土木学会誌12月号モニター回答
学会誌づくりに多大な尽力をされているのが良く分かりました。来月から新企画も始まるということで,大きな意気込みを感じます。しかしながら,やはり私は眺める程度には目を通すが,意気込んで読むにはボリュームが多すぎ,疲れます。様々な分野を持つ土木だからこそ,多角的な内容となるのも理解できますが,もう少し内容の幅を狭めるか,ページ数を減らすなどはどうでしょうか?
(匿名希望)
今後の学会誌のリニューアルに期待します。ただ,読み物の面白さを追求するだけでなく,実際の工事での失敗例や成功例などから,教訓として役に立つ事例を取り上げて,それが何故,どのように生じたのかを技術的,学問的に解説し,議論するような記事があっても良いのでないかと考えます。
(京都大学 西山 哲)
崖の崩落により分断した道路,地すべり崩土により出現したせき止め湖,波打った道路路面,曲がった道路橋脚,浮き上がったマンホールなど,たくさんの被害を受けた土木構造物を写真でみて落胆すると同時に,土木構造物の重要性を再認識。今でも苦しい生活を強いられている被災者が少しでも早く豊かな生活を取り返せるように,一日でも早い土木構造物の復旧が必要だと感じた。
(日本道路公団 徳田尚器)
今年は非常に自然災害が多かったですが,災害が起こるたびに現地からの報告が御誌上に掲載され,新聞報道とは違った視点からの解説で現場の状況が手に取るように分かり,非常に貴重な資料となりました。12月号でも,新潟県中越地震で被害にあったようすが写真で見ることができ,その惨状が伝わってきました。自然の力は非常に大きいですが,その自然といかに上手く付き合っていきながら土木構造物をつくっていくか,そのことを考えさせられる1年だったと思います。
(鉄道・運輸機構 石橋英介)
我が身にこそ,ほとんど被害はなかったものの,台風・豪雨・高潮・地震と,今年は,良くもまあ,これだけのことがやってきたものだと,つくづくと思う。これらの災害が我が身に起こった方々のことを思うと,居たたまれない気持ちとなる。今回の特集は,速報的な面が大きく,これらの事象を十分に吟味して,どのように対処して行くべきであるのか?土木学会としての提言を出していただきたいと思う。
(前田建設工業 赤坂雄司)
発生直後の中越地震の発生もカバーし,タイムリーな企画だと評価されます。他方,被害状況等の速報がなされた今,今後,復興に向けた取組み,特に,資金面からの復興の必要性,政策的な支援の是非等についても,早期に特集が組まれることを期待します。
(匿名希望)
その日は家の自分の部屋でテレビを見ていました。グラグラっと揺れたので地震かなとすぐにわかりました。テレビ速報の文字が画面の上段に点滅して表示されているのをみながら震度がどれくらいかなと最初は面白半分にみていました。しかし,震源地が新潟だと分かった時に,横浜の自分の家が揺れるくらいの被害が起きたのだと初めて気付き,阪神大震災の時のような状況が脳裏を掠めました。時々刻々とマスコミ各社の報道が被害の状況を伝える中で,夕闇に閉ざされた被災地の状況は詳細性があったとは言えませんでした。翌日から各社一斉に報道が過熱し,それと同時に私の学校の先生を含めて,多くの土木関係者が現地に赴いて被害状況の調査を行うようになりました。学校でも被害状況の調査結果をもとに授業が行われました。私は山岳トンネルや都市トンネルの構造を研究しているので,今回の被害の中でも特にトンネルの壁面が崩壊する被害に関心がいきました。10年前の阪神大震災ではほとんど顕著な被害が山岳トンネル(地下鉄被害は甚大だったが)においては見られませんでした。結局,他の構造物がここ10年間で耐震設計を大きく見直してきたのに対して,ほとんど新たな検討が講じられてこなかったと思います。今回の被害に関して言えば,壁面のコンクリートの剥離が至る所で確認されており,崩壊までは達していません。構造的には補修工事によって回復が見込める状態です。しかし,滝谷トンネルを通過した直後に脱線した新幹線がもしトンネル内で脱線していたら,崩壊直後で構造的に弱くなっているトンネルに200km/h以上で激突することに成っていた事でしょう。被害は今よりもさらに甚大なものになっていたと考えられます。
今回の被害や阪神大震災の被害を十分に調査して,山岳トンネルに関する新たな耐震基準の作成が急がれる事を期待します。
