土木学会誌
土木学会誌8月号モニター回答


表紙 名古屋港
裏表紙の説明の段落が小分けにされすぎて,読みにくく感じます.関連する内容は一つの段落に纏めてほしいです.また熱田と名古屋港の関係が即座に分らず少々戸惑いました.そこで,例えば,1908(明治41)年に*熱田港から*名古屋港に改称され,...などとしたほうが分りやすいと思いました.
(東京工業大学 田辺篤史)

Cover Story 五本松堰堤(布引ダム)
コンクリート構造物がメンテナンス・整備され、恒久的に人々の役に立ち続けている好例だと思いました。 このような例がたくさん出てこればいいなと思いました。
((株)きぃすとん 中西博己)

今回の記事を見て、ある改修工事の際、「せっかく先輩が残してくれたものに、何て工事をするんだ!もっと、構造物に愛情をもて」としかられたのを思い出しました。大先輩が残してくれた大切な土木構造物を次代の人にも良好な形で残していくことは、今の我々の義務であると改めておもった。最近、昔の構造物は、本当に美しいと感じる機会多くなりました。
(匿名希望)

この人に聞く 森山奈美氏
地域の課題を住民の視点から捉え、解決に向けて地域が主体となって取り組まれ、一定の成果をあげられていることを興味深く読みました。この活動の結果として、「自治力が上がれば地域の課題は解決できる」という意見か ら、地域の事業推進にあたり、最近よく行われている「PI」のヒントというか、本来のPIの姿のようなものが見えたように思いました。また、この記事を読んでいて、滋賀県の(株)黒壁を思い出し、これらの事例が「地域の地域による地域のための活動」なのかな?と思うと共に、他にもこのような事例が多数あるのかな?とも思いました。
(匿名希望)

特集 中国が向かうところ
この時期に中国をとりあげて、多角的に問題点を紹介する企画そのものは悪くないと思うのだが、そこから土木技術者へのメッセージが乏しいように感じた。トリビア的な中国の情報提供としては、効果があったようにも思うが、どのような土木関係者を対象にどのようなことを訴えたいのかが不鮮明であったように思う。中国市場の攻略マニュアルなのか?あるいは、土木的観光ガイドなのか?中国社会通になった上で、改めて土木分野を考察するのか?いずれにせよ、限られたスペースに取り込むにはバックヤードの紹介が大きすぎたのではないだろうか。
(北海道開発土木研究所 泉澤大樹)

自分にとって、中国はまさに「近くて遠い隣人」であった。人口が多いとか、近年の経済成長が著しいぐらいの認識しかなく、中国が抱える問題など、あまり考えることもなかった。日本よりも大きな規模で経済成長を続けているため、日本が抱える都市問題も同様に、もしくはそれ以上に深刻になりかねない。いろいろな意味で中国が日本に及ぼす影響は大きいので、自分の仕事が直接中国と関わることはないが、中国のことに興味を抱かせる特集であった。
(鉄道建設・運輸施設整備支援機構 中村龍次)

これまで、中国に関しての知識としては、ニュース等で取り上げられるような、急速な発展が行われ、経済格差が 生じているといった、表面的な知識がほとんどでした。今回の特集で、それらについての情報を、土木的な側面のみでなく取り上げていただいたことにより、中国についての知識を深めることができました。また、このような情報があった上で、最終章を示して頂けたことで、土木界としての中国に対する役割りがより明確に伝わってきたと思います。
(清水建設(株) 牧野洋志)

現在、中国は急成長していて、多くの新聞や雑誌では経済成長面のみが取り上げられることが多いですが、今回の特集記事では、様々な視点でそれぞれの専門家が中国の抱えている問題について、簡潔に書かれているので、とても参考になりました。特に中国の環境破壊は日本の環境に大きく影響してきます。今後、日本と中国の技術協力及び技術者交流が更に必要になってくると思うので、この記事を読んで技術者として何ができるか考えさせられました。そして、中国に一度も行ったことがないですが、ぜひ自分の目で確かめてみたいと思いました。
(国土交通省 杉浦健太郎)

この記事については時宜に適った適切なテーマ剪定であったと思います。近年の中国の躍進を漠然とした知識でしか理解していなかったものを今回の記事を読むことによってかなり具体化させることができました。内容は7つのテーマに分けて書かれていますが殆どに目を通しました。特に「4.中国の土木事情」は参考になりました。この記事を含め2つのテーマについて執筆者が中国と日本の2人の共著となっていますが、記事をまとめるにあたっての役割分担がどうであったかが記事を読みながら気になりました。記事の中に役割分担をどのようにしたかなども注釈していただけたら、より理解度が高まったのではないかと感じた。
(東京ガス 飯村正一)

私も上海に旅行したことがあるが、活気があり、日本の高度成長期の初期に似ているように思えた。ただ、農村部になると、急に質素になり、作業も牛や人力であった。都市部と農村部の格差が大きいことを肌で感じた。 記事を読むと、その急速な発展が特に印象に残るが、やはり環境破壊や環境汚染の進行が気にかかる。日本は、先進国の責務としてこれらの改善に技術援助をすべきである。例えば、三峡ダムは、約130万人に及ぶ住民を移転させ1993年に着工されたが、長江の環境破壊の恐れや大地震時の安全性などの諸問題は解決されたのであろうか。
(南海測量設計株式会社 友近榮治)

世界第4位の国土を持つ中国は,我が国の隣国であるが近いようで遠い国である。中国には未だ一度も行ったことがない私にとって今回の特集は非常に興味を引くものであった。特に建設会社に勤務する私にとって中国の経済成長やこれに伴う社会資本整備には目を見張るものがあり,機会さえあれば中国の社会資本整備に貢献してみたいとも考えていたが,国内での鋼材在庫のひっ迫,価格高騰には日々頭を悩まされていた。しかし,これまでテレビ等で知る中国は,北京や上海等の大都会に限定された姿であり,実際のところ貧富の差,地方部のインフラ整備の遅れや都市開発による環境問題等様々な社会問題を抱えている。今後,益々拡大してゆく中国で土木技術者としての自分を試してみたいと感じた。
(伊藤組土建(株) 滝澤嘉史)

時を得た話題でしたので興味深く読ませて頂きました。タイトルの『中国の向かうところ』というキャッチコピーに誘われ、「一体どこに向かうのだろう」という興味があったのですが、結論は、「中国の向かうところ『わが国の技術が中国を支える』」とのことで、何か消化不良の感を抱きました。国内の建設需要の縮小に伴い、ゼネコンやコンサルは海外で新しい市場を開拓しています。また開発途上国では、日本からの技術導入が期待されています。このことは中国でも同じです。新技術による『貢献』という意味では中国は感謝しているでしょうが、ビジネスは貢献だけではなく、ある程度利潤を上げねばなりません。中国ではいろいろな理由によりビジネスになりにくいとの話を良く聞きます。『わが国の技術が中国を支える』というだけで胸を張るのではなく、正しく評価され適度な利潤を上げるためには、民間会社の海外進出に対して国ぐるみでの支援が期待されています。この件に関して「官・学には何が出来るか?」を考える必要があるのではないでしょうか。
(正会員 石塚敬之)

