土木学会誌3月号モニター回答
■巻頭論説 情報の「所有」と「利用」
時局を論ずる 国家目標の実現を目指した社会資本整備を今月号の特集であった「IT」の進展により、国家という概念の相対的価値あるいは重みは小さくなるものと感じているので、「国家目標の実現を目指した社会資本」という中央集権的な発想に興味を持てなかった。社会資本整備に対する社会の批判が少なくない現状の中では、如何に持続的社会資本整備に対する国民の合意を形成するのか又、住民参加型の社会資本整備を如何に実現するのかといった議論が出て来ることを期待したい。
(千代田化工建設(株) 田中史明)
全体的に筆者の言いたいことが理解できませんでした。特に、「世界のコーディネーター国家」と社会資本整備がどのような関係にあるのかよくわかりません。また、日本の進路を議論するには、豊かな緑、澄んだ空気が必要ではなかろうかという理由で「首都機能の移転」を主張するのは単純すぎると思います。
(国際協力事業団 神崎博之)
社会資本の整備が、「国家目標」の実現に根ざすものであることにはまったくの異論もありません。むしろ問題なのは、「国家目標」を議論さえできない中途半端な現在の日本の政治状況であるような気がします。
また、私の浅識のいたるところであると思いますが、筆者のいうところの「世界のコーディネーター国家」という考え方と社会資本整備のあり方のむすびつきについて今ひとつ理解できませんでした。
(千代田化工建設 清水啓之)
■特集 ITで土木はどう変わるか?
IT革命など昨今はやりの言葉であるが、実際にITを建設業にどのように生かすことができるのかを様々な観点で語られており、興味深く読んだ。やはり、どんなに便利になっても情報の海におぼれないように、不要なものと必要なものを取捨選択し、日常業務に利用することに注意していく必要があると感じた。
(五洋建設株式会社 土木設計部 三好俊康)
16の論文と用語解説という構成は、読むのにかなり時間を費やし、繰り返し読まないと頭に入っていかない箇所も多かった。しかしながら、概念論、実務的な適用例、IT風潮への批判等、様々な角度から土木とITの関連を捉えようと試みたバランスのとれた特集であったと思う。
私の勤務している香港でも、特集の論文の中で述べられているIT技術は、部分的に取り入れられてはいるが、"ITにより土木が変わる"とかいう雰囲気は全く感じられない。まとまな自由競争社会である限り、政府あるいは企業にとって有効なものは、必然的に取捨選択されて適用されて行くはずで、個人的には、あせらず、世の中の動きに遅れずついていくというスタンスをとっている。
(西松建設香港支店 林 謙介)
今やインターネットは誰でも使う身近なものになってきた。土木分野でもコンピュータや情報ネットワークの進歩よりITが今まで以上のスピードで広がっていくであろう。この情報化社会の中で、これらIT関連のシステムが導入・運用されていく課題としては、情報のデータベースと使い勝手の良さであろう。情報のデータベースは使われて最新の情報が蓄積されればされるほど価値が出る。そのためには膨大な作業になるであろうデータベースやシステムのメンテナンスを続けていかなければならない。また、インターネットがここまで広がった理由は通信が安価になってきたこともあるが、一番はその使いやすさであろう。土木分野のITでも誰でも簡単に操作・運用されるようなシステムを目指す事が重要であろう。
(熊谷組 蓮池康志)
IT特集は、土木に関連していない分野も含めた幅広い物であり、ボリューム的にも非常に読み応えがあると思います。
(日本気象株式会社 大橋鉄弥)
ITに関する情報が盛りだくさんの特集であった。各分野で目指す方向が紹介されていたと思うが、その実現にむけてはITの活用に一長一短があるのだろうと感じた。私は日頃ITの進歩の恩恵に預かりながら過ごしてはいるものの、ITの進歩ほど自分達の業務の質が進歩しているとも思えず、もっと大きく言えば必ずしも人類がその分進歩したわけでもないように思う。特集の中にもあったが、ITで土木が変わるのではなく、それを活用する土木技術者のIntelligenceが土木を変えるのであることを再度認識させられた。
(栗ア 夏代子)
身近なところでは携帯電話の急激な増加をはじめとして、ITの浸透の速さとその影響力の強さは間違いなく全ての人が感じるところであると思います。土木の世界においても当然であり、これに対して多方面から検討を加えた今回の特集はとても興味深く読ませてもらいました。特に、「ネットワークとコンピューターの到達点と近未来」と「IT用語解説」は、これまでの経緯や日頃使っていながら正確な定義ができていなかった点を修正できてありがたかったです。その他の記事においてもITが如何に多様、多岐な分野に関連するかを感じさせるものでありました。
(金沢市建設部都市計画課 木谷弘司)
昨今「IT革命」という言葉は,あたかも現代社会の発展に必須の事項であるかのように使われているが,実際のところそれがもたらす利益をあまりよく知らない自分にとって,この記事は期待をもって読んだ.しかし,実際書かれていたものは「革命」という言葉からは程遠い,いってしまえば「今ある技術の改良」という風にしか感じられなかった.この記事で紹介された個々の例の技術力は,非常にすばらしいものだと思う.しかし,果たしてこれらが既成の制度や価値を根本的に変革するほどのものであろうか,という疑問は払拭できなかった.この記事を読む限りでは,土木分野の現状は,最新技術を使えばIT革命が達成できる,という短絡的な考え方に支配されて,「IT革命」という言葉に振り回されているような気がした.
