■土木学会誌2011年5月号モニター回答
■ 東北関東大震災 阪田 憲次、日下部 治、岸井 隆幸
まず,今回の震災で犠牲になられた方々にご冥福をお祈りするとともに,被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。被災地は地震および津波による想定外の壊滅的被害を受け,原発事故による更なる状況の悪化によって復旧が遅れています。しかし,今回の震災で用いられる「想定外」という言葉が,専門家の言い訳や弁解であってはならない。という3学会会長による共同緊急声明に同感しました。今回の震災に関して十分な分析による評価を行い,今後想定されている東海,東南海,南海地震への備えとし,二度と同じような被害を出さないような取組みをしていかなければならないと思いました。
(所属:新日本製鐵 氏名:久積和正)
■ 公益社団法人土木学会 ─経緯と意義─ 古木 守靖
土木学会の公益社団法人認定に至るご苦労やその意義については良く伝わるものであり重要な内容であったが、カラーページを使用してまで前半・トップ記事に近いような位置に配置した点は疑問である。特に今号は震災関連でカラーページを多用して少しでも多くの情報を載せるべきであり、読者の興味もそちらの方が多いはずである。是非読者の興味を考えて柔軟な紙面構成をしていただければと思った。
(所属:アクセンチュア株式会社 氏名:宅間 朗)
■ 伊勢湾台風による高潮被害個所の当時と現在 間瀬 肇
記録写真の重要さ、貴重さについて、再認識させていただいた。はじめ見たときは、これが50年前の写真とは一瞬気づかなかった。それほど色あせることなく保存されてきたのは、故岩垣雄一先生が、ご自身の高潮防災の研究に活用してきただけでなく、将来多くの土木技術者の役に立つとの信念のもと、大切に保管してきたのだろうと感じた。白黒ではなくカラーであることで、より多くの情報を読み取ることができる。さすがに50年の歳月の間に、場所がわからなくなってしまったところもあるそうだが、現在であれば、GPS機能内蔵のデジタルカメラも比較的廉価に入手できるようになったので、今後の位置確認、追跡比較調査もしやすくなるだろう。
(所属:(株)建設技術研究所 氏名:上原 励)
■ 阪神高速8号京都線(鴨川東─上鳥羽)開通 南條 耕平、坂井 康人
阪神高速8号京都線の開通に際しても、並走する鴨川の景観を損なわないよう配慮されたとのことで、大変興味深かった。近年では、環境や景観に配慮した構造物が多く見受けられるが、その中でも京都は特に配慮していると感じる。土木構造物を含めた風景も新たな観光名所として観光客に受け入れてもらえれば、京都は今後も長く観光都市として進歩し続けるのではないだろうか。京都だけでなく、全国各地で景観と共存する構造物が増えていってほしいと思う。
(所属:京都大学 氏名:高井敦史)
■ なにわ八百八橋を観光スポットとして活用 大阪市建設局
大阪の堀川の橋に関わるイベントや取組、文化・歴史、景観、技術等の情報をアピールし、活用してもらおうという事で瓦版を作成して約2年、第6号までリリースされていた。計画から始まり、橋の一般的な技術、文化に触れる意味で展示や橋洗いというイベント、イルミネーション、観光船による橋めぐりの紹介等、「橋」から街をより深く知ってもらい、身近に感じてもらうことはとても良い取組であると思った。このような取組みを作っていくことが、歴史・文化財だけでなく、街を活性化させる1つの方策と繋がっていくのだと思う。
(所属:東京急行電鉄 氏名:鶴池 康介)
■ 第78回 日本大学総合科学研究所 教授 東北大学 名誉教授 森杉 壽芳さんに伺いました
費用便益分析の結果は、公共事業に携わればいつもで気にかかることである。身近なところでは、同じような天びんにかけ、当社の研究開発プロジェクトの有効性を評価したりしている。この場合、費用対効果といった言葉で、その天びんの傾くほうを評価している。私が費用便益分析で気になるのは、その評価の中立公平性である。自分の身に置き換えると、なんとしても採択して欲しい研究開発プロジェクトなので、費用対効果の評価を有利な結果となるように検討することもできてしまう。公共事業の採択に関しても同じようなことが起りかねないと思う。道路を建設したが、予想したよりも交通量が少なかった、というのは、そのような恣意的な評価をした結果ではないか、と思ってしまう場合もある。費用便益分析を行うには、このような恣意的な評価を行わないことが大切であることから、事業推進者ではない第3者が中立公平な立場で評価をすることが必要であると思う。そして、森杉さんの言われている事後分析をもっと事前評価にフィードバックさせ、より正確な費用便益分析ができるよPDCAサイクルを回して行ければ良いと思う。
(所属:日特建設株式会社 氏名:田中 尚)
費用便益分析は説明手段として非常に明解なので事業の優先度や実施根拠として用いられています.しかし,記事中にもありましたがなにを便益としてみなすか,いかに便益を的確に金額で表すかは難しい問題です.公共事業に理解が得られないことの原因には,便益が適正に評価されず実施されてしまった事業が多くあるのではないかと思います.適正な便益の評価手法が確立され真に優先度の高い事業が効率的に実施されることを期待したいと思います.
