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JSCE Magazine,“Civil Engineering”

土木学会誌

■土木学会誌2010年9月号モニター回答


■  土木学会100周年 阪田 憲次

阪田憲次会長の土木の原点に帰り、100年を振り返るという提案に大賛成です。会長の言われる通り、この100年間の土木技術を駆使した社会基盤整備は素晴らしいものがあり、土木技術者として誇りでもありました。しかし昨今社会基盤整備に対して厳しい眼が向けられ、不効率な構造物が問題視されてきました。その要因の一つに計画の杜撰さが挙げられると思います。高速道路の予定通行車両数の見誤り、効果予測の過剰評価、各地に建設した空港の需要予測の誤り、洪水対策としてのダム建設の効果の誤差等土木技術の基本に係る重要な誤りです。学会創立100年を契機に謙虚に過去を見直し、なぜこのような事態になったのか真剣に検討することが大切と思います。この種の見直しは学会という研究者・技術者の集まりである中立的な組織で実施すべきと考えます。
(所属:NPO法人ITステーション「市民と建設」 氏名:比奈地 信雄)

■  第70回  映画監督樋口 真嗣さんに伺いました[聞き手]苗村 由美、野中 康弘

ウルトラマンを観て育った年代である.街並みが破壊される戦闘シーンをみてすごいと感動していたことを思い出す.その当時は楽しんでいるだけでよかったが,インフラ整備を生業にするようになった今,記事を読んで「こわすこと」と「つくること」の関係について改めて考えさせられた.新設の時代が終焉し,維持・修繕を経て更新という時代が始まろうとしている.更新するためには,まずこわすことが前提になる.一見もったいないように見える当該行為について国民全体のコンセンサスを得られるか否か.これが今後の土木のあり方に大きな影響を及ぼすような気がする.
(所属:鹿島道路 氏名:金井利浩)

このインタビュー記事を読んで、子供の頃観た映画「ゴジラ」シリーズで、ゴジラが新宿副都心や横浜みなとみらいといった、当時の新名所を次々と破壊していくシーンがとても印象的だったことを思い出した。鉄道模型や砂場遊びなど、もともと土木は子供の遊びに通ずるものがあり、子供の感性に響きやすい分野であることに加えて、都市が映画の中で破壊されることにより、本来は風景であるはずの土木構造物が、ストーリー上重要な役割を持つようになったからかもしれない。土木構造物が魅力的な「出演者」となるような作品が多く作られることで、土木に対する世の中の評価も改善されることを期待する。願わくは「破壊」をともなわないで。
(所属:清水建設 氏名:河田雅也)

「つくる」という視点だけではなく,「破壊」という視点も持って構造物を見るという点で,非常に新鮮な印象を受けた.特に最後の段落は「みせる」という仕事では超一流の映画監督らしいコメントであった.
(所属:東日本旅客鉄道 氏名:吉田知史)

■  企画趣旨 葛西 聡

豊な生命を育む環境を持続させ、この地球を未来へとつなぐ多様な主体との連携、協働により展開する北海道の様々な土木事業としての取組みが、今後の人類と自然の未来を見据えた環境を持続させるという大きな目的をもって実施されていることに感銘を受けました。特に、河川堤防の除草を放牧によって行うことでコスト削減を計ることや刈草を家畜飼料や堆肥として有効利用すること、あるいはホタテ貝殻のケーソン中詰材への有効利用と地域産業への貢献など、自然環境を壊さずに人々の生活の安全と安心を守るための土木事業としての大切さを改めて感じ、殺伐とした現代の都会生活の中で様々な問題が発生し、なかなか計画的に進まない社会資本整備事業の有り方を考えさせられました。
(所属:株式会社大林組 氏名:大井和憲)

■  PART1 座談会 北海道における持続可能な社会づくり
[座談会メンバー] 加賀屋 誠一、関 克己、高井 修、[司会]橋 守人

今回、北海道の取組みということで、楽しんで記事を拝見させていただきましたが、北海道ならではの取組みに、なるほどと考えさせられることばかりでした。資源の有効活用もそうですが、産官学一体となっての取組みなど、まさに北海道が先頭になって引っ張っていると思います。日本は北海道から変わって行くという勢いを感じた特集でした。
(所属:首都高速道路(株) 氏名:石原陽介)

