土木学会誌2007年6月号モニター回答
石の声が聞こえるとは驚きました。本物の職人技とはそういうものなのですね。優れた技術で積み上げられた石積みは、強度も高いというのはわかりますが、「2番で持たせ」というとおり、つみあがった石を見て中身がきちんとできているかを判断するのはとても難しいと思います。私は住宅をつくる仕事をしていますが、古い石積みで盛られた宅地の上に建替えることもあります。いつ誰が積んだかわからない石積みの強度を、簡単に調査できるシステムは無いものでしょうか?
(所属:京都府 氏名:小川哲史)
子供の頃から日本の城郭が好きだったので、穴太の石積みの技術が優れているというのは、常々感じていましたが、その起源が古墳時代で、現代までも生き残っていることを初めて知りました。「石の声を聞け、石が行きたいところに持っていけ」という言葉は、われわれが普段接するような土木構造物についてもいえることで、材料や構造形式にあわせて、構造物を適材適所に配置することが大切だと思いました。
(所属:鉄道・運輸機構 氏名:西 恭彦)
誰もが一度は石積みの姿に目をとめたことがあるのではないでしょうか。私も、その一人であり、大変面白く拝読させていただきました。また、トンネルの実験において、昔の人の知恵が現代でも十分通じることに大変感心しました。
(氏名:山本恵理子)
「2,商店街を活かす」で登場している方々の意見がとても参考になりました。例えば、東京都武蔵村山市の事例にある大規模SC 開店を契機に共存共栄を図ろうとする考え方は、地元としてはとても思い切った決断でそこには並々ならぬ想いがつまっているのだろうと感じます。その他、京都や大阪の事例をみると、少しでも地域を活性化させようと気持ちが伝わってきました。こうした前向きな取り組みが今後増えることを切に願います。 まちづくりの成功には地元と行政と専門家の連携が重要と一般的にいわれていますが、実際はそれぞれの利害関係が表に大きく出てきて事業が進まないことが多くあります。中立な立場としてコンサルタントとして何ができるのか、改めて考えさせられました。
(所属:パシフィックコンサルタンツ(株) 氏名:宮本昌彰)
自動車依存の生活、大規模店舗の出店攻勢などによる商店街の空洞化については私も常々実感しています。自分自身も自動車で玄関から店先まで家族で自由に移動でき、大量の荷物を運べる利便性、必要なものが何でも揃う品揃え豊富な郊外型大型店舗の利便性に没頭し、商店街に足をむけることは少なくなっています。しかし、その店でしか買えないようなおいしいパンを売っているといったように商店自身が購買意欲を沸き立たせる店の場合には、多少立地が不便であっても利便性を考えずに立ち寄ることもあります。商店街の復興を考える場合、本特集のように新たな法整備をしたり、商店街を綺麗にしたり、イベントを実施することにより商店街全体の魅力を向上させる取り組みは確かに有効なことだと思います。一方で、本質的なことですが、個別の店で販売する品物自身の魅力を向上させ、どうしてもその店で買いたいと思わせるようにすることも、消費者が商店街に足をむけるようになる大きな要素です。そうした個別の商店の商品開発努力に対し、まち全体で援助していくようなしくみも必要ではないかと思います。
(所属:鹿島建設 氏名:三木浩司)
特集記事で紹介頂いた地区、特に武蔵村山市の取り組みが参考になりました。大規模商業施設の進出と地元の商店街との共存が大きな課題となっている今地元貢献への取り組みが不可欠であることが理解できました。
(所属:山梨県土木部都市計画課 氏名:中村克巳)
大規模ショッピングセンター進出による中心市街地の衰退は、高速道路やバイパス開通による旧道市街地の衰退と類似しています。道路事業者の立場としては、移動時間の短縮や安全対策などを考えると、高速道路網の形成は最重要課題です。でもそれに付随して、市街地の商店街が寂れていく事例を何度か経験してきました。関係者として問題解決の限界を痛感します。
(所属:国土交通省 北海道開発局 氏名:櫻庭 満)
中心市街地の衰退は、地域内で見れば、自動車の普及や幹線沿いの大型店舗新設に伴う生活圏の郊外化、広域的に見れば高速道路や交通機関の充実に伴う、より大きな都市のストロー効果等の複数の要因により進行してきたが、行政機関・住民ともに便利さとの引き換えとなる身近な中心市街地(特に商店街)の衰退へ眼を向けてこなかったのではないだろうか。さらに、ナショナルチェーンの経営悪化に伴う店舗のスクラップアンドビルトによる中心市街地からの撤退により壊滅的なダメージを受けた。
こうした経緯があることに対して、新まちづくり三法により郊外型店舗の規制を進めようとしているのであるが、 今後は、道路計画と用途地域・調整区域等関係、各行政間の調整、当面の便利さを見がちな地元の意識を含めて継続性のある街づくりへの取り組みが必要ではないだろうか。
(所属:西日本旅客鉄道(株) 氏名:山本信弘)
