土木学会誌3月号モニター回答
学会誌の中でも異色なこのコーナー、毎回楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。今回はメルボルン、オーストラリア第2の都市が舞台でした。裏表紙で写真が1枚では物足りなさを感じます。ここで一つ提案なのですが、現在の構成に加えて、テーマとなる都市の近くの大学や自治体などに名物(土木的なもの)を紹介してもらうというのはどうでしょうか。現地の人しか知らない土木技術を日本に紹介することができ、かの地の人々に学会のPRも行うこともできます。毎回とは言いませんが、ぜひ検討していただきたいと思います。
(東京都水道局 粟本太朗)
最近暖かくなってきて、去年の年末からの豪雪を忘れてかけてました。京都も例年になく雪が降って大変でしたが、新潟などの豪雪地帯はこれほどだったのかと、改めて知りました。もう少し早くこの記事を読みたかったような気がします。
((株)きぃすとん 川口美智久)
数学と土木技術者という切り口で 展開していただけるとよかったです。
((独)鉄道・運輸機構 橋本浩史)
土木学会誌を購読していて"興味深い"記事とは、このような内容を指すのではないでしょうか。土木技術者とは直接的な関係はない、しかし、その延長上にはこのような方々との接点が必ず存在しているわけであり、そこに"有意義さ"があるのではないでしょうか。「子供達の数学嫌い」についてですが、実はそこには「人材育成」の基本が見え隠れしていて、共感を覚えます。一義的に"子供達の学力低下"は"子供達のせい"ではなく、子供達を教える"大人達"が変わらなくてはいけないものであり、それは何も「学校教育」だけの場のことでは
なく、社会や組織の中での人材育成の場においても、同じようなことが言えるのではないでしょうか。"子供達の心に火をつける"ための努力を我々大人達は真剣に考える必要があると思います。
(前田建設工業(株) 赤坂幸雄)
清風高校、と見た瞬間、この記事に興味が湧きました。というのも、清風高校は中高一貫教育がなされておりますが、私自身受験した中学校だったからです。さらに、兄は清風高校の卒業生でもあります。私自身現在の教育の在り方には疑問を感じております。いい企業に就職するため、いい大学に進学するため、特に進学校では現在の教育はそんなところに目標があり、自分と向き合い、個人がそれぞれの将来を考えることがあまりなされていない気がします。公庄先生のような、本当の意味で生徒の将来を考えることのできる先生がもっと出てきていただければと思いますし、また私個人も、何をするにおいても結果のみにこだわるのではなく、そのプロセスから得られるものに目を向けられるよう努めていこうと思いました。
(北海道大学大学院 杉原卓治)
土木学会では、理工系の学生の中でも数学を敬遠する学生が多くなり、将来の技術力低下を懸念しているとの問いに対して、「数学嫌い撲滅運動」を20年以上続けておられる、高校教師の実体験に基づく意見が述べられていました。その中で、「僕は教員を35年やっていますが、同じ授業はしたことがありません」という言葉が印象に残りました。子供たちに対する情熱を持ち続けておられる姿に関心致しました。会社員を十年以上勤めていますと、惰性に陥りがちですが、土木技術に情熱を注ぐことの大切さを再確認しました。先日、新卒者向けの会社説明会で建設会社希望の学生さん方と雑談する機会に恵まれました。あまり良い噂が立たない建設会社に多くの学生さんが興味をもっていることに驚きました。皆さん、もの造りのダイナミズムに目を輝かせていました。4月から新入社員が入ってきます。 “土木に対する情熱”を キーワード に今年度も頑張りたいと思います。
(匿名希望)
公庄先生の「一生を通じて学問を追究する精神や学び方を身につけさせたい」という言葉が印象的でした。私の経験から言うと、そういう姿勢を意識したのは、もちろん高校時代ではなく、大学入学後でもなく、研究室配属後でした。今から振り返ると、もっと早い時期に意識を持っておればよかったと感じます。土木学会として、高校生や中学生、さらには小学生にまで「土木」をアプローチをしていけば、教育の早い段階から学問に興味を持ってもらうことができ、また「土木」の裾野を広げるためにも良いのではないかと感じました。土木学会として、どのような活動ができるのかわかりませんが、今後の取り組みに期待しております。
