土木学会誌
土木学会誌3月号モニター回答


表紙
1月号の表紙に続いて橋に関する表紙でした.当時の日本の橋梁技術が世界と競えるレベルにあったこと,橋梁形式に各国の色が出ているなど興味深い記事でした.「請負業協会が,樺島の見積もった建設費を約倍額に書き換えて提出し〜」のあたりも「何をやっているんだ」と思いながらもいろいろと思いをはせることができる興味深いエピソードでした.表紙のこのシリーズは楽しみな記事の1つです.
(横河ブリッジ 水越秀和)

特集 開発途上国での奮闘
開発途上国での支援は,あたかも容易に日本の誇る技術を駆使して構造物を構築し,現地の社会資本の整備に寄与しているようなイメージを描きがちだ.しかし,下請けや材料も機材も満足にない状況で,どこから突破口を見出すか,また言葉や文化の違いから共通理解に難のある現地の作業員をどう使うか等,第一線で活躍されている方々のリアルな体験を読んで,異国の地でプロジェクトを進めていく難しさを改めて感じた.また,それらのインフラにより日本が感謝されるのは,それに携わった方々の苦労の賜物であることをしっかりと心に留めておくべきだと思った.
(鉄道・運輸機構 神田 大)

自衛隊のイラク派遣に、国民の意見は賛否両論のまま今日に至り、明日へと続いていくのであろう。そんな中で、嫌、そんな中だからこそ3月号の特集「開発途上国での奮闘」には、いくつもの共感と新しい納得があった。企画趣旨にあるように、開発途上国での業務は土木の原点を確認できる場といえるものでありながら、確かにその現場や実情はほとんど知られていない。気候風土の相違や生活習慣・風習の違い、物事の捉え方への有り様まで、多くの課題や矛盾を抱えながらの仕事の厳しさを、しっかり伝えていて、これは「読み得」という思いを抱いた。
これまでの特集は、本誌の性格上仕方がないことであろうが、難しい技術問題などが多く、門外漢にはなじめない部分もあった。しかし、こうした人が中心になって動かなければどうにもならない話題を特集すると、生き生きした部分が見えてきて、難解な技術論も気にならなくなる。
特に、第1章の現場からの報告の座談会、第3章の海外で求められる人材とは、などには教えられるところや、相槌を打ちたくなる部分が少なくなかった。
日本の若者たちが、海外の発展についてこんなに活躍をしている、ということをアピールするには十分な特集であろう。こうした場所で働く人々が、さまざまな工夫と知恵を繰り出して、成果を上げている姿にも感動させられた。海外で活動するためには「人間力」が問われるというまとめにも素直に頷けた。
手元に置いて何度も読み返したい特集である。
 

特集を通じて感じたことは,"「特集」を終えて"にもあるように「人間力」が重要であるということでした.「人間力向上」については,個人的にも常日頃感じているテーマで,私の場合は,自己啓発はもちろん「部下の育成」そして「子育て」が対象となっていて,「どのように」取り組むか日々悩んでいます.
こうした中で今月号の「話の広場 社会資本教育の充実のために」の内容は,これからの土木技術者育成のため,そして土木技術者としての「人間力」向上につながるのではないでしょうか.ぜひ継続して取り組んで欲しい(取り組みたい)テーマです.
(東亜建設工業 川島 仁)

途上国の現場で活躍している方の声を聞ける機会はあまりないので読んでいて面白かった.開発途上国での生活は日本とは全く異なるため,戸惑いも多いが,その中で同じ目標に向かって共に働くことで,国を越えた何かが生まれる.私は,まだ学生で,これから実際の土木の世界に進むことを志望しているが,こうした第一線で働く先輩方を目標に,技術者の道を目指したいものである.
(横浜国立大学 栗崎敬子)

日本が技術提供をしている相手国の方に話を伺い,日本からの技術者に対する思いを載せていただけると両者の価値観の違いなどがわかり,さらに面白いものになったと思う.
(横浜国立大学 栗崎敬子)

土木技術者として海外、中でも開発途上国において工事に従事することは、専門性や技術力のみならず、異文化への適応力等が日本国内の場合以上に求められ、それに加えて海外工事の特殊性から、特に契約管理を含めたマネージメント能力が強く問われると考えられます。しかし日本は欧米と比較すると、専門性や技術力については同等以上であるものの、契約管理・マネージメント能力が若干弱いという話を耳にすることがあります。現在、日本の大学教育では専門性や技術力の基礎を身につけるための教育は幅広く行われていますが、契約管理に関する教育が今ひとつ行われていない印象があります。土木の世界でも国際化が叫ばれて久しい昨今、大学教育の段階から契約管理に関する教育も行うことで、途上国における専門性・技術力の伝承はもちろんのこと、海外工事を行う上でのマネージメント能力に対する意識向上を図る一助になるのではないかと考えます。
(鹿島建設 嶋村知久)

執筆された方々は、「この国に必要な物、者を作っている。」という意識をお持ちのような印象を受けました。日本の援助は「作ったら終わり。」と言われるらしいですが、かつて、日本が援助した構造物がどのように利用されているのか、その国に役立っているのかなどの、検証的な記事があれば良かったと思います。
(本州四国連絡橋公団 池末泰輔)

海外での工事については、言葉の壁だけでなく、現地での社会情勢など、いろいろと苦労が多いことは知っていましたが、実際にそれを体験した方々からの生の声を聞くと、海外に行った方々の苦労や喜びを知ることができ、興味深く読み進めることが出来ました。こういった記事は、これから海外を希望している人たちにとって、よい参考になるのではないでしょうか。
数年前には、日本のODAがものだけ作って、技術を残さず、維持管理が出来ずにだめになっていく、ということがマスコミで取り上げられることがたびたびありました。ただ、実際には、今回の特集にあるように技術を伝えることに頑張っている方々が大勢いることをアピールできてよかったのではないでしょうか。
(清水建設 児玉浩一)

