土木学会誌
土木学会誌7月号モニター回答


表紙・裏表紙 公共空間の中の視覚障害者のバリア
点字ブロックの発祥の地が日本と知り,驚きました.統一基準が出来たとのことですが,確かに点字ブロックの設置方法が場所によってバラバラでは視覚障害者はたまったものではありません.障害者の身になってきめ細やかなバリアフリー化を計画すべきですね. しかし,点字ブロックがきちんと整備されていても,歩道上に停められた一台の自動車で行く手が遮られます.一方,スロープが無くとも,心ある人の手助けにより段差は解消されます.点字ブロックなどは施設整備(ハード)のバリアフリー化ですが,もっと大切なのは市民による介助とマナー(ハート)によるバリアフリー化だと思います.
(東京コンサルタンツ株式会社 今度充之)

全国にバリアフリー化が進み,ほとんどの市街地で点字ブロックを見ることができる.しかし,私はこの点字ブロックを見るたびに,これが本当に有効であるのかどうか疑問に思えて仕方がない.それは,市街地に見られる点字ブロックのほとんどが,裏表紙の写真にあるような”おかしな点字ブロック”だからである.
幸い私は視力がよく,この点字ブロックをはっきりと見ることができるが,もし視覚障害者の方が,この点字ブロックをはっきりと見ることができたとしたら,どう思うだろうか.
この記事には,”形状についてのJISが去年制定された”とあるが,なぜもっと早く,こんなにも”おかしな点字ブロック”が広まる前に制定できなかったのだろうか.障害者にとって,もっとも大きな”バリア”は,健常者の心の中にあるのではなかろうか.
(岡山大学大学院 真鍋友和)

今月号の表紙の写真は,「こういう所(部分)も土木技術の範疇である」という意味で重要だと思うのですが,僕が読んだ範囲では,あまり今月号の主題に関与しているとは思えません.今月号だと,CG関連の表紙などが良かったのではないでしょうか.
(函館高専 川口貴之)

特集 コンピューターグラフィック(CG)の活用
研究発表等の場で,自分の考えを正確に他者に伝えることは非常に重要であり,そのためにCG技術は必要不可欠であろう.しかしながら,美しく詳細なCG画像の作成に没頭するあまり,他者に与える情報が過多になり,自分の意図があいまいなってしまっては本末転倒だということを常に認識しておかねばならないと感じた.
(京都大学 菊本 統)

各分野でCGの研究が進められ,利用が拡がっていることがよく分かりました.私自身,道路や構造物の設計にCGを利用することもあるため,大変興味深く読みました.事業説明にCGを用いる効果の高さを知れば,そのコストは決して高いものではないと思いました.
(東京コンサルタンツ株式会社 今度充之)

最近身の回りでは一般的になってきたCGを土木の分野でどのように活用しているのかが少しではあるが判り,今後の更なる活用へのヒントを与えてくれたようでなかなか興味深かった.
(東洋エンジニアリング(株) 菅原紳二)

可視化技術は,膨大なデータを有する解析結果の解釈やわかりやすいプレゼンテーションに必要なことは誰もがよく理解していることと思われるが,実際に有効に活用している人は限られているのではないだろうか.そういう意味で,今回の特集は,様々な活用事例を含めて,CG技術の全体をわかりやすくまとめられており,CG技術の活用に躊躇している方々の良いきっかけになったのではと感じた.
(電力中央研究所 石川智巳)

以前,地元協議を行ったときに,完成イメージを言葉で説明をするよりもパース図やフォトモンタージュをおみせした方がよりイメージが伝わるという経験をした.まさしく「百聞は一見にしかず」ということであろう. この他にも例えば,鋼構造物の色彩を決定するにあたって周辺の景色との調和を考えたいというケースでも一度基礎データを完成させれば,容易に色を変更しイメージを確認することができる.実際に色を塗替えるとしたら,かなりの手間であり,コスト的にも現実不可能である.
土木という分野はビックプロジェクトが多々あり,周辺の景観にあたえる影響も大きい.また,耐久性も考慮されているため,現地に長い間存在する.
そのような中でやはり完成したものが機能はもとより,その形についても地元の方々から出来てよかったと思われるようなものであって欲しいと願っている.
完成のイメージを事前に比較的容易に確認できるということで,今後ますます活用の場が広がることが予想される分野である.
(日本道路公団 小松功征)

CGは,津波や交通流等の現象に関するシミュレーションに対しては,かなり有効だと考えられますが都市計画や構造物のデザイン等(そこに“美しさ”や“調和”という数値だけでは計りきれない要素を含むもの)に対しては必ずしも十分ではありません.景観(美観)分野でもここ数年CGに関するものが多く脚光を浴びていますが,それが全てではないことを皆様に少しだけ心に留めておいて欲しいと思いました.
(九州大学 太田亜矢)

特集の中でも述べられているが,土木分野におけるCGの需要はかなり高くなってきていると考えられる.実際に様々な場面において,CGを用いたプレゼンを目にすることが多い.近年,住民参加型が進められるに従い,非専門化に対していかに分かりやすく情報を提示するかが重要となってくるなか,CGを活用することは非常に有意義なものであると思う.本特集では,様々な場面でのCG活用例が述べられており,非常に興味深く読ませて頂きました.
(北海道大学大学院 社会基盤工学専攻 迫井裕樹)

CGは単なる数字だけでは把握が難しい解析結果の検証や,いかなる人にも直感的に分かる説明ができるなど,土木分野でも強力な武器となるものである.確かに数字の羅列よりも,ビジュアルな映像を見る方が面白いに決まっているが,画像のきれいさや精巧さに目を奪われて,解析条件や結果の精度や信頼性といった肝心の評価がなおざりにならないよう気をつけなければならないと思った.
(関西電力 嶋田隆一)

様々なCGの用例が紹介されており CGの利用価値がよくわかった.自分の専門にも関係するところなのでとても興味深く読むことができた.
(岡山大学 平川陽介)

記事内容を完全に理解できたわけではないが,コミュニケーションツールとしてのCGの有効性・可能性について,改めて考えさせられました.
(東北大 理 地理 村山良之)

CGに関しては,映画やテレビなどを通じてほとんどの人が身近に接している.最近では,数値解析結果をCGを用いて表現される方も多く,従来の表とグラフのみに比べて非常にわかりやすい.そういう意味で,CGに注目した今回の特集は意義あるものと思うが,全体的にまとまりがない印象を受けた.今後の展開予想や問題点など,もう少し総括的にまとめた記事があったほうが良かったと思う.
(関西電力 松本明男)

近年のコンピューター技術の発達,そしてそれを土木分野に応用する技術の進歩.「すばらしい」の一言です.ただ,バーチャルの部分ばかり先行せず,現実を予測する手段として役立つようになるよう,祈るばかりです.
(函館高専 川口貴之)

