土木学会誌5月号モニター回答
■表紙・裏表紙
裏表紙(トータルデザイン)
まさに、わが意を得たり、という内容でした。個々の構造物ごとには特色ある意匠が工夫されていても、周囲の風景への納まりが悪かったり、構造物ごとに特色がありすぎて全体として雑然とした印象を与えてしまっている例は、少なくないと思います。トータルデザインという考え方は、前記のような落とし穴を克服し、美しい国土の創出という本質に立ち戻ったもので、このような思想が定着しつつあることを知り、うれしく思いました。
(鹿島建設 吉田 輝)
表紙に「土木学会誌」とだけ書かれているので、特集が何かとかわからなくて困ります(背表紙にかいてあっても・・・)。先月号でも感じたのですが、特集の最初のページを読んでて、「あれ、今月号の特集ってなんだろう?」と思いました。心の準備ができていないところに不意打ちをくらったような感じでした。一般の雑誌は、表紙に記事の題名がぎっしり書いてあって、目を惹きつけるのですが、書店に今月号の土木学会誌が並んでいても一般の方の目を惹きつけられないと思いました。まあ、どうでもいい話で申し訳ないですけど。
(東京大学大学院 田中泰司)
つまらない話で恐縮ですが、なぜ表紙がボケているのでしょう。明確な意図の下にわざとボカしているのでしょうが、せっかくの表紙ですから、鮮明な画像を期待します。
((財)漁港漁村建設技術研究所 宇賀神 義宣)
■特集 海外建設プロジェクト入門
我が国の海外建設業務について興味を持っていたため本特集を読ませて頂きました。我が国の技術力を各国に提供するには数多くの諸問題があることが実感させられたような気がする。個人的には現地における言語さえクリアしたならば何とかなるだろうという思いがあったが、現地の社会性、常識、習慣を考慮したプロジェクトの進行の必要性およびその難しさに気づかされた。問題別に、分かりやすく分類化された事例紹介であったので読みやすかった。ジョン・ディキソン氏の抄訳も良かった。
(ダイヤコンサルタント 大口伸生)
記事全般を通じ、企画趣旨で言うところの技術以外の法務や財務分野の重要性を伺い知ることのできる特集であった。今回は入門編としての制度の紹介等が主であったが、海外ではこれらの制度が導入されて年数を経ているはず。そこで、続編として、年数を経てみなければ把握しにくい、これらの制度の問題点や改良点、PFIにより運営されている施設の現状について各分野における代表事例を用いるなどしてこのような特集で紹介されることを望む。
(国土交通省 片山壮二)
大変興味深く拝見させていただきました。海外プロジェクトは土木技術者に残されたフロンティアのうちの1つであると思います。ただし、現在の自分と比べてみると、語学力やリーガルマインドなど不足している点もかなりあることが実感されます。ベトナム・フーミー3号発電IPPに関する文章の倉光氏は情熱があり、自分も頑張らねばと感じました。John Dickison氏の英文の掲載も良いと思います。英文掲載は特集とは別途でも良いので継続することを希望します。
(電源開発(株) 大島寿哉)
「土木技術の開発途上国への貢献を考える:変わりつつある日本のODA」(1月号)、「グローバルな視点で水問題に挑む」(3月号)に続く、今年3回目の海外がらみの特集でした。このような、海外に目を向けるきっかけがどんどん提供されることを歓迎します。今回の特集では、国内の建設市場が先細りする中、海外へ活路を見出そうと格闘するゼネコンなどの生々しい現実が伝わって来、他人事と思えませんでした。建設マネージャーの需要に対応できる人材育成システムの整備は、緊急の課題であると思います。一方で、実力のあるエンジニアにとっては、自然条件や各種条件が国内と大いに異なる海外への展開は、本領を発揮する絶好の機会であり、前向きに考える必要があると思います。ある程度報酬が良くないと、割に合わないのかも知れませんが。
(鹿島建設 吉田 輝)
海外事情やプロジェクトマネジメントなど興味深かった。技術的、工学的な内容でなく、法務、会計、交渉などについても取り上げられていて、逆に新鮮であった。また、英文抄訳がついていたのは親切で好感を持った。今後の国内事業についても学ぶ部分が多いと感じた。
(西武建設(株) 三村 卓)
■海外建設プロジェクトの流れ
