会長新年挨拶


土木学会が発信し続ける『土木の魅力』


田中 茂義 TANAKA Shigeyoshi 第111代土木学会会長


土木学会会員の皆さん、明けましておめでとうございます。新年を迎え年頭のご挨拶を申し上げます。
2024年においても国土強靱(きょうじん)化への対応、高齢化・人口減少社会に向けてのインフラ整備、カーボンニュートラルへの貢献など、これまで以上に土木の役割が重要になってきます。人がいきいきとする環境を創造することが土木の重要な使命であり、学会活動もこのことを踏まえる必要があります。
土木学会は2024年11月18日に創立110周年を迎えます。現在、岸利治土木学会副会長に実行委員長をお願いし、多彩なメンバーから成る110周年記念事業実行委員会が、活動を開始しています。また、土木学会の新しい5カ年計画である、「JSCE2025」(仮称)策定に向けた活動も企画委員会を中心に動き出しました。次の四半世紀を見据えて土木学会のあり方、その意義や価値を捉え直し、土木学会のミッション、ビジョン、バリューの議論を行う予定です。
私の会長としてのここ半年の主な活動状況を振り返りたいと思います。支部訪問と意見交換(〜12月)、土木の魅力を発信するための動画配信、過去の貴重なプロジェクトをアーカイブとして残すための黒部川第四発電所の視察(8月23日)、全国大会(広島)での基調講演と全体討論会(9月13日)、台湾の中国土木水利工程学会50周年大会での講演(9月20日)、台風13号による日立市・高萩市の水害の調査(10月2日)、各種シンポジウムなどでの講演など、かなり精力的に活動してきました。
これらを通して感じたことの一つは、土木学会の存在とその役割を世の中に認知してもらうためには、その時どきの事象に対する土木学会としての見解を常に発信することが重要であり、本部だけでなく各支部の日頃の草の根活動と、その存在感の発揮が欠かせないことです。また、国際交流の必要性も改めて感じました。一部の会員だけにとどまらず、多くの会員が国際交流を経験できるような仕組み作りも、土木の魅力向上につながるのではと考えています。
さらに土木学会のウェブサイトのわかりやすさと内容の充実が学会内外の皆さんにとって大切です。ウェブサイトには会長室(注1)というコーナーを設け、私とユーチューバーとの対談動画なども公開していますが、このようなアクセスのしやすさなどもPR活動の基本と言えるでしょう。
土木の魅力向上とステイタスアップに向けての活動は徐々にではありますが、浸透しているとの実感を持っています。
会長としての任期も後半に差し掛かりますが、会長特別委員会のメンバーとともに明るく楽しく活動していることをご報告し、新年のご挨拶と致します。
今年も会員とご家族にとって幸多き年となりますことを祈念しております。

(注1)土木学会のウェブサイトから閲覧できます。(https://www.jsce.or.jp/

会長プロジェクトでは動画配信中。会長が土木の魅力を語っています(QRコード参照)。
© Japan Society of Civil Engineers 土木学会誌編集委員会