土木学会誌9月号モニター回答
土木構造物と芸術性の問題を今問うにあたり、誰が、どういう資金で建設するか、ということは関連するのではないか。我々も、景観に配慮した構造物を多く取り入れているとは思うが、芸術性ばかり重視できない事情はある。建設段階のみならず、メンテナンスを考えても、費用の面で芸術性は足かせになりうるのではないか。公共の建物には、芸術性が高いものもあるのでは?では、その評価はどうだろう…(主として大きすぎることが批判されるが…)
悲しいが、芸術性も費用に見合わないとされていないだろうか?芸術性が費用に見合う、というコンセンサスを得るため、「時局を論じる」ではないが、主体的に論じる「学」にならないと、悲しい状況のままなのだろうと思う。
(鉄道・運輸機構 水越 潤)
表紙の橋に目が釘付けになりました。まるでアスレチック!!シュツットガルトは、なんて素敵な歩道橋がある街なんでしょう!橋自体のデザインが素晴らしいのですが、それ以上にその橋の存在のバランスの良さに感心しました。このようなデザイン性の高い橋は、六本木ヒルズのような人工の街よりも、緑溢れる公園を背景にしたほうがずっと魅力的に感じます。今、再開発で新しい街がどんどん出来ていますが、そこに感じる微妙な居心地の悪さは、バランス感覚の欠如から感じるものと思います。新しいだけの街、若者だけの街、がこれ以上出来ないように願います。
(畠中淑乃)
『「物言わぬ学」は「学」ではありません.』というタイトルはショッキングでした.私たち土木技術者が「社会に対して貢献する」という信念を持って仕事をしているとしても、何も情報を発信しなければ世間からは全く評価されないということを、このタイトルは見事に指摘していると思いました.これまで情報を発信していないつもりはありませんでしたが、それはついつい業界内にとどまってしまいがちになっていたことは否めないでしょう.私たち学会全体が、どのように広く世間一般の方々に情報を発信していけばいいのかをきちんと議論することを始めなければならないと感じました.
(東北学院大学 石川雅美)
行財政改革・公共事業に関する話題においては、非常に明確なわかりやすい表現で示している。周りから見れば、日本の問題点などこれほどに明確であるかと感じさせられる。
そして、今予想される問題点を提起し、それをやむなしとしつつも、「議論しない我々」を問題点としているところに、共感を覚える。
(鉄道・運輸機構 水越 潤)
日本の公共部門の現状は、指摘のとおり、誰も最終的な責任をとらないでよいシステムになっている。現在のような低成長時代であればあるほど、長期のリスクを最小にする決断が必要であり、その決断の責任をとることもまた必要であると思われる。そのためには事業評価システムのように毎年、公共事業の仕組みを徹底的に分析し、反省点をフィードバックし、新たな仕組みを構築しなければならないと感じる。
現在の日本の状況を的確に予想できた人はたくさんいるとは思うが、行政でも、政治でも産業でもない「学」はそのために何ができるか(できたか)という視点はなかったのだろうと思います。なにができるか(できたか)というより、何が悪いかという風潮である(あった)ように見受けられます。「学」も含めて、自分にもなにができるか。そのためにはどうあるべきか。
「JSCE2005」では残念だといわれていますが、日本のこの社会システムの中で権威ある「学」の苦渋の選択ではなかったのかなと思います。「学」がものをいう勇気がないのではなく、情報があまりにも少ないため、また、旧来の日本のシステムや現状維持志向の日本の風土に染まっていたための結果で、その反省点を踏まえることのできた「学」にはこれからも期待したいと思います。
(日本道路公団 北畑雅義)
タイトルは「『物言わぬ学』は『学』ではありません」となっていますが,「学」だけではなく,全ての人に向けた厳しいご意見だな,と思いました.「自分は誰に,何に貢献するために仕事をしているのか,自分の仕事を世の中の役に立てるためには何をしなければならないか,ということを常に考え,そこに立ちかえりながら行動するのがプロでしょう?」とおっしゃっているのだと私は理解しました.
某テレビ番組で,村づくり実験をやっているコーナーがありますが,それを見ている限り,土木というのは畦道を造ったり,溜め池を造ったり,井戸を掘ったりと,もともと農業の補助のためにあったもののような気がします.家単位だったものが村単位になり,より便利になるように,より安全になるようにと造るものもだんだんと大きくなった結果,造ることが一番得意だった人が選ばれて,村人に対価をもらいながら土木を専門にやり始めたのでしょう.そう考えると,私たちに給料を与え,ご飯を食べさせているのは,会社や役所などの組織ではなくて,地域の住民だということになり,私たちはこのことを再度認識しなおさなければいけないと思いました.
(ショーボンド建設(株) 小牟禮建一)
マサチューセッツ工科大学のリチャード・デネフビル教授、アムステルダム大学のカレル・ヴァン・ウォルフレン教授、いずれも日本の国家構造の問題点を的確に指摘しており、彼らの鋭い洞察力には感心させられるとともに、「学」の自立や情報発信の必要性も同時に感じさせられた。日本の土木学会においても、「行政」や「政治」、「産業」に左右されない基盤を確立することが重要であり、「行政」や「政治」、「産業」に歪みがあれば、それに警鐘を鳴らすとともに、問題解決に向けて積極的に情報発信すべきであると思う。
(本州四国連絡橋公団 杉本 健)
土木工学は、総合工学、総合大学だったのではないか、という言葉に、非常に強く同意します。土木に限らず、各学問はどんどん細分化され、自分たちの専門では一流だが、各専門を統合して総合的にとらえることを担う存在がないことは問題であると思います。この役割を総合工学である我ら土木なら担うことができるのではないかと思います。
(東京大学大学院 応用力学/岩盤研究室 浜谷健太)
この学会誌のトップを飾る記事は、はっきり言ってこの業界に属する者にとっては多少なりとも耳の痛い話だ。しかし、これからの時代この様な外部からの意見を今まで以上に真摯に受け止めなければいけないだろう。この記事は確かに「学(土木学会)」に対しての提言という形を取っているが、もっと広く土木そのものの今後のあり方を問うているのではないか。今一度、初心に戻って「何の、誰のための土木か」を考えてみたい。
((株)ドーコン 野田敬一)
釧路沖、仙台の地震、さらに9月下旬大地震説の流布など、地震防災に関心が高まっている時だけに、タイムリーな特集となった。しかも専門家だけでなく町長、新聞社論説委員、NPO代表など、学会外の考えや対応があり、幅広い内容となっていて、親しみを感じた。
(山梨日日新聞社 深沢健三)
特集「地震防災と社会基盤整備」を興味深く読ませていただいた.
東海地震・東南海地震・南海地震は,ここ数十年の間に確実に起こると言われている.これに対しては,個人の地震防災に対する意識レベルを高めるのは言うまでもなく,現段階において地震に強い社会基盤整備を総合的・計画的に推進することである.
確実に起こると分かっている以上,それで建造物に壊滅的な被害が生じたとしても,それはもはや自然災害とは呼べない.地震に弱い建造物を造った我々技術者による人災である.確実に来る地震への着実な対応は,我々土木技術者に課せられた重要課題とあらためて痛感した次第である.
(中央復建コンサルタンツ(株) 小阪拓哉)
9月に土木学会全国大会が四国徳島で開催されるにあたってその特別討論会のテーマを「地震防災と社会基盤整備」とした経緯や今後30年以内に起きる確率40%という「東南海・南海地震」の過去の被災事例や予想される被害を提示して,「どういう対策が必要なのか」を我々読者にも考えさせる記事であった.
とてもタイムリーな記事であると同時にあらためて地震は逃れられない恐ろしいものであると感じた.そして,この全国大会を契機として地域住民へもこういった情報が発信され,地震に備える心構えを芽生えさせる事こそ土木学会の重要な役割のひとつであると思った.
