土木学会誌2月号モニター回答
国際協力と土木の役割
日本のODAのあり方として「自助努力」の考え方に基づいている事を初めて知りました。日本は欧米に比べて広報・宣伝が下手であると書かれていましたが日本のODAのあり方が、批判されることの一因であるのでしょうか。
(住友建設(株) 水野克彦)
個人的に、日本の国際協力は意味の無いものが多いと思い込んでいる部分が大きかった。
また、日本は円借款でお金を貸すばかりで、無償で投資することがほとんど無い。日本は、"けち"な国であると思い込んでいた。この思い込みを、日本以外の諸外国が気前よく立ち遅れている相手の国に対して多くのお金を無償で提供していたり、諸外国が立ち遅れている相手の国があえいでいる原因である負債を帳消しにしようという運動を全世界に広めている状況と、日本の対応を比較して、間違っているとは思わなかった。しかしながら、「自助努力」というキーワードが私の判断に警告を与えた。自助努力という視点から考えると、戦略的な援助政策を明確に前面に出している諸外国と、技術協力を原則にして対応した日本と、どちらが優れていたのか即座に判断することが困難であると感じた。
やはり、継続可能なインフラを整備することが、現在土木技術者に課せられている使命であり、そのために自助努力が非常に重要であると感じている。一時的なものである外国の援助を常にあてにする状態、技術を育てるチャンスが無い状態、および、トップダウンで判断を行なっている状態では、継続可能なインフラ整備など到底不可能であるとおもった。
諸外国が自助努力を意識し始めたのは、ほんの最近のことらしい。日本の国際協力に関して、国際競争力など、ある程度諸外国と比較して非常に劣っている部分しかこれまで知らなかったが、隠れていた日本らしい良さを発見したようで安心した。土木を通じてできる日本の役割や、どの国も同じように抱えている同じような問題をどのように日本らしく解決することができるのか、そしてそれらに関してどのような動きがあるのかについて、機会があったらより詳しく調べてみたいと感じた。
(鳥取大学 里田晴穂)
最近のODAを巡る議論では、国内の景気が悪いこともあり批判される記事が見られる。もちろん建設的な批判には応えていく必要があろうが、あまりにもODAに対しマイナスのイメージを与えているものが多いのではないかと感じていた。また、今後のODAの進むべき方向の中の一つに環境や人材育成があげられるが、それは援助を受ける側のニーズが多様化してきたからであって、これからのインフラ整備が不要であるという意味ではないと個人的には考えている。本記事のように、第一線で活躍している生の声を聞くことは意外な程に少ない。そのため今回の記事には賛同するところが多く、特に技術協力の例として、インドネシアにおける日本技術者精神の移転の話は感銘を受けた。
(ただ、話の中に専門用語が多く、初めて目にする人、特に学生には若干わかりにくかったのではないでしょうか。たとえば、円借款、タイド、アンタイド、OECF、BHN、債務等々。また、有償協力と無償協力の違いも分からない人の方が多いのでは。そのため、脚注の様なものでもあれば良いのではないでしょうか。)
(外務省 酒井浩二)
←戻る
Copyright 1996-2000 Journal of the Society of Civil Engineers