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JSCE Magazine,“Civil Engineering”

土木学会誌

■土木学会誌2010年5月号モニター回答


■  技術継承のために伝えるべきものは… 木村 洋行

大型プロジェクトが切れ目なく発注されれば,それに従事する技術者は過去の経験を無難に引き継いでいける.しかし,先人のやり方を踏襲しているうちに,いつしか自分たちで考えることをやめてしまうということはないだろうか?後世に伝承すべきものは,具体的な技術そのものよりもむしろ,そのような技術が必要となった背景や,当該技術の開発・適用のプロセスだと考える.当該プロセスの中には紆余曲折があったに違いない.人間は失敗からしか学べないという箴言がある.そうだとすれば,われわれ技術者は,先輩の歩んだ道を参考にしつつも,常に自分たちで考えて判断する気概を持ち続け,時に失敗して成長していくしかないのだろう.
(所属:鹿島道路 氏名:金井利浩)

技術継承は、なにより継承される若手技術者にとって切実な問題である。思うように技術を継承できていない自分たちに、不安を感じざるを得ない。発注者は構造物の品質を確保するために、計画から設計・施工・供用の段階までさまざまな技術的判断を下すという重要な役割を担っている。その発注者において、新規の事業が減少傾向にある上に、技術を継承される側の若年層がコスト削減で要員が絞られている。一方、技術の多様化により各個人が身につけなければいけない技術の幅は増加傾向にあることから、技術の継承は一層困難になっていると感じる。書籍を読んだり、疑問点を聞いたりして、少しずつでも知識・技術を増やす努力はしていが、そのように得たものは結局、人からの受け売りで自身の経験に根ざしたものではない。技術を実践的に学ぶことができていないと危機感を感じている若手技術者も多いのではないだろうか。
(所属:東京急行電鉄 氏名:山口洋史)

団塊世代の引退に伴う技術の伝承は、土木業界に限らず切迫した問題になっていると感じます。先人たちがどのような問題に直面し、どのように克服していったのかという思考の過程を我々若手技術者が追体験し、次世代の新たな技術に昇華出来るよう、継承する一技術者として心がけていきます。
(所属:清水建設 氏名:近江健吾)

良質な社会基盤を整備・維持管理していくための技術のストックする上で、教科書等に載っていない現象を経験したことが少ない若手技術者に、団塊世代の技術者が会得された技術の継承を行うことが緊急の課題です。そのためには、現場における経験が必要ですが、社会基盤を整備するサイトの自然条件はもちろん、社会条件も異なり、すべてが異なる条件のもとでの経験には限りがあります。その時、教科書の応用で対応できない現象に対して、先達の失敗・反省から得られた「経験知」は何にもまして参考になり、貴重な財産になると思います。個人の財産にとどめず、土木学会等を通じてぜひ若手技術者に継承されるべきだと考えます。
(所属:五洋建設 氏名:向井 健)

■  総合土木工学とコア技術 近藤 徹

土木技術者は、安全で豊かな社会基盤の整備・維持管理のために、それぞれの専門技術を研鑽してきたが、「部分ベスト」を独立に組み合わせても必ずしも「トータルベスト」にならないことがあるかも知れない。ますます複雑・多様化する社会に対して最高の社会基盤を整備するために専門技術を適切に総合化した「総合土木工学」が必要だと思います。そのコア技術は、構造力学、水理学、土質力学、コンクリート工学といった力学系の技術を基礎にして、他の工学・農学といった自然科学技術と国土、社会と向き合って蓄積された、社会科学的な「経験知」の融合された技術であると思います。
(所属:五洋建設 氏名:向井 健)

本記事中の「・・必要な共通言語は、構造力学、水理学、土質力学、コンクリート工学等のコア技術・・」は、近年の課題を、的確に捉えた良い指摘だったと思う。現在、土木設計分野においては、従来の経験工学的な静的解析に加え、より一層の安全性を確保するための動的解析等が加わり、高度化してきた。そのため、技術者の専門化に拍車がかかり、総合的に判断可能な「総合土木技術者」が不足してきた傾向が見受けられる。一方で、教育機関においては、この「共通言語」を必修科目とせず、選択科目としている傾向が目立つ。今後、この不均衡さを少しでも改善できるように、自分自身における技術の研鑽とともに、的確な部下の教育に励んできたいと思う。
(所属:三井共同建設コンサルタント株式会社 氏名:原田紹臣)