「お出かけマップ」による情報発信や、シャッターのデザイン化によるふれあいや賑わいの演出など、地元や地域の自主的な活動は、法制度による効果に頼らない、商店街の魅力を高める素晴らしい取り組みであると思いました。地元自らの地道な活動が、法的あるいは税制的な支援を受けられるようになるとより弾みがつくのではないかと感じました。
(所属:東急電鉄(株) 氏名:山本隆昭)
まちづくりには素人だが、シャッター街で有名な町に住む者として興味深く拝見した。戦いの中心は「郊外での大規模商業開発の規制の一点にある」こと、郊外の大規模商業開発が成り立つのも自動車社会のおかげであり、「自動車依存のライフスタイルを変えるしかない」こと、そして、ライフスタイルを変えるには「地道なコミュニケーションしかない」ことなど、問題の全体像がよく理解できた。コミュニケーションの事例がいくつか紹介され、かすかな希望を抱かせたあと、「市民意識の成熟を待っていられるほど各都市の状況は甘くない」、「歴史も文化も何もない都市は・・1からまちづくりを始めるしかなかろう」、とは厳しい。そしてページをめくると・・嗚呼、わが町の写真があった。「特効薬はない」。
(所属:山口大学 氏名:関根雅彦)
都会から離れた郊外に住む私にとって、少しでも安い買い物をするために、車を利用して、郊外の大店舗に出かけるのが、週末の恒例行事となっている。これが当たり前になると、さすがに近場の商店街で買い物をするなどという発想自体が無い。今回の特集を見て感じたことは、まちの賑わいという雰囲気は、人が集まってこそ出来上がるわけで、商店街のイメージを一新し、商店街自体で集客できる場や、背後に観光スポットがある場合に賑わうのであろうと思っている。記事を読み、思い出した成功例としては、大分県豊後高田市中心商店街があり、レトロを売りに観光地として成立した商店街は、結構あるように思える。人が離れ、寂れた商店街を逆手にとり、逆にPRした例だと思うが、アイデアしだいでは、レトロも商店街活性化のキーワードとなりうるのであろう。しかし、本当に大切なのは、地元の団結力であり、そこに集う我々自身であるのだろうと考えさせられました。
(所属:東亜建設工業株式会社 氏名:本多将人)
郊外の大型店に限らず、インターネットでの買い物を含め、まとめ買いをするライフスタイルは、私たちの生活に浸透していると思います。地元自治体、バス事業者、大学など多くの機関・人が取り組んでも商店街を活かしていくことは難しいのでは、と思いましたが、紹介されていた「おでかけマップ」をみて、歩いて買い物を楽しむライフスタイルが浸透する日も近いのではないかと感じました。
(氏名:山本恵理子)
大阪で勤めていながら、今回の記事を読んではじめて大阪クラシックを知りました。今更ながら自分自身の低レベルな文化度を再認識しました。(恐らくPRが各地にされ目にも触れていたはずですが、目(?)殺して脳が感知しなかったのでしょう。) それはさておき、世界的にも有名な大植英次氏が大阪フィルの先頭に立ち、通常のオーケストラの活動からはずれ、初めての開催で、恐らくいろいろな不安も覚えながら挑戦されたことは、本当にすばらしいことだと思いました。記事を読んで、感じましたが、大切なことは、その挑戦は、通常の活動目的と何ら変わらない、「クラシック音楽を多くの人に聴いてもらい、その喜びを共有したい。」という強い思いであり、それが結果的に“まちが元気になる”ことにつながるのだと感じました。今後も大きくても、小さくてもさまざまな分野で次々とストリートを活かす達人が、現れることを期待したいと思います。
やはり今回も、行政、住民、民間という“まち”にかかわるすべての力が、うまくかみ合ってこそ成功と継続があり、それぞれ個別のケースごとに設定は違うのですが、舞台をサポートする行政だけでは、成功も継続もなく主役が不可欠だということを感じました。行政も、ひと昔とは変わり舞台サポートにかなり頑張っていると思うのですが、舞台で演じる役者を見つけて育てる「ひとづくりの視点」が必要なのだと感じました。(ただ、大きな予算を使い物を造るという成果はなく、時間と労力はかかり、成果が見えにくいという要素が多分にあり、行政の最も苦手としてきた、取り組みにくいところのように思います。) 今後も幅広い取材で、様々な先進事例を紹介してください。大いに参考にさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
あと、今回の特集まちづくりは、特集の部分だけでなく関連ある様々な視点での記事が多く組み込まれており、お互いの記事が補う効果もありわかりやすかったと思います。
モニターを書いていて、戦後60年ぶりに落語専門の定席が復活した天満・天神繁昌亭が、昨年9月にオープンし賑っているという話が、頭に浮かんできました。やはり私自身出向いておらず、おかげさまで落語でも聴いて堅い頭をもっと柔らかくしなければと思っています。(?)