(西松建設 矢部昇一)
防災から減災へ施策の基本戦略が移ってきたという五軒家町長の指摘は、一般的に認知されているかわからないが、説得力があった。
私自身、一時、防災施策の末端で実務についていたことがあるが、立派な防災計画を作ってもその実現には予算が追いつかないだけでなく、地元の反対があって、現実味が感じられないことがあった。減災であれば、多くの人の賛同と参加を得られそうだし、施策の優先順位付けについても広く、意見を言い合えるのではないかと期待する。
(匿名)
もう15年位前のことだが、東海地震が起きると言われ、原子力発電所などの重要構造物の耐久性についてマスメディアが取り上げていたことを思い出した。その時、私はまだ土木の世界とはつながりがなく、何も知識のないまま興味本位で記事に目を通していた。そんな私でもその記事を読むことで、メインテナンスの難しさや、莫大な補修・維持費用がかかることを知識として受け入れることが出来た。地震は何時起きるかわからないが、それに対する備えとして必要ならば、可能な限りのお金をかけるべきだろうと考えた。
最近大きな地震が頻繁に起きており、マスメディアでも地震特集が組まれている。発生予測や事前対策、被害予測等内容は様々だが、その中には構造物の耐震性について論じているものもあった。「昔の耐震基準で建てられた構造物には補強が必要で、例えば小学校を一校補強するのに費用がいくらかかる。」といった内容で、コメントとしては「結構な金額がかかるのだな。」、「必要なら仕方ない。」といったものがあった。結論として、工事の必要性が受け入れられていた。
本特集中、2002年全国大会でのパネリストの発言に、「土木界はもっとマスメディアを利用してアピールするべきだ。」とあったが、その通りだと共感する。実際、15年前の私や前述のコメンテーターがそうであったように、何をしているのかを理解することで正しい評価が可能になる。残念ながら、現在マスメディアで取り上げられる建設業界の情報は、マイナス面ばかりが目立っている。耐震補強の重要性をアピールした先の例のようなプラス面を、土木界から発信できれば、一般市民の理解も得やすいのだろうと考える。
(三井住友建設 小出孝明)
職場で構造物の耐震設計等に関する記事や文献を見る機会が良くあるのですが、今回の特集を読ませて頂き、地震防災はハードだけでなくソフトも含めて多岐にわたることを再認識しました。例えば、東南海地震・南海地震・東海地震、それぞれの地震が同時あるいは少しの時間のずれによって発生した場合の耐震設計のあり方といった問題は、やみくもに設計地震動を大きく設定するのではなく、地震防災全体における位置付けや役割を意識しながら検討する必要があることを強く感じました。
(本州四国連絡橋公団 鳥羽保行)
四国も南海地震が近くに起こるといわれていて、地震防災対策が急務とされているが、首都圏、特に、神奈川や静岡も、東海地震が近いうちに起こるといわれていて、四国と同様な状況にあります。地震防災に関する研究が進み、たくさんの成果が徳島の学会で発表されることを期待します。
(東京大学大学院 応用力学/岩盤研究室 浜谷健太)
この夏、国立歴史民族博物館で行われた企画展示「ドキュメント災害史(地震・噴火・津波、そして復興)」を、小学生の子供と一緒に見てきました。
そこで、印象に残っているのは、江戸・東京を襲った3度の地震(1703元禄地震、1855安政江戸地震、1923関東地震)での地区別の震度分布と500年前の地形の見事な整合性でした。そこでは、年代、地震タイプが異なっても、平川と呼ばれた神田川の旧河道から日比谷の入り江につながる低地などでは、震度が3度とも顕著に大きくなっていました。
地震防災のための社会基盤整備のあるべき姿を考える時、それぞれの土地の持つ固有の履歴や災害の歴史を、今一度再認識することが必要ではないでしょうか。例えば、過去の地形からみて震度が相対的に大きくなることが予想されたり過去に大きな災害を蒙った地区では、土地利用計画で、人口密度を低く設定しオープンスペースの割合を高めたり、建物の耐震基準を上乗せする等の配慮を加える等が考えられました。
(パシフィックコンサルタンツ株式会社 木田川誠司)
今年度の土木学会全国大会における特別討論会テーマを標記の題とした経緯や選定理由をまとめたものである。
この中で、私が特に関心をもったのは、「災害に教えられた安全都市設計〜リダンダンシーの確保」である。先の阪神・淡路大震災の時、物流がストップした際、東日本と西日本を結んだのは、敦賀周り(日本海側)の高速道路や国道であった。その物流について、当時のマスコミの論調は、もしもの時のために、迂回路(つまり、リダンダンシー)が必要だ!とのことであった。しかし、世の中の流れは、採算性重視に傾いてきている。この文において、責任ある議論を展開したいとあるが、私も土木学会には大いに期待したい。
土木学会の役目として、何かあったときにその検証を行うことも重要であるが、事前に様々な想定を行うことにより、社会基盤整備の必要性の説明や現状の整備状況に対する警鐘といった『予防』の面についても、強調することが重要であると思われる。このモニターの声が掲載される時には、全国大会は終了しているが、『社会基盤整備のあるべき姿』は、今後の土木学会の方向性をも左右する大きな命題だと思う。
(日本道路公団 田之脇良徳)
本記事から,地震防災と社会基盤整備のために土木技術者が果たすべき責務を改めて認識した.同時に,その責務を果たすことは決して容易ではないことも強く感じた.その理由は,国民と土木界との折り合い,個人と公共,市民と行政,自助・共助と公助などの対立の構図で説明されているとおりである.
恐らく実際の対立の構図は言葉で示すように単純な関係ではなく,複雑にいろいろな利害が絡み合っているはずである.これらに一つ一つ取り組むことは困難であると思うが,"できること,できないこと"をはっきりと明示し,よりミクロな視点で議論することが重要になってきていると思います.その意味では,学会や会社などの組織の構成員である個人がどこまでパフォーマンスを発揮できるのか重要になってくると思う.
(東電設計(株) 高橋秀明)
土木学会全国大会・討論会の内容をまとめることによって、土木学会と一般市民の間にある「距離」を表現している点、土木学会の現状と、その問題点を痛感させられた。ダムや高速道路などの公共事業に対する批判から、地震防災に対する世間一般の関心度の低さまで、こうした現実を踏まえて、孤立してしまっている「土木」がこれから何ができるか、何をなすべきか。2003年徳島大会の特別討論会に期待したい。
(岡山大学自然科学研究科 井保大志)
9月は防災関連行事が例年多いが、今年はテレビでも地震関連の特集番組が多いように思う。学会誌でも今月の特集は地震防災との事で、全国大会開催中に北海道では十勝沖の地震および津波が起こり、土木関係者の大地震に対する関心は今までになく高くなっていると思う。しかし、実際に地震が起きた瞬間は、土木技術者も一市民であり、まずは自分および家族の命、それから周りの人たちを助けなければならないのに、現実には自分が住んでいる地区の避難場所さえ知らない事に気づいた。過去に災害を受けた、本特集記事で紹介されている地区においてはもっと市民の防災意識は高いのだろうが、今回の十勝沖地震でも、港に船の様子を見に行ったり、津波警報が出たことを知って津波見物に来た人がいるという報道を聞くと、災害時にどう行動すべきか、正しく理解している市民はほとんどいないのではないか、とも思う。防災教育にやりすぎという事はない。地震が起きたらどう行動すべきか、各自が考える機会をもっともっと作らなければならない。
(大成建設(株) 今枝拓也)
これまで地震防災に関して、構造物の耐震設計といったハード面による対策にのみ関心を奪われがちであったが、行政面からのソフトによる防災対策の必要性、及びその有用性について、わかりやすく理解することができた。
((株)大林組 村井大亨)
特集記事全体を通して,今私たちがどのような地震の危険にさらされているか,というのが良くわかりました.特に第二章では,今私たちにできる,ソフト面での災害に対する備えについて触れてあり,行政に頼りすぎることなく,個人と地域の防災意識が非常に重要であることを教えてくれています.
私自身はこれまで地震災害を直接体験したことはなく,地震によってどのような危険があるのかすら良く知りませんでした.「知らない」ということは「甘く見てしまう」ということに繋がりやすく,このような学術的な視点からの防災知識といったものを,継続的に,広く国民に(もちろん土木学会員以外を含めて)伝えていくことは大切だと思います.8月号のモニターの声にも書かせていただいたのですが,これはやはり土木学会の重要な使命だと思います.