北海道の歴史を踏まえ、自然環境の価値を生かした多様な社会資本整備のあり方について、広い視点からの議論が進められており、勉強になりました。本記事の中でも新技術へのチャレンジについて興味深い事例が述べられており、また特集の他記事でも新千歳空港のクールプロジェクトをはじめとして様々なチャレンジが北海道で行われていることが分かりました。北海道には開拓精神よろしく、新しいことにチャレンジする風土が他県よりも強く残っているのではないかと思います。北海道発の有益なチャレンジはひとつのトップランナーとして、全国や世界に広がっていくといいなと感じました。そのためにも日本の中でも独特な風土をもつ北海道の取り組みを紹介する本記事は有益であると思います。
(所属:日本工営株式会社 氏名:野末 康博)

■ PART2 新千歳空港における環境保全への取組み(クールプロジェクト) 中嶋 秀明

特集記事全般にわたり、「北海道の取組み」は面白かった。なかでも「新千歳空港における環境保全への取組み(クールプロジェクト)」は雪の少ない場所で育った者として、興味を惹かれる記事であった。
地方の風土や立地環境に合わせた取組みは、全国均一的な政策より、そこに住む人々の暮らしぶりが伺うことができ、より親近感が持てるように思う。それは、自然と拮抗するのではなく、自然と共存してきた人々の智恵を伺い知ることができるため、エコ・フレンドリーのみならずバイオ・フレンドリーでもあるように思う。
脳は使い回しをするというのを、書籍で読んだことがあるが、低温貯蔵を空港施設にまで適応するとは、北海道のスケールと同様壮大なイアデアで、似つかわしい。雪国のくらしの中で「厄介者」として扱われている雪を、ポジティヴに利用することで、また、そこにしかあり得ない価値が付加され、ひいては地域への愛着が生まれるのではないかと思う。千歳空港の雪山がエコ・エアポートの一つの形として社会にアピールし、利用者からも愛されるようなシンボルになることを願う。
(氏名:横田 美行)

■  COLUMN1  河川堤防除草における地域と連携した先駆的取組み 伊藤 禎朗、別宮 邦紀

住民参加・協働型の維持管理手法は人口集中している都市部では理想てきだが過疎地域では費用がかかるまんまという構図は変わらず、むしろ格差が悪化すると思いました。十勝川での放牧は合理的だが、東京実施すればすぐに苦情がでそう。情報化社会になりつつある現代、もっと人口が分散して生活基盤を持てるような社会になればいいと思います。
(氏名:越石暁)

従来通りの維持・管理では不要となるものを有効利用するという発想はとてもいいことだと思います。世の中には他との連携をうまくとることで、無駄がなくなることがたくさんあると思います。持続可能な社会づくりに向け、このような事例がたくさんでてくることを期待しますが、ただ期待するだけではなく、自分の周りでできることを探し、実行していきたいと思いました。
(所属:五洋建設 氏名:井瀬 肇)

■  PART4 「緑はどうなった?」授業 岡村 俊邦

火山の噴火で、心に傷を負うことを改めて知りました。生態学的混播・混植物による方法が、緑化にどんどん活用され出したら素晴らしいと思いました。全国に広めるためには、アドバイザーの育成が必須だと思いました。マニュアル化の呪縛が怖いですが、それを上手に回避できればいいと思いました。大学等の学術機関が先導して いけば、地域に根ざしやすいと思います。
(氏名:越石暁)

今夏、有珠山と洞爺湖を家族で旅行した。有珠山は2000年の噴火の遺構を保存している。洞爺湖温泉小学校の跡地に建設されたビジターセンターの背後には、被災した温泉施設や集合住宅、流された橋が新しい砂防施設の中にそのまま残っている。また、西口火口群では火口を回る散策路が整備され、隆起して谷部が水没した道路、破壊された製菓工場や住宅、幼稚園などが見学できる。噴石の衝突跡や建物に侵入した溶岩など噴火の脅威を目の当たりにすると同時に、噴火から10年を経て、どの遺構も草木に覆われていて自然の復元力を感じた。生物学的混播・混食法とは初めて聞く言葉であったが、地域の植物を使っての緑化は理想的であると思う。いつも緑化や植林などを聞くたびに、植物の種類はどのように選定しているのだろうと疑問に思っていた。このような手法が広まることで生態系の維持や特定の外来種による影響が避けられると思う。遺構を覆う自然の草木と新たな砂防施設に植樹された緑が融合して地域が再生し、防災意識の高揚や施設への理解に役立つことを望む。
(氏名:高橋麻理)

