土木学会誌10月号モニター回答
土岐先生のおっしゃることは、勉強不足の私にも何となく感じていたことでしたので納得することができました。土木工学がどのようなものか土木関係者以外の方に知ってもらえるような催しが土木学会等から行われていますが、「土木工学科の人気が無く、学生が集まらない」というお話を母校の先生より伺うと土木工学のことを土木に携わっていない方々に知っていただけることは非常に難しいことであると思いました。ゼネコンという仕事柄もあり、私が土木に関することで考えていることというと、ミスの無い設計をする等、物を造ることに偏りがちであったと思い、これからの土木工学がどのような道を歩んで行くのか考えなければいけないと思いました。
(清水建設株式会社 太田智久)
現代の社会の問題は、複雑かつ高度化してきており、従来の学問分野の中だけでは解けないことが多くなってきており、学際的な研究が必要となってきている。そうなると、学問間の垣根が低くなり、同じ土俵で戦わなくてはいけないということになり、そのためには、社会問題の解決要求に答えるような研究分野を多くしていく必要があると思います。
(東京大学大学院 応用力学/岩盤研究室 浜谷健太)
COEの審査において土木工学の分野の半数を防災の分野から選択しているというのは、土木は新しいものを創り出していく分野だと捕らえていたので、非常に残念なことであると思う。私は大学院生であるが、大学の理系分野においても土木とは異色の分野であると捕らえている。他の分野の多くは、その開発によって利益を得るために開発を行っている。しかし、土木においては公共性の高い分野が多い。そのため利益のみを求める開発だけではなく、国民に夢を与えれる開発も出来ると思う。そういった分野がCOEに取り上げられるようになっていく頃に土木のイメージも今のような負のイメージではなく、プラスのイメージを持つ分野になっていくのではないかと思う。また、論説などではもっと詳細な私見をたくさん述べていただくと、読んでいて面白いものになると思う。
(横浜国立大学 桝谷有吾)
ここ数ヶ月、社会基盤に関連した特集記事が頻繁に取り上げられている。これも、社会基盤整備のあり方と国家・地方財政に関して、市民の関心が以前にも増して高まっていることを受けてのことと思う。しかしながら別の見方をすれば、土木学会が倫理規定を制定した事に関して「土木学会は倫理規定が必要なほど業界の倫理がなくなってしまった」という大田先生の見方と同じ議論が社会基盤に関する問題にもあてはまるということである。
今回の特集も、これまでの特集記事と同様に提起されている問題に対して、それぞれに改善提案がなされてはいるが、「ではどうすれば?」ということになると、具体的なアクションプランを示すまでには至っていない。これは、すでにこの種の問題に関しては土木技術者の間で解決できる範囲を超えていることを認めざるを得ないところまできていることの表れではないだろうか。そうであれば、本記事の「大化の改新を迎える前に学界が適切なシステム設計に取り組むべき」という指摘は、私たちにとって はきわめて深刻な指摘である。
記事の中で、「十七条憲法は倫理規定に過ぎず、それを実現する制度的枠組みを持たなかった結果、大化の改新という武力クーデターで問題解決となった」ことをとりあげ、土木学会におなじ道をたどることのないようにと指摘している。
(東北学院大学 石川雅美)
「学会レベルで倫理規定が必要なほど、土木業界に倫理がなくなってしまった」という記述は、強く印象に残りました。改めて倫理規定を読み返すと、確かに常識的かつ当然のことが文章化されているようにも思えます。とはいえ、これらは土木技術者が具備すべき基本的な要件であるとも言えるのではないでしょうか。技術的な力はもとより、誰もが納得していただけるような行動を起こすことが、信頼関係を回復し、土木技術者への評価につながるのではないかと思いました。世間から厳しい目が向けられていると同時に、今まで以上に土木技術者に大きな期待が寄せられていることを改めて実感しました。
(東京都 花井徹夫)
「消費者に喜んでもらえる土木事業に向け、学会としてシステムづくりを」とのご提言内容でした。
土木事業は、発注者と消費者・負担者が乖離しているため、委託される場合にも、誰のための事業なのかを見失い易い傾向にあります。そのため、土木事業に関連する企業が行う顧客満足度調査も、発注者に対して行われ、本来の住民・利用者まで及んでいないのが現状です。
ただ、土木事業にも、事業の効果を、生活に関連する成果指標(渋滞による時間損失軽減、交通事故軽減、環境負荷軽減など)で評価したり(アウトカム指標)、インターネット等で意見を求めることが増えてきたり(パブリックコメント)、さらにワークショップなどの方式で住民の意見を積極的に取り入れたり(PI:パブリック・インボルブメント)と、少しずつですが、住民・利用者のニーズの把握・理解に向け、変化が出てきています。
今後、さらに、土木事業を住民・利用者のニーズに合ったものにするために、今までは実際に事業を進める上での変化でしたが、工事や調査の委託先の選定に住民を活用したり、土木事業従事者が住民・利用者の立場で活動することを業界として許容するふところの深さなども求められているのではないでしょうか。
(パシフィックコンサルタンツ(株) 木田川 誠司 )
昨今、財政の逼迫や、社会資本整備に向けられる批判などから、土木(技術者)に向けられる一般国民の目には大変厳しいものがある。
社会科学者である著者は、これらの原因は、つまるところ、土木従事者(技術者)が消費者である「国民」を顧客として丁重に扱わず、プロジュクト完成後に、どれだけの国民がどれほど満足しているかについて注意を払わない。なぜなら払う必要がないシステムになっているからである、としている。
結論として、著者は、土木学会が先導して確立すべきシステムは、消費者である国民の利益に直結し、かつ土木従事者が誇りを持って働くことのできる環境を整えるものでなければならない。また、土木計画者は、より多くの消費者に喜んでもらえる土木事業の遂行を主張すべきである、と主張している。
一土木技術者としては、土木学会倫理規定の制定や建築基準法改訂に関する見解の一部などに同意できないところもあるが、全体としては評価・賛成できる点が多いと感じた。
我々土木技術者は、とくに社会資本の整備の主体が公共セクタ−であることから、とかく最終消費者であり顧客である国民の姿が見えなくなる場合もありがちである。謙虚に反省するとともに顧客満足度を重視した土木事業を遂行していくことが重要であると感じた。
( (株)大林組 佐村維要)
「土木従事者はプロジェクト完成後にどれだけの国民がどれほど満足しているかについて注意を払わない。・・・」そう言われてみると,確かに土木屋は自分達で造ったという達成感はあるがそれをどれだけの人達が利用していて,どう考えているかは判らないのではないか。確かに次の仕事でそれどころではないのかもしれない。これまでの社会資本整備でいろいろなインフラや構造物が建造されてきたわけでその中でも人々の生活に必要不可欠なもの,それとは逆に無くても支障のないものなどあったはずである。こんなことを評価できる,国民の利益に直結した社会資本整備システムの構築を行なうことが特に若い土木従事者が誇りを持って仕事をする上で必要なことであるという意見は同感するところである。
(西松建設 矢部昇一)
消費者や顧客の利益を第一に考えてサービスを提供するのはビジネスの基本事項だと思う。ところが,その行動を支えるべき土木界のシステム,あるいはルールが基本事項と整合していないという指摘と理解した。
著者は,技術者に望ましいインセンティブが与えられるシステムが必要と述べている。確かに,学会あるいは組織として活力のある競争力を維持し,良質なサービスを提供するためには,技術者個人に与えられる報奨が重要な気がする。そして,学会(組織)が技術者の上位の存在ではなく,構成するメンバーの目的や価値観を全体のルールとして成り立たせることが大切だと思う。ただ,社会基盤整備のニーズが減少していく中で望まれるシステムやルールはかなり厳しいものになると感じた。
(東電設計(株) 高橋秀明)
記事を読んで,もっともだと思いました。先日もある学会での特別講演で,報道関係者の方が「国民はお金を払っているのに,無視されている」というお話をされていました。今まさに,土木従事者の意識の変革が求められているように思います。「顧客満足度を高めよう」というのは企業ならきっとどこでも掲げる目標だと思いますが,我々土木従事者の中で,特に企業の方の中で,真の顧客として国民のことを捉えている方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。少し気になります。
(ショーボンド建設(株) 小牟禮 建一)