(東京都立大学 藤原多聞)
短い文章だったが,大地震によって一気に文明社会から投げ出される恐ろしさがまざまざと感じられた。こうした体験談を集めて,危機的状況で人は何を考え行動するのか,知識を蓄積していく必要があるのではないだろうか。
(日本技術開発 中野雅規)
今年は雨量において記録ずくめの年であったことを改めて実感した。特に地球シミュレータにより計算された豪雨日数の変化は筆者の言う「異常気象時代」の到来を強く印象づけるものである。また,わが国の河川整備水準はそんなに低いものなのかには更なる検証の必要性を感じるが,災害発生の大きな因子である雨量の増大は深刻な環境の変化である。「災害文化」を社会に根付かせることは,こうした時代においては重要であることは論を待たないし,行政と個人がお互いにできる領域で協働することが大切であると感じる。
(復建エンジニヤリング 川瀬喜雄)
新潟水害の現場には私も水が引いたあとで行ったが,大熊先生がおっしゃるようにどこかが破堤したことが,それ以外の地域の被害を小さくする結果に繋がったことを感じた。そういう意味で,犠牲的に被害にあった方々に対して手厚い支援を行うことは必要だと思う。また,第三の方策として書かれている「今後堤防の嵩あげは行わない」という提案は重要だと思う。本当に完璧な堤防であれば良いのだが,そういうものを建設することは困難だろうし,今後の雨はしばしば「観測史上最大」を更新することだろう。洪水を起こさないということではなく,被害を軽くするということを命題とした対策を考える時代になってきているのだろう。
(太田ジオリサーチ 太田英将)
これまで,人間経済圏の拡張に資する特性の向上に重要性を置いてきたのに対し,地域環境圏との調和や人間生活の豊かさの追求が組み込まれるべきという考え方が,『エコマテリアル』と本誌にあった。現在,建設業界でも取組まれている「建設資材のリサイクル化」をいうのかな?我々の子供やその子供たちのためにも,未来の地球を守るため,環境負荷を下げていく努力をすることが現代人の役目。未来の地球人のために何ができるのか。非常にスケールの大きい話だ。
(日本道路公団 徳田尚器)
ひとくちにエコマテリアルと言っても,その評価方法には,材料の資源そのものや製造プロセス,利用時の環境負荷,環境浄化特性,さらには,リサイクル性の高さなど,様々な側面があることを学んだ。
建設分野においては,複合的な建設資材だけではなく,施工課程や建造施設の運用,維持・管理に至るまで様々な局面で周辺環境と密接に関わることになる。したがって,環境調和型材料設計を効率よく実施するためには,側面の異なる様々なエコマテリアルの評価方法を統一的かつ定量的に比較・判断できるような基準もしくはマニュアルの策定がとても重要であると感じた。
(五洋建設 田島芳満)
かつて「環境」はビジネスになるといわれ,多くの起業家が飛びついた時期があったように思う。現在も,その流れは大きくは変わらないが,「環境」という御旗の下では,何をするにしても費用が掛かり,企業として採算を見込めるものがかなり少ないという印象があった。今回の特集で,実にさまざまなものがエコマテリアルとして再生利用されたり,活用されてきていることがわかり,たいへんおもしろかった。そして,今回の特集では,捉える視点もさまざまであり,「こういう見方もできるのか」という発見や,1970年代のドイツのエコ生活でもそうであるが,所詮「井の中の蛙」で,よその国ではどのようなことが為されているのか知らない面があり,改めて認識させられて,目からうろこの思いであった。
(前田建設工業 赤坂雄司)
建設業界のエコマテリアルがうまく紹介されており,なかでも使用場所が一覧表示された簡単な日本地図は,使用実態が身近に感じられた。今後,コストパフォーマンスが低いエコマテリアルの普及のためには,個別に必要な社会費用を公表し,コスト削減のための技術提案コンペなどで,知識を集約することも考えられるのではないだろうか。
(日揮 飯塚浩晃)
土木とはもともと,土や木という自然界の材料を使用して「モノ」を造り,活用していく技術であったのだと思う。コンクリートにしても,考え方によっては,木造物に替わる耐久性材料とも言え,古い時代から環境共生型であったのではないかと思う。ただし,高度経済成長時代やバブル時代を考えれば,環境への意識は気薄であったし,やむを得ない事だったと感じる。今回の特集記事を読んで,本当に多くの環境型材料が存在していることを知ったが,まだまだ序章であって,更に大きく発展していく分野であると思われる。技術者的には,環境型材料ばかりではなく環境型工法等の開発等にも興味のあるところである。
