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土木学会誌

論文・講演などの募集

15.2016年度河川技術に関するシンポジウムおよび「河川技術論文集 第22巻」論文募集


河川部会は、「従来の河川の概念にとどまらず、水・土砂・物質循環系としての広義の河川と、人だけでなく様々な生物との関係をより良いものとしていくための実践的技術の総体」として河川技術をとらえ、産学官を問わない広い裾野から精力的に行われる研究や技術開発が河川や流域の現場に広がることで現状をより良いものへと変えていき、そのことが国民や流域住民から肯定的に認知されることで、河川技術の発展とその現場への適用がさらにいっそう促進されるという好循環の形成に貢献することを目指しています。それを実現するために河川部会は、水工学委員会の三部会(基礎水理部会、環境水理部会、水文部会)との連携協力を推進するとともに、学術と技術との橋渡し、官・学・民の連携、従来の河川工学以外の河川に関わる学術分野との学際領域への展開など、河川技術に求められる様々なインターフェ−スとしての役割を担うことを志向しています。
その一環として、河川部会では2016年度も標記シンポジウムを下記のとおり企画いたしました。「河川技術論文集」も今回で22回を重ねることになり、これまで蓄積されてきた技術を活かし、さらに河川技術が実践の場でより機能的に発揮されるよう、研鑽してきたいと考えております。ふるってご参加いただきますようご案内申し上げます。

・開催期日

2016年6月2日(木)・3日(金)

・開催場所

東京大学農学部 弥生講堂(文京区弥生1-1-1)

・参加費

一般(会員)6,500円、一般(非会員)8,000円、学生(会員・非会員)4,000円
※いずれも論文集(冊子+電子版CD)代を含む
※今回の第22巻河川技術論文集では、 冊子と電子版CDとして発刊いたします。冊子は白黒印刷ですが、電子版CDにはカラー原稿をPDF形式で登載します。

・登載に係る著者負担金

要旨査読・本文査読による審査を経て、河川技術論文集に登載される論文等の著者には、参加費とは別に1編につき12,000円を負担していただきます。
なお、これまでと同様に投稿にあたっては、投稿料などは一切取ることはいたしません。また、今回からの論文集の電子出版に伴い、カラーページを含む原稿について徴収していたカラーページ負担金は廃止します。

・「河川技術論文賞」の創設

今回の第22巻河川技術論文集より、下記に示す観点で優れた成果を上げた論文・報告・総説の著者を表彰し、もって河川技術の進展を促すことを目的とした「河川技術論文賞」を創設しました。なお、これまでとおり優秀発表者賞の表彰も行います。
独創性に富む成果を挙げたもの、将来の展望を与える理念・提案や研究及び技術開発の方向性を提示したもの、および河川技術が適用される現場で困難な研究・技術開発を成し遂げた貴重な成果が盛り込まれているもののいずれかに該当すると認めうるとともに、その主題と成果に大いなる発展性を備え、河川技術の進歩、学際的な展開、体系化および普及に向けて顕著な貢献をなしたと認めうる論文・報告・総説。

◆大事なお知らせ◆河川部会の新たな取り組みとご協力のお願い

「河川技術に関するシンポジウム」は、河川に関わる重要な動向を把握し、河川技術を発展させていくための情報・意見交換を行う場として活用されています。河川部会は、シンポジウムのさらなる充実をはかるべく、継続的な取り組みを始めました。
その一環のひとつとして、河川技術論文集の採択の考え方の再徹底を行うこととしました。河川技術論文集の採択においては、河川技術の発展と現場への普及を重視してきました。それが上記した場としてシンポジウムを機能させるのに不可欠な要素であるからです。こうした重要な観点でありながら、近年、今後の実務への展開を強く意識した特に先駆的で独創性の高い論文等の採択が、必ずしも十分でないとの旨のご指摘を複数受けました。
そこで、論文等採択の査読にあたり、上記観点について十分に踏まえることを再徹底いたします。この取り組みを、河川技術論文集をより充実させることに繋げていくために、投稿される皆様におかれましては、特に先駆的で独創性が高い内容を含む場合には、河川技術の発展と現場への普及や今後の実務への展開に対する投稿論文等の意義、位置づけ、関わりなどについて、これまでに増して十分に記載いただくようご配慮ください。ご協力、よろしくお願い申し上げます。