『土木学会が先導し確立すべきシステムは、消費者である国民の利益に直結し、かつ土木従事者が誇りを持って働く事のできる環境を整えるものでなければならない。』異議なし。大賛成です。そのような環境ができれば政治家の道具にされる事もなく、仕事に集中できると思います。
『土木計画者が公平性を主張する時、そこには国民も消費者も存在せず、土建国家ニッポンのにおいがしてしまう。それゆえ土木計画者は、より多くの消費者に喜んでもらえる土木事業の遂行を主張するべきである。』昨今の"土建=悪者"のようなイメージは一部の政治家に利用されている事によるのではないかと思うのですが、ただ、国民も消費者も存在しないところで主張をしてしまうのはどの業界でも同じではないでしょうか? 特に銀行にいたっては国民への影響が大きいからといって大銀行はつぶさないように政府が守って、いつのまにか公的資金を投入して大銀行を助けてあげている。それでは土建業者がつぶれても社会への影響は小さいのですか?大きな矛盾を感じています。
(東洋エンジニアリング(株) 菅原紳二)
「土木技術者が土木従事者を疑う」、「職業倫理は、教育も重要であるが、本質的にはシステムによってしか支えられない」という言葉にショックを受けました。最近は何かと言えば倫理ばやりですが、それだけはダメで、大化改新みたいに制度上の枠組転換が必要だという主旨は、閉塞感のある土木業界にとって新鮮です。エンドユーザの期待を裏切らないためには、クーデターを起こすか、さもなければ、甘えを排し 身内に冷徹な態度で仕事をする必要があるのだと思いました。
(大阪府庁 岡田敏男)
土木学会倫理規定に対する社会学者の読み方は,その意見を読んでしまった現在では当然のことと思えますが,一読したときは新鮮でありました。また,土木の外から見ると,土木工事の質がシステムとして確保されおらず,土木学会としてその提言をすべき,との提案には土木に携わる技術者として忸怩たる思いがありました。そして,学会誌の巻頭で,他者から見た土木を論じて貰う本企画は,自らを見つめ直す良い機会と思いました。
(電力中央研究所 佐藤隆宏)
土木学会は土木工事の質が確保されるようなシステムを提言すべきである、という意見には賛成です。昨今の不具合事例を見ても、それは言えると思います。
しかし、建設業界の人間がみんな手を抜いているわけではありません。厳しいお金の中で、品質確保に向けて日々努力している施工者もたくさんいます。この文章の内容が社会全体の意見になってしまっているのでしょうか?このような意見が出ないようにするには、どうしていけば良いかを土木技術者一人一人が考えなければならないと思います。
(清水建設 藤田 淳)
非常に読みやすくて共感できる内容でした。とくに土木技術者の倫理規定については,やはり制定しなければ倫理が守れない状態なのかと重苦しい気持ちになりました。今,土木従事者としての誇りと道徳心をもって仕事をされている方ももちろん多数いらっしゃいますが,そうでない方の印象が非常に目立ってしまっているように思います。著者の方のおっしゃるとおり,土木に携わる全員が誇りをもって仕事ができるような環境やシステムをどうか整備していってほしいと願います。
(京都大学 玉谷宗一朗)
土木従事者の倫理の問題や、マネジメントの分野は注目され、成長してきている分野であると感じている。そして、様々なシステムも考案されてきている。しかし、それらが企業に伝えることは難しく、実行するためには多くの障害を乗り越えなければいけないと考える。確かにこのようなシステムが導入されない限り、いつまでたっても「公共事業=税金の無駄遣い」という考えが蔓延したままであると思う。システムを取り入れる上で、どのように取り入れるかといったような難しい面にももっと意見を述べていただけたらと感じた。
(横浜国立大学 桝谷有吾)
土木学会のあり方が問われて久しい。土木学会の役割は、土木を通じての社会貢献と土木従事者(産官学)間、そして市民とのコミュニケーションを図る場にあると理解する。
土木学会は、「学」や「産」との連携は比較的深いが、「官」や「市民」との連携は浅いような気がする。「官」は、どうのように公共事業を整備していくつもりなのか?「市民」は、公共事業にどのようなことを望んでいるのか?などを、いち早くキャッチしておく必要があるのではないでしょうか?
もう一度、土木の原点に立ち返り、「社会資本とは何か?」「土木とは何か?」を見つめ直す時期が来ているのかもしれません。
(中央復建コンサルタンツ(株) 小阪拓哉)
9月号の巻頭記事に続いて外部からの厳しいご指摘であった。筆者の方が言われていることは、土木学会についてだけではなく、広く土木業界全体についての忠告であると思う。耳が痛い話ではあるが、まずは真摯に受け止めることが大事である。
確かに我々土木関係者がやっていることが、一般の人々に評価されていない、若しくは過小評価されていると感じることがある。私を始めとするほとんどの土木関係者は、エンドユーザーである一般の人々のことを考えて仕事をしている。しかしそれが、「伝わらない」、「理解されない」のである。何故か、それは今までの土木業界全体と一般の人々との間のコミュニケーション不足からである。今までは一般の人々の不満はさておき、土木の世界の内輪で物事を決めてきた。しかし「PI」だ、「合意形成」だ、と言われる今のご時世そうは行かないのである。いかに一般の人々から話を聞き、説明し、納得してもらうかが重要であり、そこをクリア出来なければ先は無いのである。この一般の人々に対して納得してもらうシステムを構築することが、我々土木関係者にとって急務である。21世紀に入り土木も、もう一段ステップアップする必要が生じたのではないか。
とにかく外から言われるうちが花である、手遅れになったら何も言われないであろう。そうならないうちに早く自分達から手を打つべきではないか。
((株)ドーコン 野田敬一)
土木は非常に幅が広い分野だけに多方面からからの話が詰まっていて捕らえどころがない話題であった。論点が「ユーザーが社会基盤に何を求めているのか」ということであり様々な分野の人々の意見を読めたことは少なからず良かったと思う。ゼネコン自体も変わらないといけないことを痛感すると共に土木技術者の1人として経営トップの方々に読んで頂いて日本の弱さを少しでもカバーしていただきたいと感じた。
(西松建設 矢部昇一)
今回の特集は今後、土木が生き残るためにさけては通れないテーマであると感じているので、大変興味深く読ませていただきました。
(東京大学大学院 応用力学/岩盤研究室 浜谷健太)
今回の特集は、様々な分野からの意見や事例が数多く掲載されており、貴重な情報だと思いますが、「競争力を高める」という漠然とした特集名を反映し、今一つポイントが掴めなかったというのが正直な感想です。特に、国際競争力に関する記事に注目して読ませて頂きましたが、その中で、契約に関するリスクを紹介した「フィリピン国サンロケ多目的プロジェクト」の記事は、私にとっては大変難しく、リスクの内容が良く理解できなかったのが残念です。
(本州四国連絡橋公団 鳥羽保行)
若い先生の前向きなご意見に接し、建設不況に光明を見出しました。経済界の方には「大きい資本で小さく儲け」ることで、大きな富を生むのだと自信を持って取組んでいただき、土木技術者は「みんなが困っていることをどう解決するか」という原点に返った取り組みを「冷静な分析と行動」によって実現していけば良いのですね。少し気が楽になりました。
(匿名希望)
大学の先生の論説でしたが、分かりやすい文章であり、まさに、特集の導入としてピッタリでした。「トップが弱く現場が強い」、嬉しいことに、次の第1章でも、「現場レベルの人材が優秀であることと、その裏腹に上位のマネジメントが弱いことが、...」と書いていただいています。スッキリこうおっしゃって頂いてどれだけ嬉しいことか。でも、現場というのは、相対的なもので、本社からみたら工事事務所が現場だし、元請けから見たら下請けが現場だし、「現場が優秀」なんて浮かれるより、個々人がそれぞれの現場で「みんなが困っていることをどう解決するか」を「過去の全肯定でも全否定でもない、冷静な分析と行動」を起こさなければと思いました。
(大阪府庁 岡田敏男)
日本政府はイラクへ自衛隊を派遣しようとしているが,現地の米軍はあまり歓迎してないようだとの記事が新聞に載っていた。外国の軍隊との共同作業が容易ではないことが理由だそうだ。現場のニーズとはかけ離れた決定システムができあがっており,どこか昨今の社会資本整備批判で挙げられる問題点と似ていると感じた。
ユーザーである国民のニーズを反映させたものをつくれと声高に言っても,それを実現できるシステムとなっているのか疑問だ。土木技術者といえどもいち国民である。国民の視点は持ち合わせており,そうした視点が重要であることはわかっているはずだ。技術者倫理のような精神論だけでは光は見えてこない。
(電源開発(株) 坂田智己)