このCG特集は,非常に良かった.紙面数も多く,内容がわかりやすいので記事をすべて読む気になりました.また,きれいだなという印象を受けました.また,第2章CG技術の体系では,ポリゴンやボクセルの説明があり,興味をひきました.1章の個々のケースと,2章のCGの概念的な一般事項についてバランスよく紙面数が割り振られていると,もっとよかったかなという気がします.
(東京都水道局 小作好明)

このCG特集は,非常に良かった.紙面数も多く,内容がわかりやすいので記事をすべて読む気になりました.また,きれいだなという印象を受けました.また,第2章CG技術の体系では,ポリゴンやボクセルの説明があり,興味をひきました.1章の個々のケースと,2章のCGの概念的な一般事項についてバランスよく紙面数が割り振られていると,もっとよかったかなという気がします.
(東京都水道局 小作好明)

CG技術の活用例や今後の展開について,興味深く読ませていただきました. 今後,リアルなCG映像がより安価で容易に提供することが可能となっていったとき,住民との合意形成を図る上で,CG技術は今以上に重要かつ欠かせないツールになっていくと思われます.
ただし,映像がリアルであるだけに,誤解を招いたり,選択を狭めたりしないよう,提供する側の十分な配慮と客観性も求められると思います.
(東京都 浅井重政)

視覚的表現はわかりやすいということで,今回の特集は多くの人にとって取っつきやすかったかもしれない.しかし,記事の内容によってはかなり専門的な記述となり,わかりやすく示すための記事が文章のためにわかりにくいままという場合もあったように思う.やはり記事を書く人のサービス精神というようなものが基本にあってこそ伝わるものではないだろうか.
(山口大学 樋口隆哉)

CG技術の向上により複雑な解析結果等の直感的な理解がますます容易になってはいますが,CGが精巧になればなるほどその解析の条件等に関わらず目前の画像が実現象のようなイメージをもってしまします.技術者として常に気をつけておかねばと思っております.
(電源開発株式会社 川ア昌三)

複雑な現象に対して知恵を絞り端的に分かり易く作成された言わば研究者の知恵と工夫の結晶と言うべき図面が今後減り,(言葉が悪いですが)大量のデータを機械的に入力さえすれば作成でき,かつ,内容の理解は見る側の直感に委ねるCGが現象説明の主流となる状況は,一人の研究者として何か寂しい感じを受けます.しかしながら,市民への情報提供および市民の事業計画への参画等の技術レベルにおける市民とのコミュニケーションが益々求められる土木分野にとって,CGは今後必要不可欠な技術であると私は思います.このような技術に対して先進的に特集を組まれたことは非常に有意義であったと思います.また,この特集を契機に,土木業界におけるCGを用いたプレゼン技術が加速度的に進むことを期待します.
(国土技術政策総合研究所 岡田知也)

旧来より土木分野においては建築あるいは他業種に比べプレゼンテーションの重要性が軽視されてきたと思われる.公共事業費が削減の一途をたどればなおのこと,このようなCGを用いた景観・交通流等のシミュレーションによる無駄のない開発計画が求められるであろう.また本文中のまとめにあったように,公共事業・土木事業に対する批判に対し,その効用を世間に対して正当に表現するための手段としても非常に有意なものといえる.
(鹿島建設 藤井秀樹)

プレゼンテーションにCGは非常に有効と感じます.最近ではテレビ番組のオープニングでも多く見受けるようになりました.土木の世界でも施工順序や設計手法などをCGアニメーションで表現するととてもわかりやすく感じます.土木技術者たるもの,近い将来CGの製作能力が必須になるかも.
(清水建設 遠藤和雄)

2章からなる特集記事(ボリュ-ムたっぷり)を興味深く読まさせていただきました.可視化による情報伝達の偉大な力を確認でき,各節の著者のかたがたのご苦労をお察しできるのですが,素人の私には専門すぎて分かりづらい所もありました.それと,せっかく「CGとはなんだ」を説明している場でありながら,文章表現が多いと感じたのは私だけでしょうか.
(前田建設工業株式会社 高橋和夫)

大変興味深い.
(名古屋大学 伊藤 睦)

CG技術の発展には驚きました.ただ,あまりに漠然として,とっつきづらいところがありました.
(西松建設(株) 土屋光弘)

論説 CGの意義
私は現在3次元体メッシュ作成プログラムの研究を行っているのですが,研究にあたり結果をCGとして見ることができるAVSソフトは大変に役立っております.と言うよりも,このソフトがなくては研究になりません.プログラムを作成し,走らせて得られるデータは単なる数値の羅列でしかなく,それを眺めるだけでは,結果が有効かどうか判断することは容易にはできません.その点結果をCGとして見ることができれば,一目で判断することができます.私にとってCGはなくてはならないものであり,”CGが理解しづらいものを理解しやすくする有力な手法である”というのは,まったくそのとおりだと思います.
(岡山大学大学院 真鍋友和)

第1章 CGの活用例
「解析結果を技術的な知識を持たない人にも,直感的にわかるような説明・表現を工夫することが求められる」という企画趣旨の記述のとおり,今回の各記事で挿入されている図を見ているだけでも,CGの効果を十分理解することができ,本特集を興味深く読ませていただきました.
また,発展途上国の計画策定業務に携わる人間として,「住民への説明,合意形成の促進」というテーマに大変関心をもっているが,「CGへの都市計画への利用」および「CGの製作現場」の2つの記事は,CGの利用,発注に関する留意点が簡潔にまとめられており,具体的な活用を考える上で,非常に参考になりました.
(国際協力事業団 小田原康介)

CGの都市計画への利用
合意形成へのCG採用については,筆者と同様に効果はかなり期待できると考える.一般の住民は図面を見ても,なかなか立体的にイメージできないものである.よって,景観シミュレーションとしての導入することにより,住民の理解度も増し,自分自身の意思判断が正確にできるのではないかと思う.
(西武建設(株) 辻田陽一郎)

第2章 CG技術の体系 コンピューターグラフィックスの活用
様様なCGの例が示されており,視覚的に楽しめた部分がありますが,例が多すぎたためか,もう少し詳細な説明が欲しいと感じました.例えば,「多様な形状モデル」では,いろいろな表現法がある,というのは理解したのですが,私はその方法はどういったものなのか,メリット,デメリットは何か,などにも関心がありましたので,説明に少々物足りなさを感じました.
(室蘭工業大学 菅野昌生)

CGは私の研究を行う上でとても重要なものであり,今回の特集は大変興味深く読ませていただきました.特にこの記事は,CGの技術についてわかりやすく書かれており,大変参考になりました.
(岡山大学大学院 真鍋友和)

CG特集P27図5など,すごく小さい図面がありました.
(東京都水道局 小作好明)