(JH 高橋俊長)
エコマテリアルというと「リサイクルされたものから造られる材料」「環境影響物質を含まない材料」といったイメージを持っていたのですが,生産から廃棄までのライフサイクルでの環境負荷を考えたより幅広い定義を持つものなのだと再認識しました。タイプごとの材料紹介は理解を深めるため参考になり,特にポーラスコンクリートと生物との良好な関係を示す部分が興味深かったです。このような良い効果や,環境に対する取りくみを多くの人に知ってもらうことで土木構造物に対するイメージもだいぶ変わると思います。良いことを一般の人に,積極的にわかりやすくアピールしていくことも重要かと感じました。
(東電設計 白濱美香)
力の入った記事で,大変勉強になりました。こうした貴重な見識が,一学会の一特集で埋もれてしまうのは非常に惜しいと思います。諸事情で難しいものもあるかもしれませんが,人気の高かったもので,かつ筆者に了解が得られるものについては,販売するなりしても良いのではないかと思います。
上記に関連して,学会誌のサイトではいくつかの記事が閲覧できるようですが,どこに何の記事があるのかがわかりにくいため,標題なりを付けていただけるとありがたいです。
(日本技術開発 中野雅規)
建設リサイクル法により,フライアッシュセメントや高炉セメントなどの使用を促進させる要請が政府や自治体から出される中,数年前からエコセメントという何とも不思議な名前を耳にするようになりました。このエコセメントは家庭や事業所から出される焼却灰,つまり卵の殻や魚の骨などに含まれるカルシウムなどを原料にして,セメント生成に必要な成分を代替させようとするゼロエミッション計画のことです。しかし,元々のセメントですら塩化物が含有している事が問題となり塩化物規制が敷かれているのに,家庭から出るような生ごみには当然大量の塩化物,つまり塩分が含まれてきます。これらを上手く除去して必要な部分のみを取り出す技術を確立させるにはエコセメント工場で何段階かの調合や焼成が必要となり,コスト的にはどうなのかと気にかかります。また,建設リサイクルの面から言えばこれらはゴミの再資源化で非常に重宝がられるのかも知れませんが,ここで大事なのは何に対しても使えるような物ではないという事を理解して使用することだと思います。フライアッシュセメントや高炉セメントもそうですが,コンクリートの強度特性・強度発現性,水密性など多角的に研究を行ったうえで適材適所に用いていかなければ成らないと思います。ただ,このようなエコセメントが多くの場面で使える物であって欲しいと思うので,今後の研究を見守っていきたいと思います。
(東京都立大学 藤原多聞)
廃タイヤ処理に対する新しい技術の紹介記事として興味深く拝読した。開発に当たり,苦労した点は無かったというあっさりとした返事を楽しく,またうれしく読ませて頂いた。廃棄物全体における廃タイヤの位置づけや,今後の適用可能性についてのさらなる整理,実際に使用されている地域に関する具体的な情報紹介などがあると,より良かったと思う。
(八千代エンジニヤリング 高森秀司)
「世の中が困っているから」と言い切れるのはすごいことだと思いました。大抵の人はそう分かってはいながら実行には移せない言葉だと思います。さらに「困ったことはない」とまで言われては何ともいえない心地よさを感じました。この簡単なようで非常に重い言葉を自然に使えるような人間になりたいです。
(京都大学 三津田祐基)
研究者や行政の立場とは全く異なる,市井の技術者のたくましさを読んで痛快でした。動機が「世の中が困っているから」で,ゴムのことは知り尽くしているので苦労したことは「ない」ということだが,その明快さにまたまた痛快さを感じる。日本の自動車産業や,IT産業,あるいは土木工事においても,このような市井の優秀な技術者が支えていることは多くの人が知っているが,マスコミがたまに取上げるくらいで,学会誌が取上げていることは少ないのではないだろうか。今後土木学会も,一般市民との垣根を低くしていくことが望まれるが,そのひとつの手段として,このような技術者の方々をもっともっと紹介していただきたいと思う。
