土木学会誌6月号モニター回答
■時局を論ずる 技術者倫理と企業倫理
この記事を読んで,「釣りバカ日誌」という映画に,こんな場面が合ったのを思いだした.主人公が勤める建設会社が,ある開発事業進めていた.環境保護を訴え地元住民が反対集会を催し,主人公がそれ参加していることを知った会社の上司が「けしからん」と言う場面である.これは映画の一場面であるが・・・.著者が主張している「技術者と組織の高い整合性」は民と官に共通することと私は解釈している.昨今,公共事業に対して厳しい批判があるけれど,時代にそぐわない計画の見直しも必要であるし,コンクリート崩落事故などの過去の失敗を反省し今後に役立てることが重要であると思う.「失敗は成功の母」であるから,個人が誠実に技術者を全うすることが,倫理確立のための第一歩と思います.
(大成建設 伊藤一教)
近年の科学技術に関する不祥事の理由は技術者倫理の低下だけではない,ということが述べられていました.指摘されればその通りで,警察や外務省の不祥事は技術者倫理ではなく,企業倫理と考えれば納得いくことにあらためて考えさせられました.
私は大学関係ですが,大学はきわめて大ざっぱに分類すると教員と事務員となると思います.倫理観は少々大げさですが,両者の価値観が異なることによる問題は感じます.5ページに企業倫理プログラム施策が述べられていますが,特に,1)企業としての価値観を明確にする,ことや5)倫理問題に直面した従業員からの相談を処理するシステムを構築する,ことは重要だと思いました.
(武蔵工業大学 白旗弘実)
■特集 NPOと土木の接点
私は週に1,2回は自転車で通勤するが,自転車が走るスペースのない道では,車とすれちがいながら走ることになる.そんなとき,土木技術者の一人としては「インフラ整備もまだまだ」と思う反面,一人の納税者としては「何とかして欲しい」と思う.今回のNPOに関する特集を読んで,市民,行政,専門家の相互関係が重要であると改めて感じた.特に公共の事業に関する市民参加は必要であると思うし,自分の住む街づくりに関しては市民として意見を発信したい.NPOがより一般に浸透し,景気の下支え的な土木事業ではなく,市民の市民による市民のための土木事業になっていくならば,土木の将来像も変わってくるのではないかと思った.
(大成建設 伊藤一教)
現在の日本においてはNPOの役割が明確ではなく,組織としての力も弱いので効率的に社会に貢献しているとは言い難い状況にあると思う.確かに民の声をまとめる役としてのNPOの存在は重要だと思うが,必要以上にNPOに依存するのも疑問が残るのではないか,とこの記事を読んで思った.土木事業は元来公共性の高いものであって,民に歓迎されるべき存在であるはずであるが,現状は必ずしもそうではない.このような状況を解決するために,NPOに対して,公と民との間の潤滑油のような役割を期待するのは何か間違っているような気がするのは自分だけであろうか,
(東京大学 竹上浩史)
公共事業に対する批判が強い。マスコミ等による一方的な報道や性急な反対運動には気になる面も多いが、これからの公共事業のあり方を示す「国民の声」として素直に耳を傾ける必要があろう。これからの公共事業の進め方としては、市民による公共事業への参加が不可欠となり、われわれ土木技術者も専門家としてその中に参加することが求められる。その時には技術者一人一人に「身内の理論」から「公の理論」への意識改革が踏み絵のように突きつけられるだろう。これは結構厳しいハードルですぞ。
((株)芙蓉調査設計事務所 須賀幸一)
NPOは住民の意思、活動を具現化し実際の社会活動に結び付けようとする時、非常に重要な位置付けを担っていると思われる。今回の特集は、近年急速に注目されているNPOについて、過程、構造、提案、複数の実践例を交えたもので、なかなか読み応えがあった。
読みながら、テーマである「土木との接点」という点について考えると、「土木」のイメージがこれまでいかに公共工事に集約される大規模な工事とそれを実現する技術論に限定されていたかを感じさせられた。これは、NPOが単に住民合意や理解を得るためのツールではなく、もっと総合的なものであり、そうあってこそNPOの機能が発揮されるのだと理解することでもあった。しかし、為国氏の論文にあるNPOの果たし得る役割を改めて考えると、「行政監視機能」についてはかなりの機能を果たしつつあるが、残りの3つに対しては、その困難さと地道な努力の必要性を感じたことも事実であった。特に普及・啓発機能が未熟な場合の代弁機能は一部の団体の代弁にとどまるケースもありひとつ間違うと形を変えた要望行政につながるおそれもあると思われる。今後は官民相互の成長と両者の関係のバランスを常に考えていくかが重要であると感じたものであった。