プロジェクトリポート 大分川尼ヶ瀬地区内水排除対策事業
地域住民にとって深刻な被害をもたらす浸水対策事業と地域住民の事業への関わりについて,事業の実施主体者の役割分担も含めて,全体を良く理解することができました.
特に,事業実施にかかる地域住民との合意を得る観点から,施工時も含め,様々な配慮がなされていることに関心し,また,新工法の開発・導入とも連携している事業の実例を知る機会となり,大変興味深い記事でした.
(国際協力事業団 小田原康介)

環境に対する意識が高まるなか,2つの報文を対比しておもしろく読ませていただいた.河川環境の主要な構成要素である植生について述べた「河川と植生」(生態系の保存)と,さし迫った浸水被害に対して,遊水池と排水機場を,住民合意形成を図りながら建設した事例を紹介した「大分川」(人工築造物).
上記2つの報文は同じ河川を題材に取り上げているが,切り口が違うと全く異質な感じになってしまうのに驚いた.改めて土木分野の広さを認識する一方,河川環境が受けるインパクトは,結局のところ人間の営みによる要因を抜きにしては論ぜられないことに気づかされた.緑は人間の営みによる影響を小さくするためにも必要である.緑が守るのは川だけではない.
(前田建設工業(株)土木エンジニアリング部 島田敬次)

一般に,「土木工事」は地元住民からは敬遠されがちです.私の経験からする と,この事業のような災害対策工事も含めて,彼らに利益のある内容であれば苦情は とても減少する.どんな工事でも,それを実施することのメリットを,もっと理解し てもらう必要があるのでは.
(清水建設 遠藤和雄)

技術リポート トンネル検査の自動化を目指して
興味深く読めた.ただし,個々の技術紹介が短すぎる印象もあった.
記事末尾にもあるが,本記事で紹介されているような種々の定性的・定量的計測手法による検査・計測結果を統合的に解析し,トンネル覆工に対してある種の判断基準をリアルタイムに提供する情報システムの構築が目標であることを考慮すれば,土木構造物のメンテナンスへのIT(情報技術)の活用が重要であることが容易に想像できる.逆の視点で「メンテナンスシステム」という一つの情報システムからの見方で個々の要素技術を捉えるのも面白いのでは,と思った.
((株)ダイヤコンサルタント 宮口直巳)

近年,コンクリート構造物の保守・点検・維持管理が注視され,今後ますます増大していくと予想されているなか,点検等の自動化・省力化は必要不可欠なものとなるだろう.特に,本文で対象としているトンネルの数は膨大なものとなるため,自動化・省力化かつ定量的な検査手法の確立が必要となる.本文では,検査・点検における種々の問題点を解決するため,様々な工夫・開発が紹介されており,非常に興味深く読ませて頂きました.また,本文中にも述べられているとおり,今後,検査〜診断〜補修・補強の決定といった一連の流れでの自動化・システム化が必要となるだろう.今後の研究・開発に期待したいと思う.
(北海道大学大学院 社会基盤工学専攻 迫井裕樹 )

維持管理に関する研究については日ごろから気になってはいましたが,具体的な調査方法等についてはよく知らないままでした.今回のトンネル検査に関する記事をみてさらに興味が広がりました.
従来手法の問題点,新システムの紹介,より詳細な検査手法,そして,安価かつ的確に検知可能な手法の紹介という,実務的な話であり身近に感じました.
今後は,このような維持管理に関するリポートを増やしていただければと思います.
(西松建設(株) 土屋光弘)

土木紀行 技術者と建築家のコラボレーション
土木構造物は人々の生活を根底から支えるものであり,決して主張することのない無機質なデザインこそ望ましいと考えられがちだ.対して,小牧ダムのデザインは,簡素なデザインの中に,圧倒的な存在感を持つ扶壁が見るものに安心感を与えるとともに,技術者達の用・強・美に対する意識の高さを感じさせる.今から約70年も前の昭和初期にこのような構造物が建設されていたことに感動を覚えるとともに,自分もいつの日かこのような土木構造物に関われたらと切に思った.
(京都大学 菊本 統)

ダムと建築家,一見関わりの薄いと思われる内容に興味をそそられた.記事を読み進めると,「用,強,美」という文字に目がとまった.機能的なものは美しいとよく言われるが,小牧ダムはその良い例でもあるのだろう.土木構造物には,我々の知らない機能的で美しいものが多数建造されているはずである.建設,研究開発への新たな発想をはぐくむためにも,今後もこのような用,強,美を備えた構造物を紹介していただければ(もう少し詳細に)と感じた.
(電力中央研究所 石川智巳)

学会誌掲載らしくないソフトタッチの記事で気張らずに読めて良かった.観光スポットとしての土木構造物の役割は大変重要である.本記事のように,構造物に関する興味深い逸話がある場合,一般にも積極的に紹介していくべきと考える.
((株)ダイヤコンサルタント 宮口直巳)

小牧ダムの景観を否定するわけではありませんが,建築家である山口氏の関与の内容がはっきりとはわからないという小牧ダムを指して,「技術者と建築家のコラボレーション」,「山口の作品」と称するのには疑問を感じました. また,デザインの素晴らしさを説く記事であれば,対象の写真ももう少し配慮した方が良いと思います.
(東京都 浅井重政)

現代においては,構造物の景観を考えることは必要不可欠となっていますが,大正時代に建築家のデザインを取り入れたダムがあったというのには驚きました.同時に,これからの社会においては,いろんな分野同士の協力が今まで以上に必要な時代がやってくるだろうと感じました.
(信州大学 豊田政史)

海外リポート 香港における鉄道高架橋建設工事
まず非常に短期間の工期で驚いた.工期が短い=手抜き工事に繋がる,といった懸念もあるが,検査も杭の全数について実施するなど,非常に厳しいもので,好感が持てる.我が国でも,本当に必要な事業には,短期集中で整備するシステムが必要ではないだろうか.
(中国地方整備局 増本信宏)

香港における土木工事は日本よりも多くの部分で進んでいる.これからの日本の土木工事において参考にすべきところが多くあると感じた.
(岡山大学 平川陽介)

香港における建設工事の工程管理,品質管理等を紹介しており,非常に興味深く読ませていただいた.また,高架化による騒音低減に積極的に取組んでいたり,景観についても充分に検討されているとのことである.このようなリポートは海外の土木情報を知ることができ,とても有意義であると感じる.
(西武建設(株) 辻田陽一郎)

連載「緑」第5回 緑が川の生態系を守る
河川における植生の様々な役割を改めて認識させられた.本来の自然の流れにおける河川の変化と人間が手を加えた河川の変化が植生にどのような影響を与えるのかを把握することが重要だろう.一方,植生を変えるために人間が手を加えて行く中で,自然にゆだねることの大切さも明確にしておく必要があろう.
(山口大学 樋口隆哉)