海外建設プロジェクトの始まりから終わりまでの流れがよくわかり、プロジェクトのフェイズごとのポイントも端的に示してありよかった。
日本社会の義理人情的なウエットなプロジェクトの世界にいると、ドライでシビアな海外プロジェクトの感覚を忘れがちになっていたが、プロジェクトをマネジし、コントロールするという意識は忘れないようにしたいと再認識した。
(太陽コンサルタンツ 田澤秀明)
今回の海外建設プロジェクトの特集は、とても興味深い内容でした。依然私は、契約事務を実施するなかで海外企業が応募し、その募集資料等のやり取りに苦労した経験があります。それは、海外事業への理解とコミュニケーション不足が原因でした。PMやCMの書物は、書店で探しても洋書だったり日本語でも難しく、なかなか理解出来ませんでした。しかし今回は、海外事業プロジェクトの流れが実例を伴って解説され、とても分かり易かったです。今回の文書で「Bidとは一番札を取るもの、Changeとは利益を出すもの」という部分は、とても印象的でした。これからは、土木技術者としてOJTと知識をしっかり身に付け、それを活用できるように少しづつ努力していきたいと思います。
(日本道路公団 税田賢二)
■欧州における公共サービスのファイナンス
様々な民営化のパターンがあること、イギリスとフランスで民営化の方式が異なること、上下水道やゴミ処理、電気、ガスなど地方公共サービス部門で民営化が進んでいることなどが理解できた。
今、日本の地方公共団体はこれまでの事業の借金が蓄積し、財政の悪化が著しく、従来のように公共投資ができない状況になっている。住民からの利用料徴収ができる地方公共サービス部門については、それぞれに適した民営化の導入により、民間の厳しい目を通して建設コストを大幅に縮減し、事業の実質的拡大を図り、サービスが多くの国民に行き渡るよう工夫していくことが必要だと思う。
((財)漁港漁村建設技術研究所 宇賀神 義宣)
■プロジェクトマネージャーとリーガルマインド
日本企業が国際競争力を蓄えるためには、PMの質をあげること、特に契約や法律に対する意識改革を進めることが不可欠であるのは異論がない。日本がこれまで蓄えてきた、なあなあ主義や甲乙契約は確かに国際的には通用しない。これらの日本独自の文化が日本企業の海外進出のネックになっていることは確かで、早急に是正しなければならない。ところで、契約に関わるクレーム処理を西洋式に行った場合、事務処理量は膨大になるような気がするが、それに伴ってプロジェクトトータルのコストは下がるのだろうか。この方面のことは不学なのでわからないが、日本国内で新規プロジェクトを実行できる経済的な余力があと30年くらいであるといわれている中、契約方式を西洋的に変革するのは好ましいのかということに興味が沸いた。結局、やることは一緒なのでリスクのしわ寄せがどこに行くかという議論なのかなあと感じたのだが。これまでの日本式ではこのリスクのしわ寄せは、末端の労働者の時間賃金を下げるという形で解決していたと言える。適切で明確な契約を交わすことで、この不公平感は是正され、よりよい労働環境が達成されると思うが、トータルコストは上昇するであろうから、今後整備可能な建設物の数は減少する。それによって、社会基盤整備が不足したまま経済余力がなくなってしまうという事態は起こり得ないのであろうか?ともあれ、今後も慎重な議論が展開されることを期待している。
(東京大学大学院 田中泰司)
そのプロジェクトが成功するか失敗するかは専らPM(プロジェクトマネージャー)の出来の良し悪しによる、プロジェクトの円滑な推進のためには法務担当者を上手に使うことがコツ、など主張が端的でわかりやすい。
国際建設プロジェクトは、リスクが大きく、その経営は「板子一枚下は地獄」の世界であるという。私も、「板子一枚下は地獄」の漁業の世界に関わりを持つが、漁業でもPMにあたる船頭、すなわち漁労長の能力がその漁船の漁獲を左右する。PMには法務部門の支援が重要であり、漁労長には水温や気象等に関する正確な情報のアシストが重要である。
PMや漁労長一人にすべての責任を負わせるのではなく、チームワークで仕事を行うことも必要だと思うが、やはり現場なるとPMに絶大な権限を持たせる今のやり方の方が効率的なのだろうか。
((財)漁港漁村建設技術研究所 宇賀神 義宣)
■Is CM Coming to Japan?