(ショーボンド建設(株) 小牟禮建一)
阪神淡路大震災以降市民参加による防災まちづくりの必要性は多くの人によって叫ばれている。しかしながら、市民参加型の取り組みが見えてくるのは小さな地方都市ばかりで、大規模な被害が起こるであろう大都市では、自治体中心の防災まちづくりが行われているような気がする。それは人口が多いため積極的に市政、県政にかかわっていない人にはわからないだけなのかもしれない。しかし、多くの人が市民参加型の行事を行っていると言われても、実感が湧かない人がほとんどであろう。このような海南町の取り組みなどを紹介するとともに、大都市でも多くの人がこのようなことに関っていく必要があるという警鐘をならさなければならないと感じた。また、そうなるような雰囲気作りをメディアを使って行っていくことが必要なのではないかと感じた。
(横浜国立大学 桝谷有吾)
町長の津波に対する脅威の体験と自らに課した重い責任を読み取りました。判断力を培うことに努められている。また、被害を軽減するため、住民の自衛、自主避難が最も大切であると述べられている。
さて、土木技術はいかなる情報を提供できるか。ハザードマップの作成、避難経路、避難場所の指定、地震発生後に起こる津波、山崩れ、地震水害等発生のメカニズム解明と予見等これまでに多くの情報の蓄積がある。いかにしてわかりやすく伝えることが出来るか、未解明な事項はどのような形で表現し伝えるか、土木技術の役割を改めて考えました。
また、災害発生後の救助、復旧のため、交通のリダンダンシー確保を緊急課題としてあげている。
大規模地震発生後には交通機能障害が予想されるため、人、物の輸送路に複数の経路、交通手段を有しておくことが有効である。土木技術は交通計画の分野で多くの蓄積があり、これらを震災対策に活かしていくことが求められていると思う。
(復建エンジニヤリング 樋口邦治)
一連の特集「地震防災と社会基盤整備」記事の中で、とりわけ自治体側からの発言に興味を持った。地震工学の専門家とも、企業の技術者とも違う、市民側の代表者であり地震防災の対応責任者という立場。そこには、逃げも隠れもできない現実に、前向きに向かい合っている、力強い印象を受けた。机上の空論ではなく、現実に何が出来るのか。このような問題意識が、地域住民に浸透することが、本当の意味での「地震防災」であると思う。
(岡山大学自然科学研究科 井保大志)
まず、著者が専門知識を有しないという点が非常によかった。学会誌の中でも最近このような試みが多く行われているのは、よいことだと思う。広く多方面からの意見を取り入れることができるからである。
本稿に示されているとおり、1995年の兵庫県南部沖地震以来、一般の人々の地震に関する関心は高くなり、個人住宅の耐震診断など、防災意識は高まってきていると思う。ただ、一般の人々が誤解している部分も多々あるのではないだろうか。あるとき、地震について友人と話す機会があった。その友人はいわゆる地震について
の専門知識は有していなかった。その際に話題に上ったのが『震度』である。その当時はまだ、震度は気象庁が決めた震度階が使われており、私が友人に、「場合によるが、震度は気象台の担当者が地震の体感度で決めている。だから、全てが正確な値ではない。」と話したところ、その友人は、そんなはずはないだろうと一笑した。なぜなら、友人曰く、「新聞にはよく『この地震の規模は、震度○○』と書いてある。地震の規模は震度で決まるのだから、そんないい加減な(語弊があるが)ことがあるはずがない。」とのことである。「それは震度階といって」と説明したが、なかなか理解が得られなかった。
一般の人たちの認識は、メディアによって形成される部分がかなり大きいことにあらためて驚いた。ある意味では報道されている事柄に対して、疑いをもつことはほとんどないといえるのではないだろうか。私自身もそのような部分がある。
本稿の中に土木技術者は減災について、メディアをフルに活用して、具体的にわかりやすく、住民に語りつづけることが重要だというくだりがある。まさしくその通りだと思う。土木の専門家として、どのような地形が災害に対して脆弱なのか、構造物に対してどのような耐震化、免震化が行われているのかを、簡単に誰でもわかるような平易な言葉で伝えることが必要である。防災問題については、メディア側も一般市民に与える影響を十分考慮して、慎重な報道がなされるべきであると考える。
(大成建設 福田隆正)
津波地震の脅威を思い知り、また現代は一人一人の知識の幅が狭まっているということを感じた。また、災害時は地域の助け合いが重要となり、常日頃からの近所づきあいも大切だと思った。
(土木研究所 河川生態チーム 野間優子)
昨年、ある都市公園で防災公園基本計画を行ったが、やはり計画は行政が主体で行ったが、実際に災害時に行動するのは地域住民(自治会等)しかない。災害時の行動について、地域全体が情報を共有し協力することが大切だが、昨今の都市部ではコミュニティが希薄で、なかなか情報の共有が難しい面もある。
防災関連事業は他事業と比較すると住民の関心度は高いため(説明会等を行っていても、他の事業とは参加者の興味の度合いが違う)、計画段階から地域住民を上手く取り込み、計画策定後も地域内の交流が継続するような事業展開が出来れば良いと思う。
(土木研究所 河川生態チーム 野間優子)
現状の耐震設計技術は熟練されていて、高水準のものであると思っていたが、まだまだ未解明な分野があり、また、現状の技術においても発展の余地がまだあることを感じた。
今後ますます耐震技術が発展し、迫り来る巨大地震が最小限の被害に留められる事を期待するとともに、自分自身の更なる技術向上を図る必要を切に感じた。
((株)大林組 村井大亨)
東南海・南海地震の津波被害について、興味深く読ませていただきました。そのなかでも特にハード防災とソフト防災という言葉が非常に印象に残りました。
大地震の被害をハード防災だけで軽減させようと思えば、恐らく100年や200年でも完成しないと思われます。地震大国に住む土木技術者として、何百年かかってもそれらを整備していく必要があると思いますが、今、目の前に来つつある大地震に対して被害(特に人命)を減らすためには、ソフト防災が非常に重要であると感じました。
そのために我々土木技術者が何をしなければいけないかというと、この話題を学会誌だけにとどめず、広く世間に知れ渡るようにすることだと思います。例えば土木学会の費用を使って新聞に広告を出して見るのも良いかも知れません。
(清水建設 藤田 淳)
「津波災害とその対策」は、過去の津波の状況の解説から始まり、現在の地震の発生確率、想定される被害、そして危機管理まで、実に迫力のある文章で筆者の訴えが明瞭に綴られています.被害状況の記述は実に具合的であり、身近な防災対策が急務であることを強く印象付けられました.この記事の中で興味深いのは、「自分の命は自分で守る」、「自分のまちは自分で守る」という記述です.これは、図らずも「物言わぬ学」の記事の中で佐藤氏が指摘する「マザーコンプレックス国家」からの脱出することと同じ意味合いとなっています.防災をきちんと考えることをベースに、成熟した市民社会への形成に学会が先導的な役割を果たすことが出来ないでしょうか.