この記事を読んで,改めて土木工学の未来について考えさせられた。全く異なる分野の話かもしれないが,誰が今のような携帯電話の状況を望んでいたのだろうか?カメラ付の携帯電話などはまさに企業によって生み出されたニーズだと考えられる。一般の方々から望まれる土木工学に対する期待は防災分野を中心としたものになるかもしれないが,私達工学に携わる者は与えられたニーズに答えるだけではなく,自らニーズを生み出さなければならないのではないかと思う。
(京都大学 林 芳樹)
「大きい資本で小さく儲ける」という言葉が印象に残った記事だった。小さい資本で儲けた方が失敗したときの損害が小さいので怖くはないが、大きい資本で小さく儲けるとなると回収にも長期間かかり、割に合わないように思える。しかし、これが日本の弱点の克服となっていき、競争力の強化となる。日本企業がここに示す弱点を克服したとき、この不況を越えることはできていることを願うばかりである。
(岡山大学大学院 古谷隆志)
日本の産業についてのマクロな難しい話だと言う印象を受けながら読み進めていたが、土木の原点は、みんなが困っていることをどう解決するかということであるという最後の言葉が非常に分かりやすかった。マクロな話になるとぴんと来ないのだが、最後の章において著者の言いたいことがよく分かった。本記事において、仕事をしていく上で何が必要なのかを考えるきっかけができたように思う。
(復建エンジニヤリング 甲斐友紀子)
技術的に高いレベルにあるものの、それをマネジメントできず、あるいはミスリードしている、ということが強く印象付けられる。マネジメント力の不足が、高い技術を潰してはいないか。「何を作るか教えてくれる」というより、不要な制約をかけ、または、方向を誤っている、というところか。ユーザーに求められているものは場所により、時代により異なり、一律ではない。我々の事業は真に求められるものか、上位のマネジメントが強力に意識することではあるが、その力が不足ということであれば、専らの技術者にも常に持って欲しい意識である。
(鉄道・運輸機構 水越 潤)
現在の我が国の現状だと、住環境が最も未整備だと感じる。公共事業が減少して行く今日、将来的な視野で見れば「安全」「安心」な国土は基本条件である。高齢化に対応した空間作りをベースに、未来を見据えたい。
(東北工業大学 中居良行)
現在日本は不景気で、暗いイメージですが、この記事を読んでいると、明るい未来が覗けたような気がします。これから先、どのようなニーズが生じてくるかを予測し、それらのニーズに応えられるようなインフラを開発し、人がみな幸せに暮らせるようなよりよい未来が訪れることを期待します。
(岡山大学自然科学研究科 井保大志)
「『箱物』は常に無駄なもののように表現されるが、ニーズと目的を見誤らない限り、そのようなことは無い」、と言いきれないのが良くわかる。管理運営の問題点(これは実は箱物に限る話ではないと思うが…特に最近は)を解決することは、必要な箱物を批判にさらさないために、大変重要なことと感じる。「必要なものは必要」と言なのだから。
(鉄道・運輸機構 水越 潤)
施設を設計・施工・運営、一連の流れの中に「価値工学」の導入はとても良い考えだ。公共事業にも取り入れ、発注者・企業・民間の流れの中に取り込めたら、民間の方の公共事業のイメージも多少変わるであろう。
(東北工業大学 中居良行)
首都圏の空港容量不足問題は身近な問題であり、興味深く読ませていただいた。羽田再拡張案で、東京都の騒音問題回避、東京湾の港湾機能と多摩川の河川機能の維持という三つの課題をクリアーできる提案がなされた。しかし、これら三つの課題以外にも、東京湾に新たに構造物を作ることによる湾内流動場の変化・生態系への影響、空港利用から派生する産業の移動など様々な問題が残っていると思う。また、現在の一極集中型の状態を変えなければ抜本的な解決にはならないと思う。空港容量不足問題を、空港拡張といういわばその場凌ぎで対応するのではなく、国家的課題として解決案を考えていかなくてはならないと感じた。
(横浜国立大学大学院 加藤 大)
この記事を読んでまず思ったことは、抜本的な解決案を出すには「国づくり」=国土のグランドデザインから始めないといけない、という事だ。今の延長上で首都圏の未来を考えると記事のとおり首都圏第三空港が必要になるのであろう。しかし、日本全体の事を考えて本当にそれで良いのか、このまま何もしないで首都圏の一極集中を傍観していて良いものか、大変疑問である。さらに、何故日本は地方都市に魅力がないのだろう、アメリカやオーストラリアのように首都は大都市じゃなくても良いのではないか、また100万回級国際ハブ空港は日本の何処にあっても良いのではないか、等など色々考えさせられる内容の記事である。半世紀後の航空需要を発端に、首都圏都市造り、ひいては国造りまで我々土木技術者が期待されているのである。やり甲斐のある仕事ではないか、と高校生や大学生に伝えて欲しい。
((株)ドーコン 野田敬一)
物流システム、特に日本の場合は道路ネットワークの整備というのは、単に国内だけの問題ではなく、日本が海外諸国との競争に経済的に勝つために必要なんだ、ということに改めて気づかされた。商品の輸出入の窓口は港湾であり空港だが、そこから消費地までのルートは道路となる。より低コストの物流システムを構築するため、必要な道路整備は早急に進めなければならない。
最近の道路公団民営化論議、公共工事縮減といった話題では、この国の物流システム、道路体系がどうあるべきか、という議論を置き去りにして、誰かを悪者にしたがり、単に政治の道具とされている気がしてならない。この国の20年後は、50年後はどうあるべきかを議論し、そのためにこういう手段をとります、という議論を政界およびマスコミに期待したい。
(大成建設(株) 今枝拓也)
物流に携わる方からの貴重な意見として拝見させていただいた。
自動車のウェイトが高い物流の現状では、定時性、安全性などにおいて高速道路の必要性は言うまでもないであろう。ただ、筆者の言うように、物流の円滑化に向けて、環状道路や空港・港湾へのアクセスなどの整備促進が必要であり、今後の整備に当っては、プライオリティを考える必要があることをあらためて実感した。
昨今、民営化委員会などから『コスト削減』を求められており、高速道路の維持管理費等の削減を進めている。しかしその中で、高速道路の規格を落とさずに、更に国際海上コンテナ積載車両が通行可能な補強整備を進めていくという難しい状況ではあるが、高速道路への期待と前向きに考えていきたい。
(日本道路公団 田之脇 良徳)
国際物流の中心は海上輸送であり、海上輸送にとり、運行する船舶が寄港し、海上と陸上の結節点となる港湾は、必要不可欠なインフラであるとともに、重要なインフラである。
本稿は、現在の海上輸送について説明し、世界の港湾状況を含めた、基本的な海上輸送と港湾との関係を紹介したうえで、港湾インフラの利用者としての海運会社の視点で、それに求める諸点について述べている。
現在の海上輸送においては、資源エネルギ−及び一部貨物輸送を除く一般貨物ではコンテナ貨物が主役となっている。海上輸送におけるコンテナ船への移行が、港湾インフラを大きく変化させた。
一方、世界のコンテナ貨物取り扱い量は、近年、香港(2002年世界第1位)、シンガポ−ル(同2位)、フサン(同3位)、上海(同4位)などの東アジア地区の港の伸びが著しく、神戸、横浜などの日本の港湾の低迷が顕著である(日本最大取り扱い港、1990年神戸港5位、2002年東京港18位)。
この理由として、バブル崩壊後の日本経済の低迷、港湾インフラにおけるハ−ドの高コスト体質及びフルオ−プン化の未達成などのソフトの立ち後れに求めている。また、これらを克服し港湾インフラの競争力強化が急務だとしている。
近年における、コンテナ輸送を中心とした日本の港湾の低迷の原因と対策については、本著者のような見解が、阪神淡路大震災以降の神戸港の動向と共に語られており、異論を差し挟む余地はなさそうであるが、私見によると今一つ納得できない点がある。
たとえば、日本経済は低迷しているとはいえ、バブル崩壊以降も緩やかに拡大しており、いまだ世界第2位である。また、港湾インフラもそれなりに整備されている。これに比べて、コンテナ貨物取扱量の低迷が著しすぎるのはなぜか(ニュ−ヨ−ク、ロサンゼルス、ハンブルグなどはいまだ世界トップ10にいる)。さらに、日本の港湾インフラ高コスト・非効率体質は、神戸港、横浜港などがトップ10入りしていた1980年代も同様のはずである。
したがって、低迷の原因として、著者が述べている以外に、例えば国家戦略などのもっと大きい問題が潜んでいるのではないか。機会があればぜひ著者に伺ってみたい。
( (株)大林組 佐村維要)
経済のサ−ビス化が加速する時代にあって、観光産業はサ−ビス産業において大きな役割を担っており、「観光」は21世紀のリ−ディング産業といわれている。また特に注目すべきは、東アジア・太平洋地域において最も高い成長率が予想されている点である。