(金沢市都市政策部交通政策課 木谷弘司)
これまで官主導で決定されてきた都市計画や公共事業に対して、住民が積極的に参画していくことは、今後の新しい土木事業のあり方になっていくとは思いますが、記事にもあるように、その方法を円滑に進める上では、財源や人材の確保、官からの正確な情報公開など多くの問題を解決していかなければならない。住民の意見を取り入れることは大切なことだと思いますが、全体計画のコンセプトとの整合性をどのように図っていくのか、官民の役割分担を明確にしていくことが重要になってくるのであろう。
(熊谷組 蓮池康志)
この特集を通して、世の中人それぞれ官、民、NPO、専門家と立場はいろいろ違いがあるが、目指すものは一つであるのではあり、各々が責任を持ってことを進めていかなければならないと思った。市民の意向も大切ではあるが、やはり技術なり専門知識をもったものはバランスを保ちながら、事業を進めていく使命があると改めて感じた。
(栗崎 夏代子)
まちづくりにあたって、いわゆる「住民参加」を抜きに事業を進めることはできなくなっている現状で、どのようにすれば事業を円滑に進めていけるかは重要な問題であると思います。特に、事業の費用対効果が求められるようになっている現状では、実施の遅れはコスト増となってしまいます。どのように住民との対話をどのように進めていくべきか、今回の特集記事は参考になりました。
(国際協力事業団 梅永 哲)
土木はCivilEngineering。その名のとおり、市民からの視点が公共事業には必須と思う。今後の「公」に対する考え方が紹介されているのには目を見張った。「公」の一部に携わる者として、大変有意義な記事であった。これからの事業の参考とさせて頂きたい。
(日本道路公団 吉村 保)
■1章 NPOとは何か
NPOの本質と日本での発展の経緯についてわかりやすく解説されていますが、諸外国と日本のNPO法の概説についてもカバーしてもらえればよかったかと思います。法制定が社会認知の第一歩であることの重要性からみると些細なことかもしれませんが、あくまでも官の補助的な役割という点が重要視されているような面は無いのでしょうか?日本という国は、なにかを新しく決めようという時に、その本質をとりのがし、せっかくのものが形骸化してしまうという傾向があるように見受けられます。NPOの活躍は、官の行き詰まりを打破する大きな力となりうるのは間違いないと思いますが、なんとか本来のNPOの機能が十二分に生かされた形で運営されることを期待します。
(西松建設 林 謙介)
行政でも企業でもできない分野を積極的に担うものとしてNPOが定義されているが、土木分野における具体的なNPOの役割が明示されていないのが残念である。本文中では、今後の公共事業に関してはNPO・市民との協働が必要になるとの指摘がなされている。しかしながら、地域住民との対立が発生することの多い公共事業において、「身内の利益を優先する原理」の支配下にある地縁団体(あるいは個人)から「市民」への「発展」はどのようにして可能となるのであろうか。筆者のご意見をお聞きしたところである。
(都市交通計画研究所 田名部淳)
■21世紀社会システムにおける土木工学とNPO
筆者(久 近畿大学助教授)の指摘されてる、ツリー構造からネットワーク構造への流れについては、時代の変遷にともなう事象として私自信10年程前から意識していることですが、こうやって土木分野の専門家からも指摘されるのを目の当たりにし、比較的変革の波に疎い土木の世界でも少しずつ浸透してきていることを再認識しました。「組織」よりも「場」に焦点を当てた視野・活動が今後の主流になっていくことは必然であり、この流れに気付かない組織・構成員は淘汰される運命にあると思います。
(新日本製鐵 杉本雅一)
公共事業への批判が高まる中,国民や周辺住民の理解の下で社会資本整備を推進する方法として,NPOの様な市民活動の活用があると理解する.しかし,最近では国民の価値観も多様化し,自然破壊に対する批判など社会資本整備そのものに対する感情的な意見も多い.やもすれば近視眼的とも考えられる意見に対し,技術者として公平な判断を加えることは不可欠であり,こうした活動への我々の果たす役割は大きいと考える.