・シンポジウム募集課題

本シンポジウムは、1つの会場で特定の課題について全体で議論を進めるオーガナイズドセッションと、ポスターセッションから構成されます。以下のように、特定課題および一般課題について論文等を募集します。
「論文等」には、後述する投稿ジャンルに示すように、論文、総説、報告があります。河川部会では、その目的に沿って、河川技術が適用される現場での取り組みに根ざした実際的知見の共有も大切に考えており、「報告」も論文や総説と同等に重視されます。
特定課題、一般課題とも「河川技術を主題とし、あるいは生物・生態、社会経済などの周辺領域の論文等については河川技術と密接な関係を有し、いずれも河川整備や管理に資するもの」、また「実際の事象に基づいた考察がなされ、研究された論文等であること。たとえば、現地を対象とした観測・調査、数値計算や模型実験などから見出された知見を基に、問題設定がなされ研究が展開されている論文等であること」を投稿の条件とします。

(1) 特定課題1:「平成27 年9月関東・東北豪雨」に関する特別セッション
台風17号、18号の日本列島への接近・通過に伴う豪雨により多数の河川で氾濫危険水位を超える出水が生じました。関東・東北においては、10を超える観測所で最大24時間降水量の観測史上最大値が更新されるといった豪雨を受けて、河川水の氾濫などによる浸水被害や土砂災害などが多数発生しました。特に、利根川水系鬼怒川、鳴瀬川水系渋井川などでは堤防決壊に至り、その被害も甚大なものとなりました。河川の水位が下がり氾濫が収束した以降の氾濫水の排除や救助も含めて、こうした一連の事象をつぶさに把握し、その全容をしっかり理解することが肝要と考えられます。
また、そうして得た情報・知見を、今、本文を著している間にも絶え間なく進められている復旧などの現場に役立てることが、まず一義的に大事であることは論を待たないでしょう。さらに、その先を見据えて河川技術をより進展させ、防災・減災に貢献していくことが今後、強く求められると考えられます。
河川技術に関するシンポジウムでは、これまでに「2011年度豪雨災害」事後にその全容の理解と知見を引き出すことを試みた特別セッションや、危機管理や気候変動を念頭においた大規模出水を題材に今後の河川技術について議論するセッションを開催してきました (詳細についてはhttp://committees.jsce.or.jp/hydraulic01/activities)。
これらを踏まえて、本特定課題を取り上げる特別セッションを設け、今次の豪雨災害について、全容の把握から今後の河川技術までの広い範囲を対象に議論を展開していきます。以上の趣旨に関係する報告・論文あるいは今後を展望するような論文・総説などを幅広く募ります。
(2)特定課題2:「河道・洪水流の観測・モニタリング技術の進展と今後の展開」
河道・洪水流の観測・モニタリングは、河川の状態や特性を把握する第一歩にして最重要手段であり、今日の河川技術の発展も、長年にわたる地道で不断の観測に支えられてきました。観測やモニタリングは、水位、流量、河道地形など河川管理の基盤となる情報を得ることを目的としたものから、水防情報や災害調査など特定の目的に応じて柔軟で機動的に計測するもの、総合土砂管理、流域圏環境管理などより長期・広域的な視野から総合的に観測を行うものなど、いくつかの異なる目的・視点により分類されるでしょう。とりわけ、ADCP、画像解析、UAVなど観測・モニタリングを支援する多様で新たな技術が利用可能となってきた今日では、各種の技術的進展が、どういう目的の観測・モニタリングの発展に資するか、活用イメージや適用性をしっかりと描いた観測・モニタリング技術の再整理が必要と思われます。
一方、現地河川での観測は、機材の能力や機器設置の問題などから、生来的に空間的あるいは時間的な解像度に制約がある場合が多いですが、それを補う一つの有効な手段として、観測・モニタリング技術と数値解析技術との融合は、今後、ますます注力すべき技術開発分野と思われます。将来的な展望として、新たな観測技術と解析技術の融合が、河道の計画・設計や管理においても次の段階にステップアップするきっかけを与えうるものと期待されますが、その目指すべき方向性や可能性の検討も重要と思われます。
本特定課題「河道・洪水流の観測・モニタリング技術の進展と今後の展開」では、上記のような観点から、既存観測技術の精度や適用性に関する比較検討、計測の高度化・高精度化・省力化に向けた技術開発、新たな活用イメージを描いた観測・モニタリング技術の提案、観測と解析の融合方法に関する提案など、今後の河川技術の発展に資する論文、報告、総説を幅広く募集します。また平水時の流れ、河川環境、氾濫流など、河道・洪水流以外の観測であっても、今後の河川管理に資する有用な報告や新たな提案については、課題を広くとらえて受け付けますので、奮ってご投稿ください。
(3) 一般課題
一般課題の論文等は、河川部会活動の基盤となる重要なものです。特定課題以外の、河川部会の目的に沿った論文等を幅広く募ります。