国内の建設業を取り巻く環境はいまだ厳しく、 海外市場への参入に力を入れている現状に身をおく者として、海外工事への関心は強く大変興味深く読ませていただきました。
海外工事、特に発展途上国での工事の現状が良く分かり、その苦労と楽しさを知った方々のお話は面白く、また求められる人材の記事は、日本国内で仕事する自身にも大変参考になるものだった。海外工事は一企業の利益確保というだけではなく、工事する側・工事される側、双方の国益に発展するものという新たな知見に立ち、これからの業務に励みたい。
 

企画趣旨
ODA事業での開発途上国における日本人技術者の活動状況の話かと思ったが中段以降に「海外進出、海外展開」なる言葉が出てきた。私はこの2つの単語によりODAは建設業界のマーケットのためにあると言っているように感じました。ODA大綱で言われる「国際社会の相互依存関係における国益」とは日本企業の利益も包括しているという面も否定はできないが、オフィシャルには譲許的要素の供与の精神を前面にした援助によるポジティブな結果であると思います。従来日本のODAは経済的利益を重視(さまざまな意味で)し基本理念を持たないとの批判にさらされて来ました。
大綱はこれを払拭するために世界に示したと聞きます。言葉尻を捕らえたわけではありませんがODAを主体とした特集ということなので一言、言わせて頂きました。
(復建エンジニヤリング 永田成正)

1-1 最前線で活躍する技術者座談会 私が感じたこと
日本の国土整備がほぼ完了している現在、新たな現場を探すという立場と、整備技術を求めている途上国との関係が一致した、様々な外交関係の中でも良い関係が築けている分野なのではないかと思います。
そのような現場で、実際最前線で活躍する方たちの話は読んでいて非常に心地よく、技術者として海外事業の存分な苦労と、それが形となって現れる本当の楽しさを体感されているのが伝わってきた様な気がしました。これからも日本の技術者が各国でこういった活躍を続けられていく事を期待しています。
(水産庁 宮園千恵)

海外経験が豊富な方々の座談会ですのでご苦労されたと言う事が文面からわかりますが、ひとつだけ異論があります。『とにかくできることは何でもやるべきではないか』という考え方が必要になる局面も出て来る時があるとは思いますが、私は、基本的には責任範囲外の事はやるべきではないと考えています。
ここにも述べられていますが海外では契約に基づいてすべてが進んで行きますのでとにかく自分の責任範囲のことを一生懸命に進める事が重要だと思っています。だからといってセクショナリズムを薦めているわけではなく、自分で責任を負えないものには手を出さないようにすべきだというのが私の持論です。
(東洋エンジニアリング 菅原紳二)

1-2 アフガン復興,工事が始まった 砂塵のカンダハールから
この記事を読むと、現地で活躍しているエンジニアの苦労がよく伝わってくる。道路一本つくるのにも非常に多大な労力が必要とされるのだろう。しかし、現在のアフガニスタンでは道路や水道などのインフラを早急に整備する必要がある。
アフガニスタンの復興支援というと、マスコミは自衛隊派遣のことばかりを取り上げ、現地で活躍しているエンジニアについては取り上げないので、世間の「アフガンで活躍している土木技術者」についての認知度は低いのではないだろうか。アフガニスタンに住む人々の暮らしを豊かにする、社会の「縁の下の力持ち」である土木技術者の活躍も取り上げてもらいたいと思った。
(東北工業大学 引地博之)

1-5 楽園の国でのボランティア活動
海外で仕事をするのに異文化の壁は確かに大きいと思う。
個人的にココナツタイムは好きだけど。
(柏市 居原田淳司)

1-6 ミクロネシア青年海外協力隊 現地で生活をともにしながら,現地の人が抱えている問題を一緒になって解決する喜び。
正に特集の企画趣旨の末尾文にある「こういう世界もあるということに興味を持って云々」の意図通りの感想を持った。但し事実としては興味もあり面白いが、話としては少々疑問もある。ODAの在り方に戻るのかもしれないが。
現状でも自然を生かして、十分豊かで幸せそうに見えるコスラエ島の生活に当座必要とするちょっとしたインフラ整備のため最小限な援助を行うというODA(贈与比率が何パーセントか判らないが)としてはの理想形に見える。しかし経済はもとより技術にしても基本的に他国依存であるこの国が将来自助努力を基にドラスティックに変革する可能性は低く、教えられた新しい技術も単発である限り定着はせず、又伝承されないであろう。利便性向上の結果が物質主体文化への飢餓感を与える事にならないのか、却ってなにもしないほうが良いのかなどと、考えさせられるレポートであった。
(復建エンジニアリング 永田成正)

私もタイで3年間、海外事業に携わった経験があります。タイはミクロネシアとは比較にならないほど社会整備も発展しており、在タイする日本人も多い。筆者ほど海外特有の苦労はしていないかもしれないが、多分に共感できる部分がありました。特に「日本も世界の中の一つの国にすぎない」という意見は、全くその通りだと思います。日本人の多くは、日本が島国でほぼ単一民族国家であり「日本の常識」=「世界の常識」と思いがちです。私も当初はこのギャップに戸惑いました。一方で、表面上は異なる考え方であっても根底には同一の思想がある場合も少なくありませんでした。今ではそれらを、見分ける・感じる・理解すること、時にはこちらの思想を彼らに伝え、理解してもらうことが海外で仕事をしていく上で非常に大切なことであると思っています。 日本人の多くは異文化、異人種との接触に慣れていないため、海外で生活することを拒む人が多いようですが、チャンスがあれば是非チャレンジすることをお薦めします。日本では得られない経験、グローバルな視野が得られ、必ず自分の財産になると思います。
(三井住友建設 金重順一)

2-2 ラオスへの日本の河川伝統工法導入の試み オランダ伝来の技術をラオスへ
発展途上国において社会資本整備事業を行うポイントは、現地の社会風土や人々にいかに適応して仕事を進めていくかに尽きるのだろうと思い込んでいたところ、日本の伝統工法が現地で活用されるという点が新鮮であった。途上国の予算、資材、人材の問題を大幅に解決できるとともに日本の伝統技術を伝承できることは素晴らしく、最新技術を移転するだけでなく、現地でもっとも利用が見込まれる技術を移転することも有効なのだと興味深い記事であった。
(日本道路公団 谷口 寧)