■  神奈川県初の圏央道開通 海老名JCT−海老名IC間 池田 光次

圏央道がようやく,東名までやってきました。長い道のりでしたね。そして,この圏央道には,土木の最新技術がたくさん盛り込まれているようです。圏央道のトンネルでは,ウォータータイト構造の非排水型トンネルが採用されていたり,本報告では,環境面でもLED低位置道路照明が採用となっているようです。ますます,道路が楽しみです。
(所属:日本ポリウレタン工業(株) 氏名:田中 一幸)

■  この道が、関西の流れを変える −第二京阪道路 全線開通− 北川 誠

とうとう出来たか、という感じ。実家のある町にも初のI.C.ができた。計画を聞いたのはいつだったろう。高校生か、あるいはもっと前か。オートバイに乗り始めたこともあって多少なりとも道路に関心があり、当時立てられていた「建設反対!」の看板やチラシを覚えている。自分も漠然と「自分の町がこれ以上カイハツされるのは嫌やなあ。」と思っていた。ツレと最高速に挑戦できるような道路があちこちにあったくらいの交通量だったから、なおさら必要性を感じなかったのだ。もちろん現在は当時とは比べ物にならないくらい交通量が増え、なんとなく“先見の明”の感があるが、莫大な事業費と費やした年数に見合った効果が期待できるかどうかは不安なところだ。物流方法が現在と変わらない状況があと数十年続けば、あるいは効果が出るかもしれないが、個人的には必要性を訊かれれば、「うーん、あると便利かな。」と答えてしまいそうだ。(実家に帰る時間が20分ほど短縮されるだろうか。)そういえば当時、愛車でよく行った本屋への道の脇が、だんだんと空き地になっていったのはこういうことだったのか。四半世紀経ってやっとわかった。
(所属:岡山県 氏名:松永誠)

記事本来の内容とはかけ離れた感想で恐縮だが、最後の一文に「全国で初となる遮音壁一体型の太陽光パネルを設置し」とあるのを見て、やっとここまで来たか、と思った。いまや太陽光パネルは個人の住宅にも取り付ける時代である。道路遮音壁の延長は全国で何万kmあるだろうか。設置が可能なところにはぜひともこのタイプを採用して環境への配慮をお願いしたい。
(氏名:高橋麻理)

今年のGW、横浜から大阪へ車で移動するとき、いわゆる「1,000円高速」の影響で、30kmを超える大渋滞の名神高速道路の迂回ルートとして、開通したばかりの「第二京阪道路」を利用しました。片側3車線の広々とした道路で、交通集中もなく走り心地の良さが印象的でしたが、この記事を通じて、土木的にも国内初となる技術を投入しているとのことであり、改めて感慨を覚えます。
タイトルのように、「この道が、関西の流れを変える。」となることを期待しています。
(所属:鉄道・運輸機構 氏名:山崎 功一朗)

■  第66回  JUNKO KOSHINO(株) 代表取締役鈴木 弘之さんに伺いました [聞き手]窪田 崇斗、原 隆広

本記事を読んで,素直に感動を覚えた.「逆風が吹く」「厳しい状況」が常套句となっている土木業界に実はすばらしい瞬間がたくさん詰まっていることを教えていただいたからだ.「撮るんだったらいまだよ」という心の叫び,その瞬間を逃したらきっと後悔するというスピード感をしばらく忘れていたように思う.感動とは,ある瞬間を境にその前後の変化によって沸きあがるものだ.我々の業界は,意識的にそのタイミングを創り出そうとする努力を怠ってきたように思う.世間に「カッコイイ」と感じてもらえるためには,どのような変化をどういうタイミングで繰り出すべきなのか?こういうことに関心を持つところから,再出発してみたい.
(所属:鹿島道路 氏名:金井利浩)

私たちが、今まで携わってきた土木現場の風景が、一枚の写真として切り取られ、デザインされると、かくも詩的なイメージに変革するのかと、驚きかつ感動いたしました。「出会いと気づき」、「感動の局地戦」などは、それぞれが素晴らしいフォト・ポエムで、これらを活用して社会資本整備の持つ魅力・感動を、伝承していく必要があると思います。
(所属:清田軌道工業 氏名:原 繁男)

