土木学会誌
土木学会誌8月号モニター回答


表紙・裏表紙
学会誌の裏表紙の詩,良かったですね。写真も詩にマッチしていたと思います。作者の方は下のプロフィールを読むと学生なのでしょうか。今の感性を大事にして今後も頑張って欲しいと思います。
(ドーコン 野田敬一)

時局を論ずる 土木技術者よ,ミッションを待て!
全体として共感できるが,その際に,なぜ,「巨大な事業は無駄だ」と言うような論調が出てしまうのだろうか。「きめこまやかな小さい事業が大切」,イコール,「大事業は無駄」では無いはずである。巨大で巨額を要しても,必要なものは必要であるのでは。
もうひとつ,オリンピック施設やワールドカップの競技場をよく無駄の代表にしているが,私からすれば,それを活かそうという方向で論じていないスポーツ(施設)に対する扱い自体が悲しい。
(日本鉄道建設公団 水越 潤)

公共事業の問題は公になってから久しいが一向に解決に向かっていないように見えます。政治屋,代議士の利益要求や官庁の既得権のためだけに進められているような気がしてなりません。是非,地域経済の役に立つような公共事業が行われるのが当然と言えるような社会にして欲しいものです。
(東洋エンジニアリング 菅原紳二)

本記事の著者は,テレビなどでも有名な政府の経済政策,公共事業及び建設業界のあり方に厳しい論評をされる金子先生である。このような方が土木学会誌の巻頭を飾ることにはまさに隔世の感があり,土木学会の懐の深さとともに我々を取り巻く状況に厳しさを再認識するしだいである。
著者は,日本経済の問題点は,バブルとバブルの破綻に対し,きちんと処理できなかったことが原因であり,公共事業の問題は,必要性がほとんどなくなってしまったものをつくりつづけていることにある。これでは公共事業に対する世間の敵視が広がるのも当然であり,土木も,時代の要請に応じて転換していかなければならないわけだが,既存の仕組みに引っ張られて変われないことが問題なのであると述べている。
また著者は,日本型インナ−シティ問題が始まっていると警告している。インナ−シティ問題とは,都市の中心において,生活者の視点からの都市機能が失われ,空洞化が起こり,街全体のゴ−スト化が進むことである。
このような状況下で,夢のある環境福祉融合型の街づくりに,土木技術がITなどの最先端の技術と融合しながら取り組んでいく,そんな根本的な発想の転換が必要だと提言している。
最後に,これらの問題を解決するために「土木はミッションを持った騎士団となれ!!」と締めくくっている。
以上,これらの指摘と提言は,我々土木技術者にとって極めて有用であり,土木技術の将来の一つの方向を示しているのではなかろうか。一読者として大変感銘を受けた。
今後とも,本記事の著者のような他分野で活躍されかつ業界に批判的な方の記事もぜひ取り上げていただきたい。
(大林組 佐村維要)

この「時局を論ずる」の欄は,学識者に鋭い切り口で論じていただくという主旨であるが,金子先生の論調は,我々土木に携わっている者としては耳が痛いものである。公共事業の問題点として必要性がほとんどなくなってしまったものをつくり続けているといった論調は,マスコミでもよく取り上げられているものである。
ただ,私としては,この論調にあえて反論したい。それは,今,必要でなかったら,未来永劫,必要でないのか?今の低金利時代に,将来を見据えて,何かすべきことはないのか?
全国一律の基準ではなく,地方の独自性に沿った形の,きめこまやかな内容となる公共事業は今以上に必要となると思われる。ただ,その部分のみ取り上げて,「地方分権」というのもおかしいと思う。まずは基幹となるもの,それは高速道路であり新幹線であるのかもしれないが,そういったものに集中的に投資し,それを活用していくことが重要ではないかと考える。例えば,高度救急医療施設(脳卒中,心筋梗塞など,緊急入院が可能な施設)はすべての市町村には設置できないが,高速道路を活用することにより,広域的な範囲を網羅できるかもしれない。同様に,箱モノと言われる諸施設(運動施設,文化施設)も各市町村に設置しなくても,隣接市町村と共同で利用できるであろう。つまり国土の全体を考えた計画があっての地方分権ではないかと思われる。
また,採算性重視という論調も多いが,本当に採算性のみにこだわるのであれば,これは地方切捨てにつながりかねない。私が以前住んでいた町では,100人未満の小学校が統合により閉鎖されるという。これにより一部の小学生は今までの倍以上の時間を掛けて通学する必要が生じるとのことである。さらに,高齢化を見据えて,バリアフリー化も必要であるが,これなどは採算性に全くのってこないものの象徴である。しかし,この政策に反対する人はいないであろう。このように,本当に必要であれば,国家的な立場で論じ,集中的に投資する必要があると思われる。
もちろん,コスト高や将来の維持管理方法等,金子先生が言われているような点で,今後,我々土木技術者が考えていくことは多い。その点は世間に納得してもらえる努力をする必要があると思われる。
(日本道路公団 田之脇良徳)

新しい街づくりをなど,既存の公共事業にかわり社会的に役に立つミッションを持たなければならないと述べられているが,多摩ニュータウン,港北ニュータウンのように新たな都市計画は行われてきていると考える。 しかしながら,世間に主張していかないので,いつまでも意味のない公共事業ばかり行われていると思われているのだと思う。新たな取り組みを一般の人に紹介する場をより多く持つことが,土木,そして公共事業のイメージ回復のためには必要であると感じた。
(横浜国立大学 桝谷有吾)

バブル崩壊やモノづくりの終焉などの転機を迎え混迷する今日において,なんとなく私なりに見えてきたものは,「自立」というキーワードだ。つまり,だれかをあてにするのではなく,自分のことは自分でやるということ。中央集権から地方分権への流れに始まり,拠出年金制度の導入や自助防災,公共事業も中央依存から地域重視の自立型への移行など,自立をキーワードに社会が変わってきているように思う。たとえば将来迎える少子高齢社会において,若者に依存せずに,自分のことは自分できる高齢者が多ければ,さほど問題にならないのではないだろうか。若者に依存することを前提に考えるから問題になるのだと思う。これまでどっぷり中央依存だった土木技術者も,その発想を切り捨て,自立する時がきたのかもしれない。地図のない場所を歩くように自分で考え歩む。「土木技術者よ,自立せよ!」まずは,Yシャツのアイロンを自分でかけることから始めたい。
(西武建設 関谷成人)

公共事業の転換点を迎えての提案。都市部の空洞化だけでなく,中山間地にも目を向けてくれているのが,地方の人間としてはうれしい。中山間地は深刻な状況にあるが,行政が施設を造り,住人が運営して収益を挙げ,過疎対策の実効を挙げている例もある。ただ,これが行政の発想からであることが寂しい面もある。金子先生の指摘は土木にかかわる人たちへの苦言であり,励ましであろう。
(山梨日日新聞社 深沢健三)

日本型インナーシティ問題を解決するために,「小さい公共事業」が求められていることに同感する。
それは,区画整理の手法を活用した「沿道整備街路事業」のように,狭い範囲で,同意できる権利者だけを相手にし,短期に,街路と沿道を同時に整備しようとする事業が始まっていることからも実感できる。それを「きめこまやかな」ものとできるか,現場の一技術者としては自信が無い。学会での研究や技術開発に期待する。
(東京都新都市建設公社 宇野久実子)

特集 計算力学の最前線
今回の特集「計算力学の最前線」大変楽しく読ませていただきました。この種の内容を数式を用いずに議論することは大変難しく,それゆえ,専門外の読者にはとかく難解になりがちですが,いずれの記事もわかりやすく議論が進められていたと思います。執筆を担当された方々のご配慮に感謝致します。特に,「複雑流体を予測する」では,流体の問題に限らず,数値解析研究に関する共通の問題点や,今後の研究の方向についてのご指摘が明瞭であり,筆者の意見に多くの共感を覚えました。参考文献に挙げられている論文もぜひ読んでみようと思っております。
(東北学院大学 石川雅美)

有限要素法で地盤の変形や,流出解析モデルによる浸水予測などを見ると,後ろに添付されている「計算結果」の分厚い頁が大きなブラックボックスに見えてきて,細かい計算をいくら行っても,現場の石一つで変形結果も変わるし,管渠の中にゴミが溜まっていれば,不定流の計算なんて全く変わってしまうヨなんて,斜に構えてしまいます。でも,今回の特集で解析手法の研究が格段に進んでいる(らしい)ことやそのアウトプットの美しさをみて,僕のような皮肉な愚問に対しても,計算が出来るようになるのではと思いました。このように普段の仕事では接することの出来ない,先端の分野,それも土木以外を含めて紹介していただて,視野が広がりました。
(大阪府庁 岡田敏男)

計算力学とはここまで進化してきているのかと感心しています。学生時代に取り組んできた有限要素法のイメージが強いため,Euler型解法やメッシュフリー法は新鮮な印象を受け,是非学んでみたいと思いました。
(JR東海 庄司朋宏)

「計算力学」というとあまり聞きなれない言葉であるが,日常行っている設計などの業務の中でもいわゆる電算による所は大きい。
私も版の応力度計算やマスコン解析などで有限要素法を用いた電算ソフトを取り扱うことがあり,今回の特集である計算力学の生い立ち〜最新技術まで興味深く読ませて頂きました。有限要素法などにより算出した結果については,その計算過程を手計算で追うことができないため,未だにある種ブラックボックス的な印象は拭えないが,「計算力学」の分野はまだまだ発展し続ける分野であり,それにより土木の業務形態も変化して行くことがよく解りました。
(三井住友建設 川又啓介)

理論と実験,そして計算の3つの力学を上手くバランスさせることが,計算力学を使いこなすために重要だと感じた。特集では計算力学の急速な発展の様子が詳しく紹介されていたが,これらの計算法はまだまだ使い方が難しいのではないだろうか?計算法のバックとなる理論や実験を正しく理解していないと,得られた解の評価も難しい。「計算力学とは」の中でこの点を指摘しているが,数値シミュレーションの使い方や難しさと言った面をもっと前面に出しても良かったと思う。
(東電設計 高橋秀明)

最近の研究動向が分かり勉強になりました。仕事の関係上,地盤を取り扱った記事も取り上げて欲しかったです。
(大林組 村井大亨)