(パシフィックコンサルタンツ 寺田悟)
数学は工学にとどまらず、あらゆる自然科学の基礎となる極めて重要な科目です。ところが、最近では、数学好きは「数学オタク」と呼ばれ、キモがられてしまうようです(息子談)。私が高校生だった30数年前も数学嫌いはたくさんいましたが、数学のできる生徒はクラスメートから一目置かれる存在でした。やはり、ヒルズ族がもてはやされるような理科系離れの風潮が影響しているのでしょうか。教育だけの問題ではないように思います。
((財)ダム水源地環境整備センター 安田佳哉)
最近続けて発生した様々な鉄道事故と土木の分野がどのように関係するかについて、事故が発生する度に考えていた。本特集を読んで、頭の中を少し整理することができた。特に、大内編集委員が書かれていた「鉄道の安全性を高めることがエネルギー・環境問題の解決に有効となること」、座談会の中の井口氏のコメ
ントで「例えば踏切事故をなくすために立体交差化するためのコストを半分にする」といったような内容は直接土木に関連する内容であったと思われる。最後に、家田氏の編集後記のコメントで、「安全に関わる施設や設備の整備状況や改良状況の常時情報公開」は今回の特集内容に限らずあらゆる面で必要なことであり、常に意識しておくことが必要があると感じた。
(高知高専 横井克則)
鉄道工事に携わったことのある私にとって、まず、この記事が目にとまりました。また、記事を書かれている畑村教授の「失敗に学ぶものづくり」という本もたまたま読んだばかりであり、今、改めてこの問題に自問自答しているところです。建設工事においても機械化・自動化が進み、省力化によるコストダウン、ヒューマンエラーの撲滅などといった効果を挙げている一方で、電気系統・機械設備や制御プログラムといった純粋な土木工学以外の技術に依存する割合も高くなっており、土木技術者といえども幅広い知識と判断能力を要求されています。原点に戻れば、あくまでも現象をとらえるのは人であり、それを補助するのがシステムであるという考え方に立ち、自分の中の安全意識を高めていきたいと思います。
(鹿島建設 渡辺幹広)
様々な分野の専門家の意見が紹介されており,非常に興味深く読むことが出来た。特に三戸氏と井口氏の記事が興味深かった。井口氏の「巨大なシステムほどシステム全体の信頼度が低下しやすい。システムは区切るべき。」と,井口氏の「固定情報は車載すべき。自動車部品を取り入れてコストダウンすべき。」という意見は,なるほどと思った。自分は詳しくないが,現在の鉄道の安全システムは中央制御に偏りすぎているような気がする。電車(特に旧型)の運転席を見ていると,表示れされる情報があまりにも少ないと感じる。電車にもカーナビをつけて,逐次,走行区間の制限速度や,次の速度変更区間までの距離や,前後の列車の位置情報などを表示させるくらいのことは,すぐに低コストでできるのではないだろうか。運転士にもっと安全のための情報を与えることは非常に重要であると思う。さらに,運転士に速度を守らせたいなら,ATSの整備に加えて,位置情報から自動的に取得される制限速度に対して,現在の速度が上回っていたら,乗客に聞こえるくらい大きな警告音が出るようにするだけでも,安価な割にかなり効果があるのではないだろうか。
東武線の踏切事故にしても,付近の列車の位置と速度の情報が逐次踏切係員に伝わるようにしていれば防げたのではないだろうか。既存の技術の活用で,低コストで安全性を高められるのではないかと,記事を読んで感じた。
((株)シー・ティー・ジャパン 増川淳二)
鉄道という巨大システムに焦点を当てて,土木以外の専門家の視点から安全性を確保することの難しさが述べられ,大変興味深く,良い企画だと思った。この話は,私が係わりのある原子力発電や放射性廃棄物の地層処分にも相通ずるところがあり,幅広くかつ最先端の技術とそれを扱う人間からなるシステムをどうマネージメントしていくかは巨大システム共通の課題であることを再認識させられた。
(原子力発電環境整備機構 出口 朗)
