土木学会誌6月号モニター回答
半年ほど前に書いたコメントですが、どこからも反応が無いので今回は意見として書きます。学会誌の記事に”カバーストーリー(CS)”というジャンルがあり、編集委員会の定義によれば「開業、開通などに合わせて時宜を得た内容を写真を中心に紹介する」となっています。しかし、辞書に書かれてあるCover Storyの意味は「表紙絵に関連した特集記事・目玉記事」となっています。私も今まではそのように理解しており、他の多くの雑誌ではそのような扱いをしています。しかるに学会誌のCSは表紙とは何の関係もないので毎号おかしな気分になります。例えば6月号のCSは「SCCダム工法」に対して表紙写真はアメリカの自然豊かな国立公園です。上記の定義でCSを掲載するとしたら、そのジャンルは、なんだか訳の分からないカバーストーリーよりも、ニュース、トピック、話題などの言葉の方がずっとすっきりすると思います。ご検討下さい。
(正会員 石塚敬之)
【編集委員会からの回答】
「Cover Story」は、会員の皆様へ即時性の高いニュースをビジュアルにお伝えするという主旨のもとで企画をして参りました。前回いただいた指摘も踏まえ、編集委員会内部でも「Cover Story」の名称について、現在も検討を行っております。見解がまとまりました段階で、回答させていただきますので、もうしばらくお待ちくださいますよう、お願いいたします。
土木という世界がものづくりを行っている以上、どんな現場にも大なり小なりプロジェクトXは存在します。そうした世界だけを見せていれば、子供たちにも土木に対する夢や希望を与えることはできると思います。
しかし、出来上がったものが「無駄」とか「不正」呼ばれてしまい、それにたいして明確な反論を示せないのであれば、彼らが高校、大学と進んだときには土木への興味は薄れてしまうでしょう。
土木という世界の評判が悪い昨今、子供たちへのメッセージだけでなく、大人たちへのメッセージもしっかりと発信していく必要があると思います。
(所属:東京都 氏名:大崎 啓史 )
他の学会(建築学会)との共同企画であり、土木の世界を外から見てみる意味で非常に意義深く画期的であった。準備が大変だとは思うのですが、今後も年に1回くらいはこうした試みがあるとおもしろいと思いました。
一方、今回の企画については、40名の多彩な方が提言を書いており大変読み応えがあったが、内容から察すると、企画の趣旨は「子供たちに土木・建築の世界を知ってもらうために学会員(作者自身を含む)が何をすべきか」を提言することとなっており、「子供たちへのメッセージ」というタイトルに違和感を感じた。企画の趣旨を明確とするために、もうすこし企画タイトルについて趣旨を明確に表すものにしてもよかったのではないか。
また、提言のあとには「土木関連記事」が掲載されていたが、同じ並びで「建築関連記事」が存在したのであれば、他者の取り組みを知る上で、こちらもあわせて土木学会誌に記載してもよかったのではないか。
(三菱総合研究所 中條覚 )
私の子供もこの6月に2歳になりました。これからの社会を担っていく子供たちに向けた皆さんのメッセージを興味深く拝読しました。「狭い道路、小さな敷地と建物がつくる日本のまちのよさを知ってもらう」というメッセージの中で、広い道路、広い家が果たして日本の目指すべきところなのかとの問題提起をされていました。
特に人口の密集する都市部では、個々の場はある程度限られたとしても、公共の場やツールを積極的に活用することで環境への負荷を大きく軽減することと快適な生活が十分両立できるのではないかと思いました。土木・建築技術の発展に加え、やはり日本の街のありかたをどうするのかという思想を十分に議論することが大切であると改めて感じました。
前回の土木学会誌と建築雑誌の合同企画も非常に新鮮な印象を受けた覚えがあります。今後とも合同企画を是非お願いしたいと思います。
(東京急行電鉄 関 聡史)
当事務所では、平成17年3月、構内に「バリアフリー体験歩道」を整備し、将来の社会を担う小学生たちに、総合学習の一環として車椅子体験、視覚障害者体験を、主にクラス単位で行っていただいています。当事務所の職員が各小学校に出向いてPRに努めた結果、昨年度一年間で8クラス243名の利用があり、その他、イベン