中国といえば「人口が多い」、「急速な経済成長」という言葉をよく聞きますが、この記事を読んで、さらに中国の様々な現状を知ることができました。中国の人口は多いというイメージがありましたが、平地の人口密度は日本とさほど変わらないという事実が面白かったです。また、中国の地形を見ると標高500m以上は全土に7割を占め、日本(3割)よりも割合が多く意外と山国であることに驚きました。経済発展の中で、貧富格差問題、交通渋滞問題、環境問題などの解決に向け今後頑張って頂きたいと思います。また、アジアの国々の土木事情も紹介してほしいです。
(徳島大学 スレン ソッキアン)

原油の高騰、鉄鋼の値上がりの要因として好調な中国の経済発展があげられています。年率10%以上の経済成長率や人口の増加が今後どうなるのか、将来中国の先進国入りは、世界にどのように影響すのかと漠然と関心を持っていましたが、特集により正確な知識を得ることができました。今回取り上げられた内容以外に、更に黄河の水が無くなる、砂漠化が急激に拡大しているといった環境問題についても客観的な情報を得たいと思います。しかしながら、中国について一番心配しているのは土木と関係ないのですが、これも急激な拡大を続ける軍備の増強です。周辺諸国がこれに対抗しようとすることを大変恐れます。
(長大 山根哲雄)

最近の材料費高騰からも中国の発展は目覚ましいことは承知していたが、近い国であるにもかかわらず、知らないということがよく分かった。グローバル化が進んだ現在では、土木も世界経済と密接な繋がりを持っているため、このような特集は有用であると思う。今度は、中国で受注した工事の紹介、苦労話等を聞いてみたいと思った。
(匿名希望)

急発展する中国の動向には、隣国の日本人として非常に興味のあるところです。今回、学会誌でその中国が取り上げられ、より身近な話題として記事を見せていただきました。また、様々な経済指標と併せて、現在のインフラ整備の状況や、プロジェクトの紹介によって、土木屋としても見やすい内容でした。
(東亜建設工業(株) 奥信幸)

中国をどこまで知っているのか
中国のことは知っているようで知らないということを痛感した。中国は山国といわれる日本に比べても平地の割合が少なく、「沿岸部以外の国土の7割は高地」であることに驚いた。標高500m以下の面積は日本の約12倍で、中国の人口と日本の人口の比率に近いから、(平地での)人口密度はさほど変わらない、という指摘も目からウロコの感じがした。中国の沿岸部とそれ以外の地域との格差は大きくならざるを得ない地理的な条件が存在していることがよくわかり、本号の特集「中国の向かうところ」の導入記事としてふさわしかった。
(産業技術総合研究所 梶原秀夫)

コンパクトなページながら,今の中国の全体概要を報告されているので,理解しやすく,中国特集の最初の企画として適切と思いました。それにしても,2030年には,約14億人にも到達する中国と我が国が今後どのようにつきあっていくかも重要な課題と考えます。今のマスコミの報道は,ともすれば華やかな北京や上海などに集中していますが,そうでないところも多く,成長の均衡がとれていないと指摘しています。ただ紙面が限定されていることから,人口問題の中に民族問題が記載されていませんでしたが,今後機会があれば是非ふれてほしいと思います。
(中部土質試験協同組合 坪田邦治)

中国についての私のイメージは「極端」である.歴史小説にしろ,小話や説話にしろ,とにかく大げさだという印象がある.また,マスコミ等にも良く取り上げられる国であるのだが,どうしてもインパクトの大きい極端な部分のみが記憶に残り,それが中国のイメージへとつながってしまう.そして問題なのが,この極端なイメージを元に中国という国を考えてしまうことであるのであろう.今回の記事では国土,人口,GDPについて触れられているが,これらの基本的なことでさえ,イメージとの差があることに気づく.「知らなかった」ではなくて「知っているつもりだった」のである.今後,自分が中国と関わりをもつこともでてくるであろう.そのときには客観的な知識を元に考え,相手を見誤ることにならないようにすることが必要である.
(大阪大学大学院 橋本基)

国土を標高別に区分し日本と比較するのは興味深く、特に、標高500m以上の高地の比較図は、中国という国が日本以上に山国であるということがイメージできるものであった。今までは、中国に関連する書籍や記事を読んでも、発展する沿岸部、遅れる西部という文字上での認識しかなかったが、”沿岸部以外の国土の7割は高地”とイメージできることにより、今回の特集の他の記事も含め、なぜ開発が遅れているのか、貧富の差が激しいのか等の理解にも役立った。
(関西電力 梅澤孝行)

自分が中国という国に対して固定観念のような現実とは多少ズレてしまっている認識をしている事に気付かされた。中国という国に対する基本的な情報(国土・人口・GDP)について紹介しているこの記事を読んだだけでも、自分の間違った認識を随分と改めさせられた。同時に中国の不均衡な発展、それに伴う貧富の格差の増大に関する記事を読み、現在の中国の実情を知ることが出来た。それと対称的に、我が国の(経済的に)バランスの良い発展の仕方に思いを巡らしたときに、両者の差異とはどのような要因によるものなのかということについて考えさせられた。
(大成建設(株) 尾関孝人)

「中国について、自分はほとんど何も知らなかったんだな」この記事を読んで、素直にそう感じた。中国は地理的にも日本の隣国であり、当然のことながらとても身近な国である。しかし、私に関心がさほどなかったこともあり、これまで自分は中国について何ひとつ知ろうともしなかった。この姿勢を改めて考え直されたとともに、そのような機会を与えてくれたこの記事は、私にとってそれだけでも大変有益であった。この記事中に「中国は知れば知るほど分からなくなる」と書かれていたが、自分も今回のこの記事を契機に中国の動向に常に細心の注意を払って、もっともっと中国について知っていこうと思った。その上で、経済格差、交通インフラ、物流、これらをもっともっと知り尽くしていくうちに、中国のことが分からなくなってくるなら、それはこちらとしては喜んで受け入れたい状況であると思う。
(パシフィックコンサルタンツ(株) 前田鉱太)

人口と食糧問題
「中国の人口と食糧については世界が注目する大問題だと思うが、記事では焦点が絞りきれていない印象を受けた。グラフや表の使い方にさらなる工夫が必要なのか、それとも切り口の問題かは定かでないが、「中国の人口と食糧問題」という大きなテーマにしては、紙面が足りなかったのかもしれない。
(匿名希望)

