土木学会誌2月号モニター回答
人工衛星やリモートセンシング技術の発達により,このような貴重な情報を迅速に公開して頂けるようになり非常にありがたいと感じています。各写真の空間的なスケールや,地図上の位置情報なども併記して頂けると資料価値がもっと上がると思います。
(九州大学 矢野真一郎)
「2004年12月26日午前7時58分(現地時間)マグネチュード9.0の大地震がインドネシアスマトラ島北部…の南南西250kmの海底で発生した。」衝撃的であった,今現在も日本人を含む行方不明者がおり,1ヶ月以上たった今でも,新聞やTVで頻繁に話題になっている。
津波の映像は,TVを通じて何度も見た。ただ,この様に数枚の航空写真を津波の前後で比較したものを見たのは初めてであったので,正直今になって,津波のすごさを再認識した。津波の経験の無い地域による被害,死者は15万人をも超えるという。人間として支援は可能な限り行うとしても,土木技術者として,どのような支援ができるのか考えさせられた。
(日本道路公団 木村 泰)
中部国際空港が開港し,愛知万博に向け整備され愛知県の人には大変便利になると思う。よく,イベント終了後に廃れてしまう施設が多い。万博後も世界の窓口として利用されることを切に願う。
(匿名希望)
24時間運行可能な中部国際空港の開港は全土の運輸システムを大きく変貌させることにつながると考えます。新たな物流の拠点となり,元気な中部地区のシンボルとなるように期待しております。
(匿名希望)
開港おめでとうございます。開港後1週間ほどの現在,ニュース等では,想像以上の観光客が訪れ,混雑している様子が報道されています。集客の知恵など知りたく思います。また,観光客を一過性にすることなく,リピーターとして定着させるようなことは既に考えられているのでしょうか。今後の様子を興味深く見ていきたいと思います。
(本州四国連絡橋公団 大倉章弘)
中部国際空港は,最新の技術を使い大幅なコスト縮減に努めて開港したとのことです。最新技術の導入の経緯や,どの様にして大幅なコスト縮減をしたのか,隅々に至るまで広く公開して頂きたいと思います。
(港湾空港建設技術サービスセンター 島田伊浩)
昨年暮れから,「今年(昨年)は非常に災害の多い年で...」という枕詞を何度も耳にしましたが,この津波は最後の最後に最大の衝撃を持って訪れました。日本人になじみの多い観光地が含まれ,あと数日遅く起こっていたら日本人の犠牲者がもっと増えていただろうという予測もあったことから,多くの方が関心を持って事の経緯を見ていました。そのような中,災害後1ヶ月余りという早さで,このように正確で有益な情報を多く含んだ特集を組んでいただき,大変ありがたく思います。今後,情報収集や現地調査の進捗により,それらの結果の本格的特集が組まれることを期待しております。
(九州大学 矢野真一郎)
連日,あらゆるメディアで報道されたスマトラ沖地震による未曾有の大津波災害。今まで津波の映像はほとんど記録が残されていなかったが,今回多くの映像が撮られ,学術的にも大変重要と思われる発生のメカニズムを解明するのに大いに役立つことや国を超えた総合調査とわが国の津波警報システム情報提供システムの貢献等大変分かり易く説明されていた。一瞬のうちに全世界へ情報発信できる現代,情報は唯一の防災対策であり,今後マスマス国際協力が不可欠と思われる。
(山梨日日新聞社 雨宮正巳)
我が国の津波対策の現状では,現存する津波遺産や日本の三連発地震・津波危機管理対策緊急事業の誕生について,詳しく纏められた分かり易い「表」や「図」を使い状況を把握して,科学的な解釈を加えて紹介されている。また,地震大国であり津波の経験が多い日本から見たハード・ソフト・人材面における先進的な津波対策の総合的なノウハウを活かした,国際貢献をすることが責務であるとの考えに対しては共感できる。
(三井建設工業 鈴木茂夫)
スマトラ地震によるインド洋沿岸諸国を襲った巨大な津波では,住民の津波の経験が少ない地域であったのに加えて,環インド洋での津波警報システムが無かったために甚大な被害を出しました。また,日本は歴史上,大規模な津波に幾度となく襲われていて津波災害に対して様々な経験を持っていることが分かりました。インド洋での津波警報システムの開発と運用等や,各国でのハード・ソフト面での津波対策等に,日本の技術が貢献できると感じました。
