土木学会誌12月号モニター回答

特集 サスティナブル都市への道

 まず、サスティナブル都市、という名称がわかりにくかったです。記事を読むと、「持続可能な都市」を目指し、リサイクルや環境負担の少ない交通システムなど、様々なアプローチで将来の都市像を探る試みであることがわかります。これは、試みとしては非常に有意義だと思いますが、タイトルがあまりに馴染みのない言葉なので、住民をのための都市づくりという観点で、もっと簡単でわかりやすい言葉を考えたほうがいいと考えます。
 さらに、記事にも書かれていますが、「サスティナブル都市」の定義もあいまいで、個々の記事が充実していた割には、話題が逸散しすぎて特集としてまとまりがないな、という印象を受けました。
 これらを考えて、もっと多くの人が議論に参加できる土壌をつくっていただきたいと思います。
(日本鉄道建設公団 岡田良平)

 サスティナブル都市という言葉は、今回はじめて知った。この特集を通じて、サスティナブル都市とは如何なるものかを概ね理解できたつもりである。行政の取り組みの中で、現在国内でいくつかの地方公共団体でエコタウン事業の推進が進められているとのことで、私の住んでいる自治体も取り上げられていたが、これもまた初耳であった。この特集は、非常に盛り沢山の内容であったが、掲載文の数が多すぎる感じを受けた。冒頭の特集の意図のところに、研究途上の状態で執筆をお願いしたものもあったとのコメントがあったが、無理に数を増やさなくても良いのでは、という気もした。
(中部電力梶@石黒幸文)

 「サスティナブル都市」への危機感として、私が今一番関心を抱くことは、地球温暖化の現象である。京都環境サミット(COP3)での議論をはじめとして、新聞、テレビで報道されているCO2の排出量と温暖化への影響、等は今一つ実感が湧かないのが本音であるが、日常生活において夏が終わってもいつまでも涼しくならず、冬の声が聞こえても異常に暑くなる日がある度に、これで将来地球は大丈夫なのか、という気になる。
 本特集では、温暖化現象だけに留まらずゴミ問題・過度の交通負荷等様々な局面におけるサスティナブル都市のあり方について論じられていたが、そのキーワードは「循環型都市」にあるようだ。問題は、どういう仕組みでそれを構築していくかである。今回の特集では、循環型によるサスティナブル都市へのメカニズムのようなことが主に述べられていた感がある。これを踏まえて、どのように実現していくか(グリーンベルトの設置等)、土木分野としてのアプローチがいかなるものか、引続き論じて頂けたら、と思う。
(JR東日本建設工事部 川瀬千佳)

 大変意欲的な特集だと思います。全体感が捕らえられず、頭の整理ができていませんが、続編に期待します。
(新日本製鐵(株)木村秀雄)

 自らの浅学を晒すようであるが、「サスティナブル」という言葉の意味がまず理解できず、記事を見る前にいきなりスペリングを考えつつ辞書を引くことになった。果たしてこの「サスティナブル都市」は学会会員諸氏の間では一般的な言葉なのであろうか。
 もちろん、記事を丹念に追っていけば辞書を引かなくてもその意味するところは理解できなくはないが、一般的でない言葉であるならその注釈あるいはカッコ書きによる和文併記をお願いしたい。表題が直感的に意味不明であると感じてしまうと、あとに続く本文が非常に難解に思えてしまうのである。
(東日本旅客鉄道梶@太田正彦)

 さまざまな分野からの意見で参考になった。サステイナブル都市の形について、乱暴を承知で一言でいうと「コンパクト」。それを実現する鍵は、中小都市の中心市街地が握っている。そして、その鍵は、加藤三郎氏が記事の中で述べているように、高齢化やバリアフリーなど他の都市問題をも解くものである。
 中小都市の中心市街地、とくに路線型商業地を生活の場として再生したいと思っている。それらは、郊外化によって衰退を余儀なくされている一方、中層で接地階に商業施設をともないながら、街路に沿ってたつ典型的な都市型建築という優れたストックである。今は空室になりがちな上層階を住宅に改築すれば、定住人口をとりもどせるし、接地階を中心とした商業活動も復活すると思う。
(フリー(建築・都市計画) 前田英寿 )

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