには、土木技術との関連に関する記述が全くなかった。われわれも建設廃材等、ダイオキシン問題とは大きな関わり合いがあるわけで敵を知る必要があるのだが、健康リスクまでの話題展開は必要なのであろうかと多少疑問を持った。
(住友建設 浅井宏隆)


 日本のダイオキシン総排出量のうち、焼却炉からの占める割合が諸外国に比べて極端に大きい事、従って、焼却炉対策を行えばダイオキシン対策は大きく前進する事、また、日本におけるダイオキシン摂取もとは魚介類からの摂取が多い事や、ダイオキシンが母乳を通じて乳児へ摂取され、危険性として大人に比べて非常に高い事など、普段、あまり触れる機会のない具体例として参考となった。いずれにしても、ダイオキシンを極力排出しない社会体制を確立する事が重要であるので、欧州での取り組みを参考事例として積極的に対策をとる必要があると思う。
(新日本製鐵 石田宗弘)

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