「鉄道の安全」を語る場合、冒頭の企画主旨にもあるように、先日のJR福知山線事故のみならず、踏切障害や人身障害などの事故も考慮しなくてはならないということは理解できる。しかしながら、鉄道工事に身をおく者の一人として、既存の鉄道構造物の大半がその耐用年数に近づいていることを考えれば、線路を支える鉄道構造物の耐久性能に関する議論も加えてあればよかったのではと思った。耐震偽装問題が問われている中、阪神淡路大地震の教訓を活かすためにも。
(名工建設(株) 大橋敏章)
愛・地球博でも登場していたリニアモーターカーなど、鉄道の分野もどんどん発展し、便利になっているように思います。そのような発達の裏にこのような危険性が隠れてしまっていて、あまり考えた事がありませんでした。便利になって、コンピュータ化が進めば事故も減っていくと安易に思っていましたが、巨大システムにおける『数のマジック』勉強になりました。鉄道事故がゼロになるシステム、仕組みをみんなで考えなければならないと感じました。
((株)きぃすとん 川口美智久)
鉄道の安全について、特に土木以外の専門の方から他方面に渡る意見があり大変興味深かった。特に、複数の有識者から、技術により安全性を追求するのみならず、危険性があることをきちんと利用者に周知することも重要との指摘があった点は非常に新鮮であった。単に技術を追求するのみならず、その限界をわかりやすく伝える事も技術者の責務と改めて認識した。
(三菱総合研究所 中條覚)
特集記事を読むまでも無く、昨年は非常に鉄道事故が多い年であった。土佐くろしお鉄道の事故から始まって、福知山線、そして、羽越本線である。鉄道事業に携わる土木や設備系職員を含む人材育成という立場に身をおく小生にとっても、避けて通れない話題であって、本テーマと同様の内容で昨年度研修を企画した。
ヒューマンエラーや、フェイルセーフ・フールプルーフといった設備系の基本的考え方、鉄道土木施設における地震の考え方等、様々な議論を行った。各論としての信頼性の向上は当然であるが、行き着くところは、「編集後記」で家田先生が最後に書いておられる経営者としてのCSR(企業の社会的責任)ではないかとの結論に至った。近年はどうしても、利益至上主義や、株価・配当等の目先の株主至上主義に走りがちである。小生も前職で鉄道事業者との折衝の中で、あまりにもお客様の安全を無視した対応に閉口した覚えがある。お客様不在の経営方針は、乳業会社や航空会社など近年の例に見るまでも無く、会社存亡の危機に繋がる。一方で古くは自明の米国タイレノール事件や、昨年からの暖房機事故の一途なまでの信頼回復を行った企業における顧客至上主義は、結果的に信頼を勝ち取り企業利益に貢献するということである。日夜現場で安全を守る私たち技術者の普段の努力は当然必要であるが、経営者としての倫理観が何よりも増して重要であると言えるのではないだろうか。
(東京都職員研修所 渡辺 修)
最近鉄道に勤めていた友達との話の中に、停車場に進入する列車が脱線したので、現場に良く駆けつけた。今対策として脱線防止に外側レールの内側に脱線防止のレールを設置したと言う話しを聞きました。矢張り以前から脱線事故があり事故防止用レールを取り付けた経験が多かった。と語っていました。特に最近は列車が軽量化されているのでこんなところに目を向ければ、コンクリート枕木になったのでスパイクが打ち込めないのは問題かと思いますが。
(匿名希望)
最近のトラブルは鉄道の事故だけに限らず、日本の様々な産業において発生しています。印象に残る大事故としては、平成11年9月のJOCのウラン燃料臨界事故、平成12年7月の雪印乳業の食中毒事故、そして平成15年9月のJR東日本の線路切替え事故などがあります。これらの事故に共通するものは、すべて「ものづくり」の現場で起きているものであり、我々土木技術者も「ものづくり」を売る人間であり、決して人ごとではありません。"土木技術者のあるべき姿"について議論をしていると「技術者の倫理観の欠如」という問題が挙げられますが、本記事はこれを論理的にうまく説明していると思います。システム1つの信頼度が0.999あっても、1万個の直列のシステムがあれば、その信頼度は0.00005まで低下するとは、驚きの限りです。現場にありがちな「なあに、これくらいなら大丈夫」、このわずかな危険因子がシステム全体の信頼度を限りなく"0"に近づけてしまうことが、ひいては「技術者の倫理観の欠如」という代名詞につながり、複雑なシステムを持つ建設業のトラブルにつながっているのではないでしょうか。何度も読み返した非常に興味深く勉強になった記事でした。ありがとうございました。
