文章に引用された本当の名人に、土木技術者は目指すべきであると感じた。自分のやりたいようにやり、それでもなお発注者に自分がつくったと思わせることが、これまで社会生活の基礎としかみられていなかった土木構造物を、土木遺産として保存するために大切であること感じた。
文中の小樽運河の例では、市民の共感、土木構造物の地域性が重要であることを分析し、それに対する配慮を行うことで、小樽運河を土木遺産として生かすことができたことが報告されていた。現在、土木遺産に対して客観的な評価が必要とされている。その考えと逆行しているかもしれないが、個々のケースに特有な、客観的に評価することができない地域性などにも配慮していくことが、土木遺産を生かしていくために必要であると感じた
(鳥取大学 里田晴穂)
土木遺産と地域活性化の関係を端的に言い表していて非常にわかりやすい例だと思います。行政と市民の間の視点の違いや、地域活性化のためには交通アクセスの利便性が不可欠であることがよくわかります。「地域活性化」はあちこちで検討されているようですが、目玉となるものが遺産の場合は、どちらかといえば交通の不便なところに残っていることが多いようです。地域活性化が成功するかどうかには、遺産そのものの魅力や地域の盛り上がりもさることながら、交通アクセスなども考慮した面的な計画により如何にして人を呼び込むかも深く関係しているのではないでしょうか。
(本州四国連絡橋公団 林 昌弘)
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