土木学会誌11月号モニター回答
この記事中で,「建設」コンサルタントという名は体をあらわしていなくて,「土木」コンサルタントと呼んだ方がよいと書かれているが,「土木」という言葉自体が「civil engineering」を的確に表しているとは思えないので,「社会基盤」などより適した言葉があるのではないかと感じた。
(東京大学大学院 浜谷健太)
たしかに「土木」という名前はあまり大衆受けしない時代になってきたな,と感じています。大学の学科も「土木」から「環境」とか「システム」とかいう名前に変わっていくのが最近の流れみたいです。土木の基本は土と木,いずれもさすがに最近では使われる頻度が減ってきているかもしれませんが,それでも基本は現場,というのは変わらない事実です。読者の皆さんには怒られるかもしれませんが,もし現場がなければ,「設計」とか「研究」というものはただのゲームになってしまいます。現場くささを隠して,環境とかシステムとか見栄えのいい名前で表面を覆うのは悲しいことです。土木は現場ありきという大前提のもとで,そのプロフェッショナルとして地位を認められた公認土木士,公認土木設計士の制定は非常に望ましいことだと思います。それと同時に,一番土木の染みている作業員の方々も,ドイツのマイスター制度のような,技能者に与えられる地位が認められるようになればいいと思います。
(ショーボンド建設 小牟禮建一)
本記事の内容に非常に共感いたします。土木という言葉の意味を改めて考えさせられる記事でした。確かに多くの大学から土木という学科名が消えつつある今,一土木技術者として非常に寂しい思いを覚えます。しかし土木工学無くして現在の文明の発展はありませんし,土木はまさに文明の基礎とも言えるのではないでしょうか。我々土木技術者が胸を張って自分が土木技術者であることを主張していくことこそが大事なのではないでしょうか。
(東洋エンジニアリング 藤原武彦)
筆者によると,広辞苑には「土木技術者」なる記述はないそうである。筆者のもう一つの指摘でもある,大学の学科名から「土木」の名称が消えつつあることを含めて,一土木技術者として大変残念なことと思う。 これらの現象は,一般社会からの「土木」に対する認知度の低さ,あるいは負のイメ−ジの反映の一つであろうと思われる。 又これらの現象は,昨今の業界内外の厳しさから生じたものではなく,バブル前後あるいはそれ以前からのものであることに留意する必要があろう。これらは根の深い問題であり,責任の大半は,「世間」の側にではなく,外部世界(=世間)に向かって情報の発信(あるいは情報の開示)が不十分であったわれわれ土木技術者の側にあると考えざるを得ない。 筆者は,解決策の一つとして「公認の職業法」に基づく「公認土木設計士」などの公認の名称制定と定着による土木技術者の身分・資格の保証が不可欠であると主張している。一土木技術者として大いに賛成する。土木技術者の資格として「土木学会認定資格」や「技術士(建設部門他)」があるが,同じ業界の資格である「建築士」と比較すると,残念ながら世間の認知度には雲泥の差がある。 今後は土木学会を中心として,外部へ向かっての情報の発信に努めるべきであろう。
(大林組 佐村維要)
この記事を読んで気付いた。まさか,「土木」の知名度・認知度がここまで低いとは。実際に戦後もしくは,人が生活している大昔から土木は存在し衣・食・住の一端を担っているはずなのだが。マスコミの影響によるイメージダウンもあり,社会経済の状態も含め,これからの将来沢山の課題がある。一つ一つ毒を抜いて行きたい。
(東北工業大学 中居良行)
建設コンサルタント会社にいて,技術士として公共性の高い重要な業務をしていると思っているにもかかわらず,社会から建設コンサルタントが認知されていないのは淋しい限りです。本稿にあるように,土木の計画,設計に関わる職能が職業法で公認されていないのも大きな要因と思います。
一方,「専門的な立場から,社会に認知されるような活動をしているか?」「顔・姿の見えるようなことで良いのか?」との自問もありますが,社会への説明の重要性が増す中,顔・姿の見えるような仕事振りも必要になってきているのだと思います。
(パシフィックコンサルタンツ 木田川誠司)
土木業界に対する世間の目線は冷たいです。それに対して,土木技術者の身分・資格を保証すれば世間の目は温かくなるのでしょうか?建築士の名義貸しとか,(技術者ではありませんが)監査役の不正など,公認の職業法で規定されている人たち,一般に「先生」と呼ばれている人たちでも,倫理は必ずしも実践されていないようです。さらに,医者と弁護士以外は資格を持っていても,仕事に直結しないとも聞いています。土木の現状を改善するには法律による身分保障は必要条件とは思いますが,著者が「衣食足りて礼節を知る」とおっしゃっているように,処遇の面も含めて改善する必要があると思います。
(大阪府庁 岡田敏男)
筆者が言われている「土木」の名称の復権及び公認土木設計士等の設立をいう意見には私も大賛成である。私が大学に入って最初に教わったことは,『土木=Civil Engineering=市民工学』であり,市民のため,つまり社会のために必要な整備を行うことが出来るように,しっかりと知識を得てほしいとのことであった。そのとき,このような学問を学べることは光栄であるとも思ったものだった。しかし,時代は変わったのか,大学の学科でも,「土木」ではなく「環境」や「情報」といった名称にすると人気が増えるのか,名称変更している大学があると聞いている。「土木」というイメージが悪いのか,それであれば,イメージアップの努力をする必要があるのであろう。何もせずに,地道にモノを作っていれば,まわりは分かってくれるという考えは古いのかもしれない。その中で,筆者の言われる「公認土木設計士」といった専門家の養成は不可欠なのかもしれない。例えば,マスコミに「公認土木設計士」という肩書を出して,意見を述べる,あるいは難工事現場のマネジメントを行うなど,様々な分野で活躍の場があると思われる。また,そのような人材は土木の分野にはたくさんいるであろう。土木学会にも中心的役割を担っていただき,「公認土木設計士」の実現,及び「土木」のイメージアップに努めてほしい。
(日本道路公団 田之脇良徳)