自分は、世界の食糧需給の見通しについては悲観論派である。世界の穀倉である中国が、短期的な経済効率だけを見て食糧輸入国に転じることがないように願うのはもちろんのこと、自給率以上の生産を継続することを祈るばかりである。世界最大の食糧輸入国でありかつ中国の隣国である日本国としては、祈るだけでなく、中国を将来に亘り重要な食糧供給国という明確な位置づけによる政策の後押しを受けた技術援助により、中国の農業発展に貢献すべきではないだろうか。
(日揮 谷川圭史)

エネルギーと環境問題
中国の経済発展には目を見張るものがあり、それに伴うエネルギー消費量も日本の2倍と非常に大きな量と言える。特に、エネルギー消費構造では石炭が約65%とそれに伴う環境対策は、日本にとっても無視できないものと思います。その対策として、様々な対策がとられていることがわかりました。今後もその対策が進められていくと思いますが、「近くて遠い国」ではなく隣国として日本協力プロジェクトなどがより実施されることを期待します。また、中国のみならず日本国内においても環境対策をより重要視し、、全体として、よりよい地球環境の創造が図られることを期待します。 
(シバタ工業(株) 西本安志)

中国のエネルギー問題を整理すると、(1)供給不足による経済社会への影響、(2)エネルギー利用面の問題、(3)環境問題で、中国全体でみると環境問題はかなり深刻であるとの認識を以前よりもより深めることができました。今後はより一層わが国が地球環境問題に積極的に取り組み、その環境技術を中国に提供することで、わが国とともに中国も地球環境戦略へ向かうように努めることが必要ではないでしょうか。
(東日本旅客鉄道(株) 齋藤聡)

中国の土木事情
建設業それも土木に関する現在の中国事情はとても興味深かった。日本でのインフラの整備がほぼ終わった今、中国はとても魅力のある市場である。今回の紙面上でまさにそれがその通りであることがわかった。次回も特集を組んで欲しいくらいである。
(正会員 石橋正弘)

道路建設やダム建設において明らかに縮小傾向にある日本の事情とはまったく対照的に、中国では国内全土を舞台とした土木インフラの建設ラッシュの状態にあり、中国土木業界は非常に元気であるという話題は、これから国際競争することが重要であることを再認識させられました。特に製造業では、高品質、低コストの体制が確立されており、建設業においても協調から経営力のあるもの、競争力のあるものが生き残るという体制に対応する必要があるのではないでしょうか。
(東日本旅客鉄道(株) 齋藤聡)

この記事では,最近中国で進められている土木事業について説明されており,事業の計画や進行具合について興味深く読ませて頂きました.中国が日本の技術力,管理能力に注目している一方で,日系企業の中国市場参入の厳しさが感じられ,今後どのように貢献していくべきなのかもう少し具体的に書かれていればよかったと思います.
(京都大学 音田慎一郎)

中国の土木事情−私も、この動向を静観しているだけではなくて、実際にこれらのプロジェクトに関わってみたい、そう素直に思わされた。中国では自分が国内にいては想像もつかないくらい大きな、そして、やりがいのあるプロジェクトがいくつも進んでいる。大高速道路ネットワーク、高速旅客鉄道網の建設、都市部の渋滞問題と交通インフラの整備等々、本当にどれをとっても魅力的である。私は、正直日本の高度経済成長の時代をそんなには知らない。だからこそ、中国が大きく変革していく様子に、日本の新幹線や高速道路ネットワーク等を重ね合わせて、より期待してしまっているのかもしれない。自分にも技術や海外の知見等をしっかり備えていき、いつか海外に挑戦していけるような下地を今からでも徐々に準備しておきたいと思う。
(パシフィックコンサルタンツ(株) 前田鉱太)

交通・物流問題
国土面積が日本の26倍と言われる中国は23省、5自治区、4直轄市に分かれている。従って一つの自治体の平均面積は日本全国土の8掛け位い大きいサイズになる。より効果的に、効率的に発展を向かえる中国とはなにを企みどのようにアジアでの中核をなすのか目が離せない状況であることは確かである。
((株)シーエーアイ 畔柳剛)

中国の経済発展と交通・国土
発展のボトルネックが地域格差にあることは、私にはまったく考えも及ばないことであった。というのは、自分が考えていた以上に中国の経済格差が激しかったからである。私はこれまで、需要があるから交通ネットワークを整備しなくてはいけないだとか商業施設や人口が多いから地下鉄が必要だとか、もちろんそれも理由のひとつではあるのだが、その先のことまで考えを及ばせることがなかった。つまり、地域格差を是正するためには、もちろん地域間の 交通インフラが必要だろうし、人口があまりいなくても、そのインフラは不可欠なものである。これからは、これら地域を均衡発展させるための背景や文化等にまで思慮を巡らせて、考えていく必要があると、自分の浅はかさを改めて反省されられた。
(パシフィックコンサルタンツ(株) 前田鉱太)

中国が向かうところ
中国における日系ゼネコンの現状はまさしくそのとおりであり、中国のゼネコンに負けないよう常に技術力を磨かねばいけないと感じました。
(正会員 石橋正弘)

ミニ特集 連載「一歩先をみる」 第2回 土砂災害警報システム
大規模災害時には、行政等の専門的な機関による救援の限界が明確になり、住民自身が自らの身を守り、地域を守っていく自助、互助による防災力向上、防災まちづくりが大きな課題であることは衆知である。 参加者全員が参加できる、体験できる、緩やかに合意形成ができるワークショップ。切り札はこれ!であることを確信しています。
((株)シーエーアイ 畔柳剛)

私自身が山に囲まれた場所で暮らしているので,土砂災害に関する記事に興味がわきました.今回紹介されている警報システムは,すでに実用化されていて災害予測が成功した例も載せてありました.人的被害がなかったのは素晴らしいことだと思います.さらに問題点を解決し,住民に正しい情報を迅速に伝えていけば災害につよいまちづくりだけでなく地方再生にもつながってくると思います.
(山梨大学大学院 猪股拓也)

土砂災害警報システムについて、インタビューを基に構成されていたので、分かり易かったです。そして、システムによる利点だけではなく、システムの限界について書かれていたので、興味深かったです。これからの行政は、この ような対応の限界について住民にはっきりと伝えることが重要だと思います。もちろん費用面だけで限界と言うのではなく、システムでどこまで対応できるか,今後どのように解消を図っていくのかを、説明することが必要だと思います。 更に、土砂災害の危険予測のまとめでは、あまり砂防について詳しくない私にとっては、とても参考になりました。他の記事でも、このような基本的な説明をまとめたものを載せて欲しいです。
(国土交通省 杉浦健太郎)

急傾斜地の多い日本にとって、土砂災害警報システムは非常に重要だとあらためて関心いたしました。平成16年8月に発生した奈良県吉野郡の地すべりを予測するなど、すばらしい成果であると思います。しかしながら、前兆期間が短く時間的余裕のない場合の警報発令などいろいろな課題もあることを知りました。現在研究されているマルチパラメータ(MPレーダー)が実用化の一歩手前の状況であるとのことで、さまざまな研究開発が実施されていることを知り、記事内にある限界を克服して、日本国内の土砂災害による被害が少しでも軽減できることを期待いたします。
(シバタ工業(株) 西本安志)