(前田建設工業(株) 赤坂幸雄)
「巨大システムの設計者は、あらゆる部門にありえないほどの高品質を求めている」と記事に書いてありますが、人間の認識能力や制御能力の限界、信頼度から得られた計算結果を見ると、この「ありえないほどの高品質」という概念が納得できた気がしました。人間の能力には限界があるので、一連の列車事故がそれを見直すいい機会になればいいと思います。
(長崎大学大学院 冨永昌伸)
個々の要素の僅かな信頼度低下が巨大システムになると大きな信頼度低下となり、極端には正常に動くのが奇跡とまで信頼性の低下となることが上手く説明されていて興味深い記事でした。著者は、0.999…の9を1つ増やすために追加的にかける費用と時間、労力の大きさに比べ、安全対策の効果はあまりにも人間の目
に見えにくい、と述べているが、このへんのことを逆手に取って、社会(消費者)から上手く認知されている分野もあるのではと思いました。例えば、デジカメなどの世界では、インストールされているソフトやハードの性能のチェックをメーカー自身は完璧には行わずに、消費者をテスターとして利用し開発コストを抑え、問題が明るみになった段階で個別に対応するという方法を取っているように感じる。こうすることによって、メーカーは時機を失することなく商品を出すことができるとともに、消費者にとってはそこそこのコストのものを手にできる
というメリットがあり、両者の暗黙の了解ができているようだ。著者は、大事故を防ぐための2つの方策を提言されているが2つ目の提言の「コミュニケーション技術の構築」の必要性という部分には、デジカメの世界のような、社会(鉄道利用者)にもメリットを提示できるか否かが鍵になると思われる。
(匿名希望)
日本の鉄道は「安心、安全、安定、大量、迅速」な輸送サービスを供給する輸送サービスとして、群を抜いたものであると認識していました。しかし福知山線の脱線事故は大変衝撃的で、そういった認識が大きく揺らぎました。「なぜ安全なサービスが揺らいだのか」ということを自分自身でも考えていました。本稿を読み、巨大システムの安全性を保つことの難しさを感じました。「なぜ安全なサービスが揺らいだのか」というより、「安全なサービスを保つという当たり前のことがいかに困難であるか」を認識する必要があると感じました。これは鉄道に限らず、あらゆるシステムに共通することである思います。自分も日々仕事をしていて、ミスを無くすことがどれだけ難しいことであるかを実感しています。特に巨大システムにおいては、一人一人がミスを減らすことに加え、幾重にも及ぶチェック体制が必要不可欠であると感じます。福知山線の事故は、余裕の無いダイヤが事故の要因の一つであったと言われています。仕事の生産の向上、ノルマ等、余裕の無い状況での仕事を余儀無くされている人は多いと思います。そうした環境を改善し、心身ともに余裕の有る状況で仕事を行う状況をつくることも、仕事におけるミスを減らし、大きな問題の発生を未然に防ぐ上で極めて重要な事項であると思います。
(オリエンタルコンサルタンツ 長尾一輝)
鉄道に関する著書があるとは言え、経済経営ライターである三戸さんにコメントいただいているこの特集
は別の切り口で指摘されていて興味深かった。このように産官学の土木系技術者だけの登場ではなく
いろいろな分野の方の違った切り口での意見に興味があります。
((株)5Doors’ 堀 与志男)
「安全の仕組みがなぜ活きないのか?」の記事には考えさせられるものがありました。
(1) システムの部品単体の信頼性
(2) 部品を寄せ集めた巨大システムの信頼性
(3) 人間の直感
これらが、互いにずれること、それに気づかないことが事故につながる、という内容でした。仮に(1)の信頼性が十分高い場合に、「これくらいいいや」という判断を人間がしてしまい、わずかにこの信頼性を落とし、また別の箇所で同じような判断を行ってしまうと、結局(2)の信頼性が大きく下がって事故につながってしまう。そもそも人間の直感(3)は全く食い違ってしまうことが多い、という問題を指摘されています。何事も人間力とか、現場力が安全を守っているといいますが、なぜ「これくらいいいや」と判断してはいけないのか?を直感的に理解することが重要なのだと考えられます。