伝統工法というものは、それが伝えられてきた地域の自然条件に適合するように改良が加えられてきたものなのだと思います。それを他の地域、ましてや国外へ適用するには相当の困難があったものと推察します。そのような中で、当地の技術者の技術習得、低コストの実現、近隣住民の参加が得られたのは、非常に喜ばしく感じられます。
今後、長期にわたって観察を続けなければ、実際の効果の程を正しく評価することはできないのでしょうが、このような自然素材を生かした技術の移転を伴う国際協力は、当地の人々に喜ばれるだけでなく、日本のイメージアップにもつながるので、積極的に展開していければいいなと感じました。
(本州四国連絡橋公団 薄井稔弘)

2-5 アジア工科大学の大学院教育 次世代のアジア諸国のリーダー育成
今、学生にPRできるような魅力を感じる教育が求められており、そのための検討をする機会が多い。記事は、小手先だけの改善にならないためにも大事なことを示してくれた。例えば、修士課程教育における論文を重視するThesisコースと講義を重視するResearchコースのこと、成績評価のためのGPA(Grade Point Average)のこと、博士論文着手のためのプロポーザルディフェンス(PD)、それを行うための資格試験のこと等々。また、学生に興味を持たせ、勉学に励むよう導くためのインセンティブの重要性や、実務的な講義・演習の必要性など。大学院教育に限らず、学部での教育を考えるうえでも参考になった。
(崇城大学 上野賢仁)

第3章 海外で求められる人材とは
「発展途上国の工事プロジェクトの実施に最終的に求められる人材が、専門知識を超えた人格、人柄有した技術者」との記事にまったく同感です。
このところ、無い無いづくしのかつ必ずしも治安状況が良くない地域におけるインフラプロジェクトについて調査及び工事を東京から見てきましたが、現場のプロジェクト マネージャーの人格、人柄で何とかなっているように思えました。通訳を介してであっても、民衆の中に入り込み長老の信頼を勝ち得、まさに民衆に守ってもらうのを実践した技術者がいました。その技術者は顔からして哲学者のような人物でした。50代後半の人でしたが若いころ出家まがいのこともしていたそうです。究極の状態でその人の生き様、人生哲学でプロジェクトを転がしてゆく例でした。
 

3-1 水をえた魚のごとく海外で働いている人たちとは 海外プロジェクトの人材
この章を読んでいて何度も頷いてしまいました。
『海外で必要なものは何か』:マネジメント力、異文化への適応力、交渉能力、コミュニケーション力…まさに私が海外勤務(それほど長くはないですが)で自分に足りないと思い知った項目が並べられていました。中には当然ながら国内でも必要とされる資質はありますが、それも海外に出るとそれまで国内で携わったレベルより1段上の見方、処し方が要求されるためやはり苦労を伴います。
しかし、国内の景気回復が今ひとつはっきりしない昨今の状況を見ても、これからの土木エンジニアの主要なワーキングフィールドは海外であると言ってもいいのではないでしょうか。
『製造業のモノづくりとは違う自然の中でのスケールの大きい『モノ造り』に生きがいを感じる』人が土木工学を選ぶと私は思いますので、今後も近江さんのような人がどんどん出てくると期待しています。
(東洋エンジニアリング 菅原紳二)

3-2 国際協力に求められる土木技術者の姿 開発途上国を助ける名医を目指して
筆者は国際協力について、対症療法である西洋医学と自己治癒力を高めることに主眼を置く東洋医学に喩えて上手く表現していると思った。確かに貧困という危機的状況に対し、対症療法的援助は必要不可欠である。しかし、それだけでは単なる延命措置に過ぎず、危機的状況から脱することはではない。東洋医学的な援助も併せて行わねば、貧困からの脱出は厳しいものである。わが国が持つ高い土木技術力は、今後の東洋医学的な援助において、重要な役割を担うであろうと思った。
(鉄道建設・運輸施設整備支援機構 清原靖文)

学生の就職が厳しいこの頃、何となく漠然と、世界に目を向ければ土木技術者が必要とされているはずと思っていた。著者は、その点について明確に発言されている。"これからの社会には土木技術者が活躍する場がないが如くの論評が跋扈している。・・・日本国内のことばかり考えているからこんなことになるのである。わが国の「土木技術者」を必要としているのは日本のみならず、開発途上国を中心とする世界の国々なのである。・・・"
そうだと心強く思った。これからの土木技術者が生きる場所は世界に違いない。しかし、自分自身を振り返ってみても、なかなか世界に飛び出せない現実がある。何が足りないのだろうか?とにかく、思い切って一歩を踏み出さなければならないと思う。
(崇城大学 上野賢仁)

プロジェクトリポート 周辺地域の景観・環境に配慮したプレキャストトンネル工事 京都市北部クリーンセンター敷地造成工事
景観・環境に配慮した事業は、今ではあたり前のことながら一概にできるものではないので、当記事の造成工事には感心した。環境・景観もさることながら、工期の大幅な短縮による経済性、急勾配・急曲線施工で日本初という2ヒンジ型プレキャストアーチトンネル工法の凄さといい目を見張るものであった。施工写真をみて、以前は考えられなかった急曲線かつ急勾配での出来形はとても素晴らしく思った。この技術をもってすれば、環境保護、コスト面両立でき様々な事業で活かせるであろう。
(東京都 宮代 尚)

土木ができる"環境"って何だろう? 結局、"環境に配慮する"というのが現実的なのかな?と思っていたこの頃。では、具体的には何だろうか? 記事は、そうした疑問に一つの答えを示している。「制約条件として・・・が課せられている。これらの課題を克服するため・・・プレキャストトンネル工法が用いられている。」しかし、これでは環境をやりたい新しい学生(若い人)の期待には十分応えられないように思う。土木は土木という域からでることができないのだろうか。"環境に配慮するために新しい技術"も大事なことであるし、土木技術者にとっては興味深いことでもある。ただ、"環境"をキーワードとして見たとき、まだまだ魅力が見えてこないように思う。
(崇城大学 上野賢仁)

写真でも急勾配、急曲線の線形がわかり、プレキャスト部材の適用可能性を広げる工事だと思いました。また、プレキャストの方が場所打ちに比べて搬入回数が少なくなるという点は、従来、省力化を主目的として扱われることが多かったプレキャスト工法の今後の可能性を広げるものと思います。
(鉄道・運輸機構 玉井真一)