数値解析についての非常に興味深い記事が集まっていた。特に大変形に対応する有限要素法に関する"2−2"や,マルチスケール解析を紹介した"2−4"は,私の携わる地盤工学ではぜひとも実用化したい手法と感じた。
また,インターフェイスを考えた数値計算方法であるイメージベース計算力学についての記事"2−6"も非常に興味深い取り組みだと思う。コンピューターの能力が向上するにしたがって計算モデルは複雑化する一方であるが,実務でのトライアルなどを考えると出来るだけ平易で楽な入出力は常に技術者ののぞみではないだろうか。
(環境地質 大久保拓郎)

今回の特集は,少しとっつきにくいテーマですね。ただ,土木の世界でも,こうした高度な技術を駆使しているということを示す意味では良いのかもしれません。意見が分かれるとこでしょうか。
(電源開発 坂田智己)

今号の特集だが,私の能力不足のため,難しくて読めなかった。学会誌の本領だが,こういう記事だけだと学会誌は自分の生活とは程遠い。もう少し具体的に,どういう課題の解決に役立つのか,企画趣旨の部分で触れてもらえると,研究が身近に感じられるのではないかと私は思った。
(匿名)

計算力学について全く知識がなく,計算力学に出てくると思われる単語や理論については全く意味が分かりませんでしたが,計算力学についての最新の技術,土木以外の幅広い分野について情報を得ることができて新鮮でした。また,寺田先生のおっしゃっている「本質にのみ目を向ける」という言葉が非常に印象に残り,この言葉は計算力学という分野のみに限らない重要なことであると思いました。
今後,公共事業がますます減少することは明らかですが,逆に個々の事業については現在よりも難易度が高く,より高度な技術力が必要になると個人的には考えています。その際にFEMなどのツールを用いて設計・施工の検討を行うことは,コスト削減,品質向上のために必要な手段の一つになると思いました。
(清水建設 太田智久)

土木工学だけでなく,流体力学・環境工学から生物学・医学などに至る幅広い分野での計算力学の最前線の現状を知ることができ,非常に興味深い内容であった。この特集を企画するに当たり,その分野での数値解析の第一線で研究されている方を調べ,記事を執筆していただくことに,土木学会編集委員の苦労も大きかったのではないかとお察しするが,その分,中身の幅が広く,かつ充実した内容であった。
実験にはバラツキを伴うが,そのバラツキですら解析でシミュレートできる日,つまり,数値解析が実験結果を超える日は,もう間近に来ているのではないか?ある分野では,もうすでに超えているのかもしれない。
当然,解析は万能ではないし,モデル化の設定やブラックボックスとなる解析の中身を知らずして,結果のみを鵜呑みにすることは危険であることは言うまでもない。しかし,この特集記事を読み,全ての物理現象のみならず,人間の行動パターンまでが全て解析でシミュレートされ,行動に迷ったときは,将来,携帯電話のボタンを1つ押すだけで,最適行動パターンが画面にはじき出される。今後,精度良い解析技術のさらなる発展に期待しつつ,少し寂しさと味気なさを危惧しながら,そんな時代が近い将来必ず来るような気がしたのは私だけでしょうか?
(中央復建コンサルタンツ 小阪拓哉)

今月号の特集である「計算力学の最前線」は,記事の内容を知らなかった方,理解しにくかった方が多かったのではないかと思います。しかし,第2章の数値解析技術に関するトピックスでは,(要約)を記載して理解の礎にする試みがなされており,良い編集であったと思います。これからも,このような試みを期待しております。
(電力中央研究所 佐藤隆宏)

1-2 計算力学の手法について
モニターである私も少々計算力学(主にFEM)をかじっていた時代を持つ。記事にもあるとおり,アスペクト比をどうするか?という問題については随分頭を悩ませた。
記事は,初心者にもわかりやすく,最近の動向も簡素にまとめられており,それぞれの解析法の得意・不得意が読めば解る内容であったと思う。若干わがままなお願いをさせていただくと,紙面が余ってる部分に各方法の一覧表を載せていただきかったと思う。
(土木研究所 大石哲也)

本号の特集は縁のない私にとっては非常に難解な内容であった。しかし,土木学会誌の読者層を考えれば,このような内容の特集があってしかるべきだし,私にもわかるようにもっとマンガや図を使って説明して欲しいなどと言うことは横暴だろう。この学問が工学分野全体で進んでいるということ,今後も非常に重要であることは理解できたし,コンピューターを使ってほとんどの業務を行っている以上,導入くらいは知っといたほうが良いと思った。
(清水建設 藤田 淳)

2-1-2 混相流を予測する 二相系格子ボルツマン法による数値解析
読み手の知識レベルの問題とは承知していますが,計算力学に不案内な者にとって,計算法解説記事を読んでも理解できず,土木への適用も想像できません。
標記の記事が特にわからないということではなく,特集記事全体(特に第2章)が難解でした。
(復建エンジニヤリング 樋口邦治)

聞きなれない用語が羅列されていて,いまいちこの新しい数値解析法のすごさがわかりませんでした。これから様々な混相流解析への適用が期待されているってことぐらいしかわかりませんでした。もう少し誰が読んでもこの数値解析法のすごさがわかるように,簡単な言葉で書いて欲しいと思いました。
(岡山大学 井保大志)

3-1 地球シミュレーター
この記事のタイトルを読んで,びっくりしました。「地球シミュレータ?何これ?」ってかんじでした。タイトルに惹かれて記事に目を通していくと,これはとんでもない計算機のことでした。私も計算機を使用し解析を行っていますが,計算機の性能がまったく別次元であることがわかりました。これだけ規模の大きい計算機なら,地球上の自然現象すらも計算できてしまいそうだと思いました。まさにその名にふさわしい計算機であると思いました。このような計算機が,人類にどのような影響をもたらしてくれるのか興味がわきました。
(岡山大学 井保大志)

3-3 未来へ向けた計算力学教育
欧米の大学では,大学のカリキュラムでCADや市販の計算ソフトを学び,計算力学の基礎理論も教わるという。実際に最近は,設計でCADや計算ソフトを使う機会が非常に多く,これらを大学卒業時に理解しているかどうかは,即戦力となるかどうかに直結していると思われる。大学が企業に都合の良い学生を育てる機関になる必要はないが,今後もコンピューターや計算力学が飛躍的に発展していくのならば,日本の大学もカリキュラムを工夫する必要があると感じた。
(清水建設 藤田 淳)

本項で特に興味を抱いたのは,市販のCAEソフトを使用した設計検討を大学の授業で実施している点である。私自身が学生だったころの記憶を呼び覚ましても,市販ソフトを使用した講義はなく,数値解析の授業といえば,よくわからないプログラミング言語に関するものだけだったように思う。構造力学等の理論を十分理解した上で,解析ソフトを使用して検証を行うというスタイルは,今後の日本における土木工学教育も是非見習うべきところではないだろうか。
土木設計分野における解析による数値シミュレーションも,他分野と同様に年々高度化・複雑化していると思う。特に若い社員は,解析業務の比重が大きくなっている。しかし,ここに大きな落とし穴がある。
多くの若い社員は,解析を流すことだけに終始しがちであり,アウトプットに対して,力学的判断を下すことができない。不慣れな解析ソフトに振り回され,モデル化に膨大な時間を費やしてしまうために,その後の検討に十分な時間を割くことができないことが原因であるのではないか。これを解消するためにも,先に述べたようなより実務に近い,バランスのとれた大学での計算力学教育が必要であると考える。
(大成建設 福田隆正)

3-3-2 ヨーロッパにおける計算力学教育
私は修士1回生の学生で,この記事の最後に紹介された科目の一部(計算力学及びシミュレーション,地盤数値解析法)を履修しました。計算力学及びシミュレーションでは実際に簡単なFEMプログラムを作成し,地盤数値解析法では主に理論的なことを学び,両者とも私にとって非常に有意義なものでした。
しかしながら,ドイツのようにC++やCAD,CAEに関する教育は全く受けていません。今後,国立大学も独立行政法人となり産業界との連携がますます重要となると思われますので,現在のようなFortran一辺倒な教育ではなく,もっと幅広い教育も必要なのではないかと感じました。
(京都大学 林 芳樹)

新会長インタビュー 御巫清泰 土木学会第91代会長
私は"土木"という言葉が非常に好きですし,自分が土木に携わっていることを非常に誇りに思っています。土木という学問の発達無しに我々は現在の文明を築くことは出来ませんでしたし,必要不可欠なものであると思っています。しかし御巫会長のおっしゃる通り,現在土木業界のイメージがマイナスイメージで語られることが多くなっていることも事実だと思います。それを払拭するにはやはり社会とのコミュニケーションをとることが今後非常に重要なことになると感じています。社会に我々がどのように貢献しているのかを伝えるとともに我々自身ももう一度考えてみる良い機会なのではないでしょうか。
(東洋エンジニアリング 藤原武彦)

土木学会新会長となられた御巫氏の抱負であるが,共感するところが多く,大いに期待したいと思う。御巫会長も話されているが,私も「土木」のイメージに対する世間受けがあまりよくないと感じることが多く,イメージアップが出来ないものかと考える時がある。もちろんお金をかけて,新聞やテレビに広告を出すという方法もあるが,土木学会の活動がマスコミで紹介されるようになれば,その紙面やテレビの時間を買い取ったことと同じ効果が得られると考えることが出来る。
更なる努力として,例えば,○○大学の教授といった肩書きで世間に説明するのではなく,土木学会に所属する者として世間にPRや説明が出来ないか,あるいは一般の方々と接する機会(現場見学や説明会)を増やす方策を考えてもいいのではと思う。
御巫会長をはじめ,土木学会のこれからの活動に期待しています!
(日本道路公団 田之脇 良徳)

社会とのコミュニケーションに力を入れ,土木に対するイメージをプラスにするとおっしゃっており,そのことが東北地震の件のように実際に行われていることがとてもよいことだと思います。世間ではマイナスに見られがちな土木業界ですが,新会長の前向きな考えを知ることができ,よかったです。
(横浜国立大学 加藤 大)

技術リポート 電気の力でコンクリートを守る チタングリッド陽極を用いた電気防食工法による補修事例
チタングリッド工法について,その有用性について詳しく述べられていて,興味深く読ませて頂きました。いくつかの適用事例も掲載されてあり,わかり易かったです。
(大林組 村井大亨)

コンクリートの耐久性強化については大学で多々学んできましたが,電気の力で鋼材腐食を防止する工法に興味を持ちました。内容もわかりやすく,よかった。
(岡山大学 古谷隆志)

