土木学会誌9月号モニター回答
「社会資本と土木技術に関する2000年仙台宣言(案)」解説
「各項について」の解説文は9項目にわたって意義、理念、方策が述べられているが、社会資本という切り口での宣言であるため、建設白書を読んでいるような印象を受けた。しかし、方策については建設白書と異なる内容も盛り込まれていたため興味深かった。 特に第6項や第7項の予算運営に関する批判・提案は、土木学会ならではの意見であり、それなりの反響が期待できると思う。第5項の「社会との対話、説明責任の遂行」は従来にも増して重要な項目と思われるが、客観的な記述にとどまっており、具体的な方策まで突き詰めて欲しかった。
(五洋建設(株)水流正人)
宣言(案)そのものに口をはさむのは、はばかられるのですが、非会員モニターとして少し気になる言い回しがあります。寄稿者が次の記事の鼎談で「宣言とは自分たちに向かって言う」という理解をお持ちのようですので、宣言案末尾の意見募集も基本的には会員に対する呼びかけだと理解して、この場で失礼させていただきます。宣言案の案出までには、相当な議論や検討があったことと思いますし、複数であった文を折衷的に一つにまとめるなどのご苦労もあったと思います。その経過を知らずに成案だけを見ての印象を言うのははなはだ失礼なのかもしれないのですが、環境分野しか良く知らない私にとっては余り記憶にない言い回しが幾つか目に付きました。
例えば、前文で「自然と社会との調和を図る」 とあるのを受けて、理念の2では「自然・地球環境の保全と活用の調和を図る」となっていますが、自然環境の活用という概念はあるとしても、地球環境の活用となると違和感があります。細かなところでも方策−5に「自ら切磋琢磨」と自らが入るのは不自然なように感じます。 中黒点が異常に多いので、ご苦労のあとは偲ばれるのですが、仙台での宣言ならもっと自然な言い回しが似合うのではないでしょうか。
(伊戸川環境総合企画 伊戸川善郎)
宣言なるものを文章として見るのはこれが初めてなので,この宣言に不思議な印象を受けた.宣言とは主張・方針を公に発表するものであり,基本姿勢や倫理観を明らかにすればよいわけだが,社会資本整備に対する厳しい環境を考えると,この宣言が国民にどれほどインパクトを与えられのるか疑問を感じる.社会資本整備へのコンセンサスを得るための戦略やビジョンを展開する必要はなかったのだろうか?
(東京工業大学 大学院 理工学研究科 土木工学専攻 博士後期課程 2年 渡邊学歩)
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