こうした中、シンガポ−ル、タイ、韓国および中国などの諸国は観光ハブ戦略を打出し着々と体制を整えつつある。
一方、日本は長い間日本からの海外旅行に重点が置かれてきたこともあり、訪日観光を見渡すと日本はアジアの済に追いやられているように見える。従来の日本の観光政策は、アジアを視野に入れた国際観光政策というより、日本国内のバランスに配慮した地域振興に重点がおかれてきたためである。現状では、交通、観光施設、人材などのソフト、ハ−ドのインフラ整備も不十分で、アジア観光ビッグバンに対抗するだけの競争力があるとは言い難い。
ここまでは大変共感できる視点である。著者は解決策として、首都圏の空港整備などを通じて資源を集中し、東京を国際観光都市に再生させ、大交流時代の国際観光競争に勝ちぬく牽引役を担わせなくてはならない、と述べている。
僭越ではあるが、私見によると、現在の国際競争力の低迷は、過度の東京一極集中政策の破綻にもその原因があるのではなかろうか。そうだとするならば、資源を集中すべきは、京都・奈良など歴史的資源と観光施設を充実し、アジアに近く関西国際空港など交通インフラに余裕のある関西地方が最適と考えるがいかがであろうか。何でも首都圏を中心に考える発想についても転換の時期ではなかろうか。
( (株)大林組 佐村維要)
この記事の中では、日本に外国人観光客を誘致するためには、東京を魅力的な観光都市にする必要があることを述べているが、それに加えて、外国人観光によって地方活性化を図ることが必要であると思います。そのために、地方にもシンボルとなる魅力的な都市、観光地を整備することが重要であると思います。
(東京大学大学院 応用力学/岩盤研究室 浜谷健太)
日本の建設技術が世界でどんな位置にあるかが理解できた。特にシールドが非常なる強みを有していることは、誠に心強い限りである。建設技術にはいかに安く出来るかの要素を含んでおり、技術の追求は工事費低減と一体であるとも言える。
ところで、「日本のODA案件では、入札時に既に橋のタイプが決まっている」とあるが、日本国内の公共事業もまたしかりである。一方、海外においては、必要な要素だけが縛られる他は自由な設計・施工であることが多いようである。
我が国では一般的なことが海外ではそうではないようであり、双方に一長一短があるが、これほどに建設技術が向上している現状に鑑み、構造物の細部の仕様を発注者が全て決める我が国の方式は、再考の余地があるのではないか。
本来発注者としては、要はその使途に合致すればどんな設計でも良い訳で、必要諸元/条件さえきちっと定めておけば、極端に言うならどんな構造物でも構わないはずである。そういった視点に立てば、日本式の価格競争方式から、建設会社の有するアイデア、ノウハウを最大限に活用する技術競争方式を考慮しても良い時期にきているのではないだろうか。
技術競争方式ともなれば、より適切な設計・施工として実を結び、工事費も低減されるであろう。また、建設会社も腕を発揮する絶好の機会として捉えることになるから、真の意味での競争が働き、建設会社の技術開発への意欲も増長するであろう。
本文を拝見し、筆者が言わんとしている「コントラクターの技術が発揮できる範囲が広がれば、ユーザーに対し土木技術で十分に応えられるようになる」と言う主張に同感するものである。
本10号の2-5「都市インフラ:拡大するBOT市場と日本の競争力」では、「施設調達」から「機能調達」へと焦点を移す必要がある」と述べられており、本文と同様の意義が論じられている。まさに今求められている変革ではないだろうか。
(独立行政法人国際協力機構 矢部哲雄)
日本の建設技術の国際競争力がどの程度であるのか、それは大変興味深いところである。本稿を読むと、日本の建設技術の海外での位置づけが、詳しく分析されており、大変勉強になった。日本のシールド技術の世界における優位性、橋梁技術のコスト面での競争力不足など、私の今までのイメージとは違う情報を得ることができた。
また、海外での日本企業の評価も載せられていたが、工期厳守、高品質、真摯な態度、きめ細かい管理技術などで高い評価を受けていた。日本でしか工事をしたことがない私ですが、何とも言えない喜びを感じました。
(三井住友建設 小出孝明)
日本企業の受注実績とアジア諸国の日本企業に持つイメージについて特に興味深く読ませて頂いた。
日本の海外工事シェアについては全く無知であったが,シールド工事が圧倒的に多いという事実については妙に納得させられてしまう。シールド工事は国内での相当数の実績に加え,最も機械化が進んでいる分野でもあると思う。
また,各国の日本企業に持つイメージとして台湾では,「クレームが少ないこと」を特徴の一つとして挙げている。日本企業と欧州企業ではそのシステムや国柄が異なるため,日本企業の場合,業者が施主に対してクレームをつけることはまずない(少なくともやり方が異なる)。これについて,どちらが良い悪いという事はさて置き,この様な事が特徴になるのかと大変興味深かった。
(三井住友建設(株) 川又啓介)
海外の技術から日本の土木技術に関する意見を聞く機会は貴重だと思います。私も少しだけ海外プロジェクトに参加した経験がありますが、この記事の指摘には、日本の土木技術者が普段からなんとなく意識している弱点を見事に言い当てられたという感じではないでしょうか。私は現在、大学の教員をしていますが、今後の大学での土木教育の面でも大変参考になりました。このような「海外から見た日本の土木技術」といった特集を組まれても面白いのではないかと思います。
(東北学院大学 石川雅美)
いわゆるグローバル化の影響で、台湾における日本の企業が持っていた歴史的な優位性がうすれつつあるといったことでしょうか。
こと台湾に限らず東アジアにおけるこういった歴史的な優位性が薄れていくのと同時に、歴史的な不利も薄れていくことを望んでいます。
しかし、アジアの中で仕事をするに際しても日本人の英語力が弱いことが、同じ漢字文化圏の方に指摘されるとは、英語に不自由な私にとっては全く耳の痛い話です。
((財)港湾空港建設技術サービスセンター 藤井研一)
近年、中国は市場競争が激しくなるだろうといわれており、国際的な競争において日本の活躍の場があるのかといった問題に迫っている記事だったかと思う。読み終えて思った感想は、技術は進歩しているものの、結局、「よいものを売る力がないのか」と端的に思ってしまったわけだが、この原因はなんであろうか。少し勉強してみたい。
((独)土木研究所 河川生態チーム 大石哲也)
「日本の建設技術に国際競争力があるか」というテーマに関心を持って読むことができた。国内マーケットの減少が今後避けられない状況である中で企業存続をかけたテーマであると思う。特に謝 季壽氏の記事は、(1)日本人による手前味噌的評価ではないこと、(2)日本の建設技術力を絶えず見てきた海外(台湾)の発注サイドの発言であることから、非常に興味深く読むことができた。その中で日本企業の強みと弱みが整理されているが、なるほどと思われる部分が数多くあった。概ね日本人による大多数の評価とラップするところがあり、それらの評価の客観性がこの記事で示せたと思う。弱みの解消のため、若輩者の私が個人的にすぐ実施できる対策は英語力のアップであると痛感した。
(鹿島建設 松尾 元)
日本は高い技術を持っており、台湾の公共工事分野においてかなり高い市場占有率を享受している。その理由は日本企業の強みにもあるように、顧客に与える最終成果物が高品質で、工事実績に基づく日本の土木技術に対する信頼が高いからである。しかし、それとは逆に日本企業の弱みとして、技術レポートの作成や意思の疎通をはかる英語力が乏しいとある。そんな技術レポートや意思の疎通で、どうしてそんなに信頼感が得られるのだろうか。いまいちわからない。
(岡山大学大学院自然科学研究科 井保大志)
「土木の仕事が、人を動かし、物を動かすというマネジメントの仕組みをユーザに向けること」との、機能本位ともいえる捉え方は、建設コンサルタントでは思いつかない視点で、新鮮さを感じました。
(パシフィックコンサルタンツ(株) 木田川 誠司)
「スポットサービス」「巡回サ−ビス」「建物診断」といった個人向けの建物メインテンスサービスというのは、値段も手軽に出来るようであるし、消費者のニーズに答えたものであると思います。また、ITをこのサービスに積極的に導入されている点も現代の流れに乗っていて良いと思いました。
(東京大学大学院 応用力学/岩盤研究室 浜谷健太)
『ゼネコンも変わらなければいけない。』これは土建業界にいる人みんながわかっている事だと思います。それでもなかなか出来ないのはどうやればいいかがわからない、見えてこない、または見えていたとしても簡単には変われないのだと思います。この「なおしや又兵衛」は、一般の消費者にいかに近づいて行くか、についてのアイデアが成功したいい例で、もっとたくさんの可能性を暗示してくれていると思いませんか?