(五洋建設(株)中山晋一)
「組織ありきで割り振られる仕事」、「組織ありきで割り振られる予算」という現状から脱するのは、実に大変な労力を要するだろうと思われる。それほど、現在の社会はみごとなツリー構造で成り立っている。確かにこのような組織では、意思決定に時間を要するため緊急事態に弱く、また柔軟性を失うため、新しいことを積極的にやろうとはしなくなるだろう。
しかし一方で、ツリー構造の組織では責任が明確になりやすく、特に人命にも関わる土木の世界では重要視されてきた点であろう。
これからは、ネットワークを基本としたフットワークの軽いフラットな組織が求められるのは間違いないが、その際に責任が不明瞭にならないようにすることが必要である。
法的決定権をもつ組織ではないが、ある流域懇談会に出席した際、ある委員から「治水安全度はもっと下げてよいから環境に優しい川にしてほしい」といった発言があった。どうやら当人は川から離れた場所に住んでおり、川は休日にのみ出かける場所という理解であったようだが、あまりにも責任のない言葉に、この先の不安を感じた。
(建設技術研究所 米山 賢)
■都市計画道路事業推進の新しい形態
住民参加型の道路づくりという新しい動きについて報告された事例として,非常に興味深く読ませていただいた.本稿でも指摘されているが,広域的な道路整備の視点と地域のまちづくりの視点の間で,いかに折り合いをつけていくかというのが住民参加型の道路計画において今後検討すべき課題であろう.また,専門家が参加した形でのNPOと,建設コンサルタント等の専門家との役割分担や各々の得意領域という点について,個人的には非常に興味を覚えるので,機会があればまたご報告いただきたいと思う.
(京都大学 宇野伸宏)
■災害援助水害を事例として
水害の地域への取り組みとしては、河田先生の主張されるように「流域全体で降った雨をどのように処理するのか。都市のゴミ問題と同じで降った雨は地域で責任を持って対処すると言う自己責任が求められている」とありますが将にその通りと考えます。一方水害の裏返しとして水飢饉があり、今年の現状況では中・四国地方ではこれが避けられない状況と当らないで欲しい暗い見通しも立っています。これまでの土木技術者は、ダムを築造すれば「洪水被害も、渇水被害もなくなる」と云ういくらか無責任なPR作戦に乗せられて来たことを反省しなければならないと思います。そのうえで長野の田中知事の「脱ダム宣言」なるものに、無批判に迎合したマスコミのあり方に「正しい技術的な論拠を加えて個別地点ごとの事情により判断するべきである」とどうして明言できないのでしょうか。土木学会員の正しい対応を切に望みたいと思います。長野県で「ダムが不要」と云うのは、勝手です。しかし、水と言うのは人間の生活に欠くことの出来ないものであり、「自分が困らないから必要ない」と云うのも、「自分が洪水被害を受けないから必要ない」と云うのも大変身勝手ではないのでしょうか。また、他所の国でダムが要らないと言っているから日本もそれに習うべきだと言うのも誤りだと思います。河状係数の大変大きな日本であるからダムが必要なので、その係数の小さい(平時と洪水時の流量の差が小さい)国例えばヨーロッパなどではダムの必要性が小さいことは当然で、これらの個別の事情を正確に説明しなければ、正しい判断は出来ないはずです。
(潟Gイトコンサルタント 石井憲郎)
■シビル・ベテランズ&ボランティアズ(CVV)の活動
組織の一部として仕事をする場合、"一社会としての責任ある行動をとる"という土木技術者の倫理を100%守るのが、いたって困難な時が出てくるのではないでしょうか。定年、引退の60歳というのは今のライフサイクルからするとまだまだ何かやっていける年で、この時こそ、培われてきた知識・経験が倫理観に支えられ、社会的に意義のあるアドバイスを与えることが出来るのではないかと考えます。個人的にはまだ定年を考える年ではありませんが、今後も優れた技術者であることを追求し、一線を退いた後も、CVV活動のような形で地域社会にインボルブできる機会があればすばらしいと思います。
(西松建設 林 謙介)
■連載 砂 第2回 足りない砂
本記事では,ダムの貯水能力を脅かす「堆砂問題」が報告されている一方,大規模工事における「砂の国外調達」の現状も紹介されており,この対照的な二つのトピックスが同枠で扱われていることには深い意味を感じるものであった.