どのような方法があるのでしょうか。直接的な答えではありませんが最近面白いものを見ました。ある私鉄の車内つり広告に、基本的なメンテナンス業務のアピール「あたりまえのことします」、「○○を年に1000回点検します」などを淡々と書いたポスターです。
こういう宣伝を乗客に対して行うことは、安全を守る仕事を行う社員それぞれにとってもモチベーションの向上につながるのではないかと思います。この鉄道会社は「当たり前の作業をとても重要だと認識していて、それを当たり前に行える社員を重要視している。そしてお客様にも自慢したい。」というメッセージを乗客だけでなく、社員に対して上手に送っていると感じました。
(所属:東京ガス株式会社 氏名:中山渉)
この記事とは違いますが、私はかってシートパイルによる護岸の崩壊直後の現場を見学した事があります。河の流れの強弱は、波で言う縦波に相当するもので、周期的な振動がシートパイル基礎周囲を軟弱にし、河川の水位が低下したときに、浸水した護岸背面土圧の増加し、シートパイル周辺の抵抗土圧低下が重なり崩壊した事がありました。こんなことを思い出しJR羽越線の事故には、風の強弱が列車を横方向に揺らせ、振幅を増加させるように働いたのかと素人考えをしてみました。
(匿名希望)
アニュアルが復活したとのことであるが,ページ数を絞りすぎた感が否めない。また,TOPICSの各項目は,お役所のPRページのようになってしまっており,残念。
((株)シー・ティー・ジャパン 増川淳二 )
このように1年間の出来事をまとめて見て、早くも忘れてしまいがちな出来事や、こんなことがあったのは去年のことか、というように、月日が経つのは速いものだ、と感じておりました。トピックスとして、また年表として様々な分野での取り組みがまとめられており、先輩方のご活躍や今後の方向性を考えていくうえでとても役立つものだと感じました。
(北海道大学大学院 杉原卓治)
2005年は住民の方々からの信用を失った1年だと思います。倒れるはずのない電車が倒れ、壊れるはずのない建物が偽造され、災害に対しても社会基盤を破壊されました。決して技術力が足りないとは思っていません。今後はこれまで構築してきた社会のシステムの限界を再検討しなければならないと考えます。
(長崎大学大学院 冨永昌伸)
このような形で1年間のできごとをまとめて紹介する記事はこれからも是非続けていただきたい。できればもう少し写真(簡単な解説を付けた)を増やしていただければと思います。毎月の出来事については、土木に関係する内容のみで良いかと思います。忘れていたことが思い出され、自分自身の反省にもたいへん役に
立ちました。
(東京ガス 飯村正一)
一年間の土木分野の動きがわかりやすく整理されていて良かったと思います。欲を言えば、違った切り口で整理して頂ければ、より面白かったかなと思います。時間軸、河川・道路といった分野別に加えて、「そういう視点があったのか」と思うような切り口が欲しかったです。口で言うのは簡単で、実際に考えるとなると難しいかもしれませんが、色々企画頂ければと思います。
(パシフィックコンサルタンツ 寺田悟)
毎号の特集と比べてページ数が少ないのは残念な気がした。分野別のトピックスが各分野1ページづつあっても良いのではないだろうか?また、「2005年の主な出来事」「土木関連の出来事」「学会の動き」の3つが個別に時系列表示されているが、ひとつにまとめた方が読みやすいのではないかと思った。また、紙面の都合からと思われるが「土木関連の出来事」の活字が小さく読むのが困難であった。来年度以降、ページ数が増えることを期待する。
(東京急行電鉄 永持 理)
編集委員会からの回答
貴重なご意見ありがとうございます。現在、編集委員会が新体制に移行する中で、全体構成も見直ししています。ご意見参考にさせて頂きます。 |
最近、就職活動をしていて作業着をこの数年の間で変えたという話を、偶然にも数回聞くことがありました。きれいな服を着ると男であっても気分良くなるものだと思います。しかし、あくまで作業員の安全を第一に取り組んでもらいたいです。
(長崎大学大学院 冨永昌伸)
安全保護具について良いものを提供しているシバタ工業さんに文句はありませんが、この取材の内容に興味がなく、また、土木学会誌にそぐわないテーマだと思いました。