(東洋エンジニアリング(株) 菅原紳二)
率直なところ、筆者はBOT方式に過大な期待を抱きすぎているのではないか。現在道路関係4公団のあり方に関して様々な議論があることは皆様もご承知のことと思うが、「日本版BOT」と言うべき公団方式が成功しなかったのは、BOT事業者に十分な権限が付与されなかったことや、政治的干渉により機能定義プロセスが歪められたからであり、やはりBOT方式は日本の風土にはなじまないと結論付けざるを得ない。日本企業の国際的な競争力という視点も大事であるが、国内市場にそれを求めても失敗の繰り返しに終わるのではないか。
(本州四国連絡橋公団 保全部 杉本 健)
第二東名高速道路のトンネル、土工、橋梁における工期短縮、コスト縮減に対する取組みについて知ることができました。どのような条件でコストを計算されているかは分かりませんが、それらの構造物が竣工した際に実際どの程度工期が短縮され、コストが縮減されたのか、見込みどおりであったかを是非教えていただきたいと思いました。
(清水建設株式会社 太田智久)
この報告を読んで、情報技術などの最新技術の応用、材料の高度化・複合化、大型機械の活用等コスト縮減に資する技術開発が進展していることに大変感心させられた。今後は、小規模工事や補修工事のコスト縮減に資する技術開発の進展に期待したい。
(本州四国連絡橋公団 保全部 杉本 健)
コスト削減・新たな技術開発など常に問題が付きまとうが、設計・施工でPC構造の採用耐久性の向上などのメリットによる10%のコスト縮減は良いが、安全性・耐久性の本質的な問題点を第一に考えて欲しい。
(東北工業大学 中居良行)
第二東名高速道路の路線に占めるトンネル・橋梁延長をあわせた構造物比率が約58%もあることにびっくりしました。ほんとに山あり谷ありなんだと痛感しました。
また、施工のためのたゆまぬ技術開発の姿勢に感心しました。この記事で紹介されている新たな技術や工夫により、約50%の工期短縮、約25%のコスト削減が期待できると書かれており、これだけ大きな工事のコストが25%も削減されるということにほんと驚きました。今後もこのような新技術や工夫をこらすことにより、いいものが、安く、そして速く作られるようになるのだと思う。
(岡山大学大学院自然科学研究科 井保大志)
オートラリアの鉄道?確か世界一長い直線区間がある国だったけ?国有鉄道なのかな。それともアムトラックみたいな形態かな。写真によると市内電車も都市間輸送もやっているみたい。でも、地図や鉄道の概要が無いのでよくわかりません。クインズランド(地域?)において、この鉄道会社が公共交通として、どういう「定評」や「高品質の記録と評判」があるのか。どの程度、クインズランド州の交通問題が解決されているのかが読めてきません。最後になりますが、参照として上げられているホームページのアドレスに「_」が抜けていて、エラーとなりました。具体的な事実をもう少し知りたいと思いました。
(大阪府庁 岡田敏男)
特に新しい環境対策のようなものも書かれておらず、ただのQRの宣伝広告のような記事だった。
(岡山大学大学院 古谷隆志)
日本との違いは、マスメデイアを使用した公共交通の啓蒙活動が活発に行われている点であると思う。日本においても、公共交通の使用を促すようなキャンペーンは行われているのだが、あまり知られていないように思う。もっと分かりやすく、大々的なキャンペーンや広告を行うことが重要ではないかと思われる。
しかしながら、すべての利用者にとって使い勝手の良い公共交通機関であることが大前提であろう。日本において交通バリアフリー法が制定されて鉄道駅におけるバリアフリー化が進んでいるが、これから更に高齢化が進んでいく中で、本当に使い勝手のいい構造になっているのかに対して疑問を感じる。現在私は足を骨折しているのだが、松葉杖をついて階段や段差、すべりやすいタイルを歩く・・電車に乗るのは非常に辛いと思ってしまう。意識的にトリップを減らしてしまうのが現状だ。クインズランド鉄道においては障害者差別防止法という具体的な名前の法律が適用されているようだが、本当に健常者と障害者のどちらにも平等なアクセスを提供しているのか、日本のバリアフリー法とどう違うのか知りたいと思う。
(復建エンジニヤリング 甲斐友紀子)
潮位差を利用して内海の水質浄化を行うシステムは、日本ではテーマパークの運河等で試みられていたと思いますが、インドネシアでは、実際の港湾でもこのように実用化されていることに驚きました。
また、ゴミや油の除去やエアレーション効果そしてマングローブに親水桟橋と様々な施設、装置が工夫して配置され、本当に夢の広がる事業だと思いました。
日本の港湾においても、このように潮位差を利用して港全体の水質浄化に資する、そして、人々がみなとにもっと親しめるようになる事業が数多く実施されないかと考えさせられました。
((財)港湾空港建設技術サービスセンター 藤井研一)
論文中の水質浄化システムが、日常の生活の中から生まれた技術であることが非常に新鮮に感じられました。また、内容的にも面白く、イラストや写真が多く使われていることから分かりやすかったです。
(清水建設株式会社 太田智久)
途上国における収益の少ない漁港では、いかに維持管理を簡単にして、運転経費のかからないシステムにするかが重要とのこと。毎日繰り返される潮の干満を利用して、海水を溢れさせることで、高い所から低いところへ水を動かして、水質を浄化するシステムへ水が流れ込むようにする、というアイデアは何か他の用途にも使えそうだし、面白いと思います。筆者の方が家庭の浴槽に入った時に、お湯が勢い良く溢れ出て、汚れも流れ出るのを見て閃いたというエピソードも、良いアイデアは意外と身近なところに隠れているようで、楽しくなりました。
(東亜建設工業 目黒葉子)
自然を守る為には自然の力(潮の干満)を利用することが、もっとも環境にやさしく、合理的と考える。だから、ゲートの開閉、ごみ除去等もメンテナンスフリーの構造を考案できればなおいいものになったかと思う。しかし、メンテナンスを行うという行為により現地の人々に海水汚染の問題を啓発することができれば、それはそれで有意義なのかもしれない。
(鹿島建設株式会社 竹内章博)
非常に面白い記事だと思いました。私の家の近所にも小さな漁港があるのですが,そこは船とごみで海面がほとんど見えない状況です。工場廃水などと同じで,利益を出すために造ったものが排出する老廃物は,やはり責任を持って処理されるべきです。この記事にあるようなシステムが日本でも多く取り入れられれば,と思いました。
また,「このシステムが所定の機能を継続的に発揮するかどうかはすべて管理者の意志と情熱にかかっている。」というフレーズも気に入りました。
(ショーボンド建設(株) 小牟禮 建一)
この記事で取り上げられているジャカルタ漁港の水質浄化システムは、維持管理が容易で自然環境の改善に寄与するシステムとして大変評価できる。
浴槽に入った時、浴槽に浮いた汚れが溢れ出るお湯と一緒に流れ出すことにヒントを得てこのシステムが考案されたというのは大変ユニークであり、また水路の石をエアレーションに活用するというのも大変心憎い。このシステムが所定の機能を継続的に発揮することを期待してやまない。
(本州四国連絡橋公団 保全部 杉本 健)
潮位差を利用した港の水質浄化システムは非常によく考えられたシステムであると思う。多大な電力を消費する力尽くのシステムではなく、自然力を利用するといった発想は土木工学ならではであり、環境面、システムの安定性を考えても理想的であると思った。
ただ、直感的に思ったのは、自然力のうち潮位差という自然物理学の利用は完全に機能しているが、生物学的な利用であるマングローブによる水質浄化等は充分な性能は発揮し得るスペックなのか疑問を感じた。生物学的な利用は、コスト、設計の難しさ等が背景にあるのではと真に勝手ながら想像した。また、センサーとコンピューターによるゲートの自動制御で人件費を削減することも可能ではないかとも思った。
(鹿島建設 松尾 元)
東南アジア諸国における水質浄化システムのあり方について、とても興味深く読むことができました。私も現在、運転コストおよび維持管理費のかからない水質浄化システムについて研究を行っていますが、やはりコスト面での難しさと、将来の水質予測等まだまだ解決していない問題があり、頭を悩ませています。