元々堆砂問題を解決するために浚渫を始めとした地道な堆砂処理が行なわれているわけだが,関連する施設の維持管理の一環として行なわれているだけにすぎず大きな生産性があるわけではない.一方,大規模事業を遂行する際のコストダウンとして,海外の自然環境に手を加えている現状も明らかとなっている.
世界的な環境問題を鑑みた場合,そろそろ若干のコスト高には目を瞑り国内の堆砂を建設資材として広く利用する時代が来ているのではという印象を持った.勿論,浚渫や運搬コストが高いために現在は普及していないのだろうが,今後は国や自治体等の協力も得た上で,環境問題に対して付加価値をつけた建設工事が普及してもいいのではないかとも感じた.そうした意味で動向が注目される内容だったと思う.
(電源開発梶@中山義紀)
■ダム貯水池の堆砂問題
最近ニュースで黒部川・宇奈月ダムの排砂が実施されたとの報道があったので、この記事を興味深く読みました。世界に比べて年堆砂量が1オーダー小さい日本でもダムによっては、浚渫・掘削や排砂設備など土砂採取作業による貯水量確保が重要な問題となっていることが解った。これまで数多く建設されたダムの機能を半永久的に維持するためには、ダム完成後30年、50年後には何らかの対策を行わなければならないのでしょうが、その際にはできるだけ周辺環境に影響を与えない方法による排砂技術を確立することが重要になるであろう。
(熊谷組 蓮池康志)
■国外からの海砂の調達
コンクリート骨材の資源枯渇の話は知っていたが,埋め立て用の砂もこれほどまでに足りないとは知らなかった.砂といえば安価でどこでも手に入るようなイメージを持っていたが,もはや「資源」として価値のある材料といえるかもしれない.コンクリート塊から再生砂をつくる技術があるらしいが,このような循環型のリサイクルシステムの必要性が今後ますます大きくなっていくと思う.
(東京大学 竹上浩史)
海上空港の埋め立て工事に海外海砂を大量に輸入した事例として、輸出国側関係機関との手続きの流れについて読ませて頂きました。本文では、調達が目標数量の約1/3となり計画どおりに進まなかった点が述べられていましたが、今後の課題点を含めて同様の工事にとって、貴重な参考事例になると思いました。
(日本鉄道建設公団 岡 康博)
■土木紀行 エンジニアの潔さ
廣井博士の名前を始めて知ったのは、コンサルタントに入社して護岸工に作用する波力を計算する時に使った「廣井式」によってですが、その後、小樽港におけるモルタル試験が100年に渡って続けられていることを知って、驚くと共に昔の土木技術者は偉いなあ、と感心するばかりです。港湾は専門ではないですが、廣井博士の「日本築港史」がありましたので「小樽港」の箇所を見てみますと、「本工事ニ在テ注意スヘキハ混凝土ニ火山灰ヲ用イ工費ヲ節約シ且ツ耐海水質ヲ増進シタル事ニシテ其原理及ヒ応用ニ就イテハ欧州ニ於テ既ニ研究セラレタルコトアリト雖モ重大ナル工事ニ使用シタルハ本工事ヲ以テ初メトス」とあり、更に「本工事ハ終始技師廣井勇ノ監督ニ係ハリ技師青木政徳同内田冨吉之ヲ輔ケ、、、」とありました。
((株)芙蓉調査設計事務所 須賀幸一)
「コンクリートは適切な品質が確保されれば、かなり過酷な環境下でも1世紀程度は健全な状態を保つことが確認された」と書かれており、施工管理の重要性を改めて感じさせられた。自分の携わった構造物が100年後も同じ姿を残していれば、技術者としてこれほど嬉しいことはないと思うのです。
(大成建設 小池真史)
港湾構造物の設計コンサルタントを業務とする小職は,広井先生が導かれた波力算定公式にふれる機会も多く,小樽でのコンクリート100年耐久試験の逸話も有名であるが,建設途中の防波堤が崩壊の危機に見舞われたとき,先生が防波堤との死を決意されていた事実を知り驚いた.その潔さに,自分の中で昨今失われつつある土木技術者としての誇り,熱意を思い起こさせられる.
