13.2012年度河川技術に関するシンポジウムおよび「河川技術論文集 第18巻」論文募集
河川部会は、河川技術を「従来の概念としての河川のみならず水・土砂・物質循環系としての広義の河川と、人だけでなく様々な生物との関係をより良いものとしていくための実践的技術の総体」としてとらえ、産学官を問わない広い裾野から精力的に行われる研究や技術開発が河川や流域の現場に広がることで現状をより良いものへと変えていき、そのことが国民や流域住民から肯定的に認知されることで、河川技術の発展とその現場への適用がさらにいっそう促進されるという好循環の形成に貢献することを目指しています。それを実現するために河川部会は、水工学委員会の三部会(基礎水理部会、環境水理部会、水文部会)との連携協力を推進するとともに、学術と技術との橋渡し、官・学・民の連携、従来の河川工学以外の河川に関わる学術分野との学際領域への展開など、河川技術に求められる様々なインターフェ−スとしての役割を担うことを志向しています。
その一環として、河川部会では2012年度も標記シンポジウムを企画いたしました。例年行われているポスターセッションとオーガナイズドセッションに加え、特別セッションとして2011年7月に発生した新潟・福島豪雨災害,9月に発生した台風12号15号災害を取り上げる予定です。ふるってご参加いただきますようご案内申し上げます。
・開催期日
2012年6月21日(木)・22日(金)
・開催場所
東京大学農学部 弥生講堂
(文京区弥生1-1-1)
(文京区弥生1-1-1)
・参加費
一般(会員)6500円、一般(非会員)8000円、学生(会員・非会員)4000円
※いずれも論文集代を含む
※いずれも論文集代を含む
・シンポジウム募集課題
本シンポジウムは、1つの会場で特定の課題について全体で議論を進めるオーガナイズドセッションと、ポスターセッションから構成されます。以下のように、特定課題および一般課題について論文等を募集します。
「論文等」には、投稿ジャンル(後述)に示すように、[論文、総説、報告]があります。河川部会では、その目的に則って、河川技術が適用される現場での取り組みに根ざした実際的知見の共有も大切に考えており、「報告」も論文や総説と同等に重視されます。
特定課題、一般課題とも「河川技術を主題とし、あるいは生物・生態、社会経済などの周辺領域の論文等については河川技術とのインターフェ−スを有し、いずれも河川整備や管理に資するもの」、また「実際の事象に基づいた考察がなされ、研究された論文等であること。たとえば、現地を対象とした観測・調査、数値計算や模型実験などから見出された知見をもとに、問題設定がなされ、研究が展開されている論文等であること」を投稿の条件とします。
(1)特定課題:「河川堤防の安全性に関する技術」
河川の堤防は最も重要な河川施設の一つですが、その安全性に関する技術の工学体系は未だ確立されたものとは言い難いのが現状です。堤防内の浸透流や地震時の挙動、そしてそれらを制御する技術など解明が進んでいる現象や経験的に確立されている技術もありますが、洪水時の越流による堤防破壊過程の解明や越流に対して粘り強い堤防を作る技術、線的な構造物としての安全性の評価など、今後発展が期待される研究や技術も山積しています。
また、気候変動に伴う災害の頻発や洪水流量の増加が危惧されるなか、洪水を安全に流下させる河川技術の必要性が益々高まっています。さらに先の東日本大震災では、越流した津波によって多くの防潮堤が被害を受け、越流に対する堤防の強度が注目を集めました。このような状況の下、堤防の安全性をより高めるとともに、安全性向上のための評価に関する技術の進展が強く求められるようになっています。
河川堤防の規格がその断面形状によって決められているように、堤防はこれまでその「形」によって機能を満足させるものと考えられてきました。これは、土で作られる堤防の築造法が過去から蓄積されてきた経験に基づいているため、材料と形が技術の中心となってきたからではないでしょうか。また水工学の分野では、盛土である堤防の地盤工学的側面を取り扱うことが困難であることから、堤防の安全性に関する研究に深く踏み入ることがなく、近年においても技術・研究の発展は比較的地盤工学分野に依存している面があるように思われます。
ところが、今年度(2011年度)の河川技術シンポジウムにおけるOPSでも議論があったように、地盤工学分野でも堤防に関する研究が必ずしも活発に行われているわけではありません。土木学会地盤工学委員会においても今年から堤防研究小委員会が設置され、当部会同様にあらためて堤防に関する研究が進められるところです。また、地盤の分野ではあまり取り扱われていない越流や側岸侵食による堤防破壊など、主たる外力である流れと堤防の相互作用は、水工学分野と地盤工学分野が協力して取り組む必要のある非常に重要な課題です。
さらにはもっと広い視野で堤防を見る必要もあります。堤防の安全性を司るのは必ずしも堤防の「堤体(盛土)」ばかりではありません。洪水時に生じる水の流れとそれによる土砂の移動、またそれによる低水路や河床の変動など堤防の周辺で生じる様々な現象が堤防の安全性に密接に関連しています。そして、水工学分野にはこれらの技術・研究に関する長年の蓄積があります。これらの現象や技術を堤防との係わり合いの面から見直していくことも河川工学にとって極めて重要な課題です。
特定課題「河川堤防の安全性に関する技術」を取り上げるオーガナイズドセッションでは、浸透、堤体の直接的な侵食、越流、地震による堤防破壊に関する技術論文に加え、河道の線形や砂州の形状,そして洪水流によって発生する水衝部の形成、河岸や河床の洗掘および土砂堆積、洪水中に起こっている流路変動や河床変動など、堤防の安全性に密接に関連した河川技術に関する論文、線構造物として水系全体としての堤防の安全性の評価を試みる技術に関する論文、あるいはそれらを起点に更なる展開が期待されるような論文等を幅広く募ります。
