土木学会誌10月号モニター回答
シールド工法

 日本のオリジナリティ技術を考えた場合、シリーズ@の座談会で中村先生や三木先生の後発言にもあるように、「発明」は他国であってもその「実現化」「応用」「改良」といった面においては、まさしくシールド工法は日本で成長したオリジナル工法と言えるのでしょうね。この記事の中にも幾つか紹介されているように、要素技術としては数多くの開発実績があり、堂々と日本のオリジナル技術として世界に誇れるのではないでしょうか。一度、海外で採用された日本のオリジナリティあふれる工法実績を、本学会誌にて紹介してみてはいかがでしょう。
((株)熊谷組 松尾新治)

 独創性にやや欠けると言われる事もある日本人である。私は現在研究所に勤務していることもあり、まだ三回目であるがこのシリーズを楽しみにしている。しかし、今回のシールド工法では、既往の技術を日本の状況に即したものとして展開させた技術であるためであったためであろうか、迫力不足の感があった。
(住友建設(株) 松元香保里)

 シールド工法の誕生から、今日に至る技術の変遷、特に日本のオリジナルな技術が非常にわかりやすく解説されており、非常に興味深い内容でした。最近、これらシールド技術の発展に30年近く上貢献されておられる先輩方と接する機会に恵まれ、色々と苦労されてきた話を伺い深い感銘を受けてります。
 本誌でもそういったお話を紹介することができればと思います。経験の少ない技術者にとっても、これからのシールド技術の課題を実感することができ、さらなる発展に繋がるアイデアが生まれてくるものと思います。
(ジオスター株式会社 田中 秀樹)

 わが国のシールド技術が世界においても高い評価を得ているのは知っていましたが、切羽の安定化の方法が定着するまでに約100年もの年月がかかっていたとは驚きました。
 その対策として密閉型シールドの更なる開発が泥水式シールド、土圧式シールド、そして気泡シールドへの技術の開発へつながり、材料の吟味改良が何度もなされ、そして非常に高い精度のセグメントが製作されたという事は素晴らしいにつきません。
 コンピュータ管理での東京湾アクアラインの成功も停滞期があったからこその集大成に他ありません。
 これを読んでから、まだ一度も通ったことのないアクアラインを是非、近いうちに体験してみたいと思います。
 今後、重複円型シールドやMMST工法の外殻先行シールド、球体シールドなど多くの成功された誇れる技術をもっと世界へ広めていってほしいと思います。
(熊谷組 土木部 道村 未佳)

 シールド工法の発展の歴史が簡潔にまとめられており、大変参考になった。
 東京湾アクアライン建設時に現場見学へ行き、その規模の大きさと共にセグメントの組立までもが機械化されているのを見て感動したことを思い出した。
 アクアラインの建設は、本工法の技術開発が本格的に進められた1960年代から数えて僅か40年足らずである。わが国におけるシールド工法の技術の進歩の速さを改めて実感した。
(住友建設(株) 高橋直樹)

 私が入社以後に体験した短いシールドの歴史では、バブル時代に始まって労働力不足が叫ばれ、全自動化などの贅沢な方法が数多く開発された。(そのうちどれくらいの技術が現在も使用されているだろうか。)その後急速にコストダウンやメンテナンスを中心とした技術開発に移っている。長いシールドの歴史の中で、筆者は記していないが時代に翻弄される日本のシールド開発の一面を垣間見た。これもニッポン土木のオリジナリティの一つであろう。
(大林組 佐藤晶子)

 このシリーズは興味を持って毎回楽しみに読んでいます。今回のトピックはシールド工法ということで、現在の日本では当り前のように使用され、開発も進められているシールドの起源や開発過程を知ることができた。円形重複型のシールドやMMSTなど日本で開発され、現在のところ日本でしか見ることのできないシールドなどについて、まさに日本のオリジナリティとしてまた機会があればこのシリーズでとりあげていただきたい。
(大成建設(株) 古池章紀)

 シ−ルド工法に関して,工法原理や発展の経緯を知ることができた.近年では都市土木におけるトンネル工法として多くの実績があるが,その原型が1世紀以上前に考案されたことには驚きである.
 切羽の安定,シ−ル材の性能などに関して段階的な発展を遂げてきたとのことであるが,影には計り知れない現場技術者の苦労があったに違いない.その結果,今日のような形で工法が確立されたことは,土木技術者にとって大きな誇りであると感じる.
 全般的な記述内容が,工法の原理,機械や部品の説明に偏っていた印象を受けた.具体的な工事事例を取り上げるなどして,我が国における発展の詳細や,「オリジナリティ」が生まれた経緯などが加わればよかったのではないかと思う.また,近年さまざまな形の応用技術が開発,利用されているとのことであるが,工法が複雑になるに応じて,施工上の問題点,解決すべき課題も多くなるはずである.その辺りの話にも興味が持たれる.
(大成建設技術研究所 石井裕泰)

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