土木学会誌1月号モニター回答

「非破壊検査」ではかる

 山陽新幹線トンネルライニング剥落事故から、昨今、コンクリートの耐久性が問われ始めている。今後なお一層、全国でコンクリートの耐久性を問われることが予想される。一方、今回の剥落事故で利用した打音法をはじめ、現状の非破壊検査方法で広範囲の検査を行おうとすると、膨大な手間と時間を必要とする。要するに、現状の非破壊検査方法は部分検査であり、広範囲の効率的な検査には適さないと思われる。今後は広範囲のコンクリートに対する効率的な検査システムの確立に期待したい。
(大成建設(株) 松原洋明)

 一般に、コンクリ−ト構造物は半永久的とされている。しかしながら、それは、フレッシュコンクリ−トの時点から、所定の品質を持って生まれ、施工も確実に行われ、しかもその後の環境も、コンクリ−トにとって理想的であった場合であると考えられる。現実には、生まれも、育ちも、環境も整ったお坊ちゃま的なコンクリ−ト構造物は稀である。人間と同様に、生まれる前から、順調に育っているか、生まれてからも、新生児検診、小児検診、人間ドックのような検査が必要であり、場合によっては、注射や手術が必要になる。本記事では、その前提となる検査の手法について、簡単にまとめてある。CTスキャンを使う場面などまさに人間そっくりではないかと思った。昨今、コンクリ−ト構造物の安全性がクロ−ズアップされている中で非常にタイムリ−であったと思う。
(日本鉄道建設公団 松田康治)

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