(所属:大阪府 氏名:下村 良希)
「住民と行政と企業が本気で取り組めば不可能ではない。」、「特効薬はないので、複数の施策パッケージを地道に積み上げるためのぶれない指針を共有化する必要がある。」との指摘がある。最近、それを痛感させられた。港区から渋谷区までの青山通りのまちづくり(主に景観)の案を見る機会があった。地元関係者や有識者をメンバーに立ち上げられた団体が関係行政機関の協力を得て、議論を繰り返し、さまざまな修景プランの提案を踏まえて、2005年3月に最終案を纏めたものがベースになったという。みなとボランティアセンターのバリアフリータウンマップ運営委員会では、この案を見て、地元の高齢者・障害者の声を十分に聞いたのかと疑問に感じたが、地元関係者が多く、利害が対立しがちなまちづくりで、地道に意見を聞き、纏めることがいかにたいへんな作業だったかは理解できた。私たちは、地元の方のみならず、ここを訪れることのありそうな障害者・高齢者とともに青山通りの現状を調査し、散乱するゴミ、歩道の看板、不法駐輪に呆れながら、独自の提案書を提出したが、これからの青山通りの変遷を皆さんといっしょに見守りたい。
(所属:鹿島建設 氏名:小坂順一)
地方都市の停滞状況を目のあたりにすると、緊急に手を打つ必要性を感じる。日本の「市」が衰退しつつあることは悲しいことであるが、私はこれから再構築すれば、もっと住みやすい魅力ある都市にできると考える。筆者の「再生のためには自動車利用では実現できない魅力をつくり出すことである」に共感する。日本はこれからどんどん良くなっていく可能性を秘めているのであり、そのためには、行政だけでなく、地域社会を含めたみんなが力を結集する時期にきていると思っている。
(所属:東京都 氏名:馬場 敦)
たしかにヨーロッパの都市では、自動車が都心から排除され、街路は歩行者のための空間として賑わうトランジットモールとなっていて歩くのにとても気持ちの良い空間となっている。一方、日本の地方都市では、都心の商店街にシャッターの降りているところも多く、賑わいのある空間が形成されているのはほんの一部だといえる。そのような商店街に賑わいを取り戻すためには、ヨーロッパの都市を真似てパッケージだけをもってくるのではなく、日本の都市、さらにはその地域の特性・特徴を再発見・再確認し、それを活かした商店街作りを行っていくことが必要であり、それには行政や住民が協働して取り組んでいくことが望まれる。そのような取り組みの中でヨーロッパのまちづくりを参考にし、様々な技術を効果的に導入していくことは良いことだと思う。
(所属:清水建設(株) 氏名:宮元大輔)
歴史的なまち並を残している地域の多くは過疎化が進んでいます。自分の町の素晴らしさは、意外と住んでいる人にはわからないものです。外から見て貴重だからこそ保存したいという思いがわいてきますが、住んでいる人にとっては不便で高くつくものだったりすることが良くあります。行政が、風致などの指定をすることは、個人の財産の使い道を縛ることであり、反発もあるでしょうが、日本の文化を伝えるまち並みがほとんどなくなってしまった今、国として取り組まなければならないかもしれません。もちろん川越のように住民主導でできればいうことはありませんが、何十年何百年と続けていくためには、それをサポートする仕組みが必要だと思います。
(所属:京都府 氏名:小川哲史)
私は川越の近くに住んでいますが、川越の蔵づくりをあまり見たことがありませんでした。近くに住んでいるから、いつでも行けると思って行かなかったのかもしれません。
最近は、まち全体が蔵づくりのまち並みを残そうと活動を盛んに行っていて、私自身も蔵づくりの良さがだんだんとわかってきました。
伝統をいうのは、身近な人にとっては当たり前の存在で、なくなって初めて大切だと気が付くものなのかもしれません。今こうして、まち全体が一丸となって、蔵づくりを守っていかないと気が付いたころにはなくなってしまうと思います。
これからは身近な地域の伝統の大切さを知り、まち全体が一丸となって取り組んでいかなくてはいけないと思いました。
(所属:前田建設工業 氏名:石井智子)