(東京大学 竹上浩史)
今回の特集は 時を得たものでありほとんどの記事を興味深く読ませてもらいました。最近では 毎日の業務のなかでもこのITという言葉を聞かない日はなく ましてやPCのない業務遂行が考えられなくなった現在において、 もう一度ここでIT全体を議論してみることは大変有意義なことであると思います。
ただ、 IT革命の起こしうる厳しい競争社会について もう少しSpotあてていた論述があればよかったのにと感じております。小生はエンジニアリング業界に身をおいておりますが、Global Completionにおいては、日本人の人件費の高さはいかんともし難く、今や業務のかなりの部分を海外に移転せざるを得なくなっております。そして これをなさしめているものは、まさにITであります。 今後のITの進展は 間違いなくこうしたInternationalなコスト競争を益々 加速させるものです。われわれは それにどう対応していくか そのことをもっと真剣に議論すべきであります。
(千代田化工建設 清水啓之)
昨今「IT革命」という言葉は,あたかも現代社会の発展に必須の事項であるかのように使われているが,実際のところそれがもたらす利益をあまりよく知らない自分にとって,この記事は期待をもって読んだ.しかし,実際書かれていたものは「革命」という言葉からは程遠い,いってしまえば「今ある技術の改良」という風にしか感じられなかった.この記事で紹介された個々の例の技術力は,非常にすばらしいものだと思う.しかし,果たしてこれらが既成の制度や価値を根本的に変革するほどのものであろうか,という疑問は払拭できなかった.この記事を読む限りでは,土木分野の現状は,最新技術を使えばIT革命が達成できる,という短絡的な考え方に支配されて,「IT革命」という言葉に振り回されているような気がした.
確かにコンピュータはすごい計算能力を持っています。しかしながら土木屋にとってコンピュータはあくまで道具にすぎません。大事なのはコンピュータを使う事ではなく、コンピュータを使って何をするかです。本文に書かれてあった「ITに振り回されるのではなくITを使いこなす」というのは正にこのことを言っているのだと思います。
(水産工学研究所 宮地健司)
建設CALSの担当を昨夏までしていました。ITは土木に非常に有益であるという認識を持っていますが、中々進まなかったのが任期中の後悔となってしまいました。図面は地図情報だけでなく工事履歴や損傷履歴を合せて持っており、報告書等と合せまさしくデータベースそのものです。他にもECの分野は、世間的に良くない印象を持たれている土木分野での入札等に対しても大いに有効と思われます。土木はすべての理数系の知識を必要とし、これを実践している分野であるにも拘わらず情報系が苦手ということを良く耳にしますが、正しく食わず嫌いであって、非常に勿体無く思っておりました。特集で記事にされたことを契機に、IT活用が進むことを願っております。
(日本道路公団 吉村 保)
今月号の特集で取り扱ったIT関連の記事は、その内容の幅広さ、情報量、またコンパクトにまとめられていたことから非常に充実していたと思う。特に土木とは直接関係のない情報関連技術の紹介から、「IT革命の落とし穴」と題した昨今のIT賛美の傾向にネガティブな意見も掲載して、単なる土木関連IT技術だけの特集にしなかったのは良い企画と思いました。このような幅広い内容の記事が土木学会誌に載るということが、土木学会誌の特色でもあり他誌との差別化になると思います。また日進月歩のIT技術だけに、3年後くらいにもう一度この特集記事を読み返してみたい気持ちになりした。
(独立行政法人土木研究所 河藤千尋)
■1:ネットワークとコンピュータ到達点と近未来
ITの歴史をわかりやすくまとめてあると思います。ただ、ITコーナーのイントロ部分であることからアプリケーション等の紹介項目が比較的IT初心者向けであるのに対し、文章中の単語が若干専門的であり、ITに慣れていない方にとっては、少々難しいのではないかと思います。
(日本気象株式会社 大橋鉄弥)
■国土防災と情報技術
1995年の兵庫県南部地震以降、情報技術を防災に活用することが言われているが、本記事では、その現状の紹介に止まらず、その課題について掘り下げ、かつ今後の方向付けまでを明確化してあり、大変参考となった。
「最後に」述べられている「どのような世界であれ災害対応が経験知を必要とする世界であることを認識した上で、高度情報化社会という制約に適した新しい防災の形が求められている」を頭に入れて、再度読み返してみると、情報だけでは「必要条件にすぎない」ことが良く分かる。
「知は力」とはいうが、その「知」を活用して始めて力となり得るのだと感じた。
(電源開発(株)茅ヶ崎研究センター 國崎剛俊)
阪神・淡路大震災を契機として防災における情報の重要性が認識されたと、言われていますが、3月24日に安芸灘地震が発生し、私の住んでいるところでも震度5強の揺れに襲われました。机やロッカーが倒れるやら、パソコンが墜ちるやらで、結構大変でした。実際の地震に対する対応や認識の甘さをつくづく実感したところです。
地震発生後には電話がほとんど通じなくなり、インターネットも接続できませんでした。そんな中、被災された方の救助依頼の電話が通じず、救助隊が駆けつけた時には手遅れだったという痛ましい事故もありました。「防災を支える情報インフラの整備の必要性」として、災害時にネットワークの断絶や通信輻輳が発生しないだけの高い信頼性が求められる、とありましたが、本当にそのとおりです。
((株)芙蓉調査設計事務所 須賀幸一)
■道路のIT革命
運転経験・技術・安全意識の点で多岐に渡る利用者が,道路という共通の場を利用して,時間的・空間的に非常に限定された情報に基づき,各自の運転に関わる意思決定を担うという点が,道路交通の随意性や機動性という特長を導き出す反面,事故や渋滞等の悪影響を引き起こすとも考えられる.ITSは道路インフラ,車両,ドライバーを情報通信によって連携させることで,道路交通の長所を残しつつ,問題点を改善可能な有効な方策であり,本稿でも記されている様に今後の取り組み・展開に大いに期待が寄せられる.自動車の運転中に人間が処理できる情報量には限界があると考えられるが,ITS成功の一つの鍵は,運転中のドライバーが容易に理解できるユーザーインターフェースや情報コンテンツを整備していくことでは無いかと思われる.本稿の末尾にもITSの導入が「単なる機器の展覧会場」となること防ぐことの必要性が記されているが,ITSの多種多様な機能を如何に統合・整理して,利用者にやさしい(優しい・易しい)システムにまとめ上げていくのか,今後の動向に注目していきたい.