プレキャストア−チトンネルの特徴については興味深く読ませて頂いた。しかしながら、タイトルに示されている景観、環境に配慮した内容については、搬入・搬出路のトンネル化以外に何を配慮したのか、その項目を2,3列挙してあったほうが良かったと思う。
(本州四国連絡橋公団 池末泰輔)

技術リポート 「投稿」空飛ぶ吸着マット(投擲用油吸着材)の開発
驚きのフリスビー型吸着マットに思わず「へえー!」と声を出してしまいました。
表題のような建設資材や道具の類は先人達が仕事のあり方を見つめ苦心惨憺の末アイデアを注入し作りあげてきたものです。おかげで私たちは苦渋に満ちた作業から開放されて効率良い仕事にいそしむことが出来るのですが、次世代に業を引き継ぐ立場の者は飽くことの無い追求心を持ち続け改良を加えた状態で渡さなければと実感した次第です。
 

着眼点が面白い。他の製品開発においても、その主の目的だけでなく、いろいろな視点から考えてみれば、よりよい製品ができていくと思う。
(柏市 居原田淳司)

この新しく開発された吸着マットは、誰でも簡単に目標汚染水面に投擲可能らしい。しかし、投げ手は人間である。手元が狂って見当違いの方向に飛んでいくことがあるかもしれない。もっと確実性の高い、コンパクトな銃のような吸着マットを飛ばす機械を開発するのもいいのではないかと思った。
(東北工業大学 引地博之)

一言で「土木の守備範囲は広い」と感じました。
(鉄道・運輸機構 玉井真一)

ユニークな技術開発であり、今月号の中ではひときわ目をひかれました。こういったものも土木工学の一分野であることで、土木工学の懐の広さに改めて気づかされました。同時に、油吸着マットの改良に諸外国ではどういった取り組みがなされているのか興味がわきました。
(本州四国連絡橋公団 薄井稔弘)

油流出事故による海洋汚染はよく耳にするところですが、河川については正直知りませんでした。ただ、内容としては同じであり、個人的には明らかな人間の過失に対する環境汚染として最も嫌う事故の一つです。
この記事では事故に対する対応策の一つである投擲用油吸着剤の開発報告がされていましたが、この存在も初めて知りました。その中での「空飛ぶ吸着マット」としたネーミングやマットの扱い方の親しみやすさは読みやすく、油の回収性向上だけでなく油流出事故をアピールする上でも効果的なのではないかと思いました。また、これからも一層の技術の発展があればと思います。
(水産庁 宮園千恵)

技術リポート 「投稿」密閉された広域空間への高流動コンクリート適用にあたっての施工計画上の留意点について
都市部での非常に限られた施工条件のなか、この工法を用いたことは今後の施工に対して、有効であり、最新の注意がされていて、中々興味深く読ませていただきました。
(復建エンジニアリング 青木喜一郎)

密閉され人的作業ができない空間でのボックスカルバート上床版の施工について紹介されていた.コンクリートの打設において,その充填および締固めはあらゆる構造物にとって重要な事柄である.配管,打込みから充填高さの確認の方法まで綿密に立てられた施工計画は興味深く,現場の工夫と苦労がうかがえた.
(鉄道・運輸機構 神田 大)

工事概要は概ね理解できたが、施工法・工程管理など技術面において難解で理解しがたかった。もう少し打ち砕いた表現で素人でもわかる感じで書いていただければと思いました。本事業自体の困難工事というのは、とても伝わってきました。
 

私が会社に入社して1年目、配属された現場は東京都心部における地下構造物(ボックスカルバート)の構築であった。コンクリート打設が最大で2000m3(底版1ブロックあたり)であり、都心部におけるコンクリート打設ということでは大規模コンクリート工事であった。本レポートに記載されているような高流動コンクリート適用工事ではないが、同じコンクリート打設工事として、施工計画に十分留意した。コンクリートポンプ車は4台(生コンは4工場から出荷)配置した。どのポンプ車も50m3/時間をキープできるよう、工場から現場までのルートに係員を常時何人か配置し、適宜最短ルートを見極めての打設管理を行った。結果無事にコンクリート打設を終えた。
昨今、コンクリートの劣化、施工不良がテレビなどで取り上げられている状況である。やはり施工業者としては施主に商品(コンクリート構造物)を売っているのだから、良いものを提供したい。
(三井住友建設 小野和芳)

海外リポート イタリアにおける土木文化財
イタリアにおける土木文化財がインフラとしての従前機能を発揮している例が多く,自然と構造物が複合しているという点がとても印象的でした.
現在,わが国でも環境についての取り組みは,土木分野のみならず,あらゆる分野で行われていますが,この事例は,今後の土木建造物が環境との共生を実現する上で参考になるのではないでしょうか.個人的には,ヴェネツィアとラグーンの行方(大規模土木事業計画の再開)を注意深く見守りたいと思います.
(東亜建設工業 川島 仁)

イタリアにおける土木文化財がインフラとしての役割を果たしながら、都市景観や市民生活、更に自然との調和が図られているという本記事を拝読し、京都の南禅寺の脇を通っている琵琶湖疏水を思い出しました。土木構造物の役割と自然との調和のバランスについては昨今色々な意見が出ていますが、今後も琵琶湖疏水のように古いものを尊重しつつ、新しいものを融合させ、生活に密着した構造物をつくることが、土木技術者としての課題であると思いました。
(鹿島建設 嶋村知久)

事故・災害 「投稿」2003年 9月台風14号による韓国南部災害
さまざまな角度からみた台風の被害状況や、日本と韓国での台風への備えや防災体制が異なっていることは分かったが、被害状況調査から示唆される社会資本・土木技術への提案が見られない点が残念である。
社会資本だけでこのようなリスクに対応することは、過剰な投資を必要とすることからも、予知・予測などの情報提供、災害に関する保険制度、市民一人一人への防災教育、迅速な復旧体制など様々な方策を適切に組み合わせることが必要であり、今回調査された各種の被害がどれに関連するのか整理するといいのではないかと思われる。
(日本道路公団 谷口 寧)

忙中ペンあり 第三回 学歴秀才と純血主義
このシリーズは、一回目から大変おもしろく拝読させて頂いております。具体的なコメントは差し控えますが、今回のも非常におもしろい内容でした。今後も楽しみにしております。
(清水建設 桜井英行)

似たような内容の記事を何度か見たことがあるが、それらと述べている趣旨があまり変わらない。
(柏市 居原田淳司)

「忙中ペンあり」で,著者は廣井勇氏について述べているが,土木を学ぶものとして恥ずかしながら,廣井氏について知らなかった.私のようなものはめったにいないと思うが,日本で活躍なさった土木業界の偉人について紹介していただける企画が欲しい.
 

