■土木学会誌2011年9月号モニター回答
■ わが国初のLPG 備蓄岩盤タンクの建設 前島 俊雄
波方のLPG備蓄岩盤タンクの建設には当社も参加していますので、この記事をみてうれしく思いました。無事に完成し、運用開始されることを願っています。ところで、このような地下の岩盤内に空洞を作り、そこを貯蓄槽とする方法は、記事の中にも記載がある通り、地震の影響は少ないと考えられます。そのため、比較的安全に貯蓄を行うことができると思います。しかしながら、貯蓄物を運搬、管理する地上設備は安全
なのでしょうか?地上設備の立地を見ると、臨海部となっています。先の東日本大震災では、同様の貯蓄構造により石油を備蓄していた岩手県久慈の石油備蓄基地の地上設備が津波により被災しました。地下の石油は無事だったようですが、それを運搬、管理する地上設備が被災してしまっては、地上設備の復旧まで、地下貯蓄物は使えない、ということになってしまうと思います。波方が面しているのは瀬戸内海ではありますが、同様な懸念があると思いますので、地上設備の安全性も確保して、運用していただければと思いました。
(所属:日特建設 氏名:田中 尚)
岩盤タンク内に配置されている重機が小さく感じるほどで、写真を一見するだけで工事規模の大きさがわかり、非常に興味を持てた。「岩盤空洞内に液化石油ガスを貯蔵するために、水封ボーリングやグラウチングを施工することで水封機能(気密性)を満足した。」という旨の記載があったが、非常に健全な岩盤でないと機能を満足できないのではないかという疑問があるため、水圧を利用した水封方法の仕組みや本工事における地山の亀裂状況、湧水の状況、掘削時における管理手法などについて詳しく知りたいと思った。
(所属:首都高速道路 氏名:浅野 靖)
■ 企画趣旨 岡崎 慎一郎
東日本大震災を受けて今後予想される災害への対策が充実していくことは大変望ましいことです. 今後時間の経過とともに現在ほどの危機感は徐々に薄れていく恐れもありますが,使命感を持って必要な対策を着実に進めていくことが必要と思います.
(所属:五洋建設 氏名:原 基久)
■ 記事2 東南海・南海地震に向けた国交省四国地方整備局の取組み 石橋 良啓
四国では、東北太平洋沖地震と同様なプレートがあることで、今回の東日本大震災の教訓を早期に反映させた取組紹介であった。これまでも震災に対して危機感を持っていたエリアであるが、震災後見直しの取組みスピードの早さには驚いた。各テーマに分科会を設置し、学識経験者や市町村等との意見交換も積極的に実施しており、地域全体が一体となって連携が取れている体制を構築していると感じた。ハード面の整備ではコスト面等対策実現の早期化へは限界が考えられる中で、目標のためにソフト施策をいかに併せて充実させられるかは重要だと感じた。
(所属:東京急行電鉄 氏名:鶴池 康介)
■ 記事3 命を守る道路ネットワーク 松田 和香
県政を越えた横のつながりで道路ネットワークが考案され,実現に向けて具体的なビジョンを持ち実践していることが大変興味深かった。東南海・南海地震には日本全体で備えなければならず,そのためのヒントがこの四国の取組みにあるのではないだろうか。防災というハード面も極めて重要であるが,いくら防災に手を尽くしても被害をゼロにすることは難しいと考えられ,被災時の復興復旧を見据えた整備も,目を向けなければならないことの一つである。何時大地震が来るかも分からず,地震が発生した時に現在と同様な車社会であるかどうかはあるが,その議論は別として,県政を越えて具体的な復旧プランを事前に考えておき実践しておく姿勢こそ,震災に備えるために極めて重要であると感じる。
(所属:京都大学 氏名:高井敦史)
■ COLUMN1 インタビュー ラジオメディアの今と震災時に果たしたラジオの役割 [語り手]やの ひろみ
3月11日の震災当日は東京でも電話等のネットワークがつながりにくいこと、携帯テレビは電池を多く消費してしまうこと等から、屋外で十分な情報が得られなかった印象がある。そのため、緊急時に情報を確実に入手できる手段およびその為のインフラ整備検討については我々の重要な課題である。このような中、本コラムを読み、ラジオの持つ手軽さ、緊急時の情報提供ツールとしての有益性、安心感やぬくもりを与えることによる被災地支援ツールとしての役割等の『強み』が印象に残った。普段は自動車運転中ぐらいしかラジオを活用しない私であるが、情報手段の一つとして念頭に置き、うまく活用していきたい。
(所属:JR東日本 氏名:山田 拓也)
■ 記事5 産官学が連携した建設業における事業継続計画の普及活動 井上 要、板屋 英治
災害時の対応に建設業者は大きな役割を果たし,地域の建設業者の存在は大変重要です.記事中にあるように災害時の対応は災害協定と建設業者の使命感に頼っている状況ですが,地域の建設業者の減少や弱体化への対策も防災対策のひとつとして考えていく必要があると思います.
