近代土木遺産の再評価は、客観的に行わなければならないということが文章から読み取ることが出来た。同時に、再評価を行うために評価項目を数多く設定されていることより、客観的な評価には、困難が伴うことがわかった。
地域の個性に対する配慮をするために、これから作られる土木構造物に対しても常に再評価が求められている。しかしながら、評価する人によって評価結果に多少の差異が生じてしまうように感じた。また、素人が評価することが困難であるように感じた。
再評価のやり方、考え方はほぼ固まっているが、実施方法と、その結果の使用方法がまだまだ曖昧であるように感じた。地域住民などの多くの人達と近代土木遺産の再評価について意見を交換し理解を深め、より普遍的な要素についての考えを共有することが、データの精度を上げることと平行して必要ではなかろうか。
(鳥取大学 里田晴穂)
土木遺産は、技術評価、意匠評価、系譜評価という3点から評価される。それぞれの視点、内容が理解されるとともに、今後ますます構造物が正当に評価されそれが広く認知されることを願う。ただ一点、施設設置に伴う時代的波及効果はどの辺で評価されるのかが気になった。水道施設などはよい例でこの施設により恩恵を受けた給水人口など一つの指標になるのではないか。「水あたり」という言葉が今では死語に近い。
(呉高専 市坪 誠)
基本的な考え方はよくわかるが、その評価の理念の中に「古きから学ぼう」という意識はあるのであろうか。年月を生き延びた土木遺産には本来、それだけで学ぶ根拠があるはずである。これから構造物をLCCで評価しようという動きがあるところである、我々が目標とする年数を生き延びた構造物のLCC的な面から「逆解析」することが必要ではないでしょうか?
(新日本製鐵(株) 冨永知徳)
|