(五洋建設(株) 中山晋一)
胸に深く残るものがあった。構造物の耐久性に対する批判が強まる中、誠実に建造された構造物は1世紀を越えてなお健在しているという事実。昔風の所謂職人気質に似た仕事のやり方。妥協しない姿勢。今の世の中に欠けている本質が見えてくる。非常に良い記事であったと思う。ただ、タイトルとの関連性が(感性に乏しい)私には理解できなかったのが・・・。
(日本道路公団 吉村 保)
■技術リポート 「TBM導坑先進拡幅掘削工法」で大断面トンネルを掘る
TBMを採用した前例のない施工方法で、施工結果の評価などについて興味深く読ませて頂きました。トンネルの掘削で、先方の地質や地下水の状況を把握することは非常に重要なことだと思います。今回の施工方法を成功させた実績を生かして、支保構造の設計について更なる調査研究をされ、今後のトンネル工事がより安全かつ迅速になることを期待しております。
(日本鉄道建設公団 岡 康博)
トンネル掘削時の切羽前方予測は重要かつ必須な情報であるが,簡易的な手法だと切羽到達直後からの内空変位の変化と解析的な応力解放率との比較が一般的な有効手段だと思われる.しかしそれだけではなかなか遠方予測までは不可能と思われ,本記事で紹介されたTBM導坑による前方一括予測には非常に興味深く共感を得るものがあった.これにより適切な支保パターンの選定も時間的な余裕が生まれるはずで,様々な優位性があると思われた.なお高強度材料の導入については計測データの蓄積が今後の汎用性拡大に向けた大きな鍵となると思われるので,継続的な情報収集に今後とも期待したいものである.
(電源開発梶@中山義紀)
■2001年2月米国シアトル地震による被害
私は1994年から95年にかけてシアトルに滞在しておりました.そのころからシアトルは全米で今後もっとも地震のおこる可能性の高い地域であることは誰からとなくきいていました.M8.0以上の地震がくる,という根拠があるのかないのかわからないこともききました.それに比較すると今回の地震の規模はそれよりも小さく,被害も小さかったようなので不幸中の幸いなのでしょう.
今後もシアトルにそれ以上の規模の地震が来なくなったわけではないでしょうから,対策をそなえて,今後の地震で被害が小さくなるようにと願っています.目覚まし地震とは誰がつけたのかわかりませんが,アメリカ人の気質の一部を感じました.
(武蔵工業大学 白旗弘実)
■海外リポート スコットランドの下水処理
本文中の「PFI方式」や「BOT方式」などの契約方式は、私にとって聞き慣れないものでしたので、内容が理解できなかったです。これから日本でもこれらの契約方式が採用されることが考えられるので、こらから勉強してみたいと思いました。また、契約に至るまで1年以上の入札期間があるそうですが、この間はどのようなやり取りがなされるのか疑問に思いました。
(日本鉄道建設公団 岡 康博)
■商店街・温泉地へ出かけよう
高齢者や障害者に優しいまちづくりを行うことで,地域の活性化にも結びつけようとする具体的事例として,非常に興味深く読ませていただいた.著者も「心理的バリアの除去」が重要と指摘されているが,「魅力あるまち」というのは,人の知恵,創意工夫,優しさ等のいわゆるまちづくりにおけるソフトウェアと,エレベータや電動バイク等のバリアフリーのためのハードウェアのバランスがとれた「まち」ではないかと思う.いかにハードウェアがすばらしくとも,ソフトウェアが伴わなければ無機質な冷たい印象を抱く地域になってしまうのでは,と本稿を読みながら感じた次第である.
(京都大学 宇野伸宏)
この記事を読んで初めてショップモビリティという言葉を知った.街づくりは,道路の整備や公園の拡充ばかりではなく,このようなソフト的なアプローチも面白いと思う.実際,高齢者や障害者にやさしい街づくりを行うことは容易ではないと思うが,このような街づくりが集客力を持ち,経済として成立したら素晴らしいことだと思う.