(若築建設 佐藤恵流悟)
大雨でダムから放流されている川の様子を見ていると恐ろしくなるのだが,スマトラ地震による巨大地震,巨大津波には驚かさせられた。高さ10mもの波が襲ってくるのは想像の領域を超えている。海沿いのリゾート地は平常時はすばらしいので,このような場所に訪れたくなる。このような世界的にすばらしい場所を守るために,国際的な危険予知,危機管理対策の必要性を痛感した。
(東電設計 斉藤修一)
事故・災害に関する速報については今後の活動に生かすことが重要である。今回の津波災害のことだけではないが,このような事故・災害のミニ特集については,その後の経過を評価することも必要ではないかと思う。定期的に事故・災害への取組みについての評価を行う特集を組んではいかがか。
(国土交通政策研究所 瀬本浩史)
日本は津波に襲われた経験が多いので,津波に対する対策が進んでいるとは聞いていた。それにしてもヤマサ醤油の当主はすごい。住民を高台に避難させるのもすごいが,1854年という年代に防潮堤防を造ることを考えたことがすごい。このような行動力を見ならわなければと考えさせられた。
(東電設計 斉藤修一)
景観法が成立する前でも景観に配慮した設計や計画が一部ではなされてきていたと思います。それは重要文化施設などがある近辺の場合,多自然保護が重要とされる地域に限ったものに偏っていたように感じます。これからは,そうした特別な地域に適用していくような考えではなく,利益を享受する我々自身のためにいろいろな場面でこの法律が有効に活用されるようにしないといけないと感じました。まだ,この法律に遵守した形での土木の仕事は歴史が浅いですが,勉強を積み重ねてよりよい仕事ができるように精進していきたいと思います。
(若築建設 井上 譲)
国作りの基本に景観が取込まれたことは画期的なことであり,興味深く読まして頂いた。法が先行することで,枠組みが育成される面というものがあるのはわかるが,一方で,このような枠組みを教育する人間もいないのではないか,という疑問を持った。
教育者の整備(製造技術開発),人材の育成(製品の製造),デザイン市場の開拓(ユーザーの開拓)というのは相互依存の関係にあり,どれかがかけても市場の熟成は無い。建築設計という枠組みで先行するデザイン市場において,意匠設計者が評価されているのがごく一部であることを考えると,どのように市場を熟成させていくかに関しては,大きな課題があるように思う。特に公共事業においては,コストパフォーマンスの良いことが望まれるが,デザインそのものの評価が一般に未成熟であることを考えると,この景観法自体がコストアップをもたらすための悪法と批判されることも考え得るので,いかにこの法律を育てていくかは我々にとって大きな課題であるといえる。
(広島大学 丸山一平)
昨年12月に施行された景観法の内容についての特集で,今回の記事を読んでその内容を詳しく知ることができた。第3章の座談会の中でコメントがあったが,まだまだ一般市民には実感がわかないのだと思う。自分もその一人である。「景観検討の目的は地域を再生したり,人々の暮らしを豊かにしたりすること」や「そこに住んだり商いをしている方々が,幸せであることを追求することによって,この景観をうまく活かしていける」とあるように,景観法の主役,行動を起こすボタンを押すのは一般市民とするならば,彼らにより知らしめ,適切な判断ができるよう教育をすべきだと思う。記事の中にまちづくりの事例が出ていたが,主役である市民の声の紹介が全く無く,現実感に欠けるように感じた。またデザインを考慮することにより機能性のみを追求した場合よりも費用がかかるが,それをどこまで増分を見込むのかの判断や,財源の確保をどうするのかと言った点も,問題提起にとどまっていたのが残念だった。英国での事例紹介では,記事内容の書き方も読みやすいように工夫されており,要点をついており非常にわかりやすかった。また日本においてはどう景観法に対応していけばよいかの提案もあり,納得のいく内容であったと思う。他人事ではなく,自分の住む地域の景観について,これまで無関心であったが改めて考えてみようという気になった。
(京都大学 福林良典)