ト時などの152名を合わせて395名の小学生の利用がありました。今年度も既に2クラス79名の小学生たちが体験を実施しています。このような取り組みが、社会資本整備に対する子どもたちの興味と理解を高める一助になることを願っています。
(国土交通省中部技術事務所 安田佳哉)
今回は、土木、建築の世界で長く活躍されている方が、子どもたちに理解してもらううえで、社会に対して不満に思っていることをお話しされていました。皆さん共通の意見として、小さい頃から身近に感じてもらおうとのことでしたが、その方法を考えるのであれば、こうした学会内で話し合いを持つよりも、土木に関して知見のない方の意見を聞くことがより重要なのではないかと感じました。学会内での話し合いでは、どうしてもスタートラインが高くなってしまい、当たり前だと思っていることが社会では当たり前ではないということが多くあるのではないかと思いました。その違いが認識できれば、皆さんの考えがより伝わりやすくなるのではないでしょうか。
(北海道大学大学院 森木 翼)
この記事は、まず土木・建築の共同企画であることから興味深く読ませていただきました。私は、元来、土木と建築の発想を融合するときっと良い物が生まれると考えてきたこともあり、こういった企画を待ち望んでいたところです。また、ちょうど今、土木学会の支部活動で、総合学習(出前教育)について準備を進めているところでしたので、ここに記載されている各界の方のメッセージを念頭に置きながら、魅力ある業界をPRすべく小中学校を訪問したいと思います。
(鹿島建設 渡辺幹広)
日本は驚くべきスピードで高い技術力をもって社会資本を整備してゆき、今の生活があるのだと子供達に伝えて欲しいと思いました。記事にもありますが、優秀な土木技術者のたちの生き様を紹介を通じて日本に生まれたことを誇りに思ってほしいと思います。
(長崎大学大学院 冨永 昌伸)
私事になるが一昨年、初めて子供をもった親として、自分の子供にどのように自分の仕事を伝えるのか、また伝えたいのか考えさせられる企画であった。また、この企画で以前、私がバングラデッシュにおける日本のODAで建設された道路橋梁が地域社会に暮らす住民、特に貧困層に相当する人々への生活環境にどのように貢献しているかアンケート調査を行ったことを思い出した。川で分断されていた地域に道路橋梁が建設され、病院や学校へ容易に行くことが可能となり、インフラ整備が貧困層と呼ばれる地域の人々の生活向上に貢献していることを定量的に、かつ肌で実感することができた。言うまでもなく、インフラ整備は、人々は安全に快適で安心した生活を営むための根幹設備であるが、先進国では、インフラ整備完成後、その恩恵を享受すると、あってあたりまえの存在となり、感謝する人は少ないように思える。一方、発展途上国のバングラデッシュでは、供用から10年以上たった道路橋梁に対し、非常に強い感謝の心をもっていた。また、嬉しいことにその橋梁を日本が建設したということを地域住民のほとんどが認識していた。道路や橋梁といったインフラ整備が大勢の方々の役に立っているというあたりまえのことを感謝し素直に感動できる心を自分の子供達に伝えていきたい。
(首都高速道路(株) 湯田坂幸彦)
以前、道路の設計を担当していたことがある。当時は、記憶に残る道路をつくりたいと思っていた。例えば、若い男女がこの道路の上で出会い、恋人となり、そして結ばれる。2人の思い出話の中にはいつもこの道路の景色がある。そんなドラマに相応しい、風景の一部としての道路をつくりたい。こんなことを考えていた気がする。
年齢と経験を重ねた今は、設計基準・積算基準通りになっているかしか考えていない気がする。残念ながら基準類の中には夢は入っていない。土木の目的とはなんだろうか?もう一度原点に戻って考えてみようと思う、そんな特集でした。
(東京都水道局 粟本 太朗)