異業種の方が感じる土木業の魅力を興味深く拝読させていただきました。主張される「感動の局地戦」の展開は別掲のトピックスをみても大変説得力があり、土木技術者が積極的に一般社会へ土木の仕事をアピールしていく必要性について痛感しました。私も自らのかかわる様々な仕事の中で、設計段階で構想が形になっていく過程、現場で設計が形になっていく過程を見て、いろいろと感動を覚える場面があります。マスコミなどの取材をまつのみならず、土木を専門とする人間が感じる感動・魅力を広く伝えていくことが重要であると、本記事を読んで感じました。
(所属:日本工営株式会社 氏名:野末康博)

土木のジレンマ。少なからず土木の現場を経験した私も日ごろ感じていること。一つのものを形にするためにどれだけの知恵と汗がつぎ込まれているかを知る身として、昨今の建設事業に対する冷たい風当たりに熱い苛立ちを感じていました。鈴木さんの「感動の局地戦」の言葉。まさに現場で感じてきたことでした。土木の魅力は現場の一瞬一瞬にあるものだと思います。それをいかに魅せるか。土木の「かっこよさ」を市民に伝える場が益々広がっていくことを期待しています。
(所属:大林組 氏名:三倉寛明)

建設中の新東京タワーの高さが現東京タワーを超えて、東京の新名所として観光名所になっているニュースを見ましたが、工事関係者は、国民という観客に最高のパフォーマンスを演じるために緊張感を持ちながら日々建設を続けている様子が伝わってきます。完成品が市場に初めて登場する製造業とは違い、建設業は、工夫次第では、施工段階の姿を見せることができることが可能であり、国民にリアルタイムで情報を開示することができ、社会基盤整備に国民の関心及び理解が深まることが期待できます。今後、施工段階の情報を国民に提供することも必要になってくると思います。
(所属:五洋建設 氏名:向井 健)

■ 企画趣旨 野中 康弘

「東アジア」という地域観点から国内交通網のあり方を探るタイムリーな企画であった。しかしながら、東アジア各国の交通網の整備状況や今後の整備計画の状況などを整理してレポートされていると更に良かったと思う。空港、港湾、高速鉄道、高速道路のインフラ状況を知りたかった。単に日本が優れている劣っているという比較論ではなく、東アジア地域のネットワークの力を最大発揮させるための平衡論として取り上げて下さると嬉しい。
(所属:東日本高速道路 氏名:伊勢田敏)

表紙にシンボライズされる空・陸・水の交通インフラというアスペクトから、東アジアと日本の比較の現状を述べていただき、改めて、どういった状態に日本があるのか非常によく理解できた。惜しむらくは、紙上のスペース等の関係で難しいのであろうが、それ以上の解析と具体的な将来構想がなかった点である。現状は理解したが、それぞれの問題点があるには、必ずその原因となる要因が個々に存在すると思う。そこに踏み込んで分析した上で、それぞれ固有の状況に見合った形で、ビジョンを立てる必要があるのではないかと思う。今後、続報として、将来に向けてのビジョン構築と、具体的な施策を展開していただく特集企画を是非期待したい。
(氏名:横田 美行)

本稿を非常に興味深く読まさせていただきました。
現在、日本国内の交通体系は首都圏を中心に地下鉄、高速等十分なほどの交通網が整備されています。地方はまだまだ未整備の地域もありますが私も含め多くの日本人はその恩恵を授かっています。しかし、本稿を読んで、今後は日本国内だけでなく東アジア(+極東ロシア)を含めた視点に切り替える必要があると痛感しました。もはや、日本が東アジアの中心であり日本だけで完結しているという我々日本人に深く根ざした認識は捨てるべきでしょう。”東アジア共同体”という日本国民の認識をどこまで向けさせ、新たな交通網整備に取り組んでいくかが、今後は土木技術者に求められているような気がしました。
(所属:鉄道運輸機構 氏名:鈴木 隆)

