土木学会誌5月号モニター回答

この本 日本人はなぜ英語ができないか

 国際社会において先進国となった日本の立場は、他国文化を吸収しようとする「受信」の時代から、超大国として世界へ「発信」する時代に移行したとある。その間、さしたる改革を行わなかった結果、日本の英語教育方法が時代に取り残されたと言うことか。 しかし、こと「発信」と言っても様々な方法がある。論文形式で世界に情報発信する方法を取るのであれば、今までの英語教育でも十分補えるのではないか。  国際会議などに参加した時、感じることは、日本人はなぜ日本人同士で固まるのかと言うことである。パーティー会場で隅っこで固まって日本語で会話している人達を見ると、何やら得体の知れない集団に見えてしまう。皆が皆、紺色のスーツを着ていることもその効果を高めている。外の人々から見ると我々は皆日本人であって、田中さんや佐藤さん等、個人とは認識されていないらしい。そんな不思議で不気味な日本人の「発信」する情報を彼らが素直に「受信」するだろうか?  日本人が先ずしなければならないことは、個人レベルでの信頼を得ること、つまりコミュニケーションを活発に行うこと。彼らの前でもっと自我を出すことではないだろうか。多種多様な人種と交わる場合、わがままなくらいの自己主張が丁度いい。個人の考え方や価値感を相手に説明し、信用を得た後の情報「発信」でなければ受け手側の受信機能が適切に作動しないだろう。
((株)大林組 後藤嘉夫)

 読解中心の英語力ではなく、日本の技術を他の国に説明するための英語を身につけることがこれからの技術者にとって必要である、と最後に記してある。しかし、これは既に明らかなことであり、もう一歩踏み込んでどうすればそれが実現するのかを示してほしかった。
(国際協力事業団社会開発調査部社会開発調査第1課 小野智広)

この記事で、特に注目したのは、日本人が英語が出来ないのは、文明開化以後、欧米諸国に対して受身の姿勢で、何かを学び取ることが主であったから、ということである。それが、英語の学習方法や表現方法にも如実に表れており、英文を読解したり、英語での話を聞き取ったりすることに重点が置かれて、自分の考えを相手に積極的に伝えることが出来ないというのだ。そこで、今日のように、技術力や経済力の点で欧米諸国に引けを取らないというより、むしろ優っている国家に成長した日本が、それを積極的に発信していく番ということだ。このような考えに基づけば、英語の学習法も根本的に違ってきて、英語の「出来る」日本人が増えていきそうな気がする。私自身あまり得意でないので、是非そのような人々が増えてほしいと願う。昨今、小学1年生から、英語を楽しく学べる時間を取り入れていくという話題もある中で、タイムリーであったと思う。
(日本鉄道建設公団 松田康治)
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