土木と建築とは、基本的に異なります。土木は自然に合わせる努力。建築は本人の意思を主体に自然をあわせる学問です。記事の内容が、全体的に学問が主体の考え方になり、現状マスコミが建築構造物を非難する騒ぎと同じレベルの論争のように聞こえます。人間とは、自然に調和しながら生かされている動物であり、ああであるべきだ、こうであるべきだと注文つけるから、自己判断が出来ない人間になり、「指示まち人間」をつくります。いわれた通りのことしか出来ない、自然にする反応力を剥奪しされた無能力人間となってしまいます。動物は食物について可食品物であるか、自分で判断する能力を持っています。自然が身に付けさせたものと思います。訓練は末端の訓練でなく基本的には体力と本能的の判断力を養成することが必要だと感じます。この住環境教育も体力と人間本来の判断能力を与える訓練が必要かと感じました。横文字については、編集者で注をつけて頂ければ有難い。
P10:コラボレーションとアンビバレントが判りません。
人間は、教育される人間から、成人になるための期間(13〜20才)までの判断養成期間を現在のその親たちが、放置して自己判断力を剥奪したためにこんな世界になってしまったように思います。
(遠藤 隆夫)
次世代を担う子どもたちに少しでも土木・建築の分野に興味を持ってもらい、分野に夢をもってもらうためにはどうしたら良いかについて、土木・建築・教育の立場から座談会が進められていました。その結論として子どもの教育において”思い”を伝えることとありました。しかし私は、”思い”の他に『学問の繋がり』を伝えることも重要であると感じています。それは、日々の生活や暮らし(土木分野)の中で疑問に思うことの解答を導く鍵が数学と密接に関係している。さらには、水の動き、人の動きも数学(モデル)によって表現される。このように、中学・高校時代に数学・社会・土木の繋がりを明確に意識できていれば、数学の学習意欲と土木分野への興味の程度
は大きく異なっていただろうと感じることがあるからです。土木・建築分野に夢を抱かせるためには、学校で学んでいる、若しくは自分が取り組んだことが、活かされる場があることを実感させることが重要だと思います。今回の座談会でも子どもの教育の重要性が認識されているので、いかに土木・建築分野の”思い”と”学問の繋がり”を伝えていくかについて、多くの意見を取り入れながら、継続的に検討を進めて頂きたいと思います。
((株)オリエンタルコンサルタンツ 尾高慎二)
40人のメッセージを載せて、できるだけ多くの色々な視点を紹介する試みは良いなと思いました。ただ、1人1人のメッセージの文字数が多く、文字が小さく、内容が盛りだくさん過ぎるため、読んでいて自分の中で内容を消化することができませんでした。1人1人の文章の量を削る、あるいは、紹介する人数を削る等をした方が、読みやすく伝わりやすくなるのではと感じました。
(パシフィックコンサルタンツ(株) 寺田 悟)
私個人の変な先入観が原因かもしれないが、建築は、自分達の仕事の素晴らしさの内容を説明している方
が多いのに対して、土木は自分達の仕事の素晴らしさを子供達へ伝える手法を提言している方が多いように
感じた。
これは、大学入試の合格最低点や学校内での進学振り分けを見ても明らかなように、建築に比べて土木の方が人材確保の面で危機に面していることの現れだと思う。
そのような状況の中で、土木の数名の方が提言している「子供達に土木のことを教える前に、教師に土木のことをわかってもらう必要がある」には全くもって同感である。過去に小学生を対象にした見学会を行なった際にも、教師が子供達以上に土木のことを聞いて驚いている光景を目の当たりにし、我々の仕事は一般には全く理解されていないと感じたことを思い出した。
社会科の授業の一環として土木に触れる機会が多いと思われるが、文系の学校を卒業した教師が指導する
ことが多いので、教師の知識不足は当然の成り行きと思われる。今後、教師の研修会などに切り込んで、教
師の方々に土木の必要性・重要性・かっこ良さを伝えていけば、即効性は無いが、長期的には良い人材確保
に結びつくと思った。
最後になるが、多くの方の素晴らしい意見を載せた「40人の提言」の企画が、紙面の都合からか、文字が小さくて読みにくかったのが、残念であった。
(東京急行電鉄 永持 理)
森田正光氏へのインタビューは、気象の素人が亜熱帯化を理解するのに大変役立つ記事であった。とくに閾値の設定の話は、自然現象だけでなく社会現象も含めた条件設定が計画・設計の基礎となる土木技術に携わる者にとって重たい問いかけである。