■  COLUMN2  ホタテ貝殻のケーソン中詰材への有効利用 大野 元

本特集の2つのコラムより,北海道では持続可能な社会に向けた取組みにおいて,漁業や農業が建設業と協力している様子がうかがえる.とりわけ牛の放牧により河川堤防の除草を行うといった取組みは非常にユニークだと思う.また,排出されるホタテ貝の貝殻をケーソン中詰材に使用するということであるが、これも持続可能な社会づくりに向けた取組みのひとつで面白い.ここで紹介された事例では,貝殻の熱処理や破砕処理といった加工によるコスト増加が考えられるものの,こうした取組みはちょっとしたアイデアや工夫で環境負荷を低減できる可能性を持っていることから,一般住民などの知恵も大いに募るべきかと思う.
(所属:東洋建設(株) 氏名:澤田豊)

水産物の消費量がひときわ多く、狭い国土を持つ我が国にとって消費した後に残る貝殻が、建設資材として有効に利用されているのは、新鮮であった。全体の中では微量ではあると思うが、こういった取り組みを進めることで、土木と水産という異なる業種の融合により環境にも優しく、新しい地域産業の創出に貢献することをもっと進めて欲しいと感じた。
(所属:戸田市役所 氏名:諸井 敬嘉)

ホタテ貝殻をケーソン中詰材の一部として利用するというのは、どこかで聞いたことがあった。大量に発生する貝殻を有効利用することは環境保全や地域の発展にもつながる。まだ、このような利用は貝殻発生量のうちのわずか1%程度である。事前処理や混入率の問題などがあると思うが、今後も、このような有効利用を促進することが必要だと感じた。
(氏名:高橋麻理)

貝殻の有効活用と聴いて,学生時代の卒業論文を思い出しました。当時,化学工学を専攻し,赤貝の貝殻を利用した消化汚泥によるメタン発酵の研究を行っていました。その頃は,赤貝の貝殻は貴重で入手に苦労しましたが,まさかホタテ貝の貝殻が大量に排出していることを知らず,今であれば,是が非にでも活用したことでしょう。また,本報告の有効利用方法についても,非常に興味のある話で,粉砕してフィラーとしての効果を試してみたいものです。こういった資源の有効利用は,様々な分野へ活用できると思いますが,資源そのものの現状を知る意味で,貴重な情報であると思いました。
(所属:日本ポリウレタン工業(株) 氏名:田中一幸)

■  第10回 直径日本一の地下空洞 石村 陽介、松尾 幸二郎

空洞の大規模さを把握することはできたが、この多目的施設を造ることがなぜ必要であったのか、読み取ることができなかった。施設の所有者は民間となっているが、無駄な公共事業と誤解されないよう施設が必要とされた経緯や整備の目的にも触れる必要があるのではないかと感じた。
(所属:首都高速道路株式会社 氏名:小林 雅彦)

本報告の高山祭りミュージアム。数年前に訪問した事があります。初夏に訪れたのですが,この地下ドーム内はヒンヤリとしていた記憶が残っております。また,小生もドーム内の壁に興味が湧き,触ってみたことを今でも覚えております。この地下空間の利用については,驚かされ続け,ドーム構造も先進的な建築物であると共に,展示されている平成屋台のからくり人形も素晴らしい出来映えでした。日本有数の観光地であり,現在では,飛騨トンネル貫通に伴い開通した東海北陸自動車道で白川郷へまで日帰りコースとなりました。皆さんも是非,一度訪れては如何でしょうか?
(所属:日本ポリウレタン工業(株) 氏名:田中一幸)

■  第74回 木頭出原谷の鉄砲堰 真田 純子

毎回、このシリーズを楽しみにしています。今回の木頭出原谷の鉄砲堰については、切石をコンクリートで固めた練り石積みになっています。林道の建設が進み、貨物自動車の性能の向上とともに、姿を消してしまった鉄砲堰が、このように土木遺産に選定され、注目を浴びたことは、大変素晴らしいことです。鉄砲堰のほか、手彫りのトンネル、木馬(きんま)道などの林業土木遺産も保存されています。私たちのくらしを支えてきた、先人の隠れた土木技術が埋没しないよう、土木遺産として後世に引き継いで欲しいと思います。
(所属:清田軌道工業 氏名:原 繁男)

現在のような,道路が整備され,トラックによる木材の輸送が行われる前,約半世紀前までの話ではあるが,今ではほぼ見ることができない筏での搬出方法等貴重な写真とともに紹介されており,非常に興味深く読ませていただいた.限られたインフラの中で,いかに効率的に木材を搬出するか,その先人たちの工夫や思いと,姿が目に浮かぶような,良い記事だった.
(所属:東日本旅客鉄道 氏名:吉田知史)