我々が合理性をもって「良い」と判断しているものが,長い大きな目でみると実は様々な不備があるとのことを思い知らされるとともに,先人たちの知恵,先見性に驚嘆をおぼえる. 環境問題に接するたびに,土木技術者として今自分たちがなしていることが環境系全体の中においても,さらに将来的にみても「良い」ことであるかを問う姿勢を絶えずもっていなければならないことを思い知らされる.
(鹿島建設 藤井秀樹)

河川と植生
河川の植生が,洪水などの河川そのものの特性と密接に関係している事が実証的に描かれ,非常に興味深かった.現在の河川管理が,災害だけでなく親水性の視点を取り入れた形で行われているが,今後も河川に対する人々の注目を高めるような手法や取り組みが行われることを望んでいる.
(苫田ダム工事事務所  尾崎 精一)

興味深い分野なのですが,一つ一つの説明が当たり前のことすぎて,かえってよく分からないという印象を受けました.
(匿名)

河川における植生が,洪水による攪乱を頻繁に受けて破壊と再生を繰り返すという「復元性」の話が興味深かった.文中の写真から,その復元性がよくわかる.なんだか「生の一部としての死」という感じである.一方,外来種が侵入すると,在来種による多様な生態系や景観が変わってしまうとのこと.それも,治水工事による洪水の減少が外来種の侵入を容易にしているという.洪水の抑制という一見河川環境を維持しているように見える作用が,実は河川の植生を完全なる死に追いやっているということか.自然はタフにしてデリケートであると感じた.ここに,ひとつ疑問がある.外来種が侵入すると,在来種が駆逐され,河川環境が大きく変わってしまう.これはわかった.では,それでも放っておいたら,河川環境はどうなるのだろうか?外来種が激増しても,最終的にはもっとスケールの大きな復元性によって,結局在来種と外来種が共存する形でバランスがとられることになる,というような都合の良いことにはならないのだろうか?
(京都大学 中島伸一郎)

近年 河川環境が重視されていますが,本記事は河川植生を中心に初心者にもわかりやすい内容となっています.河川植生の機能や現在の問題点を具体的に解説されており,今まで自分の中で漠然としていた河川環境および河川生態系の大切さがきちんと整理できました.
(京都大学 山上路生)

伝統工法の再評価
この記事を読んで自然と土木の共生を今まで以上に考えさせられました.現在ではほとんど見かけなくなっていますが,これが本来の土木ではないかと感じます.耐用年数や強度などは気になりますが,今回の現場検証として経年変化を追っていましたが,さらに研究を重ねて多く普及されることを願っています.
(東亜建設工業株式会社 技術研究所 材料・構造研究室 宮坂 尚樹)

我が国の伝統工法である粗朶沈床が自然河川においてはコンクリートブロックを使用した工法に較べて機能的に有利であり,環境保全にも効果があるとのことで,自然との共生を志向した現在の社会風潮にも合致しており,興味深く拝読しました.ところで,昨年の学会誌8月号の海外リポートにラオスメコン河での粗朶沈床の試験施工の記事(「メコン河での粗朶沈床の試験施工 松木氏」)がありましたが,こちらはラオス国内で資源,労働力が確保できるとして日本の伝統工法を導入されたとのことです.
国内とは別に国外にも目を向けてみると伝統工法の活躍の場もまた新たな展開をみせるのではないかと思われました.
(電源開発株式会社 川ア昌三)

新しい情報の収集,新しい技術の学習に励むことで一歩一歩前進してきたかと思っておりました.しかし,伝統工法を再評価する必要性をこのトピックで知らしめられました.先人達の知恵をなかなか勉強する機会が少なくなってしまったこの頃,土木学会誌にてこのような機会が持てることは大変うれしく思います.このような伝統工法は,日本では,熟練工の不足,しいてはそれが人件費の問題へとつながり実現が難しくなっていることも耳に入ってきますが,日本を離れてラオスで適用されていると聞きます.このような発想へとつながるように知識として蓄えていきたいものです.
((社)国際建設技術協会 安永 良)

近自然工法について その検証例を写真を用いてわかりやすく解説されていました.今後 機会があれば 実際に現場や材料をこの目で見てみたいと思います.
(京都大学 山上路生)

外からみる土木 第3回 金融工学編 土木的金融工学とは?
ファイナンスという面から土木プロジェクトにアプローチされており,興味をもって拝読しました.そもそも土木プロジェクトは大規模投資かつ1度きりの(全く同じものはない)場合が多いことからリスクやファイナンスに対する評価は自然となされてきたと思われます.(ただし,論理や数値的な分析だけでなく経験的な面も重視されてきた分野であることも事実です)今後これらに対する評価手法が多様化するにしたがい,我々もプロジェクトに適した評価手法を選定することになるでしょう.そして,そのような時代がもう目の前に来ていることを実感する文章でした.
(鹿島建設 横尾 敦)

土木技術者は土木技術のみ担当する時代から,プロジェクト・ファイナンスの知識と経営感覚も身につけた土木技術者が必要な時代が来ていることを痛切に感じました.特に「官」に携わる者こそ,効率的にプロジェクト運営を図るための感覚が必要だと思います.
(中国地方整備局 増本信宏)

ライフサイクルコスト最小化については今の時代は,全ての分野について言われていることであり,土木だけの命題ではありません.これからのエンジニアは自分の専門分野だけでなく,このような金融工学,経営工学を学ぶ必要があると思います.という事は判っているのですが,個人的にはなかなかそこまで手が出せずにいて少しあせりを感じているところです.
(東洋エンジニアリング(株) 菅原紳二)

土木の分野の人間がこれから活躍していくためには,ファイナンスも身に付けていかなければならないと私も思います.土木技術者は,単に技術的な面だけではなく,国民のためになる事業をいかにうまく進めていくかという役割を持っているので,今後ますます習得すべき分野が増えていくでしょう.それをどう受け止めるかは個人個人によって違うでしょうが,私は,興味を持った分野から徐々に広げていく努力を続けていくことが大切だと思います.
(東京大学 中西雅通)

今号の外からみる土木は,一見土木とは無関係と思われながら実は結構,接点があるという意外性があって非常に興味深かった.今後もこのような特集を望む.
(日本道路公団 小松功征)

現在の土木分野における就職難の状況は年々厳しさを増しており,学生である私も日々肌で感じております.このような中,この記事にも書いてありますように,土木の専門性を超えて外へ出て行く必要性がある,との意見には私も共感を得ております.土木を学ぶ学生が,将来その専門に留まる,留まらないにかかわらず,土木という枠を超えて他の世界に足を踏み入れ,多角的に物事を捉える能力は,社会的にもますます求められていると思いますし,私もそうありたいと感じました.
(室蘭工業大学 菅野昌生)