本稿ではRCに微弱な電流を通電させることによって鉄筋の錆を防ぐ工法をわかりやすく紹介されており,腐食に対する維持管理を研究テーマとしている私にとって非常に興味ある内容でした。記事の中で,鋼材腐食が停止するとありましたが,腐食の進行が止まると言って良いほどの効果が本当にあるのでしょうか?実際の腐食促進試験や暴露試験から得られた腐食速度の違いなどの結果も併せて掲載されていればより説得力が強いと思いました。
(広島大学 海田辰将)

電気防食については,鉄筋腐食の抑制に有効とされ多くの施工実績があるという漠然とした思いはありましたが,現在どのような改良や技術開発が行われているかについては全く知りませんでしたので,コンクリート構造物のメンテナンスに関する動向を把握するという意識で読ませて頂きました。本記事では,チタングリッド工法のメリットについて,施工事例を示して分かりやすく説明されており,大変勉強になりました。さらに,防食効果についても説明して頂ければありがたいと思いました。
(本州四国連絡橋公団 鳥羽保行)

技術リポート みなとみらい21線大空間地下駅の施工技術
横浜がさらに便利に素敵な街へと変化していくように思える。ここ仙台でもはやく東西線の完成を心待ちにしている。
(東北工業大学 中居良行)

駅舎部分の長い立坑の中でシールドマシンを縦断的に移動させる。そのために障害となる土留工を,坑内に注水の後,一時撤去。大規模工事の工夫の智恵を垣間見ました。工事の大小はありますが,小さい現場でも,こうした工夫の過程やヒントなどは土木技術者としての共通の財産ではないでしょうか? さらに詳しいことを辿っていけるリンク先などを紹介していただければ有益だと思います。
(大阪府庁 岡田敏男)

昨年まで横浜駅近くに住んでいたこともあり,本記事は興味深く拝見させてもらった。各駅の周辺状況とデザインのコンセプト,そこで行われた施工方法が分かりやすく書かれており,施工技術に疎い私にも理解しやすかった。開放感のある駅舎に訪れて,今回の記事を通して得た知識を友人に是非伝えたいと思った。
(復建エンジニヤリング 甲斐友紀子)

概要が漠然としていたので,もっとひとつひとつの駅での技術的な取り組みに対するレポートにしていただけると面白いとおもいます。
(JR東海 庄司朋宏)

土木工事の醍醐味と言ってしまえばこのような工事を言うのかもしれないと記事を読みながら思った。この記事の中で私が初めて耳にする工法の名前があった。それは「水張り足場工法」である。開削内に水を注水し,支保工を解体する際に「いかだ」を浮かべて足場とする工法で施工条件,労務安全を考慮しての採用が大きかったようだが工期も従来工法に比べて短縮できたということで大深度工事には向いているのかもしれないと感じた。
また都市土木につきものである近接構造物もあり,多数の工種のある大規模な工事であり,是非詳細を知りたいなあと思わせる工事である。ただ,今回のようにおいしい所だけを紹介する記事ではなくもう少し的を絞ってほしかったと思うのは自分だけであろうか?
(西松建設 矢部昇一)

工法採用の意図,施工管理の項目,現場での工夫がわかりやすく紹介されており興味深く記事を読みました。
特に,水張り足場工法については初めて知るものであり,このような発想があったことに感心しました。労務安全の確保を第一に,工期も短縮できたとのことですが,過去に例があった工法なのでしょうか。この工法が適用できるケースは多くあるように思います。工法選定に当たり種々検討された内容を知りたいと思いました。
(復建エンジニヤリング 樋口邦治)

私は横浜に住んでおり,身近な出来事としてとても興味深く読むことができました。ただ,記事内の新高島駅・水張り足場工法の説明において,写真-1が分かりづらく,現場の状況(どこに浮かべた木製いかだがあるのか等)を理解することが困難でした。作業状況の写真を掲載するよりも,水張り足場工法の説明を補足するような図のほうが必要ではないかと思いました。
(横浜国立大学 加藤 大)

シールド機構内縦断移動,水張り足場工法,大規模アンダーピニング,アーチコンクリートの温度応力対策。様々な特殊工法が1つの工事に目白押しとなっており,担当者の気苦労は計り知れないものがある。特に共同溝のアンダーピニングについて興味深く読んだ。「大きな変位は観測されず」と本文にはあるものの,計測データとにらめっこしながら,変位が大きくなる兆候があれば対策を施し続けた結果であると推測できる。自分も既設の地下鉄の直上を開削する工事に携わった。掘削底盤のリバウンドに伴う地下鉄シールドの変位を計測しながらの施工であったが,施工段階ごとに地下鉄は動き,大変苦労した。今後の都市土木工事はアンダーピニングなしでは成り立たない。本文内の実績も参考にさせていただき,今後の糧としたい。
(西松建設 和田 淳)

都市部における鉄道建設は,高い施工技術を要求されるのみならず,地域の特色を生かした快適性を追求するという,相反する要素を満足しなければならない点で困難な工事となる。その典型のような「みなとみらい21線」を興味深く拝見した。
都市部の地下空洞掘削においては,技術的,環境的に配慮すべき事項が非常に多い。それに対し,本編では随所に施工上の工夫がなされ,水張り足場工法,アンダーピニング工法,パイプルーフ工法を採用して,計画通りの施工を完成させた。
今後共本施工のような都市部重要構造物の地下を貫く工事は後が絶えないであろうが,自然相手のみならず人工構造物との神経をすりへらす戦いでもある。この種の技術は非常に重要であると実感した。
拝見しての希望は以下のとおり。
(1)建設計画の概要がなく,全体工事を把握しにくかった。
(2)地盤変位(地表沈下,既設構造物への影響,他),地下水低下,交通阻害,など環境影響に係る記述が少なかった。
(3)経済性に関する記述がなかった。工事費低減も技術の1つではないか。
(国際協力事業団 矢部哲雄)

技術リポート 注入による傾斜構造物の修復技術
この技術について知識が無かったため,大変興味深かった。施工に当たっての問題点や費用面での有効性などについてさらに詳細な情報が欲しいと思った。
(土木研究所 野間)

今まで都市土木の現場にて薬液注入を行うときに周辺地盤への悪影響,すなわち注入による地盤の隆起 が起こらないように施工管理を行ってきた。今まで注入による弊害のように思われていた隆起を逆手に取 り,沈下,傾斜した構造物の修復に利用した点は非常に興味深い。
しかし,見えない地盤中で薬液の注入量と圧のみでこれらを管理するには綿密な事前の調査,注入の管 理が必要であろう。今後これらのノウハウを積み重ね,静穏かつ経済的な工法として発展することを期待する。
(鹿島建設 竹内章博)

震災当時は倒壊したものや傾いた構造物に囲まれ,それに目が慣れてしまいました。倒壊した建物ばかりに目がいき,少々の傾きなどは気にならなくなっていたのでしょうか。久々に他の街に行った時に,建物がまっすぐ建っているのを見て神戸の建物が傾いていることを再認識した次第です。
都市部においては,再利用不可能な建物の撤去にも大変な危険・費用・時間そして周辺への悪影響があります。上物が再利用可能な場合は,このように薬液注入により傾斜した構造物の修復を行う技術は,ひとつの大きな解決策だとおもいます。
(港湾空港建設技術サービスセンター 藤井研一)

注入材が浸透困難な地盤では地盤隆起を引き起こすが,地盤隆起を精密にコントロールすれば傾いた構造物の修復に使える,というのは,素人にも分りやすいし,大変面白く読めました。発想の転換によって生まれた新技術なのではと思いました。他にも,このような面白い技術があれば是非,取り上げて欲しいです。
(東亜建設工業 目黒葉子)

この工法によれば,従来杭基礎としてきたような地盤条件でも,将来の注入修復を前提として直接基礎で施工できる場合が考えられ,工費縮減および施工期間の短縮が図れそうである。ただ,その場合に注入修復作業の費用がどの程度かによって,結果的に杭基礎の方が安いかもしれない。そのあたりを検討して,実際に構造物構築時にあらかじめ注入管を設置した構造物の実績が早くできることを期待する。
(大成建設 今枝拓也)

メンテナンスに携わるものとして,劣化した構造物の健全性を回復する技術には非常に興味がもてます。
残念なのは,今回の方法も実際のコンクリートをはつることが必要なので,非破壊で検査及び修繕が可能な方法がでてくるとメンテナンスする立場としてはいいのではないかと考えています。
(JR東海 庄司朋宏)

土木技術者は品質の良い構造物を造ることが常に第一目標である。これには土木構造物自体は当然のことであるが,周辺環境特に地盤条件に十分配慮し設計・計画して不等沈下等が予測される場合は予め対策工を行う必要がある。今回の記事は,地震や予期せぬ沈下により構造物が傾斜,不等沈下した場合の修復技術の紹介である。従来工法のジャッキアップ等を省略でき,基礎部分に注入管を設置し注入材を圧入することで地盤を隆起させるだけで掘削作業の必要がない等,従来工法より工期を短縮できるというメリットがある。我々は対策工等を検討する場合,一般的に従来工法・新技術を比較し施工性・工費・工期など多方面から「これという工法」を決定する。そのために技術者として新技術に対して常に情報を収集する必要があること改めて感じた。
(西松建設 矢部昇一)

JOG工法の原理及び作業手順についてわかり易く解説して頂き興味深く読ませて頂きました。重量が数百トンオーダーの構造物を注入によりジャッキアップするには相当の注入圧が必要と予想されるので,どのような機材を用いたのか関心が募りました。
(大林組 村井大亨)

固化材による傾斜構造物の修復は,施工時の時間や空間の制約が少なく魅力ある技術であると感じた。一方細かなノウハウの塊であり,実用化された技術者の方々の努力は相当なものであったと想像される。特に状況によりサイクルタイムを変化させる点は,非常に興味深い技術であると感じた。
(環境地質 大久保拓郎)

計測管理,注入制御についてさらに知りたいと思います。変位復元時と注入時には時間差があるように思うのですが,実際はどのようにするのかに興味があります。また,注入し過ぎて,所定の目標より隆起しすぎるといったことは無いのでしょうか。
(復建エンジニヤリング 樋口邦治)

既存構造物の周辺で強度増加を目的とした薬液注入による地盤改良を行う場合,既存構造物が隆起するといった問題が生じる。その現象を逆に利用し,傾いた構造物を修復するという点で,非常に興味深く読ませていただいた。施工法や実績については説明があったが,設計手法についても詳述していただきたかった。また,修復効果の有効性の確認という意味で,既施工物件の経年的な追跡調査結果があれば,なおよかったと思う。
(大成建設 福田隆正)