(京都大学 宇野伸宏)
道路の利用者としての立場から見た「単なるシステム紹介」としてみると、現状の紹介と近年の予測記事として、一応評価できそうです。しかし、どうもこの特集の主題である『土木におけるIT利用の現状と課題』の後半部の課題に対して、土木工学的な目標や期待への視点が少し甘いように感じられます。今日的に言えば、工学的な理論は全く判らなくても、例えばテレビやインターネットにしても、比較的簡単な操作で電気・電子工学の恩恵を享受することが可能です。ここで紹介されている色々な道路付帯施設にしても、何も理屈は判らなくても利用可能になると思います。学会誌で論じられると言う立場からは今一歩踏み込んで、土木構造物として道路機能とのかかわりを、次回には期待したいと思います。
(潟Gイトコンサルタント 石井憲郎)
ITS(高度道路交通システム)は、確かに素晴らしいシステムであると思います。しかし、少しひねくれたものの見方をすると、カーナビの普及率が世界一であるというのは、逆に言えば、日本の道路は世界一分かりにくいとも取れるし、VICSの普及は裏を返せば交通渋滞のひどさを物語っているようにも思える。また、ETCが実用化された時には、一般道路の渋滞が今以上にひどくなるのではないかと考えてしまう。VICSやETCの必要がない道路網が理想のようにも思えるのですが、どうでしょうか。
(大成建設 小池真史)
■土木技術者に必要な情報技術能力は何か
筆者は土木技術者の最低限必要な情報を利活用できる能力レベルとして7項目ほど挙げているが、その中でも特に「なによりも、本業は土木で情報技術の活用はその手段であるということを認識する」ということが私も常に心がけていることであるので、同感できた。ただ私の場合には「情報技術」を「コンピューター」、「手段」を「道具」と置き換えている。つまり、我々は土木技術者であってIT技術者もしくはプログラマーではないということを常に心構えとして持っていないと、いつのまにか「道具」に振り回されてしまうことになる。パソコン等のハードの進歩、電子メール、インターネット等の情報技術の進歩がめざましいIT時代の現在および将来においては特に、この心構えが必要になるものと考える。
(日本港湾コンサルタント 山本俊介)
表題のとおり,土木技術者に求められる情報処理能力が箇条書きで示されていました.最後の一項目を除けば,土木とは関係なくてもあてはまると思いましたが,逆に言えば,最後の項目がもっとも大事とも感じました.「本業は土木であり,情報技術は活用の手段である」ことです.情報活用能力の一つにプレゼンテーションがあげられていました.
私の勤務している学校でももちろん修士論文や卒業研究の発表会があります.中にはいいものもあるのですが,見栄えにこりすぎたものも多く,中身をわかりやすく伝える配慮が欠けていることも事実です.この問題は大学だけではなく広く一般的にあてはまることだとは思いますが,教育機関としての大学でもきちんとトレーニングしなければならないと思いました.
(武蔵工業大学 白旗弘実)
テーマそのものが曖昧模糊としていることもあってか、教科書論的な話になってしまっているような気がします。そもそも情報技術力って何なんでしょうか。やはりIntelligenceがもっとも大切であって、それ以外はテクニックの問題のような気がします。
(千代田化工建設 清水啓之)
■4:ITにより土木はどう変わるか
「ITにより土木はどう変わるか」は大変面白かった。というのも、私も常々「IT革命」という世の中の流れに躍らされているのではないか、という疑念が拭い去れない一人だったからだ。この記事を読んで、その疑念の根源が見えたような気がした。
ITに関する諸問題を、機械の面からではなく、それを使う人間の側から述べてあり、「ITのスキル」や安価で大量の「Information」ではなく、「それを操るIntelligenceを養うことが大切」とは全くもって共感することろである。更に、その「Intelligenceの核」として「世の中のため」という「土木の心得」へ展開するあたりは、納得を通り越して痛快ですらあった。
今後近い将来、IT活用の時代がやってくると予想されるが、ITの落とし穴に嵌まらないよう「ITのスキル」ばかりではなく、「ITを操れるIntelligence」も一緒に磨きたいと感じた。
(電源開発(株)茅ヶ崎研究センター 國崎剛俊)
■IT革命の落とし穴
3月号特集「ITで土木はどう変わるか?」では、「IT革命」が社会に与えている変化がいかに大きいか、その「IT革命」が土木に今後どのような変化をもたらしていくのかといった視点で、「IT革命」で今後の土木では様々な良い方向の革新が起こるという主意の記事が多い中で、現状での「IT革命」に対する批判・問題を直截的に考察された記事であり、大変興味深く一気に読み終えました。「IT革命」時代の大量に曝されるInformationを選定・加工・分析し、創作を行う能力であるIntelligenceの涵養が最も大切であり、その為には「討論」や「意見表明」を重視した教育への転換が本質的に重要であるという主意に全く賛成である。多くの優秀なITエンンジニアを抱えるインドのシビルエンジニア達と仕事をした時に感じたのが彼らが初等教育から身に染み付けているディベート能力こそが実は、彼らの「IT」を繰る能力の高さに大いに貢献しているという点であった。そのような意味で学生に限らず我々社会人も加速する「IT革命」と付き合う上で自分の意志を表明する能力・合理的に思考する能力を継続的に涵養して行くことが大切であると考える。
(千代田化工建設(株) 田中史明)
オフィスに来て、コンピューターをオフにしたままで、一日じっくり書類に目を通し、ペンで文書を書く時間をたまに持ってみると、仕事の効率が上がり(感じているだけかもしれないが)、いつに無い充実感が得られる。