普段ランプサムの仕事をしているので、常に工期オーバー、予算オーバーの心配をしている。それに比べると CM 方式は理想的である。しかし、基本設計の部分は、CM 方式を採用することにより、顧客、業者双方に利点があることは比較的分かり易いが、詳細設計、工事となるとまだランプサム契約を望む顧客が多いのではなかろうか。業者側もオープンブックに対応できるような体制はまだまだできていないと思うが、ジョンディキソン氏の言う「現場監督が1日18時間労働で働く」というようなことをなくすためにも日本で CM 方式が根をおろすことを期待したい。
(千代田化工建設 森田 光)
日本におけるCM方式導入の可能性について論じている内容であった。
近年、わが国においてCM方式に対する関心が高まっており、今年の2月に国土交通省より「CM方式活用ガイドライン」が策定された。しかしながら、CM方式に対する取り組みは始まったばかりであり、導入にあたっては様々な課題も多く残されているのが現状であろう。世界では一般的であるこの建設生産・管理システムが、今後、日本でどのような形で展開され機能するか、非常に興味があるところである。
(西武建設(株) 辻田 陽一郎)
今回の特集では、CM(コンストラクション マネージメント)とPM(プロジェクト マネージャー)というアルファベット2文字の言葉がよく登場した。PMはわかりやすい。一方、CMは、アメリカの建築の1/3に適用され、巨大な利益はもたらさないが確実な利益が期待され、技術力が発揮でき、プロジェクトを楽しんでできる、これからの日本の建設業界で大いに期待されるCM専門家(建設マネージャー)、ということなのだが、CMの具体的イメージが依然として浮かんでこない。読み方が雑なのだと思うが、CMとは何か、端的でわかりやすい説明があればいいと思った。
((財)漁港漁村建設技術研究所 宇賀神 義宣)
■海外ジョブのプロマネの要件
建設マネジメントに関しての海外の状況がよく整理されており、国内で多くの施主の方と各工種の施工を担当させて頂きました私にとっては、過去を振り返えりながら興味深く読ませていただきました。
D章の「 日本では契約が発注者に有利に展開している。」ということですが同感です。特に、甲・乙のバランスが片寄っている状況での変更・追加工事というものは、施工会社にとってはなんとも頭の痛いもので、リスクを伴なうものです。
その時に、すべてとはいいませんが、変更協議書など、打合せで認めてはもらっている変更であるけれども、戻ってくる書類には、施主担当者の承認がない状況で、施工しなければならないことが存在することも現実です。
契約は平等でも、実質的には圧倒的弱者のゼネコンですが、それでも必死に工事進捗を確保し、良いものを作って施主との信頼関係を維持するよう、日々最善を尽くしています。少しでもお互いのリスクが軽減され、技術者としての醍醐味を安心して味わえればと思います。
(大林組 小石川 隆太)
欧米人は異文化という発想がないという指摘は、まさにそもそもの発想が違うのだなと認識させられた。一時期流行した、「日本の常識、世界の非常識」といったところであり、このことを肝に命じておかないと、痛い目にあうことだろう。そして、このあたりの認識は、プロマネ1人が心得ていればいい話しではなく、海外で仕事をする上では、1人1人が認識していないと、成果が上がらない結果となるように思う。そういった意味では、プロマネを選抜して育成するだけでなく、周りも学習できるようになれば望ましいと思われる。そして、このような取り組みを進めた会社であれば、海外で活躍するだけでなく、国内においてもその進化したマネジメント能力でもって、大きな成果を上げることができるのではないかと感じた。
(関西電力(株) 大江直樹)
海外から戻って来られた技術者は、日本との違いに驚嘆しつつも国際的に通用する思想を学んで帰って来られる方が多い。そういう方々の話を聞くにつけ、興味が惹きつけられ勉強になる。一方で、いったん海外に出た技術者は、日本国内では使えない人材になってしまうということを知り合いから聞いたことがある。日本的な人脈的な世界についていけなくなるからだそうだ。確かに、日本と海外とでは環境にあまりにギャップがあるようだ。全体として国際的に通用するマネジメント体系に移行するのが望ましいが、国際的な技術やマネジメントを学んだ人々を排除しているのが現実だとすれば、日本企業は何十年経っても競争力を養えないままでいることになるだろう。ありとあらゆる分野で日本的な慣習が、新しいものを拒絶する。これを乗り越えるのは相当な時間を要すると思われるので、西洋の後追いをするよりは、日本発のものを広げていかないと勝ち目はないように思う。
(東京大学大学院 田中泰司)