ただ、特集全体としては亜熱帯化に対し、技術的にどのように対応するかという論調であり、亜熱帯化そのものを抑制もしくはその進行を遅延させるという視点から、国内における社会基盤整備のありかたやODAへの関わり方について言及された内容が加わればより充実した特集になったのではないでしょうか。EDITER’S NOTE になぞらえば、カエルとしては釜と水は選べないとしても薪のくべ方や差し水の工夫は早めに考えておくべきでしょう。
(阪神高速道路(株) 磯崎弘治)
内容は読みませんが46億年に対して3回の大変動がありました。今の温暖化についてはなにを考えるのか、根本は人類の増加が最大の問題だと思います。日本では少子化対策を盛んに騒ぎますが、問題点が違っているのではないでしょうか。人類を如何に減少させるかに視点を置いての論議が必要だと思います。そこに亜熱帯問題もあり、答えとなると思います。
(遠藤隆夫)
近年起きている異常気象に関していろいろな現象に触れられていて大変参考になりました。台風の上陸は太平洋高気圧によって決まり、日本が増えた年は周辺の国々ではその分減っていることなど興味深く読みました。周辺国として、中国、フィリピン、台湾を挙げていましたが、もう少し詳しい分類と過去に遡っての情報なども知りたくなりました。
(匿名希望)
「最近の気候はおかしい」と、自分も含め多くの人が感じている昨今、「災害がますます増えるのでは?」「生活に様々な支障が出てくるのでは?」等、今後の地球に不安を感じずにはいられません。
こうした環境の変化をいかに考慮して、これからの住みよい環境づくりを考えていくかが、私たち土木技術者の重要な責務であると感じました。これまでに培ってきた社会基盤の計画論についても、近年の環境の変化を踏まえた根本的な見直しが必要な時期に来ているだと思います。ミクロ的な対策の積み重ねも大切ですが、日本全体、地球全体の状況を考慮したマクロ的視点による対策が急がれると思います。
特集によって、「気候」という視点からマクロ的視点で物事を見ることの重要性、私たちが今後何をすべきかを再認識することが出来、大変有意義な特集であったと思います。特に、特集1として気象予報士の森田さんのインタビューが配され、土木の視点に偏らずより広い視点での特集の組み方になっていたことが良かったと思います。
((株)オリエンタルコンサルタンツ 長尾 一輝)
私が住んでいる長崎をはじめ今年は九州各地で大雨が降っており、災害も報告されています。近年のテレビによる災害の報道を見ていると、一日大雨が降っただけでいろいろと心配になります。人間がもたらした異常気象と真正面からぶつかって、あらゆる災害に対応できるシステムを急いで作成する必要があると思いました。
(長崎大学大学院 冨永 昌伸)
近年、中国からの黄砂により車が汚れるなど身近に実感できる異常現象が発生している。以前、訪れたことのあるネパールでは森林の伐採がひどく、丘陵地などで伐採による土砂崩れ等も発生していた。現在、日本を始め先進国では、地球温暖化防止に向け、様々な取り組みが積極的に行われているが、途上国では、経済発展を優先するため、積極的な取り組みは見受けられない。この地球規模の気象変動を止めるために日本がリーダーシップを発揮し、日本の技術やノウハウを生かした国際協力をすることが必要だと感じた。
(首都高速道路(株) 湯田坂幸彦)
編集後記にあるとおり、「特に意識した取り組みはしていない」というのが、多くの土木関係者の本音であると思う。しかしながら、確実に気象は変化している中で、100年150年もち続けるモノを造ろうとする土木の分野においては、気がつかない振りをして見過ごし続けることは出来ないと思う。
「亜熱帯化しないための予防策」
と「亜熱帯化した環境に耐えうるモノにする対応策」の両方が必要であると思う。ただ、予防策の方は環境問題への注目度が高まる中で、屋上緑化等の方策が始められているが、焼け石に水の感は否めないと思う。
杞憂に過ぎないかもしれないが、亜熱帯化が土木技術に与える影響を検討して必要に応じて対策を施す必要があると思う。特集では、温度がコンクリートに与える影響について記されていたが、他にも熱がメタルに与える影響や紫外線が塗装に与える影響など様々な土木技術に与える影響があると思われる。
この特集を機会に、無駄になることを願いながらも保険の為に、気象が土木技術に与える影響に関する検討が進むことを期待します。