私自身、ITの効用を全く否定するわけではないが、この論文にある"ITを使って、仕事とか勉強の形を取りながらだらだら時間を過ごす心地良さ"という指摘は、結構あたっているのではないかと思う。また、ITによって、Intelligence を養うことが困難になるのではないかという筆者の疑問にも同感である。
なにかというと一気に走り出すのは日本という国の特性かもしれないが、それに影響されることなく、一個の技術者としてのバランスのとれた視点を維持していくことが非常に重要になってくるだろう。
(西松建設香港支店 林 謙介)
筆者の文中で自己規定されているとおり(?)、IT礼賛の記事ばかりの中で、ひとり気を吐いておられる記事を興味深く拝読した。計画系コンサルタントに勤務する一人として、「A4一枚のレポートを書くのに、わずか2〜4枚の量の情報しか使っていない」という教育現場からのリポートは、心当たりがありすぎて、思わず苦笑してしまった。しかし、日々ITの「恩恵」に与りながらも、ITは所詮「お道具」でしかないと考えており、Intelligence無き者を看破する眼力を持った先達の存在に戦々恐々として、研鑽に励まねばと心新たにする土木技術者が居ることも報告しておきたい。
(都市交通計画研究所 田名部淳)
情報技術の活用には人間の知性が伴っていなければならない,という内容でした.私も含めてですが,反省させられることが書かれていました.近年のコンピュータの発達でこれまでできなかった計算が時間の面からも,情報量の面からもできるようになりました.私の所属している研究室でもFEM汎用ソフトなどを用いて解析しますが,大量のデータを前にただ整理しグラフにまとめるのに精一杯で,意味のあるデータかどうかすら考えてない例がよく見られます.また,コンピュータに計算させること自体に目的を感じて,何を考えて計算するのか考えていないこともあります.ソフトの普及で結果をただちに出さなければならなくなっている風潮も好ましいとは思えませんが,それだけに日頃から自分のテーマを考えているかが問われるのだと思いました.
最近の学生だけとは限らないと思いますが,汎用ソフトがあふれて,解析手法の意味やプログラミングを考えることが少なくなったと思います.私が述べるまでもなくプログラミングは幅広い知識と,忍耐力を必要としますが,コンピュータが好きと自他認めている学生ですら,プログラミングはいやだといって投げだしてしまいます.プログラミングに対しても興味をもてるようにするために,どなたかよい解決策があったら教えていただきたいと私は思っています.
一部の人だけがプログラムをくみ,それを利用するようになったからといって,それがIT革命の実態なのだろうか,と思いました.
(武蔵工業大学 白旗弘実)
たいへんおもしろく読ませていただきました。小生はe-mail address もケイタイも一応持っていますが、「インターネットの普及によって、獲得する情報は少なくなっている」とか、「ITを使って、仕事とか勉強とかの形を取りながらだらだら時間を過ごすことができたなら、最高に心地よいはずである。」とか、「レーシングマシンをローギアだけで運転しているようなもの」などのIT革命に対する辛口の論評には、自分自身の反省も含めて同感する点が多かった。
最後の、「世の中のため」に働くことが、土木のIntelligence であるとの言葉は、今後も「土木の心得」と信じていますが、、、。
((株)芙蓉調査設計事務所 須賀幸一 )
私自身あるいは学生諸君の日々の活動を省みても,玉石混合の大量の情報の見極めを十分につけずに,IT技術のお陰で成果物の見てくれだけは整えてしまう様な危うい状況が最近目に付くようになってきている.本稿の指摘は的を射たものであり,また個人的には耳の痛い話でもある.使い手側が明確な目的意識を持っていた場合に,はじめてIT技術は良薬となり得るのであって,目的意識あるいはIntelligenceが欠如している場合,それは毒薬となる危険性があると思う.しかしながら,IT技術の進展・普及の流れに逆らうことは容易ではなく,IT時代にマッチしたIntelligenceの育て方について,今後議論していく必要があると思われるし,この点に関する著者のご意見も機会があれば伺ってみたいと感じた.
(京都大学 宇野伸宏)
石川先生は、e-mailに対しよほどの思い入れがあるように伺えましたが、この全文を拝見する限りでは、ITスキルには大変堪能でいらっしゃるように読み取れます。本文最初の小見出しタイトルに「嫌なものは嫌」とお書きになっているように、これはもう理屈の世界ではないと考えざるを得ません。私自身は、e-mailを持ってから1年ほどのホヤホヤの若葉マークですが、別にこれに耽溺することもなければ、それで自分自身の生活のリズムを乱されることなくマイペースで上手く利用している積りです。私は安いノートパソコンを所有していますが、そのパソコンの機能の0.1%も活用できていないかもわかりません。しかし、仕事の上でも個人生活の面でも非常に便利な道具としてしか見ておりませんし、自分の能力の範囲において、自分の最も都合の良いような使い方をしていると自認しております。自分の考えをその都度記述しておき、時に応じて取り出して追加・改変し、必要なときに必要なだけ利用することが出来、場所を取らずに情報が保管することができる利点を考えれば、最早手放すことができないと思います。インターネットは月10時間程度しか利用していないと思います。
(潟Gイトコンサルタント 石井憲郎)
国全体が声高にIT革命を唱える中,警鐘を与える論旨であった.私自身も便利さにかまけて,物事の本質を考えることが希薄になりつつあり,毎日パソコンの前に座るだけで満足していないか,道具やソフトに使われていないか,日々の業務のあり方について反省する思いであった.