本記事において、廣井氏が日本的陰湿な門閥・学閥・派閥などを終生嫌い…とあったが、現在でも日本的陰湿な門閥・学閥・派閥などは生きていて大学に留まらず中央省庁やゼネコン等でも行われていると予想できる。廣井氏が切望したと思われる実力・実績で評価される「民主的社会」の到来は本当にあるのかとやや疑ってしまうのと同時に、最近最終回を迎えた某局製作の大学病院系ドラマを思い出さずにはいられなくなってしまうような記事だった。
(東北工業大学 堀原 順)

土木紀行 千葉県水道局千葉高架水槽の塔 給水制度の近代化が生み出した雄大さ
記事中に「70年前の建設当時、給水塔は現代化のシンボルであったが、現在は自然のオアシスとなっている。」とある。それだけ、70年間でこの給水塔周辺の地域は開発が進み環境が変わったということだ。そして、この給水塔は現役で稼働しているとはいえ、この地域の人口の増加ということを考えると、現在は「配水」という面ではそれほど効率よく社会に貢献しているわけではないのかもしれない。しかし、「市民と自然が触れ合う場所」という公園のような存在となり、70年前とは違った形で社会に貢献している。このような市民生活に深く溶け込んだ社会資本はこれからも大事に保存すべきだと思った。
(東北工業大学 引地博之)

土木紀行 未来を切り開いた山岳隧道 柳ヶ瀬隧道
山岳トンネルの設計業務をしている私にとって,120年前に建設された山岳隧道の話は興味深かった.当時,日本海と京阪地方を行き来するには,このトンネル建設が非常に重要であったのだ.なぜなら,北陸地方の米を下関経由で3〜6ヶ月要して,京阪地方に輸送していたものを1日で輸送できるようになるのだ.使命感に燃えた熱い心が,1352mのトンネル掘削という大工事を見事成し遂げたのだと思う.近頃は,公共事業が縮小され,土木屋としては意気消沈しがちであるが,土木の先輩たちの熱い思いを引継いで,これからの土木屋の使命を見つけていきたい.
(西松建設 大谷達彦)

2003年土木学会選奨土木遺産を受賞したというこの隧道に大変魅かれた。明治初期の技術力でありながら1.35kmもの距離を完成させ、現在までなお供用されており、手掘りから削岩機、自然通風換気から空気圧縮機、排気タービンの使用という当時としては革新的なものである。写真の雰囲気といい伊藤博文の「萬世永頼」に込められた意味など非常に興味を持ち、是非足を運んでみたいと感じた。
(東京都 宮代 尚)

傍目に見ると、旧道の古いトンネルというようにしか見えないところではあるが、建設当時は社会的に重要なトンネルであり、土木の歴史としても、初めてダイナマイトを使用したことや削岩機の導入、換気の問題で最先端の排気用タービン等を導入するなど、当時の苦労が忍ばれます。だけど、土木紀行という2ページという制限の中では内容は簡単にならざるを得ないのが残念です。こういった普段見逃してしまうような構造物についてもどんどん取り上げ続けて欲しいものです。
(清水建設 児玉浩一)
体感できる土木ミュージアム12 誇りと尊敬と美意識 それが仕事を文化にする 竹中大工道具館(兵庫県神戸市)
単なる博物館/資料館の紹介ではなく、「仕事への誇りと敬意」が感じられ、是非一度、訪問したいと感じさせる記事である。記事中にどのような体験(見るだけではなく)ができるか、体験を裏付けるどのようなしくみがあるか(ここでは熟練した棟梁が専門の技能員として常駐している)かなど、単なる施設紹介ではなく、訪問して初めてわかる記述もある点は特筆すべきである。
このような連載記事はデータベースとして、土木学会のウェブサイトに蓄積、公開できないか。学校教育の現場での活用などのニーズがあるはずである。
(シンクタンク嘱託 河合菊子)

現場 第 6回 女性土木技術者の世界『女性技術者とダム管理』
記事の意図はどこにあるのだろうか。「女性土木技術者の世界」をテーマとするのであれば、「女性」を取りあげる根拠となった仮説、たとえば、「土木の現場では女性は働きにくい」といった事柄を検証する形でインタビューを展開するべきではないか。合わせて女性の進出を進めるべき理由、進まない理由に示す必要がある。記事中にあるように「女性の視点」や「女性とは思えない」という表現をし続ける限り、女性の進出、あるいは既存の社会への女性の受け入れは進まないだろう。
一方、インタビューの内容のうち、「いろんな分野に女性が増えることで状況が変わり、働きやすくなると思う」という意見には賛成である。女性の土木技術者が特別扱いされないぐらい、女性が増え、「女性土木技術者」や、「女性の視点」などの言葉を聞くことがなくなることが、我々の目指すべきところである。
(シンクタンク嘱託 河合菊子)

未だ,女性に厳しい土木の世界で,少ないながらも現場で活躍する女性技術者がいるということは,私たち女性にとって心強く,希望をもてる存在である.近年,女性技術者の進出も増えているようだが,実際はまだ男性有利の点がある中,こうして現場で仕事をする女性を紹介してくれる企画はありがたい.連載を組んで,紹介していただけることを願う.
(横浜国立大学 栗崎敬子)