土木に携わっている人にとって,今日の土木のイメージの悪さは悲しいことに違いない。それによって土木という言葉が大学の学科名からも消えつつあるという。私の大学でも土木からシビルエンジニアリングという名称に変更した。しかしこのような対策(?)で世間の土木に対するイメージが根本的に変わるわけではない。土木という言葉を用いても充分に魅力を感じてもらえるような土木になって欲しいと思う。
(横浜国立大学大学院 加藤 大)
バブルの初期の頃であろうか,大学の学科名から土木の名前が消えて,建設工学科等が一般的になってきたのは・・・・。今にして思えば,これには「地上げ」や「汚職」,また「3K」と言われた現場環境が若者や世間一般から受け入れられない事情が大きく影響していたのではないか。ただし,それだけではなく土木工学が環境・交通・景観など分野の幅が広いと言う事情もあるのではと思う。「公認土木設計士の誕生を!」という記事について,私は決して土木技術者の地位が低いとは思わないけれども,誇りを持って仕事ができるよう業界自体を変革するには必要な事かもしれないと感じた。
(西松建設 矢部昇一)
「特集:現場施工技術の進歩」を大変興味深く読ませていただいた。「土木は水との戦いである。」とよく耳にする。シールドトンネルしかり,長大橋しかり,現場の施工技術の進歩は,水の克服にあったといっても過言ではない。また,田辺朔郎しかり,廣井勇しかり,日本の近代土木を築いた先人達も水を克服してきた人々が多い。土木にとって,水との戦いは永遠のテーマである。水の克服無くして技術の進歩はあり得ない。ただ,それは何も施工現場に限ったことではない。計画・設計段階から水に対する十分な検討を行っておくこと。それが,安全・安心施工かつ技術の発展につながる。今後,発注者・コンサル・ゼネコンが一体となった取り組みの中で,世界に冠たる日本の土木技術の更なる進歩を期待するとともに,私自身もコンサルタントとして,将来何らかの形で土木技術の発展に寄与したいと決意をあらたにした次第である。
(中央復建コンサルタンツ 小阪拓哉)
現場施工技術の進歩は,土木工学分野以外の工学分野の進歩とともに歩んでいることは事実であり,私の現在の業務であるPC橋梁の分野についても設計計算にはパソコンが必要であり,施工には大型の機械や高品質の材料が必要であることは経験不足の私にも明らかに分かることである。しかし,その優れた機械等があるだけでは優れた構造物が建設されるわけではなく,技術者として本質を見抜く力が必要であると感じました。
(清水建設 太田智久)
学会が「現場施行技術の進歩」という特集を組むこと自体,有意義なことである。土木学会は他の学会と性格が違うところもあるが,やはり,学会はアカデミックで実社会から乖離しがちである。
土木という名前を変えていく学部が多いが,それより社会への貢献やローテクについての紹介を心掛けることが,土木復権につながると思う。
(東京都新都市建設公社 宇野久実子)
「現場での施工技術はどれだけ進歩しているのか。」日常,この種の情報にあまり接する機会が少ない私にとっては,貴重な情報源として興味深く読ませてもらいました。特に技術賞を受賞したものばかりなので,いろいろな困難を乗り越え,苦労して竣工された現場での経験談は参考にすべきところが多いと感じました。特に以前,鳴瀬川橋りょうを通る機会があったのですがその時は「変わったデザインの橋」だなと感じただけだったのですが,今回の載っていた記事を読み,発注形態や施工条件その他いろいろな経緯で生まれた橋なんだなぁと,改めて「へー」と感心してしまいました。
(西松建設 矢部昇一)
今号の特集は土木技術の開発動向が社会のニーズの変化とともに変遷していくという点で興味深いものであった。たまごが先かにわとりが先かみたいな関係にあろうかと思うが,筆者がいうようにそのときどきの時代にあった社会ニーズとともに土木技術も進歩してきたと感じます。また,社会のニーズ以外にも純粋な技術開発のための企業努力もあったかもしれません。紹介されたどの技術開発をとってみても,土木技術者にとっては感嘆に値するもので,現場でのニーズがいかされた結果であろうと感じます。若年層の現場離れが進んでいるといわれ,泥臭いところも多々ありますが,過去のような3K職場ではない,進化した施工現場をみれば現場への考え方も変るのではないでしょうか?また,ITも施工現場に多種多様にとりいれられており,若い技術者を魅了するような技術もどんどん開発されています。特に現在は,公共事業イコール悪のようなイメージがあるので,現場での技術開発をとおしてイメージがすこしでも払拭できればよいと思います。これからも,省力化,ライフサイクルコストの低減,地球にやさしい環境技術の開発が技術開発の主体になると思われます。土木技術者として少しでも貢献できればこんな幸せなことはないと思います。
(日本道路公団 畑雅義)
五里ケ峯トンネル,岩手一戸トンネルと言う長大トンネルの地山の違いによる施工計画を使い分けた掘削技術は,限られた工期の中で完成させるため,随所に工夫がなされていた。例えば,五里ケ峯トンネルでは,掘削速度重視の観点から単機能大型機械を導入し,施工中の水平ボーリングを活用したこと,岩手一戸トンネルでは,膨張性地山の克服のため切羽の早期閉合の観点から多機能機械を導入し,掘削基準を設定して地山性状の変化に速やかに対応したこと,が挙げられる。まさに機械化施工の見本のようなトンネル工事であり,機械化が進めば掘削速度が向上し,工事費の低減にもつながる。この方向は一層の拍車がかかるに違いない。忘れてならないのは,事前の地質・地下水調査を十二分に行うこと,これに尽きるのではないか。一昔前,山岳トンネルと言えば「経験と勘」で掘るものとされてきたが,掘削システム全体の技術レベルが格段に向上した現在にあっては,機械化をいかに取り込むかが成功の鍵となりつつあるように感じる。その意味で本件のような厳しい施工条件をクリアした技術は実に貴重な事例でもある。関係者のご努力に敬意を表する次第である。
蛇足であるが,以下につきコメントを記す。
(1)五里ケ峯トンネル戸倉工区では(2)「サイクルタイムを短縮する方法」を追求したとあるが,
長孔発破も行っているので,(1)「1発破長を長くする方法」も採用したことになるのでは?
(2)同工区では相当量の湧水があったとされているが,渇水問題は発生しなかったのか?
(3)岩手一戸トンネルの図-4の横軸に「延べ人数」とあるが,通常この類の図は時間軸では?