(五洋建設(株) 中山晋一)
世を挙げてのIT賛歌に 何か割り切れなさを感じていたのは、私だけではないと思っておりましたが、この漠としたもやもやしたものを実に明快に論じて頂き なるほどと得心した次第です。 InformationとIntelligenceの違いは 言われてみれば至極もっともでありますが、わが身を振り返りInformationの中におぼれ、いかにIntelligenceな判断がなされていなかったかを自省することしきりであります。IT革命は、「便利さ」「効率」のPositiveな面だけが ややもすると強調される傾向にありますが、帰趨するところはより「厳しい競争社会」の現出なのでありましょう。このことを改めて認識すると 私も本当に元気を失ってしまうのであります。
(千代田化工建設 清水啓之)
戦いのはじまりです。
「嫌なものは嫌」に対して「好きなものは好き」と最初にいっておこう。ケイタイはあまり使わないが。E-mailは大好きです。
p.35 左 上から21-23 なにも急ぐ必要のない低次元の内容
遊んでいるのでしょう。遊びごころで研究やってはいけませんか?
p.35 右 上から13行め 新書1冊の1/50
優れた?「新書」の名前を教えて下さいよ。あるの?
p.37 左上から21-22 だらだらと時間をすごす。職場ではできない。
職場で、だらだらと時間をすごすのは、悪いのか?会社人間、モーレツ社員が必要とされる時代でもないし、ぼんやりとして、社会やら哲学やらをゆっくり考えられるゆとりが、職場にあってもいいでしょう。ぼけーとして、研究のパラダイムの大きな変革を考察してもいいでしょう。
p.37 左上から26-30 小さい子供がだらだらと過ごす。
これも一つの貴重な青春でしょう。「青春はしゃかりきになって何ををやらなければいけない」ということはない。
p.37 左下から16 Intelligence
Intelligenceって何?西洋のお言葉ですが、日本語は無いの?
p.38左 上から13-18行
ビッグネームは偉いのですか?西洋文化に直に触れたら偉いのですか?普通の人が世の中を動かして何が悪いの?
p.38右 右 下から10行 「世の中のため」
どんな企業も、多かれ少なかれ「世の中のため」は考えています。つぶれるものはつぶれる。それだけです。
(豊橋技術科学大学 平松登志樹)
■ASP利用による現場施工管理の変革
建設CALS導入における問題点として,受発注者間,JV間など異なる事業体間内のネットワーク構築が大きな障害であったが,ASPなどの技術により情報共有化におけるハード的問題が解決されつつあることが判った.しかし,ソフト的にはどうであろう.以前,現行の建設CALSは,既存の施工管理システムをそのまま踏襲した形での運用が多いことから,情報の電子化に伴う作業負担の増加を感じた.実運用を試みる現場の生の声についても取り上げ,建設CALSの持つシステム上の問題点についても検証して欲しい.
(五洋建設(株) 中山晋一)
■IT時代におけるコンクリート構造物の新しいコンセプトとそのライフサイクルアセスメント
まず,建設業の問題点として受注機会の平等に甘えた競争力の低下を指摘している点は全く同感である.IT革命というと情報系技術にとらわれやすいが,本質は付加価値の高いもの作りであることが述べられており参考になった.炭素繊維を用いたコンクリートを例に施工,LCCおよびCO2に言及されておりわかりやすい.このような新技術の導入をスムーズに行えるシステムの構築が重要と思う.しかし,現実にはLCC等や循環を考慮した建設は少ないように感じる.付加価値の高い技術開発と平行して,LCC等や循環を考慮した具体的枠組みの構築をいかに実務展開するかも重要だと思いました.
(大成建設 伊藤一教)
■IT(情報技術)で広げる土木の世界
土木という公共性の高い分野では、どのような整理がきちんとされるたうえでIT化が進められるべきなのであろう。例えば自分が携わっている河川GISにおいても、導入の考え方で、政策決定者、現場担当者などで統一した理解がされておらず、いずれの立場においても、情報の共有化と国民へのサービスというよりも、自身の日常業務がどうなるか、といった視点の議論が中心となっているような気がしてならない。また、その意識が薄いとITを単なるツールとしてのみ捉えることとなり、"もっともらしく電子化されたいい加減な情報"が飛び回るおそれがある。さまざまな情報がメタデータを付与して公開・共有されることが土木分野において求められるサービスであるとすれば、ITによってもたらされる基礎情報の「質」がますます重要となってくるのではないだろうか。
(株式会社建設技術研究所 米山 賢)
■プロジェクトリポート 森が育て、森を育む木製ダム
環境に親しいという意味で好感が持てる記事でした。木製ダムというのはイメージがなかったのでコンクリートとほぼ同等の強度を有しているというのは意外でした。二酸化炭素排出が著しく少ない木材を使用するという意味で地球温暖化の防止にも貢献できるという点も環境の時代の要請に合致するものだと感じた。
(千代田化工建設(株) 田中史明)
土木工事は自然を壊すという側面も持っているので、材料を自然のものにすれば少しは環境負荷の低減になると思う。これからは自然に帰るものを材料とした工事が増えていくと良いと思う。
(清水建設 田中八重)