(2)一般課題
一般課題の論文等は、河川部会活動の基盤となる重要なものです。特定課題以外の、河川部会の目的に沿った論文等を幅広く募ります。
・論文集投稿ジャンル
論文等には次のジャンルがあります。いずれも、要旨、全文の2段階審査を実施します。審査は河川技術論文集編集委員会により行います。論文審査要領については、土木学会水工学委員会河川部会のホームページをご覧ください。なお審査は、原則として、投稿者が選択したジャンルを前提に行いますので、投稿に際しては、以下の各ジャンルの趣旨を十分踏まえて、ジャンル選択を行ってください。
(1)論文(理念に関する論文を含む)
論文は、河川技術上新しい事実の発見や解釈を含むものであり、科学的な手続きを踏んで得られた結果に対して論理的に筋の通った考察が加えられているもの。また、理念に関する論文とは、新しい河川整備・管理に資する理念や提案であり、新規性・有用性があり、論理的に筋の通ったもの。
河川部会の目的、特長に則り、理念に関する論文の投稿も重視しています。
(2)総説
これまでに公表された当該分野に関する事実や論文に含まれた多くの知見を幅広く総括することによって河川技術に関する課題を比較考察し、今後の研究及び技術開発の方向性を考察した論文
(3)報告
調査・計画・設計・施工・現場計測・研究プロジェクトなど河川技術が適用される現場での取り組みに関する報告で、河川技術的に有益な内容を含むもの。論文に求められる要件を満たす途上ではあるが、報告の価値があると考える事例研究の成果も、このジャンルに積極的に投稿ください。
・発表形式
特定課題に投稿された論文等は、オーガナイズドセッションにて発表していただくこともあります。その場合の発表形式は各課題のオーガナイザーより連絡いたします。それ以外の論文等は、一般課題と同様の発表形式になります。
一般課題については、ポスター発表が基本となります。その上で、発表者(の一部)を交えた議論等の場を設ける場合があります。その場合には、事前に実施方法を連絡いたします。
一般課題については、ポスター発表が基本となります。その上で、発表者(の一部)を交えた議論等の場を設ける場合があります。その場合には、事前に実施方法を連絡いたします。
・投稿資格
河川の技術に求められるさまざまなインターフェ−ス的側面を追求するという河川部会の趣旨から、非土木学会員でも投稿は可能です(発表者、共著者とも)。また、同一著者の論文等への複数投稿は認めますが、発表は一人一編に限ります。
・投稿料
参加費とは別に投稿料を取ることはいたしません。
・要旨による応募方法
応募方法は、2011(平成23)年12月上旬までに河川部会ホームページに掲載しますのでご覧ください。同ホームページに掲載された形式で下記内容(1)から(6)を記載していただきます。応募の言語は、日本語以外に英語も受け付けます。ただし、連絡等のやりとりは日本語を基本にすることを御了承願います。
河川部会ホームページ(URL): http://committees.jsce.or.jp/hydraulic01/
(1)題目
(2)要旨
「(a)目的」、「(b)内容」、「(c)得られた成果」に分けて、要旨全体を1000字以内で記述してください(英文の場合は、400ワード以内)。この字数(あるいはワード数)制限を厳守してください。要旨は文章のみとします(図面、写真は不可)。また、既往の関連論文がある場合には論文名および論文集名を別記し、投稿論文等と既往の関連論文の違いを明確に要旨に記述するようにしてください。第1段階審査は、この論文要旨をもとに行います。
(3)応募する課題:(特定課題or一般課題)
(4)投稿のジャンル:(総説or論文or報告)
(5)著者、発表者、発表者所属
(6)連絡先(代表者の氏名、郵便番号、住所、電話、FAX番号、Eメールアドレス)
・応募締切り
2012年1月26日(木)
・スケジュール
要旨による応募に対して第1段階審査を行い、2月下旬に代表者に審査結果をお送りします。全文原稿は、A4用紙で4ページあるいは6ページ(様式は河川部会ホームページに掲載)で、2012年4月5日(木曜日)17時を提出期限とします。提出された論文等は、編集委員会で審査し、期日までの修正を求める場合や、掲載を見送る場合があります。なお、シンポジウムでの発表形式は第2段階審査後5月下旬にお知らせいたします。シンポジウムのプログラムおよび発表形式は、河川部会のホームページに掲載します。
・問合せ先
河川部会長 泉 典洋
〒060-8628 札幌市北区北13条西8丁目
北海道大学 大学院工学研究院 環境フィールド工学部門 河川・流域工学研究室
TEL:011-706-6187, FAX:011-706-6187
e-mail:nizumi“at”eng.hokudai.ac.jp, kasen-bukai"at"jsce.or.jp
※メールでのご連絡の場合「“at”」を「@」に変更してください。
〒060-8628 札幌市北区北13条西8丁目
北海道大学 大学院工学研究院 環境フィールド工学部門 河川・流域工学研究室
TEL:011-706-6187, FAX:011-706-6187
e-mail:nizumi“at”eng.hokudai.ac.jp, kasen-bukai"at"jsce.or.jp
※メールでのご連絡の場合「“at”」を「@」に変更してください。