商店街の方や地元の出身者が集まって、すでに昭和58年に「川越蔵の会」が作られたと知り、関係者の先見性に驚かされた。商店街で「町並み委員会」、「まちづくり規範」を作られ、議論を進めるツールを整備したことが、良いまちなみを残すために、重要な役割を果たしたのであろう。住民のボランティア精神の発揮、企業の地域への貢献等、まちの構成者として、よいまちなみを守るためにできるヒントは、身近にあると感じた。
(所属:清水建設 氏名:浅田素之)
日本は地震国であり、特に首都圏ではいつ大きな地震が起きてもおかしくない状況である。そのような中で、3名の技術者の方々による地震災害対応体験談は、同じくライフラインを維持管理する者として非常に貴重な知見である。特集冒頭の東大・目黒教授の記事も併せて、いかにして日頃からいざという時の「イマジネーション」を高めて、それに対するトレーニングを積んでおくことが大切なのかがよくわかりました。
(所属:東京ガス(株) 氏名:鈴木一生)
近年の災害を事例として,実際に災害対策に従事した方の貴重な経験談を読ませていただきました.大変,興味深い内容でした.災害対策の苦労を知り,また,現場でのリーダーシップの重要性を教えていただきました.
(所属:東北大学 氏名:内藤英樹)
災害対応や災害復旧のエキスパートの方々のお話を興味深く読ませていただきました。第2回の自然災害編を楽しみにしております。群馬大の片田教授のお話は、以前にもお伺いしたことがありましたが、相変わらずポイントをついたわかりやすいお話でした。関係する業務に携わる身としては、自分を住民の視点に置くことを心がけたいと思います。
(所属:大阪府 氏名:下村良希)
災害対策は、必要であることは認識しつつも、日常の意識からは離れがちになってしまいます。目黒メソッドは、事前に置かれた立場や発生しうる状況を予測し、とるべき行動パターンを考えることにより意識を高める大変有効な手法だと思います。大いに利用したいです。また、阪神大震災や中越地震などの体験談からは、災害発生時には、地域の人々が連携し、一丸となって復旧作業を推進することが重要であることが読み取れます。そのための環境整備、後方支援について民間事業者の立場からも実施する必要性を実感させられました。
(所属:東急電鉄(株) 氏名:山本隆昭)
地震が発生した時、自分がどういう状態にあるかによっていろいろな状況が考えられるが、眼鏡の紛失といった“細かいけれども非常に重要”な事象についても想像力を事前に働かせておくことの大事さを痛感した。また、技術者として自分がかかわった施設の被害で(身内の)犠牲者が出るという事象について、まさにこの想像力(当事者意識)こそが技術者倫理の基本中の基本であり、昨今の品質問題に対する答えではないかと感じた。
(所属:JR東日本 氏名:三島大輔)
学生時代、幸運にも目黒教授の講義を実際にうけ、目黒メソッドを講義の一環で思考したことがありました。その時に思ったのは、これまで震災のことはニュースや講義等で知っているつもりであったが、実際にメソッドを埋めて行くに当たって1分後5分後10分後等、連続で続いている時間のとき、自分は何をしているか思いつかないということでした。地震がおきた、さぁ避難しよう、避難が終わった、さぁ今まで通りの普通の生活だということは違うとはわかっていながらも、何がどう違うのかまでは考えたことが無かったため、想像とはいえ実際に考える機会となったということが強く印象に残っています。
(所属:武蔵村山市 氏名:鈴木哲人)
「目黒メソッド」に興味を引かれた。地震による被害を最小限に抑えるには適切な事前対策が必要であるが何が必要かを考えることはなかなか難しい。災害イマジネーションの向上により、各人が当事者意識を持ち、また、どう予め対処すべきかを考え、対処できない可能性、対処しない場合起こりえる事態という危機意識を高めていくことが重要なのだろう。
(所属:東京都 氏名:岡本淑子)
私も土木技術者の端くれとして、構造物の耐震補強などについて過去に関わった経験も多少はあるが、災害復旧の経験は全くない。とはいえ、実際に自社が管理する構造物が被災すれば、当然ながら私もその復旧に携わることになろう。だが、実際にそのような状況に直面したとしても、自分と家族の安全が確保できていなければ、職務を全うすることはできないであろう。