・論文集投稿ジャンル

論文等には次のジャンルがあります。いずれも、要旨、全文の2段階審査を実施します。審査は河川技術論文集編集委員会により行います。論文審査要領については、土木学会水工学委員会河川部会のホームページをご覧ください。なお審査は、原則として、投稿者が選択したジャンルを前提に行いますので、投稿に際しては、以下の各ジャンルの趣旨を十分踏まえて、ジャンル選択を行ってください。
(1)論文(理念に関する論文を含む)
論文は、河川技術上新しい事実の発見や解釈を含むものであり、科学的な手続きを踏んで得られた結果に対して論理的に筋の通った考察が加えられているもの。また、理念に関する論文とは、新しい河川整備・管理に資する理念や提案であり、新規性・有用性があり、論理的に筋の通ったもの。
河川部会の目的、特長に則り、理念に関する論文の投稿も重視しています。
(2)総説
これまでに公表された当該分野に関する事実や論文に含まれた多くの知見を幅広く総括することによって河川技術に関する課題を比較考察し、今後の研究及び技術開発の方向性を考察した論文
(3)報告
調査・計画・設計・施工・現場計測・研究プロジェクトなど河川技術が適用される現場での取り組みに関する報告で、 河川技術的に有益な内容を含むもの。論文に求められる要件を満たす途上ではあるが、報告の価値があると考える事例研究の成果も、このジャンルに積極的に投稿ください。

・発表形式

特定課題に投稿された論文等は、オーガナイズドセッションにて発表していただくこともあります。その場合の発表形式は各課題のオーガナイザーより連絡いたします。それ以外の論文等は、一般課題と同様の発表形式になります。一般課題については、ポスター発表が基本となります。その上で、発表者(の一部)を交えた議論等の場を設ける場合があります。その場合には、事前に実施方法を連絡いたします。

・投稿資格

河川の技術に求められるさまざまなインターフェ−ス的側面を追求するという河川部会の趣旨から、非土木学会員でも投稿は可能です(発表者、共著者とも)。また、同一著者の論文等への複数投稿は認めますが、発表は一人一編に限ります。

・要旨による応募方法

応募方法は、2015(平成27)年12月上旬までに河川部会ホームページに掲載しますのでご覧ください。同ホームページに掲載された形式で下記内容(1)から(6)を記載していただきます。応募の言語は、日本語以外に英語も受け付けます。ただし、連絡等のやりとりは日本語を基本にすることを御了承願います。
河川部会ホームページ(URL): http://committees.jsce.or.jp/hydraulic01/
(1)題目
(2)要旨
「(a)目的」、「(b)内容」、「(c)得られた成果」に分けて、要旨全体を1000字以内で記述してください(英文の場合は、400ワード以内)。この字数(あるいはワード数)制限を厳守してください。要旨は文章のみとします(図面、写真は不可)。なお、要旨に参考文献を記載することはできますが、それを含めて上記字数(あるいはワード数)以内としてください。
また、二重投稿の審査のため、既往の関連論文がある場合には論文名および論文集名を別記し、投稿論文等と既往の関連論文の違いを明確に要旨に記述するようにしてください。別記については上記字数(あるいはワード数)には含めません。
第1段階審査は、この論文要旨をもとに行います。
(3)応募する課題:(特定課題or一般課題)
(4)投稿のジャンル:(総説or論文or報告)
(5)著者、発表者、発表者所属
(6)連絡先:(代表者の氏名、郵便番号、住所、電話、FAX番号、Eメールアドレス)

・応募締切り

2016年1月26日(火)17:00

・スケジュール

要旨による応募に対して第1段階審査を行い、2月中旬に代表者に審査結果をお送りします。全文原稿は、A4用紙で4ページあるいは6ページ(様式は河川部会ホームページに掲載)で、2016年4月4日(月曜日)17時を提出期限とします。提出された論文等は、編集委員会で審査し、期日までの修正を求める場合や、掲載を見送る場合があります。なお、シンポジウムでの発表形式は第2段階審査後5月中旬以降にお知らせいたします。シンポジウムのプログラムおよび発表形式は、河川部会のホームページに掲載します。

・問合せ先

河川部会長 服部 敦
〒305-0804
国土交通省 国土技術政策総合研究所 河川研究部 河川研究室
TEL:029-864-2283 FAX: 029-864-1168
e-mail: kasen-bukai"at"jsce.or.jp
※メールでのご連絡の場合「“at”」を「@」に変更してください。
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