巻頭の論説で,「土木の社会的役割に対する時代のニーズは,今まで通りの重厚長大型の公共事業ではない。求められる役割に応じて変化しなければいけない。」と論じられていた。
それを受け,今号の技術リポートは電気防食工法,地下の大空間創出,傾斜した構造物の修復など,どれもニーズに応えた素晴らしい技術だと思いました。
その中でも特に私が関心を持ったのが,注入による傾斜構造物の修復技術です。地盤改良に用いる注入技術を利用しているのですが,技術の蓄積を発想の転換でうまく活用しています。このように豊かな発想で保有技術を活かしている例は,様々な分野で参考になるはずです。全く新しい技術を生み出すのではなく,既存の技術に違った方向性を与えてやる手法はとても有効で,技術者は常に意識していなければならないことだと感じました。
(三井住友建設 小出孝明)

注入による地盤変位は通常単なる害でしかないが,それを積極的に益に活用しようとする本編に興味を覚えた。歓迎されないもの(変位)を成果にしようとする考えが,発想としてはあり得ても実際の現場適用に当たっては,それを目的とした技術開発と言う点で新鮮な試みに映る。
本編では,基本的な施工上の解説および3つの成功事例が紹介されており,優れた工法との印象を受ける。今後有望な工法であることは間違いなさそうではあるが,限られたスペースの中で無理とは承知しつつ,読者として以下の点が知りたいのではないだろうか。
(1)これ程に有効な工法でありながら,なぜこれまで多用されなかったのか。その背景が知りたかった。
(2)上記に対応して,メリットが記されていたが,デメリットがあるはず(適用条件ではなく)。
(3)成功例のみ紹介されていたが,失敗例や苦労した例があると思われる。その両方があるとより参考となる。
(4)注入材の品質(特に長期間における劣化)をどう確保するか。
(5)地盤内にいかに固結領域を形成していくか,その確認方法はどう行うのか。
(6)本工法は経済的とのこと。どれ程なのか。工期短縮はどうか。
(7)今後さらに普及し確実な工法とするため,どの様な開発がなされるべきか。課題は何か。
(国際協力事業団 矢部哲雄)

事故災害 2003年5月26日に発生した宮城県沖の地震被害調査速報
この記事では,過去の地震に対してこの地震が地震規模や最大加速度値の割には地震被害が少ない特徴を持つことなどの興味深い調査結果が載っていました。しかしながら,ライフラインの被害状況に関する記述がなかった(今回は大きな被害がなかったことから,優先順位的に載らなかったのかもしれませんが)ことが,残念な点でした。被害が少なかったのであれば,その旨だけでも 載せるべきなのではないでしょうか? また,被害が少なかった理由なども多少は載せて欲しかったと感じました。(もちろん,これは「速報」であり,調査報告としては載るのかもしれませんが。)
(山口大学 今井 剛)

土木構造物に兵庫県南部地震の被災を踏まえた耐震設計を行っている事は知っていたのだが,逆にその緊急耐震補強措置が行われていない構造物があることに驚いた。破壊した事によってその必要性は当然問われるところだろう。また,今回の地震で起きた斜面崩壊の原因が液状化のメカニズムとは違う泥流化であるということで,その存在を初めて知った。過去にそれが原因で被害が起きていることもあり,早急な研究がもちろん必要である。いつ起こるか分からない大地震に備えて,一技術者として更なる技術の向上を痛感させられた。
(復建エンジニヤリング 甲斐友紀子)

災害が起こった時,ニュースなどでは非常に大きく取り挙げられます。しかし,この記事のように,その内容について詳しく,正しく知ることができるのは,土木関係の人間の特権と言えるかもしれません。
以前私が通った大学の夜間の部に,阪神大震災の時に現場で活躍した,現役の消防士が入学してきました。その方は,震災で多くの構造物が壊れる様を見て,「日本の土木はいったいどうなっているのか。それを確かめるためにここに来た。」と,土木への不信を漏らしておられました。もちろん,その被害を土木関係者の責任にしてしまうのは,あまりにも厳しい話です。しかし,土木関係者しか知り得ない情報があまりにも多いことも事実のような気がします。
直接の守備範囲ではないかもしれませんが,このような地震調査団の調査報告を,わかりやすい形で,広く,詳しく,正しく世の中に伝えるのは,土木学会の役目だと私は思うのですが,いかがでしょうか。
(ショーボンド建設 小牟禮建一)

私の実家が仙台市内ということもあり,この記事および7月末以降の地震は少なからず気になっている。5月と7月の地震は震源および特徴が異なっているのがまた不気味であり,そういった点でも地震工学の専門分野の方々等による今回の調査団派遣は,土木学会の果たすべき役割の中でも重要であると私は思う。なぜなら一般市民の方々は,土木学会の存在自体あまり知ないわけで,こういった機会に純粋な意味での学会による土木のイメージアップになれば良いのではと思います。また今回の被害調査が今後の防災の面に生かされることを大いに期待している。
(西松建設 矢部昇一)

5月26日の宮城県沖の地震はプレート内で発生した地震であり,規模が大きいにもかかわらず震源深さが71kmと深いため,本記事のとおり比較的被害が軽微であったと聞いています。これに対し,7月26日の宮城県北部の地震は,ごく浅い場所で発生した内陸型のものであり,大きな被害を受けたと報道されています。道路橋示方書においても,プレート境界型と内陸直下型の地震が区別されているのは,それぞれの地震が構造物に与える影響が異なるためだと推察します。そこで,続報として,比較的近い場所で発生した2つの地震による被害を比較・分析した記事を,今後期待します。
(本州四国連絡橋公団 鳥羽保行)

土木紀行 奥豊後に架かる水の石橋 明正井路第一幹線1号橋
写真にあったような作品は,土地の風景に浸透していて哀愁を感じる。白水溜池に関しては,建物ではなく「水」と言う物質が美しい光景を創り出しているのは,自然の雄大さを感じる。
(東北工業大学 中居良行)

九州にある歴史的な土木遺産に関する解説及び紹介がわかりやすくなされているところが面白かったです。一度,訪ねてみたいと感じました。
(福岡大学 渡辺亮一)

個人的にこの記事のように昔の土木構造物や先哲達の足跡を辿る記事が好きである。特に架設状況の写真があるのが良かった。昔の限られた技術で設計者や施工者が知恵を絞り造ったモノからは,皆さん何かしら熱いモノを感じるのではないか。広い意味で考えれば土木技術者はモノを造るのが仕事であり,温故知新の心構えを今後も大切にしていかねば,と感じさせられた記事であった。
(ドーコン 野田敬一)

大正時代に造られ,しかも施工は厳しい条件下で行われた構造物がこのように現在まで活用されており,当時の技術などのすばらしさを感じざるを得ません。また,景観との調和もすばらしく,永きに渡って活躍できる土木構造物の魅力を感じました。
(京都大学 玉谷宗一朗)

体感できる土木ミュージアム5 “知られざるもうひとつの立山”を体験学習する 立山カルデラ砂防博物館(富山県立山町)
うれしい企画。平成10年から約2年間,富山に住んでいて,この施設の存在は知っていましたが,正直詳しく知らなかったので,単純に有難い。あまり理解していなかった過去の経緯も簡単にまとめていて,読みやすい形になっていたと思います。
(日本鉄道建設公団 水越 潤)

立山には何回か登ったことがあり,弥陀ヶ原から室堂に入ったこともありますが,あの高原のすぐ隣に荒々しい立山カルデラがあるとは気がつきませんでした。富山湾から立山がすぐ近くに見えるように,急峻な地形であることは容易に想像できますが,100年近い砂防工事の自然との闘いは想像を絶します。砂防博物館があることも初めて知りました。いつか立山を訪れる機会があれば是非見学したいと思います。
(千葉県 佐藤健一)

立山カルデラ砂防博物館は,アルペンルートを訪れる多くの観光客に砂防事業の意義と成果をアピールするうえで大きな役割を果たしていると思う。1998年の開館以来約24万人の来館者があったとのことであるが,より多くの人に砂防事業の意義と成果をアピールするためにも旅行会社の観光ルートに組み込んでもらうといった広報活動を行ってみると良いのではないかと思う。
(本州四国連絡橋公団 杉本 健)

施設のパンフレットのような内容なので興味のある人しか読めないと思った。そこでどのような砂防工事が行われている等といった内容が欲しかった。
(岡山大学 古谷隆志)

親土木入門 公園編 校庭の芝生化
一言に土木といっても色々ありますが,この記事の内容は非常に身近で重要な土木ではないかと思います。長大な橋を架けたり,巨大なトンネルを開通させたりすることは土木技術者にとっては非常に魅力的な仕事ではありますが,このように子供達の生活,成長に直接関わる問題をおろそかにしてはいけないことを再認識させられる記事でした。教育と土木という一見かけ離れた二つの分野も実は密接に関わっていることを感じました。
(東洋エンジニアリング 藤原武彦)

校庭の芝生化はとても良いアイデアだと思う。年々少なくなっていく緑が小学校に増えることは,子供たちの体・健康に良い影響を与えるはず。予算は掛かるが,そこはPTAで話し合い進めていってほしい。
(東北工業大学 中居良行)

学校の校庭を芝生にすることによって,生徒たちが思いっきり体を動かすことが出来る空間を作れることが示されていて,なおかつ具体的な管理体制が示されていて他の小学校の導入の手助けとなっているという点では非常に良い記事だと思います。ただ,この記事が土木の専門分野にどう関わってくるのかがわかりづらかったです。
(東京大学 浜谷健太)

最近では,ヒートアイランド現象対策として校庭の芝生化が行われています。なにより,芝生のグラウンドは気持ち良く遊んだりスポーツができると思います。今後,芝生のグラウンドが増えていくことを期待します。
(東亜建設工業 森 恭介)

自分が小学生の頃は,校庭が芝生などとは考えもしませんでした。ここでは砂の飛散を防ぐためですが,最近は校庭を芝生化する傾向があるんですね。砂の固い校庭で転んで怪我して痛かったのを思い出しました。維持管理は大変そうですが積極的に進めて欲しい取り組みです。
(東亜建設工業 目黒葉子)