■  第6回 東京港 [文・写真]大村 拓也

今回で6回目を迎えた土木遠景。毎月楽しく拝見させていただいております。私は、まず写真を見て、どのようなエッセーが書いてあるのかを想像してから文章を拝見させていただきます。文章を読んでからまた写真を見ると筆者が伝えようとしているメッセージに感心させられます。今回も、身近で行われている国の命運を賭けた大プロジェクトを、 1枚の写真で表現できることにとても驚きました。いろいろ記事の見方はあると思いますが、このような見方で楽しめる唯一のコーナーだと思います。今後も、この土木遠景を楽しみにしております。
(所属:首都高速道路(株) 氏名:石原陽介)

■  第6回 大倉山ジャンプ競技場 渡辺 香奈

今年9月の全国大会で札幌に行った際,当該ジャンプ場を見る機会があった.本文ではジャンプ台の上から見下ろす市街地や日本海の美しさが語られているが,下から見上げたジャンプ台の美しさも格別である.まるでジャンパーが飛び出してきてこちらに舞い降りてくるような幻想に襲われた.この美しさの正体は何か?そのときはあまり深く考えなかったが,写真をみながら,人を遠くまで飛ばす機能美に他ならないと想い至った.自分の中に埋もれていた動物的な飛行願望がジャンプ台の美しい曲線に触発されたのだ.無意識のうちに美しいと感じさせるデザインの力は本当に素晴しい.
(所属:鹿島道路 氏名:金井利浩)

■  第9回 道路交通センサス 原 隆広

時点データではなく、年次推移データをみることで、交通の変化の傾向が把握でき、将来交通量の予測等も可能となる為調査を継続することには非常に意義がある。本年度の調査は、IT化の影響のほかに、高速道路無料化などの政策の影響を確認する上でも非常に意義があるのではないか。
(所属:運輸政策研究所 氏名:梶谷俊夫)

道路舗装は,自動車と道路のインターフェースとして走行時の安全性や快適性の確保に寄与している.舗装の構造設計は設計期間に予想される交通の量に応じてなされるが,交通渋滞が頻発する箇所ではわだち掘れを抑制するための対策を別途講じるなど,交通の質に配慮した工夫も求められる.紹介されている道路センサスからは,交通の量と質の両方の情報が得られ,今後の道路舗装のあり方を考えるうえで参考になると思われる.遅延なく快適に目的地に着きたいというドライバーの願いを叶えるため,道路舗装の損傷に起因した渋滞などの解消に向けて引き続き努力していきたいと考えている.
(所属:鹿島道路 氏名:金井利浩)

■  第9回 小水力発電 伊藤 悟郎

小さい環境負荷で未利用エネルギーを回収できる小水力発電は今まさに注目のクリーンエネルギーの一つである。今回の記事における事例では、既設水力発電所の維持流量用水路を活用したものであったが、農業用水路を活用するなどさらに小規模なものも既に実用化されており、設置も比較的容易であることから、その適用範囲は実に広いものとなっている。しかしながら小規模であるがゆえに、得られるメリットに対し導入コストの負担が大きくなっているのが現状である。導入を検討している事業者、機関がためらうことなく実施できるよう今後の支援制度の拡充が望まれるところである。
(所属:東日本旅客鉄道(株) 氏名:伊東寛)


■ トピックス2 D滑走路の構造・施工概要と建設を支えた最新技術について 佐伯 登志夫

日本中が注目するD滑走路の建設を支えた技術について、場所ごとに細かくわかりやすく説明されており興味を持って読みました。短い工期、制限表面下での施工など多くの制約の中で、このプロジェクトを成功に導いた要因には、これらの最新技術とともに徹底したリスク管理があったのではないでしょうか。工事を進めていくなかで計画どおりにいかない場面が必ずあったと思います。その際に、ダメージが最低限になるような対処を確実に選択したからこそ、工期内の完成が実現したのだと思います。どのようなトラブルがあり、どう対処したのか、なぜその対処方法を選択できたのかを知りたいと思いました。
(所属:前田建設工業  氏名:奥田文)

■  トピックスを終えて… 武部 篤治

本工事の最新かつ高度な技術の紹介に止まることなく、本事業の必要性、期待される効果も含めて2ヶ月にわたり紹介していただいたことは大変意義深いと感じた。巨額を投じて難易度の高い工事を行う理由は何か、なぜこの工事が必要なのか、一般の方に高度な土木技術を紹介する場合には、事業の目的を示すことによって技術の理解が深まると思う。
(所属:首都高速道路株式会社 氏名:小林 雅彦)

超巨大プロジェクトと呼ばれる羽田空港拡張工事も供用が開始されようとしている。8月号、9月号ともに楽しく読ませていただいた。これほどのビッグプロジェクトは、早々何度もチャンスが訪れるものではないと思うが、このような難易度の高い工事によって、大きく土木技術は発展してゆくものであると思う。
(所属:清水建設 氏名:近江 健吾)

