土木学会誌1月号モニター回答
阪神大震災と金融ビックバン
阪神大震災以降の保険に関する様々な事情を知ることができた。地震保険をかけるようになった人が増たこと、地震保険の上限があがり、よりきめの細かい地震保険がかけられるようなったこと、地震による構造物の破壊以外のリスクの事を考慮に入れるための地震保険も登場しつつあること などを知ったを知った。
しかしながら、地震に対する備えをどの程度する必要があり、なぜ地震保険が必要なのかがまったくわからなかった。性能表示、自己責任の原則に基づいて多くの人がどれほど理解をして、どれほど適切な地震保険に入っているのだろうか。おそらく理解できていないであろう。私の理解で、多くの人の地震保険の入り方を想像してみるに、周りの人がこの程度だから、自分も同じ程度のものに入っていたら、もし地震が起きても当面は困らないだろうという安易な判断で地震保険に加入しているではなかろうか。みんな同じ物に入っていることが、性能表示、自己責任の原則をよく理解することができない多くの人たちが求める地震保険となっていないだろうか。
地震保険が適切にかけられていないために、地震があったために得をする人がいるのではないかと思うことがある。地震が事前に確実に発生することがわかっているのならば、一儲けすることは充分に可能だからだ。
地震保険をかける前におそらく充分な説明を行なうであろうが、その説明は、地震保険に入ることでもしもの地震が発生したときに、いかににきめ細かいサポートを行なうことができるかに重点がおかれるであろう。しかしながら、多くの人が最も必要とする情報は、地震が発生し、損害が発生したとして、どこまで直してくれるだろうかということではなかろうか。
土木技術者は、地震を想定し、その損害が発生したときにどの程度の補修が必要であり、どの程度の費用が不可欠であるかを構造物の所有者に説明しておく必要があるように感じた。そうでなければ、構造物の所有者と、保険会社とで、トラブルが発生し、トラブルの対処法に長けている保険会社に丸め込まれてしまう。
地震が発生したときは、とんでもない費用が一度に必要となるために、常に備えておくことは不可能である。保険を上手に運用して、地震が発生したときの金銭面での問題を回避することができるようになるには、どのようにすればよいのか考える必要があると感じた。地震保険は、1つの回避方法であるが、それ以外の回避方法は存在しないのであろうかと思った。
(鳥取大学 里田晴穂)
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