最近,サッカ−のJリ−グやワ−ルドカップ日韓大会などが開かれたことにより,競技場(運動場)の芝生化に関心が集まっている。
我々の世代では校庭といえば土のグランドが当たり前であり,サッカ−の日本リ−グ級でも練習は(公式試合も!)土のグランドであったとも聞く。一方,ドイツなどを始めヨ−ロッパ諸国では多くの芝のピッチが整備され,プロ選手はもちろん,一般市民にも利用されている。
このような中で,我が国においても校庭の芝生化に取り組みこれを後世にインフラとして残すことは,昨今の公共事業のあり方からいっても大変有意義なことだと考えられる。
但しここでも問題は,インフラの維持管理であると感じた。記事の平賀小学校の例では,先生方とPTA,地域の方との協力,とりわけ校長先生のご努力により管理費用を削減しているとのことである。これは今後の管理手法の一つの方向を示すものであり,おおいに評価すべきことはもちろんである。
ただ今後とも,グランドの芝生を推し進めて広く普及していくためには,特定の個人の努力(これは重要なことではあるが)に過度に頼ることなく,専門業者等(NPO等含む)による低廉な維持管理手法を確立する必要がある。このことが,この分野の雇用の創出にもなり,技術の進歩にもつながると感じた。
(大林組 佐村維要)

私が入学した小学校は校庭がアスファルト舗装でした。転ぶと膝をひどく擦りむいたのを憶えています。その後,転校した学校は土の校庭だったので,怪我を恐れず走り回れると喜んでいましたが,土ぼこりがひどく,サッカーの途中でも風が吹くと収まるまで目をつぶって立ち竦まざるをえませんでした。こうした経験のある私には,校庭が芝生というのが非常に夢のあることに感じられます。芝生の校庭は生徒の身体的精神的な健康面,教育面など多くのメリットがあり,子供の教育が次世代社会の基盤であることを考えると,社会全体に対してじわじわと好影響を与えていくのではないかと思います。
問題はコスト面,特に維持管理コストが高いことです。コストダウンの方策として,ハード面で考えると,例えば費用のかかる散水に雨水利用することは検討する価値があるのではないかと思います(我々技術者はこういった部分で貢献ができると思います)。また,作業にかかる人件費ですが,作業を全てコストと考えずに記事の校長先生のように他のメリットと合せて考える,例えば親子協働で芝刈り作業をして交流機会を創出する,シルバー人材の活用など柔軟な思考をすることで,実質的な支出を抑えることができるのでないかと思います。各面のいろいろな取組みにより芝生の校庭が増えていくことを望みます。
(鹿島建設 松尾 元)

私は,この記事を読んで小学校時代の校長先生のことを思い出しました。当時は,校庭の芝生化の話題すらない時代でしたが,私の通っていた小学校の校長先生はジャージ姿で校庭周辺の植物の世話などをされながら,児童を見守っておられました。このように,子供のことを考えて自らが率先して行動することは非常にすばらしいことだと思います。ここで,取り上げられている校庭の芝生化に関しても,先生方にとっては負担が増えるにも関わらず,子供たちが活動しやすい環境を提供するために,維持管理を自ら行うのはすばらしいことだと思います。
(京都大学 林 芳樹)

本稿の冒頭に「子供がけがを恐れずに体を動かすため」に運動場の芝生化を行うとあったが,本稿で紹介されている小学校のように砂埃対策のためならば理解できるのですが,年間数十万円+水道代の費用と多大な労力をかけてまで運動場全体を芝生化する必要が本当にあるのかと思いました。というのもサッカー部に所属していた私の経験では芝生があってもけがはするし,なにより子供はけがをするくらい思い切り遊んでこそ強い体が作られ,実際にけがをしてみてやってはいけない遊び方等を様々なことを学習すると思うからです。緑化の教育や憩いの場のためならば部分的に芝生化すれば良いし,運動場全体を芝生化するための費用があるならば,子供が時間を忘れるくらい遊べる様々な遊戯施設が用意できるのではないでしょうか。
(広島大学 海田辰将)

校庭の芝生化は,お金がかかり,さらに維持管理が大変であるということですが,学校の自主的な運営でこれだけできるとのご紹介から,今後もこのような環境のよい小学校が増え,子供たちがのびのび学び,遊べる環境が増えていけばと思います。実際に,砂埃を抑え,緑が増えることで景観の上でも優れている,さらに剥き出しの地面よりは温暖化に対して非常に小さくとも,効果があるでしょう。こういった側面からも地域として教育や環境の問題などに取り組んでいくところが増えていけばいいなと思います。
(京都大学 玉谷宗一朗)

今月号「時局を論じる」で金子先生が「環境や福祉にいい街づくりのための,きめ細かな小さい公共事業」への転換を提言されているが,学校が地域社会の中心のひとつであることを考えると,「校庭の芝生化」もこれからの公共事業においてニーズの高いものと思われます。また,初期投資よりも維持管理の方がより重要である点において,これからの公共事業のあり方が問われているような気がします。そして本記事では,コストばかりでなく,管理体制に関しても報告されており,気の滅入るような少年少女の事件が続いた今夏を頭の隅におきつつ,これからの教育,社会における公共事業の果たすべき役割を考えさせられました。
(電力中央研究所 佐藤隆宏)

進化する多目的ドームの野球用人工芝
今月も東京ドームに反応してしまいました。学生時代のアルバイトで縁が深いのです。当時はこのように人工芝を巻き取る姿を見たこともあります。現在は東京ドームは巻き取ら無いんですね。
そういう意味では興味深いのであるが,「進化する」部分の表現は今ひとつにも思われます。野球用人工芝一般の紹介・東京ドーム(それも旧バージョン)と続き,本当は「第二世代」の部分がもっと欲しかった気がします。最後の,「運営効率」の段もいささか消化不良に感じます。
(日本鉄道建設公団 水越 潤)

技術の進化は分かったが,あまり画期的でない。
(土木研究所 野間)

人工芝の開発にここまで努力がなされていると知り非常に驚いた。スポーツをやるものにとって人工芝は非常に重要である。私は野球ではなくテニスをやっているが同じ人工芝のコートでもバウンド後の球のスピード,弾み具合は全く異なるものである。また,衝撃をしっかり吸収してくれないと膝などにも負担がかかり怪我のもとになってしまう。非難されることはあれど,褒められることはほとんどない人工芝だが,より天然芝に近い人工芝の開発が期待される。
(横浜国立大学 桝谷有吾)

普段から何気なく目にする人工芝にはさまざまな配慮がなされていることが分かりました。「それを支えるグラウンド作りにもその姿勢が要求されることになる」という文章が非常に印象に残りました。
(清水建設 太田智久)

先月に引き続き,プロ野球を支える土木のお仕事のことで非常に親しみやすく,興味が持てました。自分のかかわっている土木のお仕事を身近なところで感じることは,僕たち学生にとっては本当に参考になります。大変な努力の末,開発された人工芝やシステムのもと,ドームの運営が行われているのだなぁと知り,プロ野球やコンサートの見方が少し変わりそうです。
(京都大学 玉谷宗一朗)

人工芝が満たすべき条件や多目的利用における課題はよく分かりました。しかし,タイトルにある「進化する」の部分,特に,天然芝により近い第二世代の人工芝に関しての記述が少なく,レマルマドリードが練習場として使用したことを考えると,大変残念でした。
(電力中央研究所 佐藤隆宏)

現場 第1回 メインテナンスの世界 ドクターイエローを訪ねて
同じ学生として,JR東海の新幹線の検査車両の現場を体感することができて非常に羨ましいと思いました。また,最近,居眠り運転など不祥事が起きた新幹線におけるメインテナンスの実態を垣間見ることができ,安全の確保に力を注いでいることを理解させていただきました。
(東京大学大学院 浜谷健太)

新幹線は生活の中で頻繁に利用する乗り物ですが,そのメンテナンス分野について,これまで全く情報を得ていなかったので,興味深かった。
(独立行政法人 野間)

学生編集委員の皆様が「現場」を体験することの大切さを感じられ,「現場」を自ら体験,レポートする企画をスタートされたことは,学生編集委員の皆様の貴重な経験になるだけでなく,私のような現場経験が豊富でない社会人にとっても,現場の状況をわかり易い表現で教えて貰えるようですので,非常に良いことだと思います。今回の「ドクターイエロー」のレポートは,Q&A方式というまとめ方,およびその内容ともに,とてもわかり易く,良かったと思います。残りの7回の報告も楽しみにしています。
(JFEスチール 大久保浩弥)

土木学会誌を購読されている諸先輩方々にとっては,このような編成や話題というのはありきたりなのかもしれない。しかし,現場を踏んで何かを感じ,その何かを伝えるという作業を学生諸君に頭をひねりながら考えてもらう。ということは大切であり,学生諸君にとってもこうして原稿が掲載されることは励みになるだろう。
さて,記事は大変おもしろく,初めて聞く内容(列車好きの方は当たり前かもしれないが・・)のことばかりであった。加えて,日本のメインテナンスのあり方や重要性,必要性を感じられる内容だったと思う。昨今,土木構造物においては,「作る」ことよりも「維持する」ことへとシフトしてきていると感じているが,その意味においても大いに参考になる報告であった。
(土木研究所 大石哲也)

純粋に面白い記事でした。もう少し詳しく知りたい,と思いました。多くの利用者の安全にかかわることだけに,当然といえば当然なのかもしれませんが,普段目にするサービスではなく,このような目に見えない部分でのサービスが,それもかなりの頻度で行われていることに感心しました。全ての土木構造物も同じように,目に見えない,メンテナンスというサービスを提供できるようになればなぁ,と思います。
(ショーボンド建設 小牟禮建一)

これを読んで黄色い新幹線は安全性の確保のための検測だけでなく,乗り心地にについても検測してい るということを知った方は私だけではないと思う。せっかくであるので乗り心地を検測するためにどの ような項目を計測し,どのように快適,不快の判断するのかを記事にしていただければと思う。
(鹿島建設 竹内章博)

私の息子(3歳)は電車が大好きです。ドクターイエローの記事,興味深く読ませていただきました。東海道という大動脈を支える交通通手段の一つである新幹線の安全性・快適性の確保のために作製された試験車両の機能・概要がよくわかりました。東海道新幹線の過密ダイヤの中で月に3回の割合で検測しているという事実は,人命に直結する高速・大量輸送機関を管理するということを鑑みても多いということはないと思います。また,検測についても機械でできることには限界があり,最後は人(技術者)が判断しなければならないということは,土木構造物の保守・管理における共通した課題であると感じた。
(日本道路公団 北畑雅義)

大変興味深く読ませていただきました。
特に,「安全性はある意味当然」であって「人間が感じる乗り心地を管理する」事は「利用者=お客様」を意識した考え方であると思われます。
これまで独占的かつ公益的な企業に不足していた考え方が正にこの部分にあるのではないかと,自分自身の反省をいたしました。
(中国電力 加藤拓一郎)