(所属:五洋建設(株) 氏名:原 基久)
社会資本整備に対する評価は色々論じられて来ました。土木事業はその時代時代で評価や有効性が変化する宿命がありました。そのような中でも先生が述べられている「費用便益分析」は有効な手段と考えます。「費用便益分析」を 各事業で共通な基準で行うことも重要と思われます。また事前評価の「費用便益分析」だけではなく、「事後分析」が大変重要と考えます。「事後分析」する事により先生が提案されている事前評価の有効性、事業の信頼性の向上にも貢献すると思われます。
(所属:NPO法人シビルまちづくりステーション 氏名:比奈地 信雄)
費用便益分析において、政策による全ての影響をお金として定量的に評価する事は難しいのではないかと想像します。そのような中で、政策による様々な影響を如何にして評価するかが重要であると思いました。費用便益分析について記事内で「基準の一つ」とあるように、ある政策を実行するか否かの判断材料の一つと捉え、定量化できない影響も加味して全体で評価する方法があれば良いと感じました。また記事を通じて、費用便益分析の精度や信頼性の向上を図る上で、事後分析を行い、次の評価に活かす作業を繰り返し行うことが重要であると感じました。
(所属:大林組 氏名:住永哲史)
森杉壽芳氏の社会資本評価のインタビュー記事について非常に興味深く読ませていただいた。公共事業は得られる利益の把握が非常に難しく、評価手法の明確化や精度に課題がある。昨今の情報化社会においてこれまで以上に早く正確な情報が求められる中、明確かつ精度の高い評価手法の更なる検討が求められている。また、インタビューの中でも述べられていたが、事後評価の重要性は非常に高い。土木事業には同じプロジェクトが存在せずそれぞれに個性があることが大きな特徴である。このような中、事後評価を明確に類型化し以降のプロジェクトに可能な限り反映させることにより、社会ニーズにより合致した社会資本整備が可能になるのではないだろうか。
(所属:JR東日本 氏名:山田 拓也 )
■ 第82回 留萌港南防波堤 石川 成昭
ケーソンの曳航が小型船しか存在していなかったと考えられる大正末期から行われたという。
曳航距離は100km、沈没させたのは2函と書かれている。当時の技術を思えば、方法が方法だけに非常に高い成功率であることに感嘆した。この方法を採用することを決めた、当時の技術者たちのチャレンジ精神や、高い成功率を生んだ施工能力の精密さなど、現代の技術者も見習うべきところが沢山あると感じた。
(所属:東洋建設株式会社 氏名:山崎 圭)
銘菓「テトラポット」に衝撃を受けた。全国的知名度はかなり低いと思われるが、地域密着度からいうとかなりのものと推察される。土木施設あやかりものの菓子みやげ物にも各種あるが、最近食した錦帯橋せんべいは、せんべいに錦帯橋が印刷してあるものの、印刷もの銘菓はいくらでもあるし、オリジナリティーという点で劣り、インフラの形そのままにまんじゅうになっている「テトラポット」には遠く及ばない。上野公園のパンダまんじゅうがあるのかどうかは知らないが、所詮隣国から借りてきたパンダ頼みで、愛着も長続きするのかどうか怪しいものだ。羽田空港でよく見る「東京ばなな」など、東京とどういう関係があるのか全く不明である。
(所属:国土交通省 氏名:佃 誠太郎)
■ 第4回 日本の河岸を守った「牛」の正体とは? 山崎 廉予、松尾 幸二郎
聖牛と言う物が、どれだけの効果があるのか、それを他の構造のものと比較する。理論や紙面では伝わらない技術の効果を視覚で訴え且つデータとして採取し理解を深めることが出来る。学生に留まらず、機会があれば土木に関ることのない方々にも触れて欲しい実験である。数ある水制のなかで、聖牛というものが、構造面で非常に合理的であるというのが、実験を通して実感できると言うのが素晴らしいと感じた。聖牛のシンプルさと先人の技術力に敬服すると共に、現代技術の進歩についても感じる貴重な実験であったと感じる。
(所属:中野区役所 氏名:諸井 敬嘉)
■ 第5回 橋本 麻未 さん 海外旅行 伊藤 悟郎