このような情報は一般の人や学生にとっても役に立つ情報だと思います。土砂災害の予知・予測は自然を相手にしますので、限界があるということですが、それでもある程度予測できますので、以前と比べて技術的に大いに発展していると考えています。実際に奈良県の地すべりをテレビでも見ましたが、土砂災害による人的被害を未然に防ぐことができたのは、事前に災害が予測された結果です。  土砂災害の予測方法に関する研究が多く行われていると思いますので、今後の成果が楽しみです。
(徳島大学研究員 スレン ソッキアン)

レーダーを利用して降雨量を把握し,土砂災害危険区域の予測を行う手法が示されていました.降雨量から危険区域を予測するということで間接的ではありますが,500mという細かい分解能で降水量を精度よく推定でき,また広範囲の状況を予測できるということで効果的な方法だと思います.近年,土砂災害が多発しておりますので,早く実用化されることを期待しております.
(京都大学 音田慎一郎)

自然の猛威による様々な被害を日常的に目の当たりにする我が国において、自然災害をどれだけ予測し、回避することは非常に重要な課題であることは誰しもが認識していることであろう。その自然災害の予測能力・技術を紹介しているこの記事は、実際に活用されているシステムとその限界に対して書かれており、興味深く読むことが できた。実際に、このシステムにより災害を回避し災害予測が成功していると同時に、問題点も数多くあることを知ることができた。これからも確実に起こるであろう自然災害を低減させるために、このような災害予測システムの精度の向上が期待される。
(大成建設(株) 尾関孝人)

昨年ニュース映像で何度も流れた奈良県の地すべりの映像は衝撃的であった。大雨、台風が来るたびに土砂くずれ、地すべりがおこる我が国であるから、土砂災害の発生予測への期待は非常に大きいと思う。しかし、土砂災害の発生予測が確立されても、それが住民のスムーズな避難等に活用されなければ意味のないものになってしまう。さまざまな問題があるかと思いますが、自治体、住民、研究者が協力して予知から避難に至るシステムを一日も早く確立しなければならないと思った。
(匿名希望)

近年の情報化技術の普及によって、各種観測・解析技術、情報伝達の技術はめざましい進歩をしています。個人レベルでも、インターネットや携帯電話の普及によって、様々な情報を享受することが可能です。しかし、情報提供者側の意識とは裏腹に、受け手の意識は人それぞれで、受け取り方には大きな開きがあるのが現状ではないかと思います。情報が取得され、その情報が受け手に伝達されて具体的行動として対応できるまでの時間は限られています。情報提供者側の研究者の取材とともに、情報伝達に介在する自治体の実体や、情報の受け手となる住民の意識などについても、もっとくわしく聞いてみたい気がしました。
(東亜建設工業(株) 奥信幸)

CEリポート「わだい」エッフェル塔をしのぐ構造物
ミヨ高架橋を初めて見たのは新聞だった。確か、橋脚部分に雲がかかり、主桁より上だけが写っていた写真で、その壮大さにまず驚いたことを覚えている。しかしこれが日本だとどうだろう、とも思った。過大な設計、景観とのミスマッチ、必要のないものをつくる公共事業の無駄遣いなど、多くの批判を浴びてしまうのではないだろうか。 ミヨ高架橋に対するフランス国内の世論を詳しく知らないが、記事を読む限りでは、好意的であるように感じる。国民が必要とするものであるからこそ、ランドマークとなったり、地元に愛される構造物でなければならない。 それにはミヨ高架橋の場合のように上手な、そして分かりやすい宣伝・広報活動が重要となってくるのであろう。自分たちのやり方にとらわれず、海外あるいは国内のいろいろな事業の優れた進め方を学ぶ必要があると改めて痛感させられた。
(鉄道建設・運輸施設整備支援機構 中村龍次)

今回、取り上げられましたミヨ橋については、写真で見たことがあり、どこの、どんな橋だろうかと思っていたところで、非常に興味深く読ませていただきました。また、今回の記事を読み、施工会社が出資し、料金徴収や肖像権の権利を得ているという、運営方式にも驚かされました。素晴らしい土木構造物は、その肖像権からも収益をあげることができるという考えは、今後の土木構造物建設に活かしていかなければならない考え方であると強く感じました。
(清水建設(株) 牧野洋志)

フランスに巨大な橋ができたことは聞いていたが、東京タワーより高いとは知らなかった。橋のたもとに建設機械がゴミのように小さく写った写真が橋の巨大さをよく表現していた。常識を超えた架設方法についての解説もわかりやすく、見学者の数が50万人を超えるほどに政府が宣伝に力を入れていると指摘し、わが国と比較している点も興味深かった。
(産業技術総合研究所 梶原秀夫)

「土木学会誌に相応しい話題提供の記事であると感じ、まっさきに目を通しました。この類の記事は毎号にひとつは加えて欲しいと思いました。中身を読むと、読者の知りたいと思うことを余すことなく満足させてくれる内容になっていると思います。ただ最後の文章の意味を理解するのには苦しみました。
(東京ガス 飯村正一)

「斜張橋は、大概美しい」との固定観念で今まで斜張橋を見聞きしてきたが、この高架橋は一目見て、その外観に衝撃を受けた。周辺景観に配慮したデザインに加え、資金の調達方法や施工技術など、その経緯と発想、関係者の合意形成がどう進められたのか、もっと詳しく知りたくなった。
(匿名希望)

そもそも、国の税金を使って構築する土木構造物なのに、国民の興味や理解というのは少なく、その恩恵を感じる人は少ないと思う。土木構造物が国民の興味を引き付けるためにはそれ相応の作戦が必要ではあるが、経済効果を含め得られるものは大きいと感じる。
(新日本製鐵(株) 黒澤辰昭)

ミヨ高架橋の情報を見るたびに,まず,そのスケールの大きさに驚嘆します。はじめてミヨ高架橋のことを知ったとき,本当にこんな巨大な構造物をつくるのだろうか,と疑問に感じました。日本では,おそらく誰もが先ず第一に,国内の高速道路等の有料道路の経済性(採算)を想像してしまい,本当にこのような巨大構造物を建設してよいのか,といった疑問をもってしまうのではないでしょうか。しかしながら,土木技術者として一度は実物を見てみたいと強く感じました。
(原子力発電環境整備機構 羽鳥明満)

ミヨー高架橋は、確かに橋脚の高さは注目するものがあり日本でも紹介されていた。高さやデザインについては知られているものであり、簡単な紹介で良く、ページ数の制限もあるのだろうが報道にはなかった耐震性の検討方法や地質状況についても踏み込んで報告して欲しかった。
(匿名希望)