話の広場 しあわせの舞台づくり 建設技術展2003近畿の取組み
こういった技術展示の場は,一般の方々に公共事業のアピールをするいい機会だと思います.しかし,記事の中にあった「アンケート回答者に占める一般の方は6%弱と少なく」では効果が薄いのではと感じました.かといって一般の方々に来場してもらうことは,それほど簡単なことではないと思いますが,開催日が平日というのが原因の1つではないでしょうか.週末での開催は,運営する面での問題点も多いのかもしれませんが,せめて土曜日に開催したらいいのではと思います.
(横河ブリッジ 水越秀和)

私の所属する研究室も建設技術展2003近畿へ出展する機会をいただきました。学の立場からの技術出展は今回が初めての試みであると聞いておりましたが、当日は近畿の高専・大学から多くの技術が展示されていたことに驚きを覚えました。私は、建設技術展2003近畿のように産・学・官が交流できる機会がもっと増えていくことを期待しています。なぜなら、建設技術展2003近畿に参加することで、様々の企業の様々な技術を知ることができただけでなく、たくさんの方々と出会え、展示されている技術に対して実務的な討論を交わすことができました。建設技術展2003近畿が一参加者として非常に有意義な展示会であったこと、本記事を拝読し思い出しました。
 

このような催しに前年比5割増の方が訪れ、学生の参加が増加していることは好ましいことで、関係の方々が努力された結果と思います。一方、一般の参加を増やすことは難しい問題ですが、6%というのは他業界の展示会と比べてどうなのでしょうか。土木に比べてはるかに専門性の高い業界もありますので必ずしも低くはないかもしれません。業界内と一般へのPRを同一の展示で行うには限界があるのではないでしょうか。技術活用報告会にて産・官の意見交換を行ったとのこと、工法選択は部局内で行われその過程、結果は論文、雑誌記事等でしか公開されないのが普通ですが、このように産・官双方から同一の事例について同会場で報告することの意義は大きいと思います。今年度は討論会へ発展させるとのことであり、他所でも同種のとりくみが増えることを期待します。
(鉄道・運輸機構 玉井真一)

話の広場 「投稿」社会資本教育の充実のために 建設環境から学ぶ「総合的な学習時間」指導者育成講座を開催して
かねてより思っていましたが、子供のころから学校の授業で建設関係のカリキュラムをうけさせていれば建設に対するイメージとか興味などが違っていたように思います。今後実際に授業が行なわれたときの子供たちの反応が楽しみですが続編記事を希望いたします。
 

本来、社会資本は市民生活に必要不可欠なものであり、ネガティブなイメージからは程遠いもののはずである。しかし、ここ数年来、社会資本整備についてネガティブなイメージがすっかり定着してしまい、不本意な状況となっている。このようなイメージは、払拭しなくてはならない。総合的な学習の時間で社会資本を扱い、普段の生活の中における社会資本の位置づけや役割を学ぶことによって社会資本のイメージを回復し、今後の社会資本整備のあり方を見出すことができるのではなかろうか。社会資本に関する総合学習を、より積極的に取り入れて行ってもらいたいと思った。
(鉄道建設・運輸施設整備支援機構 清原靖文)

小中学校児童に対して社会資本に関する知識を与え、理解を深める教育をする。その一環として「体で学ぶ構造物の面白さ」という講座が行われていることの紹介があった。イラストと写真を見て嘗て土木学会誌に載っていたイギリスのフォース鉄道橋建設100周年に関する記事を思い出した。その中では、建設に先立ち同橋の構造と力の伝わり方を一般公衆に説明するため、人間が構造の一部となるデモストレーションが行われ中央部の桁に日本人の若い技術者(渡辺嘉一氏)が荷重代わりに座っていて両側に座った人がトラスの上弦材の代わりに腕を伸ばして下弦材を持っている古い写真が紹介されていた。その写真を見て私が実体験したわけではないのに何か納得させられた覚えがある。
子供時代に覚えた水泳、自転車、竹馬などが一生忘れないようにフィジカルな体験は永く残る。この講座によって自分の体と土木構造物という社会資本の結びつきを体験した子供達が将来土木界を目指す可能性を増やしたであろうと期待する。こうした地味な教育学習実行のための指導者養成講座に対しても関係者が尽力されている事を詳細にレポートされているのを読んで非常に心強く感じた。
(復建エンジニアリング 永田成正)

学校教育の場で,社会資本整備について知ってもらう機会を積極的に作り出そうという,今回の企画はとても有意義に感じられました.今回1回限りの企画ではなく定期的に行われるよう,また地域的にも全国で行われるべき企画ではないでしょうか.土木学会としても,このような企画をバックアップしていくことが必要だと思います.今回の指導者養成講座の後に,実際に小中学校で行われた総合学習の授業風景を今後ぜひ紹介して欲しいと思いました.
(横河ブリッジ 水越秀和)

小中学校で実施されている「総合的な学習の時間」における、社会資本教育のプログラムに関する内容であった。現状では、「総合的な学習の時間」全体の中で、社会資本教育に割り当てられている時間は最下位グループにあるという。確かに、私自身も小中学校で社会資本に関する教育を受けた記憶はほとんどない。そのため、建設産業へのイメージは決して高くなく、また社会資本を通した地域に対する思い入れなどはほとんど皆無のような状況の小中学校時代であった気がする。筆者らは、このような状況改善のため新しい教育プログラムを開発して、社会資本に関する学習のきっかけづくりに努力されている。この努力が将来実を結び、「地域を思いやる気持ちを育む」ことや将来の優秀な人材の育成に繋がることを期待したい。
(東亜建設工業 菅本清文)

記事中にあるように、科学技術、社会科学教育の指導者のニーズはある。その際、指導者養成は重要だが、現場の教師を指導者として養成するのは、教師の時間的、能力的キャパシティから見て困難である。学会や国は指導者の紹介と、教育の現場への啓蒙を主たる役割に限定してはどうか。特に学会としては、ねらいを「地域を思いやる気持ち」の醸成ではなく、純粋に現場での科学技術の体験という、次に続く若い世代への教育に絞ることで、「公共事業擁護」と誤解されない、社会への貢献が行なえるのではないだろうか。
(シンクタンク嘱託 河合菊子)