魅力的な趣味を楽しんでいる人はきっと魅力的な仕事をされているんだろうなと素直に感じました。技術者の顔が見えにくいと言われる土木の世界では、このような顔の見えるようなことをもっと増やしても良いのではないかと常に感じます。技術者の顔が見えることが地域とのより深い繋がりに発展していくのだろうと思います。NHKの情熱大陸やプロフェッショナルの番組のような、人の魅力に焦点をあてた特集に今後発展していくことを期待しています。
(所属:株式会社福山コンサルタント 氏名:金子俊之)
■ 記事1 座談会 わが国建設業の国際展開に対する課題と将来展望について [座談会メンバー]谷口 博昭、廣谷 彰彦、金井 誠、天野 正徳 [コーディネータ]草柳 俊二 [オブザーバー]佐井 里映、宮田 正史、藤城 透、大内 雅博
現在の日本が、少子高齢化・人口減少・債務増大など、多くの問題を抱えた中で、建設業界としても様々な改革に取り組んでいかなくてはいけない。今後の公共事業の在り方や業界の適正規模など、構造改革の面にも切り込んでいく必要があると思いますが、将来的なビジョン(夢、希望)のところも議論し、若い人が職を希望するような方向性を示して頂きたいと思います。
(所属:阪神高速道路(株) 氏名:時 譲太)
建設業の国際展開が叫ばれて久しいが、現実には、海外展開には多種多様高難度の困難が伴うことは想像に難くない。そのような中、民間企業の座談会メンバーを中心に、ローカル人材の活用(人件費の高い日本人を使わない、現地での人材確保)、日本政府に頼らない自主独立の精神(ODA偏重からの脱却)、現地化による非関税障壁の打破と長期的視点を持った展開戦略、といったこれまでの問題点を踏まえた将来展望が示されたのは大変よいことだと思うし、その必要性は私の認識とも一致する。続編として、成功している外国企業がどのようなことを実践しているか(費用構造や展開戦略の比較)、日本企業がこれまでどのような失敗をしてきたか、についての考察を期待したい。
(所属:国土交通省 氏名:佃 誠太郎)
日本の建設会社が海外事業で苦戦している原因については、「海外工事の契約や商習慣に不慣れ」という話が必ず出てくる。本当にそれが一番大きな原因であれば対処もし易いだろうが、ハード面の技術力にも大きな原因があるとすれば、応急処置は難しいと思われる。ハード面での差別化技術が必要であるとすれば、建設会社の企業努力はもちろんのこと、差別化技術を醸成する環境整備も必要である。その意味で、国内の公共調達においても、「新しい技術を競い、評価し、採用する場」をより良い形で整備していくことが重要だと考える。
(所属:鹿島建設 氏名:嵩 直人)
■ 2-1 日本の建設コンサルタント会社の国際建設市場における現状と展望 吉野 清文
日本の発注、設計、施工という業務分担により、海外事業展開において重要な役割である建設コンサルタントのプロジェクトマネージャーとしての経験不足が指摘されていた。今後、日本企業としての海外進出を強化していくために、海外進出へ向けた契約方式変更等が述べられているが、国内業務において育成や経験を積んでいく支援システムも問われる。例えば、これまでの業務委託・アシスタントでなく、考えて判断する能力を養う意味で官庁等への出向により、発注者としての経験を積ませるような、「育成システム」を一体となって作り上げることも重要となってくるのではないかと感じた。
(所属:東京急行電鉄 氏名:鶴池 康介)
■ 記事3 海外コントラクターの経営戦略 韓国の国内外建設市場動向および海外市場進出戦略
小生の勤務先が企業の国際化を支援するコンサルティング会社であることもあり、大変興味深く読ませていただいた。特に、建設業においては韓国が我が国よりも海外への進出度が進んでいることは広く知られており、ようやく彼らから学ぼうというトーンの記事が出てきた点を嬉しく思う。これまで、折に触れて我が国の建設業の国際化に関する意見を見てきたが、「技術は日本が世界一だ」という論調ばかりが聞こえてきて、謙虚に他国(特に欧米諸国以外)に学ぼうという声がほとんど聞こえてこなかった気がする。国際化に本当に腰を据えて取り組むのであれば、他国や異業種など、ベンチマークすべき相手は周囲にいくらでも居るのであるから、こういった情報を学会誌としてももっと取り上げ、「国際化は決して他人事ではない」という読者への啓蒙の意味も含め、大いに紙面を生かして欲しい。