この記事がなければ,景観法なる法律の存在など知ることはなかった。たぶんこの法律はいろいろな点で画期的なものなのだと思う。国が今までのありようを反省し制定した,基本理念からツールまでを含む包括的な法制度,「ボタンを押さないと始まらない」等々。この画期的な法律をざっと知るために,この特集はとても意義あることだと思う。景観法の記事を読んでいて,私は,かつて企業が競って導入したISO9000/14000や成果主義人事制度,ITによる業務改革のことを思った。いずれも優れたツールであるが,それゆえにそれを使用する者には,確固とした目的意識とそれぞれのツールの本質を理解する洞察力が必要である。おそらく景観法も同様であろう。記事の中で再三,何のために景観形成を行うのか,というビジョンの話が出てくるが,まさに正鵠を射ていると思う。ツール導入の目的化は容易に起こりうる。そのことを危惧する内容も特集の中で語られていたように思うが,そうならないことを望む。20年後に自分の街はどのような姿になっているだろうか。
(日揮 中島 晃)
景観法が成立し,施行されることとなった。これから様々な取組みが行われていくことになるだろう。しかしながら,景観という非常に抽象的な課題に取組んでいくためには専門家の育成が欠かせないと思う。国土交通省直轄事業では景観アセスメントを試行しており,その中で景観アドバイザーを活用しているが,この制度が拡大していけば,専門家がより多く必要になっていくことは言うまでもない。
(国土交通政策研究所 瀬本浩史)
社会資本整備において,景観が意識されるようになってから今までの視点・考え方の変化を理解することができ,また,新たな景観法,美しい国づくり政策大綱の考え方を概ね理解することができました。ただ,「景観」は個人の価値観の違いもあり,何が良いもので,何が悪いものなのか具体化することが難しいため,どのように評価していくのかといった問題に今後直面することでしょう。このことに対しどのように考えるのか,具体化するのは難しいのですが,この辺の議論がもう少しなされても良いのではないかと感じました。
(オリエンタルコンサルタンツ 神田佑亮)
用・強・美の3要素の中で,近年「用」と「強」だけを重視してきたのではないか,との指摘があるが,本当にそうだろうか。私は「強」はそれほど重視されていないのではないかと思う。「強」すなわち力学的な側面を正当に評価しておれば,何で今さら性能照査型設計法と敢えて言わなければならないのか。力学的最適性と美しいフォルムの関係に見られるように,「強」と「美」にも深い繋がりがあると思う。しかし,分野の壁もあって,人材の開発や交流は疎遠になりがちであったと思う。この景観法をきっかけに,どのような「美」と「強」のコラボレーションが可能となるのか,個人的には興味津々である。
(京都大学 小林俊一)
景観法の成立により,景観に対する取組みが進み「美しい国」になる事に期待しています。景観法の推進のためには,連携等を含めた課題が多くあると思います。私の仕事に係わる港湾については,現在どの様に景観に対する取組みが進められているか解らないぐらいに不勉強な状況です。港湾には,一般の人が立入りできないような部分もありますが,海に対する景観は日本人の心を動かす重要な存在になると思います。これから,景観に対する勉強をすすめ,「美しい国」に貢献したいと思います。
(港湾空港建設技術サービスセンター 島田伊浩)
景観のあり方は個々のケースに依存し,結局のところ個々の歴史や風土に根ざした多様な形態があり得ると思う。そういう意味で,住民参加型のボトムアップ的な合意形成が不可欠であろう。一方,私は法律という制度そのものにトップダウン的なものを感じるので,相反する立場を内容するこの景観法がどのように運用されていくのか,興味を惹かれた。記事中に紹介されていた,国の支援は市町村,地域のやる気,意識,意欲の問題だという指摘は,重要であると思う。これと共通する情報として,学会誌1月号「地方の息吹 第1回」にも意欲溢れる自治体の紹介があったことを思い出した。要は,資金があるから何かやるという受け身の態度ではなく,積極的に行いたい事業があるから工夫して資金を獲得しようという姿勢がまず一義的に重要であると思う。公共事業を巡る全ての出発点はここにあるのではないだろうか。