■海外工事におけるクレームと解決方法
日本においてクレームというと苦情という認識であり、言う方も言われる方も気分の悪いものだが、海外工事におけるクレームとは、契約書の規程に従った正当な権利の請求ということで、正々堂々と行うべきものであり、これがないと交渉も始まらないということがよく理解できた。ただ、国内でのみ仕事をしていると、このような過程を経験することもないため、残念ながらなかなかこのような対応能力が向上しない。しかし、このような海外の常識のうち優れているところがあれば、積極的に導入する方が得策であるだろうし、いきなり海外にて初体験する前に慣れることも必要だろう。そして、このような能力差は、特に海外にて仕事を行う機会の乏しい発注者側に多く見られるだろうから、このあたりの教育をどうするかも重要な問題であるように感じた。
(関西電力(株) 大江直樹)
■米国における建設マネジメント教育の最近の動き
建設マネジメント教育については、最近その必要性を感じている。米国のマネジメントの人間と話をしていると、彼らは建設マネジメントの教育をちゃんと受けているということを感じ、こちらの知識のなさを痛感する。コンストラクション、ビジネス、エンジニアリングの3つの分野をカバーするような教育は、マネジメントを行うためには重要であり、今後海外での仕事を行う際にはこのような教育を受けていることを要求されるようになることも予想される。学科名を[工学技術」から「コンストラクションマネジメント」と変えることによって人気が出た事例が挙げられているが、「コンストラクションマネジメント」学科は日本でも人気が期待できるのではないだろうか。
(千代田化工建設 森田 光)
■特集を終わって
特集についての最後のまとめであり、かなり意味があると思う。追加欄的な扱いをせずに、1ページを割いてもよいのではないだろうか。
(電源開発(株) 大島寿哉)
■プロジェクトリポート 岩盤・斜面崩壊のリスクマネジメント技術の開発
維持・管理の合理化は多くの企業・自治体が取り組んでいるが、道路斜面ほど対象の数が多いものはない。そういう意味でこの取り組みは他の企業などの良い参考事例になると思う。
(関西電力株式会社 西川 亨)
大雨の後に、斜面崩壊等のニュースが報じられる度に、心をいためておりましたので、興味深く読ませていただきました。掲げられた4つの技術のうち、特に、「予知技術」の発展に期待します。
(大成建設(株) 町田 晋)
■技術リポート 高盛土の安定性工場と急勾配化への挑戦
土を主材料としての、勾配1割の斜面というのは、想像するとかなり危ないものであるが、それを可能にしたこの工法は興味深い。片持梁完成状況の写真は、この斜面の安定性を納得させるものである。環境の保護という条件を考えると今後このようにコンクリートを使わない法面工法が増えていくのだろう。
(千代田化工建設 森田 光)
■土木紀行 海軍がつくった日本初のアーチ式堰堤
現在では苔がびっしり生え、木立がすぐそばまで迫っている「大湊第一水源地堰堤」は、人工建築物とはいえ自然と一体化していてまさしく「ひっそりとたたずむ」という表現がぴったりだと思いました。この趣ある雰囲気を壊さないような保全の形を期待します。
(京都大学環境質制御研究センター 鈴木祐麻)
歴史的遺産を守るために、努力された方々に敬意を表します。現行のバイパス、橋梁建設に、この遺産が、悪い影響を受けないように、関係者各位の努力に期待します。
(大成建設(株) 町田 晋)
■海外リポート ヴェエトナムの紅い河に架かる橋
今月に限らず毎月のことだが、海外レポートはある国の概要、事業・工事の内容を簡単にまとめただけの記事が多く、読み物としてあまり面白くないと感じられる。
(関西電力株式会社 西川 亨)
税金がODAを経由して発展途上国の発展に大きな役割を果たしていることがよくわかる。日本国内では段々と環境に対する意識が高まってきているが、途上国ではまだまだ環境保護よりも経済発展の方が重視される傾向が強いと思われる。地球全体の環境保全を考えると、今後はODA対象プロジェクトも環境を強く意識したものへと重点を移してゆくべきであろうと感じた。
(大阪産業大学工学部土木工学科 波床正敏)
■火山荒廃地の緑化
約10年ほど前、普賢岳を訪れた時の状況(民家に巨大な岩が突き刺さり、灰などに全てが覆われていた)が写真-2,3にまで回復していることから、緑化工の威力と、自然回復力の偉大さに感服しました。また、著者の懸念事項ももっともなことではあるが、表面流砂防止などには充分な効果を発揮していると思う。
(五洋建設(株) 檜山博昭)