(国際協力機構 矢部哲雄)
橋梁に関しては,興味はあったがなぜかそれ以上知識を得るきっかけがなく,す通りしてきた。たまたまこの記事を読み,少し嬉しくなった。写真に載っている橋梁は通ったことはない。しかし,景観にマッチして都市・生活に融合している姿は非常に素晴らしいです。
(東北工業大学 中居良行)
本稿は,近代長大橋におけるさまざまな施工技術を図や写真を交えてわかり易く解説されており,我々学生に対しても非常に興味が持てる内容だったとおもう。記事を読み終えて,我が国の長大橋技術に改めて感激するとともに,これらの優れた技術を継承し,さらに発展させるという意味において,将来橋梁技術者を目指す一学生としてプレッシャーを感じた。
(広島大学 海田辰将)
本記事を私は,まるで密着形式のドキュメント番組を見ているかのような緊張感を持って読ませていただいた。そして,記事を読み終えた後に,私も技術者人生の中で,筆者がされたような経験をしたいと思うとともに,筆者および本記事で紹介された事業に関わる人たちに尊敬の意を込めて拍手を贈りたい。
(広島大学 海田辰将)
技術者の気概が伝わってくる非常に面白い記事であり,まるで活字版のプロジェクトXを読んでいるかのようでした。新たな工法を用いる際に立ちはだかる「実績の壁」を乗り越え,また既存の基準を鵜呑みにすることなく管理の本質を実験で確認する姿勢などは,「土木」の仕事を魅力的に感じさせてくれるものであり,これから土木業界で働くことになる私にとって夢と希望を抱かせてくれるものでした。
(京都大学 林 芳樹)
非常に読みやすかったです。最後の「品質管理に労を厭わない技術者によってのみ土木技術が進歩する」というフレーズに感銘を受けました。どれだけ技術が進歩しても技術者がしっかりしていなければよいものはできないのだと強く認識しました。
(京都大学 玉谷宗一朗)
カンチレバー工法の概要が良くわかった。「示方書を鵜呑みにしないで管理の本質を実験で>確かめていくこと」の大切さを学会で取上げてくれてくれて,現場に近い読者としてはうれしい。
(東京都新都市建設公社 宇野久実子)
他記事とは異なる「プロジェクトX」風の文面で楽しく読めた。この記事から受けた印象は,技術者としての「誇り」「情熱」だ。また,ひとつの技術を育て上げられ,評価され得たことに対してうらやましくも感じた。筆者はローテクと呼ぶが,土木技術に関しては「ローテクなくしてハイテクなし」と言えないだろうか?ハイテクという言葉に踊らされることなく,本質を見極めるためには,自らが汗を流すことが必要だと考える。
(電源開発 坂田智己)
大変面白い記事でした。技術者として熱い気持ちになりました。それと同時に,文章から技術者としての強い信念を感じました。現場でも設計室でも研究室でもそうですが,最近は技術の高度化に伴って「誰にでも使えるもの」というのが優遇されます。それはそれで便利でいいのですが,自分,もしくは全体の進歩という観点から見たとき,果たしてそれはいいことなのか?と首を傾げてしまいます。例えば今,私はパソコンから多大な恩恵を受けており,簡単に計算や作図ができるようになっています。しかし万が一災害でこれが使えなくなったとしたら・・・。手計算で残りを仕上げるのには,それなりの素地が必要です。その素地はきっと土木にとって一番のローテクで,大学で教わるような基本的な部分です。普段はハイテクに頼っていても,ローテクが持っている「本当のところ」というのは大切にしていく必要があると感じました。
(ショーボンド建設 小牟禮建一)
この記事で紹介されている新技術の内容だが,私にはちょっと専門色が強すぎて理解できませんでした。この新技術が工事費と工期の節減につながったことは,わかりましたが,どの辺がすごいのかが,いまいち伝わってきませんでした。
(岡山大学大学院 井保大志)
地上タンクの方がコストは安いがつい最近あった事故のような事がある可能性は十分にあるので安全性から言えばすべて地下タンクにしてもらいたいものである。今後も地下タンクの技術向上がなされ,地下タンクが当たり前になっていってもらいたい。
(岡山大学大学院 古谷隆志)
いくつかの自然的,社会的制約条件を解決しての建設であったことが述べられていた。施工に当たり検討された理論,実験,他工事の実績,施工法の要点がわかり易く述べられており,興味を持って読むことが出来ました。
(復建エンジニヤリング 樋口邦治)
遠隔操作システムについてどのようにモニターされどのように重機を操作しているのか写真などで説明して欲しかった。
(岡山大学大学院 古谷隆志)
私は山岳トンネル(NATM)の施工に関わった経験があります。みなさんはトンネル工事自体あまりイメージ出来ないかと思いますが,トンネルの施工管理も省力化に向かって進歩しています。例えば,トンネルの施工は計測を伴います。掘削した後,地山は大小の差はあれ変位するので,変位の収束を確認した後にコンクリートを打設します。同時に,地山の状態を把握し,地山の変化に対応した施工を行う目的もあります。作業内容としては測量をイメージして下さい。トンネル内は狭いので作業との兼ね合いで時間のロスが多くなりがちです。このような作業を半自動化する機械が実用化しています。トンネルの切羽を見渡せる位置に設置し,機械に座標を持たせれば計測作業をはじめ,カメラとして切羽状況を記録することも出来るそうです。もし,これから先トンネルを掘ることがあったなら,是非使ってみたいです。このように,私の知りうる範囲だけでも機械,IT技術は土木の世界を発展させています。無人化施工技術はその最先端に位置する技術です。この先どこまで進んでいくのかは,想像できませんが期待しています。
(三井住友建設 小出孝明)
特集「現場施工技術の進歩」の中にこの内容があるのには若干違和感を覚えたが,田中賞等に比べてあまり知られていないこの賞について興味を持って読んだ。これからのキーワードである「環境」を主題とし,発足間もないこの賞の応募件数が激減しているのには少し驚いた。初年度に100件の応募があったが,翌年には20件,翌々年には11件と急激に減少している。「環境」をビジネスチャンスと考えているところは多いにも関わらず,応募件数が急激に減少したのは,この賞の受賞をメリットと思う個人,団体が少ないということではないか。例えば,受賞によって,土木学会誌等を通じて広く広報活動ができ,ビジネスチャンスに繋がると考えることができれば,自然と応募件数も伸び,内容もハイレベルなものになると思う。また,現状を詳しく知らないが,審査過程もできるだけオープンにし,応募団体の大小を問わず,本当に将来性のある技術に対して賞を授与することも活性化のために必要なことだと思う。田中耕一さんを見つけ出したノーベル賞のように。
(鹿島建設 松尾 元)
土木学会環境賞がこれほど新しいものだとしり,非常に驚きました。それと同時に,やはり近年は環境問題に注目が集まっているのだと実感しました。しかし,応募件数の少なさが少々気になりました。私は先日行われました,海岸工学講演会に参加したのですが環境賞に応募できるようなものがいくつもあった気がしています。まだまだ浸透していないといったことが現状なのでしょうか?いづれにしろ環境問題は今後も注目が高まる分野だと思います。年数を重ねるごとに本賞の価値が高まっていくことを期待しています。
(横浜国立大学 桝谷有吾)