ところで住民参加型の合意形成を実現することはなかなか難しいと思う。私自身,居住地で町内会副会長を仰せつかっているが,よほどの問題が生じない限り住民は無関心である。これは多くのコミュニティに共通する問題であると思う。自治会等いわゆる地域自治制度自体にも問題点があって,社会の変革の中で制度疲労を起こしている場合も多いであろう。景観法という法律を契機として,土木工学の知恵や経験がコミュニティの問題解決にも役立つのではないか,と密かに期待している。
(京都大学 小林俊一)
景観法規の規定について「自然保護」「文化財保護」「市街地形成」「都市緑地保全」「農村整備」の系譜に分けて解説していただけて助かりました。また「美観」という言葉が都市計画法において排除されたり,各自治体が条例を制定して景観保全に努めている経緯が良く分かりました。
(若築建設 佐藤恵流悟)
景観法規が主に自然保護・文化財保護・市街地形成の3つから発展したことを前提にすれば、文化財と自然が融合している地区について,景観法を適応する事例はあまり多くないと考える。従って,1.文化財(神社・仏閣や城下)近辺での都市化が進んだ場合,2.自然(山河や森林)だった箇所に都市化が進んだ場合,の2つの場合が主な景観法の適応する場合であると考える。
特に,2.自然保護の観点から考えれば,景観法は既に乱開発による崩れた生態系を修復する目的と,今後新たに開発する場合に自然と融合した都市開発を実施する目的の2つに細分化される。
この中で前者は,戦略的に検討することは非常に難しく,これまでの経験・実績や市民の意識の高揚など推進するにはノウハウ的な部分が非常にウェートを占めている。この点を分析し,他の地域にも適応できるかが,大きな点ではないかと考える。
景観法の適応については,個々の事情により大きく異なるものの,ある程度対象を絞ることで検討事項が明確化し,一定の共通する方針が生み出されるのではないかと考える。
(JR東海 大木基裕)
美観という一語が土木の中では抹殺されていたが,今やっと主張されようとしてきたということから,土木のあり方が大きく代わってきているのだと感じました。つまり,今まで気づいていたが後回しにされていた部門に力を入れ始めたということは,土木という分野は完成に近づいており,加えていうなれば見直しの時期に入っているのだろうということです。
(港湾空港建設技術サービスセンター 高松宜応)
自然環境と観光資源や景観の保全という難しい条件をクリアしながら進められている工事現場のレポートで,非常に興味深く読ませて頂いた。今後の土木工事は,このような困難な条件下で施工が行われることが珍しくなくなっていくと考えられるので,地元の観光協会,市民団体,自然保護団体などとどのように協議されて,合意形成が行われたかのプロセスなども紹介頂きたいと思う。
(九州大学 矢野真一郎)
帝釈峡は私も訪れたことがありますが,その非常に自然豊かな名勝である地域でダム工事を行うためには,高速道路事業と同様に動植物の保護,景観への配慮が慎重に行われていることと思います。貴重種の保護のための施工時期の限定,建設機械の選定,施工の工夫及び継続的な生息状況の調査等により期間やコストは多少かかりますが,自然と社会が調和するためには避けられないものと思います。現地の環境を守り,周辺住民の方々と協力しながら工事を進めていく苦労は大変だと思いますが,加えて中国電力の方々は直営で設計・施工管理を行っておられるということで,技術水準確保の観点からも見習うべきところが多いと感じました。
(JH 竹縄謙作)
pp.044-pp.046の図-2,図-3,図-4の字が小さくて読み難い。ダム工事の大きさが一目で分かれば良かった。編集にもう一工夫していただき,読み易い大きな文字を使用していただきたい。
(匿名希望)
自然と動物そして人が共存するということは非常に難しく,その上で土木がそこに手を加えるということはある種の神業的なことであると思いました。その神業こそ土木エンジニアの業でありそれこそ,これから分かりやすく,且つ必要とされる事柄と感じました。
(港湾空港建設技術サービスセンター 高松宜応)
生まれ育った地の記事であり,よくこの地域にも遊びに行っていた地に関する記事でした。急峻な地形,豊富な自然など,施工上厳しい条件の中での施工や技術,環境への配慮,さらには電力会社が直営で設計・施工を行っている点など,土木の手本となるようなプロジェクトであり,これをもっと地元地域の住民にもに広めたいなと思いました。私自身,工事をやっていることは知っていたのですが,工事の内容はおろか,現存の帝釈川ダムについても詳しくは知りませんでした。プロジェクトのみならず,土木に対する理解が変わってくるのではないかと思います。また,今度地元に帰ったときには名勝「帝釈峡」を訪れ,遊覧船に乗りダム建設現場の風景を眺めてみたい。