昨今、社会資本整備においては、事業評価やパブリックインボルブメント(PI)が採用され始めたところであるが、この取組みを真に実りあるものにするためには、行政サイドとオブザーバー(学識経験者)や住民の社会資本に対する認識を整合させていくことにあると考える。
筆者が紹介された「総合的な学習の時間」指導者養成講座は、これに対して有効な解決策を提供できるものと期待される。とくにこれまでのような見学会や体験学習において小中学生に直接働きかけるのではなく、本来学習指導を担当する教員に理解してもらい、指導技術を発揮して頂いたうえで効果的に生徒達に学んでもらうところがこの記事のポイントであり、興味深いところである。
国内の社会資本整備の担い手や社会資本を利用する人々が子供のうちから社会資本への理解を深める教育活動に対して、我々には何ができるだろうかと多くの読者が考えたのではないだろうか。
(日本道路公団 谷口 寧)

学習指導要領改訂の目玉とされた総合的な学習の時間(以下、総合学習)であったが、現場の教員からは戸惑いの声が多数挙がっているとの報道を目にしたことがある。記事の一文に「(社会資本の)取り上げ方、アプローチの仕方がわからない。何が教材に成り得るのか、事例や実践が少ないため、取り組みにくい。」との教員の意見が掲載されていたのを見ると、皆手探りで行っていることが容易に予想でき、また報道の言っていることも強ち嘘ではないと思えてくる記事であった。
私たちの身近な場所には、土木に携わっている人間しか知らないような歴史的に価値のある土木遺産が存在していることがある。そのような情報を土木に携わるものが教育界に提供し活用してもらう活動を今後活発化させ、社会資本についての理解を深めていただく必要があるのではないかと思った。
(東北工業大学 堀原 順)

自分の小中学校の頃を考えると、課外授業というものは非常に印象に強く楽しかった記憶があります。そしてそこから興味を持つことも多く、非常に重要な授業なのではないかと思います。そういった場面から社会資本に関する項目が最も少ないと見られるのは現在の土木事業の規模縮小に伴ったものにも感じられますが、これからは作ってきたものを継続しなければならないという義務もあり、触れていくべき項目だと思います。今回は問題提起までで終わっていますが、社会資本事業のイメージに対する検討をもっとしていくべきだと感じました。
(水産庁 宮園千恵)

見て・聞いて・土木の動き
「高速道路を撤去した清渓川の復元工事、全額ソウル市の予算で執行中」
巻末にあるモノクロ調の記事だったため、あやうく見落としそうになりましたが内容が一瞬目に入りページを手繰る手を止めました。
一日17万台車が通行する高速道路を撤去して清流を復活させるというのには驚きでした。環境への配慮もここまできたのかと言葉になりませんでした。是非大きな記事で詳細を拝見できることを願っています。それにしても現地を見たかったですねえ。
 

学会誌全般へのご意見、編集委員会への要望等

他学会の雑誌を目にする機会がありました。デザイン、紙の質、しばらく学会誌とは気づきませんでした。こんな学会誌もあるのかと思いました。単純に、どちらが良い悪いとはいえませんが、色んな視点から見直してみるのも必要かと思いました。
(崇城大学 上野賢仁)

今月号の特集では、海外で活躍する技術者の貴重な体験談が聞けてとても勉強になりました。私も将来、発展途上国で仕事をするという可能性はあるので、興味深く読ませて頂きました。
(東北工業大学 引地博之)

土木学会のウェブサイトを「土木へのポータル」と位置づけてはどうか。
学会誌の掲載記事には、通常のメディアでは手に入れることのできないような内容が数多くある。これらのアーカイブとして活用してほしい。また、「土木ってなに」のページはまったく更新されていないが、学会員でない一般の人、特に子供がもっとも見る可能性のあるページであることを想定して、情報の追加、更新を進めてはどうか。
(シンクタンク嘱託 河合菊子)

今回は特集の傾向もあってか比較的読み易いものが多く楽しく拝見させていただきました。ただ、どうしても話の方向性には乏しかった様に感じました。
(水産庁 宮園千恵)

2月号に対して寄せられた「会員の声」に対する編集委員会からの回答

表紙
1,2月号の表紙は歴史的構造物の建設当時の設計図書を背景として使われていました。意図される事はなんとなく理解できますが、文字を背景にしたので発行日や目次などが読み辛いと感じました。特に背景文の行方向を意図的(?)に誌名と揃えているので学会誌の説明にも見えて、手に取った時バックナンバーの復刻版かなと違和感を持ち裏表紙の図柄と交換すれば良かったと勝手に思いました。多分に個人的嗜好に関わる事ですが、御一考頂ければ幸いです。
(復建エンジニヤリング 永田成正)

(編集委員会からの回答)
ご意見をありがとうございました。表紙の見づらさについてはまだ改善の余地があることはご指摘の通りであり、今後もご意見を反映させながら試行錯誤を重ね、魅力的な表紙にしていきたいと考えております。
(RS班:中井)

3-1 地方大学と地元建設関連業界との連携 大企業に負けない研究所を作る
「岐阜社会基盤研究所」についての記事、地元建設業者の私にとっては身近でかつ刺激的題材でした。特に「研究開発部門等がないため、単なる施工管理に終始する生き延び策しか取れない−地元中小建設業者」というくだりは業者にとって目をつぶることの許されない厳しい現実です。同業者が顔を合わせれば「さらにきびしい、これからどうなるのか」という話に終始します。このように業界に不安と失望ムードが漂う中ですが「自分たちの将来、何とかしよう」とばかり若手建設経営者グループが中心になりさまざまな試みが各地で行われています。彼らが本記事のような組織に参画する機会を得ることでさらなる活性化を期するところです。ぜひとも続編をお願いしたいと思います。
(国際建設 佐々木幸一)

3-4 TLO−大学で開発した技術の移転
大学側から見たTLOの役割についての説明はわかりやすい。土木学会の特殊性として、会員が研究者に限らないことがあり、それらの会員はTLOの顕在化した/潜在的な顧客である。企業や官公庁がTLOをどう利用すべきか、利用できるか、利用して欲しいかについても言及がほしい。また、地域の企業や自治体は大学との連携を望んでいる。TLOは地域にどのような貢献ができるのか、TLOの認識も聞いてみたい。
(シンクタンク嘱託 河合菊子)