((株)5Doors’ 堀 与志男)
一番身近な材料である鉄について、非常に丁寧な取材とシニア、ジュニアそれぞれの視点からのレポートを興味深く読ませていただきました。ぜひ、続編が掲載されることを期待しています。個人的には、全国で計画・展開されている製鉄所跡地の臨海部開発が、「金太郎飴」になることなく、製鉄所の歴史と同じくらいの時間をかけて地域に溶け込むものになっていくことが大事かなと感じています。
(匿名希望)
今年の豪雪について、多くの報道等がなされている中で、このように気象庁、消防庁、国土交通省、地方自治体等の様々なデータを一介に取りまとめていただいたのは非常に貴重なものであると感謝しております。特に問題となった高齢者など弱者に対する除雪については、某市では毎年除雪ボランティアを募集して、各家庭を除雪して回るという取り組みも行われています。他の地域でも色々な取り組みがなされていると思われ、各地域の自助・共助、そして公助の防雪対策を防災雪氷研究などの横のつながりを持つ取り組みの中で交流交換し、地域住民に広めることも重要だと考えます。
(前田建設工業(株) 島村亜紀子)
新潟県津南町の集落の道は急で幅狭く、人を寄せ付けぬような感じであるが、そのことによりかえって素朴で美しい姿が保たれている貴重な場所である。今回の大雪に対する行政の反応は遅く、除雪作業を早い段階で取り組めば犠牲を出さずに済んだのではないかと思うと残念である。便利さや質の向上のための公共工事も意義はあるが、最低限の安全を確保するための工事は無論優先されるべきであろうと考える。
(匿名希望)
この冬の豪雪がいかに例年と比較して記録的だったのかをあらためてこの記事を読んで理解できました。防災教育の充実やライフラインの確保など今回の被害で明らかになった課題を今後に活かしていくことが重要だと感じました。
(関西電力 小坂馨太)
ODAによる水道事業の取り組みを柱に、モンゴル国の周辺事情も書かれており、楽しく読ませていただきました。日本のODAの取り組みがモンゴルで広く知られているとあり、何も知らない一日本人としては意外な印象を受けました。発展途上国の手助けとして土木分野が果たせる役割は数多くあると思います。今後もこのような取り組みを通じて多くの国と交流を深めていければ良いと感じました。
(関西電力 小坂馨太)
土木遺産めぐりをするのが好きで、各誌の土木構造物の紹介記事を読むことが多いのですが、今回の記事は学術的な鉄筋コンクリートの分析調査までしてあり、非常に興味深く読ませていただき、自分の勉強にもなりました。ありがとうございました。
(前田建設工業(株) 島村亜紀子)
愛媛の山中に人知れず様々な美しい橋梁がかかっていることを初めて知りました。最近多忙のせいか、旅
行と言うと温泉と考えがちですが、地域的・歴史的に興味深い背景をもつ土木遺産めぐりも是非してみたい
と思いました。それらの橋梁の設計者等は不明とのことですが、設計も施工も実績の積み上げが少ない当時、写真で見てもそのディテールに目を奪われる橋梁を果たしてどのくらいの時間をかけて造り上げていったのでしょうか。
効率性一辺倒の時代ですが、こうした先人たちの構造物を目に焼きつけ、一工夫のある構造物を後世に残していきたいと思いました。
(東京急行電鉄 関 聡史)
愛媛県にこれほど数多くの古くて珍しい橋があることをこの記事を読んで初めて知った。人々の生活が、それだけ急峻な地形で営まれていたということなのだろう。石鎚山が近いので、信仰の理由から架けられた橋もあるのかもしれない。大宮橋は80年前に架けられた橋だが、そのディテールは現代でも十分通用する美しいものである。現在我々が架設している橋も、未来の人々は美しいと思ってくれるのだろうか? 橋梁に限らず、土木構造物は人の一生より長く生きる、地域のシンボルであるものが多い。土木技術者として、後世の人々に少しでもよいものを残していきたいと思う。
(東京都水道局 粟本太朗)
持続可能性が様々なところで論じられるようになっていますが、リンゴの中国輸出の話が、持続可能な強
い地域の創出という話につながっているとは、思いもよりませんでした。
また、今回のリンゴの輸出が、ロジスティックスの研究に端を発して成功をおさめたという事柄は非常に興味深いものがありました。