■  特集1 東アジアを見据えたわが国のネットワークの今後 屋井 鉄雄

経済活動の低迷と少子高齢化の到来による税収減の実態に、社会経済は多方面に渡りコスト縮減が謳われている。しかし、一方では豊かな生活、安心と安全を求める国民の意識は高まるばかりである。
また、沖縄の米軍基地移設問題については、当該地域の人々の安全と生活の確保に関り、東アジアにおける日本国家としてのあり方に適正な方向性を見失っているような状況に国民の不安や失望感も高まっている。
片や、上海万博を例として中国の経済発展と近隣諸国の東アジアにおける旺盛な経済活動が報道されている。このような状況下において、世界の中の日本、東アジアの中の日本が、どのようにして国民の生活を守り経済活動を実践して行くべきか!国際競争力の点から国家プロジェクトを強力に推進させるべきとの思いが、国民にはまだまだ不足しているように思えてならない。論説されているように、今後は気象変動により災害発生が想定される我が国の状況を考えれば、空、海、そして陸の交通網の健全は、私達国民生活の安心と安全を守るための国家政策の基調であるということを改めて認識するとともに、その手段としての社会資本整備のあり方に思いを馳せないではいられない。
前号に記載された政治評論家 森田実さんの『土木は日本を救う力になる』を、また思い出すとともに『東アジアを見据えたわが国のネットワークの今後』についても、その方向性について国民一人一人が真剣に考えなくてはならない。
(所属:(株)大林組 氏名:大井和憲)

交通網を有効に活用し、その効果を最大限に発揮させるためには各々の交通機関をいかに連携させるかが重要である。 特に空港アクセスを充実させるということは、国際競争力を高めることを意味し、急速に発展する東アジア地域において日本の存在力を維持するには欠かすことができない。今年の夏には成田スカイアクセスが開業し、都心から成田空港へのアクセスが改善される。これにより今後どのような変化が生じるか注目していきたい。
(所属:東日本旅客鉄道(株) 氏名:伊東寛)

国際観光を中心に考えた際、新幹線と拠点空港の連携を高める事が最適であると私も思いました。新幹線が整備されれば、拠点空港もより生きてくると思いました。
(氏名:越石暁)

今回の記事を読んで、東アジア全体で交通網計画を考える重要さを改めて感じた。記事に、国土の交通網整備の必要性が十分説明されないままプロジェクトが実施されるため、国民がプロジェクトの実施に懐疑的になっているとあったが、同感である。少子高齢化が進み、より一層グローバルな位置付けでものごとを考えなければ日本が世界で取り残されるという感覚は多くの国民が持っていると思う。今後国民の同意を得るには、国内だけでなく、国外から見ても重要なプロジェクトだということを強調すべきだと感じた。
(所属:前田建設工業 氏名:奥田文)

■  COLUMN1 「東アジア共同体」構想はあるのか? ないのか? 伊藤 憲一

圏域の捉え方を変えると、その圏域構造に必要な社会資本にも変化が生じる。社会資本への投資の必要性にも変化が生じる。東アジア共同体、道州制の導入など、景気の低迷が続く近年の情勢だからこそ、こうした議論を加速させる必要があるではないかと感じた。
(所属:首都高速道路株式会社 氏名:小林雅彦)

■ 特集2 海でつながる日本と東アジア 黒田 勝彦

国土の周囲を海で囲まれた我が国は、隣国である中国、朝鮮等と海上交易により人的交流、物流により繁栄を続けてきた。東アジア経済の影響力を無視できない現在、我が国の経済再生のためには、東アジアとのロジスティックスをこれまで以上に強化する必要があると思います。国際ハブポートとしての競争力を回復するために、より一層の選択と集中をすることが必要で、コンテナ船の大水深化に対応できる岸壁の整備に向けて、耐震技術等の設計技術、地盤改良、急速施工等の海上施工技術を中心とした施工技術の開発、諸手続の電子化・効率化、コンテナターミナルの一体運用技術、国内背後地域との連携強化の施策等に向けて、目標に向けて進み続ける必要があると思います。
(所属:五洋建設 氏名:向井 健)

■  特集4 陸路の先に東アジアをみる 武部 健一

1948年と言う敗戦から時が経っていない時期において、大陸志向を目指す自動車網を作ろうとしていたことは、その時代に生きた技術者達がいかに先見性を持っていたかということだと思う。翻って現在では、交通の量のみで判断され、田舎に高規格交通網は必要ないという声が大きく、道路ネットワークは偏在しているように感じている。自動車のみならず国土全体の発展を考えた時、高規格なものを作ると言う発想でなく、地域間の移動を高速かつ安全に結べ、地域にあった規格のネットワークを造ると言う発想が必要なのではないかと感じる。
(所属:戸田市 氏名:諸井 敬嘉)