確かに一般的には最近の若者は(こんな事を言うのはオジサンの証拠ですか?)現場に出るよりも机に座ってITを駆使した業務を望んでいる人が多いような気がします。しかし,我々建設業にたずさわるものとしては自分が設計等で関与した設備が実際に出来上がっていくところを自分の目で確認できるというのは幸せな事で,そこに仕事の楽しさがあると個人的には思っています。泥臭いと言われればそれまでですがその『泥臭さ』もいいものであるということを分かって欲しいと思います。
(東洋エンジニアリング 菅原紳二)
実際現場に立ってみないとわからないところを記事にしたものなので興味を持って見れた。作業設備ひとつとっても大きな費用がかかっているもので,重要なものなのだと感じた。
(岡山大学大学院 古谷隆志)
急傾斜地における工事の写真が目にとまり,本記事を読み始めた。急傾斜地での工事というと,どうしても仮設工事の占める費用が大きくなる。本記事で紹介されているインクライン(傾斜鉄道)設備の工事費も全体事業費の9%弱を占める大きな割合となっていた。しかし,この架設工事にコスト縮減を追及していたら,本工事を効率よく進めることができたのだろうか?このような過酷な地形条件下では,恐らく困難を極めたに違いない。まさしく,プロジェクト全体の生命線であるから,費用を注ぎ込む必要があったのだと思う。では,自分自身の関わっているプロジェクトの生命線はなんだろうか?改めて考えてみようと思った。
(東電設計 高橋秀明)
広島空港,といえば,私の地元である。今回のこの橋が日本一のアーチ橋,というのは初めて聞いた。地元では,この大橋の名は某国会議員の名前を頭にかぶせて呼ばれることも多く,いわゆる無駄な公共事業として見られる向きが強い。一般市民としては,どんなにすばらしいアーチ橋ができるか,という前にむしろ,実際にこんなにお金をかけて大規模な工事をする必要があるのか,土木の専門家として,もっと他にいい橋の作り方はないのか,を論ずるべきではないだろうか,と疑問を感じる。認識の隔たりを感じてしまう。
トップ記事の論説の中に,「マスコミを通じて得た誤解と偏見に基づく'土木'のイメージの悪さが,世間一般の大人たちの社会にあるようである」(P,5)とあるが,先日までマスコミの一員として働いていた経験から言えば,特に公共事業に関しては,談合情報が新聞社にしょっちゅう寄せられるなど,税金を使っている,との土木関係者の認識を疑ってしまうことが多かった。この空港に関していえば,確かにアクセスの悪さは開港当初からの課題だが,まず技術を称える前に,機能,コスト,利用見込みの点で他の選択肢と比べてどのように優れているのかを述べ,県民の納得できる回答を示してから論じてほしい。
(大川富美)
丁寧な説明で非常に分かりやすい記事でした。普段は土木構造物に対して完成したものにばかり目を奪われて,架設工事について注目することはあまりありませんでした。しかしながら,この記事であらためて架設工事の重要性を認識することができました。ここに紹介されているインクラインのような架設構造物は,縁の下の力持ちとして社会を支える土木の象徴のように思えます。
(京都大学 林 芳樹)
早速ホームページに行ってみました。ものすごい急斜面での施工であることが写真を見て良く分かりました。インクラインの架台も急傾斜であり,まさにこれが生命線で,これが無ければどうなってしまうのだろうと想像する事すら難しそうです。しかし,このような大構造物を完成させた時の土木技術者の達成感というものは建設に携わったものにしか分からないものですよね。これから土木に携わる若者にもこのような泥臭さを経験してもっと大きな課題に挑戦していって欲しいです。ホームページの旗振りオジサンのユニークな動きに思わず『頑張れ』とつぶやいてしまいました。
(東洋エンジニアリング 菅原紳二)
先日,この記事が届いた後に本現場を見る機会がありました。とにかく仮設設備がすさまじい。記事でも特筆されていますがインクラインは必見だと思います。何も無い急斜面にこの設備を作っていった現場の苦労は計り知れないと,インクラインに乗っている途中で考えました。
最近,土木を敬遠する学生が増えているということですが,このような山岳土木の真髄を目の当たりにすれば,考え方も変わるのではないでしょうか。その意味でも,土木学会主催の子供たちを対象とした現場見学会は継続し,「土木は地図に残る仕事です!」ということをアピールしていただきたいと思います。
(清水建設 藤田 淳)
本記事は,プレキャスト石張り護岸の開発について紹介されており,図や写真から,この護岸がどういうものかについては,素人の私にも理解できた。しかし,残念なのは一番興味のあった技術開発の概要において,プレゼンテーション用のOHP原稿をそのまま見ている感じを受けたことである。この部分について,もっと説明のための文章を多くしてはどうだろうか?
(広島大学 海田辰将)
地域独自の護岸の開発に関する記事であり,実際やってこられた方々の多大な苦労や努力が伺える記事である。私自身河川に携わっており,かつて地域独自の工法を発注者の方と考えたことがあるからだ。ただこの記事の少し残念なのは,前段の説明が少なすぎて「なぜ自然石を埋め込んだブロックの護岸が必要だったのか」がさらりとしか書かれていない点である。4タイプのブロックを平等に扱わなければならない事や,紙面の関係等もあるのだろうがそこをもう少し詳しく書いて欲しかった。
(ドーコン 野田敬一)
既存の練り石工法に比べてコスト高であるようですが,従来工法に対するメリット,デメリットがまとまっているとわかりやすいかと思います。また,開発のイメージでは製品を反転し脱型する方法となっていますが,実際に開発されたものはどれも支持材に石を載せてコンクリートを打設し,反転しない形式になっています。そのような形式に落ち着いた開発の経緯などもあれば面白いかと思います。
(鹿島建設 竹内章博)
「有史以来の豪雨」「過去最大の被害」など,地球温暖化が顕著になってきてから,災害の被害はどんどんエスカレートしている。30年前と比べてインフラがこれほど整備されてきたにもかかわらずである。それは,我々の予測を超えるスピードで自然環境が変わっているからと考えられる。今後少子高齢化時代を迎えるにあたり,インフラ整備のスピードが今よりも早くなることは期待できない。しかし,人々が安全に暮らせる国土を作ることは何よりも優先しなければならないと思う。公共工事の予算が縮小されていく中で,「まず防災ありき」「安全な国土」を実現するために,土木技術者は今後,必要なものを効率よく整備するアイデアを求められていくと思います。
(清水建設 藤田 淳)
この地震は,24時間の間にM5以上が続けて3件発生した特異な地震としてマスコミにも大きく取り上げられ,私自身,大学時代を仙台で過ごしたこともあり,注視していた。土木学会として,地震発生から1週間も経たない間に調査団を編成し,調査を行ったことは学会の活動として望ましいと考える。数百年に1回の地震に耐えられる設計だからと安心していても,その1回が発生し,その影響によりインフラに大きな支障を及ぼすこととなれば,非難を浴びるのは,その施設を計画・設計・施工した我々土木技術者である。現在の趨勢としてコスト削減が叫ばれているが,当然,サービスレベルの低下や安全をないがしろにしてのコスト削減はあり得ないと考える。我々土木技術者は,必要なものは必要だと説明する必要があるし,責任もあると考える。そのためにも地道な活動ではあるが,今回のような迅速な調査団の派遣は今後とも行い,早急に報告書をまとめて公表していただきたい。
(日本道路公団 田之脇良徳)