(東北学院大学 石川雅美)
誰もが知っているとおり我が国は、地震国である。そして地震に伴う津波の来襲も多い国である。私自身も業務で北海道南西沖地震後に、津波災害対策に関与した経験を持っている。津波発生から4ヶ月後に奥尻島を訪れた時に見た光景は今の脳裏に焼き付いている。まち(青苗地区)一つが無くなっていたのである。今回の記事と自分の経験から、何時、どの様な規模で起こるか分からない津波災害に対して確かにソフト対策が一番有効だと思う。しかし現地に住んでいる人にとってハード対策(その時は津波防波堤)が一番求められている事であったのも事実だ。モノが作られる事で、現地の人は安心するのだ。ただこれで安心してもらっても困るのである。万一に備えた準備(ソフト対策)の徹底がいざという時の助けになる。このハードとソフトの調整を取るのが一番重要であり、行政サイドだけではなく我々土木技術者全員が今後更に勉強していかなければならない分野の一つと考える。
((株)ドーコン 野田敬一)
今流行の海洋深層水ではあるが、現在の需要はどれぐらいあるのだろうか。下甑村のような交通の便が悪い場所で取水して、輸送コストを考えてもライバルである他地区に勝つことができるのだろうか。まだ販売は始まったばかりで、実績数値は出せないのかもしれないが、「工事費の低減を図ったことで製品の価格競争力に寄与した」ならば、事業見通しと販売価格を示してほしいと思った。
(大成建設(株) 今枝拓也)
昨今の不況を都市部においては,それほど感じることはありません。しかし,地方都市の郊外に行くとシャッターの閉まった店が数多く見られ,人の数も少なく活気がないように感じられます。特に,人の数が少ないと非常に寂しい感じがします。下甑村のように人口が40年前の4割程度に留まっている過疎化に悩まされている地域において,この記事で紹介されたような新規産業が興され,地元産業界と町村が主体となって体制が整えられることで,地域全体の活性化につながれば非常にすばらしいことだと思います。特に,今回のプロジェクトの場合には,従来通りに鉄線鎧装ポリエチレン管を用いた場合には予算不足であったが,硬質ポリエチレン管を用いることでコスト低減を可能にし,プロジェクトを実現させたことがすばらしいと思います。しかしながら,従来,国や県の補助金によって十分な資金のもとでなされてきたプロジェクトでは,この記事で示されたような工夫がなされていなかったことが浮き彫りにされたような気もします。
(京都大学 林 芳樹)
海洋深層水の概念は以前から聞き及んでいますが、その具体的進展についてはなかなか情報に接する機会がありませんでした。本文では鹿児島方式と題して、その特徴、海洋深層水の課題などを的確にまとめており、大変興味を覚えました。我が国が海洋国家として有する資源を思う存分活用する思想は、まさに時宣を得たものとして大いに評価されるべきものと考えます。
また、地域活性化のために関係する者、興味を有する者、共感する者を広く取り込んだ「鹿児島方式」は、日本のどこでも事業実施が可能であることを証明しました。海洋深層水の将来性は無限であり、これらの開発に携わる方々の御健闘を祈る次第です。
ところで、以下につき不明な箇所がありました。重要な点でありますので、文中で言及されるとよろしかったのではないでしょうか。
(1)「補助金交付を必ずしも前提としない」とありましたが、往々にして補助金目当てに何かしようとする傾向が強い中で、誠に説得力のある前提だと思います。ところで実際には補助金は受けたのでしょうか。
(2)「鎧装ポリエチレン管方式」は高価であり、「硬質ポリエチレン管」を採用した、とあります。表-1では、前者の経済性の欄が「きわめて安価」と記されており、他の3種に比較し最も経済的とも読めますが、いかがでしょうか。もしそうだとすれば、他の設備も含めると高価となる、と言う意味でしょうか。
(3)敷設工事、施設施工が2003年4月に完了したとありますが、最も興味あるのは、この海洋深層水をどう事業展開するのかということでしょう。現状ではミネラルウォーターの生産・販売のみで、他は現在検討中とのことですが、一般論として、事業を展開するには投資対効果の事前評価がなされる必要があり、そのためには具体的な個別の事業を視野に入れた計画とすべきではないでしょうか。
(国際協力事業団 矢部哲雄)
海洋深層水は安定した水の供給が出来ると思うので、小さい島など雨水を貯めておくことが出来ない土地などでは、多いに利用されていく技術ではないかと思います。そのため今後様々な地域で海洋深層水に関するプロジェクトが行われていくのではないかと感じますが、その際のひとつのプロジェクトの"方式"に鹿児島方式が定着できるようになれば良いと思います。そのためにも、現在海洋深層水といえば室戸海洋深層水を思い出しますが、こしき海洋深層水もその名を全国にとどろかせてほしいと感じました。
(横浜国立大学 桝谷有吾)
よくCMなどで流れている海洋深層水は飲料水メーカーがやっているのではなく、その地域自治体が行っているものとは驚きだった。しかもそれが地域振興となっているとは考えたものだと思った。村にも金が入り、若者の働き口もできる。これからの地域振興はこのように大規模なものになっていくのであろう。
(岡山大学大学院 古谷隆志)
環境の時代である今日、環境性に優れた構造物の必要性が増加している。そのような中、斜面スリットケーソン堤のように、従来の構造物と比較して使用性・安全性を損なわず、環境性・耐久性・経済性に優れた構造物がとても重要になってくると思う。また、従来のスリットケーソンに藻場造成機能を有すなどし、積極的に環境に配慮した構造物なども存在する。そのような構造物の開発・普及に対してより投資される必要があると思う。
(横浜国立大学大学院 加藤 大)
斜面にすることにより作用する波力の鉛直成分を滑動・転倒の抵抗を増大させることができ、その結果ケーソン自体の自重を低減できることは興味深い。高耐久性埋設型枠により通所のコンクリートより維持管理、廃棄物処理の観点からも有利とあるが具体的に高耐久性埋設型枠とはどのようなものであるかを書いていただけると良いかと思う。
(鹿島建設株式会社 竹内章博)
現在、スリットケーソンは藻場造成機能を有するものなど様々な形が考案されてきています。昔は性はブロックが多く使われてたイメージがあり、小さいころ海に行ったときなぜコンクリートの塊が海の中に乱雑にあるのか不思議でたまりませんでした。しかし今では形なども消波ブロックに比べとても美しくなっていると思います。将来的にはコンクリートではなく、海の中にあっても不思議ではないようなもので防波堤の役割を持つものができれば良いと思います。
(横浜国立大学 桝谷有吾)
近年、工場跡地の汚染土壌浄化工事についての話題をよく耳にすることから、興味深く読ませて頂きました。
従来の調査方法は、汚染土をサンプリング、室内での分析試験により汚染物質の特定、汚染の分布範囲を確定するため、時間、経費を要するのに対し、このCPT手法による調査方法は、任意の箇所でリアルタイムに汚染物質の検出ならびに、汚染範囲の調査が可能であることに感銘を受けた。本文中には記述がなかったが、対象土の種類によらず、試験が可能であれば、益々汎用性があるものになると思った。今後の発展、普及に期待したい。
(三井住友建設(株) 川又啓介)
土壌汚染対策法ができて実際どのような調査をするのか疑問に思っていたので、写真入りで最新手法を確認できてよかった。しかし、調査に精通していない私には、この手法がまとめにあるように「効率的で経済的な調査」であることは理解できなかった。機会があれば、そこも噛み砕いて説明していただきたい。
((財)東京都新都市建設公社 宇野久実子 )
海外プロジェクトについて知る機会が少ないため,本記事を大変興味深く拝見させて頂きました.特に,入札時に代案提案を認められていなかったこと,それにも関わらず代案検討を行い,それを結果的に認めさせたことなど,ご苦労された話は興味深いものでした.それにしても,なぜ代案提案が認められない入札だったのでしょうか?近年は代案提案も含めて入札させ,コストを下げるのが一般的と思っているのですが,その辺りの疑問が最後まで解けませんでした.
(電力中央研究所 佐藤隆宏)
入札時の代案提案が認められていないことに加え、指定工法であるニューマチックケーソン工法を実質的には不可能と判断したにもかかわらず、諸々の企業先の裏事情に勝算を見出し、入札に踏み切ったとある。結果的に代替案が認められ、立坑工事を無事完了されたことはJVのリスクマネジメントの質の高さを物語っている。代替案の内容もこれなら企業先も納得であったろうと想像できるほど原案と比べてすっきりとまとめられ、施工数量も大幅に小さくなっているのが分かる(少々原案に無理があった感はあるが)。建設している発電所の稼動の是非が台湾国内で議論になっており、先行きが不透明であるようだがせっかく苦労して作ったモノが使われないのも担当者にとっては寂しいものがあるだろう。この発電所が稼動し、台湾のさらなる発展に寄与することを願う。
(西松建設 和田 淳)
日本ではあまり見られない(私が知らないだけかもしれませんが)入札後の大幅な設計変更の実施例として、興味深く読ませて頂きました。入札後の変更が認められるかどうか不透明な段階における変更を前提とした原設計による入札、入札までの短期間での施工検討、入札後の施工検討費用と期間、原発という特殊な施設の設計変更に対する発注者側の承認及び関係部署への調整等、様々な課題を抱えた大変難しい工事であったと推察します。本記事では施工完了までに課題となった点は簡単に触れられていますが、特に設計変更に関する課題に関しては、多少詳細な情報も含めて頂きたいと感じました。
(本州四国連絡橋公団 鳥羽保行)
実績のない代案承認を実現させたプロセスには技術者の強い信念を感じた。抗日記念碑の建つ土地での両国の技術者による共同プロジェクトが、過去への蟠りを少しでも解いてくれればと思う。
(鹿島建設 松尾 元)
聞き慣れない難しいキーワードがたくさんあり、読みづらかった。技術的な面で工夫・苦労した点や、種々の契約のより詳しい説明が欲しかった。
((株)大林組 村井大亨)
BOTプロジェクトに関する本記事ですが,通常のプロジェクトとは異なり,非発電設備は建設完成時に地元の電力公社に譲渡され,運用・点検等を行う点に,BOTプロジェクトにも色々な手法があるものだと興味を覚えました.また,リスク低減や品質管理に関しても詳しく報告されており,大変為になる記事でした.