我が家でも、防災用品を整えたり、被災時の連絡の取り方を確認したり、一応は防災対策らしきことはやっていたが、実際に災害に遭った場合にどのような被害を被るのか、具体的に考えたことは無かった。確かに、具体的な被災イメージが無ければ、被災時にどのような行動をとればよいか、心の準備をすることは不可能だ。今回、この特集を読んで、まずは自分と家族の「災害イマジネーション」を高めるためにも、家族で「目黒巻」を作成してみようと思った。
(所属:首都高速道路株式会社 氏名:川田成彦)
業務でロールプレイングや図上訓練の企画および実施を経験していたこともあり、道路・鉄道・ガスの復旧に当たられた3名の経験談は、被災後一刻も早い復旧が求められる施設であるがゆえの説得力というか迫力があった。いずれも復旧を指揮する立場として、表現の差こそあれ復旧組織の結成や判断の早さを最重視している点に大いに共感を覚えた。また、多様な状況を即座に判断して復旧方法を提案できる技術者の育成や、体制をサポートするための後方支援の方法、情報の収集・発信能力の研鑽、災害復旧技術の伝承などは、土木に関わる技術者なら日頃から意識しておく必要があると感じた。
(所属:(社)寒地港湾技術研究センター 氏名:石川成昭)
ひとたび地震等の大災害が発生した直後は、普段当たり前のように利用しているインフラ関係が全て破壊され、災害復旧の最重要項目である通信網の確保、資機材手配、運搬ルートの確保等に多大な労力を要することが分かった。また、復旧活動時には、様々な組織が入り混じる中、混乱をきたさないように連携して作業にあたることが大切であり、そのような非日常的活動を効果的に行うためには、技術力のみならず災害復旧を豊富に経験したスペシャリストの存在が必要不可欠である。そのような人材の育成、確保も今後の災害対策のひとつとし て盛り込んでいく必要性を実感した。
(所属:清水建設 氏名:高本絢也)
インドネシアは地震の多い国という印象を受けていたが、建物も耐震性がなく、日本では当たり前の避難訓練が 実施されていないことにまず驚いた。しかし、日本のNGOが防災教育という地道な活動を実施していると知り、NGOの守備範囲の広さにさらに驚いた。日本とインドネシアの架け橋である鈴木親子の人柄も素晴らしい。ボランティアに関わる人の熱意、人柄が、うまくいくために最も重要であることがわかった記事であった。
(所属:清水建設 氏名:浅田素之)
日本では「地震後に津波がくる」ということが当たり前のように考えられている。しかしインドネシアの人々はそのようなことを知らなかった、ということを何かの報道で聞いたことがある。「知っていたのになぜ日本人は教えてくれなかったのだ」と被災後の現地の方々に泣いて責められたとか…。このように日本で当然であることも他国には当然ではない。災害大国日本で蓄えられた災害への知恵や英知は、秘匿するのではなく、発信すべきものである。
(氏名:天王嘉乃)
この記事の前に特集「みち・まち・商店街」を読んだためか、道の駅と郊外型大型店舗の発展過程が類似しているように感じた。道の駅ユーザーとして、賑わいは必要だと思うが、 "将来の理想の道の駅"として示された大規模SCのような姿は、道の駅とは別な施設やまちが果たすべき役割ではないかと思った。そのような施設への円滑な誘導(情報発信)とその事前事後の一服機能(宿場町ではなく街道の茶屋)として気軽に利用できることが道の駅本来の姿なのではないかと思った。そのようなことを改めて考えさせていただいた点で興味深い記事だった。
(所属:(社)寒地港湾技術研究センター 氏名:石川成昭)
道の駅は旅行にいったときのトイレや休息所としてよく利用させていただいている施設です。また最近、東京八王子にも初めてできたということを聞いたことがあります。しかしこの道の駅は、いままで休憩所や、その地域の情報発信拠点、即ち観光客などの外来者のための施設としか認識がなかったのですが、中越地震の時に防災拠点としても活躍したことを知り、地元の住民のためにもなっていることをこの記事を読んで初めて知りました。
(所属:武蔵村山市 氏名:鈴木哲人)
個人的な意見ですが、道の駅を利用する一番の目的はトイレです。そのためには、移動中でも目に留まりやすい場所にあることが重要です。しかし、幹線道路から離れており、道に迷ってしまうような道の駅もあります。食事や特産品の購入など、主たる目的があれば利用者も多いと思いますが、道の駅の増加とともに勝ち組と負け組に分かれてしまうことが心配です。
(所属:国土交通省 北海道開発局 氏名:櫻庭 満)