(オリエンタルコンサルタンツ 神田佑亮)
非常に大規模であり,しかも市街地のど真ん中であるが日本と違ってどこかゆとりがあるように思いました。
やはり,大きくともシンプルであると言うことなのでしょうか。
(港湾空港建設技術サービスセンター 高松宜応)
この記事中で,台湾での地下鉄駅舎構築工事での,設計変更の様子が臨場感あふれる様子で書かれており,著者の自負するところがよく見て取れた。変更の流れは記事を読んだ私にも納得のいくものであると同時に,その技術力の高さに感服した。海外において,日本の土木の技術力の高さをアピールできた様子がわかり,日本人土木技術者のはしくれとして誇りを持つことが出来た。
(京都大学 福林良典)
大変おもしろい企画だと思います。今や平成の大合併で市や町や村の名前が変わりなくなるだけでなくその地域の歴史や文化も同じ様に稀薄になり消えていこうとしている時代。そんな中で,土木技術者が地域社会で果たす役割を地方の現状に焦点をあてて色々な切り口から,Q&A方式での編集はとても分かり易い。また,編集後記でポイントをもう一度まとめている事もとても良いと思う。
(匿名希望)
今月の特集号と併せて,興味深く読んだ。町並みというものが,どのような形で美観を確保しつつ,無理ない形で維持されるかということは大きな研究対象となろう。今回のこの特集では,町そのものを商品とする基礎に歴史景観を取上げ,地方経済の問題や,人口の問題を包括的に解く手法が示されたが,必ずしもこれ
がすべての地方にあてはまる手法ではないため,いかに今回の事例から成功を導いた構造を取り出しうるかに関して今後の計画学の課題があると思う。
(広島大学 丸山一平)
簡潔でわかりやすい文章と豊富な写真で読みやすい記事でした。市民と行政の協働により,その地域のやり方で歴史的景観を活かしたまちづくりに取組んでいる好例だと思います。臼杵市のようにもともと歴史的財産のある地域では,住民も行政もまちづくりに対する意識が高いのかもしれません。
(東京都 竹口了介)
臼杵市では財政難のなか,歴史性を生かし,住環境の整備に重点をおいたまちづくりを進めており,職員の方の苦労が伝わってきました。全国からの視察が後を絶たないと本文中で紹介されていますが,実際に視察に来る方々はどこの方なのかをもう少し具体的に知りたいと思いました。歴史性を生かす町並みと言うと,東海地方であれば,高山・妻篭・郡上八幡などが思いつきますが,それらとの違いがよく理解できませんでした。
(JR東海 石川達也)
シンガポールの人口は現在約400万人であるが,一日の地下鉄乗降客が130万人以上という事実にまず驚きました。請負側と発注側が設計基準の解釈の相違により意見が衝突することは日本でも多いとは思いますが,経済性,安全性を考慮し議論・攻防を繰り返すことは非常に重要であると思います。筆者が書かれているとおり,相手側の信頼を獲得するだけの技術力と問題を解決しようとする真摯な態度は極めて重要なことであり,後の協議・交渉に非常に大切になると思います。シンガポールの社会資本整備に日本の技術者が一人でも多く携わり経験を積み,また,日本の土木分野に反映されることを期待いたします。
(JH 竹縄謙作)
その昔東南アジアに駐在中,何度か地下鉄工事事故のニュースを耳にしていました。相当ご苦労されていた様子が,行間からにじみ出ておりました。この文章を読んでいて,駐在中,請負側だった人物が,ジョブホッピングしてある日突然顧客側の人物になったことを思い出しました。立場が変わると考え方がゴロっと変わったことには本当に参りました。見解の相違と衝突を解決し,顧客満足を得た上で適正利益も確保する。
そのためには「相手側の信頼を獲得するだけの技術力と問題解決のための真摯な態度」がとても大切であるとの文面に多いに共感しました。
(日揮 本間 学)
No duriansには笑ってしまったが,なるほどと納得。あれを地下鉄で食べられたらたまらない。シンガポールのリスクアセスメントの仕組み,経験を活かすための情報共有の仕組みには,記事にあるように「発注者の明快な姿勢」が感じられる。また唱えるだけでなく実行する仕組みがきちんと機能しているとも感じた。