(東京急行電鉄 永持 理 )
年々、私にとっても「記録的」や「異常気象」という言葉を耳にする機会が益々増えており、非常に興味を覚えた記事でした。気象の専門家である森田さんのお話を読ませていただき、"やはり温度上昇は続いているんだ、2010年ぐらいには40℃の日も訪れるんだ"と聞かされると、益々住み難い世の中になってしまうと思い非常に残念です。しかしながら、現在の統計に使用される期間(年代)は今回のデータもそうですが、だいたい現在から100年前ぐらいまでのデータに基づいたものであり、それ以前のデータはほとんどない状態かと思います。そのような中、"鎌倉時代には今と同じか今より温度が高かったのではないか"と本記事で述べられていることから、やはり200年以上も前の状況になると誰もはっきりとは判らないわけです。地球の歴史が46億年とも言われていますが、高々100年間の状況だけで全体を判断するほうがムリであるかもしれません。ただ、最近は「メソ気象」が注目されており、直前の気象状況を予測することによって、人が事前に危険を回避することができるわけですから、やはり土木業界と気象業界の垣根を低くし、より良い連携がとれれば、人々の暮らしは更に安全になるわけであり、まだまだ土木屋(civil engineer:文明をつくり込む技術者)の出番はたくさんあるかと思いました。
(前田建設工業(株) 赤坂 幸雄)
記事を読んで、日本における取り組みが、米国、欧州、韓国などよりも遅れていることを知り、がっかりすると同時に腹立たしさを覚えた。日本の主要産業である自動車に関わる付随技術であろうし、国は道路管理者に諸外国に負けない対策を推進するよう促すと同時に、国の研究機関でも対策研究に力を入れるべきであると思う。諸外国に較べて、際立って高い高速道路料金を支払わされているのであるから、安全面でやれることは最優先で実施して欲しいものである。
(匿名希望)
実務で交通事故対策に携わっていますが、「道路」面からみた対策として一般的に挙げられるのは、減速路面標示や道路照明、振動ライン等といった事故を「起こさせない」対策です。本稿で述べられている、緩衝装置に代表される事故を「起こしてしまった人を救う」対策にはなかなか目が向けられていないのが現状だと思います。しかし、「人に優しい道路」を考えていくにあたり、こうしたアプローチは重要だと感じました。交通安全を確保するための3視点「人」「車」「道路」のうち、「道路」面からの対策として、事故を「起こさせない」対策のみでは限界があると思います。ヒューマンエラーが交通事故の大きな要因であり、それが起こってしまった場合に被害を最小限に食い止められるような道路とすることが「人に優しい道路」に近づくと思います。完成度の高い緩衝装置の開発には多額の資金が必要となります。「道路」面からの交通事故対策として、まずは低コストの対策を行うという考え方が一般的な現状としては、導入面で難しい面もあると思いますが、死亡事故防止のための高度な対策の必要性を明確に示し、死傷事故率の高い区間への優先的な導入等、積極的に開発、導入していくことが望まれると思います。
((株)オリエンタルコンサルタンツ 長尾 一輝)
道路の整備によって我々は短時間で目的地へ到着することが可能になった一方で、安全面のより一層の向上が求められています。この話題は緩衝装置で命を救おうという内容で、昨今日本で減少しつつある交通事故死者数をさらに後押しする施策と感じました。確かに多額の資金がかかりますし、時間もかかると思われますが、地道な安全への取り組みによってこそ助かる命は増えるのではないかと感じました。
(関西電力 小坂馨太)
「道の駅」が国土交通省のヒット商品であることは間違いない。四国内でも現在70以上の「道の駅」があり、それぞれに地場ならではの特徴があり、ドライバーだけではなく、産直市などは多くの地元住民も利用している。本記事では、「道の駅」の実現、発展のための活動が分かりやすく説明されており、「道の駅」が簡単に誕生してきたものではないことがよくわかった。特に、「道の駅」の原点は、ドライバーのためのドライブインという発想だけではなく、地域で生活する人々の交流や地域活性のための施設であるといった内容は印象深かった。また、最近の「道の駅」が売り上げや利用者数にとらわれすぎているという苦言もあり、「道の駅」が今後さらに発展するためにはもう少しだけ知恵が必要かもしれない。