雲仙普賢岳は、火砕流・土石流の傷跡が生々しい頃の様子を見ていたので、最近の緑の繁茂ぶりには「自然の回復力はたいしたものだ」と感心していた。ところが、荒廃地の緑化のために様々な工夫がされていたことを知ってますます感心した。このような荒廃地の緑化は、二次災害の防止という重要な役割を持っているのは当然であるが、現地を知る者としては、住民の精神的なダメージの回復にも一役を担ったような気がしてならない。
(太陽コンサルタンツ 田澤秀明)
普賢岳の火山荒廃地における広範囲にわたる緑化の事例紹介であった。航空緑化工を実施して森林であった地域の19%(2640ha)を施工対象としたとのこと。今後、航空利用が期待されてくるであろう。技術的な砂防、流路工のみによらず、緑化再生は意義あると考えられるが、周辺群集との不調和、生態系の変化などについても留意すべきであろう。なお有珠山では、噴火経験を後世に残すために自然のまま手をつけない区域を設けている。そのような取組みも重要である。
(西武建設(株) 三村 卓)
火山の噴火による荒廃地も「自然」であり、緑といえどもわざわざ人間が手を加えた物を「自然」と呼ぶのか?と題名を見て感じました。しかし、土地が狭い国家ゆえ、火山のすぐ近くまで人が住んでいるという実情などを考えると、始めに感じた疑問が解消されすっきりしました。
(京都大学環境質制御研究センター 鈴木祐麻)
■自然の回復力を引き出す砂漠化地域の緑化技術
乾燥・半乾燥地での緑化については、もうかなりの期間に渡り世界各国が研究を続けているにもかかわらず、毎年莫大な面積の土地が砂漠化してしまっています。それだけ、砂漠化の進行を食い止めるということは困難であるということだと思います。乾燥地では、極端に降水量が少ないわけですから、乾燥地での緑化を考えるよりも、半乾燥地で比較的降水量に恵まれている所から乾燥地を包み込むように少しずつ緑化をしていき、緑化の範囲を徐々に広めていくのが良いのではないでしょうか。砂漠地帯にも国境があるため、緑化に対する施策・考え方等も異なり難しい面が多々あるだろうと思いますが、砂漠化の進行を食い止めるためには、国境を越えた取り組みが不可欠だと思います。
(農林水産省 村下秀文)
一度砂漠化した土地を再び緑地化することは当然困難なことです。さらに現在の最先端の技術を使っては実用的ではないということに難しさを感じざるをえません。うまく自然が持つ回復力のポテンシャルを最大限に引き出せるような方法の発見を期待します。
(京都大学環境質制御研究センター 鈴木祐麻)
■外からみる土木 変幻自在材料と土木の調和
今回から連載開始となったこのコーナーは以前から他分野との連携に興味を持っていたことから隅々まで読ませて頂いた。他分野への結びつきに興味を持ち、共通点を模索する姿勢は今後の土木の発展の一財産となると思う。一技術者として、一分野に固執せずこの姿勢を持ちつづけて行きたいと思う。今後の記事が楽しみです。
(ダイヤコンサルタント 大口伸生)
非常に興味深く読ませて頂いた。現在の科学は1つの学問の領域がかなり、曖昧なものとなってきている。また、土木業界に求められているニーズが多様化している現在、従来の土木学の中だけで議論を終わらせると自ずと見方は偏ってくるし、限界があるのではないであろうか。新しい発想、理論は思わぬ所から来るという。土木学の中だけで物事を考えているだけでは新しい発想はできないのであろうか?今後、私が土木の世界で生きていく上で非常に良い刺激となった。
(五洋建設 羽田 晃)
本編では、化学材料としてゴムを取り上げていますが、土木分野ではゴムだけでなくプラスチックなどの化学材料や固化処理に用いる水ガラスなど多種多様な化学材料と共に技術進歩が進んでいるものと考えます。土木分野の技術者のテリトリーは想像以上に広く後述にあるような新たなものを取り入れていくことは当然のこととなっていると思います。新たなものを拒むような分野ではこれまでの技術進歩はなかったのではないでしょうか。
(五洋建設(株) 檜山博昭)
土木工学の幅の広さ、奥行きを認識する目的で「異分野との関わり」を探るという視点には共感する。ただし今回の記事のように具体の材料との関係が「外」と言えるかどうか、見解が分かれると思われる。第2回以降の連載予定を見ると、まさしく異分野の視点と思われるので期待している。
(国土交通省 片山壮二)
なかなか興味深い連載が開始されたと思う.土木が対象とするフィールドはとても広く,様々な専門分野が存在しするため,現実に他の(土木以外の)分野との接点も数多い.この連載はそのような土木との接点を持つ,他のフィールドの専門家へのインタビューであり,土木を学ぶ学生が,土木における自らの位置づけを認識するような,連載になってほしいと思う.最終回でも良いから,土木の専門家を含めて座談会などをやってみたらどうだろう.