CMで気になっていたミヨ高架橋の記事でとても興味深く読ませていただきました。幼い頃から巨大な構造物に興味があり、このミオ高架橋も例外なく興味を惹かれていました。東京タワーと同じ高さの橋脚が何本も聳え立っていたり、雲よりも高いところを自動車が通るなんて考えたこともありませんでした。いつか私もこのような街のランドマークになるような巨大な構造物の施工に携わってみたいです。
(長崎大学 岡崎久典)

フランスとわが国のインフラ整備事情の違いを痛感した記事である。土木技術者にとって、橋は世間に最もアピールできる構造物の一つであるが、それにしてもここまで見栄えにこだわったのは、運営上の意図もあるのだろうか。 橋としての機能だけを考えれば、ルート選定、縦断勾配、橋のタイプ等、様々な別の選択肢もありそうである。 建設会社が建設費500億円の内の100億を出資し、メインテナンスも行い、75年間の料金徴収の権利を持つという長いスパンでのPFI形態であろうが、リスクは大きいが尽力し甲斐のある運営手法なのであろうか。料金所の屋根に超高強度繊維補強コンクリート(メインテナンスフリー)を使用したり、トラックの通行料金の設定が乗用車の4.9倍と荷重的な負荷を考えればなるほどと思え、かたや見学・観光用にグッズも販売している等、様々な事柄で、興味 津々な橋である。また、風況次第では、主塔の上で風車が回ってても良さそうな景色である。
(大成建設 戸崎達也)

この記事の最後に著者が”わが国の政府のトップが「この橋は日本の誇りだ」という時代は、果たしてやってくるのであろうか。”と書かれていますが、この辺りは、日本とフランスの国民の公共事業・公共施設に対する意識の違いかな?と感じました。欧米では公共のものを個人のものよりも大切にする風土が出来上がっていると聞きますが、日本では残念ながら、公共よりも個人が大切という気風かと思います。この辺については、日本では「プロジェクトX」みたいな番組においてしか取り上げられない土木事業の話が、フランスではディスかバリーチャンネルで取り上げられ、 しかも一般の人達が土木事業に対して意見を交換しているという、記事の最初の部分からも感じられました。
(匿名希望)

写真が美しく、大変興味深く読むことができた。エッフェル塔より高い橋と、四国に3つも橋を架けるのとどちらがどうだとも言えない気がした。フランスの公共事業と日本の公共事業の違いを知りたくなった。
(匿名希望)

ミヨ高架橋は施工会社により観光地として運営され,収益を得ているとありましたが,日本ではどうかと考えさせられました.日本にも著名な土木建造物は多数ありますが,その周辺にある観光目的の施設で商業的に成功している例はあまり聞きません.日本では土木構造物は主として国や公団が保有するため,商業的な展開を実施しにくかったのが一つの要因だと思いますが,今後,PFIなどにより民間の資本による土木構造物の建設が増えると,ミヨ高架橋と同様な観光事業の展開が行われる日が来るのかもしれません.
(東京工業大学 田辺篤史)

一目みて「なんだこれは」と思い,次に「すごい」と思った.すごい,というのは「良くこんなものを造ったな」であり,「よくこんなものを造ろうと思ったな」である.日本でこんなものが作れるであろうか.そもそも造ろうと思うかがあやしい.また,私達がこの橋をどう思うかは別として,造った人達は「これが最高なんだ」と胸を張るに違いないという印象すら感じさせる.自信と誇りが感じられる.日本の構造物には「世界一」「世界初」という言葉を冠するものも数多くあ る.そうでなくても個人的に好きなものも,美しいと感じるものも多い.それでも,この橋ほどに強い印象を与え,造り手の自信と誇りを感じさせるものがあるだろうか.その違いはどこからくるのだろうか,いろいろと考えさせられる.
(大阪大学大学院 橋本基)

CMでみたことはあったが東京タワーと同じ高さとは驚きました。それにしても、橋梁は観光資源になるとことを再認識しました。施工会社が出資・メンテナンス・料金徴収まで行うとは興味深いと思った。橋による町おこしと地元の協力が良い関係ですすんでおり道路管理の新しい方法かなと感じた。
(匿名希望)

CEリポート「わだい」アジア工科大学院へ赴任して
小生も20年前にある機会があり,AITを訪問したことがあり,懐かしく読みました。ただ,内容は有益な記事と思いますが,4ページの中に見出しがなく,「分かりにくい」紙面と考えます。 8月号のCEレポートは3編ありますが, その他は,見出しがあり,理解しやすいと思います。
(中部土質試験協同組合 坪田邦治)

CEリポート「わだい」日本一の茶畑に眠る軍事遺構について
 『軍事遺構』という言葉に着目した。私の住む札幌市でもその危険性から防空壕跡の調査が行われている。戦時中,近隣住民を空襲から守るという機能をもつことから重要公共施設という表現をしても過言ではないと考えるが,戦争が終わった現在では無用なのである。戦後60年を経た現在も密やかに残存しており,普段の生活の中で慣れ親しんだ風景がなくなるのも少し惜しい気がする。社会資本ストックの有効活用が重要視される中で,時代背景とともに役割を終えた構築物は,遺構として後世に受け継がれるのである。空想の話であるが,自動車が地面を走らなくなる時代が到来すれば,今の道路網はどうなるのか?
(伊藤組土建(株) 滝澤嘉史)

見どころ土木遺産 オランダ人工師の英知が活きる 三国港突堤
冒頭にエッセルの写真があり,多くのオランダ人が我が国の社会資 本整備に活躍されていたんだなと思いながら読んでいました。そのうち,デ・レイケが登場したことから,ぐっと思いを入れて読みました。デ・レイケは,明治の黎明期に,自分たちが住む濃尾平野の木曽三川の整備に活躍していたことを知っていたためで,ここにも彼の活躍した場所が存在することを知りました。 今で言う設計変更も多くあり,その苦労は並大抵ではなかったと考えます。   苦難の多い現在ですが,このような「若手技術者の方に夢を与える」記事を今後も紹介してほしいと願っています。
(中部土質試験協同組合 坪田邦治)

昔建設された土木構造物のすばらしさ,工事における苦労,関係者の努力やアイディアには,いつも感心し感動を受けます。「粗朶沈床工法」は河川工事では珍しい工法ではないと思いますが,日本海の荒波を直接受けるような海工事では昔は事例が少ないのではないでしょうか。記事を読むと,かなり苦労されたことが想像されます。 日本全国各地に,明治維新から戦前にかけて近代化に向け行われた国家事業や,もっと古い時代から行われてきた土木工事の遺産が今も数多く残っていますが,いずれも先人の知恵と努力を感じとることができ,これからも大切に保存し継承していくことが必要と感じました。
(原子力発電環境整備機構 羽鳥明満)