振り返って自分,自社,わが国の現状を見ると,不明瞭な姿勢、実行が伴わない仕組みはまだまだ見られる。もちろん、シンガポールにおいても全てがうまくいっているわけではあるまいが、見習うべき事柄であろう。
「仕事の進め方」の項にて筆者の指摘する点には大いに共感を覚えた。私は現在日本で勤務しているが,海外のプラントの設計業務に従事しているため,外国人エンジニアと共に様々な国・企業の基準に基づいて設計を行うということを日常的に行っている。お互いがそれぞれに自分の経験を主張し合うという場面,施主側と請負側の攻防はよく見られることであり,そういった衝突を乗り越えてプロジェクトを成功に導くというのは並大抵のことではない。
(日揮 中島 晃)
私事ながら,土構造物の性能照査設計法に関心があるので,たいへん興味深く記事を拝見した。記事によれば,計測施工と有限要素解析法による予測を組み合わせた施工マネジメントが通常の業務で用いられているようである。このような実務を通して,コンサルタントは計測・数値解析のさまざまなノウハウを蓄積しているものと推察される。このようなノウハウはコンサルタントの真の力量を支える重要な資産であり,まさに現場が技術者を鍛えていることを痛感させられる。大学で多少の数値解析を行っている我が身としては,羨ましくもあり,敬意を覚えるものである。
性能照査やリスク管理の精度向上のためには,成功事例ばかりでなく,不幸にも失敗した事例の詳細な分析と,得られた知見の共有が重要であることは言うまでもない。記事中には,新技術の導入や経験を活用しようとするシンガポール発注者の明快な姿勢が紹介されており,これも参考になった。
最後に,記事とは関係ない私の勝手な希望であるが…,この記事を手がかりにして,海外での性能設計法の活用事例について,詳細な情報収集を行いたいという技術者も少なくないと思う。やはり本誌は学会誌であるので,基本的な参考文献類についても御紹介いただけるような編集スタイルをお願いしたい。
(京都大学 小林俊一)
私は,治水・利水の歴史は,人類がその英知を結集させて,自然と戦ってきた歴史そのものだと考えている。千代田堰堤もまさに,その姿を変えながら,十勝平野で生活する人々の暮らしを支えてきた。その様子がはっきりと伝わってくるレポートである。
(清水建設 樋川直樹)
新幹線車両基地内の車体保守点検設備が紹介されており,普段見ることが出来ないだけに,めずらしく興味深かった。今回は紙面2ページ分の紹介だったが,機械の使われ方を,例えばある損傷が見つかった事例の紹介があればより臨場感があっておもしろい内容になったのではないかと思う。また点検技術者の声も聞きたかった。
(京都大学 福林良典)
土屋市長の「人との関わりがあってこそ,土木」という言葉に改めて土木の魅力や楽しさ,そして難しさを感じ,それを我々はどのように後世に伝えていかなくてはいけないかを考える良い機会となりました。
土木は市民のための工学であり,こうした市民の中に入り,一緒に作り上げていく喜びや人との触れあいを大切にする機会が増えるようにして市民にとって優しい都市(街)をつくっていきたいと感じました。
(若築建設 井上 譲)
コミュニティバスやLRTを復活させる話など高齢者や障害者などの交通弱者を助け,環境にやさしい交通機関の復権が徐々にではあるが目に見えてきている。今後もこの流れを推し進めていくように土木技術者として自分に何ができるのか,今回の武蔵野市の例なども参考にしながら考えていきたい。
(鉄道建設・運輸施設整備支援機構 増田康男)
一通の市民の手紙が市長を動かし,実現に至ったという点に驚いた,市民と行政のよき関係を表していると思う。記事中でも紹介されているが,市長の信念とリーダーシップが,市民の声を実現につなげ,コミュニティバスが誕生した様子がよくわかった。コミュニティバスの利便性や利用客を考えたサービスの充実ぶりが実感できたし,障害となった点,それを克服していく流れが非常にわかりやすく書かれていた。「人との関わり合いをなくして土木はありません」という市長の言葉を私も心にとめて,土木技術者としてやっていきたいと思う。
(京都大学 福林良典)