■  COLUMN2 陸路を進む国際貨物の実情 萩野 保克

この記事を読んで、道路不要論の原点を見た気がした。道路不要論は、道路の恩恵が見えづらいことにあると思う。コンビニに並ぶ商品、翌日に届く宅配便など、私たちの生活と道路とのつながりを見える化する必要性を強く感じた。
(所属:首都高速道路株式会社 氏名:小林雅彦)

■  2009年インドネシア・スマトラ沖地震復旧支援チーム (国境なき技師団・土木学会・日本地震工学会)の活動 三輪 滋、吉村 雅宏

東南アジア諸国においては、日本のように、十分な耐震性を考慮して構造物が設計・施工されている訳ではないことから、一度大きな地震に遭遇すると、その被害は甚大なものとなる。そのため、被災地に日本から技術者チームを派遣し、被災状況を調査し、復旧対策について助言することは、大変有意義であると思う。今回のスマトラ沖地震に関連して現地に行かれた技術者チームの皆様に、心より敬意を表したい。今後の期待としては、地震が起こった後ではなく、予防措置的観点から、日本の耐震技術が被害の縮小に貢献できるような試みが多くなればと思う。
(所属:清水建設 氏名:河田雅也)

■  第6回 日本一トイレのきれいなサービスエリア 杉江 裕実、澁谷 容子

トイレがきれいということは幸せだと思います。「たまたま立ち寄ったSAのトイレがきれいだった」それだけで気分よく高速道路を利用できる気がします。安全運転にもつながるのではないでしょうか。
(所属:清水建設 氏名:近江健吾)

トイレとはなかなか取り上げにくいテーマだと思う。SAのトイレは昔に比べるとずいぶんきれいになった。それでも、連休などのときはずいぶん込み合って汚れもひどくなる。サービスエリアのトイレがみんなこんな風にきれいになったらそしてエコになったらとてもいいことだ。きれいなトイレは汚しにくい。これがいつまで維持できるかが問題だ。
(氏名:高橋麻理)

■  第70回 曽我浦片隧道4号・5号 山田 圭二郎

曽我浦片隧道の写真を見た時、箱根駅伝で毎年テレビで見る函嶺洞門を思い出しました。私も、以前から何故このようなモダンなデザインを取り入れたのか疑問に思っておりましたが、解説を読み、大変勉強になりました。いつの時代にも、土木構造物は、その時代を象徴するランドマークとしてデザインされていることに、土木のロマンを感じます。
(所属:首都高速道路 氏名:石原 陽介)

以前から土木遺産には興味があり、今回の1〜3号の片隧道のような時代に埋もれてしまった遺産を発掘して調査することをライフワークにしたいと考えている。国道の途中にこのようなデザインの隧道があったら思わず車を止めてしまいそうだ。残っている4、5号の隧道はいまだ現役であり、往時の姿そのままに特に大きな損傷もないようであり今後もぜひとも大事に保存してほしい。廃道になった部分の隧道も何らかの形で復活できないものだろうか。これらの隧道の復活が地域の活性化につなげられたらと思う。機会があったら筆者の書かれているとおり、探勝道路の探勝をして戦前の土木遺産に触れてみたい。絵葉書の中の文字が読めるくらい大きく載せられたら隧道に対する当時の受け止め方もわかってよかったかもしれない。
(氏名:高橋麻理)

■  第5回 シラスを活用した市電軌道の緑化 山口 明伸

環境面から優れている交通手段として見直されている鉄道において更に磨かれた技術が見られ素晴らしいことだと感じた。都市部における軌道を緑化に使う発想はすぐそばを走る車の通行モラルが守られてこそ成り立つものであると言える。通行量の増加から軌道敷内の車両走行を認めるところもあるが、こういった形で分離を行うことで軌道線の定時性と環境にも貢献できるのであれば他都市も見習うべきではないかと感じた。
(所属:戸田市 氏名:諸井 敬嘉)