(上記の2つのご意見に編集委員会からの回答)
ご意見ありがとうございました。今回の特集では、大学の新たな取組みとして産学連携の幾つかの例を紹介させていただきました。このような活動が活発になることが、産学いずれの活性化にも必要かと思います。ご要望に応えられるような具体的な事例も含めた紹介記事を検討したいと思います。
(機動編集D班:中村)

(編集委員会への要望)
今回の特集に関しては、自分の個人的な環境もありますが、とても興味を持って読むことが出来ました。
その中でJABBE認定システムについては、今回は大学の認定についてがメインでしたが、今度は是非そのシステムがある事によって学生自身の教育や資格、就職に関しての変化等を書いていただければと思いました。
(水産庁 宮園千恵)

(編集委員会からの回答)
特集を興味を持って読んでいただきありがとうございます。今回の特集は、大学を取り巻く環境の変化を知っていただくとともに、多くの方に現状と将来について考えていただき、意見をいただければとの思いで編集を行いました。教育プログラム改善のために各大学で現在取り組まれ始めたJABEE認定システムもそのような変化の一つとして取り上げました。その成果を見ることが出来るのは数年後になるかと思いますが、JABEEに限らず今回特集された記事の幾つかについて、再度特集が組まれればと考えています。
(機動編集D班:中村)

プロジェクトリポート 日本海から瀬戸内海そして四国への道路ネットワーク 中国横断自動車道尾道−松江線 御調川橋
記事にするプロジェクトを選定するのはご苦労があると思いますが、この記事で取り上げられている鋼管・コンクリート複合構造は今や新規性に富む工法とは言えないと思います。構造、工法の説明ではなく、別の視点からのご紹介のされ方だと良かったなと感じました。
(鉄道・運輸機構 玉井真一)

(編集委員会からの回答)
御指摘の通り多数の施工実績がある旨が本文中にも記載されておりますが、新規性を感じる読者もまだまだ多いと判断しました。しかしながら、分野に精通されている方々に対しても話題性のあるリポートにしていくよう心掛けたいと思います。
(RP班:齋藤)

海外リポート 「投稿」中国大陸の緑化とわが国の環境問題について
これからの土木技術者は何をしなければならないのか? これからの土木の魅力って何だろうか? なかなか答えは見つからない。例えば、これまでは大きな橋を架けることは土木の大きな魅力だったと思うが、環境が注目される現在は違ったものがあるように思う。リポートは、今注目の"中国"と、"緑化"という2つのキーワードが書かれており、目にとまった。中には緑化ボランティア活動が紹介されている。また、砂漠に強い植林(松、ニセアカシア、楡、ポプラ)のこと、蒙古ナラなど実をつける紅葉樹林帯を農場と組み合わせて創り上げていくこと、自然配置技術のことなど。これからの土木(技術者)に求められていることではないかと思う。紙面の都合もあると思うが、リポートは簡単な紹介の段階に留まっており、単発のリポートであるならばちょっと不満の残るところである。できれば引き続き、詳しいことを紹介して頂きたい。これからの土木の魅力を模索する上でも参考になると思う。
(崇城大学 上野賢仁)

(編集委員会からの回答)
詳細について続編を望まれる声があることを、著者にお伝えいたします。
(RP班:齋藤)

話の広場 工業高校一年生による市道インターロッキング舗装工事について
ただ工事を体験するだけではなく,それに先立つ手続きなどまで体験するという実習内容はとても興味深いものでした.実習の流れ,内容は良くわかりましたが,できれば簡単にでもインターロッキング舗装そのものの説明があればなお良かったと思います.
(横河ブリッジ 水越秀和)

(編集委員会からの回答)
工業高校の現役の先生によるご投稿で、紙面の都合上、「教育」を主眼とした記事としてまとめていただきました。ご理解いただければ幸いです。
(RP班:齋藤)

(編集委員会への要望)
交通博物館には永らく足を運んでおりませんが、東海道新幹線開業の頃、映写会で新幹線の記録映画を見て「蛇のように長い列車」と感じたことを今でも記憶しています。大学時代に行ったのが最後ですが、トンネル、橋梁等の展示物がずいぶん古いことを感じました。古い展示物を残すことは大切ですが、新しい展示物への更新もされているのでしょうか。
(鉄道・運輸機構 玉井真一)

(編集委員会からの回答)
ご指摘のとおり、交通博物館は長い歴史もあるため、古い展示物が多いとの印象もあるかと存じます。また、建物等も老朽化しています。これらのことから、平成19年度中にさいたま市に移転予定であることが、記者発表(平成16年2月16日付)されています。この新しい交通博物館にもご期待ください。
(RP班:新谷)

(編集委員会への要望)
連載企画…現場、記事中のp.77に"ホームページも開設しており」との記述がありますが、このような時は編集委員会の方で確認してURLを併記するようにしてはいかがでしょうか。
(鉄道・運輸機構 玉井真一)

(編集委員会からの回答)
大変参考になるご意見、ありがとうございます。今後、ホームページというキーワードを文章中に使用した際には、取材先の了解を得まして可能な限りURLも掲載させていただきます。
(学生班:野田)

(編集委員会への要望)
「忙中ペンあり」第二回を読みました。「人物教育を正規科目にできないか」。「さっそく有志が集まって大学講義用テキスト作りをはじめてはどうだろうか。・・・是非を論じ合っている時期はとっくに過ぎたと考える。」 学会誌も、できればすぐにでも連載を始めてほしいと思います。
(崇城大学 上野賢仁)

「忙中ペンあり」のモニター回答にも絡みますが、国内国外を問わず、著名な、あるいは著名でなくとも優れた土木技術者の人生を紹介する連載を設けてみてはどうでしょうか。
(本州四国連絡橋公団 薄井稔弘)

(上記の2つのご意見に対する編集委員会からの回答)
土木学会誌では、これまで「土木と100人」(1983年、Vol.68-8)、「続土木と100人」(1984年、Vol.69-6)と題して特集を組んだことがあります。編集委員会では、優れた土木技術者の人生に焦点を当てた連載について検討して参ります。
(編集委員会)

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