■  中国内陸部 重慶と成都の経済発展 中野 宏幸

四川省の交通拠点である成都において、9路線もの地下鉄が計画されており、そのうち1号線が本年開業、2号線が2012年に開業するとのことである。本年9月14日の米カリフォルニア州シュワルツェネッガー知事による東北新幹線視察に、JR東日本や国土交通省の幹部と共に前原国土交通大臣が出迎えるなど、高速鉄道分野においては日本でもフランスやドイツなどに遅ればせながらも国家としてトップセールスが行われているが、地下鉄分野においてこそ日本企業のビジネスチャンスがあるのではないだろうか。現に、東洋電機製造では四川省成都市の地下鉄1号線で17編成102両分の車両用電機品を受注しているそうである。現在、中国では、10都市に29本の地下鉄が運行しているが、この10都市の新線建設を含めて、合計15都市に50本の地下鉄が現在建設中にあるそうである。このほか、27都市で建設を計画・準備しており、うち22都市の建設計画は中央政府の認可を受けているとのことである。日本は地下鉄の車両だけでなく、土木構造物等施設の面においても、すぐれた技術と経験を持っている。今後、その技術と経験を中国の各都市に積極的にアプローチすることで、日本は各国よりも地下鉄分野においては優位性を獲得できる可能性があるのではないだろうか。
(所属:東京急行電鉄株式会社 氏名:山口洋史)

内陸部のインフラ整備がここまで進んでいるとは知りませんでした。利用者で混雑する高速鉄道の駅や、ホームドアが整備されたモノレールの駅など、先進国の都市部のインフラと何も変わらないように見えます。今後も都市交通インフラの整備を急ピッチで進めていく計画とのことでした。これらのインフラを他国の力を借りずに、中国国内の技術でできているとすると、同国の技術力の高さはかなりのレベルなのでしょう。世界的なインフラプロジェクトも中国企業が受注している現状を見ると、すでに先進国レベルの技術力を持っているようにも思えます。今後、日本勢が中国勢に対抗していくには何が必要なのか、どこで差別化できるのかをよく考えて、成長戦略を描く必要があると感じました。
(所属:前田建設工業 氏名:奥田文)

■  真空圧密工法を用いた超軟弱地盤における載荷盛土の施工事例 信田 潤一、山田 耕一

まず驚いたのは、沈下量10mというオーダーである。10mといえば、小規模なビルがすっぽり沈み込んでしまう深さであるから、規格外である。次に、真空圧密工法によって、GL−30m超の大深度においても、改良効果が確認されたことである。これほどの深度では、通常の載荷盛土のみで圧密促進を期待するのは困難である。また、真空圧密工法を併用することで、このような軟弱地盤においても、最大10cm/dという盛立速度で施工を行えたという実績である。真空圧密工法は、土砂運搬に要する工事用車両の台数を減らせるという環境上のメリットもあり、時代のニーズにもマッチしており、今後の発展が期待される技術であると思う。
(所属:清水建設 氏名:河田雅也)

超軟弱地盤における盛土で、10mを越える沈下があるという。各種の沈下対策工法を比較して真空圧密工法を選択したということだが、そもそも粘性土や腐植土が深さ40m以上も堆積しているような地盤に高さ10mを越える盛土をすることが適切なのかと疑問がわいた。国土が狭く河川平野に構造物を建設することの多いわが国では、同様の地盤条件に遭遇することも少なくない。事前に検討されていたことと思うので、橋梁との比較や選定などの経緯にも触れて欲しかった。
(氏名:高橋麻理)

■  シナリオデザインのすすめ:平知盛の憂鬱 宮川 豊章

土木施設に「生涯設計」が必要であり、そのためには土木施設に本来辿らせたい生涯を創造することが先ず必要であると指摘されている。これまでは、産み出すことに熱心で、生まれた後の生涯への想いは手薄だった。この生涯設計を描き表明することが現代の土木技術者の大きな使命だと思う。
(所属:東日本高速道路 氏名:伊勢田敏)

■  その他・意見等

本学会誌9月号では,モニターの声欄に小生の報告が2件も採用されており,吃驚しました。今後も解りやすい文章にて意見報告したいと思っております。ありがとうございました。
(所属:日本ポリウレタン工業(株) 氏名:田中一幸)

7月号で、新学会長就任挨拶があり、8月号で座談会があり、9月号で学会長からのメッセージの記事が掲載されていて、少しくどいように感じました。
(氏名:横田美行)

© Japan Society of Civil Engineers 土木学会誌編集委員会