(太田ジオリサーチ 太田英将)
エコロジカルフレンドという表現を初めて目にし,また海洋環境に対するコンクリートの相性の良し悪しを整理した記事で,興味をもって拝読した。非常に基本的かつ重要な材であるコンクリートの使用環境は,もちろん海洋環境に限るものではないが,特別ではないコンクリートが,そもそもエコマテリアルであると評価できることは,非常に大切なことと感じた。
(八千代エンジニヤリング 高森秀司)
漠然としたイメージのエコマテリアルが15の特質により定義されたため,明確になってきたと考える。筆者が言うエコマテリアルの評価指標の明確化と定量化に関しては,今後この分野が社会的な影響力を持つであろうことからも重要である。また,一般化したエコマテリアルは継続してそのラベルを冠することは出来ないとする意見は,開発技術のレベルアップが常に図られなければならないという意味で共感できる。
ただ,資源効率に関する従来の考え方で紹介されている「ファクター4」,「ファクター10」の説明がもう少し欲しかった気がする。
(復建エンジニヤリング 川瀬喜雄)
「エコマテリアルは経済的か?」という問いかけは,それを使用する必然性にも係ってくるものであり,本質的かつ新鮮なものである。その経済性は,「ステークホルダーの範囲によって異なる」,「成熟した国の場合,対象を拡げて論じる必要がある」,「経済メリットは価値換算が容易ではない社会的側面,環境的側面を含む社会費用に関して捉えられるべきものである」ことに異論を唱える人は少ないであろう。
一方,「普及しそうなエコマテリアル」とは,現時点でも経済的メリットを享受できるものであるという現実は厳しいものであり,本論の帰結が示すように多様で困難な問題があることを改めて実感した。
(復建エンジニヤリング 川瀬喜雄)
経済性はあらゆる行動において非常に重要であり,エコマテリアルの普及においても不可欠な要素であることから,興味をもって拝読させて頂いた。結論を含め,全体的な流れはよく理解できるが,例えば成熟した国家と整理されるであろう日本が,地球人としてどのような方向性を採るべきかに関する提案や,普及しそうなエコマテリアルに関する具体な例示,方法論等の整理があまり見られなかったのが残念だった。
(八千代エンジニヤリング 高森秀司)
江戸時代の「物にも命がある」という考え方はすばらしいと思います。しかし,贅沢に慣れてしまった現代人に江戸時代の考え方をせよといっても不可能なことだと思います。つまり,現代のエコを考える際,いかに生活レベルを保ちながら環境負荷を低減するかが重要となる。そのため,エコマテリアルなどの開発・普及が今後より重要になってくることが再確認できました。
(京都大学 三津田祐基)
ユーモアと知性あふれる文章の中にも,江戸時代が究極のリサイクル社会であったことが的確に記述されており,大変楽しく,しかも勉強になる記事だった。ここまでのリサイクルは経済的なインセンティブがなければ生じないだろう。江戸時代の政治制度や経済制度上でどのような措置が執られていたのか,興味深い。
(日本技術開発 中野雅規)
今回の特集について全体を簡単に見れて,視覚的に感じることのできるグラビアでした。個人的に,特集の始めに載せて全体を簡単にイメージさせてから詳しく説明していく方が分かりやすい気がいたします。
(京都大学 三津田祐基)
紙面を通じて,各立場からの技術者倫理がうかがえた。
中でも,発注者側と受注者側との関係が指摘される点が多かった。受注者側からは言いにくいことかもしれないが,明らかに技術者倫理に反することであれば,声を上げるべきであろう。しかし,何よりも現状が物語っているのかもしれない。
それぞれの立場の人間を集め,技術者倫理の討論会等を実施してはどうだろう。そして,討論会の中で,今後どのような技術者倫理の研修を各方面で推し進めるかも是非きいていただきたい。
(地方公共団体 匿名希望)
第1回目や2回目とは,少し踏み進められた分だけ,全体の主旨が堅くなり、読みづらくなった気がする。
(前田建設工業 赤坂雄司)
倫理特集全般を通しての感想だが,倫理問題の解決に際し,土木技術者個人のモラルに頼るよりも,ある程度性悪的な立場に立った外部的強制力のある仕組みが必要だと感じた。端的に言えば,人の価値感によって事業が左右されるのでは,永久に土木は倫理問題に対峙することになるではないかと思う。
