土木学会誌12月号モニター回答
コンセプト3 ハーモニーゼーション

 最近多くの都市で運賃が100円の市街地循環バスが導入されている。ただし、設定されている運行間隔やルートが、必ずしも利用しやすいとは言い難く、導入の目的が、利用者側から見ると必ずしも明確ではない場合も多い。したがって利用者はどのような場面でバスを利用したら便利なのかが分かりにくい。市街地内ネットワークの渋滞緩和を目的に、循環バスへの乗り換えを促進するのであれば、自動車の流入経路と交通量を考慮した駐車場の整備も同時に行わなければならないだろうし、市街地内の移動を容易にすることが目的であれば、運行間隔やルートなども考慮に入れなければならないだろう。さらに循環バスの導入が市街地活性化へどのように結びついていくのかということも十分考慮して事業化されなければならない。本特集は、交通モード間、交通と都市との連携という視点からまとめられており、都市やまちづくりにおける交通の役割を考える上で、非常に意義深かったと思われるし、このような視点に立った研究が今後も盛んに行われるべきであろう。
(長野工業高等専門学校 柳沢吉保)

←戻る