これまで、農業から工業、建設業そしてサービス業へと移り変わってきたわが国の就労人口構成は、再び大きく変わりゆく時代を迎えていると思います。
様々な分野で広く発展してきた土木技術が、例えば人間の活力の源で
ある「食」にかかわる農業へと再び活かしていく必要があると思いますし、その日も近いと感じています。記事を読んでいるうちに、なんだかリンゴの匂いがしてきました。そんな生き生きとした記事を今後も楽しみにしています。
(東京急行電鉄 関 聡史)
中国や香港などの裕福層の人々は、農産品の品質、安全性に対する意識が高く、これらのことに費やす金は惜しまないようです。「りんご」を使った攻めの農業は、我々土木に携わる人間にもいろいろなヒントを与えてくれました。建設に関しても確かにコストのみの勝負ではアジア諸国に対して明らかに分が悪いと言わざるを得ません。建設分野でも安全や環境あるいは運用のノウハウや管理方法というキーワードで
付加価値を高めていくことが必要と感じました。
(五洋建設 五月女 洋)
日本人でもなかなか口にしない高級りんご「陸奥」を中国北京に輸出し、完売を果たしたとの記事を読んで認識を新たにしました。記事を読むと「完売」と表現されていますが、どの程度の量を何回くらい出荷した結果が気になりました。また、この活動が今後とも持続可能と見ていらっしゃるのでしょうか。記事の中で中国はりんご生産大国で「ふじ」が中心ということですが、今回輸出した「陸奥」なども将来中国で大量に生産されるようになるということは無いのかなども気になりました。
(東京ガス 飯村正一)
日本人なのだから国産のものが一番口に合うのは当然なのかもしれぬが、その原則を超えても日本のあらゆる農産物は美味い思う。百貨店の物産展は盛況するし、都内のアンテナショップは注目され客の入りも上々だと聞く。地域の宝として、今後は海外に向けて積極的にアピールすることは国内農業全体が盛り上がり、高い技術の継承に有効である。
(匿名希望)
セーフガード発動に対して特別関税といった、弱点を保護する考えではなく、高い技術力に支えられた競争力のあるモノで勝負するのは、このような農産物輸出の例だけでなく、国内における都市と地方の均衡ある
国土開発にも適応できる考え方だと思った。土木と直接関係のない分野においても、このように地方の強みを活かす方策を土木技術者の方が考えていることを知り大変心強く感じた。
(東京急行電鉄 永持 理)
青森のリンゴを中国に高級品として輸出したという話は聞いた事があったが、これに土木の方が深く関わっていたとは知らず、大変興味深かった。単に技術面からの断片的な支援のみではなく、トータルシステムとして成立するレベルまでコーディネートした点が、成功の一番の要因であったのではないかと思いました。技術は単に手段であり目的ではなく、目的達成のために相手や対象にあわせ、自分の専門を自在に応用していくという姿勢の重要性を改めて認識させられました。
(三菱総合研究所 中條覚)
三回にわたった連載、面白かったです。アフリカで撮った写真の木村先生が、現在の写真と全然違う顔をしていて、サハラ砂漠の自転車旅行の激しさが伝わってきました。土木とはあまり関係のない記事なのかもしれませんが、こういった記事を今後も続けて欲しいと思います。
((株)きぃすとん 川口美智久)
編集委員会からの回答
編集委員会回答 永持理さん(東急電鉄)・川口美智久さん(きぃすとん):
前向きのご意見どうもありがとうございます。ただ、ご意見の中でお二人とも「土木と関係ない」という表現をなさっていらっしゃいますが、私はむしろ大いに関係していると思います。人々の豊かな暮らしの基礎にかかわるようなハードやソフトは、そもそもみんな「社会基盤」ですから、本来的には私たちが積極
的に貢献してしかるべき領域だと思います。ただ、私たちの能力や歴史的事情から、「まだ十分貢献できないでいる」にすぎません。ですから、記事で取り上げた、地域資源の価値の再発見も、未開地の旅も、すべて私たちの分野の一端といえるのではないでしょうか。会誌では、今後も「土木」の範囲を、未来に向けてもっともっと広く捉えていきたいと思います。応援の方、よろしくお願いします。
家田仁(5月までの編集委員長)