今年7月の土石流で多くの人が亡くなった。このような災害が起きる度に,私は自然の猛威の前に,人間ってほんと無力なんだと感じる。しかし,自然の猛威の前にただ黙っているわけではない。この記事で掲載されているように,航空レーザ計測により,詳細な地形データや画像データが取得され,それらを赤色立体地図やオルソフォトなど多様な形態で表現することで,事後の対策に効果的に供することができる。このような技術の進歩が,自然災害から我々を守る盾となる。よって,今後の技術向上の必要を切に感じました。
(岡山大学大学院 井保大志)
カーナビなどのGPSが普及していますが,ここに紹介されている航空レーザによってこのような臨場感のある地図データが3日という短期間で作成できるとは驚きです。この技術と特集で報告されている無人化施工技術を組み合わせれば,図面や設計書が無くても,すぐ施工が出来てしまうと考えるのは夢物語でしょうか?シールド工事などは現在でもかなり機械化されていますが,土工事もいずれはこのように機械化,無人化されるのでしょう。測量や図面が不要な現場を見たくもあるような無いような複雑な気分になりました。
(大阪府庁 岡田敏男)
本記事は,従来手法に比べて高精度かつ迅速に地形計測を行える本航空レーザ計測の適用事例を,災害の記憶が薄れていない時期に報告されたもので興味深く拝見させて頂きました。しかし,空間的な精度や計測時間,費用など具体的な数字があまり書かれておらず,また,従来手法と本計測手法のメリット,デメリットの比較があまり詳しくなく,残念に思いました。さらに,図-2の説明文も,どこをどう見ればそのような解釈になるのか私には理解できませんでした。航空レーザ計測手法は3次元GISを組み合わせることによって今後益々ニーズが高くなる手法と思われるので,ページ数の都合で説明不足になったとは思われますが残念に思いました。
(電力中央研究所 佐藤隆宏)
緑の山々に囲まれた中にポッと現れる朱色の神龍橋。この朱色のせいなのか,実際この橋を見たことはないが,なぜか懐かしさを感じた。
(東北工業大学 中居良行)
このページを広げた瞬間に,神龍橋はまるで紅葉のようだと思いました。実際,この橋はもともと紅葉橋と呼ばれていたものであるわけですが,ぜひ一度,神龍橋周辺の山々が色付いた頃の様子を見てみたいと思いました。
(京都大学 林 芳樹)
背景の緑に橋の赤色が際立っていますが,景観の中に溶け込んでいるのが見事です。
また,使用しなくなった土木遺産などを「展示」といったかたちで「引退」させるのではなく,現役のまま再利用することは,「生きた遺産」として遺産を保存していく上でこれからより必要になってくると思います。
このような文化財の再利用が多くあればいいなと思いました。
(京都大学 玉谷 宗一朗)
通常ダムという構造物を目の前にすると,その巨大さ故に"塊"という感じが伝わってくる。アーチ式や重力式のようなコンクリート塊だったり,フィルダムなどのような土の塊だったりというように。しかし三滝ダムのようなバットレスダムは近くで見てもあまりその様な感じを受けない。どちらかと言えば昔の建築物(例えばコロッセオ)のようにも見える。多分見た目にシンプルだが,技術に裏づけされた形であることからくる機能美なのではないかと思う。我々土木技術者は,景観とかデザインとか言うとすぐに過剰なデコレーションを連想しがちだが,三滝ダムのような構造物を見て必要な機能とコスト縮減から作られたものが持つ機能美というものをもっと理解する必要があると思った。
(ドーコン 野田敬一)
親土木入門ということで今回スタジアムの空間や公園設計に関する記事がありました。毎月の話ですが,このコーナー記事の位置付けが明確に伝わってきません。コーヒーブレイクみたいな感じが否めないの私だけでしょうか?
(西松建設 矢部昇一)
本記事から,土木ってほんとに人を幸せにできるもんだと思いました。私はプロ野球をテレビを通してしか観戦したことがありませんが,この記事で紹介されているような選手と観客を視野にいれ,設計されたスタジアムで是非,生で野球を観戦してみたいと思いました。そして,土木とは私たち自信が生み出し,私たち自身に幸せをもたらすものだということを,改めて痛感すると伴に,今後も土木に携わっていきたいと思いました。
(岡山大学大学院 井保大志)
フェンスを低くしたりブルペンを内野ファールグラウンドにして観客と選手との距離を近くしたり,天然芝にすることによって選手のアグレッシブなプレイをしやすい環境を提供し,そのことが観客をより楽しませるといった観客本位の姿勢がとても素晴らしいと思いました。インフラ整備も,利用者本位で行われるようになることを願います。
(東京大学大学院 浜谷健太)
記事は,プロ野球球団オリックス・ブル−ウェ−ブスのホ−ムスタジアムであるヤフ−BBスタジアムについて,ファンや地域住民に貢献するため,選手と観客の誰もが楽しめるよう,地道に努力している裏方を紹介している。
このスタジアムは,野球を楽しむ子供たちや家族のために,清潔・安全・快適な空間を提供するだけでなく,「魅せる空間」「楽しむ空間」「満足する空間」の創出のために,天然芝やフェンス,グランドの色などのハ−ドと高質のソフトサ−ビスに努力している。一野球ファンとしてこれらの取り組みを率直に評価したい。
私見だが,我々土木業界とプロ野球界は,内外から改革の必要性が叫ばれ,業界人も十分必要性を認識・努力しているが,なかなか本質的な改革が行われない,など似ているところがあると思う。例えば,「フアンと地域を大切にする」といいながら球団名称を「神戸・ブル−ウェ−ブス」とはしないなど。
どちらにしてもこれらの試みが結実するのは5年,10年後であろう。楽しみである。学会誌としても,今後ともこのような記事を継続して取り上げてほしい。
(大林組 佐村維要)
今から7,8年ほど前になるだろうか。大学時代に青春18切符で友人たちと東京から神戸グリーンスタジアム(当時)にプロ野球を見に行ったことを思い出した。お目当てはイチローだったが,球場が,大学野球の応援で通いなれていた神宮スタジアムと比べ,平べったく,そして外野席後ろの通路脇には木立があったことに驚いた。とても広々としたすがすがしい,気持ちのよい球場だったことを思い出す。野球場は祝祭空間だ―とどこかで読んだ。ただのスポーツのためのグラウンドなら均一でなくてはならないが,祝祭空間だからこそ,各球場に個性があっていい。大リーグではかなり球場によって,特色があり,その球場に合わせたプレーが見所の一つにもなっているようだ。このヤフーBBスタジアムの特色ももっと知られるようになり,ゲームの勝敗だけでなく,球場そのものの雰囲気も楽しめるようになるといいと思う。とても楽しい記事だった。
(大川富美)
野球を愛する私にとって,内外野とも天然芝スタジアムであるヤフーBBスタジアムは,生涯一度はプレーしてみたいと感じている球場の一つであります。ヤフーBBはファンと選手との距離をとても大切にしている有名な球場であり,管理担当者の方々のお話も,想像通りファンの目線にたった理念を持っていただいており,とてもうれしく感じました。しかしながら,土木とのつながりを考える上で,このような球場を建設する上での話も聞ければより面白いと思った。
(横浜国立大学 桝谷有吾)
私はサッカーの試合をしばしば見に行くのだが,総合競技場(国立競技場や横浜国際競技場など)よりもサッカー専用の競技場(埼玉スタジアムなど)で行われる試合のほうが見ていて面白い。それは,観客席とグランドの間にトラックがなく身近にプレーを見ることができるからだ。野球をスタジアムまで見に行くということはしないが,やはり同じことが言えるのだろう。ヤフーBBスタジアムのようにフェンスが低く,選手と触れ合える環境であればより満足でき,ファンもよりその球団が好きになっていくことであろう。今後もファンや地域を大切にし,Jリーグの浦和レッズのように強くなってくれることを期待する。