三国港突堤の歴史・技術的成り立ちが簡潔かつ明瞭にまとめられており、非常にわかりやすい内容でした。ただ、450間がm換算ではどの程度なのかといったことや、当時の30万円という工費が現在価値でどの位なのかといったことについても注釈があればより理解が深まったと思います。(ちなみに調べたところによると、1間は約1.8m、明治中期頃の小学校教員の初任給が約8円だそうです。)この三国港突堤にしろカバーストーリーの五本松堰堤にしろ、百年以上に渡り現役でその機能を発揮し続けていることが素晴らしく、遺産であっても遺構ではないことに価値があると思います。三国港突堤は日本初の西洋式工法による突堤で、土木技術史上たいへん価値の高いものであり、現在も粗朶沈床が自然にやさしい港湾技術といことで、タイなど東南アジア諸国からの見学者が相次いでいるとのことで、今後もその技術史上の価値は不変でしょう。  しかし、鉄道の発達に伴い商港としての繁栄はあまり長くは続かなかったと聞いています。できれば技術的観点のみでなく、突堤が辿った歴史的経緯についても触れられていれば、より得るところが大きかったと思います。なお、設計・施工をおこなったエッセルはだまし絵で有名なエッシャーの父だそうです。
(国土交通省 林智樹)

平成17年度技術士第二次試験(建設部門:建設一般)の択一問題U−1−2に社会資本整備に係わった人物6名が出題されている。ドールン、コンドル、モレル、田辺朔郎、辰野金吾、広井勇である。いずれの方々も尊敬すべき先達である。この記事で紹介されているエッセルとデ・レイケ(1873年来日)を含むオランダ土木技師団のリーダーがファン・ドールン(1872年来日)である。河川工学の先生が、「明治政府がオランダではなく他の国を招聘していたら、日本の河川整備は大きく変わっていた」と話されたのを思い出した。河川ではデ・レイケが知られているが、来日時は王立アカデミー卒業のエッセルの方が上級職であり、記事にも書かれているように、デ・レイケは帰国したエッセルにたびたび手紙を送り相談していたようである。地形や地質の違う日本で、オランダの技術者たちが苦労したことは想像に難くない。土木遺産は土木技術の歴史の証人である。これからも、土木遺産を通じて人物や土木技術の歴史を紹介して頂きたい。
(南海測量設計株式会社 友近榮治)

120年前に造られた突堤が、今なお、その機能を有し、利用されていることに非常に驚いた。現在の構造物は100年200年といった耐久期間を考えて造られる事は当たり前だが、明治時代の技術で100年先まで使えるものを作れるとは本当にびっくりです。これからも壊れることなく、その機能を有し続けることを願っています。
(長崎大学 岡崎久典)

明治時代〜昭和初期の土木工事は、自然の脅威から いかに民衆を守るかを第一命題に、土木技術者は 民衆のために自然の脅威に立ち向かっていった時代であるようだ。三国港突堤をエッセルから託されたデ・レイケも、私の身近では木曽三川の改修工事でも称えられており、こうした土木技術者の原点である遺産が重要文化財に指定され、後世に語り継がれる事は嬉しい限りである。こういった時代の土木工事や土木技術者の話、また映画 「民衆のために生きた土木技術者たち」 に、妙に心惹かれるのは、自分も土木技術者だからであろうか。これが土木技術者の原点だからだろうか。
(大成建設 戸崎達也)

この世の中に,ファンクラブのある土木構造物が存在するとは驚きでした.しかもそれが,母国から遠く離れた日本のために土木技術を指導した,オランダ人工師の功績であることも初めて知りました.自然素材を用いることが特徴のオランダの土木技術が,完成から120年もの間,日本海の荒波にも耐え,港湾と治水の機能を果たし,三国港を守っている.さらに,今もなお,この技術が活かされ多自然型川づくりなどに応用されていることを思うと,先見の明と高度な技術に敬意を表さずにいられません.土木技術の本質を見た気がします.今後,機会があれば,その構造と効果について,生態系への影響を含めて紹介していただきたいと思います.
(佐伯建設工業(株) 小川元)

事業の必要性や,改善点,当時の様子などが分りやすく述べてあり,読みやすい記事でした.しかしその反面,表面的な情報のみが提示され,どちらかというと,歴史についての文章となっており,土木学会誌ということを考慮すると,多少情報が不足ではないでしょうか.せめて突堤の図面や三国港の平面図等,技術的な図が数枚欲しいところです.
(東京工業大学 田辺篤史)

波による衝撃で損傷がひどいのではないかと思いましたが,完成から随分と時間が経過しているにも関わらず,三国港突堤は現在もなおその機能を続けていることに大変驚かされました.こうした伝統的な技術は貴重な土木遺産として保存や伝承が大切であると思います.官民一体となった様々な取り組みが始められたと紹介されていまし たが,今後も続けていってほしいと思います.
(京都大学 音田慎一郎)

この指、とまれっ!
支離滅裂な文章で、要点をつかめない。結局のところ何を言いたいのかがわからない。「ああいう話もあるようだ」「こういう噂もある」といった不明瞭な情報を羅列しているばかりで、とりとめがない。技術屋が購読する会誌として、最低限守るべき約束事があるのではないのだろうか?つまりは、理論立てた解説や個人的見解に絞ってでも一定のまとめがあってこその掲載なのではないのだろうか?然るに、2面記事の1面をホームページの切り抜きのような構成にしている上に、とりとめのない文章をこれまたとりとめのなく(と、いうよりは、非常に子供じみた「カタカナ話し言葉」で)構成しているのはいかがなものでしょうか?どこかのコミュニティー誌に掲載するならいざ知らず、いくら開放的になったとはいえ、学会誌にこのような文体が大手を振って掲載されるというのは、良識を疑われると思います。それとも、このような「軽いノリ」が必要とされているということなのでしょうか?私がお堅いのかもしれませんが、ストリートパフォーマンスとしてしか受け取れませんでした。
(北海道開発土木研究所 泉澤大樹)

同記事に関しては、土木として固まったイメージを払拭し、くだけた視点から土木を見つめなおすという趣で、毎回楽しく読ませていただいております。ただ、紙面のレイアウトというか、構成の面で、雑多な感をうけてしまいますので、もう少しすっきりして頂ければと感じます。
(清水建設(株) 牧野洋志)

前置き(と筆者は言っている)部分の「抵抗勢力・・」の言葉が引っかかった。学会誌上の表現としていかがなものか。この企画は、「土木の根っこ」につながる関連記事のホームページのアドレスが照会なのか、匿名性を利用し言いたい放題を良しとする「息抜き」のページなのかはっきりさせるべき。今回は、読んでて息抜きにならなかった。
(匿名希望)

会話口調な文章で読みづらい。写真のページのコメントは読めるようにしてほしい。
(正会員 石橋正弘)

「地震予報、始まる。後編」の趣旨が分かりにくいです。また、2005年地球の暦の画面が重なっており、見にくいです。それぞれの項目の内容についてコンパクトに概要をまとめてあるとより分かりやすい連載になるものと思います。
(東日本旅客鉄道(株) 齋藤聡)

