土木学会誌9月号モニター回答
総説 21世紀の社会像・土木像
「一般の日本人、特にマスコミ関係者は、今直ちに必要なことに対して極めて関心が深く、将来に必要なことに対しては深く考えない傾向がある」と記されている。確かに目先のことだけに焦点を当てた論調は少なくない。
マスコミは取材する視点によって時には世論をも動かす力を持っている。例えば、海外の警察と学生との対立のような特集番組において、警察側から構えたカメラには学生たちが火炎瓶を次々と投げ込む様子が映し出され、何と大人気ないことをしているのか、という印象を視聴者に与えてしまう。逆の視点であれば一体この国は何をやっているのか、ということになる。
いささか極端な例になってしまったが、公共事業や建設業界に関しても、これまでは外からの視点による情報がほとんどではないだろうか。少なくとも公共事業は疲弊したゼネコンのために実施されているといった指摘は事実に基づいたものではない。しかしながら、最近の公共事業批判などの世論に対しては、業界内からの発信だけでは信頼回復は難しく、やはり公平な立場としてのマスコミの力を借りなければ不可能だと思う。マスコミをうまく使って信頼を勝ち取る方法はないだろうか。
(五洋建設(株)水流正人)
社会基盤を整備するにあたり国際性と環境にも配慮し、将来の展望と社会の変化、地域性をも考慮し、多様な社会に対応できるような社会基盤整備を考え、それに応じた資金投入と計画が大切であると思いました。
(愛媛大学工学部 二神 治)
将来数10年間使われることになる社会基盤の整備の計画を考える場合,未来社会のニーズを考えることが重要である.そのような点でこの総説はたいへん面白かった.ただ,一点だけあえて述べるなら,地球環境問題の評価が小さすぎるのではないだろうか?地球環境問題は21世紀にはさらに深刻になり,人類の生存の鍵をにぎると考えられるが,その場合価値観の大幅な転換をもたらす可能性がある.そのような中で土木技術がどう生き延びていくか考えていく必要はないだろうか?
(秋田大学 林信太郎)
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