(高知高専 横井克則)
情熱を持ち真摯に仕事に取り組む諸先輩が毎回取り上げられており、読むと大変勇気づけられる記事で毎回楽しみにしています。以前好んでみていたTV番組の「プロジェクトX」に通じるものを感じますが、こちらの番組については、必要以上に担当者を主役にした美談としてまとめているのではないかとの意見もあったと聞いています。世の中の動きは様々な人の貢献が組み合って成り立っているものであり、これを一担当者に焦点をあてて整理し直すことは非常に難しい過程だと思いますが、学会誌のこの記事については、うまくバランスを保ちつつ、記事を継続していただきたいと思います。
(三菱総合研究所 中條覚)
私も、「道の駅」はドライブ途中によく利用させていただいており、すっかり馴染み深いものになりました。
いわゆる道路利用者のためのドライブインの延長かと思っていましたが、その原点はむしろ地域活性化や地域コミュニティの創出であることを知りました。現在では開発途上国の地域振興策としても移出されていることからも今後益々その広がりが期待されます。
一方、「鉄道の駅」の方もここ最近、大きな変貌を遂げています。こちらは、鉄道に乗るために地域の人々は必ずそこを通るということで、もともと「地域の玄関口」としての性格が強かったところに商業や行政サービスなどの機能の集積が始まっています。
本文の中で「道の駅」の課題として売り上げ偏重の施設があることが述べられていましたが、「鉄道の駅」の方もまず第一に地域の顔であることを強く意識し、意匠や配置施設を工夫をすると共に、ゆくゆくは、地域のコミュニティーの創出などの役割を担っていくべきなのではないかと考えています。「道の駅」「鉄道の駅」ともにまだまだ大きなポテンシャルを持っており、これからの展開が楽しみです。
(東京急行電鉄 関 聡史)
私も地方に行くと良く道の駅を良く利用する。そこで食事や物産などを買うのが楽しみで、道の駅があると、特にこれという目的も無いのについ立ち寄ってしまう。多くはその地方、地域の特色が有る物の買い物や食事などを楽しむことができる。しかし、逆のケースも少なからず最近は経験するようになったように感じる。そのようなところは、概して利用者も多くないようである。道の駅に立ち寄ることを、地方を旅する楽しみにしている者にとってたいへん残念なことである。客観的な評価制度などを取り入れ、改善などが行なわれるようになれば、次回旅したときに寄ってみるかということにもなるであろうから、是非ともそのような運用制度を期待したい。
(東京ガス 飯村正一 )
道の駅にはその地域の名産があったり、温泉施設があったりするのでよく立ち寄らせていただいています。その際にお祭りや市場のようなものを開催していたので、地元の交流の場でもあることは認識していましたが、そもそもが地域活性化を目的とした施設で、事前に様々な検討がされていた事を本誌を読んで初めて知りました。今度立ち寄る時には、以前とは変わった視点で道の駅を楽しみたいと思います。
(匿名希望)
車で旅行に出かけると、道の駅を目印に、車の運転をすることが多くあります。今回の記事に目を通して、道の駅の誕生の背景、「地域連携の場」として期待されている役割に気づかされました。日本各地で道の駅ができた現在、今後は、鉄道の駅と同様、駅前や駅周辺を開発・整備し、乗降客が駅で下車し、駅だけでなく周辺に流れていくような仕組みづくりが重要となるのではないかと感じました。
(パシフィックコンサルタンツ(株) 寺田 悟)
いまではなじみのある「道の駅」がどのように誕生したかについて述べられていました。運転の休憩のために利用するのはもちろんのこと、それぞれの「道の駅」ならではの地域の特産物や土産を品定めするのも楽しいものです。この「道の駅」は「地域の活性化」がきっかけとあり、これはその地域の皆さんにとっても、またドライバーにとっても非常に有益なものとなっているのもうなずけます。
(関西電力 小坂馨太)