(所属:五洋建設 氏名:原 基久)
■ 記事1 インタビュー 東日本大震災による広域的な液状化被害について
[語り手]安田 進氏
東日本大震災によるライフラインの被害状況を各記事ともよく調査し、その復旧に多大な努力をされていることが伝わってきます。特に現地の職員による被害報告は現場に足を運び、生で見た被害状況を写真とともに記述されており、迫力がありました。これらの調査記録は今後のインフラ整備の貴重な資料となると考えます。どの様に修復し、復旧したかの記録は細部にわたって残して置いてほしい。又記事の中に被害の状況についてはかなり報告されていますがなぜそのようになったか、その原因があまり述べられていないように感じました。新しくインフラを整備するときどのようにしたら、被害を最小にできるかを考察する記述がほしかった。同じ地域でも被害の状況に差があったと思われます。その差が今後のインフラ整備に大変有効な示唆を示してくれると思われます。
(所属:NPO法人シビルまちづくりステーション 氏名:比奈地 信雄)
大災害は被害とともに多くの教訓をもたらしてくれる。これまでも大災害の度に各種設計指針・設計基準が更新されてきたことは周知のことと思う。今回の液状化被害で言えば、揺れの時間が長かったせいか、震源から離れた浦安や内陸部で大規模に発生したことを踏まえ、揺れの大きさに加え、揺れの時間に着目する流れにある。下水道管の被害を考察することによって、埋戻土の違いによるマンホール浮上がり被害の差異や、閉塞土がどこから来たかということについても明らかになりそうである。津波被害の悲惨さに注目が集まりがちであるが、地震によるインフラ被害の分析と分析結果の対策への応用を期待したい。
(所属:国土交通省 氏名:佃 誠太郎)
■ 4-2 浦安市における被害状況と今後の復興に向けて
[語り手]石川 才志氏、堀井 達久氏
同じ関東に住む私にとって、身近な地域である浦安の液状化現象による被害は衝撃を受けた。震災当初はあまりメディアに取り立たされていなかったが、ライフラインの障害は酷く、液状化やマンホールの隆起等の規模等、これまで予想もしなかった信じられない事が起こっていた。原因究明がこれからということだが、復旧については何らかの次の可能性を踏まえた震災対策を取る必要があり、今回耐震性貯水槽について一定の機能確保が確認できたように、次に同様な震災が起こった際の成果が表れる対策が講じられるとよいと思う。
(所属:東京急行電鉄 氏名:鶴池 康介)
■ 6-1 県北広域振興局土木部へのインタビュー [語り手]佐藤 明夫氏
東北地方太平洋沖地震発生直後の初動状況等について、岩手県の担当部局の方々へのインタビューにより、大災害が起こった際に、何ができて何ができないかを、大変生々しく語っていただいている。復興計画・防災計画を立てるうえで、非常に多くの示唆に富んでいる。9月の台風12号による紀伊半島での土砂災害においても、明治期の災害の記録を語り継いだ地域では、人的被害が少なかったという報道もあった。より多くの現場の生の声を記録に残し、語りついていくことが防災・減災文化の礎になると考える。
(所属:(株)建設技術研究所 氏名:上原 励)
■ 第8回 フリーゲージトレインの技術開発 梅田 雅司
複数の規格が存在することは、様々な分野で避けられないことなのでしょう。鉄道の線路の幅に着目すると、国内に限定しても少なくとも5つの規格が存在するようだ。幅が異なる鉄道間を直通運転できるフリーゲージトレインの開発が新幹線でも進められており、今回の記事では、これまでの開発の経過、技術の開発が分かりやすく解説されていた。まだ、実用化に向けての課題は残っているようだが、異なる規格同士を繋ぐ技術の完成がとても楽しみだ。
フリーゲージトレインの仕組みについて図を用いてわかりやすい内容となっておりました。また現在の開発状況についても紹介され、既にある程度の成果が得られ、技術開発が進んでいることを知りました。フリーゲージトレインが実用化されることで、新たな鉄道施設の工事費が抑えられるとともに、新幹線と在来線との乗換がなくなることで、鉄道の利便性がアップし利用者が増加することが言えるかと思います。ミニ新幹線の効果を考えると、地方都市への集客に大きな力を発揮することが言えるかと考えます。しかし特別な台車構造であるため重量があり、軌道構造への影響が大きいことなど様々な課題もあるかと思いますが、