(電力中央研究所 佐藤隆宏)
この記事に掲載されている写真の画像が少し荒いことが残念でしたが、日本の電力会社として初めての海外水力発電事業に参画した記事として非常に興味深く読ませていただき、プロジェクトを推進するにあたっての契約方法やリスク管理について学ぶことができました。今後も海外においては様々なプロジェクトがあるものと予想され、国内では経験したことのないような方法でプロジェクトを進めていかなければいけなくなると思いました。そのため、技術的な話以外についても勉強する必要があると思いました。
(清水建設株式会社 太田智久)
今年、日本電力会社の海外での運転も含めた事業(IPP)への進出が話題となっています。相手国と電力会社の共通の便益のもの、さらなる進展が期待されます。日本の発電、運転技術は世界のトップと認識しており、相手国への技術移転がなされれば、人材育成が良質な電力を生産することに疑いはありません。
本件がIPP事業の第一号と聞き、意外な気もしますが、関係各位の感慨はいかばかりか、その御苦労に対し敬意を表したいと思います。その御苦労については、本文ではあまり触れられておりませんでしたが、随所にあったことであろうことは容易に想像されます。その点が知りたいところでした。また、以下の項目についても興味があるところです。
(1)IPP事業の日本電力会社にとっての意義は何でしょうか。また、今後の見通しはいかがなものでしょうか。
(2)「工事費・工期を固定するLump-sum契約」としていますが、ダム建設は自然条件の不確定要素がつきもので、よほどの事前調査がないとリスクがきわめて大きくなります。その点は十分だったのでしょうか。
(3)近年、ダム式水力発電は環境保全上問題となることが多く、非常に重要なテーマと認識します。本件ではどんな問題があり、それをどうクリアしたのか、知りたいところです。
(国際協力事業団 矢部哲雄)
海外でIPP(独立系発電事業者)事業を行う。方法は水力発電でダムは発電以外にも灌漑や洪水調整、水質改善という多目的に利用される。そのような大規模なプロジェクトをマネジメントするのは日本の電力会社から派遣されている土木をはじめとする技術者達。PPAやEPCやLump−Sum契約など本文の中に数々の英語の頭文字が出てきます。日本国内での事業主体=発注者という形では到底経験することができないような、膨大な調整をはじめ、さまざまな障害を乗り越えられてきたことと思います。日本でこういう形のマネジメントが出来るのかどうか、著者の方の私見でも結構ですから知りたいと思いました。
(大阪府庁 岡田敏男)
私も数年前に南郷洗堰を見学に行ったことがあるので、本記事を個人的に懐かしく拝見させて頂きました。
まさに土木遺産というにふさわしい美しさであったと記憶しています。それにしてもなぜ、昔の(といっても昭和30年代以前くらいか)土木構造物は美しいのであろうか、と考えてしまう。
この南郷洗堰は約100年前の施工であるが、構造物の設置目的は現在と同様であり、設計施工技術はもちろん現在の方が優れている。また当時特に景観設計を行ったとも思えない。もちろん過去の美しいものだけが残されて「遺産」となっているという事はあろうが。現代土木技術が、土木構造物をだめにしたのであろうか?現在作られている堰は100年経ったら「土木遺産」になっているのだろうか。
この種の記事に出会うたびに、土木設計に携わるものの1人として考えざるを得ない。
( (株)大林組 佐村維要)
この記事では、道路や河川等の他のインフラと違い、通常は「見えにくい下水道」を「見える下水道」として、下水道の役割(さらには水循環への貢献)をわかりやすく体験できる施設として開設された愛知県下水道科学館の紹介です。著者も言及しているように、下水道は一度使われ始めると空気のような存在となってしまいがちで、通常はあまり意識されないものです。しかし、空気がなくなると一大事であるのと同様、下水道もなくてはならない施設です。さらに、都市の(あるいはさらに広く流域圏の)水循環を考えていくことは、循環型社会を実現する上で必要不可欠です。それらのことを発信していくことはきわめて大切なことであると考えられます。その意味で、このような施設の果たす役割は大変大きなものであると言えます。この施設は小学校や中学校などの体験学習等にも使われているのでしょうか? それらのことも紹介していただければ、と感じました。
(山口大学工学部 今井 剛)
確かに僕自身も「下水道」に対して、深く考えてみたことはなかったです。実際にこの施設を体験すれば、水の循環などについて考えることができ、得られるものも大きいと思います。近年、土木という言葉からいいイメージが持たれることは少なくなっていますが、このように、自覚することがないレベルで日常生活や暮らしを支えているのが土木なのだということを知ってもらうためにもいい場であると思います。
(京都大学 玉谷宗一朗)
一般人に土木がより身近になる企画はとても良い。
(東北工業大学 中居良行)
箱根には自宅から車で1時間半(すいていれば)ほどで行けるため、1年に数回は行く機会があります。いつもこんなところをよく走っているなと思っていますが、大正9年にできていたとは知りませんでした。そんな昔にどのような工事を行ったのか、想像を絶するものだったと思います。早川橋梁建設中(木製総足場)の写真が載っていましたが、まさにチャレンジスピリットを感じました。
現在、土木の世界も機械化が進み、いろいろな難工事ができるようになりましたが、まだまだ限界を超えなければいけない工事がたくさんあります(特にコスト面で)。チャレンジスピリットを常に持ちつづけ、厳しい時代を生き抜いていくしかないと思いました。
(清水建設 藤田 淳)
気になっていた路線である。有り得ない線形、勾配。それでいて時代が古すぎる。驚きである。恐らく、あのスペースでは書ききれないほど、見るべきところはあるのだろう。当時の建設方法、という観点でもっと見てみたいものである。
(鉄道・運輸機構 水越 潤)
建設時の早川橋梁の写真を見て、昔の支保工はすごい、とつくづく思う。大型クレーンもない時代、知恵と人力で作り上げたのだろうと想像すると、昔の土木技術者は発想が豊かだったんだろうな、と感じる。ただ、こぼれ話欄を読んで「架設完了後、暴風雨で足場が流されきれいに無くなった」との話が本当ならば褒められたものではないが、それがありだった時代をうらやましくも感じる。
(大成建設(株) 今枝拓也)
記事の中に「豆知識」や「こぼれ話」などを入れることで誌面にメリハリができて、非常に上手く作られているなあと感じます。また、地図を見ながら「一口メモ」で観光コースなどが紹介しているのも、現地に行ってみたくなる読者を増やす工夫がされており良いと思います。
(東亜建設工業 目黒葉子)
ここで紹介されているリサイクル橋梁などは非常にすばらしいアイデアであり,かつそれが実践されていることがすばらしいと思います。この他にも,すばらしい土木構造物は数多く存在すると思います。しかしながら,私たちはそれらを知らないことが多いと思います。これに対し,建築物は著名なものも数多く存在し,それらを大学の講義などで体系的に教育していることも多いと思います。そこで,土木の魅力を伝える一つの手段として,土木遺産について教える講義があってもいいのではないでしょうか?
(京都大学 林 芳樹)
ポピュラーな観光地である箱根を支えるインフラに関して,知られざる話題(例えば,早川橋梁は天竜川橋梁を移設したもの,等)が提供されており,"へぇ〜"を連発してしまいました.