(東京大学 竹上浩史)
ショップモビリティは、その町の活性化だけでなく、日常の行動に不自由を感じる人々でも気軽に町に出られるようになるという、非常に良い制度だと思いました。日本の町は高齢者や障害者の視点から見ると、まだまだ改善の余地があると思います。これだけ日本の社会は豊かになったのですから、我々の意識の改善とともに、ショップモビリティー制度の導入が特別なことではなくなると、良いと思います。
(清水建設 田中八重)
「商店街・温泉地へ出かけよう」 「ショップモビリティ」という言葉を聞いてもどういうものかがわかりませんでしたが、地域に密着し消費者との結びつきを大事にする活動だといわれれば、私にも馴染みがありました。スタンプ発行やシール収集により何らかの特典を得て商店街に貢献していました。今回取り上げているイギリス発祥のショップモビリティの試みには大いに賛成です。以前に掲載されていた金沢トロリーバスも町にも高齢者にも優しい配慮だと思いました。 それがいろいろな連鎖から町の活性にまでつながることは嬉しいことであり、障害者や高齢者にとっても生活する楽しさも増すと思います。 今回は小浜町をとりあげていましたが、高齢者数は年々増加しています。公的支援、資金の融資の多大な配慮をお願いしたいです。
(熊谷組 土木部 道村未佳)
■現代、土木工学科学生が意識する自分の「将来の在るべき姿」
学生の意識に関する記事で面白く読ませていただきました.将来の在るべき姿,と私自身に言われても抽象的で日ごろから考えていないと答えられませんが,回答した学生もよく自分の意見をもっているものだと感心しました.
投稿者は大学で建設マネジメントの講義を担当されているようですが,具体的に講義ではどのような話をされていて,その内容との関連性について述べられていれば,と思いました.たとえば国際的な事業の話をすることが多いので表-1のような結果になった,などです.また,キーワードにはどのようなものがあったのかも知りたいと思いました.集計すること自体かなりたいへんな作業となると思いますが,続編が出る場合は講義内容との関連についてもお話いただきたいと思います.
(武蔵工業大学 白旗弘実)
ある1つの学校の更に限定された(3年生以上の土木工学科在籍者中の構成比が知りたいと思いました)範囲ではあっても、いわゆるアンケート方式による誘導型の内容でないと思われるだけに、非常に興味を持って読みました。私共と言うよりも私が日頃接している限定された人数の入社志願者や新入社員と比較し、「なるほど」と納得させられる部分と「本当はそうなの」と再認識させるところの両面がありました。
将来への意識に見られる結果は、やはりマスコミの影響が非常に大きいと感じられ、一般の世論形成とともに非常に重要な役割を果たしていると思われます。それにしても、土木学会における学生会員の占有率の低さをどう理解すれば良いのでしょうか。多くの有力会員を有し、大きな発言力を持っていると思われる教職にある先生方の「会員増強」へのご協力を期待したいと思います。
(潟Gイトコンサルタント 石井憲郎)
なかなかおもしろい記事でした。このような意識調査を学会として継続して行えばどうでしょうか。今後、どのような点に焦点をあてて、学生やマスコミを始めとする世間に対して接していくかという参考になるでしょうし、なによりも学生自身がモノを考えるきっかけにもなるでしょう。定点観測してみれば何かおもしろい結果がでるかもしれません。
(国際協力事業団 梅永 哲)
"土木技術者としてのあなたの「将来の在るべき姿」を論ぜよ" 土木技術者として,高い意識をもって生き続けるには,非常に厳しい世の中になった。この問題は,土木技術者自身の問題というよりも,将来の日本の公共投資のあり方によって,大きく変遷するものであろう。既に,土木技術者として生きる者にとって,公共投資自体が完全に縮小傾向の方針であり,「地図に残る仕事」に従事できる可能性は薄い。また,土木技術者の将来の姿も明確ではない。土木技術および土木工事は,一般市民に身近な存在であり,マスコミも取り上げやすい話題の一つであるが,最近の報道では,真の公共投資の問題点に触れないで絶対数を減らすことを正義とするような内容が多い。土木技術の世界に飛び込む一歩は,マスコミの情報から受ける影響も少なからずあるはずである。前世紀における雇用受け入れの機能を完全に否定された今,土木技術者に何ができるのか,また,21世紀にふさわしい社会資本整備のありかたについて,真摯に考えていく必要がある。
(戸田建設株式会社 舛岡秀一)
最後の「学生に見る明日の土木技術者像」のところで、一部の学生は、小さくまとまりすぎているとの感想が気になった。本稿の結びにおいて、学生たちの行く末が楽しみで、学生たちは、21世紀の立派な土木技術者になると予想しているが、なぜなのか。不安なまとめであった。
(豊橋技術科学大学 平松登志樹)
非常に興味深い話題であり,こうした統計の蓄積は今後も継続して頂きたいものだと思う.ところで本記事では「マスコミの影響が大きい」と示されているが,これは見方を変えると現代の土木工学教育に突きつけられた課題であるとも認識できる.今後の土木技術者には,これまで以上にマスコミ論議に惑わされず,逆に利用するぐらいの意気込みが必要である.その一方で,国民・社会のコンセンサスをできるだけ得られるような論理的アカウンタビリティが求められており,こうしたマスコミ情報に翻弄されない本質的な意味を考える機会を与える努めが今の教育者には必要だと考えられる.こうした観点に立ち,学生の意識を土木技術者として高揚させる際に,筆者が必要と考える今後の教育のあり方として何があるのか等を具体的に述べて頂けると,今後にも発展するし面白い内容になったかと思う.
