土木学会誌1月号モニター回答
道の千年
本稿では、「道」というものを長い歴史のスパンから見つめ直すときの良いきっかけと、その道しるべを示して頂いていると感じた。著者の指摘のとおり、「道」の意味合いは大きく「自然にできあがった道」と「意識的に作り出した道」、さらに「コミュニケーションの場ような多様化した道」に分けられ、現在はそれが混在し、街や風景を形づくっているといえる。一般的に、「自然にできあがった道」は自然でおおらかであり、戦後の合理性のみを追求した「意識的に作り出した道」は、何かもの悲しい感じを受ける。
著者のいう「味気のないものだけにはなって欲しくない」との言葉通り、「自然にできあがった道」の豊かな感性と「意識的に作り出した道」の合理的で斬新な可能性を融合し、それぞれの目的に叶った「多様な道」を考えることで、これからの道の千年を見つめていくと良いのではないだろうか。
((株)竹中工務店 溝上裕二)
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