役立ってます。土木施設 第5回 熊本県道28号線 南阿蘇やすらぎロード
シビックデザインの問題はさておき、環境保全という観点だけで考えれば、このバイパスの存在そのものがまず、否定されるのではないだろうか。環境問題=公共事業という図式から、人間の存在が地球を破壊しているという極論もあるが、それを議論しているのが人間である以上、自分自身の存在を否定するのはナンセンスだろう。「無意味な構築物〜」と、いう下りがあったが、そこに生活していない人にとっては、道路そのものが否定されることになる。現に北海道はよく矢面に立たされている。逆に、利便性は求めるがエネルギー問題の負の遺産は残したくないという人にとっては、風車はそれを成し得るための壮大なモニュメントに見えるのではないだろうか。要するに、景観の主観が各個の価値観に左右されている現実がそこにある。壮大な自然は残したいが、コンビニは近くにないと困るのというのが人の本音ならば、便利をどれだけ放棄できるのかがこの問題の根底にあるように思う。とはいえ、美しい景観が失われていくことに胸が痛むのは、人間としてごくごく当たり前の感情なのは言うまでもない。両立していく道を探していく先頭にいるのは、我々、土木技術者なのもまた、言うまでもないことだ。
(北海道開発土木研究所 泉澤大樹)

筆者が感じ思うところを書いているのはいいと思いますが、批判的な内容が多くやや物足りなさを感じました。「役立っています 土木施設」ということであれば、バイパスの工事の概要や開通によってどのような効果があったのかを、図やグラフで示して欲しかったです。
(匿名希望)

土木建築物と景観の調和とは難しいものだと思いました。筆者は「無意味な構造物は、結局景観を壊す」と主張されており、なるほど、正論だと思いました。ですが、西原村が誘致したとされる10機の風力発電機のどのあたりが「無意味」なのかは、紙面では明らかにされておりませんでしたので、もう少し詳しく書いていただきたく思いました。
((株)きぃすとん 中西博己)

土木構造物と自然とを調和させることは非常に難しいことだとは思いますが、それを実現させてこそ土木構造物の使命ではないかと思います。
(新日本製鐵(株) 黒澤辰昭)

道路ユーザーの観点からまさに役立っているという実感が伝わる内容で、開通前のトンネルウォークの記事を見ても、土木施設の絶好のPRになっていることが分かりました。しかし、意外におもったのが風車について環境破壊であると厳しい言葉で述べられていたことで、個人的には風車は一般的に景観上も好意的に受け入れられるものと思っていました。自然エネルギーを用いれば何となく環境志向であるかのような先 入観がありますが、それ自体が環境破壊になっているとの指摘は多様な視点があることを教えられました。  ただ、環境破壊とクリーンエネルギーの二者択一ではなく、両者が共存していく方向性はあるはずであり、技術者はそれを追求していくことが今後重要ではないかと考えます。
(国土交通省 林智樹)

土木施設に求められる意匠とは何かを考えさせられました.記事では先のX脚の橋梁と,原野に溶け込んだ橋梁の対比により,奇抜なデザインによる負の影響がよくわかりました.このX脚の橋梁のように意匠として目立つ,奇抜なデザインの土木構造物はところどころにありますが,単体のデザインとしてはともかく,利用者に憤りを与えるようでは土木施設のデザインとしては適切とは言えず,土木構造物が利用者や周辺住民の使用感に与える影響を見積もることを一種の環境アセスメントとして考慮してはどうかと考えさせられました.
(東京工業大学 田辺篤史)

土木事業は、人工物を構築し環境を改変するという意味では、環境破壊の原因になります。しかし、人が安全に生活し、その生活水準を向上させて行くためには、社会資本整備は不可欠であり、多くの人がその恩恵を受けます。この記事で筆者は、近隣住人のひとりとして、道路や斜張橋、風力発電の風車に対する思いを執筆されていました。限られた紙面では、それぞれの施設が建設された背景や、それによる効果の全容は読みとれません。したがって、一部の施設に対する批判の意見には少し疑問もあります。しかし、そんな意見も含めて、周辺の景色を想像しながら読ませていただきました。できれば、国立公園を縦断する観光ルートが、自然や景観をどのように意識し、どんな配慮がなされて建設されたのかがもっと解ればと思いながら記事を拝見しました。 (東亜建設工業(株) 奥信幸)
(日揮 谷川圭史)

ステイト オブ ジ アーツ 建設マネジメント委員会
土木インフラ整備へのPFI導入の課題が端的に記載されていること、また、NPOと政府(自治体)等その他の主体との役割分担が概念が図で示されており、大変分かり易かった。自分の職務(自治体勤務)に照らして具体に置き換えて考えてみたい。
(匿名希望)

最近やたらと耳にするPFIに関する記事であったが、少しわかりにくく感じました。もう少しページを割いていただくか事例などを交えて説明していただきたかったです。
(長崎大学 岡崎久典)

学会誌全般へのご意見,編集委員会への要望等
試行錯誤が続いているのでしょうが、学会誌として記事を取り上げる以上、一定の良識と博識を持って当たるのが編集者としての常識なのではないでしょうか?インパクトだけを追いかけた書籍の末路は、いつの時代も変わってはいないと思います。息の長い書籍ほど、根底に筋が通っているものです。土木学会誌は、それが確固たるものであると信じております。
(北海道開発土木研究所 泉澤大樹)

教育改革については、制度論とともに「現場」行動が重要です。特に学校と家庭ではなく、社会がこども達をどう育てるかの視点が不可欠。
先生と地域の人が新しい教育づくりをするしくみとして、「地域の学習支援ネットワークづくり」を提案しています。「地域の学習支援ネットワーク」とは、先生とともに新しい教育づくりをする地域の人たちのネットワーク。子ども達の学習支援をするとともに、大人の学びの場でもあります。「地域の学習支援ネットワーク」づくりの必要性をより多くの方に伝え、より多くの方がネットワークづくりの活動をはじめることができるように情報を共有し、制度改正の提言につなげていきたい。
現在は、文部科学省、教育委員会、学校という垂直的な関係によって教育理念と方法が一律になっていること、子ども、親による学校選択が行えないことにより、新しい試みを行うインセンティブが公立学校にはありません。変革のダイナミズムを生み出すために、公立学校設置主体を多様化し、こども、親が学校を選択でき「公教育」の中身を「官」ではなく「世の中」が決める制度の提言を行いたい。
社会資本を構築するうえで、土木学会としてももっとひろくあらゆる分野に踏み込んでいってもよいのではとおもう。
((株)シーエーアイ 畔柳剛)

今回の特集は中国という、おそらく多くの人が興味を持つ内容に対して、初めから土木として、というスタンスではなく、基本知識からまとめられており、紙面の制約があるなか、非常に読みやすく、かつ有益なものだと感じられました。今後もこのような、誰もが興味をもつ内容を、わかり易く示していただきたいと思います。
(清水建設(株) 牧野洋志)