(横浜国立大学大学院 加藤 大)
基本設計の意匠・デザインの著作権が設計者ではなく発注者に帰属しているということを聞いて,非常に驚きました。建築物の著作権は設計者にあるのに土木構造物だけ異なるというのはとても不思議でおかしいことだと思えて仕方ありません。
(東京大学大学院 浜谷健太)
非常に身近な存在であるにも関わらず,どの様に設計されているのか知らなかったため非常に興味深い記事でした。公園というとやはり家族連れ,子供達が主役であると思います。ですから,設計者には常に子供達の目線で夢のある設計を心掛けて頂きたいと感じました。
(エンジニアリング 藤原武彦)
大学の授業などでも,公園の設計の話は聞いたことがなかったので,とても興味深く読ませていただきました。こちらの公園には面白い形の吊り橋があったと記憶していますが,ゴーカートやサイクルコースなどだけでなく,幼少の頃から吊り橋などに触れることができれば,将来土木に進む人が増え,良いのではないかと感じました。
(横浜国立大学 桝谷有吾)
「いろいろなアイデアや構想がでてきて多くを取り込みたくなるが,最小限必要なものを考え取捨選択する作業が重要で,最終的にはシンプルな仕上がりを心がけている。」「クライアントが設置したい施設と利用者が望む施設が違うことがある。本当にその施設が必要なのか,施設設置のために公園の良さが薄れていないかを考え,最後にはクライアントに満足してもらう成果を出す」とのこと。クライアントと利用者と,さらに設計者ご本人と,3者が納得する公園となるために,基本設計が完成するまでには多角的な分析・検討を幾度も繰り返して,最後には設計者の絶妙なバランス感覚のもと仕上げられるのだろうと想像します。この記事を読みながら,全国各地に作られ今は廃墟と化したテーマパークの話を思い出しました。基本計画,基本設計したものが,実施されれば形となって現れてしまいます。最初の計画・設計をする方々は再考に再考を重ねて悩んだ末に結論を出して欲しいと思います。
(東亜建設工業 目黒葉子)
記事中の,基本計画の内容に「周辺の自然・環境調査」という項目が入っており,自分自身が現地で実測したデータを活用して計画につなげていくという姿勢が伺え,素晴らしいと思いました。
私自身,公園づくり(計画から設計まで)に携わって8年程度ですが,公園づくりの課程の中で「基本計画」までは,懇談会などを通して利用者とコミュニケーションを取りながら,みんなのイメージを形にしていく段階であり,創造的で充実感も大きい仕事だと感じています。しかし,公園設計に対してはそのあり方に強く疑問を抱いています。私はこの4年間は公園設計中心に携わっていますが,その中で常々感じているのが,公園設計は土木分野に比べて未成熟だということです。公園設計では土木設計のような独自の設計指針や標準図がほとんど無いため,結局,土木の指針を適用して設計する場合が多いのです。そのため,公園の中なのに,やたらと構造物がガッチリしていたり,排水施設が過剰だったりして,不自然だしコストもかかるし,何だか変だよなあと感じることが多いです。これから公園分野が,建築分野の様に著作権を得ていくためには,公園分野独自の技術の集約や体系化が必要であり,そのためには官・学・民の枠を超えて業界全体で取り組むことが必要だと思う。私も,一技術者として微力ながら精力的に関わっていきたい。
(土木研究所 野間優子)
設計者は,設計後その場所がどのように利用されているのかを考えているのだろうか。と,この記事をみて感じた。
設計は土木の花形でもあり,日本では設計者が全てという感があるが,他の現場を見ていて思うのだが,ホントにこれが地域の方々が望んでいることなのだろうか。記事の中には,お弁当を広げる家族で賑わって居ました。しかし,だからといってそれがベストなのでしょうか。設計者の反省点も当然あるでしょうから,そういったことも記事の中に盛り込んでいただきたかった。
(土木研究所 大石哲也)
学生編集委員の"現場"訪問記となっている。(ここで言う現場は,工事現場ではなく職場最前線の意味のようだが。)学生が土木遺産となっている稚内北防波堤ドームの管理者である稚内開発建設部を訪問して,北防波堤ドームの事について学生の視点から色々な質問をしたものをまとめた記事になっている。最後に編集委員の一人の方が書かれていた「愛されている構造物保護のための土木技術者の役割について再考させられた。」といった感想を読んで,私は少しだけ嬉しかった。多分,この学生は自分の持っていた土木技術者のイメージと少し違うモノをこの取材で知ったのだと思う。勤めて十五年目の私だが,この様な後輩達に色々な土木技術者がいる事を教えるために,つまりは土木の可能性を広げてあげるために,これからもっと頑張らなければいけないと思った。
(ドーコン 野田敬一)
学生時代に一度この地を訪れているが,独創的な形に非常に感銘したのを覚えている。周辺の空気をかえてしまう構造美に樺太航路と鉄道の連絡口だった当時にタイプスリップしたい心情に駆られた。この構造美を支える要素として,上に従って細くなる円柱とアーチ状の梁があると思う。元々直線だったものを当時26歳の土屋技師が,大学での建築の講義で受けたギリシャ・ローマ時代の建築物のイメージからアーチ状にしたという話には,第二次世界大戦に向う昭和初期の日本にも自由な空気があったのだと楽しい気持ちにさせられる。これが角柱で通常の梁だったら,全く違う印象のものになり,現在,北海道遺産に登録され,復旧工事が施され,イベント会場に使われるといった運命とは別のものになっていたに違いない。改めて,設計者の責任の重みを感じた。
(鹿島建設 松尾 元)
北防波堤ドームの写真を学生時代の講義で一度見て,非常に印象に残っていることもあり,今回の記事は非常に興味深く読ませていただきました。公共事業に逆風が吹いている現在,土木関係者以外の方々にも親しまれる土木構造物があるということを知ることは一土木関係者として非常に嬉しいことであると思いました。
(清水建設 太田智久)
本記事は,土木遺産の現代と題し,北海道稚内港北防波堤ド−ムの現場体験レポ−トである。このような構造物を取り上げ紹介することはたい有意義なことだと考える。
本記事によると,「1965年頃老朽化などによりド−ムを解体する提案が出されたが,世界にも類を見ない画期的な構造で価値観が高いことなどから,保存を願う地元要請が強く,原形通りに改修することになりました」とのことである。つまり一つ間違えば,この歴史遺産も解体され消滅していたことになる。
この記事だけではよく分からないが,「解体する提案をした」のは「(行政も含めた広義の)土木技術者」ではなかったか。もしそうだとしたら大いに反省すべきことである。
本記事のように,「土木遺産を」紹介することは大変重要なことだが,1965〜1990年代,日本経済の最盛期に果たして我々は土木遺産を残してきたか,又先代の遺産を破壊することはなかったか,現在・将来に向けて「土木遺産」はどうあるべきかなど,問題点の把握と若干の掘り下げがほしかった。
(大林組 佐村維要)
私には北の果てのイメージしかない稚内が,樺太への玄関であった時代があり,そこに「土木遺産」が今も息づいていることに衝撃を感じた。建設時の想定とは異なる使われ方で,現在も使われているのは,確かな技術と施工の価値観が高いことと,また,それを大切にしてきた地元の要請があったからでる。技術者であれば,このような事業に一生に一度は何らかのかかわりを持ちたいと思うのではないだろうか。