旅行などで、「道の駅」を利用させていただくことがあります。昔からあったのかなと疑問に思っていたので、今回、平成5年に誕生したまだ新しい制度ということを知ることができて、よかったです。
最近、観光地がとても整備されていてきれいな印象があります。昔は観光地のトイレは汚いから入りたくないという印象でしたが、今はとてもきれいで、その他の設備もしっかりとしていて、とても安心して立ち寄ることができます。
「道の駅」で、地域の情報を知ることができるのはとてもいいことだと思います。駅の周りは栄えているけれど、ちょっと離れてしまうと、お店がなくなってしまうというのをよく見かけます。
「道の駅」を中心として、その地域が栄え、地方の活性化につながればいいなと思います。
(所属:前田建設工業 氏名:石井智子)
記事を読む限りでは、「道の駅」は高い理想をかかげながらも、利用する側、運営する側とも公営ドライブインという程度にしか認識されていないことが多いように思いました。実際、いくつかの「道の駅」を利用してみても、民間のドライブインなども多数ある中で、あえて設置する必要性がよくわからないというのが、率直な感想です。「公営」と書きましたが、そもそも「道の駅」が公営なのか、公設民営なのか、それともある一定の水準の施設を官民関係なく「道の駅」と認定しているのかがよくわかっていないので、的外れな意見になっていたら申し訳ありません。また、鉄道の駅と「道の駅」とを結ぶシャトルバスを走らせたら、という意見がありましたが、ローカル線では特急の停車駅、分岐駅などですら、幹線道路から沿いでなければ駅前商店街がさびれており、鉄道利用者は列車を待つ間、買物や食事もままならないというところが多々あります。そういうところは商店街の再開発とあわせて、駅前に駐車スペースを確保し、鉄道の駅と「道の駅」を融合させてしまえば一石二鳥ではないかと思います。「道の駅」も全国に相当数普及してきましたので、案内標識さえ適切に整備すれば、幹線道路沿いに こだわらなくても立地は可能ではないかと思いました。
(所属:鉄道・運輸機構 氏名:西 恭彦)
道の駅は楽しい。その土地の名産や特産品が比較的安価に入手できるし、その土地にはどのような名所があるかわかるからだ。また、深夜に一般道を走行していて眠気に襲われても、道の駅なら安心して仮眠がとれる。それは人々が道の駅の役割を把握しているからこそできることだと思う。しかし、道の駅に防災機能があるとは知らなかった。中越地震のときにこんなに活躍していたとは知らなかった。道の駅の今後の発展に期待したい。
(氏名:天王嘉乃)
千歳川放水路計画の中止の受け入れは大変であったのだろうことが、図-2の「苦渋の受け入れ」という言葉に表れており、印象に残った。新たな治水対策は農地を遊水池として利用し、農業排水路の改修、市街地部の流出抑制などと併せて行うことが盛り込まれ、今後の治水計画の先進事例として、歴史に残る決断をされたと思う。土木事業は自然を大切にする心がますます必要とされるであろう。
(所属:清水建設 氏名:浅田素之)
河川氾濫による被害は今日でも続いているが、調査・計画から工事着手・完成まで、あまりにも長い年月を必要としたために被害が大きくなることもありえる。新たな治水対策の検討の中で、住民から土木技術者や学識者へ直接検討が依頼され、その報告をもとに新形式の対策案が採択された。このような方式であれば、住民から技術者へ直接依頼がなされるためコミュニケーションもとれ、検討期間の短縮も望めることから、今後はこのような事業が増加するのではないかと感じた。
(所属:前田建設工業 氏名:内田治文)
本稿の記事を読み、CDMプロジェクトの仕組みと、温室効果ガスの排出削減量がCERとして自国の排出削減量としてカウントできることを初めて知りました。京都議定書で義務付けられた日本の削減目標値に対し、このようなプロジェクトがどの程度寄与するものなのか、他のプロジェクトのデータも含めて次の報告を期待します。
(所属:前田建設工業 氏名:内田治文)
