■編集委員会から■


土木学会誌編集方針(2024-2025年度編集委員長,堀田 昌英)

この度2024-25年度の編集委員長を仰せつかりました.岩城前委員長はじめ前編集体制の皆様が築いて下さった基盤と誌面に対する思いをしっかりと受け継ぎながら,伝統ある学会誌を一層魅力的な読みものにしていけるよう,編集委員の皆様と力を合わせて取り組んで参ります.ご協力を宜しくお願い申し上げます.

今期の編集方針として,改めて「広がる土木のいまを伝える」ことを掲げたいと思います.社会基盤(infrastructure)は,古来より人間社会の営みに必要不可欠な物的・社会的産物として,これまでも様々に進化変化を遂げてきました.現在も,持続可能な成長,一人ひとりのWell-beingの向上,格差や分断の解消,気候変動をはじめとする地球規模課題の解決等,現代の課題に対して社会基盤に携わる我々が貢献を期待されている範囲は益々広がっています.

同時に人々が社会基盤として捉えている対象もまた広がっています.従来の土木構造物の概念のみでは捉えきれないような新たな社会基盤施設・サービスが生まれています.他方,これまでの社会基盤施設に求められてきた社会的責任は変わらず存在し,それを将来にわたって果たし続けることに様々な課題が生じています.学会誌では,しっかりと社会基盤への現代的ニーズを見極めつつ,他方で土木技術者が今後どのような役割を果たしていくべきか,変わるべきこと,変わらざるべきことは何かを冷静に見据えながら学会誌の誌面を作っていければと考えています.

次に,土木に関わる人々が今どのように広がっているのか,広がっていくべきなのか,についても伝えたいと思います.社会基盤がなければ社会のあらゆる活動が成り立たないのと同様,社会基盤自体もまた,携わる人々の全ての取り組みがなければ成り立ちません.学会誌では,土木に関わる一人ひとりの地道な取り組み,思い,真摯な努力,工夫,苦労,葛藤,喜び,情熱,働きがいをしっかりと伝えていきたいと考えます.同時に,土木の多くの分野で担い手確保の課題が論じられる中,これからの社会基盤を支える人材像を模索していきます.教育,D&I, 国際化,技術者・技能者の処遇や新たな職能等,関連する話題を様々な機会に取り上げます.

さらに,良質な社会基盤をあまねく次世代に引き継ぐために,今そもそも何が課題なのかを問うていくことも重要と考えます.中長期的な課題も,今何かを始めなければ永遠に変わらないこともあるでしょう.なぜ変わるべきことが中々変わらず,変わらざるべきことが簡単に変わってしまうのか.現状を当たり前と思わず,一歩踏み込んで問い直す.学会誌をそのような開かれた議論の場にします.
最後に,編集委員の皆様への一番のお願いは,やりたいことをやって戴きたいということです.特集をはじめ,誌面へのご提案,ご批判,アイデアをどんどんお伝え下さい.また皆様のご負担を軽減するために,業務の効率化をはじめとした本委員会自体へのご意見やご提案も歓迎致します.皆様がこの土木学会誌を通してご自身の思いを学会員へ広く伝えられるようお手伝いしたいと思います.2年間どうぞ宜しくお願い申し上げます.
© Japan Society of Civil Engineers 土木学会誌編集委員会