表題の「土木的金融工学とは?」の言葉が魅力的だったが,記事内容は肝心の金融工学についてあっさりと流しすぎているような印象であった.一般的な「金融工学」のより具体的な説明がほしい.
金融工学につきもののターム,例えば”デリバティブ”や”リスクマネジメント”に関する説明もあればなお良かった.
記事後半の「PFI」は少なくとも直接的に金融工学に関係しないものと思われる.土木構造物建設におけるライフサイクルコストの評価に金融工学的手法を用いるとしてもそれは建設マネジメントの一環にすぎず,「土木的金融工学」ではないことに留意すべきであろう.
いずれにしても土木技術者は,一般的な金融工学,もしくはファイナンスの知識の取得についてもっと貪欲になる必要があり,その意味ではこのような記事は基調である.
((株)ダイヤコンサルタント 宮口直巳)

金融工学が構造物の維持管理戦略に適用可能であるという話を例として,一見,馴染みの薄そうに見えるこの分野が,土木工学にとって如何に重要であるのかを,非常に分かりやすく説明されていました.また,筆者の「自分の所属を超えて外に出て行く必要がある」という考えにも,非常に共感を覚えました.金融工学は,水理学や土質力学等と類似した数学的基礎を有しており,土木技術者にとっては,比較的すんなりと受け入れられ易い分野の1つだと思われます.今後も引き続き,多様な分野の方からの意見を掲載し,土木技術者に対する問題提起を行って頂ければと思います.
(東京工業大学 福田大輔)

この記事によって,最先端の契約手法や融資制度を理解することができた.公共事業への風当たりが強く効率性・経済性の視点が重視されている今,事業企画そのものを担保とする建設マネジメントシステムは,事業者・金融機関の双方がプロジェクトに参加することで,成功へのインセンティブが最大限発揮できる手法だと考える.
PFIやPIなど,今後「土木」と「経済」という別々の分野の形で扱われてきたものが,融合することで,ソフト・ハード両方の視点からも魅力ある公共事業が展開されていくのではないかと思う.
(苫田ダム工事事務所 尾崎精一)

最近の新聞報道によると,首相が公共事業の硬直化につながるといわれている長期計画を廃止・縮小するとともに,事業規模も十年前の水準へ抑制するよう指示したという.このように厳しい状況であるが,今後の公共事業を考えていくうえで今回の記事は一つのヒントとなる.つまり,近年ますます投資とそれに対するリスクとリターンを審査する目が厳しくなっており,それは税金を使った一種の投資である公共事業でも例外ではないということである.土木がとかく世間の批判の矢面に立っているのは,これまでの公共政策があまりにも政治的手法に頼りすぎていて,納税者という投資家の納得が得られていないことにも原因がある.プロジェクトが厳選されていく今後は,土木技術者にも金融のノウハウが一層求められていくことから,そのような教育プログラムの拡充が必要と感じた.
(関西電力 嶋田隆一)

一見,土木の分野から離れた分野と思われる金融工学であったが,劣化プロセスといった不確実な部分を定量化するアプローチには,両者に共通するものがあるということを具体的な例から知ることができ,大変興味深く読ませていただきました.本編でも述べられているように,自分の所属する分野だけでなく,他分野からの観点をふまえた多角的プロフェッショナルを目指せとのご意見,今後の物事に対する取り組み時に心に留めておきたいと思います.
(大阪大学 谷本泰雄)

土木分野以外の話なのでとっつきにくいと感じた.図を多く,大きく用いてよりわかりやすく,興味が湧くようにしてほしかった.
(岡山大学 平川陽介)

土木に関係する金融工学の概要を簡潔にまとめてあり,非常にわかりやすい記事であった.特に,「日本の将来にとって何が必要なプロジェクトなのかを考えるのに,一番良い位置にいるのが土木の学生である」という点には,全く同感である.
(関西電力 松本明男)

金融工学やポートフォリオの本を数冊所有しているので,個人的に内容が想像しやすかったのかもしれませんが,記事が取材形式なので,記述の目的とその内容が対応するので読みやすく,良かったと思います. ただし,考え方の定義などの解説が割愛されているので,誤解が生じるかもしれないという余計な心配をしてしまいました.
(東京都水道局 小作好明)

学生のページ「外から見る土木」について.小林真五さんのプロフィールが無いのはなぜでしょうか?同じく学生のインタビュー記事である「土木とコミュニケーション」には浅海さんのプロフィールが載っています.学生のページの2記事について,インタビューされる方の名前が目につきにくいと思います.インタビュアーの名前はタイトルの下に大きな文字で独立して載っているからわかりやすいですが,インタビューされる方の名前は「はじめに」の文中にしか出てきません.
(京都大学 中島伸一郎)

「ただし,土木は,その広さゆえに土木の専門能力を外から見る目が不足している気がします」と言う小林氏の言葉にはドキッとさせられました.まさにその通りだと思います.今後もこの「ドキッ」とさせられるような記事を期待します.
(国土技術政策総合研究所 岡田知也)

国際協力に携わる土木工学を勉強された方と接する機会が割と多いのですが,インタビューを受けられた小林真五さんのご意見「理系から文系に転向するのは簡単ですが・・・.」を他の方からもよく耳にします.業務で使う・使わないは別として知識として身につけておく必要もあるのではと常日頃感じております.今後この1回に限らず,別の形ででも「金融や経営に携わる方々と土木」といった切り口で連載できるのであれば,非常に有効な勉強になるのではと思います.
((社)国際建設技術協会 安永 良)

金融工学と土木の関わりあいは,プロジェクトを進めてゆく上で必要であると実感した.これは,効率性や経済性に影響するものであろう.特に,採算性やライフサイクルコストに対してシビアになってきている中で注目されてくる分野だと感じた.
(西武建設(株) 三村 卓)

土木とコミュニケーション 第1回 まずは,聞いてみよう!
  公共事業に必要なコミュニケーションとは
現在,日本においても,都市計画上での住民参加が重要な位置を占めつつあるが,どのようにして反映させていくかといった具体的手法は,まだ確立されていないように思える.記事の中ではアメリカでの都市計画が紹介されているが,根本にあるのは,どのようにして行政と住民との間における立場や考え,情報の格差を如何に減らして双方が満足できる形の都市計画を行っていくかであり,行政と住民の他にコーディネーター役の第3者機関を設けるというのは,興味深い手法だと思う.
(苫田ダム工事事務所  尾崎 精一)

とても興味深い内容でした.アメリカでは社会における人材の流動性が高く,NPO⇔民間⇔行政というように立場を変えて働くことがよくあるため,お互いの考えを理解し,協力関係を築く助けになるというのは,非常に理想的な姿だと感じました.最近,行政でも「アカウンタビリティー」という言葉を頻繁に使っていますが,行政の仕事を説明する際,住民の方には全く一般的ではない言葉を並べて,結局説明する機会を作ったことに満足しているのでは?と思うことが少なからずあります.相手の立場や気持ちを察しながら,対話型行政を進めるよう努めることが,これからの時代は重要であると改めて思いました.
(匿名)