(所属:アクセンチュア株式会社 氏名:宅間 朗)
■ 第4回 新幹線の役割と効果を活かす工夫 平石 和昭
40年来に渡る国家プロジェクトである新幹線整備について毎号様々な切り口で紹介している本特集を毎回楽しみに拝見している。今回の切り口である新幹線の役割と地域振興もとても興味深い内容になっていたと思う。たしかに新幹線整備は地域振興にとっての必要条件であるが、十分条件ではないのだろう。新幹線というインフラを活かすためには明確なビジョンとビジョンの実現を進めるための時間軸・役割分担の整理をしっかりさせておくことが大事だと改めて感じた。同じ公共のインフラ整備に関わる者として他人事ではなく心に刻み込んでおきたい。
(所属:首都高速道路 氏名:飯島 雄一)
私自身この記事を読むまで、観光資源がある場所に関しては交通機関が整えばある程度の来訪者増加があり、地域活性が見込まれるものだと考えていたが、実際には交通機関を整備するだけでは十分ではないことが良く分かった。また、地域機関との連携によって一旦は顧客を獲得できても維持していくには、努力の継続ということが重要であることに非情に興味が持てた。昨今では、新たな交通機関の整備をすることにおいて「無駄な整備」と言われることが少なくないと思うが、整備計画当初から整備する地域との連携することで、より多くの交通機関利用者を獲得でき、無駄だと言われる整備が減るのではないかと思う。
(所属:首都高速道路 氏名:浅野 靖)
新幹線整備は地域振興にとって必要条件ではあるが十分条件ではなく、地域振興方策の実施が必要とのテーマで、具体的に上越新幹線と佐渡の事例を踏まえた記載がされており、わかりやすい内容となっておりました。新幹線整備だけでは集客は望めず、また逆に通過駅となってしまうこともあるかと思います。いかにしてその土地の魅力をPRするとともに、できる限りコストを抑えた商品を提供しなくはなりません。そのためには鉄道会社と地域が共に働きかけを行い、両者にとってメリットを得られる道を探していく必要があると考えます。私も新幹線と宿がセットになった商品を利用したことがありますが、往復の新幹線運賃よりも安く旅行が出来る為、本商品について魅力を感じている利用者の一人でもあります。
(所属:東京急行電鉄(株) 氏名:杉山 圭大)
新幹線が地域振興の促進など、地域経済に様々な影響を与えることは、九州新幹線や東北新幹線の新青森延長で見せつけられた課題と考える。築造やメンテナンスに係る土木事業の増加、既存新幹線とのネットワーク効果等良い面もさることながら、ストロー効果による地域経済へのマイナスの影響、平行在来線問題も発生していることも忘れてはならないことだと考える。もともと、新幹線は、長距離輸送が鉄道に依存していた時期における在来線の輸送力が逼迫していたことが要因である。そのなかで、蓄積した土木を始めとする日本の技術が高速化を可能にした。この効果で、国内の地域間連携が促進されたと言うことを忘れてはいけないだろう。高速化、高規格化は確かに大切である。しかし、これからの新規開通区間は、輸送力が他区間と比較し少量である箇所が多いことから整備手法については地域振興と合わせ、既存の規格にとらわれない、最適な高規格ネットワークの構築を考えることが
必要とされるのではないかと考える。
(所属:中野区役所 氏名:諸井 敬嘉)
■ 国際プロジェクトにこそ求められる現場力 冨岡 征一郎
国内における業務と海外プロジェクトでは、必要とされている内容が異なるということをこの記事より学んだ。国内の業務において第一に必要とされることは、現場に日常的に出ることよりも、業務の作業工程を把握し事業を進めていくこと。それに対し、海外プロジェクトにおいて日本人に必要とされることは、現場に出て指導・監督すること、すなわち現場力 であるという。どちらも業務を進める上で必要であることは間違いない。しかし、今後の海外プロジェクトで通用するためには、現場力を身に付けなくてはならないため、まずは国内業務において現場力を鍛えるような教育の場を企業には見直して頂きたい。そして、将来はより多くの日本人が中国や韓国等に負けずに国際プロジェクトの場で活躍できるようになることを望む。