(福岡大学工学部 渡辺亮一)
ジャカルタ漁港での港内水質浄化システムの実施例ですが、メンテナンスが容易で運転経費をあまりかけないという制約条件でのシステムに興味を持ちました。
基本的には潮の干満を利用した海水交換で、ごみや油の除去のほか、逆流防止ゲートの開閉まで人力で行っているということには驚きました。日本であれば、逆流防止ゲートは潮位の干満に合わせた自動開閉式をすぐ考えてしまいそうですが、書かれているように、水質浄化に対する「管理者の意志と情熱」も期待されてのことだと思います。
水質浄化の方法は、植物プランクトン、動物プランクトンを利用しており、「運転経費」の制約条件が、電力等のエネルギーや化学薬品を使用しないシステムに結びついたのだと思います。大量の浄化には向かないのでしょうが、親水公園的な要素も備えており、応用範囲が広がるように感じられました。
((財)港湾空港建設技術サービスセンター 佐藤健一)
私の先入観では、インドネシアはまだあまり産業は発達しておらず、ゴミの問題など無いものと思っていた。しかし、海にはゴミ・油が浮いているという。結局どこに行っても環境問題はあるものなのか。しかし、維持管理費の削減から潮位差を使った海水浄化システムは、日本でも取り入れると良いのにと思ってしまった。浄化目的だけではなく、小さい子供の遊び場にもなる。小さい子を海で安心して遊ばせられる場所は今あまり無いと思うので良い公園になることと思う。
(岡山大学大学院 古谷隆志)
自然の力のみを使って水質浄化するシステムに感心しました。土木の世界に限らず、やはり技術屋はアイデア勝負ですね。スクリーンのごみの除去も自然に行えるシステムができれば、もっとすばらしいと思います。
(清水建設 藤田 淳)
この記事は、発展途上国における環境水浄化を、いかに現地に合った方法で 実施するかということを、実例によって示されたものです。特に印象に残った のが、ただ浄化施設を建設しただけでなく、実際のメンテナンスの大切さに言 及している点です。これは至極当然のことですが、なかなか実施できていない 点のように思えます。つまり、現場浄化の施設においては、残念ながら入れ物 のみ作って良しとする傾向がみられる(国内外を問わず)ように感じているか らです。その意味で、実際のメンテナンスの大切さ、そして結局はその施設を 運用する管理者の意志と情熱にかかっているとの著者のご意見には、全く同感 です。水質浄化の点からすると、浮遊性固形物(ごみ)の除去よりは溶解性物 質の浄化が難点であり、今後どのような工夫がなされるか大変興味のあるとこ ろです。ぜひ数年後に続編を執筆いただければと願う次第です。
(山口大学工学部 今井 剛)
ジャカルタ漁港の水質浄化システムについてのプロジェクトが素人にも非常にわかりやすい図入りでリポートされており、興味深く拝見しました。マングローブなど現地の環境を生かした取り組みで、水質浄化は日本でも問題になっていることですが、地域によってそこに合ったやり方があるのだな、と実感する一方、干潟や貝による浄化、ウォーターフロントを整備した海岸レクリエーションの創出などは、共通の方法になるのではないかと思いました。日本の海外援助のプロジェクトというと、ODA批判にみられるように、よい面が伝えられていないのが残念です。今回はJICAとOECFによるプロジェクトだったようですが、このような取り組みがどんどん伝えられれば、海外援助に対する見方、日本の土木技術に対する見方も変わるのではないかと思いました。
(元中国新聞記者 大川富美)
大型ポンプ等を用いることなく、潮位差を利用して港の水質浄化を行うというアイデアは大変面白く、実際にジャカルタの漁港に設置されていることには少し驚きました。大規模構造物の建設にあたり常に課題となる維持管理のための費用及び労力の負担軽減という点では、すばらしいシステムだと思います。ただ一つ、つまらない疑問ですが、満潮時には、取水側、排水側とも同じ水位となるにもかかわらず、ゲートを開放することによって、なぜ交換地の海水が港外へ排水できるのでしょうか・・・・
(本州四国連絡橋公団 鳥羽保行)
まず、流域で災害を見舞われた方、心よりお悔やみ申し上げます。この事故を通しても自然の驚異ははかり知れないものであることはよくわかります。このような災害(とくに土砂災害)を防ぐには、極端ですが、山をガチガチに固めたり、山を取り除いたり、技術的には可能であっても、それを好しとするかはまた別の問題です。その中にあって、技術者は何を伝えられるのでしょうか。
さて、この記事を通して思ったことは、現地に居る人への説明を行ったのでしょうか?ということです。行ったのであれば、一言書いてもよいものではないでしょうか。
技術が発達し、衛星を利用し地理的状況、現場写真等、確かに技術者にとっては災害を通して知りうることが多かったかと思います。ただし、現地に住んでいる方々は今回の災害を通して何を感じたのでしょうか。次に来る災害に際して、どうすればよいのでしょうか。伝言ゲームのように、災害が起こったら○○に連絡し、○○担当者が被災地域に注意勧告をし・・・。と言う事だけが対策なんでしょうか。少し言い過ぎておりますが、ただ単に調査を行うだけでなく、会見を開いて知らせるだけでもなく、今回のような突発性で被害を防ぐには住民の判断がとくに要求される場合、町の公民館に地域の方を集めてしっかり説明してあげる。こういったことが我々土木技術者の求められることなんだろうと、この記事を通して改めて感じました。
((独)土木研究所 河川生態チーム 大石哲也)
このような事故・災害が起こった場合、土木は何をすべきだったのか?という事をいつも考えてしまいます。学会誌の記事としても今後我々はどうすべきかという提言を示すべきだと思います。『調査速報』と銘打っているのでそこまで書かなかったのでしょうがもう一歩先を期待します。
(東洋エンジニアリング(株) 菅原紳二)
災害発生から間もないにも関わらず,調査速報を5ページに渡って記載して頂き,執筆者ならびに編集者に感謝いたします。折しも,本号「時局を論ずる」に掲載の21世紀COEプログラム採択件数によれば,工学分野23件のうち,土木・建築関係は10件,そのうち5件が防災関係とのこと。土岐教授が指摘するように,防災分野は土木分野のメインではなく,防災分野以外の分野を創出する必要性があるのでしょう。にも関わらず,防災分野は土木分野がポジティブイメージで存在を十二分にアッピールできる分野のひとつ(唯一?)であり,災害調査を速報で会員に提供することは学会誌の使命と思います。
(電力中央研究所 佐藤隆宏)
まさしく「土木紀行」でした。情景が目に浮かぶようです。 構造物を遠くに見て,近くに見て,自然と一体化した構造物の美しさ,たくましさが伝わってくる記事でした。建設当時の写真やスケッチも迫力がありました。
(ショーボンド建設(株) 小牟禮 建一)
実家に帰省する際に必ず通過するのだが、このようなきれいな橋が掛かっているとは知らなかった。今度じっくり観察してみたいと思う。
毎号土木紀行は楽しみにしている。普段生活をしていて道路や橋を改まって見る事は少ないので、記事を読むことによってその価値を知り、改めてじっくり観察する事によって、構造物に対して興味の幅が広がるように思う。
(復建エンジニヤリング 甲斐友紀子)
機会があったら、私も「眼鏡橋を造るコーナー」でブロックを積んでみたい。最近、土木事業=税金使いすぎ、と受け止めている人が多いが、本当に生活に必要な土木事業があることを実感してもらうために、こういった体験コーナーは効果があると思う。
((財)東京都新都市建設公社 宇野久実子)
このコーナーと土木紀行は親しみやすい記事が掲載されているので、いつも楽しみにしています。石匠館、初めて知りましたが、ぜひ行ってみたくなるミュージアムです。特に、館長さんの人柄まで紹介されているのがいいですね。土木に携わる人たちの熱心さなど魅力的な側面に触れられると、こどもたちにとっても、土木がいっそう身近なものに感じられ、興味を抱くことになるだろうな、と思いました。今後も期待しています。
(大川富美)