「ムーバスは良い。面白い。土屋市長はすばらしい。」と,この文章を読むだけではそう思うのだが,いい事ばっかり書きすぎなのでは,という思いがぬぐえなかった。学生記者にはもう少し踏み込んで,今現在抱えている課題や今後の展望等を含めもっと踏み込んだ取材をしてもらいたかった。しかし,冒頭にも記載したが,掛け値無しにすばらしい事業であることは間違いないと思う。是非,この良さを私の町でもと思っているが,田舎であるし,面積も広いし,武蔵野市とは少し違ったやり方をしなければならないなと,少し嬉しい思いをはせることが出来た。
市長には今後もいろいろなアイデアを,市民の声をカタチにするために,期待しつつ,私も頑張りたいと純粋に感じた。
(日本道路公団 木村 泰)
コミュニティバスの話題でした。地域に必要とされることを,地域の身の丈にあったレベルで実践し,市民に喜ばれる。大変よい話でした。市民に喜んで利用してもらうためには,市民のさまざまな声を拾い集めて,小さな意見と思わずに反映させるということの大切さがよく分かりました。
(本州四国連絡橋公団 大倉章弘)
高い理念をきちんと形にして実行すると,本来の目的ばかりか派生的な価値まで産み出すという一つのいい例だと思った。よかれと思って始めたことでも浅慮や準備不足のために結局悪い結果を産んで終わった,というような事例が多い中,貴重な事例だと言える。それにしても,この事業の採算性というのは実際どうなのだろうか?低コストとはあったが,運用にかかる費用は運賃収入だけでまかなえているのだろうか。いかに素晴らしい成果が出ていても,その裏で税金が食いつぶされていたり,バス会社が割りをくったり,では画竜点睛を欠くというもの。1日平均3,000人の利用なら,十分な採算性はあるようには思うが。
(日揮 中島 晃)
社会資本整備は,物を造るというハード面での整備が重視されがちである。しかし,コミュニティバス「ムーバス」は,サービスの工夫というソフト面を利用者側の立場に立って突き詰めた結果,大きな成果をあげた。社会資本整備の計画に携わる土木技術者として,ハード面でカバーしきれない部分をソフト面でカバーすることは,コスト縮減が叫ばれる昨今では,ますます重要になっていると感じる。この記事を読んで,利用者の声,サービスの工夫の重要性を考えさせられました。
(清水建設 樋川直樹)
「総合科学としての土木へ」という考えに共感し興味を持ちました。細分化された学問体系の中でそれぞれの専門分野を深く掘り下げることは当然重要ですが,一方でいかに専門分野を総合して科学技術を向上させるか,これも同様に重要なことです。さらに「景観」や「歴史的・自然的価値」などが注目される今日においては,総合科学技術に加え文化・芸術分野も不可分に有機的に絡んできています。土木学会誌は全体的に,総合的な科学技術としての土木を扱う記事が多く,読み手にも興味の切り口を多く与えていて評価できると思います。
(東京都 竹口了介)
最近うちの近所でも「チーバス」100円,というのが始まりました。都バスや地下鉄の行っていない路線中心に運行されていてとても便利です。数年前に区政モニターをやった時,お年寄りから「都営地下鉄が伸びて,都バス路線が減らされていきますが,歩みの大変な私たちにはバスの方が助かるのです」というお話を聞きました。確かに大江戸線などは地中深すぎて,ホームにたどり着くだけでも大変です。ここで紹介されている「ムーバス」のような交通機関が,今後高齢化社会に必要とされている社会整備のひとつなのだろうと思います。
(五洋建設 中西雅時)
学生編集委員が企画しているページは,大変読みやすいので気に入っております。今回の武蔵野市長のお話も興味深かった。積極的に現場に出て,地域住民の生の声を吸い上げ,徹底的に検証し実行に移す一連の姿勢はすばらしいと思います。
また,「今の土木は本当に土木と言えるのか」という発言に対しては,土木を専攻してきた者として,耳が痛かったです。これからは,自然を制御しようなどと驕った考えでなく,地域住民に配慮し,自然と親しみを持ちながら事業を進めなくてはならないと思いました。
今回のお話の中ではムーバスが中心に取上げられていましたが,コミュニティバスの採算性や地方への展開の可能性について知りたくなりました。
(JR東海 石川達也)
