土木学会誌5月号モニター回答
海外リポート 揚子江河口地域発展の起爆剤
国作りに驀進する中国の姿が大変に印象深い。もしかしたら中国の現在の体制は、資本主義と共産主義の中途半端な合体ではなく、両者の長所をうまく取り入れた経済マシーンとなりつつあるのではないか、という印象さえ受けた。
(新日本製鐵(株) 冨永知徳)
現在、国内でも幾つか空港建設の槌音が聞かれている。この記事は大変興味があり、内容に新鮮なものが多く勉強になった。 空港や港湾の事業計画はアジア諸国と日本の間に熾烈なハブ争いがあり、しかも大規模土木事業で工期・費用がかかるため、このような事例はより詳細な技術資料を欲する読者も多いと思われる。ただ、学会誌のこのジャンルで扱われる以上はやむを得ないとは理解した。 写真が多いことがイメージアップを助けるものであった。しかし、河口域にもかかわらず地盤改良が大規模になっていない、干拓事業の成果物として用地造成を達成する、などの工学的内容に関しては図面による説明をお願いしたい。
(鹿島建設梶@中込國喜)
本論は、国際空港建設の大プロジェクトの報告であり興味深かった。おおきなプロジェクトが少なくなるなかで、海外工事の進行考え方の違いも伝わって良かった。リポートのなかで、JICAによる技術協力について簡単に説明されていたものの、もう少し日本とのかかわりについて、現在の関係、今後の展開、展望といった内容を紹介してほしかった。
(電源開発 喜多村雄一)
アジアの空港建設の話を耳にするたびに、日本人としては焦りを感じる。日本の空港の現状を考えれば皆同様に感じるであろう。世界有数の経済都市でありながら、東京の国際空港は遠くて狭い。アジアのハブ空港になる資格なんて到底ない。広大な土地があり、社会主義国家の中国と比較しても、土俵が違うのだから意味はないが、アジアの経済的中心にならんとする志は同じである。何か日本に良い方策はないのだろうか。
(首都高速道路公団 福田朋志)
日本とは違う空港建設の過程が書かれており驚くことが多かった。日本では空港を建設するに当たって住民移転が大きな問題となるが、この場合移転することにより生活レベルが格段に上昇するといった充実した補償がなされたことにより、そのような問題は発生しなかった。これは新聞などでもよく書かれているためか、私の頭の中に空港建設=住民移転問題のような考え方があったので非常に驚いた。しかし移転地区が数kmしか離れていないこと、および移転戸数が少なかったこと等からできたと書かれているように、一般的にはやはり長年住んでいた場所を移転するというのは難しい問題であると思う。
(鳥取大学 飯田奈穂)
この記事で、まず思ったのが、「21世紀はやはり中国の時代か?」ということと、「日本には、将来、アジアのハブ空港となる空港は造れないのか?」ということである。上海浦東国際空港の最終形は、2500haの敷地に、4000m×60mの滑走路をパラレルに4本である。日本では、大都市圏に、このような空港を整備するのは、非常に難しいと思われる。ひとつの案としては、海上のフロート式空港があり、もうひとつは、日本の空港は、アジアのハブにならず、どの空港からもアジアの他国にあるハブ空港に便を結んで、そこから全世界に向かうという手である。考えてみれば、東京〜上海の距離は、たとえば、ニューヨーク〜シカゴ程のスケールでしかないのだ。アメリカでは、ハブ・アンド・スポークという考え方で、どの地方空港からも全米に行けて、しかも旅客を集約するので、非常に安い運賃が実現している。日本の選ぶ道は、果たしてどちらなのか?あくまで、アジアの中心でいたいのか?それとも、利用者のメリットをとるか?これから、もっともっと、真剣に議論がなされていきそうな気がする。そのときには、国民投票などにより、必ずみんなで、決めたいものである。
(日本鉄道建設公団 松田康治)
近年アジア地域での空港整備が進んでいるようです。日本の場合は用地不足、建設費高騰で離発着料も高くなり外国からは敬遠されていると聞き及んでいます。大規模な開発用地がある国はやはり有利なのでしょうか。土木事業の特色についても用地確保方法などで自然の力を利用する奇抜なアイデアを用いている点に興味を覚えるとともに、大胆な発想に感心しました。拠点空港の整備もさることながら、海外の発展に負けないよう、日本の都市も独自色を発揮するような都市整備が必要でしょう。新興都市に比べて既存都市の開発にあたっては難点が多いと思いますが、さらなる発展を目指して頑張っていきたいものです。
(本州四国連絡橋公団 林 昌弘)
著しい発展を続ける上海についての記事であり,これ自体非常に意味のあるものと考えられる.そのなかで,特に私の目を引いたのが,「スムーズな住民移転のカラクリ」や「すさまじい建設スピード」といった中国ならではの状況である.例えば,工事用道路を整備せず水運を採用することが述べられているが,中国は古くは"南船北馬"であったことは知られているものの,自動車交通が発達した現在においても,その地にあった方法が生き残って採用され続けていることは,興味深いものであった。
(港湾技術研究所 システム研究室 赤倉康寛)
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