近年,日本においてもPI(パブリック・インボルブメント)などの住民の意思を反映させるような施策が行われていますが,未だ行政と住民との意思の疎通が充分図られているとはいえない状況にあると思います.「住民参加が当然」であるというサンフランシスコの事例が掲載されていましたが,行政と住民とのコミュニケーションを円滑にすることが職務であるファシリテーターの重要性は,今後日本においても大きくなるのではないでしょうか. 今後の記事が楽しみです.
(室蘭工業大学 菅野昌生)

公共事業計画に関わり,また影響を受ける全ての人が話し合いに参加し,意思決定をし,計画を実行していくという作業は,地道で根気の要る作業であると思う.しかし,そこからは,価値ある公共事業が生まれるだろうし,またそれ以上に地域社会にプラスの成果が生まれると思う.
(名古屋大学大学院  山本佳士)

土木に限らず,あらゆる公共事業に関して,住民から行政および専門家までの各層間のコミュニケーションが求められており,とくに学生のページの企画として,本シリーズが始まった意義は大きいと考えます.
(東北大 理 地理 村山良之)

これからの公共事業には,住民の意見を反映させるためのコミニュケーションが必要であり,公平性を保つためには全ての住民とのコミニュケーションが必要と考えられるが,現実には限定された人としかコミニュケーション出来ないと考えられる.いかにしてNIMBY問題などの弊害を取り除いて,住民の意見を反映させていけるかが,重要な課題として認識しなければならないと思う.
(本州四国連絡橋公団 貴志友基)

どのような事業を行う場合でも,関係者の利害が一致するとは限らず,何らかの調整を行う必要がある.この記事で浅海氏が述べられている事には,実務的にそういう調整を行う場合に,非常に役に立つ知見が多いと思う.特に「“全体像の理解”を共有化する」ということや,「何が客観的事実で,何が価値観によるものかを峻別する」ということなどは,自分の経験に照らしても非常に重要であると思う.ただし,事業者サイドからの情報提供では信用されない場合も想定されるため,今後アメリカの例にあるように,ファシリテーターの会社が日本でも重要視される可能性は高いし,その重要性をきちんと認識する必要があると思う.
(関西電力 松本明男)

公共事業を行う際の住民・行政のコーディネートについて,「世田谷区都市整備公社まち づくりセンター」の浅海氏へのインタビュ−記事でした.
氏の経験に基づく,海外事例の紹介や,実際のコーディネートにおける「心得」等,公共事業に携わる東京都の一職員として,改めて,自らの住民とのコミュニケーションの在り方を考えさせられました.
今回は,第1回目ということですが,次回以降も期待しています.
(東京都 浅井重政)

学生の視点からいろいろ質問することは,その専門外の社会人にとっても基本的な知識の習得や状況の把握に役立つと思う.
(山口大学 樋口隆哉)

公共事業に限らず,人と人のコミュニケーションにおいては,「相手の意見を良く聞き,言葉の裏にある本当の気持ちを汲み取る.」ということが大切である.日常のコミュニケーションで,自然とそのような態度がとれていればいいなと思いました.
(信州大学 豊田政史)

新企画で好感をもった.今後の展開にも期待したい.
(西武建設(株) 三村 卓)

近年,公共事業に対する住民意見の反映や協力の必要性からPIの重要性が認知されてきています.本記事でのコミュニケーションに関する手法,方法論には非常に勉強させられました.特に,記事に示された心得には,正直,はっとさせられました.
学生のページでの記事と思えない含蓄のある記事と感じました.
(西松建設(株) 土屋光弘)

社会的熟度は異なるものの途上国を舞台として行われる政府開発援助(ODA)においても住民参加を求め今まで以上に地域の人々の意見を計画に反映させるような工夫が求められています.その点で浅海氏の指摘は参考になるものでありました.また,政府開発援助で求められている公平性及び透明性にも通じる議論の一助ともなる内容でした.引き続き制度や技術のみでカバーしきれない土木事業に必要なコミュニケーションとは何かという視点からの本シリーズに期待します.
(国際協力事業団 山田好一)

話の広場  土木について最近思うこと
いろいろな考えや思いを紹介されていますが,残念ながら論拠がよく分かりませんでした.
(匿名)

今,公共投資の大幅削減,道路公団等の民営化など,土木に関係する部分で大きな動きがありますが,これらの根底にあるのは「土木+公共投資=談合/わいろ」というようなイメージが社会的に出てきているからではないかと思っています.もちろん,公共投資を否定するものではなく,必要なところにはお金をかけるべきだと思っています.問題なのは土木社会の閉鎖性ではないでしょうか?昔は中小の会社で仕事を分け合う必要があったために談合/賄賂が必要だったのでしょうが,時代は変わります.小さな会社でも何かひとつ強みを持って自分の力で仕事を取ってくる.それが出来るような土壌を作る(政治家の力を利用して不公平な状況を作るような事を許さない)事が今必要なのではないでしょうか.競争は強いものが勝つ.弱いものはどうすれば勝てるかに知恵を絞り,必要な方策を採る.(当然法を犯してはいけない)きれい事かもしれませんが土建社会が発展していくためには変わっていく事が必要です.
(東洋エンジニアリング(株) 菅原紳二)

最近の土木に広がる閉塞感を踏まえ,そこに明るい希望を見出そうとする筆者の姿勢には共感する部分もあります.しかし,土木の明るい将来を望むという思いが一人歩きしつつある現状に多少の危うさを感じます.例えば,高レベル廃棄物の処理施設について「この方針がはっきりしていないことが原発反対の大きな理由の一つとなっている」とあり,筆者はそのニーズに応えることに土木の存在意義の一端を見出そうとしているようです.ニーズがないのに物をつくるというのは論外ですが,仮にニーズがあったとしてもそれに応えるべきなのかを考えることから始めるべきではないでしょうか.そして,今の例で言えば,原発は推進されるべきだという結論に達したときのみに初めて存在意義が肯定されるのであって,それはあらかじめ仮定されるべきではないのだと思います.
(東京大学 中川善典)

近年,公共事業に対する批判が高まっているなかで,この記事を拝読させていただき,考えるものが多かった.公共事業によって受ける社会的恩恵からも,公共事業自体を一方的に批判することはできない.著者が述べられているように,今後も土木に期待される分野は数多くある.今後の土木について自分の立場から考えさせられた.
(大阪大学 谷本泰雄)

「いささか出すぎた議論して不快の念をもたれた向きもあったかもしれないが,・・・・・・」という記述がありましたが,用語だけが並んでいて,やはり不快な感じを受けてしまいました.
(東京都水道局 小作好明)