今回も楽しく読ませていただきました。これで最後ということで非常に残念です。今後もこのような、軽い気持ちで読むことのできる記事を加えていただきたいと思います。そうすれば、より多くの人に学会誌を読んでもらう取っ掛かりになるのではと思います。
(東京ガス 飯村正一)
実は、土木誌の中で一番面白く読ませて頂いているのがこの記事です。記事には実際に体験した人でしか書けないような面白い話、ためになる話がのっていることと、写真もたくさんあってより具体的にアフリカをイメージできるからです。今月号で最終回とは寂しい気もしますが、また、ひょっこり記事を載せてもらえるとまた面白いのではないかと思います。
(長崎大学大学院 冨永昌伸)
毎月、この連載を楽しみにしていたので、今月で終わりというのは、非常に残念である。土木というのは人の生活に一番密接しているため、その国の文化や風習に興味を持ち理解するということは、とても重要だと感じている。某国で交通事故を抑制するため、先進国の援助で人力車専用のレーンを建設していた。その完成後、間もなく人力車の運転手達が専用レーンを壊している現場を実際、見たことがある。私には衝撃な出来事であるが、その国の方々(特に運転手)には、レーンのもつ意味を理解してなかったことと、自分の生活に、マイナスになるという単純な理由であったのかも知れない。もしくは、単純にレーン設置のPR不足だったのかも知れないが、そのような国民性も配慮した支援メニューが必要だと感じた。
(首都高速道路(株) 湯田坂幸彦)
戦後、高度経済成長を経て変貌する都市景観にあって、 高層ビル群の垣間、現代の風景を切り裂いて現れる戦前の息吹。
歴史に彩られたその存在は形而下に止まらず、 それを目の当たりにした刹那、人は土木建築への憧憬に駆られるのではないかと思いました
((独)鉄道・運輸機構 橋本浩史)
土木遺産の選定について、古いものを選ぶことを主眼に選定されていますが、内容を深く掘って、技術を越えた匠の技、これは後世に残す価値があると思いますが、認定したために将来撤去出来ない、かえって癌になるようなものについては、良く判断し決定する事が望ましいと思います。必ず善悪の2方面があるはずのことを理解する事が尊いと思います。
(遠藤隆夫)
半年間モニターを担当し、改めて学会誌とは何かを考えるよい機会を頂いたと思っています。現行のモニター制度ではモニターは半年で交替であり、モニターを担当する(すなわち学会誌についてちょっと考えてみる機会をもらう)学会員を徐々に増やしていくという意味ではちょうどよい期間ではないかと思いました。学会誌を継続的に改善していくためにも良い制度かと思います。今後とも継続的に行っていただければと思います。
一方、モニターとしてコメントを書くに際し、学会誌をまとめあげるのにどれだけ手間暇がかかっているのかが非常に気になりました。特集を決めるのにどのくらい前から議論を始めているのか、取材にはどのくらい人手がかかるのかなど、学会誌のつくり方について紹介する特集が一度あっても良いかと思いました。学会誌を作成する手間をわかってもらえば、取材等の協力ももっと得やすくなるのではないかと思いました。(既にこうした特集を行っているようでしたらご容赦下さい)
(三菱総合研究所 中條覚)
モニターをさせていただいたお陰で土木誌を読む癖がついてしまいました。他の専門誌とは一風変わった編成であるため、とてもおもしろく読ませてもらっています。常に挑戦的な雑誌であって欲しいと思っています。これからも頑張ってください。
(長崎大学大学院 冨永昌伸)
モニターとして、土木学会誌を熟読するようになり、改めて土木という範囲の広さと自分の知識の無さを痛感した。半年間という短い期間であったが、モニター終了後も引き続き、学会誌に目を通し、機会があれば意見等を述べさせて頂きたいと思っている。
(首都高速道路(株) 湯田坂幸彦)
この6ヶ月間、モニター活動を通じて、土木学会誌を過去最高に読み込みました。私もそうでしたが、仕事の忙しさを理由に「積んどく」だけの人が多いと思います。
一人でも多くの方が、このモニターを体験することで、半強制的に土木学会誌を読む癖をつけると良いのではないかと思いました。
半年間ありがとうございました。
(東京急行電鉄 永持 理)
Copyright 1996-2006 Journal of the Society of Civil Engineers