CDMの活用において大変重要なことは、プロジェクトの実施がホスト国である発展途上国の「持続可能な発展」にどのように貢献できるのかということだと思います。プロジェクト期間内にどれくらいの温室効果ガス排出量を削減し、どれくらいの排出権クレジットを取得することができるのかという評価項目だけでなく、プロジェクト期間終了後もホスト国において温室効果ガス削減効果などが持続されるプロジェクトになり得るかどうかを評価することも重要だと考えます。記事内に、処分場周辺の環境改善やプロジェクトの建設運用による技術移転、人材育成など持続可能な発展への寄与について記述がありましたが、本プロジェクトにおける「持続可能な発展への貢献度」のような情報についてもう少し詳細に掲載して欲しいと思いました。
(所属:東京大学 氏名:加用千裕)
アメリカ同様日本においても、今後の橋梁分野において建設より維持管理の割合が大きくなっていくことは明白である。そのような中でアメリカで実施されている検査、モニタリング、データ管理といった技術を参考にし、合理的な維持管理システムを構築していくことは現在の重要な課題であると感じた。
(所属:清水建設(株) 氏名:宮元大輔)
橋梁マネジメントが抱えている問題について、アメリカと日本の状況がとてもわかりやすく記載されており、人命に関わる橋梁マネジメントにおいて、迅速さが求められる中、慎重に、かつ合理的に進めていくことは非常に難しいということを感じました。日本に目前にせまっている問題であるだけに、非常に興味深い記事でした。
(氏名:山本恵理子)
台湾・韓国・中国の経済発展とともにセメント消費量が変動しているようです。近代的な暮らし=高層アパートというようなイメージが定着しているように感じます。ヒートアイランドはますます加速するのでしょうか?台湾・韓国・中国の数十年後は、シックハウスに悩む人たちであふれはしないでしょうか?心配です。
(所属:京都府 氏名:小川哲史)
ハード面の整備をいくら行ってもそれを利用する住民がうまく活用できなければ、それは十分とはいえないだろう。それが命の危険にかかわる防災においては、特に顕著だと感じる。今回特集されていた「逃げない住民をどのように逃がすか」という課題は、とても有意義で斬新的な取り組みと思う。「専門家の尺度で住民を評価するのではなく、彼らに寄り添い、それを理解したうえで、彼らの尺度で『逃げる』という選択を導き出す。」という話すコメントからは、住民に対する愛情とこれまでの経験が詰まっている。今後、このような専門家がますます必要とされるだろうと痛感した。
(所属:パシフィックコンサルタンツ(株) 氏名:宮本昌彰 )
災害時における住民の避難に対する意識がこれ程までに希薄であり、かつ避難勧告発令時に「逃げなくてもよい」という自分尺度の解釈をする住民が多いことを、記事を通じて初めて知った。住民に対し、いかにして「避難しなければならない」という意識を持たせられるか?ハザードマップの視覚的表現の工夫による心理的な避難誘導、住民とのコミュニケーション強化による「理解の防災教育」が極めて重要であることを認識させられた。同教授が取り組む具体的な方策に関する説明が知りたかった。
(所属:東京急行電鉄株式会社 氏名:小野浩之)
災害情報があるたびに「逃げない住民」のことが報道されており、その都度なぜ逃げないのかをとても不可解に思っておりました。今回の記事を読んで、自らの価値観で敢えて「逃げなかった住民」と、避難する・しないの意思決定を自らすることなく「逃げなかった住民」の大きく2つに分類されることがわかり、それぞれの相手にいかにして自発的行動を促すかが大切であるかとともに、非常時にはそのような時間はないことから平常時からいかにしてケアしていくことが大切なのかがわかりました。
(所属:東京ガス(株) 氏名:鈴木一生)
災害発生の時,逃げない人を逃がすことは本当に重要な課題です.しかし,’オオカミ少年’のことを考えれば,難しい課題です.相手は,学習能力の高い人間です.最近の防災関連の分野では,予測手法や情報網の発達などで随分格好の良い防災システムが構築されていると思います.しかし,情報を与える側のシステムがどんなに進展しても,受けて側の人間が反応しなければ,どんな洗練されたシステムも宝の持ち腐れです.従って,記事にあるような研究は極めて重要になることは明白です.しかし,人間にも,いろんな人格があるので,一筋縄にはいかないでしょう.そう考えれば,人間の心をどう掴むかが重要になるでしょう.防災分野の諸問題を解決するためには,心理学を真剣に取り組むことが実は一番早道かもしれませんね.