(匿名希望)
以前にエチオピアの隣国であるケニアで,青年海外協力隊員として活動する機会をいただけた。
活動を通じて,エチオピアやケニアにとどまらず,多くのアフリカ諸国は上下水道等のインフラなど多くの問題を抱えていることと実感した。
海外リポートを読むとき,「今進んでいるプロジェクトが持続可能なものか?」,「本当に地域の人にとって必要な事業なのか?」,「日本側の自己満足になっていないか?」などと,生意気であるが以上のような点について注意して読むことにしている。
読者の多くが「海外リポート」を通じて,日本の支援状況を理解し,興味を持っていただきたいと願っている。
(東京都 石川幸裕)
資源(水・石油・金・銀)は豊富であるが,それを活用する技術が伴っていないというジレンマを持つ同国の事情がよく分かりました。豊富な資源を有効かつ適切に活用する社会インフラ整備が同国に必要であり,日本として更なる技術支援,経済支援が必要かと思いました。
(鉄道建設・運輸施設整備支援機構 佐藤貴史)
2001年にWTO加盟した中国ですが,まだ外国企業が参入するには障壁が大きいことを感じました。また,中国で求められている技術力は日本で求められているものとは違うので,中国に転用できるシステムづくりとともに日本の技術者の考えも中国のシステムに合うように再構築していく必要もあるのではと思いました。
(鉄道・運輸機構 石橋英介)
日系建設業者の抱える問題点,課題と展望が簡潔にまとめられ理解しやすかった。巨大市場は無視しがたいものの,平場の価格競争では現地業者に勝てない故の難しさが実感された。特定の高い技術力を要する分野への特化,エンジニアリングや調達を含めたプロポーザルによる差別化なども考えられるが,効果的に実施することは難しいと思われる。他の発展途上国での競争入札も概ね同様であり,建設業者にとって国内の建設市場の縮小分を海外で補うことの難しさが伝わってきた。
(日揮 飯塚浩晃)
今もっとも活気のある中国の建設事情を紹介する良い記事だと思います。日本の建設会社が中国に進出し,現地の慣習や法律に戸惑いながらも市場を開拓していこうとする様子が良くわかりました。今後,中国の都市部だけでなく地方の現状や道路,鉄道などの交通事情,ライフライン整備についてのリポートなども読んでみたいと思いました。
(中央大学 田中聖三)
11月号が特集号だったせいか,12月号は重厚な特集記事が続く中で,「忙中ペンあり」は,ほっと息の抜けるコーナーでありました。
前号の座談会特集に続き「土木技術者のゆくえ」を指南されている両氏の発言を改めて紹介していただき,技術者として心新たにさせられました。
丹保学長の講義は北大での技術士会主催最終講義「新世紀に向けて」にて拝聴させていただいており,今回そのメモを再読し,その「至言」の数々を再確認しました。たとえば,「環境につながらない工学はない。」「複数のリンクをもつ技術ネットワークに入るには2つのチャンネルが必要。」等々であります。
(東洋コンサルタント 小林幸男)
高速化を追求していくということは,単なるスピードアップを求めていくことではなく,それに付随する技術的課題を克服していくことにもなることが分かりました。東海道新幹線を所有するJR東海と他の新幹線を保有しているJR各社とは高速化の戦略は異なってくるのか,またそれぞれが協力して高速化への取組みをしていくのか,についても興味深いところです。
(鉄道・運輸機構 石橋英介)
前回の東京メトロの記事でもそうでしたが,鉄道は記事内容の実際が利用し目に触れる機会が多く,従って興味も高いものですが,見開き2Pでは,その興味を満足させることが出来ないように感じます。紹介記事からもう一歩踏み込んで内容充実させてもよいのではないでしょうか。
(東洋コンサルタント 小林幸男)
東海道新幹線はよく利用させていただいていますが,その乗り心地の良さや速さには驚くばかりです。その高速化の鍵となったのが地盤振動対策であったというのは以外でした。この新幹線が台湾に進出することは日本にとって大変誇らしいことです。その台湾進出の際の技術的課題や台湾特有の事情などについても知りたいと思いました。
(中央大学 田中聖三)