田中長野県知事が「脱ダム宣言」を発表したこともあり、非常に興味深く読みました。ダムと言えば、コンクリートで作られるものと思い込んでいましたので、木製ダムの研究が進んでいると知り、とても驚きました。今後は、環境と共存するようなダム建設の取り組みについて諸外国の事例を紹介いただだけると興味深いです。
(国際協力事業団 神崎博之)
ダムと言えばコンクリートや岩石、鋼材を材料に造られると思っていた。この木製ダムの記事はまさに「目から鱗」であった。どうせ堆砂で埋まる運命の砂防ダムなのだから、安く、そして造り替えの容易な木製のダムは大歓迎である。木製であるがゆえに、動物の産卵場所になると言うのも楽しい。土木とはまさに「土」と「木」が主役であった。解決しなければならない問題点が多々あるだろうが、「木」を生かす技術開発も必要であることを教えられた。
(愛媛大学 高橋治郎)
心温まる面白いプロジェクトであると思った。景観上も、資源のリサイクルという面でも有効であると考える。耐久性に対する点検がかなり重要になるのであろう。このプロジェクト自体にも興味を持ったが、このような発想で物事に取り組んでいくことの大切さを教えられた気がする。
(栗ア 夏代子)
木製ダムが、コンクリートダムあるいは鋼製ダムに比較して、環境負荷が小さいことは認めますし、それは何かの指標で定量的な比較をするまでもなく経験的に直感で判断できる程度のものであると考えます。私がここで気になることは、一般に木材は水中・気中何れの場合も完全であれば耐久性がかなりありますが、半端な形で乾湿を繰返しますと非常に短期間で劣化することを見て来ています。
紹介された事例を見ても、常時水中にある部材とほぼ乾燥している部材があるほか、その中間部位にある部材は、乾湿を繰返すのではないかと予測されます。その場合、この乾湿繰返し部材は非常に早く腐食が進行し、その上部の健全部に変形等が生ずるのではないかと思われますが、大丈夫なのでしょうか。少し心配になりました。
(潟Gイトコンサルタント 石井憲郎)
自然との調和はこの分野での最大の命題であり、積極的に取り組む姿勢が記事になって読むことが出来、非常に有意義でした。
(日本道路公団 吉村 保)
■技術リポート 連続繊維によるコンクリートの補強技術(その2)
耐震補強など近年、様々な繊維材料を用いたコンクリート構造物の補強が施工されており、コンクリート構造物の信頼性をより一層向上させるための1つの方策であると思われる。別の機会に、本リポートで用いられているようなトンネル内部に巻き立てられた繊維の剥離防止措置やその長期耐久性の判断方法、またコンクリート本体の耐久性向上方策などのリポートを期待する。
(五洋建設株式会社 土木設計部 三好俊康)
高耐久性,高強度,軽量といった材料特性,良好な施工性など「FRPによるコンクリートの補強工法」の優位性が良く理解できた.既存材料との経済的な比較についても詳細に示して頂くことで,こうした新しい材料を実際の設計や施工に反映しやすくなると思う.
(五洋建設(株) 中山晋一)
■オーレスンリンク完成
10年程前、私がスウェーデン、デンマーク、ドイツを列車で旅した時、これらの海峡を列車ごと船に乗り、渡ったことが思い出された。当時、横断に数時間要したのが、数十分で可能となることから、経済・文化面での貢献は計り知れない。さらにフェーマーベルトリンクが実現すれば、北欧と西欧の関係が密接になり、我々にとっても北欧がより身近になるであろう。
(戸田建設 清水義治)
■カンボジア王国の道路事情
河川は人が生活するための絶対不可欠な自然である反面、東南アジア諸国にとっては時として人を脅かす厄介なものである。前月号の「メコン河洪水」でも紹介があったように河川の氾濫による災害や道路交通アクセスの障害となってしまう。こうした国では防災、道路、橋など土木の果たす役割は非常に大きい。
日本も多くの資金の援助を行い社会基盤整備に貢献していますが、記事にもあったように構造物の国の基準がないということが将来重要な問題になってくるであろう。今後は物より人の提供による国としてのシステム構築のバックアップが重要となってくるのでしょう。
(熊谷組 蓮池康志)
道路事情を知るというだけでなく、途上国の社会基盤のなさに、ただ驚かされるばかりです。 カンボジアがこのようになったのは、大半がポル・ポト政権の影響のように感じられますが、何事にたいしても、ちゃんとした基準が定められていないためではないでしょうか。国際援助を受け続けながらも公共事業予算がわずか数%です。メコン川に橋が架かり、アジアハイウェーの一部になったとしても、道路事情は変わらないのではないでしょうか。 まずは、日常茶飯事に起こる事故をなくすように、交通ルールをつくることが先決だと思います。今後の日本政府の援助による交通計画調査の成果に期待したいと思います。
(熊谷組 土木部 道村未佳)
この記事は学生や生徒に読ませたい。「メコン川は大変乱暴者であるが、人々はその河と上手に付き合っている」し、「貧しいにもかかわらず、子供達の表情は大変明るかった」と言う。我々日本人がすっかり忘れてしまったことが、この記事の中に書かれている。そして、金を儲けるための行為が何を破壊しているかについても・・・。
(愛媛大学 高橋治郎)
「路面したから木の生えた橋梁」や「過積載車両の走行時に崩壊した橋梁」の写真には日本では想像できないほど悲惨な状態が写し出されており,かなりの衝撃を受けた.土木に携わるものとしてインフラ再整備の重要性を感じる以前に,人間として内戦の悲惨さを痛感した.