私が所属する研究室では過去にゼミ旅行の中で石匠館を訪れたことがある。このとき,石橋の美しさ,技術,構造に誰もが感激したのを覚えている。それ以後,大学祭等で当研究室では本稿写真-3にあるようなテーブルサイズの石橋模型と,実際に人が渡れるくらい(スパン約2m)の石橋の模型を学生で木材ブロックをベースにして作り,訪れた子供達に石橋を体感してもらっている。本稿は石匠館の魅力を余すところなく伝えており,思わず読者が石匠館に足を運びたくなるような文章で構成されているが,九州に石橋が多い理由や石橋が日本で盛んに作られるようになった歴史的変遷などが若干冒頭にあればもっと良かったと思う。
(広島大学大学院工学研究科 海田辰将)
連載企画「現場」を楽しみにしている。今回は90t級ダンプトラックの写真のインパクトが大きかった。操作性が向上したことと、操縦室の労働条件が向上したことにより、女性オペレーターも現れているとのこと。環境が整っていないのに何が何でも女性の進出を目指すのは得策ではない。しかし、女性が働けるということは、男性にも働き易い職場になることだと思い、土木作業への女性の進出は歓迎すべきものだと思う。
((財)東京都新都市建設公社 宇野久実子)
都市土木とは一味違った,90t級ダンプ,ブルドーザなどの大型重機で施工中のダム現場からのレポートであり興味深く読ませていただきました。90t級ダンプの燃費が65l/時間や11m3級バックホウの値段が1台約3億2000万円には驚きました。また現場のオペレータの方はベテランらしく一番安全に気を付けているのが記事からも読み取れました。これぞ土木現場といった感じを受けました。
(西松建設 矢部昇一)
今日、コンピュータの発達等の影響で様々な分野で機械化・自動化が進んでおり、施工現場で使用されている重機にもコンピュータが搭載され、操作性が向上している。しかし、実際にそれらを扱っているのは現場の人たちであり、また、人の手でしか行えない作業もあり、どんなに機械化が進んでも最後は人間が関わってくることを改めて感じた。また、施工している方々の思いを垣間見ることができ、この連載の意義を感じることができた。
(横浜国立大学大学院 加藤 大)
(ロック)フィルダムの現場写真を見ると、もう15年ほど前、学生の頃の夏休みに、もう完成しましたが、木曽川水系の味噌川ダム工事現場に現場研修として勉強させていただいたことを思い出します。
この連載企画は土木学会の学生員が執筆していることもあり、当時を懐かしく思い出しました。学会誌は多くの学生員が読まれていると思います。現場での経験は土木技術者にとって、非常に重要で、また、なにものにもかえがたい経験であり、感覚論というと論理的ではありませんが、感覚的におかしい施工などはなんとなくわかるものだと考えております。
記事の中では、重機の燃費やレンタル料金等、ちがった視点から内容もあり、興味深くよむことができました。
古いタイプの人間の感想になるのかもしれませんが、大規模施工現場は土木技術者にとっては、まさに実験の場だと思います。どういう施工機械、技術を駆使して、いかに効率よく、安価に工事目的物を完成させるか、だと思います。だからといって、安易に環境を破壊してよいというわけでは決してありません。取材を終えてにも書かれておりますが、現場での"思い"がもっと広く一般に伝わればよいと思います。
(日本道路公団 北畑雅義)
このコーナーはいつも楽しみにして読んでいます。同じ学生からの視点として,素朴な疑問が学会誌として新鮮で面白いと思います。ただ今回の記事は少し物足りないと感じました。例えば,現場で安全に関して非常に厳しい管理がされていることは分かりますが,では,一体具体的にはどのようなことがなされているのか?また,バックホーなどの重機でどれほど細かい作業ができるのかといった重機の性能やオペレーターの方々の技術に関する紹介などがあっても面白かったのではないかと思います。
(京都大学 林 芳樹)
学生として疑問に思うことに関して質問されていらっしゃったので,なるほどと納得する部分が多かったです。とくに,重機の大きさについて,どのように決定されているのかを知らなかったので非常に勉強になりました。
(京都大学 玉谷宗一朗)
私もダムの建設現場を見たことがあるのですが、重機の大きさは想像を絶するものでした。しかも、重機のハンドルはイメージと異なり非常に小さいものでした。また、大型重機はあまりコンピューター制御が進んでいないイメージを持っていたのですが、高度な設備を有していることも分かり非常に驚きました。そういった中で、ダムサイトの着岩面処理などは手作業で行われていることがわかり、人間の作業の繊細さを感じ、まだまだ機械は人間に追いついてない面があることが分かり少し嬉しくなりました。
(横浜国立大学 桝谷有吾)
本稿は普段あまり目にすることのない建設現場の大型重機について,写真を多く交えて分かりやすくレポートされていたと思う。中でも実務の最前線でこれらを操作されているオペレーターの方々へのインタビュー内容は興味深く,オペレーターの方々が普段の作業の中でどこに視点を置いているか,またどんなところに注意して作業しているかをオペレーター以外の人が知っておくことは,安全管理上も重要であると感じた。あと,これだけの大型重機を長期間使用するために,普段から誰がどのようなメンテナンスをされているかがレポートされていればより面白い記事になっていたと思う。
(広島大学大学院工学研究科 海田辰将)
都市工学や景観の専門家だけが対象でない本誌の記事としては、表現がやや難しすぎるのではないかと思った。テーマの重要性は共感できるだけに、表現の難しさでこの記事や紹介された本を読まなくなる読者がいると思うと残念である。
(鹿島建設 松尾 元)
このページ、はっきり言って読み応えのある一ページであった。私自身まだ紹介されている本を読んでいないし、失礼ながら紹介されている本の著者を存じ上げていないが、この紹介文を見て、大変興味をそそられ一度読んでみようと思う。確かに現在では、国内外への転勤・出張などを契機に景観について考えさせられることがあると思う。そのようなことから少しでも景観について考える人が増えればいいと私も思う。そのような些細な事からの積み上げが「美し国」に繋がるのではないか。
((株)ドーコン 野田敬一)
会告の本部行事の中で懇話会の記事に注目しています。というのも、日常の業務の中では専門外の情報は入りにくく、ましてや活きた情報はほとんど耳にする機会がありません。そんなことを私なりに解消すべく、学会誌に目を通したり、気になる図書を購入して読むといった事を実践していましたが、活字相手では当然のことですが、活字の範囲以上の情報は入手できません。
そんなおりに、この懇話会が開かれていることを知りました。専門外のテーマに関する懇話会に参加することに対して、講師の方に失礼ではないか?、講師の方のお話が理解できるだろうか?、などの抵抗を感じないわけではありませんが、テーマを限定せずに思い切って積極的に参加しようと思っています。
広く浅く知識を得ることは自分の技術力向上に対して決して無駄にはならないと思いますし、講師のプレゼンの方法や、そのテクニックを盗むだけでも参加する意味があると思います。
そこで様々なテーマについて懇話会を開催していただければと思います。
(ジェイアール総研エンジニアリング 木村礼夫)
既に過去の土木学会誌に掲載されているかもしれませんが、「観光立国と土木」などといった特集をしてみては如何でしょうか。
10月号の特集にある「競争力を高める」1つの選択肢として、観光の振興が挙げられると思います。今回の記事にもあったとおり、東京が魅力的に映ればわが国も魅力的にもつながっていくと思います。
現在東京都においても、観光政策に力を入れているところです。既存の観光施設を有効活用するとともに、魅力を更に高めるため、歴史的建造物などの一般公開、ライトアップ、文化財庭園の再生などに加え、海外からの観光客を意識した多言語表示の歩行者用案内標識の設置などの取組みを進めています。またソフト面では、観光情報案内所の設置や海外からの観光客獲得のためシティー・セールス・ミッション派遣などを実施しております。
わが国が観光立国に向け、どのような街づくりや施設の管理や有効活用が求められるのか、観光を土木の側面から捉え、海外の事例なども紹介しつつ、観光を21世紀の土木の役割の1つとして特集してみては如何でしょうか。