近年,ゆとりの教育と称して理数系教育等が簡素化され,今後の技術者能力が低下するのではないかと危惧する傾向もある.これは裏を返せば,大学等における教育者の技量と素質がさらに試される時代が到来し,その負担が大きくなるといっても過言ではないと思うので,今後の氏のご活躍に期待したい.
(電源開発梶@中山義紀)
■委員会報告 「土木製図のためのCAD利活用マニュアル(仮称)」策定状況について
CADの標準化については、ソフト開発者でない土木技術者には無理なのではないか?Windowsは世界に席巻しているが、日本人に一番向いているのはTRON。しかしこれは標準にはなり得ない。現在使われているソフトのフォーマットを変えるのではなく、互換性を出すようにした方が実用的と思われる。マニュアルは抽象的すぎて真意を汲み取るのが難儀だった。
(日本道路公団 吉村 保)
■支部のページ 土木学会関東支部群馬会設立10周年記念事業「群馬土木かるた」の制作
土木のPRやイメージアップとして、かるたを作るという発想が面白いと思いました。群馬県には群馬県のかるたがあるので、そこからこのような発想が生まれたのでしょうか。取り札の絵も、学会誌を見る限りとても良くできていると感じました。ただ、読み句にもうひと工夫あったら、さらに良かったのではと思いました。苦労をされたとのことでしたが・・・せっかくつくったのでどんどん活用し、PRやイメージアップにつながればよいと思います。
(清水建設 田中八重)
■学会誌全般へのご意見、編集委員会への要望等
半年間モニターをやることによって,学会誌の魅力というものを感じ取ることができました.いろいろな学会誌があると思いますが,土木学会誌はかなり良くできた学会誌だと思います.これからも魅力あふれる記事を期待したいです.
(東京大学 竹上浩史)
土木学会の会員になると必ず、学会誌が送られてきます。保管場所を個人で確保するのは結構大変で、古いものから廃棄しています。学会誌の一部をHPに掲載し、学会誌の紙面を縮小するのはいかがでしょうか。これは紙使用量の削減にもなると思います。
(清水建設 田中八重)
6ヶ月のモニターは結構、大変でしたが、学会誌を読む良い機会にはなりました。ところで素朴な疑問ですが、モニター以外では意見は集まらないのでしょうか?一般の雑誌なら結構、読者コーナーのようなところで、意見が集まりそうですが、、。
((株)芙蓉調査設計事務所 須賀幸一)
多くのモニターの方も書かれていたようですが,6か月のモニター期間が終わります.自分の専門や興味のある分野とは異なる分野に関する記事を読み,意見を書くことは難しいことだと思いました.しかし,全般的に土木学会誌には有用な情報が多く含まれ,勉強になりました.このような機会を与えられたことに対し,感謝しております.
モニターの期間,人数などのシステムがどのような過程で現在の状況になっているのかわかりません.が,個人にモニターを依頼することの他に職場班としてモニターを依頼することも可能と思います.そのようにすれば,各人が学会誌を読むようになることや,分野別に意見を述べやすくなることがメリットと思います.逆に班として管理するので,回答を管理するのが煩雑になることや6か月が適当かということが問題になるかもしれません.
より多くの人がモニターとなって,学会誌をよく読むようになってほしいと思います.