実用化に向けた今後の技術開発に期待をしております。
(所属:東京急行電鉄株式会社 氏名:杉山 圭大)
国別・事業者別でこんなにも軌間が異なること,その異なる軌間の走行するためのフリーゲージトレインが数十年も前から各国で研究開発されていたことに驚いた。本文を読む限り,国内で実用化されるまでの課題はまだ残っているようだが,実機での在来線走行試験を行うために必要な費用や試験時間の制約等,技術的な課題以外にも高いハードルがあるように感じた。また,車両の機械的性能だけでなく,異なる軌間を通過する際に乗客の乗り心地に与える影響も検討対象になると考えられる。将来的には是非とも車内で異なる軌間を通過する瞬間を体験したいと考えており,一日も早い実用化を期待している。
(所属:新日本製鐵 氏名:久積和正)
■ 東京大学社会基盤学科「巨大震災演習プロジェクト」を開始
震災により被害にあわれた箇所に出向き、実態を把握し、復興を考える。この演習には、大学と言う複数の分野の研究機関が内包していることから出来る横断的な研究、検討が出来るメリットが最大限活きていると感じる。震災対応の中には、各分野に凝り固まり、横断的な対応が出来ていないことがあったとも聞く。そのような中で、震災をきっかけに、危機対応という分野に横断的に対応する能力が磨かれることは、正に将来的に有用なことと思われ、筆者の文中にもあるが、他大学にも広がって欲しい取組みであると感じた。
(所属:中野区 氏名:諸井 敬嘉)
■ 企画趣旨 岩雲 貴俊
各地域の土木人の生の声を聞く良い企画なのだが、ほとんどのパートがページの途中で始まり、ページの途中で終わる構成になっており、読みにくかったのが残念だった。4段組にこだわらず、柔軟な紙面構成にして読みやすくしていただければ良かったと思う。
(所属:アクセンチュア株式会社 氏名:宅間 朗)
■ 津波災害の犠牲者を減らすリスクマネジメント 河田 惠昭
先生の論説では、犠牲者を減らすために必要なことは、(1)津波に対する防災技術を高めること、(2)住民が「にげる」意識を持つこと、「にげる」体制を作ること、の二点であると理解した。個人的には、今後日本が高齢化することを考慮すれば、逃げる行為そのものも自力では困難になりかねず、いかに逃げることを効率的に助ける仕組みを整えるかということも議論する必要があるのではないかと思う。勿論その大前提として、全住民に速やかに情報が伝達されなければならず、住民同士の関係を密にしておくことも重要であると感じる。
(所属:京都大学 氏名:高井敦史)
■ 委員会報告 モンゴル土木学会(MACE)年次大会参加報告 山口 栄輝
ご出席されたのがお一人だったようなので難しいとは思うが、現場見学会まで参加されているのだから、モンゴルの様々な土木構造物など、なかなか一般の会員が見る機会の無いような数多くの写真を、カラーページを割いていただいて拝見したかった。
(所属:アクセンチュア株式会社 氏名:宅間 朗)
■ その他・意見
今月号(9月号)を読んで、“学会誌とはこんなもんだっけ”という思いがわいてきたのはなぜでしょうか。何か目先のものに、特に学会の全国大会等に惑わされていませんか。マンネリ化が芽生えていませんか。4月に編集幹事長のお言葉があり、期待していました。土木の進むべき”道“を示す記事を土木だけでなく広く社会からかき集めてほしいものです。今までの慣習に縛られること無く、新しいものを進めていただきたい。
(氏名:金原義夫)
東日本大震災後、土木学会誌の内容がカタクなった感じがします。震災関係の特集が紙面の多くを割いているためなのか、モニターをはじめた頃と雰囲気が変わってきたと思います。震災関係の情報を発信することは大切なことですので、削る必要はありませんが、もっと面白い記事も増やして欲しいです。具体的には、ビッグプロジェクトの内容や、珍しい施工方法の現場紹介など、人によって興味を持つところが違うので困ったものですが、幅広い内容になれば良いなと思っております。
(所属:日特建設 氏名:田中 尚)