(京都大学 菊池 輝)
専門分野に特化することは悪いことではないとは思いますが、技術者は多分専門だけのことをしていると思考の柔軟性を失い、幅が狭められると思っています。この特集のような他分野からの視点からでないと指摘できない事項は多々あると思います。全5回の特集とのことですが、できれば毎回どこかに他分野からの意見を掲載するのも良いと思います。
(電源開発(株) 大島寿哉)
新しい材料を使うことについて、往々にして違和感を感じるのは土木屋の性のようなものなのでしょうか(私も含めて)。いろいろな材料の分野で技術革新が進んでいることを知っていても、「固定概念とはなかなか抜けないものだ」ということを自覚して、柔軟に好奇心をもってものを見ていきたいと思う。
(太陽コンサルタンツ 田澤秀明)
土木構造物の構築には純粋な土木技術だけでなく、生物・化学など様々な分野の技術が不可欠である。これらの分野に土木技術者が進出することにより、現在認識されている狭義の土木技術以外に広義の土木技術という概念ができると思う。
(関西電力株式会社 西川 亨)
「材料に対する違和感をもたずに、柔軟に発想して欲しい」とゴムメーカーの方より話がされていたが、素材の特性を知って、生かしてゆくことが今後、必要と感じた。
(西武建設(株) 三村 卓)
筆者が異業種と交流し感じたこととして、「相手の分野が何を求めているかを理解していないと新しい技術は進んでいかない」ということだが、まさに必要は発明の母といったところだろう。そして、ゴムに対しては耐久性をよく問題視されるが、実際のところは耐久性がないのではなく、ただ使われてこなかったという実績の問題だけという指摘も、ゴムに限らず実績を重視し過ぎる姿勢を批判されているように感じ、反省させられた。ただ、「良いものですから使って下さい」というだけで売れるはずもなく、その特性を生かし、柔軟に、フレキシブルな発想を付加していくことが必要であり、このことは我々が設計・施工管理・維持管理に携わっていく上でも、非常に大切なことであると感じた。
(関西電力(株) 大江直樹)
おそらく学生会員にも役立つ記事としてスタートしたシリーズと思われますが、それ以外の人にもたいへん新鮮に感じられる記事内容である。次号以降も連載が続くようであるが、是非末永く続けてほしい企画である。(マスコミ編とか、文学編とか、政治編とか、心理学編とか・・・)
(大阪産業大学工学部土木工学科 波床正敏)
この対談でも触れられていたように、化学の分野と、土木とは、わが国では、あまり風通しがよくないと、私も思います。土木技術者が、もっと材料の知識に通じることができるような、システム(大学のカリキュラム、会社の枠を超えての研究会等)が確率されることを期待します。
(大成建設(株) 町田 晋)
建設の分野においてもゴムは構造物の一部として広く使用されている.建設図書出版の「橋梁と基礎」を見ると,タイヤメーカーで有名なB社やY社の免震ゴム支承の広告が出ています.ゴム支承は,橋桁と橋脚の接点で負荷を吸収し,構造物の損傷を防いでいる.また,ビル等の免震装置にも積層ゴムが使われています.ゴムというと軟らかくて荷重を受持つ部材として使用するのは,無理ではないかというイメージがあるのですが,実は構造物を陰で支えてくれていたりします.ゴムは劣化しやすく耐久性に劣るという先入観がありますが,近年の技術開発により,高性能,高耐久性の製品も開発されていると思います.減衰部材以外でも構造部材として広く普及する可能性があると考えられます.