(東京都新都市建設公社 宇野久実子)
稚内港のこのドーム型の屋根は学会誌などで見た時は,そのデザインの斬新さや施工の難しさより,戦後,それも最近のものと思っていました。今回の記事で文字通り風雪を堪えた「土木」構造物ということを知り,設計思想の先見性と施工技術の高さに改めて感動しました。また,大阪でも初期の市営地下鉄のホームは天井がドーム型の立派のものがあり,最近,その空間を利用して中二階が設置されました。これも,戦前の先見的な見識のおかげて,現在のように状況が大きく変わっても十分に対応出来たという点ですばらしい設計ではないでしょうか。翻って,僕はどうかと問われれば,大きな設計思想よりも身近な基準書に頼ってしまう自身に甚だ寂しくなりました。世代を超えても,目的が変わっても,柔軟に対応出来,社会から好感の持たれる構造物を作ってみたいと思いました。
(大阪府庁 岡田敏男)
本記事を読み,稚内の北防波堤ドームを初めて見た大学生の頃を少し思い出しました。そして,これをきっかけに昔の写真をとりだし,改めてこの防波堤を見直してしまいました。本記事では,防波堤の歴史を紐解いているばかりでなく,現在のメンテナンス状況も報告されており,現在に生きる土木遺産を知ることが出来ました。
(電力中央研究所 佐藤隆宏)
最近よくこの北防波堤ドーム関連の記事を見かけますが,「遺産」と呼ばれる構造物はいいなぁ,と思います。現在活躍中の構造物が,住民の利便や利益のために使われているだけで記憶に残らないものが多い中,その役目を終えても大切に残されている構造物というのは,ただ意匠性だけではなく,住民に愛されているからに他ならないからです。住民に愛される構造物を作り,守っていく,というのは,これからの土木に対する一つのアプローチのような気がします。
(ショーボンド建設 小牟禮建一)
古市公威が留学先で高熱に冒されてもなお大学に赴こうとする際の"私が一日欠席すれば,日本の近代化は一日遅れる。"という言葉に非常に感銘を受けました。当時とは時代背景が違うということもありますが,自分の業務の取り組み方に対する考えを改めなければならないと感じ,非常に刺激を受けました。
(清水建設 太田智久)
冒頭の公認土木設計士の誕生を!の記事にも通じるが世間一般の方々の土木事業,土木現場そして土木技術者がどのような努力をしているかということに対する理解はかなり低いと感じます。この映画は残念ながらまだ拝見していませんが,映画だけでなく様様なPRにより,多くの若者に広く土木理解していただき,興味を持ってもらうことが今後の土木工学の発展につながると思います。
(鹿島建設 竹内章博)
公共事業が批判の的となっていて肩身が狭い昨今ですが,一人一人が技術者として情熱を持って取り組み続ければ,やがては社会的にも認められる時が来るだろうと思えました。
(土木研究所 野間優子)
恥ずかしい話なのですが,筆者が土木学会技術推進機構の存在をはじめて明確に意識して認識したのは,本機構が国際規格対応活動を行っていることを前面に出して紹介した今月号の学会誌がきっかけでした。また,本号を読んで初めて先月号でも紹介記事があることを知りました。このような私なので,国際規格対応活動の内容も今まで全く知らず,本号を読まなければこの機構を知ることも無かった訳で,本投稿に感謝したいと思います。そして今回,投稿記事では活動内容が詳細に記載されていなかったので,初めて技術推進機構のホームページにアクセスしたのですが,その国際規格対応のページをみて少しガッカリしました。記事では活動が活発に行われているとあり,ホームページアドレスの紹介もされていたので,内容も詳細に書かれていると期待していました。しかし,そのホームページでは,記事に書かれていた2004年5月に日本で開催されるTC113専門委員会のことも更新されていませんでした。土木学会員の情報共有化のためにも,ホームページでのより活発な情報公開をお願いしたいと思います。
(電力中央研究所 佐藤隆宏)
『打ち水』,良い響きです。環境問題への足がかりとしてこのような簡単な事から始め,市民の意識昂揚にも役立つというのはなかなか素晴らしい発想ではないでしょうか。東京だけでなく,全国に広まっていく事を期待します。
(東洋エンジニアリング 菅原紳二)
私は来年は就職活動をすることになります。そこで,土木を学ばれた人の就職先での魅力やその他情報を掲載していただけると,大変参考になります。是非,そういった就職情報ページを追加してください。勝手なお願いですいません。
(岡山大学大学院 井保大志)
平成15年11月号のモニターによる編集委員会に対する要望等の意見欄において,小牟禮建一様より,特集記事の専門性が高く,専門外の人には理解しにくいとの御指摘があり,章立てを活用した構成に関する提案がなされました。この意見に関して私も全く賛成です。我々学生にとっても,この問題は学会誌を読むのに大きな障害となります。目の前の宝に触れることができないどころか,目の前の宝が宝とさえ気付かずに読み飛ばしてしまうことが多々あるように思えます。
(広島大学 海田辰将)
ひとつの記事のページ数を増やし,その分写真や図などを多めにしてわかりやすくして欲しい。
(岡山大学大学院 古谷隆志)
もっと学生からの記事を多くして欲しい。将来土木を背負っていくのは今の学生なのだから,毎号10ページ位,2,3本の記事を学生に書いてもらってはどうか?
特に学生会員等に縛られる事無く,大学の先生等に協力(紹介など)してもらってちょっとした原稿料を払う形式で出来ないだろうか。大学の講座紹介みたいなモノでも構わないと私は思う。そのように学生の時に土木学会に接する事で,非会員への宣伝にもなるのではないか。
(ドーコン 野田敬一)
昨今,日本のある鉄筋コンクリート橋梁で,アルカリ骨材反応に起因すると考えられている劣化により,橋脚フーチングの鉄筋破断現象が認められた。それがマスコミ報道(NHK)に取り上げられたのは記憶に新しい。構造物の維持管理の重要性が叫ばれている中で,コンクリートの耐久性向上のための施策がまた見直されつつある。土木とコンクリートは切っても切れない関係にある。特集でコンクリート構造物の劣化現象と維持管理について,取り上げて頂けないでしょうか?上記の劣化現象をスクープしたNHK京都のジャーナリストに執筆いただくのも興味深いかもしれない。
(中央復建コンサルタンツ 小阪拓哉)
特集に関して,タイトルが不揃いであったことが気になりました。
(京都大学 玉谷 宗一朗)
もう少し早く事故・災害の速報ができないか。もっと粗い情報で良いので,学会の派遣する調査団の概要やどのような視点から調査するのかなど,速報の速報をだしてみたらどうか。
(東京都新都市建設公社 宇野久実子)
今号の新土木入門について,もう少し土木と絡めた内容にして欲しい。
(横浜国立大学大学院 加藤 大)
内容は至って基本的な内容なのですが質問があります。
だいぶ前のことですが,大規模な掘削工事の土留壁の設計に携わっていたとき,適切な結果が得られずに四苦八苦した経験があります。その時は夢の中で土留壁が崩壊する夢を見たりして,かなり苦労した記憶があります。そんなおりに「土木の語源ってなに?」という素朴な疑問が脳裏を横切りました。夢の中まで土留め壁が出てくる状態だったので,土木の土は力(荷重)の象徴で,土木の木は構造物(土留壁)と勝手にイメージしていましたが,先日ふとそのことを思いだしてインターネットで検索してみました。すると由来は中国にあるようで,その中でも様々な説があるようです。そこで土木学会としてのご意見をぜひお伺いしたいと思いご質問させていただきました。同様な内容がすでに記載されていたら何年の何月号を見ればよいか教えいただければ幸いです。