(東京都 花井徹夫)
興味深く「九州地方の豪雨災害調査速報」を読みましたが、もう少し早く早い段階でのポイントを「速報」できないものでしょうか。この後、宮城県北部地震、十勝平野の豪雨災害、十勝沖地震と災害が続いているので、それぞれの土木工学的視点からの推察と学会の取組み予定など、新聞報道や専門雑誌とは異なる視点での「速報」を期待します。
((財)東京都新都市建設公社 宇野久実子)
毎号、「技術リポート」として、様々な現場の事例を掲載されている。
私も、専門の高速道路建設以外の様々な現場が紹介されており、関心を持って拝見させていただいている。しかし、毎号1例と、個人的には少ないと感じている。土木の分野は、建築・住宅を除くすべての構造物が対象であると考えているので、様々な分野(道路、鉄道、港湾、空港等)、発注者(国、公団、自治体等)に、ぜひ協力をいただき、充実した紙面作りをお願いしたい。
(日本道路公団 田之脇 良徳)
技術リポート及び連載企画現場に関して。
もちろん、これらの記事から、技術面の工夫や、コスト縮減への取り組みを十分に感じることができる。それだけに、これらの技術者が、自ら努力している事業が、その手法や必要性の面から批判にさらされてしまう(この2件についてはいずれもそのような批判を耳にする)ことをどのように感じるのか、正直聞いてみたいところではある。もちろん趣旨には合わないのだろうが。
(鉄道・運輸機構 水越 潤)
巻末にある申込書などの様式は、すぐに使えてとても便利です。殆どの場合、複写して使われると思いますが、最近は複写機の性能もかなり向上し、拡大コピーしても、文字程度であれば、実用上は全然問題ありません。そこで、紙面を節約するため、申込書の様式などは縮小して掲載されたらいかがでしょうか。また、同様の様式をホームページで掲載しておけば、縮小で小さくなった文字もウェブでも確認することができ、さらに便利が良くなると思います。
(大阪府庁 岡田敏男)
締切りが早くくるのでモニターの仕事も大変ですね。モニターの声に投稿が載ったときは、500円分の図書券がもらえるなどのインセンティブがあっても良いのでは(くだらないことを書いてすいません)。
(清水建設 藤田 淳)
バリアフリーについての特集をして欲しい。
(復建エンジニヤリング 甲斐友紀子)
最近、土砂災害、地震災害が続いています。その災害後に土木学会の調査団が入ったとのニュースを何度か見たように思います。学会誌でも今回の九州地方の豪雨災害についての速報が掲載されていますが、これは学会誌以外にも一般の人が読めるのでしょうか?またいくつかの災害の比較などもされているのでしょうか。ぜひ外部からもアクセスできて、参考にできれば、と思います。(以前に芸予地震を取材していたときに、あまり専門的な調査などの情報がなかったので)
(大川富美)
「土木技術者の倫理−事例分析を中心として−」が土木学会より刊行されましたが、特集でも、「土木技術者の倫理」を取り上げて頂けないでしょうか?
(中央復建コンサルタンツ(株) 小阪拓哉)
土木学会誌に限った話ではないのですが,最近アルファベット数文字で示される略語がかなり多くなってきたと思います。学会誌を読んでいて,あまり一般的でない略語が唐突に出てきた場合,読者の多くは困惑するのではないでしょうか。そこで,原稿の最後にでも略語の解説等を1〜2行程度で付け加えてみては如何でしょうか?そうすることで,我々学生にとっても勉強になりますし,学会誌の読みやすさもより向上すると思います。
(広島大学大学院工学研究科 海田辰将)
毎月ごくろうさまです。今月はこれといったことが思いつきませんでした。次号を楽しみにしています。
(岡山大学大学院自然科学研究科 井保大志)
特集に関して
東南海・南海地震の津波被害について、興味深く読ませていただきました。そのなかでも特にハード防災とソフト防災という言葉が非常に印象に残りました。
大地震の被害をハード防災だけで軽減させようと思えば、恐らく100年や200年でも完成しないと思われます。地震大国に住む土木技術者として、何百年かかってもそれらを整備していく必要があると思いますが、今、目の前に来つつある大地震に対して被害(特に人命)を減らすためには、ソフト防災が非常に重要であると感じました。そのために我々土木技術者が何をしなければいけないかというと、この話題を学会誌だけにとどめず、広く世間に知れ渡るようにすることだと思います。例えば土木学会の費用を使って新聞に広告を出して見るのも良いかも知れません。
(清水建設 藤田 淳)
(編集委員会からの回答)
土木学会では一般市民への情報公開を目的に、広くコミュニケーション活動を行うための組織改編を検討しております。新聞広告を出すかどうかはさておき、積極的に一般市民とコミュニケーションを図っていく予定です。
現場
連載企画・・・現場、に期待します。8回の予定は既に立っているのですか?
((財)東京都新都市建設公社 宇野久実子)
(編集委員会からの回答)
取材先は、企画立案時にほぼ決定しております。ただし、すべてが決定しているわけではなく、取材先の変更や掲載順の変更などを行う場合もあります。学生班では基本的に自分たちで取材し記事の作成を行っているため、このような変更が可能な状況となっております。興味のある企画がございましたら、ご提案いただければ幸いです。
(学生班 鈴木 崇之)
(編集委員会への要望)
以下は編集方針と関わるが、特集で感じたことを。
学会誌だから基本は会員や専門家を対象としていると思われる。8月号の「計算力学の最前線」などは、その最たるものだ。一方、「土木紀行」「親土木入門」「ミュージアム」などは、一般読者を意識した企画連載といえる。外部モニター制度があること自体が、それを裏付けている。いわば専門家集団向けと素人向けの内容がごちゃまぜになっている。どちらに比重を置くのか、あるいは並立をはっきりうたうのか、明確にしたらどうか。難しいのは並立。現状ではあぶはちとらずになる。ざっくりと会員・専門家集団向けと、一般向けに構成を2分する方法もある。ここからは会員向け-というように。一般向けには原稿に分かりやすさが重要になる。新聞社の原稿は、中学生が理解できる文章、漢字遣いが大前提になっている。モニターからも意見を求め、研究されたらいかがでしょう。
(山梨日日新聞社 深沢健三)
(編集委員会からの回答)
土木学会誌の読者には専門技術者のみならず、将来の技術者である学生も含まれております。そのため、「土木紀行」「親土木入門」等の記事は一般読者向けというよりは、土木工学に興味を持ちつつある方(主に学生)を想定して編集しております。ただ、ご指摘のように、分かりやすさは読者層に限らず重要なことだと思いますので、アンケート調査等を行い、改善に努めていきたいと思います。
(編集委員会への要望)
学校法人化への移行にあたり、大学では種々の対応が検討されているようである。その一環にTLOがある。特集で「TLO」について取り上げて頂けないでしょうか?
(中央復建コンサルタンツ(株) 小阪拓哉)
(編集委員会からの回答)
TLO(Technology Licensing Organization:技術移転機関)単体の特集ではありませんが、2004年2月号の特集の中でTLOに関する記事を予定しております。ご期待下さい。
(編集委員会への要望)
今現在で、土木学会の委員会(1種から3種全て合わせて)っていくつあるのですか?今月号83ページを見て思ったんですが、その数ある委員会から4〜8ページ位の委員会報告を書いてもらい毎号載せるというのはどうでしょうか。委員会としても自分たちの活動内容を他の学会員に知ってもらえるチャンスなのではないでしょうか。もうやっているのかも知れませんが、過去の学会誌を見ても毎回あるコーナーではないので書いてみました
((株)ドーコン 野田敬一)
(編集委員会からの回答)
現在、土木学会には大小合わせて204の委員会があり、編集委員会でも各委員会の報告を載せることは検討しております。
Copyright 1996-2003 Journal of the Society of Civil Engineers