(東京大学大学院 金田尚志)
■技師八田輿一と烏山頭ダムのこと
台湾の烏山頭ダム建設にあたり尽力をつくされた八田與一技師の紹介であった。完成後70年経った現在でも、この大事業を完成させた恩を忘れることのない地元の人々により、技師の命日には慰霊祭が行われているとの事である。人々の生活を豊かにするために命を捧げた技師、そしてその恩をいつまでも忘れない住民、この両者に強く心を打たれた。
(西武建設(株) 辻田 陽一郎)
「烏山頭ダムと八田興一」の話しは、ふだんダムに関わる仕事をしている私にとっては、以前からとても貴重な話しの一つです。時間の経過と仕事の忙しさにかまけ、いつの間にかどこかに置去りにしていました。少し前の話しであればNHKの某番組に取り上げて頂きたいような話しです。読ませて頂き、著者に感謝しています。八田興一という偉大な技術者が「人々に喜ばれ」「人々の生活の役に立つ」「地域に根ざした」、今も十分に機能しているすばらしい構造物を構築したということは、まさに公共事業の原点に立っているような気がしました。
(水資源開発公団 吉田好浩)
八田技師の功績は、日本が誇るべきものである。台湾の人々に敬愛されていたようであるが、すさまじい努力を必要とする困難な事業であったとうかがい知れる。去年には記念館を建立したとのこと。台湾に行く機会があれば、烏頭山ダムをぜひとも見てみたい。
(西武建設(株) 三村 卓)
最近、土木の匿名性は責任をあいまいにするとして、非難を浴びることがあるが、私は匿名性こそ土木の美徳だという信念を持ち続けたいと思う。台湾の地で、治水・灌漑事業に尽力を注ぎ、今なお土地の人々から愛されるような八田技師の気概と信念に感動を覚える。人知れずたたずむ土木構造物の中には、技術者たちの熱い思いが込められていると思うと、自分もこの道を志したことに誇りを感じざるえない。
(東京大学大学院 田中泰司)
■この本
「科学者としての専門性とだだの一市民としての感性や視点を両立させる」(記事から引用)ことの難しさは、土木技術者なら多かれ少なかれ誰しも感じていることでしょう。技術者としての野心と、一般社会からの需要、この両者のベクトルが一致するとき、技術者冥利に尽きるわけですが・・・。たとえこの本の著者ほど強烈な人生を歩まずとも、一般市民からの視点を見失わないようにしたいものです。
(鹿島建設 吉田 輝)
■なぜ晴れた日の夜間に橋が凍結するのか ?
トピックス性もあり、問題提起もあり、簡潔にまとめられていて良かったと思う。このような記事を告知板とは別にコーナーを設けてはどうかと思う。
(ダイヤコンサルタント 大口伸生)
以前に,道路橋鋼床版が凍結しやすい理由として橋下から冷やされるので凍結しやすいという常識があるが,実は日没後は,床版の温度が下がり深夜から早朝にかけては,鋼床版側からみると河川水からの放射熱によって暖められているという文献を読んだことがあります.このため,床版下面を断熱することは,昼間の路面をより高温にし,早朝の路面をより低温にするともありました.我々一般人には不思議な現象であり,晴れていて気温が0度以下だから凍結はしないだろうと考えやすいが,実は気温よりも路面温度が低くなっており,露点以下であれば霜が付着するのである.福原先生が書かれているように,気温表示よりも路面温度表示をした方が有効であるかもしれません.
(東京大学大学院 金田尚志)
■土木学会関東支部講習会−第13回−「土木技術者に求められる資質と素養」開催される
見て聞いて土木の動きにて、土木学会関東支部講習会として「土木技術者に求められる資質と素養」を開催したとあったが、機会があれば、その内容を紹介して欲しい。
(関西電力(株) 大江直樹)
■学会誌全般へのご意見、編集委員会への要望等
現在海外プロジェクト部門で仕事をしているため、今回の海外建設プロジェクトの特集は、日常業務と関係が深いものであり、非常に参考になりました。現在苦労しているのは、欧米流のスケジュールコントロール、マテリアルマネジメントです。次の機会にはこのような話題も取り上げていただけたらと思います。
(千代田化工建設 森田 光)
「写真で綴るその時の一枚」はもう完結してしまったのでしょうか?もし今号での休載であれば、そのコメントがあった方がいいと思います。
(ダイヤコンサルタント 大口伸生)
今回の「外から見る土木」は非常に興味深く読ませて頂いた。これからの社会はある1つの専門性に固執して解決していく方法と他の学問からヒントを得て解決していく方法の2通りが主流になってくるであろう。土木技術者が土木技術者の殻を破って総合技術者になるためにも、土木学会誌に他専門を紹介する紙面があっても良いのではないか?