(ジェイアール総研エンジニアリング 木村礼夫)
特集 競争力を高める 「台湾における日本土木技術の競争力」
海外の技術から日本の土木技術に関する意見を聞く機会は貴重だと思います。私も少しだけ海外プロジェクトに参加した経験がありますが,この記事の指摘には,日本の土木技術者が普段からなんとなく意識している弱点を見事に言い当てられたという感じではないでしょうか。私は現在,大学 の教員をしていますが,今後の大学での土木教育の面でも大変参考になりました。このような「海外から見た日本の土木技術」といった特集を組まれても面白いのではないかと思います。
(東北学院大学 石川雅美)
(編集委員会からの回答)
ご意見有難うございます。ユーザーからの視点,海外の土木との比較など,土木外 からの相対的かつ建設的な視点などは今後も必要かと思います。ご提案のような内容についても今後検討していければと考えております。
(D班:松本)
海外リポート オーストラリア,クインズランド鉄道(QR)による環境に配慮した持続可能な交通注入による傾斜構造物の修復技術について
オートラリアの鉄道?確か世界一長い直線区間がある国だったっけ?国有鉄道なのかな。それともアムトラックみたいな形態かな。写真によると市内電車も都市間輸送もやっているみたい。でも,地図や鉄道の概要が無いのでよくわかりません。クインズランド(地域?)において,この鉄道会社が公共交通として,どういう「定評」や「高品質の記録と評判」があるのか。どの程度,クインズランド州の交通問題が解決されているのかが読めてきません。最後になりますが,参照として上げられているホームページのアドレスに「_」が抜けていて,エラーとなりました。具体的な事実をもう少し知りたいと思いました。
(大阪府庁 岡田敏男)
(編集委員会からの回答)
(RP班:櫻田)
(編集委員会への要望)
既に過去の土木学会誌に掲載されているかもしれませんが,「観光立国と土木」などといった特集をしてみては如何でしょうか。10月号の特集にある「競争力を高める」1つの選択肢として,観光の振興が挙げられると思います。今回の記事にもあったとおり,東京が魅力的に映ればわが国も魅力的にもつながっていくと思います。現在東京都においても,観光政策に力を入れているところです。既存の観光施設を有効活用するとともに,魅力を更に高めるため,歴史的建造物などの一般公開,ライトアップ,文化財庭園の再生などに加え,海外からの観光客を意識した多言語表示の歩行者用案内標識の設置などの取組みを進めています。またソフト面では,観光情報案内所の設置や海外からの観光客獲得のためシティー・セールス・ミッション派遣などを実施しております。わが国が観光立国に向け,どのような街づくりや施設の管理や有効活用が求められるのか,観光を土木の側面から捉え,海外の事例なども紹介しつつ,観光を21世紀の土木の役割の1つとして特集してみては如何でしょうか。
(東京都 花井徹夫)
バリアフリーについての特集をして欲しい。
(復建エンジニヤリング 甲斐友紀子)
「土木技術者の倫理−事例分析を中心として−」が土木学会より刊行されましたが,特集でも,「土木技術者の倫理」を取り上げて頂けないでしょうか?
(中央復建コンサルタンツ 小阪拓哉)
毎号,「技術リポート」として,様々な現場の事例を掲載されている。私も,専門の高速道路建設以外の様々な現場が紹介されており,関心を持って拝見させていただいている。しかし,毎号1例と,個人的には少ないと感じている。土木の分野は,建築・住宅を除くすべての構造物が対象であると考えているので,様々な分野(道路,鉄道,港湾,空港等),発注者(国,公団,自治体等)に,ぜひ協力をいただき,充実した紙面作りをお願いしたい。
(日本道路公団 田之脇 良徳)
(以上4件に対する編集委員会からの回答)
特集などへのテーマのご提案ありがとうございます。今後の企画検討の参考にさせて頂きたいと思います。読者の皆様の興味がどのあたりにあるのかは大きな関心事項なので,今後ともご意見をお寄せ頂ければと思います。なお,「土木技術者の倫理」については,特集で取り上げるべく検討を開始しております。
(編集委員会への要望)
興味深く「九州地方の豪雨災害調査速報」を読みましたが,もう少し早く早い段階でのポイントを「速報」できないものでしょうか。この後,宮城県北部地震,十勝平野の豪雨災害,十勝沖地震と災害が続いているので,それぞれの土木工学的視点からの推察と学会の取組み予定など,新聞報道や専門雑誌とは異なる視点での「速報」を期待します。
(東京都新都市建設公社 宇野久実子)
最近,土砂災害,地震災害が続いています。その災害後に土木学会の調査団が入ったとのニュースを何度か見たように思います。学会誌でも今回の九州地方の豪雨災害についての速報が掲載されていますが,これは学会誌以外にも一般の人が読めるのでしょうか?またいくつかの災害の比較などもされているのでしょうか。ぜひ外部からもアクセスできて,参考にできれば,と思います。(以前に芸予地震を取材していたときに,あまり専門的な調査などの情報がなかったので)
(大川富美)
(以上2件に対する編集委員会からの回答)
ご指摘の通り,「速報」はできるだけ早期に掲載すべきであり,そのような対応を心がけておりますが,土木学会誌は月刊誌であるため,原稿の受付時期に制約がありますとともに,調査団の動向とも関係があるので編集委員会としては調査団のご協力を得て早い対応を考えていきます。また,土木学会のホームページでは,新着情報に「災害速報」を掲載しています。ぜひご覧になってみてください。平成15年12月現在,十勝沖地震災害,九州北部・中部の豪雨災害,三陸南地震災害に関する情報が掲載されています。(
http://www.jsce.or.jp/)
(編集委員会への要望)
巻末にある申込書などの様式は,すぐに使えてとても便利です。殆どの場合,複写して使われると思いますが,最近は複写機の性能もかなり向上し,拡大コピーしても,文字程度であれば,実用上は全然問題ありません。そこで,紙面を節約するため,申込書の様式などは縮小して掲載されたらいかがでしょうか。また,同様の様式をホームページで掲載しておけば,縮小で小さくなった文字もウェブでも確認することができ,さらに便利が良くなると思います。
(大阪府庁 岡田敏男)
(編集委員会からの回答)
学会誌の編集に関する貴重なご意見ありがとうございます。現在,いろいろな視点から学会誌運営コストを見直しておりますので,参考にさせて頂きたいと思います。
(編集委員会への要望)
土木学会誌に限った話ではないのですが,最近アルファベット数文字で示される略語がかなり多くなってきたと思います。学会誌を読んでいて,あまり一般的でない略語が唐突に出てきた場合,読者の多くは困惑するのではないでしょうか。そこで,原稿の最後にでも略語の解説等を1〜2行程度で付け加えてみては如何でしょうか?そうすることで,我々学生にとっても勉強になりますし,学会誌の読みやすさもより向上すると思います。
(広島大学大学院 海田辰将)
(編集委員会からの回答)
特集などの編集にあたっては,専門用語,略語などには必要に応じて解説を付すように配慮しております。今後とも,読みやすい誌面作りを心がけていきたいと思いますので,不備などがありましたらご指摘頂ければと思います。
Copyright 1996-2004 Journal of the Society of Civil Engineers