膨大な既存ストックを維持管理していく上で,効率性の向上,コストダウンを図るべくシステム化(IT化),機械化が進んでいるが,最近感じているのは,システム化,機械化故にブラックボックス化され,人による技術的判断なしに管理した挙句,大きな事故に繋がりはしないかということだ。その点,「最後は人」と意見があり,新幹線を利用するユーザーの一人としては,ホッとしている。「人」「現場」という視点では,日々の保線作業に従事されている方々がいらっしゃるわけで,そうした方々のおかげで,我々はこの便利社会を享受していることを忘れてはならない。
(電源開発 坂田智己)

学生である私にとって,土木の現場に触れるという機会は少なく,この記事は実際の現場を体験でき興味がもてました。普段何気なく利用しているが,我々が安全で快適に利用できるように予想以上の頻度でメインテナンスしていることに驚きました。
(横浜国立大学 加藤 大)

ドクターイエローという名前だけは知っていましたが,その詳しい内容について非常に興味深く読ませていただきました。また,学生さんが実際の現場を取材し,体験するということは非常に有意義であると思いました。
この企画を通じて土木に関わるさまざまな現場について勉強することができると思い,今後の連載を非常に楽しみにしております。
(清水建設 太田智久)

「 黄色い車体の新幹線?」と見たことがない乗り物に目が引き付けられました。この見たことがない乗り物はT4といって新幹線の軌道・電気設備に異常がないかどうかをチェックし,安全・安定輸送の確保が目的の試験車でした。T4は10日に一回くらいの割合で,我々が乗る新幹線の安全を確認してくれていることを知り,メインテナンスの重要性を痛感しました。また今の時代安全であることが大前提で,T4によってさらに電車の乗り心地までもが管理する指標項目に挙げられていることを知り,これもまた時代の流れなんだとかんじました。
(岡山大学 井保大志)

私が卒業した小学校では近くに新幹線が通っており,我々児童は新幹線を見る機会が多かった。その中で本当にごく稀に昼間走行中のドクターイエローを見ることができたのだが,その車体色と稀少性から,当時「黄色い新幹線を見たら願いがかなう」などといった噂をしたものだ。本稿ではドクターイエローについて詳細かつわかりやすく取材されており,最新技術によって実現された計測性能の高さに驚かされた。また,鉄道では安全性や耐久性などの他に「乗り心地」が要求され,通常のダイヤも過密であるため,維持管理基準が非常にシビアであることを感じた。さらに異常を検知したときの対応の迅速さに感心するとともに,この維持管理をたった1台で支えているT4には今後も活躍して欲しいと思った。
(広島大学 海田辰将)

話の広場 1世紀前の入管記録・発見!青山 士のアメリカ入国記録,初めて見つかる
不勉強のために青山 士氏の名前を聞くのが初めてであったため,あまり興味を持って読むことが出来ませんでした。
(東洋エンジニアリング 菅原紳二)

都市における交通システム再考
都市交通システムの機能を数値でイメージするという試みは,各交通システムの特徴を把握しやすくなって良いと思いました。また,環境問題の観点からも,自動車などの個人交通から都市交通システムなどの公共交通への転換がこれからの大きな課題となることは間違いないと思われるので,都市交通システムの普及に関する研究が望まれます。
(東京大学 浜谷健太)

交通関係は,道路公団や都市モノレールの採算性の議論や政令指定都市の住民投票による地下鉄建設の否決など話題に事欠きません。この報告では,新交通システムの概要を紹介されていますが,財源関係からの説明が少ないようです。「この旅客数を下回る場合には,建設費のみならず運営経費にたいしても恒常的な資金援助が必要である」。建設費用の回収はともかく,運転経費まで資金援助というのであれば,経常的に税金=公的資金を注入するということになってしまい,このような状況のもとでの交通システムの再考というのであれば,自動車がなぜ見かけ上安いのかを定量的に示し,どのような交通システムを構築するべきなのかという提案をするべきだと思います。また,「都市交通の課題」の内容は,2002年11月号で特集のあったITSなどの近未来自動車交通や本年6月の「福祉のまちづくり」などの論点を含めた「都市における交通システム再考」が待たれるところです。
(大阪府庁 岡田敏男)

交通システムとそのシステムの経費に必要な利用客数の関係が載っていましたが,具体的な路線名で比較すると,イメージがつきやすかったと思います。
(清水建設 藤田 淳)

個人的に都市交通について不満に感じている事に,地下鉄や新交通システムでの快速運転がなぜ少ないか,という事がある。最近の地下鉄は郊外へと延び,乗車時間が30分を超える路線はかなりある。しかし追い越し設備を備えた地下鉄路線はほとんどない。東京圏では一般路線においても,快速・急行が比較的列車密度の低い日中でさえ極端に少ない路線が見受けられ,鉄道だと時間がかかるから鉄道ではなく車を使いたくなる場合が多々ある。名古屋から東京郊外の自宅へ帰るとき,新幹線を降りてからの方が時間がかかるというのは納得しがたい。快適に利用できる都市交通とするため,乗り換えも含めたトータル時間の短縮という点が,本記事になかったのは残念だった。
(大成建設 今枝拓也)

本稿は,都市で利用されている交通システムについて,数値イメージをできるだけ活用して表現・比較したもので,公平な前提条件設定の下,主に建設に向け各交通システムの特徴が分り易く表現されていると思いました。このような交通システムは,供用後は,どう維持・活用するかが重要ですので,
・地域は,交通システムをどのように地域経営上位置付け・活用し,場合によっては追加的な公的担をしようとするのか?
・人口・就業構造の変化(少子高齢化に伴う学生の減少,団塊世代の退職,高齢者への免許保有の浸透等)を踏まえ,その交通システムを何年使い続けようとするのか? あるいは将来的には,交通システムの変換を予定するのか? 
・その間の,効率的な投資・維持管理,車両の調達方法(例えば,車両の標準化や中古市場の形成)は? 等,長期的戦略の構築に資する検討・資料整備が,今後一層望まれると思いました。
(パシフィックコンサルタンツ 木田川誠司)

中量輸送交通機関に対する期待は,とりわけC02排出量削減等地球環境保全の観点から高まっているといえる。多様な交通システムにより事業者のフィージビリティが高められることは望ましいことであるが,利用者側からすればそれだけでは不十分である。公共交通機関は,都市計画と連携を図ることにより交通手段としての魅力を高めて利用者を引きつけることが必要である。
(本州四国連絡橋公団 杉本 健)

東京は世界でも稀なほど都市高速鉄道の整備された都市である。日中の移動人口の割には道路渋滞が少ないのはその貢献度が高いのではないかと思う。集積化の進む都市において公共交通システムの重要性は今後も増していくであろう。都市機能の中で各交通システムの数値的な特徴づけは面白い試みだと思う。ただ当然のことではあるが,効果的な交通計画をするためには,絶えず需要量を意識して行わなければならず,この両面の分析(整備する交通システムの特徴とそこに潜在する需要量の分析)が適性になされて初めて意味をもつ計画となる。
また,眠っている需要量を顕在化させるためにもアクセスの向上,バリアフリー化,快適性の追求は重要な取組みである。カナダのバンクーバーには,運賃を支払わずに(改札を通過せず)乗れる都市鉄道があり実際に乗った経験があるが,それだけで随分と乗車への抵抗感が少なくなったことを記憶している。運用や事業形態を柔軟に検討していくことも今後望まれるのではないか。
(鹿島建設 松尾 元)

今回の記事を読んで学生の頃,交通計画の授業で都市内交通システムのレポートを自分としては珍しく積極的に取り組んだことを思い出した。大学を卒業して以来15年,河川の仕事に携わっているが今回のような記事を見つけると今でもついつい読んでしまう。今回の記事はある程度データも載っており,素人の私でも分かり易い文章でとても良かったと思う。一般の人は,土木がこのような川上の計画まで行っていることを知らないのではないか。そういう意味からも土木を学んでいる大学生や土木を目指している高校生に読んで欲しい記事だと思った。
(ドーコン 野田敬一)

ある目的に対して多くの手段が存在する場合,その手段のメリットデメリットを整理して最良の方法を選択するという流れは当然なのですが,実際に作業を始めると単純ではなく,整理する項目や評価軸を決めること自体が非常に難しく苦労するということがよくあります。都市内の移動手段として多くの交通システムが実用化した今,その特徴・機能等を整理するという試みはよく理解でき,賛同いたします。ただ,記事の主旨とは異なるかもしれませんが,整理された前半の内容と後半の「よりよい都市交通を目指して(考察)」の記載内容との関連が理解できませんでした。どういった視点で整理する項目を決めたのかという説明も加えて頂ければ,理解し易かったのではないかと感じました。
(本州四国連絡橋公団 鳥羽保行)

阪神タイガースの優勝への高まりとインフラへの波及効果 阪神今日も勝って家庭円満
アカデミックな内容ばかりでなく,このように世間を良く見た内容の記事があると少しほっとします。最近あまり明るいニュースが聞けない中で,阪神の頑張りは(巨人ファン以外には)勇気を与えてくれるものになっていると思いませんか?もう少しもつれた上での阪神の優勝を期待します。(実は私は巨人ファンです)
(東洋エンジニアリング 菅原紳二)

今回の特集は比較的堅い記事でしたのが,本記事はそれとは対照的で,リラックスして読める内容でよかったと思います。特に自然外力発生確率と阪神の優勝頻度から,阪神のセ・リーグ内での相対的な「強さ」を論じている部分は,感心いたしました。(私は阪神ファンではありませんが)優勝頻度からチームの強さを相対的に割り出せるということは,ドラフト会議の指名順位を決める際の何らかの参考になるのではないか?また,最下位になる確率から論じてはどうだろう? などなど,この記事を基に,いろいろと想像して楽しんでしまいました。その他にも,「1世紀前の入管記録・発見」も閉館時間と戦う筆者の焦燥とそれと対照的な図書館職員の親切さがよく伝わってきました。土木学科に図書館にも参考になる記事と思います。内容も興味を引くものであったと思います。
(東北学院大学 石川雅美)

よくニュースでプロ野球のチームの優勝による経済効果というものが報道されるが,土木事業への影響を考えたことはなかったので,非常に新鮮だった。土木事業は普段の生活に密接に関わりあっているものであることを,面白い形で改めて認識させられた。
(復建エンジニヤリング 甲斐友紀子)