(電力中央研究所 佐藤隆宏)
箱根登山鉄道ではありませんが、以前、山の中などを通る鉄道に乗車して、線路の周りの環境や橋梁、トンネルなどの土木構造物を見て先人たちのエネルギーに非常に驚きを覚えた記憶があります。私はまだ、箱根登山鉄道には乗車したことはありませんが、機会があれば箱根ゴールデンコースを周ってみたいと思いました。
(清水建設株式会社 太田智久)
普通の列車と異なり、圧着ブレーキやふく進止め装置など見えないところで急勾配を走行するための技術をはじめて知ることが出来、大変面白く読ませていただいた。しかもそれらが100年以上も前に作られたものであることに更に驚かされる。未だに横をとおるだけで一度も乗った事が無かったので、今度行く機会があれば是非景色だけでなくこれらの先人のチャレンジスピリットを拝見したいと思う。
(鹿島建設株式会社 竹内章博)
何度も乗っている箱根登山鉄道。どうやって橋を造ったのかなあと漠然と思っていたので、建設時の早川橋梁の写真を見ることができてうれしかった。「設計に際し、自然の姿を損なわないことを念頭においた」というのは観光を意識していたからだろうが、長く人々に愛される結果を生んだのだと納得した。
((財)東京都新都市建設公社 宇野久実子)
現在でも、多くの観光客を乗せて走っている箱根登山鉄道だが、自分も今まで、何気なく、他の電車と同じように当然のように乗っていました。しかし、この記事を見て、数多くの独特な工夫がなされていることを知り、とても驚きました。また、その技術が100年も前にすでに作られていて、しかも今に至るまで使用されていることの素晴らしさを感じました。
(東京大学大学院 応用力学/岩盤研究室 浜谷健太)
ちょっと考えれば当然のことであるが、山に鉄道を通すことは多くの技術を必要とするものであり、こういった鉄道の技術が土木技術の発展に大きく貢献してきたのだろうと感じた。こういった技術のおかげで、乗っている人側の私には分からないところで私を支えてくれていることに感謝の気持ちを覚えた。
(岡山大学大学院 古谷隆志)
自然と人間の共存は必ず必須。常に緑と共に明るい未来が欲しいものです。
(東北工業大学 中居良行)
非常に気持ちのよさそうな,家族連れでのんびりできる感じがして,一度行ってみたいと思いました.ただ,単に公園紹介にとどまっており,もう少し土木的なアプローチがあっても良かったのではないかと思います.
(ショーボンド建設(株) 小牟禮建一)
本稿で紹介されている養老公園は非常に自然が豊かであり,これを上手く活かしたつくりになっているように感じました.中でも興味を惹かれたのが「養老天命反転地」であり,近年,テーマパークで平行感覚を失わせるような錯覚を用いた施設をよく見かけますが,このような大規模なものは初めて知りました.養老公園内の養老天命反転地を作成する際のコンセプトというか,設計思想について詳細に知りたく思います.また,この不規則な凹凸地形などを(芸術として)維持するための管理方法について記載されていればと思いました.
(広島大学大学院工学研究科 海田辰将)
連載企画・・・現場、に期待します。8回の予定は既に立っているのですか?
((財)東京都新都市建設公社 宇野久実子)
現在連載されている現場のコーナーは、学生がリポートしていて、質問の内容の観点が似ていて、同じ学生という立場の私にはとても良いです。
(東京大学大学院 応用力学/岩盤研究室 浜谷健太)
スポーツやイベントが行われる施設は、建設されたものであり、設計、建設のときには現場の方のさまざまな工夫や努力があることを知りました。今回はサーキットであり、しかも観客やドライバーの命にかかわる場でもあることから、さらに細心の注意が必要だったと思います。今後はテレビなどでスポーツなどの施設を見るときには、どういった工夫や技術がいるのかな、などと考えながら見るようにしたいと思います時速300kmを超えるマシンが走るのだから、道路はやはり一般道とは違うのだろうなと思っておりましたが、同様であると知り、びっくりしました。
(京都大学 玉谷宗一朗)
サーキットの舗装概要やツインリンクもてぎのコース概要などが平易に書かれていました。舗装厚や舗装構成,コースの幾何構造,ターンの曲線半径と片勾配との関係などについて,もう1歩踏み込んだ解説がなされていればより良いレポートになっていたと思います。
((株)コスモ・インテック 富永哲也)
普段テレビで見ているサーキット場、特に舗装について詳しく掲載されており興味深く読むことができた。車・ドライバーの才能を最大限に活かし、安全にレースが行えるためにも、舗装というものが重要であると改めて感じた。
(横浜国立大学大学院 加藤 大)
今までF1などのモータースポーツを見る際には,そこに土木が関連しているなどということは思いもよらないことでした。コースの設計や施工が土木分野であることは当然のことですが,マシンやドライバーにばかり関心が向かい,コースに注目することはほとんどありませんでした。しかし,ここで紹介されているように道路舗装など,非常に重要な部分でモータースポーツに対して土木工学が貢献していることを知り,モータースポーツが今までよりも身近なものになったような気がします。
このように,この記事は非常に興味深い記事ではありましたが,ドライバーからの視点などが載せられていれば,もっと面白いものになっていたのではないかと思います。
(京都大学 林 芳樹)
モータースポーツの現場ということサーキットの紹介記事でした.「舗装など一般道と構造上の違いはない.」ということであり特に真新しい発見はなかったようです.なぜ土木の現場に関連して「サーキット」を取り上げたのか,その目的が伝わって来ませんでした.確かに普段は目にしない現場ではありますが・・・・・.
(西松建設 矢部昇一)
通常,土木の中で対象になる道路は一般公道または高速道路ですが,モータースポーツという特殊な使用条件を想定した今回の記事は非常に興味深く読ませて頂きました.取材を終えてのご意見にもありましたが,このような特殊な使用条件でも一般道と施工がほとんど変わらないことに驚きました.また,上限の無い高速走行と安全性を両立するための細かい工夫も感心しました.私個人の興味ではありますが,一般道と比較して建設・施工するための費用がどれくらい違うのか知りたかったです.
(広島大学大学院工学研究科 海田辰将)
先月号の「青山士のアメリカ入国記」に引き続き、今月号の「工学博士廣井勇の評伝を刊行して」と、偉大な土木技術者の業績を紹介する記事が2週続きました.いずれも大変興味をもって楽しく読みました.できましたらこのシリーズをぜひ続けていただきたいと思います.
(東北学院大学 石川雅美)
幕末に生まれ、明治、大正、昭和初期までを生きた廣井勇。名前は頻繁に耳にしても、その生涯を読むの初めてでした。今の人は、生まれてしばらくすると幼稚園に通い、その後、小・中・高校と進み、多くの人が大学に通って就職する。そういう一つの典型的なコースが予め決まっているように感じますが、年齢や生まれた地域、国などを飛び越えて、自分の思うとおりに大胆に「切り開く人生」に面白さと新鮮な魅力を感じました。廣井勇の生きた時代の自由な空気も反映されているのでしょうか。この廣井勇に関する初の評伝を書かれるにあたり、国内はもちろんアメリカに至る作者の取材力もまた素晴らしいと思います。
(東亜建設工業 目黒葉子)
記事によると、今年は廣井勇博士の75回忌だそうである。若い技術者にはなじみが薄いかもしれないが、私にとっては20年前まで「港湾構造物設計指針」(「港湾の施設の技術上の基準」の前身)の直立堤に作用する波圧の計算式「広井公式」(明治31年に同博士が提唱と説明してあった)と小樽港の防波堤の築造で「有名人」であった。
もちろん当時詳しい経歴など知る由もなかったが、本記事によると、想像以上に苦労されまた自ら人生を切り開くパイオニアであったことが分かる。
このような厳しい時代に、偉大な先達の足跡をたどるのも有用なことだと考えられる。今後もこのような企画を望む。
( (株)大林組 佐村維要)
アマモ場利用法の再発見から見直される沿岸海草藻場の機能と修復アマモ場が水中のリンなどの栄養素を捕まえ、ヒトがそれを陸に揚げる。自然と施肥のために行っていたことが、環境負荷を抑えていたとは驚きです。また、現在可能な人工のアマモ場の規模が、自然に生育していた規模に比べて非常に小さく、一度失った自然は簡単には元には戻らないことを痛感しました。今、水質改善のために微生物などを使って研究が進められていますが、こういった生態系を取り戻すことも同時に行うことのできる研究が進んでいけばいいなと思います。
(京都大学 玉谷宗一朗)
近年、沿岸域や閉鎖性水域の水質浄化機能としての藻場の役割が注目されている。
この中で、従来の認識は、本文でも述べられているように、アマモなどの海草類は栄養塩を吸収し、酸素を供給することで水質を浄化し、沿岸環境の維持保全に大きな役割を果たしていたと考えられている。しかし、アマモ場は高度成長時代に埋め立てなどで著しく減少し、人間活動に伴う汚濁負荷の増大もあいまって衰退・消滅してしまい、その回復が重要な課題となっている。