鹿児島市には、“しらす”を有効活用した軌道敷の緑化が行われている事を、誠に素晴らしい事だと思いました。土木版地産地消であると思います。地方にも公共交通機関の軸として路面電車が活用されるようになればもっと良いと思います。路面電車がより生きる為には、市街地に車両の進入を禁止にすることが効果的ではないかと思います。そしたら、歩道にも緑化でき、緑いっぱい・花いっぱいの鹿児島になると思います。緑の絨毯を活かして、芝生を保てるようになって、将来日本でサッカーのW杯等々が開催されるさいのピッチになればよいと思います。地方が、きっと鹿児島が、しらすを厄介者から地球温暖化を止める武器にかわると思います。
(所属:鹿児島大学工学部海洋土木工学科 氏名:越石暁)

東京から京都,四国,広島,長崎,鹿児島とチンチン電車(小生は,江戸育ちのためそう呼んでいる。)もとい,路面電車が今でも活躍している。今回,緑化された軌道をみて,春を感じました。環境対応策としてのシラスの活用方法については,弊社のウレタン系接着剤やウレタンフォームとのコラボレーションでも都市土木部材としての使い道があると思っております。また,ウレタン材料は,容易に現場施工できる原料であることを付け加えておきたい。
(所属:日本ポリウレタン工業(株) 氏名:田中 一幸)

"緑の絨毯"とは、良い響きですね。写真を見ても、緑色が映えていて、景観的に美しく感じます。記事によると、植栽基盤の性能が課題であったが、地元で厄介者扱いされているシラスを有効に利用した「シラス緑化保水基盤」を開発したことにより、芝生の植生のための高い保水性と適度な透水性を保たれることに成功したとのこと。温暖化の防止や騒音の低減にも寄与していることから、国内外からの高い評価と関心を得ているのも納得できます。この”緑の絨毯”を市電軌道全線で整備するのに加え、道路の植樹帯などへも整備対象範囲を拡げていけば、さらに南国・鹿児島の熱い夏を快適にする力となるのではないでしょうか。
(所属:鉄道・運輸機構 氏名:山崎 功一朗)

■  第9話 都市に生きる樹木のために 喜多 直之

道路会社は,限られた予算の中でできる限り強固な長持ちする舗装をつくろうとする.そのためには,基盤となる路床(土)や路盤(砕石)を強化するわけだが,これが樹木の成長に対しては望ましくないことが多い.その顕著な例が本記事で取り上げられている根上り現象で,結局はこれによって舗装が本来の寿命を全うできないという皮肉な結果となる.「あちらを立てれば,こちらが立たず」というトレードオフを解消するための本工法には,樹木に対する深い愛情が感じられる.スピード社会の現代において,数年間という長期にわたる効果確認には頭が下がる.この粘り強さを支えているのもやはり「愛」であろう.技術開発の心得として参考にしたい.
(所属:鹿島道路 氏名:金井利浩)

最近小生が暮らしている近くの街路樹が伐採され、残念に思っていた。伐採された理由は根上がりのため身体障害者の車椅子の通行に支障を来たすためとの事であった。40年余り親しまれたみどりの街路が急に失われると非常にわびしい思いがした。この記事のような技術を今後は活用され、みどり豊かな町を維持することを土木技術者は心がけるべきであろう。
(所属:NPO法人ITステーション「市民と建設」 氏名: 比奈地 信雄)

■  第5回 大都市交通センサス 亀谷 一洋

グラフを良く見ると面白い。女性の鉄道利用距離が伸びている。女性の社会進出と地位向上などが要因として考えられる。全体的に鉄道利用が増加しているのは、ガソリン代高騰やモーダルシフトのような世界的な流れも起因しているのだろうか。通勤・通学時間の増加は、都市中心部から離れた箇所の人口増加に関係がありそうだ。
(所属:東洋建設 氏名:澤田 豊)

■  学生記事 クロスワード×ドボク

大半の読者がクロスワードとして本記事を楽しまれると思われますが、このクロスワードの解答と解説が、図等を利用して丁寧・簡潔に書かれているので、とても参考になります。自分自身、楽しみながら土木工学を復習できる良い機会ですので今後も、楽しみにしております。
(所属:首都高速道路 氏名:石原 陽介)

■  土木の現場に現れる瞬間 窪田 崇斗、鈴木 弘之

土木とはまったく無縁の人が建設現場の写真を撮られているとはなんともすばらしいことだ。私たち技術者も積極的に一般の方々に理解を求める活動をするべきではないだろうか。
(氏名:高橋麻理)