(武蔵工業大学 白旗弘実)
今回で、半年間のモニターを無事?終えさせていただきます。いつも締め切りに追われ気息奄々でついて参りました。最初は簡単に考えてお引き受けしましたが、大変なエネルギーを必要としたと思っています。今はどうにか務め上げてほっとすると同時に、来月以降も一会員として、時には建設的な意見が述べられるように心掛けようと考えています。本当に出来るか自信はありませんが。また、今号では、最後だと思い少し本当の自分の思いを自己主張してみましたが、少しおかしかったかも判りません。編集委員の諸先生、事務局の保科淳子様有難うございました。今後ともよろしく。
(潟Gイトコンサルタント 石井憲郎)
今回、海外の情報が2件掲載されていましたが、文章中心の内容ですと地理的な位置関係が読み取りにくいと思います。できましたら、地図や写真などを多く入れた方が良いかと思います。
(日本鉄道建設公団 岡 康博)
■編集委員会より読者の皆様へ
5月号対して寄せられた「会員の声」に対する編集委員会からの回答です。
【ご意見・ご要望など】
今回の特集は、"理論"と"経験"と地盤問題に挑むということで、土木の保守本流である分野の、結構アカデミックな内容を含むものであり、土木技術者でありながら"広く浅く"タイプの私にとっては大変読みづらかった。学会誌である限り、全く関係の無い興味本位の記事ばかりを載せるわけもいかないであろうが、もう少しなじみ易い特集を望みたい。
(西松建設香港支店 林 謙介)
モニターになってから,必ず目を通すようになった特集記事ですが,各号の特集記事の読者として,どの程度の知識を有した読者を想定して書かれているのでしょうか。正直言って,各号の特集記事についていくことのできる読者は,その分野関連の人たちだけに限られるのではと思います。私自身としては,「教科書に書かれていることや学会の最先端の研究をコンパクトにまとめる」よりも,「もっと単純,平易で,週刊誌的に読み流しながらも要点だけは押さえられる」風に書かれていれば,昼休みに目を通すような感じで読めるのですが。もっとも,これはかなり難しいことだとは思いますが。
(金沢大学 五十嵐心一)
【編集委員会からのお答え】
土木学会誌の特集の編集方針では、特集内容を恒例特集、社会型特集、専門型特集の3種類について平均的に掲載するようにし、会員の方々に土木事業、土木技術、社会環境等に関する情報を多角的に提供することを目指しております。したがって、専門型特集については、専門外の方にとって気軽に読むことは難しいかもしれません。しかし、そのような特集においても、より読みやすい記事を目指して行きたいと考えております。
また、3種類の特集を掲載する回数配分についても、編集委員会は検討を行っております。
【ご意見・ご要望など】
カラー学会誌のせいか分かりませんが、各コーナーの区切りが若干分かりにくいと感じております。論文中の図表以外は、モノクロにしては如何でしょうか。(コーナー題目名部分など)
(日本気象株式会社 大橋鉄弥)
【編集委員会からのお答え】
編集委員会でも、ご意見について配色やレイアウトについて検討を行っていきます。なお、具体的に分かりにくいと感じられた箇所を、もう少し詳しく指摘していただくと幸いです。
【ご意見・ご要望など】
1月号からモニターをさせて頂いております。学会誌は、毎月上旬に届くことになっていますが、毎月の「5日」位までに届くような仕組みは出来ないのでしょうか?月によっては、7日くらいに届くようなことがあるような気がします。(正確な記録は残しておりませんが。)
(千代田化工建設(株) 田中史明)
【編集委員会からのお答え】
以前にも、同種のご指摘をいただき、月初めにお手元に届くようにしております。しかし編集作業等の遅れで、少し遅れることがありますが、その場合にはご容赦ください。
【ご意見・ご要望など】
表紙,背表紙で紹介されている昔の写真が,興味深くて面白いと思います.今度是非,土木史の特集を組んで欲しいです.
(東京大学 竹上浩史)
【編集委員会からのお答え】
土木学会誌への企画の要望ありがとうございます。編集委員会としても、ご意見の主旨を踏まえ、検討したいと考えております。
【ご意見・ご要望など】
学会誌は、興味を引く掲載内容が多く、またカラーの図表や写真が採用されており、他分野の人にも分かり易いように工夫されていると思います。ただ、学会誌を個人的に保管していく場合、どうしてもスペースがなくなり古いものから処分することになります。学会誌を出きる限りコンパクトにしてもらえませんか。また、学会誌の電子情報化について、今後どのような方向で考えられているのかについてお教え下さい。
(日本鉄道建設公団 岡 康博)
【編集委員会からのお答え】
現在のところ、編集委員会としては学会誌のコンパクト化と電子情報化については考えておりません。しかし、学会誌の内容を様々なメディアで提供することを考えております。また、編集委員会における学会誌の基本的な位置づけとして、長期的に保存すべき文献としてではなく、社会変化に即応した情報を提供する雑誌であるべきだと考えております。
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