(所属:日本水工設計(株) 氏名:森脇隆一)
■ 国際土木プロジェクトの法的リスクの把握 井口 直樹
土木業界の国際化にいつも立ちはだかる「法的リスク」の壁の話題であるが、改めてこの記事を読んで、業界内に知られていない内容の多さに気づかされた。そもそも我が国では、理系・文系の壁もあいまって、「技術者にとって法律は一番縁遠いもの」とでもいうべき雰囲気があり、日本の土木技術者は法律を学ぶ機会が本当に少ないと感じる(あっても現場で身に付ける安全衛生法くらいであろうか)。少なくとも、実務上は外部から契約・法律の専門家の協力を仰ぐとしても、彼らと同じ言葉で話せる程度の契約に関する法律の基礎知識は、プロジェクトマネージャーにとって必須のはずであり、今後の現場を取り仕切るエンジニアが学ぶべき必要な素養となっていくのではないだろうか。是非今後も、技術者にとって学ぶ機会の少ない「法律・契約」に関する専門家からの情報を紙面に載せていっていただきたい。
(所属:アクセンチュア株式会社 氏名:宅間 朗)
今後の日本の土木・建設業界の発展には、グローバル化が不可欠であるが、華やかなプロジェクトの表面だけでなく、国際的な法的リスクについても考慮しなければならないと、大変興味深く拝読させていただきました。また、技術者だけでなく法律家も内向き志向が強いとあり、海外へ進出することに対する抵抗感がまだまだ各分野に潜在的にあることも、今後取り除かなければならない障壁の一つであると感じました。
(所属:京都大学 氏名:高井敦史)
■ 伊勢湾台風による高潮被害の写真データベース 間瀬 肇
伊勢湾台風と聞いて、当時愛知県の海岸縁に住んでいたので、懐かしさと伴に、高潮による浸水によって我家が全壊したことが、昨日のように思い出された。まだ、小学校2年の小生であったが、浸水してきた水の流れの速さ、大人でも手をつないで歩かねば倒されそうになる風の強さ等、避難したときの悪夢の状況は、今でも、脳裏に焼き付いている。あれから50年が過ぎたのかなあと思う。この記事のような被災状況とその後の対応、復興の整理は、今後の防災を考える貴重な資料となると思います。また、東日本大震災に遭われた東北の皆様にも、このような復興の姿を見れば、元気を出していただけるようにも感じられます。
(氏名:金原義夫)
伊勢湾台風は私が生まれる前に発生したものであるが、小学校の社会科の授業において、甚大な被害があったことを、また東海地方に在住の親戚等から、当時相当な苦労があったことを聞いている。今回このような多数のカラー写真を拝見したのは初めてであるが、当時の状況を伝える大変貴重な資料かと思う。年月が経てば先の大震災も含めて大きな災害は、残念ながら人々の記憶から風化しがちであるが、このような映像を通じて伝承していくことはとても大事なことだと感じている。
(所属:阪神高速道路(株) 氏名:志村 敦)
伊勢湾台風は、日本の港湾の防災にとっては衝撃的な被害をもたらしたものであったが、その当時貴重であったカラーフィルムによる現場撮影が行われていた資料があったと言うのが驚きである。データベースを実際に見てみたが、堤防の破壊状況、砂の流失等が鮮明に分かる写真が数多く掲載されていたこのことから防災資料として貴重なものになると考えられる。高潮のみでこれだけの被害を生じたことから、先般発生した東日本大震災の被害状況についても土木の視点から被害状況のみならず、復興の状況も併せて記録をとることが必要であると感じた。
(所属:中野区役所 氏名:諸井 敬嘉)
■ その他意見
東北地方太平洋沖地震の被害状況速報をして頂きましたが、その記事のなかに位置図がありませんでした。p.18やp.20のような地図があると、トピックの地理的位置関係を把握することができます。基本として、ある場所に関する記事では、どこかに位置図を示していただけると土地勘のない人にとっても場所がイメージしやすいと思います。
(所属:日特建設株式会社 氏名:田中 尚)
土木学会誌であれば今回の震災特集をしっかり組むべき。特別号をだしてもおかしくない。発生から2ヵ月後に配布された学会誌が声明文とわずかな写真だけの速報というのは正直がっかりだ。
(所属:株式会社福山コンサルタント 氏名:金子俊之)