あまり土木学会誌に相応しくないかもしれませんが、プレゼントコーナーがあるといいのではと思います。例えば、土木学会の新刊書や記事で取り上げた方の書かれた本など、毎月数名にプレゼントするのはどうでしょうか?
(国土交通省 杉浦健太郎)

4月号から学会誌の雰囲気が随分変わりましたが、読みやすく内容も充実していると思います。「モニターの声」では、薄くなりすぎたというご意見もあるとのことですが、個人的には、読みやすく程よい構成だと思います。編集委員会の皆様方のご尽力に感謝申し上げるとともに、よりよい土木学会誌を創出していただければと思います。
(シバタ工業(株) 西本安志)

「見どころ土木遺産」楽しみに読んでいます。これからも明治黎明期以降の土木遺産を含めた先人の活躍を紹介していただければさいわいです。
(中部土質試験協同組合 坪田邦治)

今月号の「この指、とまれっ!」は、他号でもモニターの方が言及されていますが、裏付けを記載せず予想を断定しているように思われます。個人のホームページやメルマガなら問題ないのでしょうが、土木学会誌で査読して載せているのはどうかと思います。内容もメルマガと似ています。載せるのであれば、ある程度の根拠や裏付けも示して頂きたい。
(匿名希望)

ほぼ全ての記事がカラーなのでとても読みやすいです。
(長崎大学 岡崎久典)

土木学会の本で、「日本に住むための必須!!防災知識」という本がありますが、このような観点で各地域ごとのハザードマップ、災害時の都市の被害状況等を分析し、帰宅経路ロードマップを提示した書籍を発行するとよいと思います。
(東日本旅客鉄道(株) 齋藤聡)

特集「中国が向かうところ」は、現在の爆発的な中国の発展の実情を知る意味ではありがたい特集であるが、35ページ一気にというのは、圧倒され、消化不良になりそうな感がある。何回かの連載の方が読み易かったのではないだろうか。
(大成建設 戸崎達也)

会員の声
【川辺ダム事業中止を考える】
川辺川ダム建設に必要な漁業権等の収用申請が9月15日国土交通省によって取り下げられた.これによって1976年の基本計画策定以来,紆余曲折を経てきた川辺川ダムの事業計画が,今一度見直されるかもしれないという.今回の申請取り下げは,農林水産省による国営川辺川土地改良事業(利水事業)の計画策定が難航し,ダム本体事業への影響がなかなか明らかにならないために熊本県収用委員会が取り下げを勧告したことによる.一方で治水の目的を達成するためにダムが最善の方策であるのか,環境への影響はどの程度かなど,その他の論点に関してもいまだ議論が続いている.20年の歳月を経て問題がなお一層複雑化しているようにも見える川辺川ダム事業の経緯は,多くの土木学会員にとって難しい問題を提起している.筆者自身はこの事業に直接関わった当事者でなく,不完全な調査と見聞だけで軽々しく論評することは慎むべきところ,公共事業の意思決定過程を研究する者として,時宜を逸することなくこの場で問いかけを行うことも重要と考え私見を述べさせて戴く次第である.
 川辺川ダムの計画策定プロセスについては既に多くの論説がある.昨今公共事業のあり方を問う声が多い中で,その執行過程に批判が加えられることもしばしばである.その評価は別に譲るとして,一部論じられているようにこの事業が地元住民の意向を全く無視して「一度動き出したら止まらない」という論理だけで進められてきたものだという批判は当たらないと思う.確かに関連する国営川辺川土地改良事業の計画同意書をめぐる違法性の認定など,個別の点で手続き的齟齬があったとしても,地元の複雑な利害調整や合意形成に向けた努力が行われてこなかったということにはならない.仮に事業主体の過去の判断や行動が地元住民に不利益をもたらし対立を招いたことがあったとしても,地域全体が未だ合意に至っていないとしても,事業主体が当該地域において計画への同意を得るための努力をしていなかったと考えるのは不自然である.
また最近の合意形成論に見られるように,公共事業の合意形成は欧米でより進んでおり,したがって他国で普及している先進的手法を取り入れていたらこのように問題は複雑化しなかったであろうという説にも共感できない.むしろ日本的な決め方は阿吽の呼吸や形式的全会一致の多用に見られるような,「はっきり決めない」合意主義的な決め方によって特徴づけられる.対立を表面化させないことを大事と考える合意形成の手法が,和を以て尊しとする文化において醸成されてきた例は日本の色々な分野に見て取れる.日本はむしろ合意形成に熱心な国である.
 筆者が提起したい問題はむしろこの点にある.つまり,対立を表面化させないことに重きを置いた「はっきり決めない」合意形成重視の意思決定プロセスが公共事業においては最早十分に機能せず,それに伴ってプロセス自体の信頼も失われつつあるのではないか,という点である.川辺川ダム事業においては事業主体である国土交通省(国営川辺川土地改良事業は農林水産省)と一部の地元住民との間の対立が根深く対話の場さえも容易に設けられなかった時,熊本県が事業に中立的な調整役を担って極めて大きな成果を上げてきた.事業主体の国土交通省や農林水産省および住民の双方に対して毅然と接した県川辺川ダム総合対策課の態度は,見聞する限り新しい日本的仲裁・調停モデルの可能性を感じさせるものであった.しかし事が容易ではないと感じるのは,まさにその中立的な姿勢こそが,2005年9月現在の「はっきりした熊本県の判断が示されないことが意思決定を行き詰まらせている原因だ」という声につながっているということである.灌漑用水を早急に必要としている地元農家と,治水目的だけでもダム本体の早期完成を望む下流市町村(の一部)および水没地域の利害は複雑に錯綜している.もちろんその他にも多くの主体が関わっている.この利害の違いに対する政治判断を下す代表的な主体としての熊本県が,これまで成果を上げてきた合意形成手法の性質そのもののために必要な判断がしにくくなっている.事業主体と県とが三すくみのようになってしまった時,「決める場」がない.
 新河川法に伴い各流域で設置されている流域委員会の理念は,川辺川ダムを含む過去の河川事業の経験を踏まえている.しかし今回の出来事を見ると,流域委員会という合意形成の場だけではなく,より明示的な決定を行う機能を持った議決機関が必要なのではないかという思いに至る.たとえ全員が賛成できる案にたどり着けなかったとしても,何かを選択し,何かをあきらめることが必要になる状況もあるのではないか.そのような時,現在の公共事業執行プロセスや政治制度には,未だ欠けている仕組みがある.公共事業の手続き論が,住民投票か,それとも対話に基づいた専門家による合理的判断か,という二者択一の議論にしばしば帰着されてしまう.今回の出来事はそのような単純な選択では問題が解決しないという厳しい示唆を与えている.川辺川ダム事業に関わってこられた多くの方々の痛みと経験を,将来の事業プロセスの構築にいかすことが後に続く我々の責務であると思う.
(正会員 堀田昌英)

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