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今回もたいへん面白く読ませていただいた。砂漠における水の貴重さがよく伝わりました。次号が楽しみです。
(東京ガス 飯村正一)
[付録:土木の日記念行事「首都圏の地震災害を考える」]
防災、減災といった言葉は阪神大震災以来よく耳にするようになり、個々に減災に努める人や地域での取り組みとして行っているところも少なくないだろうと思います。今回の記事の中でおもしろいと感じたのは「3日間休み」で、あとのことは、予測被害状況は地域によって異なるものとして、これまで聞いてきたものとたいした違いはないように感じました。ということは、専門家の方々の間では防災、減災への取り組みについてある程度の道筋が固まっており、今後はそれをどう普及させていくのかを考えていかなければならないのではないか、と感じました。専門家として議論を進めることも重要だとは思いますが、議論の間に被災し、救えなかった人々が生まれてはやりきれない思いになるのではないかと思います。住民同士のコミュニケーションが希薄になっている現在の状況を踏まえて、どう防災意識を高めていくかを手探りでも探っていかなければならないと思います。
(北海道大学大学院 杉原卓治)
今回は、全般の意見として。
A. P2〜P5の写真とP54〜P57の写真を比較すると前者の方が迫力に欠ける感じがいたします。撮影写真の焦点と濃淡からくるのではと感じます。雪に凹凸(影)を与えるのは、迫力を与えるかと感じました。P5の豪雪状況と小学生お見舞い文集で前者を小さくして、後者がもう少し大きくしたらと下手の考えをしました。
B. 鉄道の事故問題について、原因は強風によるものと1行だけ(P16・12行目)書いてありますが、マスコミの圧迫に負けることなく専門誌の主張を堂々と述べ合って初めて、本当の事故に近づけるのではと思います。(シビルエンジニアとはそんなもの)こんな事から昔のレールを眺めたとき、曲線の内側線路の内側に脱線止めのレールが設置してあったように感じました。(専門外ですが)自分の守備範囲だけで掘ることも必要ですが、やはり宗教で感ずる「無」の世界からの眺めも大切かと感じました。
C.個人的見解の以外に他人の考え付かない言葉を例えば「犬も歩けば、棒にあたる」事故とは、守備範囲からの眺めが尊いけれど、他人の意見も取り入れるところに本当の道が開けるように感じます。数のマジックから外れる事が本当の道に近づけると思います。
D.P35の8月29日:12月の写真は迫力不足:P38の地下施設イメージ図は立体感が少ないと感じました。
E.P43:44の現場と長靴・保安帽 私は事故から見ると、機能的には必要でも靴が現場の雰囲気に治まることがと考えます。
全体として読みよい活字の大きさ、改行の間隔がつい目が次に進む感じがします。本当にご苦労様です。頑張ってください。
(遠藤 隆夫)
談合問題や公共工事のあり方などのテーマについても,鉄道の安全システムの記事と同様に,批判的・否定的な人々を含めて,様々な分野の人の意見を載せるようにして下さい。
((株)シー・ティー・ジャパン 増川淳二)
これからもがんばってください。
(北海道大学大学院 杉原卓治)
土木学会誌は私個人的にですが、直接仕事で興味を惹くような記事が全般的に少ないと思います。学会員いや多くの土木に携わる者にとって、学会誌は他の土木関連の専門誌のように、若い技術者にも広く興味を惹く題材を盛り込んだほうがいいのではないでしょうか。
(名工建設(株) 大橋敏章)
2005年を振り返ると列車脱線事故が社会的にも今後の土木のあり方を考えさせられる事件だったと思います。その事件を冒頭にもってきて振り返ることはとても大事なころであると思いました。今後もこれらの事件を忘れていくことなく、今後の学会誌でも取り上げて欲しいと思います。
(長崎大学大学院 冨永昌伸)
特集:鉄道の安全システムを問いただす」は旬な話題で大変良いが、この手の記事は今回のように大半が文章となることが予測されるので、カラーページに組まなくても良いと思います。(もったいないので白黒か2色刷りで十分)また、巻末の行事予定は開催日の時系列で並べた方が読みやすいのでは?
((株)5Doors’ 堀 与志男)
Copyright 1996-2005 Journal of the Society of Civil Engineers