私の不勉強のため,論旨を理解することができませんでした.3つのテーマが挙げられていましたが,それぞれについてもう少し具体的に書いていただけるとわかりやすかったと思います.
(京都大学 中島伸一郎)

土木に明るい未来を見出したいのは当然であるが,これだけ危機的状況に追い込まれながらも,他の産業に比べて一番動きが鈍いと感じるのはなぜであろう?体質の改善に対して,土木界のトップや中央が断言し目指していることが土木界全体として機能していない.これが体質と言われているそのものであるような気がする.
(竹中土木 近 信明)

議論が飛躍していて理解しづらかった.
(西武建設(株) 三村 卓)

話の広場  エンジニアリングエコノミストへの道
社会人となった今思い返してみると,学生時代ほど時間が自由になる時はなかったと思います.自分の学生時代も,社会人枠の大学院生は,勉強への取り組み方が違っていたことを思い出しました.自分のキャリアアップのために,新しい一歩を踏み出すのは勇気がいりますが,得るものも大きいという意識を新たにされた気がします.
(匿名)

私も学生といわれたときから,十数年経つが著者の言うような単に目の前の業務をこなすという状況に陥っている.「社会経験なしに進んだ10年前の大学・大学院生活では,何を勉強すべきかもわからない状況でいわれるままに大学院を含めて6年間を過ごした気がしないでもない.」というのは私以外にも共感できる人が多々いることと思う.学生時代のあの頃は,なんとなく周りにいわれるまま過ごし,本当にやりたいことが出来なかったと思う.著者の様に再度,社会人という立場から「学ぶ」という機会を与えられたら,きっと今度は本当に自分がやりたい事ができると思う.
著者の貴重な体験談を今後に生かしたいと思う.
(日本道路公団 小松功征)

筆者が建設コンサルタント会社で実務経験を積んだ後,エラスムス大学の修士課程に1年間在籍されたことについての投稿記事であった.「海運・物流経済学」という分野は耳慣れないものだったが,講義カリキュラムや留学中の生活スタイル等について,興味深く読ませていただいた.
(本州四国連絡橋公団 遠山直樹)

理論と実際の研究がバランスよく行われているエラスムス大学海運・物流経済学専攻の実情を知ることができ,非常に参考になりました.このような海外留学に関する話題は,若手のエンジニアや研究者,学生にとって,非常に有益な情報であり,かつ,興味深いものだと思われます.一方で,こうした留学にまつわる体験情報は,先輩からの口コミ等によってしかなかなか知ることができないことも事実です.今後も定期的に,先輩方の体験談を掲載して頂ければと思います.
(東京工業大学 福田大輔)

社会経験を経てからの大学院入学,海外留学の話であった.自分は大学院で学んでいるのであるが,現在行っている勉強や研究が将来どのように役立つか分かりにくい状況である.一度,社会に出てから再び大学院などで学べば,目的が鮮明になり,得られる成果も大きくなると期待できる.大変,魅力的で興味深い話であった.
(名古屋大学大学院 山本佳士)

一人の人間の生き方として,大変勉強・参考になりました.社会人になってから学ぶことの大変さ.そして意義の高さを教えられた気がします.
(函館高専 川口貴之)

本と私
ローマ人による社会基盤の定義「人間が人間らしい生活を送るために必要な大事業」を読み,現在の日本の社会基盤整備が「日本人が日本人らしい生活を送るために必要な事業」となっているか自問自答してみました.建設投資の縮減や効率化が叫ばれる中,本当に必要な社会基盤整備を選択する上で,ローマ人による社会基盤整備の定義がとても参考になるのではないかと思います.
(東亜建設工業(株) 薄井治利)

「本と私」「この本」はいつも楽しみにしている記事である.特に今回は,自分が読書中の「ローマ人の物語,塩野七生著」が取り上げられていたので興味深く読んだ.記事の中で紹介されているように,本書は,ローマの歴史を通して,国家とは?統治とは?社会基盤とは?などについて考えさせてくれる.第10巻が土木学会の出版文化賞を受賞したのも,そんな実用書的な面がとりあげられたからだと思う.しかし,そんな四角い読み方ではなくともこの本は十分に面白い.エンターテイメントとして面白い.カエサルはモテたが,アウグストゥスはそうでもなかったなど,ミーハーな部分も楽しい.そのまま漫画にしてもいいんじゃないかと思うくらいである.それは,登場人物が実に生き生きと描かれているからであり,史実と史実の隙間が著者のたくましい想像力によって補間されているからだと思う.塩野七生は「自分は歴史学者ではなく,歴史を題材にした物語作家である」というようなことをどこかで書いている.この意識こそ本書を面白くしている源であると思われる.
(京都大学 中島伸一郎)

若い自分にとって役立つ.今後関係する方面の歴史を勉強したい.
(名古屋大学 伊藤 睦)

本と私のコーナーは気楽に興味深く読めるので今後とも続けてください.
(国際協力事業団 山田好一)

付録 土木学会平成14年度全国大会案内 年次学術講演会プログラム
今号は全国大会の案内が大半を占めていたためか記事が少ないという感じを受けた.今後,最新技術の適用例の紹介と既存技術との比較を判りやすくまとめた記事を載せていただけるようにお願いします.
(東洋エンジニアリング(株) 菅原紳二)

全国大会の案内についてですが,持ち運びしやすいように別の冊子にしていただきたかったです.
(東京大学 中西雅通)

今月号に年次学術講演会プログラムが掲載されていましたが,少々見難く感じました.人数が膨大であるため,これ以上文字を大きくしたり,紙面の枚数を増やしたりすることは難しいかもしれませんが,「発表者は文字の色を変える」ですとか,「掲載する情報を限定して見やすくする」など,少しでも見やすくするための工夫があっても良いのではないかと思いました.
(室蘭工業大学 菅野昌生)

以前は全国大会案内は別冊製本されていたが,昨年から本体と一体化されたのはコスト削減の観点から望ましいと考えます.最近はどうか分かりませんが,会場に行くとその別冊とほぼ同じ内容の大会案内の冊子を受け取り,ずいぶん無駄だなと思った記憶があります.プログラム等はホームページでも入手し印刷できるので,なるべく省資源に努めて欲しいと思います.
(関西電力 嶋田隆一)

プログラムの掲載は,別冊とした方が使い勝手がよくて有用性が増すと思う.また,紙の質は落とすべきである. 
(西武建設(株) 三村 卓)

学会誌全般へのご意見,編集委員会への要望等
ホームページに学会誌のバックナンバーを紹介してありますが,さらにさかのぼって紹介していただけると有り難いと思います.また,キーワードでバックナンバーを検索出来るようにすることは出来ないものでしょうか. 
(東京コンサルタンツ株式会社 今度充之)

