15.2013年度河川技術に関するシンポジウムおよび「河川技術論文集 第19巻」論文募集
河川部会は、「従来の河川の概念にとどまらず、水・土砂・物質循環系としての広義の河川と、人だけでなく様々な生物との関係をより良いものとしていくための実践的技術の総体」として河川技術をとらえ、産学官を問わない広い裾野から精力的に行われる研究や技術開発が河川や流域の現場に広がることで現状をより良いものへと変えていき、そのことが国民や流域住民から肯定的に認知されることで、河川技術の発展とその現場への適用がさらにいっそう促進されるという好循環の形成に貢献することを目指しています。それを実現するために河川部会は、水工学委員会の三部会(基礎水理部会、環境水理部会、水文部会)との連携協力を推進するとともに、学術と技術との橋渡し、官・学・民の連携、従来の河川工学以外の河川に関わる学術分野との学際領域への展開など、河川技術に求められる様々なインターフェ−スとしての役割を担うことを志向しています。
その一環として、河川部会では2013年度も標記シンポジウムを下記の通り企画いたしました。ふるってご参加いただきますようご案内申し上げます。
・開催期日
2013年6月6 日(木)・7日(金)
・開催場所
東京大学農学部 弥生講堂(文京区弥生1-1-1)
・参加費
一般(会員)6500円、一般(非会員)8000円、学生(会員・非会員)4000円
※いずれも論文集代を含む
※いずれも論文集代を含む
・シンポジウム募集課題
本シンポジウムは、1つの会場で特定の課題について全体で議論を進めるオーガナイズドセッションと、ポスターセッションから構成されます。以下のように、特定課題および一般課題について論文等を募集します。
「論文等」には、後述する投稿ジャンルに示すように、論文、総説、報告があります。河川部会では、その目的に沿って、河川技術が適用される現場での取り組みに根ざした実際的知見の共有も大切に考えており、「報告」も論文や総説と同等に重視されます。
特定課題、一般課題とも「河川技術を主題とし、あるいは生物・生態、社会経済などの周辺領域の論文等については河川技術と密接な関係を有し、いずれも河川整備や管理に資するもの」、また「実際の事象に基づいた考察がなされ、研究された論文等であること。たとえば、現地を対象とした観測・調査、数値計算や模型実験などから見出された知見を基に、問題設定がなされ研究が展開されている論文等であること」を投稿の条件とします。
(1) 特定課題1:「国境を越える河川技術−世界に通用する河川技術を目指して−」
地球規模での気候変動や温暖化によって海水面の上昇や極端現象の増加が危惧される昨今、モンスーンアジアに位置するゆえの雨の多い気候に加えて、国土が山がちなため1割に過ぎない沖積平野等の氾濫原に人口の2分の1、資産の4分の3が集中する日本は、気候変動の影響を最も受けやすい国の一つであると言われています。このような事情は日本だけのものではありません。国土のほとんどを低平地が占めるオランダやバングラデシュをはじめ、気候変動による水害リスクの増加という日本と同様の問題を抱えた国々が世界には数多く存在するのです。
急速に進むグローバリゼーションは、我々の想像を超えて従来とは全く異なる形へと世界を変えています。このような急激な変化の下、日本のプレズンスが経済の面だけでなく文化や科学技術の面にも求められています。日本は治水と河川技術の長い歴史を持っており、気候変動という人類の生存を脅かす世界共通の脅威に対して、日本の河川技術が世界に貢献できることは少なくないはずです。その一方で、河川技術は生来的に各国のおかれた自然条件、社会状況と密接に関わりがある総合技術です。その国際展開のためには、これまで国内で培われた技術の単なる輸出ではなく、各国の実情に調和した総合技術として如何に提供し、現地で適用できるかが命運を握っています。
特定課題「国境を越える河川技術」では、河川技術の海外移転の現状と課題そしてその解決策に関する論文、今後国際化に当たって日本の河川技術者が目指すべき方向性や日本の河川技術の将来像に関する論文、世界が共有する河川に関連した問題とそれを解決するための河川技術に関する論文等を幅広く募ります。
(2) 特定課題2:「危機管理の実務に供する洪水予測技術」
近年、集中豪雨の頻度が増加しています。今後、地球規模での気候変動や温暖化が進み極端に多い降水量や大きな台風が増加すれば、計画規模を超えるような洪水(超過洪水)による水害リスクは更に高まることが予想されます。超過洪水に対しては迅速・円滑な避難を実現するための危機管理が重要となりますが、避難勧告や避難指示を的確に出すためには河川の水位を高い精度で予測することが極めて重要となります。2012年度河川技術に関するシンポジウムでは、台風12号・15号による水害報告がありましたが、現状の洪水予測には実務上求められる精度としてまだ課題があるという報告もなされたところです。
洪水の流出過程や洪水流の水位計算に関する研究は大学や研究機関で盛んに行われ実用に供されています。はん濫予測や避難等のソフト対策に関しては水工学においても多くの論文を見かけますが、一方で河川の水位をリアルタイムで予測するための応用技術に関しては近年関心が持たれていたでしょうか。研究者の間では、洪水予測は既に完成された技術だという意識があるのかも知れません。しかし、洪水予測の精度は現場が必要としているレベルからするとまだまだ研究開発の余地があるのではないでしょうか。さらには、的確な避難や早期の避難などが広く求められる現在の社会状況を踏まえると、洪水予測には精度の向上や予測時間の長期化が益々求められることも考えられます。