本文に述べられているような、沿岸水域からアマモを肥料として採集して農地に施肥することで生まれる、水域(漁場)と陸域(農業)を介した大規模で組織的な「人為的物質循環システム」が成立していたことの(再)発見と、このシステムが量的にも成り立ち得ることを示したことは、重要なことだと考えられる。
今後、困難な問題はあろうが、このようなシステムを実現させることによ海の豊かな自然の回復と創生の可能性を信じたい。
( (株)大林組 佐村維要)
現場の土木技術者にとって、やや疎遠に感じる生態系の持つ重要さを宍道湖の歴史にあわせてわかりやすく解説されています。湖水に入る栄養物質が大型沈水植物であるアオモにより摂取され、刈り取ることにより陸地で肥料として使われるという地域的な循環が見事に機能していたことを知り、その地方の風土を最適に活用するアイデアの巧みに感心しました。栄養源の循環といえば、人糞の堆肥化をまず思い起こしますが、宍道湖では、このようにも「大規模で組織的な人為的物質循環システムが成立していた」ことに驚きました。水循環や汚濁物質の循環という発想だけでなく、富栄養源の循環やさらにはPRTRに代表されるような化学物質の循環(移動の管理というべきでしょうか)を社会基盤を計画する際にどのように位置付けるかという思想が今後は重要になるのでしょう。そういった基礎知識を広げるのに役に立ちました。
(大阪府庁 岡田敏男)
土木は人間生活の広範囲に渡って関連する学問であり、その条件を把握するためにあらゆる範囲の情報を集める必要がある。そこで今回の記事のようにその筋の専門家から、我々土木技術者にも分かり易い内容で投稿してもらえるという事は大変良いと思う。どのような伝手で投稿して頂いたのか、は分からないが今後ともこの様な記事を掲載して欲しい。
ただ思ったのは聞きっぱなしでは何なので、「それに対して今、土木はどう対処しているか」というような調査記事も一緒に掲載していただければもっと良くなると思うが。
((株)ドーコン 野田敬一)
アマモを肥料に使っていたという事実にも驚いたが、その採取による水質浄化効果の定量的な評価には非常に興味を持った。西洋技術が流入する前の日本で、環境負荷の低い優れた生産システムが成立していた事例が多いことにはいつも驚かされる。環境面だけで考えると技術は本当に正しい方向で進歩してきたのか疑問を感じる。現代技術の合理性を生かしつつ、まだまだ見直すべき、古来の技術・システムが存在するのではないかという気がする。
(鹿島建設 松尾 元)
学生時代にコンクリートについて研究を行っていたこともあり、非常に興味深く読ませていただきました。今後、アルカリ骨材反応を抑制するような構造物を構築していくことは当然のことですが、既存のアルカリ骨材反応によって劣化したコンクリート構造物のメインテナンスの方法を考える上で非常に重要な活動であると思いました。今後の報告を楽しみにしております。
(清水建設株式会社 太田智久)
現在、私は構造物の維持管理業務に従事していることもあり、こうした報告に注目してしまいます。そして、高度経済成長期に建造された構造物が耐用年数を向かえるこれからの社会においては、高校、大学でのメンテナンス教育が重要であると考えています。実際に、私自身、学生時代はメンテナンスについて考えたことは一度もありませんでした。メンテナンス教育には、材料、設計の知識だけでなく、企業であれば会計制度の知識も必要とされる総合的な学問であると考えています。また、そこには実例による教材や現場での実習は欠かすことはできません。大学と現場を持つ企業が連携してこうした学問を充実させ、これからの社会基盤の健全な維持に貢献していくことが土木技術者のひとつのあり方であると信じています。
(JR東海 庄司朋宏)
今回の報告は、アルカリ骨材反応の損傷を受けた構造物において構造安定性に関する解析的定量評価を行ったものであり画期的である。同安定性評価手法が補修工事の合理化、しいてはライフサイクルコストの低減に寄与することを期待したい。
(本州四国連絡橋公団 杉本 健)
私がこの記事を読んで最初に気になったのは土木分野の知見を有しない方がどの様な反応をするかということです。ある程度の損傷であれば構造物として、充分な耐力を有していても、本文の写真-1のような状態を目にした場合にどう考えるかということです。万が一、地震等で倒壊するようなことがあった場合、その関連性を指摘されかねないのではないでしょうか。私は、見た目にも安心感を与えられる構造物を維持することは土木技術者の役割の一つだと考えています。今後このような、補修を有する構造物はますます増えていくと考えられる中、充分に耐力を有していることを主張することは勿論、充分な安心感を与える外観を保つことも重要なことではないかと考えます。
(東洋エンジニアリング 藤原武彦)
この記事に限ったことではないがスターラップといった専門用語はできるだけ注釈をつけてもらえたらと思う。
(岡山大学大学院 古谷隆志)
アルカリ骨材反応はコンクリートの膨張によってひび割れが発生するものと認識していましたが、鉄筋の破断例が数多く存在することは知りませんでした。ただし、本報告では、「アルカリ骨材反応によってただちに構造物の安全性能が損なわれるような事態は生じ難い」と記載されています。今回安全性評価を実施した構造物に限定した結論だと思いますが、一般的にも、鉄筋の破断にまで至る現象がそれほど問題ではないと読める内容に疑問を持ってしまったのは、知識の乏しい私だけでしょうか。
(本州四国連絡橋公団 鳥羽保行)
本とのかかわりあい方は人それぞれであり、もちろん筆者のように本を読む機会に恵まれなかった方もいらっしゃるので、様々なものの見方があるのはもっともなことである。しかしながら、「私の専門である地震工学の研究にも土木の殻に閉じこもらないという影響が良い意味で現れていると思う」という結びには首をかしげざるを得ない。筆者が土木の殻に閉じこもらなかったのは他分野の友人が多かったことによるもので、本を読まなかったためと結論づけるには無理があると思う。友人との会話を通じた人格形成と読書は両立しえるものと思われ、筆者の読書に対するネガティブな姿勢というのは少し残念に思えてならない。
(本州四国連絡橋公団 杉本 健)
本を読む機会が満足に得られなかった筆者の境遇はわかる。しかしながら、それが何に関係してくるのか、記事を読んだだけではよく分からなかった。単に私がまだまだ若く未熟なために、理解できなかったのかもしれない。本を読む環境ではなかった、本よりは「ダベリング」、代わりにテレビやビデオを見る。このように変化していく筆者の環境。そしてそれが、「・・・地震工学の研究にも土木の殻に閉じこもらないという影響が良い意味で現れていると思う。」と結ばれている。何を言いたいのか、まったくもってよく分からない。
(岡山大学自然科学研究科 井保大志)
61ページに土木学会の本として「土木技術者の倫理」の広告(紹介)がされています。土木学会が出版されている本は、コンクリート標準示方書や水理公式集などのベストセラーもありますが、これらの広告(紹介)はあまり見かける事がありません。それと比較するとこの本の広告(紹介)は良く目にします。土木学会として技術者倫理を重要な課題として位置付けられ、その啓発手段として図書の発行を行い、その広告(紹介)を出されるいると理解しています。技術者倫理の啓発が大きな目的だとすれば、いつも同じ内容というよりも、例えば、その本の章毎の概要を順番に掲載するとか、読者の感想を掲載するなど、毎回、形を変えた広告(紹介)はいかがでしょうか。そうされるほうが、読者も技術者倫理に興味が沸き、広告(紹介)の効果も上がるのではないかと思います。
(大阪府庁 岡田敏男)
許容応力度設計法から限界状態設計法への発展,普通丸鋼から異型鉄筋への変遷,PRCの発達等について,事例を交えた親切な解説がなされており,専門外の私にも比較的わかりやすく読むことができました。また,構造物の性能評価に時間のパラメータを導入する考え方は非常に興味深く,今後の動向に注目していきたいと思います。一方,分冊化が進んだ「コンクリート標準仕方書」は,実務者(私だけかも知れませんが…)にとって,常々見づらい図書の一つだと感じていました。文末に触れられている総合編(共通編)の作成については大賛成であり,早期の実現を期待しています。
((株)コスモ・インテック 富永哲也)
鉄筋コンクリート構造物設計の許容応力度法から限界状態設計法への発展の経緯がわかりやすく述べられており,興味深く読むことができた.最近では,コンクリート標準示方書の改訂も行われ「性能規定・性能照査型」への移行が図られた.現在,自分のまわりでも,コンクリート構造物のひび割れの問題であるとか,それに関する既設構造物の補修等が多くなってきているのが現実である.これらの問題に対処するためにも構造物の設計段階でどれだけ限界状態・構造物の性能といったものが設計に反映できるか今後の課題として「構造物の生涯設計」への展開に期待したい.