■  本当にシビルエンジニアか 栢原 英郎

国土形成計画及び広域地方計画の存在は誰もが認識しているだろう。問題は両計画を実現しようとする政府の意志の低さにあるのではないか。どんなに素晴らしい計画を策定しようとも実行が伴わなければ無意味である。
(氏名:山本 諭)

私は建設会社に勤めていることから、専らの関心としては、「どうしたらこの工事を受注できるか?」「どうやったらもっとコストを抑えて施工できるか?」といった点が主体であり、「この工事は社会的にどういう意味があるか?」といった事については、どちらかというと範疇外という認識であった。しかし今後、我が国においては、限られた予算で社会資本を整備して行かなければならない関係上、受注戦略を考える上でも、国土計画のあり方について注意を払うことは必要であり、何より、一シビルエンジニアとして、自分の仕事にどのような社会的意義があるかを説明できないのは、恥ずかしいことだと思う。日々の業務に追われていると、目先のことばかりに囚われがちであるが、シビルエンジニアとしての自覚を忘れないようにしなければと感じた。
(所属:清水建設 氏名:河田雅也)

論説を拝読し、視野が狭くなっている自分に驚きを感じました。どんなに忙しくても、アンテナを高く掲げ、健全な好奇心を持ち続けたいと思います。
(所属:清水建設 氏名:近江健吾)

■  コールロード 後藤 惠之輔

生活必需品である塩と石炭との結びつきを取り上げる視点は、面白かった。しかしそれ以上に、特集記事と絡んで、「九州」という場所が、今までの日本の発展にどれほど寄与していたかわかる記事で、非常に面白かった。今号の全 体の編集軸として、交通インフラからの様々な切り口が、コールロード等の事例を紹介することで、より一層深みを帯びて、読み応えがあったと思う。多くの企画記事がばらばらに紹介されるのではなく、こういった幾層にも重なりつつ も一本筋の通った編集企画があると、それぞれの記事がより一層絡み合い、面白く読ませていただけたと思う。
(氏名:横田 美行)

■  流域環境圏を基にこの国の形をつくる 筒井 信之

区割り困難県の問題を解消し、自然次元という考えで整理された郡邦制の提案、興味深く読ませていただいた。平成20年7月の国土形成計画で示されている広域ブロックとの比較を行うことで、本郡邦制の課題についても明らかにすることも今後重要であろう。
(所属:運輸政策研究所 氏名:梶谷俊夫)

最近、生物多様性、地球環境の保護という観点からも、社会基盤を整備することが重要です。「自然資本」を基本とした社会基盤整備の考え方、すなわち、「流域郡」を基本とすることは、地方の活性化、自然回帰の機運の中、国土形成計画に伴う道州制、広域地方計画の議論と併せて、興味を感じます。流域郡として扱うことで、(1)水循環系の一元的管理、(2)自然災害を防ぐ国土の保全と管理、(3)環境・生態系の創生・保全・管理。といった、自然管理は合理的に整備推進されると思います。水循環、物質循環、生物多様性という自然系を基軸とした、国土のマネジメントとガバナンスを見直す時期にあり、経済資本と自然資本をバランス良く調和をとる必要があると思います。
(所属:五洋建設 氏名:向井 健)

政党の選択に関係のない普遍的な国土管理体制が構築されることには共感を覚える。郡邦制により階層ごとに異なった役割を担うことは理解できるが、地理的条件、現状の産業の状態など州邦ごとに経済的格差があることは否めない。国と州政府とのパワーバランス、現制度からの移行方法など課題はあるかと思われるが、より具体的な議論につながればよいと感じる。
(所属:五洋建設 氏名:井瀬 肇)

■  第45回 ローマ人の物語27、28 [評者]森杉 壽芳

古代ローマにおいては、政治的に成功を収めた権力者が、一つのステータスとして、公会堂や劇場等の公共建築物を建造した。お金を持っている者が世の中のためにそのお金を使うことが、当然のこととされていた。日本のIT長者が寄付をしたというニュースを聞かないのと対照的である。また、ローマは、地中海世界の覇者となった後、停滞期を迎えた際、政治システムを共和政から帝政に転換することで、再び勢いを盛り返すことに成功した、世界史上でも稀な国家である。「ローマ人の物語」シリーズは、私も愛読しているが、二千年を経た現代の日本にとっても、非常に示唆に富んだ内容である。
(所属:清水建設 氏名:河田雅也)


© Japan Society of Civil Engineers 土木学会誌編集委員会