(東京大学 竹上浩史)
途上国の現地事情については、職業柄大いに興味があるとことであるが、一般の会員に日本とは違う状況であることを認識してもらうことは大いに意義があることであると思う。国造りにとりくんでいる途上国での事業は土木の原点ともいえるようなものであり、土木技術者にとっては腕のふるいどころではないだろうか。
(国際協力事業団 梅永 哲)
■話の広場 "走りたくなる街"の土木インフラ
『21世紀は、...道路、鉄道、港湾などの社会資本を、日本人の生存力を豊かにする各種スポーツ・インフラとしても使いこなす...』という趣旨の投稿に前面的に賛成です。私も国内でいくつかのマラソンを走る機会がありましたが、歴史ある建造物を横目に見ながら走る吉備路マラソン(岡山県)やフラワーロードを快走する若潮マラソン (千葉県)など、趣向をこらしたインフラを利用したランニングは一市民としても土木屋としても気分の良い体験でした。しかしながら、これらのマラソンコースが全長にわたって満点かというと、景観・路面状況・雰囲気の点で改善余地のある区間もあったように思います。
少し話がそれますが、海外にいった際に時間の隙間を利用して、滞在地の周辺をジョギングした経験を思いおこすと、ヨーロッパやアメリカの多くの地域には走って気分の良くなるインフラが備わっていると感じました。また、フランスの自転車レースに参加した際も、使用したコースを取り巻く風景と土木建造物が一体となって参加者を包み込む環境は筆舌に尽くしがたく素晴らしいものでした。あの有名な世界最古橋梁:ポンデュガール橋(去年の土木学会年次講演のポスターに使われています。)をレースの通過区間として使ったことがあるツール・ド・フランスも、レーサーおよび観客に対して心踊る体験を提供しているといえるでしょう。
今後、スポーツ設備の機能をも有する土木インフラといった視点で、整備を実施することは重要な課題であると考えます。そのためには、整備する側の意識改革が必要だと思います。
(新日本製鐵 杉本雅一)
■この本 江戸時代人づくり風土記
地元に密着した著作の紹介である。地味な著作ではあるが、含蓄に富んだ内容のようであり、学会誌で広く紹介するにふさわしいものであると思う。今後とも目立たないが有益な本の紹介をお願いしたい。
(国際協力事業団 梅永 哲)
■支部のページ 夢舞大橋
大変興味深く読みました.旋回式浮体橋のようにユニークな構造物の建設は,新形式構造物の実現に期待を持たせるものと思いました.機能性や工期短縮などから旋回式浮体橋が有意であったと記述されています.機能を満足する構造物としては他の橋梁形式や沈埋トンネルなども可能性があったと想像します.この旋回式浮体橋になった理由について知りたくなりました.
(大成建設 伊藤一教)
旋回式浮体橋の発想は非常にユニークで,子供のおもちゃのようにおもしろく,まさに夢の橋といった感じである.特に橋が工場から曳航される写真には微笑ましいものがあった.この発想を現実のものとするためには様々な工夫が必要だと思われるが,そのあたりをもう少し詳しく書いてあると,より興味深い記事になったと思う.ぜひこの橋が船に曳かれて回転する様子を見てみたい.
(東京大学 竹上浩史)
すばらしいアイデアに感嘆。
(日本道路公団 吉村 保)
この世界初旋回式浮体橋は、幾度か他誌等で目にしたことがあるがやはり素晴らしい技術だと感心した。浮体橋という発想、旋回させるという発想、原理的にはそれらは簡単でもその実現には多くの難題があったと思われます。30年、40年先に当初設計通りの機能を保持しているかは未知数で、今後の維持管理も大変と思われるが、日本の橋梁技術の高さを示すものとして世界にも誇れる橋と思います。
またこの記事は支部のページというよりも、内容的にはプロジェクトリポートか技術リポートに相当すると思われました。
(独立行政法人土木研究所 河藤千尋)
■学会誌全般へのご意見、編集委員会への要望等
本号の「特集記事」は興味深いものであったが、正直様々なレポートがあり読み進むことが大変であると感じた。もう少し辛口批評を掲載したり、座談会形式をとって官民の間の意見の交換、本格的導入にあたっての問題点などを議論しても良かったのではないかと感じた。
(五洋建設株式会社 土木設計部 三好俊康)
土木学会誌に関わらず、英語がとても多いと思う。もう少し、日本語を大切にしても良いのではないかと思う。もちろん、英語を用いた方が、読者に伝わりやすいこともあると思うが。
(清水建設 田中八重)
学生時代に学習したことをもう一度復習あるいはブラッシュアップできるような連載、例えば、「交通需要予測の基礎と応用」等、を組んでいただけないでしょうか。
(国際協力事業団 神崎博之)
編集委員会の皆様へ
皆様の日頃からのご努力に、深甚なる敬意を表します。この種の仕事もご多分に漏れず、「上手く言って当前、間違えばボロクソ」と云うのが当たり前のように感じます。それだけに、日常のご苦労はやったことのないものには想像もつかないものの様に思われます。
特に、企画から実現までに、かなりのタイムラグが生じますので、このことだけでも簡単ではないと思います。今月号の「編集後記」で関根さんがお書きになっているように、この号の最初の企画会議が開かれたのは、昨年の6月だとか。本当に日の目を見るまでに8ヶ月も掛るのですから、モニターの立場でも読者としても「古い、新しい」と言った太平楽を申しては、申し訳ないと思います。「どうも大変お疲れ様でございます。今後ともよろしく」
(潟Gイトコンサルタント 石井憲郎)
学会誌冒頭で,いつもメールを送付している保科さんのお顔が拝見できて良かった.