(西松建設 矢部昇一)
素人なので、特集の内容如何で、本誌への「食いつき」が変わってしまう。今回は、少し「食いつき」が悪かったかもしれません。内容の工夫次第で、そのばらつきは減らせるのではないか。というのはいささかわがままでしょうか。独法化業務とも重なり、提出がここまで遅れてしまい、申し訳ありませんでした。
(鉄道・運輸機構 水越 潤)
安全を軸に土地利用計画を進めれば、同時に環境保全にもつながるのではないだろうか。
(土木研究所 河川生態チーム 野間優子)
以下は編集方針と関わるが、特集で感じたことを。
学会誌だから基本は会員や専門家を対象としていると思われる。8月号の「計算力学の最前線」などは、その最たるものだ。一方、「土木紀行」「親土木入門」「ミュージアム」などは、一般読者を意識した企画連載といえる。外部モニター制度があること自体が、それを裏付けている。いわば専門家集団向けと素人向けの内容がごちゃまぜになっている。どちらに比重を置くのか、あるいは並立をはっきりうたうのか、明確にしたらどうか。難しいのは並立。現状ではあぶはちとらずになる。ざっくりと会員・専門家集団向けと、一般向けに構成を2分する方法もある。ここからは会員向け-というように。一般向けには原稿に分かりやすさが重要になる。新聞社の原稿は、中学生が理解できる文章、漢字遣いが大前提になっている。モニターからも意見を求め、研究されたらいかがでしょう。
(山梨日日新聞社 深沢健三)
今回は全体的に良い記事がたくさんあったと思う。大きい地震があったため、土木界はイベントがたくさんおきて、これからの課題が見つかったのではないでしょうか。
(東北工業大学 中居良行)
学校法人化への移行にあたり,大学では種々の対応が検討されているようである.その一環にTLOがある.特集で「TLO」について取り上げて頂けないでしょうか?
(中央復建コンサルタンツ(株) 小阪拓哉)
新土木入門にある豆知識・こぼれ話・一口メモをスペースの許す限り他の記事でも掲載していただきたいです。
(横浜国立大学大学院 加藤 大)
読み応えのある記事が毎月毎月たくさん掲載されていて、内容の充実した雑誌になっていると思います。しかし、そのために読み疲れてくるので、なにか息抜きになるようなもの(例えば4コマ漫画とか)があるとうれしいですね。ちょっと不謹慎かな。また来月楽しみにしています。
(岡山大学自然科学研究科 井保大志)
この原稿の期日はどうにもならないのでしょうが、できれば学会誌をもう少し早く送ってもらえたらと思います。
(岡山大学大学院 古谷隆志)
今現在で、土木学会の委員会(1種から3種全て合わせて)っていくつあるのですか?今月号83ページを見て思ったんですが、その数ある委員会から4〜8ページ位の委員会報告を書いてもらい毎号載せるというのはどうでしょうか。委員会としても自分たちの活動内容を他の学会員に知ってもらえるチャンスなのではないでしょうか。もうやっているのかも知れませんが、過去の学会誌を見ても毎回あるコーナーではないので書いてみました。
((株)ドーコン 野田敬一)
特集 計算力学の最前線について
今号の特集だが、私の能力不足のため、難しくて読めなかった。学会誌の本領だが、こういう記事だけだと学会誌は自分の生活とは程遠い。もう少し具体的に、どういう課題の解決に役立つのか、企画趣旨の部分で触れてもらえると、研究が身近に感じられるのではないかと私は思った。
(匿名)
(編集委員会からの回答)
今回の特集では,「計算力学」という専門的な内容を扱うため、一部の記事の冒頭に要約文を掲載したり、数式を可能な限り使用しない、またわかりやすい図面を多く盛り込むなどの工夫を行いました。この工夫は不十分であったかも知れませんが、モニターの方から寄せられたご意見の多くは、興味を持って読めたという好意的なものでした。しかしながら、一部では、内容が理解できない、何の役に立つのかわからない、というご意見を頂いていることも事実です。学会誌である以上、今後も専門的な内容を扱う機会が少なくないと考えられますが、より多くの方に理解して頂けるよう、記述や表現方法等に今後も工夫を加えるよう努めたいと考えております。
(C班:牛島)
技術リポート 注入による傾斜構造物の修復技術について
この技術について知識が無かったため、大変興味深かった。施工に当たっての問題点や費用面での有効性などについてさらに詳細な情報が欲しいと思った。
(土木研究所 野間)
(編集委員会からの回答)
今回お寄せいただいた意見の他、これまでにも土木学会誌掲載記事の内容の過不足について多くの意見をいただいています。限られた誌面、時間の中で、筆者に完成度の高い記事を書いて頂くのはなかなか難しいのが実態ですが、執筆をお願いする際に問題点やコスト等についても可能な限り盛り込んで頂くようにお願いして参ります。
(編集委員会への要望)
特集記事に関して毎回思うのですが、このような特集記事は非常に専門性の高いものとなっています。それだけに内容が掘り下げられ、密度も高く、知識を持った人には有用なものなのでしょう。
しかし、専門外の人間から見ると、高度すぎるがために、読んでプラスになることが少ないのではないかと思います。せっかく章立てしてあるので、初めの方は100人読めば100人全てが理解できる内容にして、章が進むごとに専門の人をもうならせる内容になっていく、という風にはできないでしょうか。例えば初めの方は、専門家ではなく、勉強をはじめたばかりの人が書く、といったような。表題的には非常に興味があるのですが、専門でないがために読み飛ばさなくてはいけない、というのが今の私の現状であり、目の前の宝に触れることができない悔しさを、毎回味わっています。
(ショーボンド建設(株) 小牟禮建一)
(編集委員会からの回答)
8月号の特集が「計算力学の最前線」であり、どうしても高度な内容に踏み込まざるを得ず、専門外の読者には難しいところがあったと思います。また、一方で、分かり易くという執筆者の方々のご配慮もご理解いただけたのではないかと考えています。ご提案の主旨に100%沿うことは難しいとは思いますが、会員にとって役立ち面白い学会誌を目指して努力していきたいと考えています。
(編集委員会への要望)
7,8月号で感じたのは、面白いということ。門外漢なので、新鮮に写った。ただし、マスコミに身をおく者として「もったいなさ」も感じた。もっと外部へ広くPRしては。一つの方法は、マスコミを利用すること。ニュースとしてもっと積極的に広報するべきだ。分かりやすく書くというのはマスコミの得意とする分野。つてを生かして連載を書かせてもらうのもいい方法。「土木は元気だ」というイメージをつくることが大切だ。
(山梨日日新聞社 深沢健三)
(編集委員会からの回答)
たいへん励みになるご意見をいただきありがとうございます。ご提案いただいた方法も含め効果的なPR手法を検討し、実施に移していきたいと考えています。これからも忌憚のないご意見をお願いします。
(編集委員会への要望)
この読者モニターの意見の原稿に関して,(1)興味のもてる内容、もしくは役に立った記事2編(2)つまらない、もしくは分かりにくいと感じられた記事1編の合計3編について毎月執筆するのは数が多い気がします.全てが掲載されるわけではないので,1人1編以上等に緩和してはどうでしょうか?
(広島大学 海田辰将)
(編集委員会からの回答)
モニターの方々には大きな負担をおかけし申し訳なく思っております。ただし、モニターの声は学会誌の編集にとってたいへん貴重な情報であり、今後ともこれまでと同様な方法でご意見をお寄せ頂くようにお願い申し上げます。なお、モニターの声は全てホームページには掲載させて頂いています。
(編集委員会への要望)
過去3年程度の特集記事の一覧表を学会誌に載せて頂けないでしょうか?
時代背景にあったタイムリーな記事を特集として取り上げていただいていることに,大変感謝しておりますが,後から読みたくなる記事や,後で記事の良さが分かる場合もあります.ホームページ等では分かるようになっているとは思いますが,学会誌上でも一覧表にまとめておいて頂ければ,探す手間も省けて大変助かります.
(中央復建コンサルタンツ 小阪拓哉)
(編集委員会からの回答)
学会誌には限られた予算の中で多くの記事を掲載することを考えております。毎年12月号に1年間分の記事の総目次を作成しております。この総目次とホームページをご活用いただきたいと思います。
Copyright 1996-2003 Journal of the Society of Civil Engineers