本記事は,土木学会誌に載せるべきかどうかはよく分からないが,とにかく大変楽しく読ませて頂いた。本記事を執筆頂いた渡邊先生と掲載を決定した編集委員会の度量とご努力に感謝するしだいです。
私の周りにも少なからず虎フアンがいるが大変なフィ−バ−(一抹の不安を感じつつ?)ぶりである。何よりもこの記事に力づけられたのではないでしょうか。また阪神タイガ−スの研究は,日本におけるスポ−ツ・レジャ−産業の可能性と問題点をすべて明らかにしてくれるのではないでしょうか。
優勝後にでもぜひ続編を期待します。
(大林組 佐村維要)

野球のルールが大体わかるようになったのは,田淵の入団と同時期であった。阪神から西部へ田淵の移籍につれ応援するチームは変わったが,今はコーチで戻ってきたので,阪神ファン。今年ならではの記事で,楽しく読んだ。
(匿名)

なかなか目を引くタイトルなので阪神ファンじゃない人も結構読んでいるのではないだろうか。中味的にもスラスラ読める文章だと思う。イラストも学会誌にしては珍しくホンワカとしていて良かった。ただ,オチは何だったのだろうか?学生に対してクイズのやるやらないの言い訳の話は結構面白かったのでなおさら悔やまれる。実際に優勝した後で再び登場してオチを作って欲しい。
(ドーコン 野田敬一)

なかなか難しい話題ばかりであると取っつきにくいがこういった記事が載っていれば取っつきやすい。とても興味を持って読めた。
(岡山大学 古谷隆志)

一阪神タイガースファンとして,楽しく読ませていただきました。今年の阪神タイガースの強さは神がかり的で,最近では毎朝のスポーツニュースをチェックすることで,日々気持ちのいいスタートを切ることができます。昨年までの阪神の実力が他球団の4分の1という計算結果には驚かされましたが,今年の実力は他球団のいったい何倍になるのでしょうか?今は,とにかく阪神タイガースの優勝を心から祈ります。
(京都大学 林 芳樹)

「土木博物館(仮称)」構想と「土木の学校(仮称)」 「小さく生んで,大きく育てる」土木の国家的拠点を目指す博物館
文章中にもありましたが,「土木博物館」と書かれているのをみて,私も正直に言うと,土木界および市民の間で博物館整備の気運が現在のところ高まっていないのではと思ってしまいました。ただ,今回の試みは,この気運を高めていくために「土木の学校」なるものを設立し,これを中心に種々の活動を行っていくとのことで,市民の方に土木と触れ,親しみをもって貰う意味でも非常に有意義な試みだと思います。息の長い取り組みになるとは思いますが,是非ともこの試みが成功することを祈っています。
(JFEスチール 大久保浩弥)

高知県奈半利港海岸の離岸堤にサンゴの群生 その保護と地域振興に向けて
海岸浸食を防ぐための離岸堤にサンゴが群生し,地域振興に一役買っているということで,思いがけない自然との共存にうれしく思いますが,養浜事業とサンゴ保護との兼ね合いもまた難しいところなのでしょう。共存共栄を願います。
(千葉県 佐藤健一)

高知県奈半利港海岸の事例は,海岸整備と自然環境の保全を両立させた好事例である。離岸堤に着生したサンゴ群集の保全,サンゴ群集の地域おこしのための利活用に向けて行政と地元住民が一体となって取り組み,やがてその成果が実を結ぶことを期待したい。
(本州四国連絡橋公団 杉本 健)

沖縄の普天間基地問題などに代表されるように,サンゴ礁と土木構造物は相容れない関係と見るのが今までのイメージであった。その逆の現象が見られるケースとして面白い報告として読ませていただいた。しかし生態系全体を見渡して,サンゴ以外の海性生物や魚などはどんな状況なのかについても一言触れてほしかった。人工の環境に定着する生物という意味では,都市部のカラスなどと同列になりかねない。人々が好意的に感じるから由とする,保護するべきであるという論法に読めてしまい,いささか疑問を感じた。もちろんページの制約もあり,報告者の主張が充分反映できていないのかもしれないが。
土木に携わる以上,生態系の改変というのは多少なりとも避けて通れない現象ではあるが,その改変をより"良い"改変としたいのは誰しも同じだろう。では"良い"生態系とは何かといった命題に,現在明確な共通認識は無いのが実際だろう。しかし,ほとんど不可逆な変化である生態系の改変や保護の基準が,あいまいな人気投票になってはならないと感じられた記事であった。
(環境地質 大久保拓郎)

高知県のダイビングポイントとしては西南端にある柏島が有名ですが,そこと土佐湾を挟んで反対側に位置する町の,それも港の離岸堤に,なんと73種に及ぶ珊瑚が生息していると言う。驚きました。
(電力中央研究所 佐藤隆宏)

委員会報告 景観・デザイン委員会 デザイン賞の特色
デザイン賞受賞作品の紹介がなされているが,講評はWebサイトに掲載されている。デザインの分野は土木でも注目を集めてきている分野のひとつだと思う。最優秀賞はどこがすばらしいのか一言コメントを載せて頂ければ良かったと思う。
(横浜国立大学 桝谷有吾)
学会誌全般へのご意見、編集委員会への要望等
記事にもありましたが,土木分野のイメージアップというのは非常に重要な課題だと思います。ひいてはそれこそが,若手の人材育成,技術力の向上にも繋がるのではないでしょうか?学会誌でこのような問題提起を今後も行っていただきたいと思います。
(東洋エンジニアリング 藤原武彦)

読みやすくて良い。
(東北工業大学 中居良行)

今回は,当公団のから2つの記事がありました。興味がある,と思うと身内の文章で,どうしても感想は書きづらいですね。一回にこれより多くなることが無いよう,お願いします。
(日本鉄道建設公団 水越 潤)

「(特集3-3-2)ヨーロッパにおける計算力学教育」「土木技術者よ,ミッションを持て」の2記事に関して,多くの大学で「土木工学科」という名称が変更され,教育内容についても社会の動向にあわせた変革が迫られている中,私も大学での土木教育を担当する教員の一人として,今後の土木工学の教育カリキュラムについて,あれこれと考えをめぐらせる機会が多くなったが,そのような折,本記事のドイツで開設されている「土木情報科学」という講座の紹介は大変参考になった。また,すでにヨーロッパの大学では「計算力学」あるいは「計算工学」といった修士コースが設立されているという現状は,「土木」と「情報」の融合が実践されているという点で,日本の土木教育の進むべき方向を考える際,非常に力強い事実と思われる。巻頭の「土木技術者よ,ミッションを持て!」の中でも金子先生が土木技術がIT技術と融合しながら取り組んでいくことを提案されている。両記事は,今後の土木教育と「情報」について考える,いいきっかけを与えてくれたと感謝している。
(東北学院大学 石川雅美)

先月号から,モニターをさせていただいておりますが,先月号,今月号とも,特集は大変面白い内容です。
実は,これまで,土木学会誌は拾い読み程度でしか読んでいませんでしたが,興味があって読もうと思った記事があっても,日常の忙しさにかまけて,つい忘れてしまうことさえありました。今回に本格的に学会誌を読み始めて,楽しんで読む習慣がつき始めました。
(東北学院大学 石川雅美)

「立山カルデラ博物館」を読み,著者白井芳樹さんの役職は道路空間高度化機構との紹介でした。白井さんは前職で富山県庁に勤務されていたことを思い出しました。著者の方の経歴までとはいいませんが,記事と関連する前歴程度は掲載されたらいかがでしょうか?
(大阪府庁 岡田敏男)

新会長インタビュー興味深く読ませていただきました。御巫会長はじめ,聞き手のみなさんの写真があって,インタビュー時の雰囲気が良くわかるのですが,写真が少し大きいのではと思います。写真は集合写真程度にして,あとは各の方の略歴とか土木対するコメントを紹介していただけるほうが,土木学会誌がより身近に感じられると思います。
(大阪府庁 岡田敏男)

今回は前回よりも興味がもてる記事が少なかったです。
(土木研究所 野間)

今回の記事構成は,硬すぎる。柔らかい物にはおもしろみがない。という構成でした。これは,私自身が不勉強である可能性も大きいのですが・・。また,委員会報告として,景観・デザイン賞の募集を掲げているのは,なぜなのだろうと疑問が残った。加えて,委員の横顔と選考についても1頁も裂いて必要あるのだろうかと思った。1頁のコラムを組んであとはホームページで!で十分なのではないでしょうか。
(匿名)

特にありません。が,難しい特集は連続させないで下さい。頭がついていかないので。
(清水建設 藤田 淳)

特集記事に関して毎回思うのですが,このような特集記事は非常に専門性の高いものとなっています。それだけに内容が掘り下げられ,密度も高く,知識を持った人には有用なものなのでしょう。
しかし,専門外の人間から見ると,高度すぎるがために,読んでプラスになることが少ないのではないかと思います。せっかく章立てしてあるので,初めの方は100人読めば100人全てが理解できる内容にして,章が進むごとに専門の人をもうならせる内容になっていく,という風にはできないでしょうか。例えば初めの方は,専門家ではなく,勉強をはじめたばかりの人が書く,といったような。表題的には非常に興味があるのですが,専門でないがために読み飛ばさなくてはいけない,というのが今の私の現状であり,目の前の宝に触れることができない悔しさを,毎回味わっています。
(ショーボンド建設 小牟禮建一)

本号の金子先生のように,他分野で活躍されている方が「土木」をどのように捉えているか,が分かる記事を引き続き掲載してほしい。
(大林組 佐村維要)

今回の阪神タイガースに関した記事のように,専門知識のない人にとっても読むことのできる話題も掲載してください。
(横浜国立大学 加藤 大)

今回の“時局を論ずる”のように土木に携わっていない人の話を聞くことは非常に有意義なことであると考える。短くても良いので毎回一人くらい,このような話を聞けたらうれしいと思います。
(横浜国立大学 桝谷有吾)

「速報」は,文字どおり速く伝えなければ意味がない。新聞などと違って月刊誌だからしかたがないのなら,「速報」ではなく「1次報告」とかの方が合うのではないか。話の広場は,過去の土木学会長の米国入管記録が見つかったとの内容。素人の感想だが, 3ページもスペースをさくニュースなのだろうか。記録発見が,元会長の新たな業績に結びつくとか,何らかの価値を持つことなのか,読者としてよく理解できなかった。
(山梨日日新聞社 深沢健三)