特定課題「危機管理の実務に供する洪水予測技術」では、降雨量のみではなく雨水の流出過程や河道での洪水伝播が精度向上の上で重要となる比較的規模の大きな河川における洪水時のリアルタイムな河川水位予測を対象とし、洪水時に必要とされる水位情報に関する報告、リアルタイム予測技術のこれまでの進展等に関するレビュー、より先の水位をより高い精度で予測できる新たな洪水予測手法の研究開発等に関する論文を広く募集します。
(3) 一般課題
一般課題の論文等は、河川部会活動の基盤となる重要なものです。特定課題以外の、河川部会の目的に沿った論文等を幅広く募ります。
・論文集投稿ジャンル
論文等には次のジャンルがあります。いずれも、要旨、全文の2段階審査を実施します。審査は河川技術論文集編集委員会により行います。論文審査要領については、土木学会水工学委員会河川部会のホームページをご覧ください。なお審査は、原則として、投稿者が選択したジャンルを前提に行いますので、投稿に際しては、以下の各ジャンルの趣旨を十分踏まえて、ジャンル選択を行ってください。
(1)論文(理念に関する論文を含む)
論文は、河川技術上新しい事実の発見や解釈を含むものであり、科学的な手続きを踏んで得られた結果に対して論理的に筋の通った考察が加えられているもの。また、理念に関する論文とは、新しい河川整備・管理に資する理念や提案であり、新規性・有用性があり、論理的に筋の通ったもの。
河川部会の目的、特長に則り、理念に関する論文の投稿も重視しています。
(2)総説
これまでに公表された当該分野に関する事実や論文に含まれた多くの知見を幅広く総括することによって河川技術に関する課題を比較考察し、今後の研究及び技術開発の方向性を考察した論文
(3)報告
調査・計画・設計・施工・現場計測・研究プロジェクトなど河川技術が適用される現場での取り組みに関する報告で、河川技術的に有益な内容を含むもの。論文に求められる要件を満たす途上ではあるが、報告の価値があると考える事例研究の成果も、このジャンルに積極的に投稿ください。
・発表形式
特定課題に投稿された論文等は、オーガナイズドセッションにて発表していただくこともあります。その場合の発表形式は各課題のオーガナイザーより連絡いたします。それ以外の論文等は、一般課題と同様の発表形式になります。
一般課題については、ポスター発表が基本となります。その上で、発表者(の一部)を交えた議論等の場を設ける場合があります。その場合には、事前に実施方法を連絡いたします。
一般課題については、ポスター発表が基本となります。その上で、発表者(の一部)を交えた議論等の場を設ける場合があります。その場合には、事前に実施方法を連絡いたします。
・投稿資格
河川の技術に求められるさまざまなインターフェ−ス的側面を追求するという河川部会の趣旨から、非土木学会員でも投稿は可能です(発表者、共著者とも)。また、同一著者の論文等への複数投稿は認めますが、発表は一人一編に限ります。
・投稿料
参加費とは別に投稿料を取ることはいたしません。ただし、カラーページを含む原稿については別途カラーページ負担金をいただきます。
・要旨による応募方法
応募方法は、2012(平成24)年12月上旬までに河川部会ホームページに掲載しますのでご覧ください。同ホームページに掲載された形式で下記内容(1)から(6)を記載していただきます。応募の言語は、日本語以外に英語も受け付けます。ただし、連絡等のやりとりは日本語を基本にすることを御了承願います。
河川部会ホームページ(URL): http://committees.jsce.or.jp/hydraulic01/
(1)題目
(2)要旨
「(a)目的」、「(b)内容」、「(c)得られた成果」に分けて、要旨全体を1000字以内で記述してください(英文の場合は、400ワード以内)。この字数(あるいはワード数)制限を厳守してください。要旨は文章のみとします(図面、写真は不可)。また、既往の関連論文がある場合には論文名および論文集名を別記し、投稿論文等と既往の関連論文の違いを明確に要旨に記述するようにしてください。第1段階審査は、この論文要旨をもとに行います。
(3)応募する課題:(特定課題or一般課題)
(4)投稿のジャンル:(総説or論文or報告)
(5)著者、発表者、発表者所属
(6)連絡先:(代表者の氏名、郵便番号、住所、電話、FAX番号、Eメールアドレス)
・応募締切り
2013年1月31日(木)17:00
・スケジュール
要旨による応募に対して第1段階審査を行い、2月下旬に代表者に審査結果をお送りします。全文原稿は、A4用紙で4ページあるいは6ページ(様式は河川部会ホームページに掲載)で、2013年4月4日(木曜日)17時を提出期限とします。提出された論文等は、編集委員会で審査し、期日までの修正を求める場合や、掲載を見送る場合があります。なお、シンポジウムでの発表形式は第2段階審査後5月中旬以降にお知らせいたします。シンポジウムのプログラムおよび発表形式は、河川部会のホームページに掲載します。
・問合せ先
河川部会長 泉 典洋
〒060-8628 札幌市北区北13条西8丁目
北海道大学 大学院工学研究院 環境フィールド工学部門 河川・流域工学研究室
TEL:011-706-6187, FAX:011-706-6187
e-mail:nizumi“at”eng.hokudai.ac.jp, kasen-bukai"at"jsce.or.jp
※メールでのご連絡の場合「“at”」を「@」に変更してください。
〒060-8628 札幌市北区北13条西8丁目
北海道大学 大学院工学研究院 環境フィールド工学部門 河川・流域工学研究室
TEL:011-706-6187, FAX:011-706-6187
e-mail:nizumi“at”eng.hokudai.ac.jp, kasen-bukai"at"jsce.or.jp
※メールでのご連絡の場合「“at”」を「@」に変更してください。