(五洋建設 羽田 晃)
「見て・聞いて・土木の動き なぜ晴れた日の夜間に橋が凍結するのか?」を拝読し,思ったのだが,専門家にとっては当然のことであっても,他のフィールドの人間からすれば,疑問となる点が多々存在するであろう.各フィールドの専門家が日頃よく問われるような質問のうち,最新の土木技術に関連した話題を取り上げて解説して頂く企画などあれば,興味深い.
(京都大学 菊池 輝)
英文に、土木技術用語のワンポイント解説など欄を設けては如何であろうか?より、読みやすくなると思う
(電源開発(株) 大島寿哉)
日本という居心地のよい環境の中で仕事をしていると、少々のCHANGEもCLAIMもうやむやの中で済まされてしまうことがある。甲乙の信頼関係と言ってしまえばそれまでかもしれないが、このような関係がプロジェクトのコントロールに悪影響を与えているように思える。性悪説までいくことはないと思うが、この国においても非日本的なアプローチがある程度必要な気がする。
(太陽コンサルタンツ 田澤秀明)
長期の保存性等の検討は必要と思われるが、一部のページはツルツルの上等な紙をやめて、再生紙に変更しても良いのではないだろうか・・・と書きかけて、奥付けをよく見ると、学会誌って再生紙使用なんですね。
(大阪産業大学工学部土木工学科 波床正敏)
土木学会誌への投稿者,記事担当者の写真が出ている場合と出ていない場合がありますが,この基準はどのようなものでしょうか?
タイトルと筆者名の間にはスペースに余裕がある場合が多いので,ことわりのない限り,顔写真入りとしたらいいのではないでしょうか? 多分野の先生方の中では,よく名前は拝見するが,どんな方かわからない場合も多いので.
(東京大学大学院 金田尚志)
■編集委員会より読者の皆様へ
4月号に対して寄せられた「会員の声」に対する編集委員会からの回答です。以下に掲載した他に多くの企画提案および表記の改善提案をいただきありがとうございました。これらのご意見については個々に回答はいたしませんが、編集委員会で検討させていただき、今後の土木学会誌に生かして行きたいと考えております。
【ご意見・ご要望】
入会申込書.行事参加申込書・図書購入注文書の類は本誌から切り取りやすいよう工夫をされてはどうでしょう.コピーをとるのが前提でしょうか?また,表紙の写真はシンプルで好きなのですが「土木學會誌」の字が見にくいです.
(京都大学 菊池 輝)
【編集委員会からのお答え】
入会申込書等は学会誌に掲載されたものをコピーしてお使いいただくことを考えております。紙面にミシン目を入れれば切り取っての使用が可能ですが、この場合は製本の費用が増加してしまいます。この点、ご理解をお願いいたします。
表紙の文字が見にくいとのご指摘は、他のモニターの方からも寄せられておりますが、5月号からデザインを変更いたしました。
【ご意見・ご要望】
本と私ですが、土木関係の先達の人生観を知る機会となり、また本を知るきっかけともなり毎回楽しみにしています。今回記事がなかったのが残念でした。
(国際協力事業団 江塚利幸)
今月号は、「時局を論ずる」、「本とわたし」などシリーズもので毎回楽しみにしていた記事が取り扱っていなくて、残念であった。4月(あるいは3月)から、新しい企画を取り入れていることもよいが、ないことの説明もしてほしい。
(西武建設(株) 三村 卓)
【編集委員会からのお答え】
「時局を論ずる」「本とわたし」は、毎号、担当の編集委員が人選し、執筆依頼をしておりますが、都合によりどうしても掲載できない月もあります。この点、ご理解いただければ幸いです。
【ご意見・ご要望】
新しい土木学会図書館の特集をしてもらいたいです.
(東京大学大学院 金田尚志)
【編集委員会からのお答え】
内容を考えると、土木図書館のみを対象とした記事を特集としてまとめるのは無理があります。新しい図書館についてのお知らせは、紹介記事の形で掲載する予定です。
Copyright 1996-2001 Journal of the Society of Civil Engineers