7,8月号で感じたのは,面白いということ。門外漢なので,新鮮に写った。ただし,マスコミに身をおく者として「もったいなさ」も感じた。もっと外部へ広くPRしては。一つの方法は,マスコミを利用すること。ニュースとしてもっと積極的に広報するべきだ。分かりやすく書くというのはマスコミの得意とする分野。つてを生かして連載を書かせてもらうのもいい方法。「土木は元気だ」というイメージをつくることが大切だ。
(山梨日日新聞社 深沢健三)

今の学会誌の構成は,特集から,技術レポート,事故・災害,土木紀行等バラエティーに富んだもので,とても面白いと感じています。今後も,バリエーションを加えて学会誌を発展させてください。
(三井住友建設 小出孝明)

カラー写真,イラストが多くて見ているだけで楽しい。ところで,効果的プレゼンテーション能力の向上を図りたい方も多いと思うので,パワーポイント入門・応用講座など始めたらどうでしょう。
(東京都新都市建設公社 宇野久実子)

毎月の土木学会誌を読むたびに,人の飽くなき探求心というものをかんじ,私も研究意欲が掻きたてられます。次の学会誌の発行を楽しみにしております。
(岡山大学 井保大志)

この読者モニターの意見の原稿に関して,(1)興味のもてる内容,もしくは役に立った記事2編(2)つまらない,もしくは分かりにくいと感じられた記事1編の合計3編について毎月執筆するのは数が多い気がします。全てが掲載されるわけではないので,1人1編以上等に緩和してはどうでしょうか?
(広島大学 海田辰将)

身近で小さなことに関して土木業界が支えているようなものの紹介をもっと掲載してほしいと思います。
(京都大学 玉谷宗一朗)

過去3年程度の特集記事の一覧表を学会誌に載せて頂けないでしょうか?
時代背景にあったタイムリーな記事を特集として取り上げていただいていることに,大変感謝しておりますが,後から読みたくなる記事や,後で記事の良さが分かる場合もあります。ホームページ等では分かるようになっているとは思いますが,学会誌上でも一覧表にまとめておいて頂ければ,探す手間も省けて大変助かります。
(中央復建コンサルタンツ 小阪拓哉)

7月号に対して寄せられた「会員の声」に対する編集委員会からの回答

1-1 「需要予測」の限界性と展開ニーズ 何が問題なのか?そしてどう転換すべきなのか?
「交通需要予測」については,正直に申し上げて,土木技術に関する問題というよりは,むしろ政治・行政の問題の一部として捉えていたため,マスコミからの情報を受け入れるにとどまっていました。今回の特集では,技術者の立場から,1)問題点の整理,2)現在の取り組み例,3)今後のありかたについて,きわめて明快な説明がなされ,改めても技術者の立場からこの問題を考えるいい機会を与えてくれたことを感謝しております。とりわけ,特集第1章としての家田先生の記事は,専門的な表現をほとんど用いることなく,問題点の分析がシステマチックになされ,特集の導入部としての読者への問題喚起が十分に発揮されていたと思われます。同記事の中で,『 「なる」の需要予測から「する」の需要予測 』に関する記述には,これまでの問題点をまさしく言い当てているもので,藤井先生も「需要予測の新しい流れ」のなかで同様の主張を分かりやすく解説されていました。
本特集で紹介されている意見は,土木技術者に限らず,一般の多く方々からも賛同を得ることが出来るのではないでしょうか。土木学会誌が一般の方々に対しても,情報を提供の発信源となることを望みます。
(東北学院大学 石川雅美)
(編集委員会からの回答)
今回の特集を企画したきっかけも,交通需要予測に対する一方的な 批判に反論すべき点が多々あるのではないかと考えたことにあります。 その意味からも,土木学会等を通して,本特集で主張されているようなことが,より多くの人に伝われば幸いです。
(特集主査:中嶋)

1-2 交通需要予測の技術的課題と使い方
交通需要予測はある仮定に基づいた計算値であるので,その仮定条件によっては結果が大きく異なるということは明らかだと思います。その仮定条件や結果に幅があるべきことは置いてきぼりで,結果の数字だけが一人歩きしてしまった事が最近の批判の大きな原因ではないでしょうか。幅予測が行政に受け入れられなかったのが主因のようですが,確率や信頼性という言葉は今の世の中では日常的に使われるようになっており,行政側が『混乱』を理由に拒否するような時代ではなくなっているのではないでしょうか?また,需要予測の信頼性を高めていくために,仮定条件が大きく変わったと思われる場合には予測を改訂する,もしくは定期的にパラメーターの見直しを行って予測結果の見直しを行うということがこれから必要になってくるのではないかと思いますがいかがでしょうか?私が学生の頃に当時院生だった屋井先生や石田先生といった方々が森地先生のご指導のもと,モデルの構築に頭を悩ませていた事を思い出します。首から下で仕事をしてきた私には難しすぎてついて行けませんでしたがあの頃の苦労が結実してきているはずで,それが世間であまりよく見られていないと思うと残念でなりません。
(東洋エンジニアリング 菅原紳二)
(編集委員会からの回答)
これまでは,一度予測すると予測した条件とした背景が変わっても,その結果がいつまでもその後の計画作りや施設計画に適用されることもあったように思います。ご指摘のように需要予測の条件が変わったと思われる場合には,予測の見直しをしていくことが重要だと思います。この場合にも,なぜ見直しをしたのかを含めて情報公開し,透明性を確保していくことが重要だと思います。
(特集主査:中嶋)

第3章 これからの交通需要予測
一般の人々の抱く不信感,批判の対象を理解できたと考えます。「交通需要予測」に対する世論の不信感は相当なものです。批判の対象は「不透明な計画決定過程」であって,これを「土木」全般に対する不信感へと広げることは何としても阻止しなければなりません。問題の本質や,これからの在り方を,普段土木とは縁のない一般の人々に対して説明していく必要があるのではないかと考えます。
(中国電力 加藤拓一郎)
(編集委員会からの回答)
問題の本質やこれからの在り方を,一般の人々に説明していくことは非常に重要なことだと思います。そのためには,土木学会などの活動に期待するところもありますが,行政が住民に対して積極的に情報公開し,説明責任を果たしていくことが重要ではないかと思います。
(特集主査:中嶋)

3-2 これからの交通需要予測
文字ばかりであるところは,多少図表等を用いて欲しくもあったが,本質的な問題をわかりやすく述べられていたと思う。論者の真面目さを感じた。いつか需要予測,また車社会の本質的な問題についても100年の計いや,1000年の計といった観点から切り崩してもらえることを期待してます。
(土木研究所 大石哲也)
(編集委員会からの回答)
執筆者の方には,なるべく図表を多用して頂くようお願いしましたが,内容的に図表を用いにくい記事については文字が多くなってしまいました。ただし,これらの記事については,専門外の方にも読み易いよう,非常に分かり易い表現をして頂いており,図表が少なかった点についてはご容赦頂ければと思います。
(特集主査:中嶋)

(編集委員会への要望)
全体的に言いっぱなしの記事が多く,記述者の思想が見えないと感じました。つたなくても良いので,思想を語って欲しい。匿名で良いので,自分の手がけた仕事で失敗したもの,その原因・反省・今後への礎というテーマで編集して欲しい。
(土木研究所 野間)

土木工学を学んだ方の多くは,ゼネコン,コンサルタント,公務員などとして働いておられると思いますが,それぞれの職業でどのようなことをされていて,またどのような魅力があるのかということに興味があります。このような情報を学会誌でも紹介していただければうれしく思います。
(京都大学 林 芳樹)
(編集委員会からの回答)
学会誌へのご意見ありがとうございます。いずれも,記事の企画のご提案と思いますので,今後の参考にさせていただきます。

(編集委員会への要望)
特集や技術リポートなど専門的な話が多くなるときは,最後にまとめとして,ポイントを数点箇条書きなどしていただけると大変読みやすくなると思います。特に自分の専門分野以外の話は難しくて分からないことが沢山かかれています。ポイントをおさえながら読むことが出来れば,より一層興味が湧いてくると思うので是非よろしくお願いします。
(横浜国立大学 桝谷有吾)
(編集委員会からの回答)
同様のご意見は,しばしばお寄せいただいております。編集委員会においても,平素からわかりやすい記事とするためにいろいろな工夫を凝らしております。今後の編集作業において,ご提案頂いたような手法が有効だと思われる場合には,積極的に採用させて頂きたいと考えております。

(編集委員会への要望)
全国大会の案内ですが,土木学会誌と別冊にすれば,当日用意する案内(確か用意されていたような気がします)の部数は減らすことなどできませんでしょうか?
(清水建設 太田智久)

年次学術講演会プログラムや宿泊案内などはすでにHP等で自由に閲覧・印刷・ダウンロードできるようになっており,インターネットも普及している現在,かなりのページ数を使ってまで学会誌に掲載する必要があまり無いように感じます。
(広島大学 海田辰将)
(編集委員会からの回答)
ご指摘の通り,インターネットなどの通信インフラは急速に整備されてきており,土木学会でもホームページを通じて多くの情報を発信してきております。しかしながら,現時点ではすべての会員がこれを利用できる環境にあるとはいえず,全国大会案内などの重要な情報は学会誌に掲載する方針をとっておりますことをご理解頂ければと思います。また,大会案内を別冊化することは出版費用の増大につながるため,当面,従来通りの編集を継続致します。

(編集委員会への要望)
特集(今回は交通需要予測)のページ多すぎませんか?と言うのは,特集記事はその性質上どうしても専門的になり,その専門外の人や特にその話題に興味の無い人は読まないのではないでしょうか。今までの私をはじめ普通の読者は興味ある記事を読んで,後は飛ばし見程度で済ませていると思います。そこで特集が興味が無い記事だったりすると実際読むページの半分が飛ばされる事(今月号は,カラー76ページ中,特集37ページ)になります。私も社内誌などの編集委員をやったことがあるので編集委員の方々の苦労はなんとなく想像できますが,次年度からでも考えて頂きたいと思います。
(ドーコン 野田敬一)
(編集委員会からの回答)
特集に関しましては,編集委員会の内規として30ページ程度に抑えることとしております。しかしながら,特集の完成度を高めるための編集委員会での構成検討によっては,当初予定よりも記事が増えることもあり,個々の記事が冗長にならないよう留意するものの,目標ページ数を超過することがあることをご理解頂ければと思います。特集のテーマ選定にあたっては対象読者層の想定も評価しており,今後も,できるだけ多くの方に興味を持って頂ける特集を企画していきたいと考えております。

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