土木学会誌4月号モニター回答

対策と今後の展望

 土木技術者ならずとも本当にドキッとするタイトルである。私自身、土木分野に携わっているというだけで、最近「新幹線は大丈夫ですか」と問われることが多く、読者多士も大なり小なり経験していることと思う。一般の方々にどのようにPRしていくべきか、一企業の責任に限らず、学会としての対応が問われていると思う。技術者の地位向上をあげる意味からも学会全体で議論すべき時期ではないか。
(呉高専 市坪 誠)

 コンクリートを「半永久的」な素材から、美観や安全性の限界状態を考慮した耐久年数をもつ材料と考えをシフトしていくことは、それぞれの施設に適切なコンクリートを活用する、つまり地球環境の保全、最適な科学技術の活用、あるいは経済活動という多角的な視点からも納得のいく話だと思います。また、設計の初期段階から耐久年数やメンテナンス方法を考慮したLCM(ライフサイクルマネジメント)の思想をプログラムしておくことは、今後の設計者には必要不可欠な能力であると考えられます。著者のご指摘のように、真にコンクリートの維持管理を理解した設計者・技術者がまだまだ少ないと思われます。これからの日本の社会資本はストックの時代です。優秀な維持管理者の育成と地位向上、さらには維持管理のわかる設計・施工技術者の育成に力を入れていくことに賛成します。
((株)竹中工務店 溝上裕二)

 コンクリート構造物、それも特に土木に限れば、恒久性が何より尊ばれるという考えが、ほとんどの寄稿者に共通しているように思います。
 しかし、仮に材料としてのコンクリートに半永久性を求め得たとしても、建築物はいうまでもなく、土木構造物についても、それが求めるられている場合は非常に少ないのではないでしょうか。橋であれ道路であれトンネルであれ、もし半永久に使うことが前提で設計されるなら、イニシアルコストはほとんど意味を持たないはずだと思います。
 つまり構造として永遠の性能を保ち得たとしても、次の時代には、デザインとして時代性を失ったり、生活様式とのミスマッチがでたり、あるいは次世代が希望する社会の骨格作りを阻害するだけのものかもしれません。
 環境の目で見れば、やはり一世代:30年くらいの耐久性があれば充分な土木構造物は多いであろうし、もっと弱い材料であれ、例えば式年遷宮のごとき循環の輪に入ることを目指すなら、100年ももってはいけないコンクリートの仕方書もあるだろうし、再生骨材等の用途として、弱いコンクリートの生きる道を示してやらなければ、循環型社会からは最も遠い分野に土木が位置することになりかねないと思います。
(伊戸川環境総合企画 伊戸川善郎)

 「維持管理と技術者の育成・地位向上」に深い共感を覚えた。日本コンクリート協会で計画されているコンクリート診断士制度が一日も早く実現することを期待している。
 また、同上制度がコンクリートを越えて各種の土木構造物毎に拡大されてゆき、技術士の一部門として設定される必要性をも感じている。
(西日本技術開発(株) 上村洋司)

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