土木学会誌1月号モニター回答
鼎談 未知,みち,道−歴史から未来へ
本特集は、未来の道を探るべく歴史からの提言・展望を3者の鼎談内容をまとめたものである。3者の発言内容や意図は余すことなく伝わり、そのことに何ら不満はない。ただ、構成上少しなりとも鼎談者の個性を出してもよかったのではないかと思われた。鼎談内容をより深く伝えるよう、読み手を引き込むべく、文章中の節のタイトル等工夫する点は多いように思えた。
(国立呉工業高等専門学校 市坪 誠)
この記事を読んで、土木構造物をつくるに当っての責任の重大さを思い知らされた。過去の歴史調査から将来の産業の発展予想まで、さらに利用する人々の生活様式の変化まで、長期的且つ幅広い要素を視野に入れて計画しなければならないとは何と途方も無いことか。そう考えると過去の資料として是非とも土木史の整備が急務のように思えてくる。もう既に整備されている建築史は、技術的な歴史と言うよりもむしろ意匠の歴史であるように思える。こうしたらより美しいからと言う発想で新しい構造が創り出されたと読み取れる。土木史も技術的な歴史にとどまらず、建築士のように文化的な資料であって欲しい。その方が将来の計画に及ぼす資料的価値は大きいのではないか。
この記事を通して、一土木技術者として専門技術の習得のみでなく、歴史や文化論考察など、自分の枠を広げる努力をしなくてはならないと感じた。さらに他分野の様々な世代の有識者と話し合うことの大切さを教えられた。
((株)大林組 後藤嘉夫)
「道」というテーマでの鼎談ということでしたが、今ひとつ何のための鼎談なのか、目的がよくわかりません。もう少しテーマを絞ったほうが読者としては興味がもてるものとなったのではないでしょうか。「21世紀を展望する」とか「次世紀への提案」といった見出しについて、重点的に話があれば良かったように思います。 (建設省土木研究所 林 昌弘)
二極化する道.「ひたすら道をつくるのに忙しかったんですよ.」という武部氏の御発言に象徴されるように,現代の道は,量と速さを追い求めて来た.それが社会的要請であるとともに,自己目的にもなっていたのではないかとさえ思う.それに対するもう一つの道,歩くこと(場合によってはドライブであっても良いが)自体を楽しむ道の必要性の指摘には共感できた.最低限,子どもたちの通学路は,道草できるそのような道であって欲しい.一方で,若い石垣氏の「概念よりももっと実際に使えることを教えてほしい」という発言も理解できるけれど,大学教育の中でもっと多元的な価値や感性を学んでもらうことは無理だろうか.
(大阪府立大学農学部 夏原由博)
道に何を求めるべきか、について文化史的にレビューしてみることの意義をこの鼎談から感じ取ることができました。技術(だけ)が先走っても、決して良いものは残せない、道についても今やそれにより移動するものの【量】から【質】を見直す時代に入っている。
(伊戸川環境総合企画 氏伊戸川善郎)
←戻る
Copyright 1996-2000 Journal of the Society of Civil Engineers