この工事は,日経コンストラクションにも取上げられていて知っていましたが,学生編集委員の密着レポートということで,大変すがすがしく拝読させていただきました。家田委員長の工事紹介から時系列での画像による工事報告〜街頭インタビュー〜そして技術者へのインタビューと構成もしっかりして,特集記事が多いなかで,読み易い内容だったと思います。
(東洋コンサルタント 小林幸男)
正直,車や人の往来が激しい東京での道路工事については全く知らずにいた。方法や流れ,そして歩行者に対してのインタビューからの意見などを知ることが出来てよかった。
(東北工業大学 鈴木宏幸)
今回のレポートは写真を多く取り入れ,手順が書かれていて非常に分かりやすかったです。もう少し触れてほしかったのが,技術的な特徴や通常方式と比較したコスト減,メリットがあるのなら,これまで行われてこなかった背景等について,記載があればと思いました。集中工事方式はまだ珍しいとのことですが,今後,その地域事情を踏まえ,同方式が増えていくのではないでしょうか。
(鉄道建設・運輸施設整備支援機構 佐藤貴史)
例えば子供用のおもちゃとして,ダンプカーやブルドーザの工事用の車が人気があるように,それが集まる工事現場というのは,物を造っていく工程としての魅力に溢れており,単に見ていて面白いと感じる人は少なくないと思います。その意味でも,逆に現場というのは遊び場でもなく,見せものでもない仕事場であるということを,あるがままの姿で見てもらうことは,広報としても有用だと考えますが,もっといろいろな人に現場を見てもらい,工事現場における広報活動を含めて,現場をどのようなイメージで捉えられているのかを聞く企画になっても面白いのではないかと考えます。歩行者への街頭インタビューが載っていますが,工事の内容について多くの人が「全く知りませんでした」と回答したことは,土木工事の広報のあり方について考えさせられます。土木学会の人に土木の現場のレポートを伝えるのではなく,小中校生,芸術関係,あるいは地域の方々に見てもらい,現場がどのように見られているのかを土木の人に考えてもらう企画になっても良いのではないでしょうか。
(京都大学 西山 哲)
土木学会とそれ以外の学術学会の関係強化のため,学術会議のような横断的,包括的な学術団体とのかかわりについての報告も増やす必要があると考えます。土木分野の専門知識の蓄積,研鑽の重要性は論を待ちませんが,それと同時に,より広い科学界全体において土木学会の潜在能力,土木技術の重要性について認知度向上を図り,学術界全体への貢献を増やすために,外部団体,とりわけより包括的な学術団体との連携強化を図ることが望まれます。
(匿名希望)
半年間を通して見ると,各号の特集の深さに感嘆しつつも,不勉強により,消化不良気味になってしまった号もありました。特集以外の他のジャンル・カテゴリーについての記事も幅広に連載として含まれていると,よりとっかかりやすい気がします。個人的には,表紙のデザインと技術者の精神の記事を,毎号楽しみにしておりました。今後,ますますよい学会誌となっていきますよう祈念しております。
(八千代エンジニヤリング 高森秀司)
後半のミニ特集で空白部分が多いのが気になりました。エコについて特集を組んでいるのに矛盾している気がいたしました。
(京都大学 三津田祐基)
今月号は内容が盛りだくさんで,また,それぞれの記事もたいへん興味を引かれるものばかりであり,読むのに少し苦労した。先月の記念特集号では,興味のあるものが少なく,もう少しバランスを考えてもらえば有り難いと思う。
(前田建設工業 赤坂雄司)
学会誌の改訂が迫り,何かと大変とは思いますが,建設技術者に楽しく,有意義に,そして末永く愛される誌面づくりをお願いします。非常に期待しています。なお,今回を持って「モニター」は引き継ぐこととなりますが,益々のご発展を祈念しております。
(匿名希望)
学会誌のモニターをさせていただき半年が過ぎて今回で最後ですが,以前に比べ格段に充実してきており,注文・要望が見当たらないのが正直な感想です。さらに,「学会誌・ここが変わります。」にありますようにさらに工夫が凝らされるようです。業界がパラダイムシフト真っ最中の中,学会誌も変化しようとしている姿勢がすばらしいと思います。
(東洋コンサルタント 小林幸男)
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