「水を油に変える」は,土木に関係なさそうである。しかし,非常に興味がある。わからないことは追求したくなる性格であるため,どうしても知りたくなった。何が燃えているのでしょう?一度,実際にみてみたいものである。
(匿名希望)
ここでは様々な視点から本を紹介されていて,「土木」に偏り勝ちな我々にとって幅広い知識に触れることのできる機会を与えていてもらっていると思う。その発想はどこからくるのでしょうか。これからも期待しています。
(京都大学 福林良典)
今月の学会誌で一番インパクトのあった記事でした。水を油に変える技術。これが本当ならものすごいこと。エネルギー問題も解決。と,思って関連ホームページなどを拝見しましたが,「ほんまもん」というよりは「ほんまかいな?」。紹介されている本も,かなり前に発行されているようですし,これが本当なら絶対話題になるはずなのに。私の能力では,今までの常識と異なるこの理論を肯定することも否定することもできませんが,「ほんまもん」として紹介するのであれば,識者の見識等も併記して欲しいものです。土木以外の情報や,うまく説明できない技術を紹介するのは大いに結構だと思うのですが,おまけのページといえども学会誌なのですから,話題提供はよいとしても,「ほんまもん技術」とは今の段階ではちょっと言い過ぎではないでしょうか。
(匿名希望)
顔写真,記事もふざけていて著しく不愉快です。はやくやめてください。学会誌の品位が落ちます。見たい人はHP見ればよいでしょう。私はこんなの見たくない。
(匿名希望)
学生時代,耐震の研究に少しは取組んだが,入社以来,地震工学に触れる場がほとんどありませんでした。鉄道会社の社員として,幅広い知識を身につける必要性を感じながらも学ぶ機会を作らずに過ごして来てしまいました。今回,こちらで取上げられているように土木工学,建築工学,地震工学の広範囲の分野にわたり,様々な所属の方が集い情報交換をする場があることに関心を持ちました。これからは,若い間に特定の組織や企業にとらわれず,自由な議論を交わし,人脈を作っていきながら自分を磨き続けていくことが自分にとっても土木界にとっても求められていると思います。
(JR東海 石川達也)
学会誌の執筆者についての所属紹介で,「フェロー会員」と書いてあるのを見て,いつもこれは何だろう?どういう人達なんだろう?と思っておりました。ようやく謎が解けすっきりいたしました。随時募集されているのであれば,pp.111あたりに申し込み書を印刷されてはいかがですか?(FAX/コピーに影響の無いやや濃い目の紙の色にして目立つようにする)
(匿名希望)
[土木学会の本 古市公威とその時代]
2004年に生誕150年を迎える土木学会初代会長・古市公威氏。どのような方か,全く知識が無いので想像も出来ない。ただ,この本の中で「将ニ将タル人ヲ要スル場合ハ土木ニ於テ最多シ」との言葉を残し,土木工学の総合性を強く主張しており,また,近代土木工学の原点に立ち返って考え直すための有益な示唆を与えてくれているとのこと。
これだけならまだしも,目次を読む限りでは,当時(明治)の国土づくり,河川・港湾・鉄道・水利と多数の事業にかかわっており,当時の土木技術者に対して,大変興味を覚えた。ただ,道路事業に携わる私としては,道路事業についてもふれて欲しかった(ふれているのかもしれないが)。時代の大きな転換期,持続可能な発展が求められているこの時代,是非一読してみたいと思わせる本である。
(日本道路公団 木村 泰)
近年,土木系の大学教育において,従来のハード中心(力学中心の教育)からソフト化への対応が求められておりますが,実際に学生が卒業後に就職先で必要とされているものからハード的なものは少なくなってきているのでしょうか?初等・中等教育現場において基礎学力の低下が叫ばれている昨今,「土木系」高等教育における基礎学力,すなわち土木系の大学卒業生が最低限身につける必要のある学力とは何なのかを定義づける必要があるのではないかと考えます。土木系の産官学をつないでいる土木学会の学会誌でそのようなテーマを取扱って頂けると幸いです。
(九州大学 矢野真一郎)
景観法における設計事例と施工事例と両方を今後取上げる機会を設けていただければと思います。
(若築建設 井上 譲)
今後とも中身の濃い学会誌作りを期待しています。
(匿名希望)
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