(所属:九州大学 氏名:西山浩司)
エコマネーの仕組みはとてもおもしろいと思いました。萩原さんのお話の中にあった「自分がやりたいからじゃないと世の中は変わらない」という言葉にとても納得しました。
そして、エコ活動をしたら、そこで終わりではなく次につながっていくという仕組みはすばらしいと思います。楽しみながらみんなが参加できる点も良いところですね。
エコマネーの仕組みを別のところで応用できたら、おもしろいのではないかと思います。
(所属:前田建設工業 氏名:石井智子)
愛・地球博で考案された「EXPOエコマネー」について、その仕組みや市民の環境活動参加への効果など大変興味深く読むことができました。ただ、市民個人個人の活動とともに、行政主導の環境施策の重要性を改めて感じました。例えば記事内の環境税について、環境への負荷の大きさに応じて物やサービスへ課税することによって、より環境負荷の小さい物やサービスの消費が促進されるような経済社会をつくっていくための有効な手段の1つだと考えます。持続可能な社会の構築には、エコマネーのような市民個人レベルでの活動と、例えば環境税のような行政主体に行われる活動というどちらの立場も重要なのだと感じました。
(所属:東京大学 氏名:加用千裕)
エネルギーは人間活動を営んでいく上で欠かせないものであり、土木の中で大きな割合を占める分野である。そしてエネルギーを生み出す行為には、今回話題に上がっている放射性廃棄物のように廃棄体の問題が必ずついてまわる。このような廃棄体は環境に多大な影響を及ぼす可能性があり、軽視できないため、様々な処理技術が開発されつつある。そのような廃棄体の処理技術についてももっと知識を深めたいと感じた。
(所属:清水建設(株) 氏名:宮元大輔)
歴史・文学への無関心とは、とても私にとって耳が痛い言葉だ。数年前まで私も大学生であったが、筆者が嘆くような文学無関心学生であったことは間違いない。「土木に関係がないことに時間もお金もかけられないし、まして興味もない。」というのが率直な感想だった。しかし現在社会人となり、仕事を通じて様々な人々と折衝する中で、歴史や文学の必要性と興味を持ち始めている。
私の経験からいって、もし教育機関において歴史・文学・倫理教育を行うのであれば、できるだけ早く実習等を通じて学生が現場を知ることが必要だろう。「もっと現場を知りたい」という気持ちが生まれなければ、いくら座学で歴史・文学・倫理教育を教えたところで寝てしまう学生が多数ではないか。不真面目だった学生時代を振り返って、そう感じる。
(所属:パシフィックコンサルタンツ(株) 氏名:宮本昌彰)
この連載を毎回興味深く読んでいる。私の通っていた理科系の学校は幸いなことに少しは文化系の図書をそろえてあったように記憶しているが今より自分の時間があったであろう学生時代にそれらに手を伸ばすことがなかったことを今少し後悔している。技術者として社会に役立つために研鑽を積むことは重要だが、それだけに邁進するのではなく、それ以前に人間としてどうあるべきか、少し立ち止まって考えてみることも必要なことだと思った。
(所属:千葉県 氏名:鈴木善也)
【理事会だより:平成18年度土木学会会長特別委員会「土木の未来・土木技術者の役割」報告書の概要について】 このような記述を読むたび、やはり土木ってすばらしい誇り高き仕事だと思う。しかし、私が土木ってすばらしいと思うようになったのは正直なところ大学に入ってからであり、子供の頃は土木工学がいかに市民生活に密着したやりがいのある世界かということを知らなかった。小中学生の頃から土木のすばらしさに接するする機会があれば、もう少し土木に対する理解やイメージも変わるのではないだろうか。(もっとも何より、無知なうえに勉強さえしないマスコミの意識改革が必要であることはいうまでもないが・・・)
(所属:千葉県 氏名:鈴木善也)
[記事名:地震災害からわが身を守る準備はできているのか?]
[記事名:行動する技術者たち 地域に貢献する土木の知恵の再認識]
同じ号に掲載されたのは偶然かもしれませんが、災害イマジネーションを持つこと、持ってもらうことの大切さを痛感した2つの記事でした。普段、災害のニュースに接すると、「逃げない」ことに対して、どうして逃げなかったのかと感じるものですが、自分に災害イマジネーションがあるかというと、確かにイメージしづらいということに気づきました。災害が起る前に、いかにリアリティを持って災害に向き合うか、向き合ってもらうかということが大切だと痛感しました。
(所属:鉄道・運輸機構 氏名:西 恭彦)
土木は幅広い分野であるので、学会員の興味も幅広い分野にわたっていると思います。しかし、実際は時間の関係もあり「土木学会誌」のみ購読している方も多いでしょう。そこで、他の関連する学会誌や関連雑誌の最新情報がまとまった記事があるととても便利だと思います。土木関連情報のポータルサイトのような存在を期待いたします。
(所属:パシフィックコンサルタンツ(株) 氏名:宮本昌彰)
まちづくりに関する記事が毎号のように載っていますが、ぜひ継続してほしいと思います。
(所属:京都府 氏名:小川哲史)
最近、行く先々で、ここは、土木学会誌で載っていた場所(こと)だ、と感じることが多く、改めて、土木学会誌では広い分野のことが取り上げられているのだと感じました。今後も楽しみにしております。
(氏名:山本恵理子)
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