(東京大学 竹上浩史)
3月号の会員の声にモニターの意見として「感想も半分義務という感じ」というのがありましたが、わたくし 今月号は正直かなり無理して搾り出すように感想を書いています。モニターごときでこれだけ苦しいのだから、学会誌の編集員の方はもっともっと苦しんでおられるのでないかと拝察し、その難行に心から敬意を払う次第です。頑張ってください。
(千代田化工建設 清水啓之)
モニターをやらせてもらってもう3ヶ月になろうとしています。普段読むこともなかったこの土木学会誌も少しはまじめに読むようになりました。この3ヶ月分を拝見して思ったのですが、少し取り上げるテーマが偏りすぎてはいないでしょうか。この3ヶ月で掲載されているテーマは道路や橋やGISといったいわゆる構造系のものばかりです。確かにこれらの分野がビジュアル的に華やかなのは事実ですが、たまには河川や海岸や港などいわゆる水工系のものも取り上げるようにするなど、各分野のバランスを図るべきではないでしょうか。
(水産工学研究所 宮地健司)
IT関係の記事は定期的に経過を踏まえて掲載されると良いと思います。
(日本道路公団 吉村 保)
毎号に肩の凝らない記事などを1ページでも掲載したら如何でしょうか。例えば、土木関係の豆知識的なもの、土木現場用語の紹介、土木と関係ない人(子供、主婦等々)から見た土木への素朴な疑問の紹介と回答など学会誌の品位、権威を落とさない範囲で、5分くらいで読め、少し笑えまたは感心でき、そしてためになるミニコーナーのようなものは作れないでしょうか(ちょっと欲張りすぎかもしれませんが)。
(独立行政法人土木研究所 河藤千尋)
■編集委員会より読者の皆様へ
2月号対して寄せられた「会員の声」に対する編集委員会からの回答です。
【ご意見・ご要望など】
土木学会誌を読むのが苦痛です。「学会誌とは何ぞや」を編集委員各位にお聞きしたい。また、この土木学会誌が会員にきちんと読まれていると考えておられるのかもお聞きしたい。とは言っても、カラーの図や写真がきれいで、記事の内容も大学の授業に使える記事があります。新聞業界では、「教育に新聞を(NIE)」という運動をしています。「教育に土木学会誌を」という具合に、授業で使えそうな記事・論文の別刷・抜刷の利用方法はないものでしょうか。
(愛媛大学 高橋治郎)
【編集委員会からのお答え】
「教育に土木学会誌を」というひとつの方向性を示す、貴重なご意見ありがとうございました。愛知工業大学では、学生が学生会員となるとともに、教育の中でも学会誌を使っているとのことです。教育に学会誌を活用するための第一歩は、学生に会員になってもらうことかもしれません。
【ご意見・ご要望など】
国立研究機関や大学等の独立行政法人化について、特集を組んでいただけることに期待する。
(電源開発 中山義紀)
【編集委員会からのお答え】
土木関連の省庁の独立行政法人化に関する記事を「見て・聞いて・土木の動き」の中で,近々取り上げることといたしました。特集として取り上げるのは,独立行政法人化が発足してしばらく時間を置きその様子がはっきり見えてからでも遅くないと考えます。
【ご意見・ご要望など】
大多数の会員にとって土木学会誌は、土木学会との接点であり各種情報提供・収集の場であると思います。その大多数の会員が日頃から学会、学会誌に対する要望、質問を受け付ける場を学会誌上に提供できないでしょうか。
例えば今月号で生じた疑問とは、年次講演会実施要領に関して講演申込時に英文概要等の記載が必須ですが、これは何に利用されており、これまで登録されてきた膨大な情報の検索をどのように行うのか、そもそもこれは必要なのかなど(同様なことを職場の者も感じていました)。また、住所変更の連絡用のFAX様式が学会誌に添付されていますが、インターネット利用で変更を受け付けることは出来ないのでしょうか。他学会では既にそのようなシステムが運用されています。
会員は学会誌の有効利用、学会に対する要望など、各人が意見を持っていると思います。またある会員には既知の事でも、ある会員にとっては知らない事であったりと様々です。学会誌の性質上、インターネットなどには情報伝達の速報性では劣りますが、会員に対するサービスの意味も込めて先に述べたことに学会誌のページを使うことは無駄では無いと考えます。
(国土交通省土木研究所 河藤千尋)
【編集委員会からのお答え】
学会誌に対する要望、質問などは、毎号の「会員の声」,学会誌ウェブサイトの「ご意見コーナー」で、編集委員会からの回答とともに掲載されています。
年次講演会講演申込み時の英文概要は和文概要とともに、国立情報学研究所(旧・学情)の「学会発表データベース」に掲載しています。土木学会のウェブサイトの土木図書館からリンクをはっていますので、見ることが出来ます。今後は申込み要領に記載することを検討いたします。
現在,土木学会のウェブサイトの「会員情報」の中の「入会案内」の中で、入会申込書、住所変更届などがダウンロードできるようになっています。今後、ウェブサイト上で入会、変更手続きができるようにするなど、さらに活用することが学会事務局全体で検討されています。
【ご意見・ご要望など】
維持管理、既存の社会基盤の有効活用に関するベンチャーを紹介していただけませか。
(大成建設 伊藤一教)
【編集委員会からのお答え】
次回同じベンチャービジネスをテーマに取り上げたとき、もしくは、関連のテーマを取り上げたとき、ひとつの選択肢として検討いたします。
【ご意見・ご要望など】
文章のみで情報を一から十まで網羅することは難しく、「技術リポート」や「日本の・・・オリジナリティ考」などグラフや写真が豊富なものは内容を理解する上で非常に助かります。今後もわかりやすさと斬新さを併せ持つ内容を期待しております。
(五洋建設 三好俊康)
【編集委員会からのお答え】
ご意見ありがとうございました.
【ご意見・ご要望など】
読み易さと技術的・学問的追求との整合
最近の学会誌は、読み易くわかり易くなっていて、活字離れの進む昨今としては時宜を得た対応と考えられます反面、技術的・学問的追求が少し甘くなっているように感じられます。この救済策の一案として、月に1〜2編くらいは限定された範囲のものを、もう少し深く追求する記事を企画できないものでしょうか。
(エイトコンサルタント 石井憲郎)
【編集委員会からのお答え】
今後の編集方針のひとつとして、検討いたします。
【ご意見・ご要望など】
特にいらない記事はないが、宣伝や会告が多いと感じた。
(九州大学 石川いずみ)
【編集委員会からのお答え】
宣伝は貴重な収入源であり、簡単に減らすことは難しい状況です。会告は、ウェブサイトを使うなどして,数年前と比較すると量は減少しています。
【ご意見・ご要望など】
前回のモニターでも書かせていただきました通り、久しぶりに学会誌を読み大変おもしろく楽しませていただきました。今回も勿論面白かったのですが、ちょっと量が少なくありませんか?(まじめに前回のものと比較しておりませんので、違っていたら勘弁を。
(千代田化工建設(株)海外プロジェクト本部 清水啓之)
【編集委員会からのお答え】
2月号全体のボリュームに関するご感想、ありがとうございました。今後の各号のボリュームを考える際に考慮いたします。
Copyright 1996-2001 Journal of the Society of Civil Engineers