土木学会誌の縮刷版CD−ROMは発刊されないのでしょうか?個人的に欲しいもので・・・.
((株)ダイヤコンサルタント 宮口直巳)

自分の専門外の記事など,毎回興味深く読ませて頂いております.毎月,海外の技術リポートや最新の技術リポート等が載せられており,学生の立場から大変勉強になることも多いです.しかし,以前から感じていたのですが,過去の失敗事例からも学ぶべきものがあるかと思います.そこで,最新技術等と同時に,様々な工事における失敗事例とその理由及びその対策等をリポートしても有意義ではないのかと思いますが・・・
(北海道大学大学院 社会基盤工学専攻 迫井裕樹)

今回,CG関連の記事があり大変興味深く読ませていただきました.今後も取り上げていただきたいと思いました.
(岡山大学 平川陽介)

全体的に興味深い記事が多く,すばらしい内容だと思います.
ただし,「エンジニアリングエコノミストへの道」P.60右段4行目の表現「片手落ち」は,編集で改めるべき表現であると思います.(この記事の内容も大変面白かったですが)
(東京都 浅井重政)

土木といっても広範囲に渡り,自分の専門以外の記事はちんぷんかんぷんのことも多々ある.少なくとも特集についてはキーワードの用語説明を付けていただくとありがたい.
(山口大学 樋口隆哉)

やむをえないとはいうものの,やはり「時局を論ずる」などがないと物足りない気がします.
(電源開発株式会社 川ア昌三)

読者の意見を反映して特集や新シリーズのスタートなど,その柔軟性はとてもすばらしいことと思います.そこで,1つ提案させていただきます.「外から見る土木第3回」と同じ内容になりますが,金融関係や経営関係に土木がいかに関わっているのか,今後どのように関わっていくべきかを今月号のインタビュー形式で特集が組まれると,現在土木を専攻している学生が将来を考える場合や若手土木技術者の参考になるのではないでしょうか.この特集では金融関係はこの1回だけのようですが,日本政策投資銀行だけでなく,国際協力銀行や民間の銀行,コンサルタント会社や建設会社の経営者等で活躍されている土木関係者はいらっしゃると思います.
((社)国際建設技術協会 安永 良)

最近の学会誌は,手のかかったおもしろい記事が増えているように思われます.
(信州大学 豊田政史)

文言だけでなく写真が豊富にあると,とても親しみやすい記事となります.今後も引き続き写真の豊富な掲載をお願いします.
(清水建設 遠藤和雄)

並列計算の特集を組んで頂きたい.
(名古屋大学 伊藤 睦)

来月号の特集記事に加え,年間もしくは半年ごとの,特集記事の計画を記載していただきたいとおもいました.
(西松建設(株) 土屋光弘)

学生向きに土木にかかわる仕事の現場の生の声(ゼネコンやコンサル 鉄道 公務員)をを掲載する企画を考えてほしいです. また それら(ゼネコン コンサル 公務員)の仕事上のつながりや関係(例えば橋を作る際,どの部分をどこが どのように担当するかなど)を解説してほしいです.就職を考える上で非常に参考になると思います.
(京都大学 山上路生)

外からみる土木/話しの広場 土木について最近思うこと
土木技術者は,本来きわめて専門性の高い素晴らしい科学的アプローチを行っている.あるいは非常に有利な立場にいるとの小林氏の指摘は我々にとっていささか誉められ過ぎの気はあるものの大いに自信を与えられる言葉でありました.と同時に驕ることなく専門性を磨きかつ自分の専門性を超えて外に出ていく必要ありとの指摘は心に突き刺さるような言葉でした.結果として柳田氏のこれからの土木技術者は広い社会常識をもつ必要があるとの指摘に通じるものがあるとの印象を強く受けました.これからも異文化の方とのインタビューを通して新しい視点からの将来の土木を見直すことが大切と考えています.
(国際協力事業団 山田好一)

編集委員会より読者の皆様へ
6月号に対して寄せられた「会員の声」に対する編集委員会からの回答です.以下に掲載した他に多くの企画提案および表記の改善提案をいただきありがとうございました.これらのご意見については個々に回答はいたしませんが,編集委員会で検討させていただき,今後の土木学会誌に生かして行きたいと考えております.


【ご意見・ご要望】
編集機動班のメンバーはほとんどが,大学の教官をされている方々だと思いますが,素人肌の方がメンバーにいてもいいと思います.各号特集は,いかにも「コンクリート」だったり「交通計画」だったりと,枠がきっちり囲まれているような印象を受けるので,せめて土木の中だけでもクロスオーバーしてほしいと思います.
(東京大学大学院 田中泰司)

【編集委員会からのお答え】
現在,機動班は,4班あり,各班とも7名程度です.また,各班の構成は,大学関係が2〜3名で,残りが官公庁,ゼネコン,コンサル等のメンバーで構成しております.
従いまして,大学関係に偏ったメンバー構成ではなく,産学官のバランスのとれた構成にしているつもりです.ご指摘の件につきましては,枠にとらわれない編集に心がけたいと思いますので今後の参考にさせて頂きたいと考えております.


【ご意見・ご要望】
本誌では句読点がピリオド(.)とカンマ(,)で統一されていますが,ぜひマル(。)とてん(、)に変更していただきたいと感じています.理由は,(1)カンマの「ヒゲ」が細いので,ピリオドと見分けがつきにくいこと,(2)マルがあると,文末であることが見た目にも鮮明で安定感があるが,ピリオドはそれが弱いこと,の2点のため読みづらく感じることです.変更が難しい事情があるのであれば,せめてピリオド,カンマとも現行よりひと回り太く大きい活字にしていただけないでしょうか.好みの問題という面もあると思いますが,他の会員の皆様はどう感じていらっしゃるのでしょうか.
(鹿島建設 吉田 輝)

【編集委員会からのお答え】
ご指摘の句読点の形や大きさの変更は,校正や印刷会社のフォント等の関係から早急な対応は困難と考えております.しかしながら,現在,土木学会では来年の1月号から学会誌の体裁をリニューアルすることを検討しておりますので,句読点についてもより読みやすい観点から検討して行きたいと考えております.


【ご意見・ご要望】
本号は興味深く読ませていただきました.合意形成論などはある意味社会文化的なものですが,土木技術者こそ必要であると思います.今後も是非色々な切り口から土木を論ずるような記事の掲載をお願いします.
(JPOWER電源開発 大島寿哉)

女性が働いている現場の紹介や,女性が実際に事業に携わったプロジェクトのレポートを掲載してもらいたいです.土木系女子学生の就職状況は厳しいですが,頑張っている女性の姿を紹介してもらいたいです.
(東京大学大学院 金田尚志)

【編集委員会からのお答え】
いずれも,記事の企画についてのご提案と考えますので,今後,各担当者が企画案を作成する際の参考とさせていただきます.



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